不良家

駄文好む 無教養 くすぶり 時々漂流

 聖!トランプ大統領

2016-03-06 00:03:14 | 意味不明
 よっ、大統領!この場合、正しい発音はでーとーりょーとなります。なまっちゃいます。
天地全能の神・聖トランプ大統領・・きっときっと世界を制圧する偉大な神になるでしょう。
とりわけその高邁な品性、知性は人類に0%の幸せをもたらすことでしょう。
民主主義て代物は「どれどれ、怒んないからいってみそ」少数意見に太っ腹であるのです。
・・・全世界から新大統領に祝福の声が、放射能のように飛び交っています。その一部分を。

◎あ~ん。ユーは不動産王なら、おいらは不動明王だよーん。顔がめっちゃ怖いのだよ~ん。
そういえばユーの面構えもおいらによーく似ててお~テリブル。笑った顔だって怖いよ~。なまはげだってトンズラこく。そう、顔負けさ。
おいらは強面だけどさ、煩悩あっち行けがモットーで慈悲深いのだよ。
よー、不動産なる地面ドロボー。おめえさんは物欲権力欲ムキ出しの顔相。そのツラ、テレビ画面にさらすな。
めしがまづくなる。

◎わたくし世界に冠たる日本女性、なでしこでございます。リオ五輪の予選ではお恥ずかしい限りですわ。
アナがありましたら入りたい心境なのですが、自前のそれには,という事情をお察しくださりませ。ところで、こほ。
あなた様がトランプなら、わたくしはカルタ・クイーンなのよ、うふ。女王様とお呼び。
カルタは文学と優雅なお遊戯のコラボ。それに比べてトランプはなんざんす。
ガキにもわかるシンプルな絵札ではございませんか。オイチョカブという下品なバクチのそれでもあるし。
ふん、でございます。それではごきげんよう。

◎よー、トランプとやら。トランペットが屁ぇかましたか。
んで、ユーはネカチモと吹聴してるらしいな。ネカチモてナンだって?カネモチが逆立ちしたんだ。ま、おれらジャズ仲間の陰毛、いや隠語だ。
富豪?それがどうした。ラッパとホラは吹き出物てんだ。ロクなもんじゃねー。
あんなあ、よーく聞け。おいらの資産が1000兆円超!そんくらいのベレルの富豪なんだ。参ったか。下がりおろ。頭が高い・・・カツラ脱げ。
ん?!個人のそれではなく、日本というチンケな国の借金だろうて?
ま、そんなとこだ。でもさ。「借金は財産のうち」ていうだろ。むにゃらんほにゃらん。

◎トランプ親分さんへ、新大統領さんへ
ご免なすってくださいまし。手前ぇ、生国は仁義の国とでもしておきやしょう。
姓名の儀、声高に発しまするは失礼さんにござんすが、デューク・東郷と申しやす。巷間ではゴルゴ13と呼ばれるケチな半端者でござんす。
行く末、お見知りおかれましてお取り立ての程お願い申し上げます。

殺しのオファー、ありがたく拝受いたしやす。あっしはヒットマンとして、ヒットを量産するイチローよりも確実にいい仕事をしやす。
超一流のアーム・・・腕ってこってすが、腕前は多数のマンガファンが認めることでやしょう。

トランプ親分さんは、ご自分の意にそぐわねー連中をみんな排除するってー立派な性分をお持ちのようです。あっしらはポリシーやら、イデオロギーはもとより関係ありゃしません。
なによりもギャラ次第でやんす。親分同様カネいのちでやんす。
あっしらの雇用、あるいは生活向上のためにゼニを積んでいただけるんならやりやしょう。ええ、やりますとも。
手始めに・・・マダム・クリキントンですか。よござんす。

おや、その程度ではない?ん?単位がビッグでござんすなあ。
メキシコの皆さんにイスラム教の方々、ひいては白人以外の有色人種をまとめてとおっしゃる。
東洋人もご同様?こりゃまたタフなこって。いやはや。
親分さんはヒットラー親分の末裔として後世に名を遺すことでしょう。

