マガジンひとり

オリンピック? 統一教会? ジャニーズ事務所?
巻き添え食ってたまるかよ

世界の音楽 — ウクライナ

2024-04-18 17:30:53 | 世界の音楽
2020年のコロナ禍に際してアメリカのネット右翼ははほぼ反ワクチン・反マスク一色であったのに対し、日本のネトウヨはいまだにツイッターのアカウント名に注射器アイコンを付けて接種回数を誇っている者もいるくらいワクチン盲信。という風に一色で塗り固められているうちはまだよくて、コロナ禍の長期化と各国の金融緩和~株バブルとインフレ、ロシアのウクライナ侵攻、イスラエルによるガザ地区住民の虐殺などと続いて、細かな分断と囲い込み、ヘイトの蔓延と政治的混乱はとどまるところを知らない。トランプは大統領再選されるのかもしれないが、れっきとした犯罪者であるし、本人も共和党も支持者も言動が支離滅裂になってきて、いくら米国の経済が強いといっても文明国としては既に崩壊していると思う。

テキサス州などで独立の動きがあって内戦になるとかではなく、散発的な暴力が続き、ますますヘイトが煽られて果てしなく分断が進む。私の子どものころ南北ベトナム、東西ドイツなど分断されていた国がやがて統合される様子を見てきたが、これからはもう大きな統合はなく、政治的には米国主導、経済的には中国主導、ウクライナも中東も日本含む東アジアもずっと両にらみの緊張状態が続き、水面下で人間の家畜化と家畜管理システムの精度強化が続いていくに違いない。



Pinchos Jassinowsky / K'dusho (Na'aritzkho) (1919)
ピンチョス・ジャシノフスキー(1886-1954)、キエフ郊外で生まれ、早くから美声の持ち主として知られ、サンクトペテルブルクの帝国音楽院に入学すると学生時代に当地のシナゴーグ合唱団副指揮者を務める。1916年に米国に移住、20年から亡くなるまでの34年間マンハッタンユダヤ人センターのカンター(ユダヤ教会音楽の詠唱者)として活動。


Kosenko: 24 Children's Pieces, Op. 25 - 15. Lullaby (1936)



Kapustin: Piano Concerto #2, Op. 14 – 1. Allegro molto (1974)
ニコライ・カプースチン、現在はロシア軍に占領されているドネツィク州出身、父はベラルーシ、母はロシア人で当人も14歳以降はモスクワに住みロシアの作曲家とみなされる。クラシックとジャズを融合させた作風で、華麗な技巧を要するピアノ曲を得意とする。



Цукор Біла Смерть / Велика ріка Хєнь-Юань (The Great Hen-Yuan' River) (1990)
スヴィトラーナ・ニアニオ/オクリメンコという名の女性歌手による世にも美しい音楽。当初はカセットのみで流通、近年ソーシャルメディアの普及に伴って好事家の話題となり、ウクライナ戦争の米ドキュメンタリー番組でも使用された。



Julian Kytasty / Black Sea Winds (2001)



Valentyn Silvestrov / Postlude No. 3 (2002, composed 1982)
ヴァレンティン・シルヴェストロフ、1937年キエフ出身、前衛的な作風で名を馳せたが「私の音楽は既存の音楽への反応であり反響なのです」と語るようなノスタルジックな作風に転向、74年にソ連作曲家同盟から除名され、現在はエストニアのペルト、ポーランドのグレツキらと並ぶポピュラーな評価を獲得している。 



Flёur / Формалин (2003)



Drudkh / Glare of Autumn (2004)
「芳醇なアコースティックオープナーFadingから時を超えた広大なウクライナの森へと連れて行かれる。そこでは自然が魅惑的であると同時に容赦ないものでもある。ノスタルジックで悲しい叙事詩が彼らの持ち味(Metal Observer)」。東欧ブラックメタルの有力グループ。ギターのローマン・サエンコが以前属したグループ「ヘイト・フォレスト」が国家社会主義ブラックメタル(NSBM)シーンに関与していたとして、ドルドフもそうなのではないかと非難を浴びた。



Христина Соловій (Khrystyna Soloviy) / Тримай (2015)


Zwyntar / Мексиканець (2018)

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

March 2024

2024-03-31 14:47:55 | Monthly Best Songs


9) Marinita Precaria / Momento decisivo (2024 - Single)



8) Bat for Lashes / Letter to My Daughter (2024 - The Dream of Delphi)



7) John Grant / It's a Bitch (2024 - The Art of the Lie)



