輪渡颯介「古道具屋 皆塵堂」
「奉公先を盥回しにされたあげく、弟の急死で実家を継ぐことになった太一郎。修行先は、深川の古道具屋皆塵堂。やる気なげな店主と、生意気な小僧。並んでいるのは、首吊りや夜逃げのあった家の曰くつきの古道具ばかり。太一郎には、幽霊が見えるという秘密があった。憑きものだらけの怪談人情ミステリー。」
輪渡颯介「古道具屋 皆塵堂 猫除け」
「憑きものばかりの皆塵堂に現れたのはツキに見放された不運の男だった。母親と美しい妻を村に残し、馴れぬ呉服屋奉公を勤め上げるが、村では石礫で迎えられ、貯金も家族も丸ごと失ってしまう。恨みを晴らす丑の刻参りの道具を求めた庄三郎に、店主の伊平次は!?とぼけた人情味と怪談噺で大注目、お江戸ミステリ。」
やっと追い付いたー。これが旅行に持っていって読んだ2冊です。
表紙の絵に惹かれてジャケ買いしてしまったこの本ですが、嬉しい拾い物でした。なかなか面白いんだ、これが。
幽霊が見えてしまう太一郎が修行することになった、皆塵堂を舞台にしたミステリです。
謎解きの部分はいいとして、登場人物の魅力がこの小説のキモです。
まず太一郎は世を拗ねて、どうせ俺なんか…って人。どこが魅力的なんだ、ってことなんですよ、実際全然好きになれなかったし。
これが皆塵堂で変わっていくんだよね。目を離すと釣りに行っちゃう店主の伊平次。客あしらいが異常に上手く、表と裏の顔を使い分ける生意気な小僧峰吉、幼馴染みの巳之助、ご隠居清左衛門、そしてふてぶてしい猫の鮪介(しびすけ)。
幼い頃から幽霊が見えることを隠して生きてきた太一郎が、憑いちゃってる古道具ばかりの皆塵堂でもちろんのように幽霊を見てしまい、謎を解決していくんだけど、伊平次に幽霊が見えることを告白してから(伊平次は見抜いてたけど)、そのことと上手く折り合いを付けられるようになっていくんだよね。
で、それぞれの道具に憑いた幽霊とそれにまつわる事件を解決していく短編集なんだけど、何故太一郎が幽霊を見るのか、何故水が嫌いで、何故猫が苦手なのか、それが少しずつ解明されていく。それに伴って太一郎も変わっていくって訳です。
うーん、なかなかいい流れ!!と思ってたら、太一郎は実家に戻っちゃう。
え?これシリーズもんじゃないの??
で、第二弾の「猫除け」。はい、このタイトル見て手に取りました。
こっちでは故郷を追われた庄三郎にスポットが。太一郎はー?と思ってたら、なんかあると伊平次が太一郎に聞けーと召集が掛かるのでした。
しまいにゃ庄三郎も、太一郎さんを呼んでくれーとか言って気絶しちゃうし(笑)
ここでは庄三郎が過去と訣別して生きていけるかってのが、メインになってきます。
いやあ、ホントいい拾い物だったわ。面白い。
特に小僧の峰吉。子どもらしい笑顔で客あしらいしてたかと思ったら、買わない客が背を向けた途端に表情変えて舌打ちとかね、いい味出してんのよ。
あと普段は愛想ないのに、猫嫌いの太一郎にだけ異常になつく鮪介もいい。
そしてもちろん、皆塵堂店主・伊平次。一体何物なの?(笑)過去を含めて謎すぎるキャラクターです。
まーたシリーズもんに手を出してしまった。が、悔いなし!!
ようやく追い付きましたー。もっと読んだ気がするんだけど、手元にあるのがこれだけなので、とりあえず。
お澪ちゃんシリーズも書きたいんだよ?ようやく最終巻も読んだしね。お澪ちゃん…泣かせてもらったわあ、あのシリーズ読んでる間、幸せでした(*´ω`*)
とりあえず、会社にある全巻を持って帰ることから始めます。
これからはできるだけ読んだらアップ。を、目標に。あくまでも、できるだけ。あくまでも、目標で。