ところでトランプ親分さん。
おいしい話を小耳しやした。親分が大統領になったひにゃぁ、配下の武闘組の合衆国の軍部やCIAが「盃を突っ返す」とうたってやす。ばーろい、そったら命令を蹴っ飛ばす、と。
ありがたい状況でやんす。ノンストップの仕事がいっぱい、太陽がいっぱい。涙あ、ちょちょぎれます。
あっしは無慈悲なスナイパーとして誇り高く、地球殺戮の大義に引き金を引いて引きまくりやしょう。

長饒舌しやした。ここらへんで失礼しやす。以後見苦しき面体お見知り置かれまして、よろしくおたの申しやす。お控えなすって。

◎あー、わたしのことを「ニッポンのトランプ」とお褒めくださる方が1億人もいらっしゃる笑。
身に余る光栄でありまして、この際は「アメリカに渡米」して応援しようかと笑。
インデァン集落を殺戮する騎兵隊の進軍ラッパみたいなもんですよ、わたしは笑。
みなさん、政治家に必要なものはなんですか。それはですね。大きな体に小さな脳みそ笑。
そして真っ黒けな腹であります。そうではありませんか。きっぱり。

そしてですね。軽くて薄いペラペラおしゃべり。厚顔無恥の精神。ほかにもあります。ありますとも。
無責任であること、嘘八百を並べて有権者をだますくらかすこと。政治家たるものの常識なんです、これは。

みなさんは学校で立法府と習ったかと思います。
けれどもですよ。
実際のところ、ご承知のように法律なんてもんは政治家にかかればどうでもいいんです。自分たちにとって都合のいい、カネになる仕組みをつくればそれでいいんです。脱法府といわれようが、それでいいんです。
みなさんが手放しに「ワル最高で~す。法律どころか憲法だって着替えのように代えましょう」とわたしらに嬉々として投票してくれたわけですから、これは絶対正義になるんです。

子どもがお菓子を奪い合うケンカをして、勝ったほうがザマーミロとばかりおいしくいただく。負け組はすきっ腹をかかえる。すべて勝ったもんが決める。トランプのジョーカーですよ。すばらしい民主主義だと思いませんかあ!

ワルの権化になりきる、これ以外に何が必要ですかみなさん!怒涛万雷の拍手。
   司会=ただいまの格調高い演説にはただただ感涙するばかりです。どうかもう一度盛大な拍手を。自民党の森喜朗大先生でしたあ。

  雀士たちは降りた

2016-03-03 15:42:47 | 意味不明
無名のB級ギャンブラーはとっくに引退している。「惜しまれつつ退場」・・誰ひとり惜しんでくれるもんですか。
たまにはC級ギャンブラーをやる。種目はせこいレートの麻雀。
先日、ロクサンとこに顔を出したら、雀荘のみなさんが喪服で打っている。

「どーした?」
「これからお通夜なんだ。七兵衛の」知らない名前だ。
聞くと、おとついのことだそうだ。麻雀を打っていて、トイレに向かう途中でよろよろ。救急車で運ばれたが、そのクルマは西方浄土行きだった。

「麻雀死かあ。うらめやましい。極楽死てーもんだ」
「みんなしてそう思ってる。でさ、奥さんも」
「ほ」
「前から心臓がトラブってて、区切りがいいわ、なんてね。ポンチーを楽しみながらだもんね」
喪服を着るとまるで七五三の貸衣装のロクサン。「よく来てくれた」とニヤリ。
「おれの香典を出してくれようてんだな」ばかやろ。懲らしめてやった。
街のギャンブラーたちは結構ハードボイルドだ。あっぱれ嫁も含めて。

何人かの雀友たちの最期を知っている。
カメラマンのアニサンは山形の醸造元のせがれだが、アルコール類は一滴もやれないクチだった。
必然として麻雀命。連夜、というよりノンストップで打っていた。雀荘に歯ブラシ、ひげそりを常備して朝まで打つ。
それから自分のクルマのなかで数時間の仮眠、出社、激務。

そんなある朝の駐車場。彼の肉体は冷たくなっていた。クルマのヒーターがほどよく稼動していたので、体温はそこそこ保全されていた。
「アニサンとしては上出来じゃねーか。ハッピーエンドだよ」
だよね?とおれは当日の対戦相手たちに同意を求めた。
彼らは一様に黙った。顔が複雑骨折していた。聖路加病院のろくでもない勤務医どもだった。