6) Iron & Wine / All in Good Time (feat. Fiona Apple) (2024 - Light Verse)



5) Pabllo Vittar / Ai ai ai mega príncipe (2024 - Single)


4) Storefront Church / The High Room (2024 - Single)


3) The Decemberists / Joan in the Garden (2024 - As It Ever Was, So It Will Be Again)



2) Mount Kimbie / Empty and Silent (feat. King Krule) (2024 - The Sunset Violent)



1) Julia Holter / Something in the Room She Moves (2024 - Something in the Room She Moves)

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

help sleep

2024-03-28 16:11:26 | 音楽
Eluviumはアンビエント界の数少ないビッグネームの1つだが、これまでチェックしたことがなかった。そして今チェックしてみて、このバンドがこれほどまでに評価されていることに率直に驚いている。これはアンビエントとしては基本中の基本で、文字通り高校生がサウンドクラウドに投稿する習作レベルのものだ。ほとんどの場合、基本的なオーケストラの楽器がかわいらしいトイ・ピアノの曲を演奏しているだけで、バックのノイズのようなざわめきは次第に大きくなっていく。ときおり間抜けなボーカルの断片や退屈な工業音がループし始める。空間と時間に関わる遊びの要素は最低限で、音のレイヤーに深みはまったくなく、トータル1時間以上の演奏時間があるがバラエティ的には10分くらいの1曲で済ませられる筈だ。Washer Logistics(洗濯機の物流)というトラックを収めるこのアルバムは、ラジオのクラシック音楽をBGMにして真っ白な洗濯機を眺めるのと同じくらい刺激的だ。無難なBGMと言えるかもしれないが、同じジャンルにはもっといい選択肢が何百とあるだろう。

以上はエルビウムの2016年のアルバムFalse Readings Onに対してRate Your Musicに寄せられた酷評。気になるのが「短い時間で済ませられる筈」という、音楽を聞くことのみならず人生すべてにわたる根本的な問題。会社員時代の若いころ、睡眠に充てる7時間ほどをカウントせず若いままで後で自由に使えるよう返してくれないかなどと妄想したことがある。



松本人志は私より2歳上かな。彼が40歳くらいのころ、もう人生を半分生きたという前提で「これからの半分は薄いですよォ~」と語ったのが印象的だった。年寄りの時間は薄いと決めつけ、カリスマとしていつまでも濃い時間を生きなければという強迫的な考えも、筋トレと悪い遊び、彼を失墜させて惨めな余生を送る結果に導いたのではないだろうか。あるいは老害がのさばって若者を搾取しているというような、世代や男女の対立、偏見や差別を煽る発言がメディアでことさら取り上げられる傾向。

そう考えると、先ほどの「トイピアノの曲を演奏するだけで、バックのノイズのようなざわめきは次第に大きくなっていく。ときおり間抜けなボーカルの断片や退屈な工業音がループし始める」が賛辞に変わる。生き急ぐ現代人の睡眠を助ける。



Loscil / Endless Falls (2010 - Endless Falls)
アンビエント/ドローンのビッグネームながら最近まで知らなかったロスキル。雨の音で始まるのが良い。



John Abercrombie / Night (1984 - Night)



Brian Eno / Dunwich Beach, Autumn, 1960 (1982 - Ambient 4: On Land)



Robin Guthrie & Harold Budd / A Minute, a Day, No More (2007 - Before the Day Breaks)



Marconi Union / Weightless Part 1 (2012 - Weightless: Ambient Transmissions Vol. 2)
英マンチェスターのアンビエント/ミニマルテクノ系グループ。前段で述べたことと矛盾するが8分ほどのこの曲を半分に縮めたバージョンがある。



Steve Roach / Quiet Friend (1984 - Structures From Silence)



Harold Budd & Brian Eno / The Plateaux of Mirror (1980 - Ambient 2: The Plateaux of Mirror)



Darshan Ambient / The Dreamer Slept but Did Not Dream (2010 - A Day Within Days)



Robin Guthrie & Harold Budd / Seven Thousand Sunny Years (2007 - After the Night Falls)



Harold Budd / Bismillahi 'Rrahman 'Rrahim (1978 - The Pavilion of Dreams)
「私は高校一年生で、家庭の問題が原因でうつ病がひどくなり、学校でも社会的にもうまくいきませんでした。(中略)これを聞くと、かなりの時間を費やしたことがわかります。 きらめくグロックから、はためくピアノの鍵盤、静かで優しいハープ、そして美しい合唱団までここではすべてが独自の調和のとれた方法で機能します。(中略)このアルバムはうつ病だった時期の私の避難所でしたが、音楽的に自分の快適ゾーンから抜け出すよう導いてくれたアルバムでもありました。 素晴らしい仕事、そしてハロルド、安らかに眠ってください。 ありがとう」。RYMレビュー