ギータンは若いころからグレグレの純正不良だった。自分を正体不明にする暴挙をやってのけている。住民登録していなかった。
体調もかなり不良なのに健康保険証がないのでいつだって根性我慢。
「世田谷の住人なのに区民じゃねーんだ。おれ、幽霊よ。それがどうしたって?いいからいいから、おれに勝たせろての。ボランティア精神てもん、あんだろ」

「おれよう医者にいわれたよ。あんたの余命はあと100年だとさ」
そりゃー大変だ。悶絶国民栄誉賞もんだ。ところで・・・医者ってあいつのことか。
近所ではヤブで大評判の、客が寄りつかなくて麻雀三昧の歯医者。よくいうよ。

「最近さ、ババアどもが3原則の健康麻雀なんてやってんだろ。ボケ防止なんていっちゃってさ」
   ※3原則={タバコを}吸わない・{アルコールを}飲まない・{カネを}賭けない
「こんなかったるい麻雀を打つくらいなら、死んじまったほうがましだよなあ」べらんめーのギータン、それから数か月後の余命だった。
お見送り一切は地元小学校の同級生がやったそうだ。

おおっと、もひとり。
深夜の雀荘で3連勝を果たして満面スマイルだったタクちゃん。未明になってその足で梅公園に出かけて裏林で自死。
麻雀死と呼べるのかどうかは判定しにくい。その日は栄光の勝者だったのだ。
糖尿病の悪化が主たる引き金になったようだが、書置きには金銭面のもつれにもふれていた。<あいつとあいつは葬式に呼ぶな>。

最終章は大好きだったゲームで締めくくる。覚悟をきめたリーチであった。
しかも快勝だ。見事なオーラスを飾ったものだ。こう評価する声があちこちから聞こえた。

偶然というべきだろう。同日同時刻ごろに、距離にして2キロほどの山公園でも自死があった。近所で同時発生となった。こんなわけで、関係する皆さんは相当混乱したそうだ。
「どっちが、どっちの公園なんだ」双方の家族が入り混じったと聞いた。

麻雀用語に「降りる」がある。負けと判断したら一時退却して、次のステージに向けてエネルギーを貯めておく。
大局観、戦術としての大事な鉄則であって、けっして降参の降ではない。ネバー・ギブアップなのだ。
寅さんのセリフをなぞれば、「あっさりと降りたら、そりゃーおしめーよ」。

降りてしまった愛すべき旧敵たちよ。たかが麻雀、されど麻雀の仲間たちよ。
そっちの卓でまた闘おう、ちんけなゲーム種目で小バクチを。3原則をののしりながら。

   かもめは飛びながら歌をおぼえ 人生は遊びながら年老いてゆく
   人は だれでも 遊びという名の劇場をもつことができる
   どんな鳥だって 想像力より高く飛ぶことはできない
     わかれは必然的だが 出会いは偶然である     寺山修司


  今週ながめた映画

2016-02-25 21:38:43 | 映画
☆ツタヤで半額割引きで借りた「365日のシンプルライフ」{フィンランド映画}

大量消費に毒された現代人ーなんて構えない。
この世はとにもかくにもモノが増える。いつの間にかどんどん。
ヘルシンキの26歳、独身男はこの風潮に抵抗した。「部屋はモノだらけになった。これってノーグッドだよな」。
かくして1年間にわたって「断捨離主義」にチャレンジしたドキュメンタリー仕立ての作品。

生きてゆくために、ほんとうに必要なモノはなんだろう?
衣類、ケイタイ、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、家具?いまごろの消費社会にやんわりとゆるく問いかけた。
若いもんらしく、友人たちとわいわい遊び感覚で不自由をエンジョイする日々。

シンプルライフにトライしたのは監督本人だ。彼の愛する祖母がいう。
「人生はモノではないのよ」どんな名女優でも、こんな自然なセリフはいえっこない。生活実感がにじみ出たさりげない言葉だ。
全世界のおばあちゃんを代表した一言。・・・ですね。