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2001 ─ 50 Best Songs

2024-03-19 13:15:28 | Year End Charts
50) 倉木麻衣 / Stand Up
49) Starsailor / Alcoholic
48) くるり / ばらの花
47) LOVE PSYCHEDELICO / Last Smile (2000)
46) Lamb / Gabriel



45) Ladytron / Playgirl
44) Daft Punk / Harder, Better, Faster, Stronger
43) Tehosekoitin / Maailma on sun (2000)
42) Old 97's / Question



41) Aerosmith / Jaded
40) Babasónicos / Fizz
39) The Hives / Hate to Say I Told You so (2000)
38) Saiko / Limito con el sol
37) The Avalanches / Since I Left You
36) Texas / Inner Smile
35) Los Piratas / Años 80
34) Manu Chao / Me gustas tu
33) Super Furry Animals / Juxtapozed with U
32) New Order / Crystal
31) Janet Jackson / All for You
30) Pulp / The Trees
29) Gabriel o Pensador / Até quando?
28) Röyksopp / Eple
27) R.E.M. / Imitation of Life
26) Sparklehorse / Piano Fire
25) Alicia Keys / Fallin' (2000)
24) The (International) Noise Conspiracy / Capitalism Stole My Virginity
23) The Microphones / The Moon


22) La Habitación Roja / El hombre del espacio interior
21) Nick Cave and the Bad Seeds / As I Sat Sadly by Her Side
20) Frejat / Segredos
19) The Shins / Sphagnum Esplanade
18) CAKE / Short Skirt/Long Jacket
17) Pato Fu / Eu
16) Destiny's Child / Survivor
15) Radiohead / Pyramid Song
14) The Strokes / The Modern Age
13) Weezer / Island in the Sun
12) Babasónicos / El loco
11) System of a Down / Chop Suey!
10) Björk / Pagan Poetry 
9) Mariza / Oiça lá ó Senhor Vinho
8) The Strokes / Last Nite
7) Daft Punk / Digital Love 
6) Destiny's Child / Bootylicious 
5) OutKast / Ms. Jackson (2000)



4) Radiohead / Knives Out 
3) Missy Elliott / Get Ur Freak On
2) Eminem / Stan (feat. Dido) (2000)
1) The Shins / New Slang

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Music Magazine Hitori 2

2024-03-15 18:43:51 | 音楽
Микаэл Таривердиев (Mikael Tariverdiev) / Снег над ленинградом (1975) Georgia
Diabo na Cruz / Os loucos estão certos (2009) Portugal
µ-Ziq & Mrs Jynx / The Secret Garden (2021) UK
Sabú / Pequeña y fragil (1976) Argentina
Paulo de Carvalho / E depois do adeus (1974) Portugal
Byron Lee & Mighty Sparrow / Only a Fool (1969) Trinidad and Tobago/Jamaica
Alkan: Recueil de chants, Op. 65 - 6. Barcarolle (1864) France
Instrumenti / Visā visumā Visums ir viss (2019) Latvia
Holmès: Andromède (1883) France
DGM / The Secret Pt. 1 (2016) Italy
Zotobré / Lagen (1975) Haiti
Scharwenka: Piano Concerto #2 in C minor, Op. 56 - 2. Adagio (1881) Poland


この記事は以前やっていたレアグルーヴ@ユーチューブと似た趣旨で、世界の音楽(米英以外を優先)をSpotifyの自主プレイリストにより紹介します。毎回10曲前後ずつ増補し、その度に通し番号と日付を更新する形です。日本のSpotifyで聞くことができない曲については新規分のみ最下段にYouTubeを貼ります。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

miniatures

2024-03-10 18:54:25 | 音楽
大きな影響力を誇った歌番組ザ・ベストテンが終了するとき、一貫して司会を務めた黒柳徹子は「長い曲が増えて1時間に収めることが難しくなった」ことを終る理由として挙げた。視聴率やスポンサーの意向など大人の事情に触れられない、いかにも苦しい言い訳と思うが、80年代後半から90年代にかけ日本の商業的に主流の楽曲は5~6分と長いものが多くなっていたのも事実。

逆に現在各国で主流になってきているストリーミング・サービスによる再生では、30秒以上で1再生とカウントされ、未満はスキップとみなされてその比率も記録されるため、再生数イコール報酬であるインセンティブがはたらいて最初の30秒にフックを多くして全体でも3分台前半に収まる曲が大勢になってきている。日本では依然としてCDをはじめフィジカル再生が過半であるため、以前の「分断と囲い込み」記事で触れたような、あいみょん・髭男といった一部の売れ筋アーティストに人気が集中して多様性や新陳代謝が不活発になる現象は、それらがいち早くストリーミングに合せた曲作りを行った結果、それらを好む日本の若者層が各国に比べ怠惰・受動的・思考停止のように見えてしまうが、実際はどの世代においても日本人はその傾向が強いのだろうと想像できる。


自分をかえりみて、こうすればああすればと考えるような者はストレスから逃れることはできない。常に保険を探し、心安らぐことはない。行列に並べば必ずご馳走にありつけると信じて疑わず、1時間でも2時間でも並んでいられるような者が多いから日本人、特に女は人口の多い種族としては世界一長命になったのだろう。

青木病院に入院していたころ(1999~2001年)、私と世代の近い入院患者にはクラシック音楽の愛好者が多かったことを思い出す。やたら長い曲もあれば、1~2分の短い曲もあり、歌詞のないインスト曲が大半で、作曲者は遠い過去に死去しているクラシック。主流のポピュラー音楽が突き付けてくる「みな同じように感じ、考えてください、そうすればわたしは都合いいです」というエゴから自由でいられる。

タラちゃんは永久にでちゅーとか言ってるのか。みんな一緒がいいね!と思考停止を求めてくる番組が日曜は多いのかな。武家政権の支配を補完する、日本の〝世間〟によるヨコの監視は、欧米列強に先んじる監視資本主義として繁栄と長寿を保障してきたが、スマホとSNSによってグローバルな監視と利潤追求が制度化した今日、日本人の均質性と〝保険のなさ〟は文明の終着駅とでも言いたくなるディストピアの様相。今さら洗脳を解くのはかえってかわいそう。70の老人から生きるよすがを奪うべきでない(山上母)。3分台前半の、アーティストのキャラによってしか認知できない同じような曲は世界の日本化を示しているのではないか。



J.S. Bach: Orchestral Suite #2 in B minor, BWV 1067 - 7. Badinerie (Arr. for Four Hands) (1739) 1:19



Cimarosa: Sonata #42 in D minor (Late 18c) 2:24



Beethoven: Piano Sonata #30 in E, Op. 109 - 2. Prestissimo (1820) 2:16



Schumann: Carnaval, Op. 9 - 12. Chopin (1835) 1:27



Chopin: Waltz #6 in D-flat, Op. 64/1, "Minute" (1847) 1:55
人生どん底の20~25年前はショパンのピアノ曲をこのアシュケナージのCDで聞いていた。今はクラシックも商品として洗練されてきているけれども逆にこういう昔のジャケの感じにほっこりします。



Saint-Saëns: Le carnaval des animaux, R. 125 - 7. Aquarium (1886) 2:31



Scriabin: Prélude in E-flat minor, Op.16/4 (1895) 1:14



MacDowell: Woodland Sketches, Op. 51 - 1. To a Wild Rose (1896) 1:31



Khachaturian: Gayaneh - Sabre Dance (1942) 2:33



Herbie Hancock / Main Title (Blow-Up) (1967) 1:33



The Beatles / I Will (1968) 1:46



Soft Machine / Priscilla (1969) 1:03


水原弘 / 忍のテーマ (1969) 1:56



Tyrannosaurus Rex / The Misty Coast of Albany (1969) 1:40



Jethro Tull / Cheap Day Return (1971) 1:19



Billy Cobham / The Moon Ain't Made of Green Cheese (1974) 0:58



Todd Rundgren / Izzat Love? (1974) 1:55



Brian Eno / In Dark Trees (1975) 2:29



Van Halen / Eruption (1978) 1:43



Pixies / The Thing (1990) 1:58



Glass: Orphée - Act 1: 3. La chambre d'Orphée (Arr. for Piano duet) (1991, 2024) 1:59



µ-Ziq / 27 (1994) 1:18



Boards of Canada / Rodox Video (demo) (1996) 1:09



Björk / Frosti (2001) 1:42


Burial / Night Bus (2006) 2:13
このHYPERDUB 10.3というコンピレーション(2014年)には同レーベルの短い電子音楽がたくさん収められているがやはりベリアルの2曲が多く聞かれているようだ。