<1年間、モノをまったく買わない>というテーマは成し遂げた。
深く考えなくてもこのテーマは示唆的で、買うというアクションを全カット。モノを増やすそのものがいかに無駄であるかを思い知らされた人が多いのではないか。誰にでも実践できると共感した。
365日といわず、せめて1か月ぐらいはチャレンジしてみる価値があるのだよ。
こんなメッセージを受信した。


☆NHKーBS「アラビアのロレンス」{イギリス}

1960年代に初見参して、拝み観るのは何度目だろう。
<サー>の称号を授与されたデビッド・リーン監督作品。世界遺産クラスの映画力に毎度ひれ伏すばかりだ。
それどころではない。無知だったアラブ近代史を知るありがたい教科書になった。たくさん勉強させていただいた。

砂漠の民のオタクだった英国陸軍の将校ロレンス。<西欧文明と異文化の相克>に苦闘しながら、アラブ民族の反乱軍のリーダーとして、ついにオスマン帝国=トルコ軍をやっつけた。
<砂漠の民の革命>を成し遂げた男ジャンヌダルク。、ロマンいっぱいの冒険心と革命幻想。男の子にとってはわくわする憧れのヒーロー像だ。

46歳で失意のままナゾの死をとげた。英雄は早逝してより伝説になった。ゲバラしかり。長生きして醜悪老残をさらした毛沢東は最悪のサンプル。

アラブ統一の旗印をかかげて第一次リーグで覇者になった。なのに・・・祖国イギリスと仲間だったフランスに追放された。
アラブの救世主だったはずが、結果としてアラブにとって裏切り者になった。

英仏はロレンスを追い出してアラビア半島を強奪した。砂漠に直線で引いて国境とするなどやりたい放題の植民地支配。
21世紀のいま、救いのない戦乱状態が続いている。原罪はイギリスとフランスにある。こらー、責任取れ!
ヨーロッパが抱えているリアルタイムの難民問題。その罪深いスタートラインだ。

冥府にいるロレンスとしては、「当然の帰結だ。ざまぁ見やがれ」の心境だろう。
史実に基づいた作品は秀逸だし、アラブの混乱の源流を知るためには必見、お勧めしたい。
池上彰さんのテレビ解説をより明確に実感できる。

こっちは感動と復習を再び。
ロレンスの存在を知って、D・リーン監督の作品にとことんしびれた。それ以来、くたばれハリウッド、ようこそロンドン・ムービー。
最近ではケン・ローチ監督が画く地味滋味ワールドにしみじみ。


☆「ヤクザと憲法」{製作・東海テレビ}

ミニシアターとはいえ、チラシ・コピーが「話題沸騰につき、上映延長!!」。
ドキュメンタリー映画のメッカ、ポレポレ東中野では一日3~4回の上映という珍?現象だ。
どれどれ、オジサンにも見せてごらん。といったノリで出陣。

取材スタッフが指定暴力団・二代目東組(大阪市西成区)の二代目清勇会に100日間密着した「実録」だ。血なまぐさい「仁義なき戦い」・・まさか。
テーマは・・・きょっとん。
ヤクザには、憲法に保障されている人権てーもんがない。こう決め付けてヨイのでございましょうか。

銀行口座をつくれず給食費を引き落とせない・・幼稚園から入園を拒まれた・・自動車保険の交渉でこじれると詐欺、恐喝で逮捕、意味不明の家宅捜査・・山口組の山之内幸夫顧問弁護士がターゲットにされて微罪で起訴処分?

ヒットの素はどこにあるのだろう。考えるストレッチとして考えたふりをしよう。
ヤクザ映画はフイクションそのもので、一般の人はマンガを楽しむように支持層があった。
健さんがいたし、緋牡丹お竜がいた。
異次元の価値観に興味をひかれる、一種の怖いもの見たさの心理があった。

「アサヒ芸能」などの週刊誌がこぞって山口組の騒動を追いかけている。ヤクザ社会の官報のような賑わいだ。といってヤクザ限定御用達ではないはず。
ふつうの市民読者は、マンガのような<実録進行>として異様な世界をのぞき見したい・・・。
かくして映画にも興味の目が。「ヤクザと憲法」は異例の好調公開中。