Anat Fort Trio / If (2010) 1:18



The Beach Boys / Our Prayer (2011) 1:04



Hilary Hahn & Hauschka / Stillness (2012) 1:43


A Winged Victory for the Sullen / The Haunted Victorian Pencil (2019) 1:29


Slow Attack Ensemble / Ninety Seconds for Celeste (2020) 1:31

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ポーランドの50曲

2024-03-04 12:13:42 | 世界の音楽
受け売りや知ったかぶりでも何度もやり直して改善するのが当ブログのモットー。2017年にRate Your Musicを利用し始め、RYMのポーランド人ユーザーは自国の音楽紹介に熱心で、それまで知らなかったチェスワフ・ネーメンやズビグニエフ・プライスネルなどの名曲を教わり、国別音楽紹介のやり方が定まっていなかった2019年頃に20曲ほどでポーランドを記事化。当時の印象から今なら50曲は軽いだろうと思ったのだが…

RYMユーザーから教わった同国の主要なアーティストは米英のオルタナティブ/インディーロックを小粒にした感じが多く、かつ80年代から時代が下るにつれその傾向が強まる。英語圏で成功したキャラクター商品であれば、人口3700万の独自言語圏で同じことをやればポジション確保して食っていける。そういう閉鎖的で利己的な匂いがする(これをもっと強めればゲロ以下のJ-popになる)。既にiTunesから削除してしまった曲、一度も加えたことがなくこれからも聞かないであろう曲をポーランドではビッグネームだからということでかき集めてどうにか50。モットーが空しい。

1) Chopin: Etude #3 in E, Op. 10/3, "Tristesse" (1832)
2) Chopin: Impromptu #4 in C-sharp minor, Op. 66, "Fantaisie-Impromptu" (1835)
3) Wieniawski: Scherzo-tarantelle, Op. 16 (1855)
4) Paderewski: Miscellanea, Op. 16 - 4. Nocturne (1894)
5) Karłowicz: Symphony in E minor, Op. 7, "Odrodzenie" (Rebirth) - 4. Allegro maestoso - Allegro ben moderato - Meno mosso - Allegro ben moderato - Allegro vivo (1902)
6) Szymanowski: Variations on a Polish Folk Theme, Op. 10 - Var. 5. Andantino (1904)
7) Lutosławski: Concerto for Orchestra – 1. Intrada (1954)



8) Penderecki: Threnody for the Victims of Hiroshima (1961)



9) Krzysztof Komeda / Cul-de-sac (1966)
本名クシシュトフ・トルチンスキ、医師とジャズ音楽両方を志したので大学卒業後に芸名としてコメダを名乗る。コメダ・クインテット名義による65年のアルバムAstigmaticは欧州ジャズの最も重要な作品の一つとされる。『ローズマリーの赤ちゃん』などポランスキー作品の映画音楽でも知られる。68年米国でのパーティーの最中に無頼派作家マレク・フラスコに崖から突き落とされ、昏睡状態のまま翌年死去。37歳。



11) Ewa Demarczyk / Karuzela z madonnami (1967)
12) Skaldowie / Wszystko mi mówi, że mnie ktoś pokochał (1968)
13) Czesław Niemen / Bema pamięci żałobny – rapsod (1970)
14) Breakout / Kiedy byłem marym chłopcem (1971)
15) Marek Grechuta & Anawa / Dni, których nie znamy (1971)
16) Tadeusz Woźniak Zegarmistrz światła (1972)
17) Mira Kubasińska & Breakout / Wielki ogień (1973)



18) Tomasz Stańko Quintet / Boratka & Flute's Ballad (1973)
ヨーロッパのジャズってあまり必要ないなと思い↑のコメダも映画音楽から選んでいるが、これは白人ジャズらしくない、マイルスOn the CornerやHハンコック70年代の系統の長尺曲として退屈させない優れもの。

19) Górecki: Symphony #3, Op. 36, "Symphony of Sorrowful Songs" - 2. Lento e largo – Tranquillissimo (1976)
20) Maanam / Szare miraże (1980)
21) Perfect / Nie płacz Ewka (1981)
22) Brygada Kryzys Centrala (1982)
23) Lady Pank / Wciąż bardziej obcy (1983)
24) Republika / Nowe sytuacje (1983)
25) Klaus Mitffoch / Jezu jak się cieszę (1984)
26) Anna Jurksztowicz / Stan pogody (1986)



27) Siekiera / Nowa Aleksandria (1986)
ポーランド語で斧を意味するシエキエラは80年代半ばの短期間しか活動しなかったがキリング・ジョークの影響を受けた攻撃的なサウンドにより同国のポストパンクを代表する評価を受けている。

28) Dezerter / Spytaj milicjanta (1987)
29) Kult / Arahja (1988)
30) Bielizna / Stefan (1989)
31) Jacek Kaczmarski / Sen Katarzyny II (1989)
32) Kobranocka / Kocham cię jak Irlandię (1990)



33) Zbigniew Preisner / Les marionnettes (1991)
正式な音楽教育を受けずにクラシック系の、多くは映画音楽を手がける異才ズビグニエフ・プライスネル。セザール賞作曲賞を2度受賞。デビッド・ギルモアのソロ・アルバムでオーケストレーションを担当。

34) Renata Przemyk / Babę zesłał Bóg (1991)
35) Księżyc / Verlaine, Pt. 1 (1996)
36) Pidżama Porno / Ezoteryczny Poznań (1997)
37) Myslovitz / Długość dźwieku samotności (1999)
38) The Cracow Klezmer Band / Aide Jano (2000)
39) Paktofonika / Jestem bogiem (2000)
40) Lenny Valentino / Trujące kwiaty (2001)
41) Warsaw Village Band (Kapela ze Wsi Warszawa) / U mojej matecki (2001)
42) Skalpel / Sculpture (2004)
43) Świetliki i Linda / Filandia (2005)
44) Lunatic Soul / Adrift (2008)
45) Stachursky / Dosko (2009)
46) Łona i Webber / To nic nie znaczy (2011)
47) Riverside / The Depth of Self-Delusion (2013)
48) Sławomir / Miłość w Zakopanem (2017)
49) Dawid Podsiadło / Let You Down (2022)


50) czubibubi / Anime Dziefczynka (2022)
落ちぶれ帝国臣民のネトウヨ化、指針になるのは日本のアニメ、という構図が米国や東欧はじめ一部の国々にみられるようなのだが、それらしき音楽の歌詞や背景を網羅的に調べたわけでなく、私の偏見による妄想かも分らない。


コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

February 2024

2024-02-29 11:29:01 | Monthly Best Songs


10) Sunday (1994) / Tired Boy (2024 - Single)



9) Mk.gee / Alesis (2024 - Two Star & the Dream Police)



8) BICEP / CHROMA 001 HELIUM (2024 - Single)



7) Jane Penny / Wear You Out (2024 - Surfacing)



6) The Last Dinner Party / Portrait of a Dead Girl (2024 - Prelude to Ecstasy)


5) Ibibio Sound Machine / Got to Be Who You Are (2024 - Pull the Rope)



4) Camera Obscura / Big Love (2024 - Look to the East, Look to the West)



3) Shlomo Artzi, Peer Tasi / נהר הדמעות (2024 - Single)



2) Bat for Lashes / The Dream of Delphi (2024 - The Dream of Delphi)



1) Beth Gibbons / Floating on a Moment (2024 - Lives Outgrown)

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ポルトガルの50曲

2024-02-23 16:30:07 | 世界の音楽
【ファドはポルトガルに打ち寄せる海の波の音】
ファドはポルトガルを代表する音楽として知られる。だが民謡と言ってよいかどうかは疑問がある。しかし現代の都市大衆歌謡と定義づけるにはいささか歴史が古すぎ、起源が定かでない。
ポルトガルの首都のリスボンに、アルファーマという地区がある。この貧しい一画がファドの故郷だと思い込んでいるポルトガル人は多いようだ。それにしてもファドはリスボンの内側から生まれて来たというよりも、15世紀このかた海外に広く船で出て行ったポルトガル人の流浪の暮らしを映し出す歌だと、誰しも認める。中には、遠い島に送られた囚人の望郷の念がファドに歌われたという人もいるが、囚人の歌が一般の人に共感され広まるものだろうか。
ファドを作ったのはポルトガルではなくブラジルだというのが、ブラジルの学者たちの間では定説だ。ポルトガル人はそれを認めたがらないが、大いにあり得ると思う。アレン・ダニエルーは、マレイ系文化の影響は無視できない、とし、ジャワやカンボディアやビルマの古典芸術がポルトガル音楽の影響のもとにファドと非常に近い音楽(クロンチョンなどを指す?)を生み出していると指摘する。ケルト人の影響を指摘する説さえある。
いずれにせよ、ファドはポルトガル人が海外進出の結果として異文化との出会いの中で生み出した混血音楽、と見てよかろう。
フアドはリスボンだけのものではない。この国の北のほうにあるコインブラという町は、1290年に創立されたヨーロッパ最古の大学を持つ歴史的な文化都市だが、この町の学生たちは、黒いマントを羽織り、ギターなどを弾きながら合唱して、石畳の道を練り歩く風習があった。その歌は恋人に捧げるセレナーデだ。それがコインブラのファド。従ってリスボンのファドが人生の苦しみを訴える調子をもつものが多いのに対しコインブラのファドは明るいラヴ・ソングで、テノールの男性が歌う。 ─(ミュージック・マガジン1994増刊『ミュージック・ガイドブック』より中村とうようの記述)