20数年のムショ暮らしを経た親分が淡々とインタビューにこたえる。
「わしらヤクザとその家族に人権侵害が起きてるんや」。違いまっか。
抗争ゼロで、人権というミスマッチのような問題点をアピール。映画館の暗闇で出会う意外性が痛快だった。
全編に登場するヤクザ諸氏のヤクザっぷりや小指欠損を確かめつつ、彼らの人権について少考した。
・・・どうにもこうにも。結論は出っこない。

「ぼくらの民主主義なんだぜ」の著者・高橋源一郎のコラムを寸借引用してごまかすことにする。
<メディアが逃げ腰になりがちな挑発的なテーマ。一テレビ局によって作られたことに感銘を受けた>
<反社会的集団に人権は適用されないかどうかはとても難しい。論じる場所がないからだ>
ー同意見です。
マスコミや世論が声をあげるとは考えにくい。まして、ワルがひとりもいない社会なんて絵空事だ。うーむ。
・・・怪ドキュメント!退屈しなかった。

☆先々週には「ブリッジ・オブ・スパイ」を新宿で視認。米ソ冷戦時の深層秘話だ。ドラマ仕立てで再現した映画した映画したシブシブの作品。
この時代に暗躍した闇の戦士たちの「スパイ物語」は個人的に大好きで、わくわくほくほく満喫だった。
アカデミー賞作品賞の候補になっているのはつい最近知った。ゴタクを並べると長~くなるので、やめておこう。


 人魚ホテルの偽プーチン

2016-02-19 16:09:37 | そして旅はつづく
2月某日。南国タイの人魚ホテル{マーメードホテル}。
くすんだビーチの、ひっからびた安宿のせこいプール。北欧フインランドから避寒にやってきた外国人にまざって、
かわゆい少女たちが水遊びをしている。現地の中学生人魚姫たちだ。
仲良しのポン夫妻と養女アイ、そしてアイのクラスメート。セーラの父親は日本人で、モニカのパパは有色のアメリカ人。
ふたりとも母子家庭だ。父親の顔は見たことなし。いかにもタイらしい出自といえる。

プールのシャワーのあたりに「水着を着用のこと」とウタってはいるが、南国の人たちにはその習性はない。ビーチでもほとんどが普段着だ。アイたちも「ビキニなんてないもーん」。
・・・いつの間にか、プールにやって来て楽しむようになった。常連客のぶん生意気な「顔」で、
ホテルには文句をいわせない。

普段着で遊んでいるので、ついついポケットの硬貨を落としてしまう。もぐって拾ってやろう、とした時に対面からドッポン、象アザラシ体型が飛びこんで水底のコインを収容した。
「ありがとよ」これがきっかけになってロシアの怪人と話すようになった。
人魚らはポンのニッサン車で退場していた。

プールサイドでビールをラッパ飲みしながら、ロシア産で名前はプーチンだと自称した。ウソに決まっている。
「マイネームはプーチンだから、ユーはアベだろ」
冗談もホリディホリディいいやがれ。アベ呼ばわりとは心外極まりない。
大げさにいえばパスポートを返上したいほどヤなイメージだ。

いってやった。「おれの名前はノギというんだ」参ったか・・・乃木坂46ではなく乃木将軍だぜい。
苦笑いしたプーチン、まぁまぁまぁと手で制した。「100年前のことはノーサイド」。
ふむ。われながら大人気ないと反省する。海パンスタイルで日露戦争をやらかす気はない。

本国では公務員だというちろり知的な彼もひとり滞在。なんなくウマがあって会話が弾んだ。もっとも両者ともにひどいブロークン英語だから好勝負といったところだ。
右手を大きくひろげていう。
「ほら、右手の親指のところがサンクトペテルブルクだ。そして人差し指がモスクワ。だとすれば、おれが住んでいる町は小指のあたりになる。寒くて死にそうなローカルだ」

「聞いてくれよ、ミスター・ノギ」彼が町を出た日の気温がマイナス27度。陽光まぶしいタイのこの日はプラス35度。偽プーチン、指を折って計算した。
「その差はお~、62度だ。信じられるかい。まさしく地獄から天国だ」
ソーホワット、それがどうした。東京だってたまには0度だぜ、ぶるぶるだぜい・・にしても圧倒的大敗だ。

「そしてだよ。プールには南国のマーメードいる。感動する光景がここにある。気持ち青空で昼からウオツカをあおりたいよ、そう思わないかミスター・ヤポンスキー」
チミチミィ、調子こくなよ。銚子は房総の調子っぱずれ、調布は府中の手前だぜ、このはぐれ象あざらし。
まして人魚姫はおれのかわゆいゲストなんだ。見るな、見たらカネ取るよ。

それからの日ソ友好は、近所のセブンイレブンで買ったウオツカをやっつけた。敵はビールと同じようにラッパ飲みしていやがる。
話題のテーマは49%はシモネタになる。世界万能の会話ツールだ。本者大統領プーチンの下半身事情をいって、ひとりで笑いまくった。反クレムリン派らしい。プーなるチンチンも忙しいらしい。

「ところでさ。チミの場合、パートナーはいないようだ。どうした、逃げられたんか」
「・・・ダー。ワイフを盗られた。モスクワ野郎にだ」
「ハイト・ブレークだね。ネクストは?」
「う~ん、面倒だ。なんせ、結婚は3度目になるから」
「ひるむな。目指せ10回」
「ところで、ユーもシングルじゃないか」
かったるい会話は面倒くせえ。母語でつぶやいた。
「ダー、男は黙って札幌ラーメン。マーメードになったんだよ~ん。ぐっすんメソメソ」
「・・・{きょっとん}」

おれは吹いた。インチキラッパを吹きまくった。
自分はプール内でカラテをやって心身をきたえる武道の達人であること、<プール太極拳>と呼ばれる体道の始祖として、
70億地球人の期待の明星とされている身分だと吹聴した。
ニタついて放言するから説得力なんてあるわけない。

「実はな。門下生はおろか、支持者もゼロなんだ。残念だ」
「だろうな。最初からわかってたよ、いひひひひ」笑いすぎだと強く指摘した。
それでも、でろでろ酔って<プール太極拳>を指導をした。コーチ料は・・・この際は特別ボランテア、あきらめた。
ドイツ人の老夫婦も参加してそれなりに盛り上がった。

タイのこの時期は乾季。日中はいつも通り35度のパッコーン快晴で、朝晩は涼しくしのぎやすい。ベストシーズンということになる。
ポンにいわせると、チェンマイで0度を記録したときは壮大なパニック現象が起きたという。

翌朝、プールサイドのオープンエアの飯場で朝食を食らっていると偽プーチンがやってきた。
Tシャツ、短パンではなくジャンパーに長ズボンのいでたちで肩をすくめている。
「寒いよなぁ」およそ南国スティーにふさわしくない「重装備」だ。

昨晩から早朝にかけて、なんと気温15度だったのだ。
ディータイムの35度から20度の急降下なのだ。厳寒の住人にとって急激な気温の乱高下は、これも地獄の洗礼だろう。
絶望のムンク顔で、「カゼひいた。熱がある・・・弱った困った」。

いつもなら哄笑したい場面だがそうはイカの粗チンチン。こっちだって東京出発時のファッションになっていた。Tシャツを重ね着して厚手のセーターで寒さ対策。そればかりか鼻カゼをひいてしまって、じゅるじゅる苦行。怪人ロスキーをあざけ笑うどころの話ではない。
「ギブアップだね」ふたりしてため息をつきながら、ひどい味わいの拷問コーヒーをズズゥ。
よその国では気温の落差に気をつけろ。遺訓として末代まで伝えよう。

帰り支度をしていたよる、絶え間ない爆竹の激しい春雷。戦争がおっ始まったかのような爆音が地上を制圧した。おののく。
タイで春節を過ごそう。来襲した中国からのツアー客が放つ無差別の爆竹大騒音。
ニホンでは爆買い、タイでは爆音。
聴覚がおかしくなった。そのド迫力に鼻カゼが恐れをなして退散したのかも知れない。

偏西風に乗って5時間半の飛行で羽田着。気温9度だった。寒いとは体感しなかった。
と同時に鼻カゼはどっかに消え去っていたのだ。

 テレビのチンドン屋

2016-02-15 21:16:56 | ノンポリポリ
★鳥越俊太郎なるシルバーヘア。朝日夕刊の新発インタビュー欄で、
名刺の肩書は<ニュースの職人>としているそうだ。
「テレビキャスターとかジャーナリスト呼ばわりされるのは嫌い」だそうだ。市民活動家でもなかった。

★実質は単なる中古のテレビ・コメンテーターといったところだろう。
直言ムードをかもしながら、実はジャーナリズムに不可欠な毒スパイスはゼロ。
ありきたりの「ご感想」をエラソーに展開して、
テレビ局にとっては無難で安心な出演者。それなりのキャラクターの持ち主だし。

★テレビのニュース・ショー番組はニュースの2次、3次報道、あるいはスポーツ紙や週刊誌の焼き直し専科。
したり顔でわいわいわめき合う電波ホスト。わけ知り顔のおもしろ床屋談義。
ジャーナリスト・イメージが売りの鳥越なにがしはそのひとり。はるか遠くの外野から「ご高説」をのたまう。

★テレビ出演で有名人になっちゃった。
その知名度で地方講演などはどしどし。そのことに関してはノー文句だ。ご自由にやっちくれ。
ただしCMタレント活動には疑義あり、不快感あり。

★いろんな企業のCMにも精力的に出演している。あに考えてるんだと問題視したいのは・・・
ガン患者として病状報告をリポートしている身でありながら、アフラックのガン保険のCM出演。これって?

★「ガンから逃げないことです。逃げたらなんでも怖くなる」といいつつ、自分が加入しているガン保険を不特定多数にささやく。変。
・・・怖いと思ったらガン保険をどうぞ、てか。公共性があるなら不問だけどね。

★ジャーナリストは不偏不党。公共意識の旗手でなくちゃ。そんなだから一民間企業の宣伝ラッパを吹くな。
こんな野暮はいいたくはないけれども、チンドン屋活動には目をそらしてしまう。

★ガンも営業品目にしたのかあ。そんな立ち位置だから、
テレビキャスターとかジャーナリスト呼ばわりされるのは荷が重たいと思ったのかな。CMタレントの負い目もあるのかな。
ただ単に、朝日紙登板でカッコつけたいのかな。

★テレビ有名人になって、ついにCMタレントに成り上がった。
肩書きとしては、<ニュースの職人>ではなくて、<CMの親方>と名乗ってしかるべきだろう。

★ユニークな世相斬りで<うるせーばかやろイズム>の、ぼやっとした親分だった深沢七郎。
「楢山節考」などで知られる作家で、嵐山光三郎や赤瀬川原平らが勝手に弟子を名乗ってリスペクトした。
その親分が一刀両断した。
「テレビに出ているヤツは二流。一流はテレビには出ない」。全共感する太刀さばきだ。

★一流はテレビなんぞを相手にするべからず。1980年前後に注目された斬り口で、いまでもインパクトがあるクールな視座だ。
テレビなるものは動く絵さえあれば、それだけで情報処理できるメディア。表層をなでなでするのが限度てもんでしょう。

★ゆえに。ジャーナリズムに不可欠な在野スピリッツは持てない亜流とした。
こんな構造だからテレビ番組には二流だって、いや三流四流だって立派に通用する・・・
断っておく。われら声なき声のその他大勢組はひやかし担当であって、おしなべて二流。胸を張っていう。

★二流は凄いぞ。間違ってもコマーシャル・タレントにはならないぞ。

★さらに。電波の許認可は時の権力者の「ご意向」でどうにもなる。
こんちの安部政権に「テレビ局を粛清するぞ」ヤクザまがいに恐喝されているヤバヤバのメディアなのだ。
ニュースをお祭り化するエンターテーメント番組の垂れ流しが問われるのだよ。

★・・・<深沢ジャッジ>によると、テレビに出る連中は二流。つまり一流人士は出演しない。なるほどと納得する見識だ。
こんな視線でテレビと向かうのも視聴者として必要なことではないだろうか。
強調する。とにもかくにも。一流はけっしてコマーシャルにしゃしゃり出ない。

★戦場ジャーナリストなる芸名で視聴者に笑いをとるアホヅラがいる。
深沢七郎の袈裟斬り定義からすると、鳥越なにがしと同じグループだろうて。芸能人と同枠。
<ニュースの職人>だと。よくいうよ。