1) Amália Rodrigues / Uma casa portuguesa (1953)
2) António dos Santos / Partir é morrer um pouco (1961)
3) Alfredo Marceneiro / O Amor é água que corre (1961)
4) Adriano Correia de Oliveira / Trova do vento que passa (1963)
5) Amália Rodrigues / Estranha forma de vida (1964)
6) João Ferreira-Rosa / Embuçado (1965)
7) Maria Teresa de Noronha / Fado das horas (1966)
8) Carlos Paredes / Canção verdes anos (1967)
9) Quarteto 1111 / Todo o mundo e ninguém (1970)



10) Amália Rodrigues / Gaivota (1970)
不世出のファディスタ、アマーリアが49歳のときにリリースした名盤Com que voz。12の歌によりポルトガルの風景と人びとに命を吹き込み、ファドを刷新。



11) José Afonso / Grândola, vila morena (1971)
1933~74年と長期にわたったエスタード・ノヴォと呼ばれる独裁政権時代、音楽は比喩や象徴を通して自由・平等・民主主義について主張する手段として左翼レジスタンスによって広く利用された。 多くの作曲家や歌手が有名になり、政治警察によって迫害され、ホゼ・アフォンゾ、パウロ・デ・カルヴァーリョ、セルジオ・ゴディーニョ、ジョゼ・マリオ・ブランコ、マヌエル・フレイレ、ファウスト(グループ)など中には逮捕や追放された者もいる。 彼らの音楽はポルトガルの民俗要素と欧大陸におけるシンガーソングライターの伝統に基づき、「政治に介入・抗議する」意味からムジカ・ジ・インテルベンサオと総称されるように。

判事の父と小学校教師の母を持ち、アンゴラやマカオなど旧植民地滞在も経たホゼ・アフォンゾはポルトガルのルーツ・リバイバルを主導した、ムジカ・ジ・インテルベンサオの代表格。左翼的な活動のため教職の解雇や逮捕・懲役を経験。このGrândola, vila morenaは1974年のカーネーション革命においてクーデター勢力と国民を鼓舞するテーマとなる。82年に筋萎縮性側索硬化症を発症し、87年に57歳で死去。

12) José Mário Branco / Mudam-se os tempos, mudam-se as vontades (1971)
13) Sérgio Godinho / A noite passada (1972)
14) Paulo de Carvalho / E depois do adeus (1974)



15) Banda do Casaco / Morgadinha dos canibais (1976)
バンダ・ド・カサコは1974~84年に活動したフォーク・グループ。ポルトガルの民俗要素とプログレッシブ・ロックを融合し、社会批判を含む風刺的な歌詞と合せ現代の都市化とポルトガルの農村の歴史を交錯させるというユニークなアプローチ。

16) Carlos do Carmo / Lisboa, menina e moça (1976)
17) Fausto / Como um sonho acordado (1982)
18) António Variações / Canção de engate (1984)
19) GNR / Dunas (1985)



20) Rui Veloso / Porto Côvo (1986)
同国のロックの父と称されるルイ・ヴェローゾ。「政治的な要素がなくなり社会的な側面がポルトガルのポップスに入ってきた。ルイ・ヴェローゾで私たちは聴くのをやめポルトガルで作られた音楽を感じて踊り始めた」と評される。96年にホルヘ・パルマらとスーパーグループ「リオ・グランデ」に参加 (31)。

21) Mler Ife Dada / Zuvi Zeva Novi (1987)
22) Rádio Macau / O anzol (1987)
23) Sétima Legião / Por quem não esqueci (1989)



24) Madredeus / O pastor (1990)
25) Jorge Palma / Frágil (1991)
26) Resistência / Nasce selvagem (1991)
27) Mão Morta / Budapeste (1992)
28) Dulce Pontes / Canção do mar (1993)
29) Pedro Abrunhosa & Os Bandemónio / Tudo o que eu te dou (1994)
30) Quinta do Bill / A única das amantes (1996)
31) Rio Grande / Postal dos correios (1996)
32) Clã / Problema de expressão (1997)
33) Ornatos Violeta / Ouvi dizer (1999)
34) Mariza / Oiça lá ó Senhor Vinho (2001)



35) Sérgio Godinho / Lisboa que amanhece (with Caetano Veloso) (2003)
86年の曲をカエターノ・ヴェローゾとのデュエットにより再演。反ファシストの家庭に生まれたセルジオ・ゴディーニョは青年時代、独裁と兵役を避けるためジュネーブ・パリ・アムステルダム・バンクーバーなど世界各地で音楽・演劇・心理学などを学び創作を志す。革命成就後に帰国、ムジカ・ジ・インテルベンサオの系統で最も長期にわたって人気と名声を持続。

36) Humanos / Quero é viver (2004)



37) The Gift / Fácil de entender (2006)
38) B Fachada / Tempo para Cantar (2009)
39) Diabo na Cruz / Os loucos estão certos (2009)
40) Deolinda / Um contra o outro (2010)
41) Dead Combo / Esse olhar que era só teu (2011)
42) Carminho / Lágrimas do céu (2012)
43) Ana Moura / Desfado (2012)
44) António Zambujo / Pica do 7 (2015)
45) Capitão Fausto / Amanhã tou melhor (2016)



46) Bruno Pernadas / Anywhere in Spacetime (2016)
トータスやフアナ・モリーナといった一時「音響派」と呼ばれた系統の音作り、かつ日本の青葉市子のようにRate Your Musicで持ち上げられるタイプの作風。実力あると思うが1曲選ぶとなると決め手に欠ける。

47) Samuel Úria / É preciso que eu diminua (2016) 
48) Gaiteiros de Lisboa / Roncos do diabo (2017)
49) Salvador Sobral / Amar pelos dois (2017)
ユーロヴィジョン・ソング・コンテスト2017にポルトガル代表として参加、同国に初めての優勝をもたらす。甘口のポップスでポルトガル色は希薄。



50) Toy / Coração não tem idade (Vou beijar) (2017)
ピンバ(Pimba)と呼ばれるポルカやクンビアと似たアップテンポで、歌詞に性的な比喩の多い、90年代に人気沸騰した労働者階級向けジャンルにおける近年の代表的ヒット曲。


※番外(外すに忍びない曲とクラシック)
Bomtempo: Requiem à la mémoire de L. de Camoes, Op. 23 – Sanctus (1820)
António Calvário / Mocidade mocidade (1977)
Manuela Moura Guedes / Foram cardos, foram prosas (1981)
Lena d'Água / Demagogia (1982)
Rão Kyao / Fado bailado (1983)
Nuno Canavarro / Untitled (track 9) (1988)
Três Tristes Tigres / O mundo a meus pés (1993)
Expensive Soul / O amor é mágico (2010)
Ricardo Ribeiro / Fadinho Alentejano (2016)
Bernardo Sassetti / Simplemente Maria (2019)
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

AVALON14号

2024-02-21 14:44:29 | 書肆(しょし)マガジンひとり
10氏参加の合同誌です。ふとしSLIMさんが11号以来の復帰。

■Tarosuke/表紙+イラスト6P
■ベルリアック「ゼペットシンドローム」漫画10P
■ふとしSLIM「私たちの逸脱」漫画9P
■大仏「望月ファンクラブ⑦」漫画20P
■同人作家が選ぶ名曲名盤⑬/楼ファイ/選曲12P
■afunai「こどものたべもの⑤」漫画4P
■KIYO「妄想エロ空間⑦」イラスト4P
■カクガリ兄弟「グッバイボルケーノハイってどんなゲーム?」レビュー2P
■清水清/自選イラスト6P
■シリーズ路地裏⑬/はぶもと/イラスト1P



紙本発行2024年2月(COMITIA147)。A5判76ページ。電子書籍版は74ページPDF、ピクシブBOOTHにて紙本ご購入の方は電子版もご覧いただけます。2月25日(日)に行われるコミティアの配置は【う25a】となっています。よろしくお願いします。

📚BOOTH https://magazine-hitori.booth.pm/items/5515744
🍈メロンブックス https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=2320600
🐯とらのあな https://ec.toranoana.jp/tora_r/ec/item/040031136434/
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする