◆書く/読む/喋る/考える◆

言葉の仕組みを暴きだす。ふるい言葉を葬り去り、あたらしい言葉を発見し、構成する。生涯の願いだ。

『プロのドライバーから聞いた高速道路で追突されない方法』

2014-09-08 03:07:26 | タクドラ日記
偶然こんな記事に出会ったので、補足のつもりでメモしておく。こっちも「プロ」と呼ばれる人種(でしかないタクドラ)なので、なおさら。

 ※『プロのドライバーから聞いた高速道路で追突されない方法』
  

この記事では、前方が見えない道なら減速するのが基本だと述べられている。そう、それが基本なのだ、高速道路にかぎらず。たとえば東京にはタイコ橋が多い。道が盛り上がっていて、向こうが見えないタイプの橋だ。こんな道路を走るときは、たとえ直線コースでも向こうが見えるまで減速しているのが基本だ。向こうになにが落ちているかわからない。倒れた自転車と一緒に人も倒れている場合がある。とくに東京みたいに人と車が多い場所なら、「だいじょうぶだろ」って軽い考えは捨てたほうがいい。最悪の場合を想定してるほうが、むしろ現実的なくらいだ。嘘だと思うかい?

向こうが見えない道路は減速する――これが基本中の基本だ。

ところが、その前にやっておくことがある。まず急ブレーキを踏むかもしれない先行車から車間距離を空けておく。何もなさげに先行車が走り抜けたら、まずソコは安全なのだ。問題は自分が先頭で走ってる場合。

質問するけど、
「向こうが見えない道路は減速」したとして、実際にその向こうに人が倒れていたらどうする? 急ブレーキを踏む? それで間に合う? それともムチャクチャ減速しておく? 後続車が追突しない? ハンドルで逃げる?

こんな場合、じつは急ブレーキを踏んでハンドルで逃げる以外に方法がない(注1)。逃げるためには、左車線を走っていたら右側に、右車線を走っていたら左側に、最低1台分のスペースを見つけておく必要がある。ところが東京じゃ右車線も左車線もぎっしり車が詰め込まれたように走ってる。車間距離を空けようとすると、すかさず横から割り込んでくる。東京の交通事情がどんなに危険一杯かわかるというものだ。

しかし時間帯やタイミングによって車間距離が取れたり、左右のスペースが確保できる場合もある。そんな場合には、ぜひ試みてくれ。というより、左右のフェンダミラー(ドアミラー)を眺めるクセがついたら、それだけでも事故率は減る。

(注1)普通のブレーキは急ブレーキを踏んだらタイヤがロックして車は直進し、ハンドルは効かない。この点、ABS搭載車は急ブレーキを踏みながらハンドルも使える。ただ雪道では役に立たない。

生存のご報告など

2013-11-24 16:30:45 | タクドラ日記
しばらくブログを顧みなかったあいだに、gooもちょっと変わったみたい。設定してたテンプレも反映されなくなってるし。まあ、昔からgooには気難しいところもありました。

しかし、おれも数独の報告なんて、難しいことを始めたものだ。やってみて分かったけど、すごく面倒くさい。面倒くさいから、しばらく放置してると、どうやって解いたか分からなくなる。だったら問題を紙に写して、もう一回、はじめから解きなおせば、ってなるんだけど、放置した問題が上級問題なので、そうやすやすとは解けない。<(⊙⊙)>オイオイ!

こんな循環で、長い間、放置しつづけました。数少ない読者のみなさま、申し訳ございません。とりあえず、生きてます。


数独、悪戦苦闘(3)

2013-09-23 19:53:26 | タクドラ日記
 つぎの上級問題を解きました。そのなかでも難しめのを選びましたが、お蔭で数独の新しい解き方にいろいろ気がつきました。

(1)問題
  
 ※「ポケット数独8上級編」(ソフトバンク・クリエイティブ)、問題102(p109)


(2)解き方1
 基本の解法「進入禁止」では、ほとんど数字がうまっていきません。我慢して埋めれるだけ埋めました。ザッとした解法では、これだけ(次図、黒字)しか埋まりません。しかし同じブロック内で、「ココまたはココ」みたいな二者択一の可能性はいくつか見つかります。これは、この後もっと詳しく調べる必要を示していますので、途中で何度も同じ検討を繰りかえさないようにと、空欄のマスに小さな添え字を書き入れました。それが次図。ただ、「ココとココとココ」みたいな3つの可能性には添え字を省略しました。



 この図で左下のブロックにおける空欄のマス(2,2)と(3,2)には、添え字3と5がペアを作っています。この意味は何かと考えてみました。数字「3」と「5」は、たしかにここにしか入りません。とすると、同じブロック内のことですから、たとえば一方に「3」が入れば他方に「5」が入るほかありません。この添え字のペアは、そのような特別のペアなのです。このペアをアンド・オアのペアという意味で、3/5とチェックしておくことにしました。
 じつは、(4,6)(4,9)(5,6)(5,9)の4個の添え字2にも、よく似たことが起こっています。数字「2」の位置がひとつ決まると、他の「2」のマスも決まります。ですが、特別な記号は使いませんでした。




<書きかけ>

数独、悪戦苦闘(2)解法1

2013-09-03 01:51:34 | タクドラ日記

【3】解法

盤面のマス位置を表すため、ユークリッドのX軸・Y軸を導入します。盤面を第一象限に置き、各マスを(x,y)と表します。下の例では、盤面左上のブロックにある数字3と2のマスは、それぞれ(1,9)、(3,9)です。同様に盤面右下のブロックにある数字5のマスは、(9,3)と表します。

1.まず数字の順序から、「1」に注目しました。使った解法の99%は「進入禁止」です。

 「進入禁止」を説明します。

上の問題図のうち、下部のブロックに属してる2個の数字「1」、すなわち(4,3)と(9,2)に注目しますと、それらが属してるブロック内とともに、ピンクで囲んだマスの全部は、他に数字「1」が入れない「進入禁止」区域になります。この考えを利用して、(1,3)と(7,8)の「1」(赤字)が確定しました。

問題に与えられた「1」と自分で確定した「1」を使って、「進入禁止」を繰り返し利用しますと、9個のブロックすべてに「1」が確定し、「1」は終了しました。
 ※青字の「1」はそれまで自分で確定した「1」を、赤字の「1」は新しく確定したもの。



2.「進入禁止」をくりかえし使って、数字を埋めるだけ埋めていきます。その場合、各ブロックごとに考えていくのがわかりやすかったです。まず「2」では成果なしですが、「3」以降には有効です。途中、「5」の位置を求める場面で、次のようなケースに遭遇します。真ん中ブロックの空欄、すなわちブロックに残された空欄のマス(5,4)には「5」が入ることはわかりやすい。



3.こうして数字を埋めていきますと、最後の「9」でちょっと首をひねりました。次のような場面です。ここまで順調に「進入禁止」は役立ちましたが、「9」では2個のマスが候補として見つかるだけで、位置が確定しません。ところが以下の盤面で奇妙なことが起こっていました。(8.2)の数字「9」に縦方向の「進入禁止」地帯を適応しますと、右上のブロック、数字「8」の上下2個のマスが「9」の位置候補になっています。どっちにしろ「9」が入るのだから、この位置候補はひとまとめで下側に「進入禁止」地帯を作ります。こうして(7.6)のマスには「9」が入るとわかります。
これ以上は「9」も無理です。では、次にやることは?もちろん、この問題では「進入禁止」です。解き始めとは数字の環境が変わっていますから、また「1」から順に見ていきました。



4.ついに解答にたどりつきました。



5.反省:この問題では、「進入禁止」がほとんど唯一の解法手順でした。なので、「進入禁止」は数独の基本的解法だとわかりますし、それだけで解けるこの問題は「基本問題」中の「基本問題」だとわかります。

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数独、悪戦苦闘(2)

2013-09-03 00:40:35 | タクドラ日記
次の初級問題を解きました。
 ※ブログ「数独にはまろう!」より。
以下に、その問題と解答、および解法を述べます。

【1】問題



【2】解答




 →数独、悪戦苦闘(2)解法1へ



数独、悪戦苦闘(1)

2013-08-29 08:34:12 | タクドラ日記
たまに数独の問題を取り上げます。その悪戦苦闘の軌跡を!!(ー_ー)オオーン・・・

まず、数独の紹介。
1.歴史
 ※参照:WikipediaWeblio辞書数独とナンプレの歴史
数独は、数字で空欄をうめていくゲームのひとつです。そのようなゲームの歴史は古く、18世紀のスイスに「ペンシルパズル」として見られるそうです。いまのような形に完成されたのは米国、1979年のことだったとか。新聞か雑誌のオマケだったみたいです。

2.数独の例(初級~中級)
 ※Wikipediaより。
数独では、以下のような正方形の盤面が問題として出されます。盤面は9×9=81個のマスから構成され、そのマスには1-9のうち、いくつかの数字があらかじめ与えられています。それらの数字が解答の手がかりです。


3.ルール
 ※参照:Wikipedia
要は、残りの空欄(マス)に1-9の数字を当てはめるゲームですが、簡単な制約条件があります。
 ・縦列、横列に同じ数字を使わない。
 ・盤面を区切る合計3×3=9個のブロック内では、同じ数字を使わない。
たとえば、次の赤い数字「2」の配列は違反を犯しています。この違反に気がつかないでゲームをつづけると、繰り返される違反に嫌でも気づくか、空欄(マス)をうめる数字がなくなってゲーム・オバーになります。



 →数独、悪戦苦闘(2)へ

 ※ご参考までに、上の問題例の解答。
  初級問題のうち、むずかしいほう(笑)。





風立ちぬ

2013-08-12 02:25:37 | タクドラ日記
 内田樹先生もすなる『風立ちぬ』の感想文といふものを、こちらもしてみむとてするなり。鑑賞後の印象がずいぶん違うのは、ひとりひとり違うはずの「取りつく島」(内田ブログ)のためである。

 のどかな田園風景のなかで育った堀越少年は、飛行機を操縦して、風のなかを鳥のように自由に空を飛ぶ。それが夢だった。やがて少年は東京帝国大学に学び、機械メーカーに就職して、戦闘機の開発・設計にたずさわる。ときは昭和、日本が太平洋戦争に突入していった時代。その途上、堀越青年は菜穂子と結婚する。彼女とは学生時代に知り合った。そう、あのときも風が吹いていた。それが二人の出会いを運命づけたのだ。

 ※『ノルウエイの森』(村上春樹)の直子も菜穂子と同じく高原の療養所で暮らした。

 やがて、結核を患っていた菜穂子を失う。基地に立ち、自分が設計を主導したゼロ戦は「一機も帰ってきませんでした」と語る堀越二郎の足元に、風が吹いてきた。

 ときと運命のなかで、人は切なく生きていく。生きなければならない、それが運命ならば。さあ、今こそ私たちも口ずさむときだ。
「風立ちぬ、いざ生きめやも」

橋下氏の慰安婦発言撤回求める 新座市議会が決議

2013-06-04 21:12:23 | タクドラ日記
この動きがもっと広がればいい。

「橋下氏の慰安婦発言撤回求める 新座市議会が決議」
 埼玉新聞
 決議は(1)橋下発言は全女性への冒涜(ぼうとく)(2)慰安婦制度が必要だという持論を繰り返している(3)戦争遂行のためには女性の性を利用するのは当たり前など、女性を道具のごとく扱う人権感覚は公職に携わるものとしてふさわしくない―などと指摘。「猛省を促し、発言の撤回と謝罪を求める」としている。

 同議会の超党派の女性議員7人が提出。全議員26人のうち、みんなの党所属の2議員ら男性議員3人が退席して採決に加わらず、議長を除く22人が賛成した。





共産主義・資本主義と脳化社会

2013-06-03 02:27:31 | 思想・哲学
 共産主義の成功と失敗は、脳化社会の成功と失敗に等しいのではないか。先日のNHKBSプレイアムを見て、そう思った。共産主義運動は、膨大な生命と悲しみと喜びを踏み台にして出現した。その意味で、たしかに革命という名にふさわしい。

 初期の共産主義者たちは、勃興し発展する資本主義社会を見ていた。とくにロシアの共産主義者たちはツアーリズムという古風な帝国主義も見ていた。もちろん当時は誰もが見ていたはずだが、共産主義者たちは、資本主義と帝政ロシアのもとで貧困と死の淵に追い込まれていく人々の姿に自分を同化した。

 もともと人間の思考とはそういうものである。雨が降れば喜ぶ人と悲しむ人がいる。人間が生み出したものに社会的価値を求める人間の思考は、見かけが複雑なだけで同じだ。それが悪いわけじゃない。よいわけでもない。

 しかしロシア革命を成功させた共産主義者たちは、すべての現実を自分たちの頭脳のもとに計画し、コントロールできると盲信した。自分たちは真理を体現している、すべての真理を手にしていると考えた。あとはこの真理を社会に世界に演繹するだけだと。この過信は社会主義と呼ばれたが、当時の資本主義とはまた違った残虐な刻印を人間の歴史に刻んだのである。反対者や怠惰な者への拷問、投獄、洗脳、暗殺・・・。武力革命で政権を奪取した旧ソ連圏の共産主義者たちは、秘密警察を創り、国民を監視し、ジョージ・オウエル作『1984年』さながらの社会を構築した。この社会が共産主義に基づいた極端な脳化社会だったことは注目に値する。

 こうした極端な脳化社会が失敗する原因は何か。また、なぜ資本主義は失敗を免れたのか。

 ここには、世界と人間の関係がある。もともと人間は、偶然に満ちる世界を理解しようと思考してきた。人間は思考によって偶然を必然の過程として理解する。そうしなければ、収穫のときを知ることもできなかった。こうして人間は身の回りから順に取り巻く世界の偶然を理解し、自然の一部を利用し、生き延びる工夫を重ねてきた。古くは太陽信仰や天文学の発達がそうだったろうし、家畜の飼育や稲作の開始もそうだったはずだ。そして、そうした集団にみあう国家と権力の形成も。

 しかし人間は、自らを含む自然への畏怖を忘れなかった。世界各地に残る神殿や祭壇の遺跡は、そうした古代人の心理を直接に証明する。この日本では神社仏閣がいまでも人々の中に、かろうじてではあっても生きている。このことは、科学技術が発達した現代においても、人間が偶然に満ちた自然に囲まれて生きる実感を得ているからではないか。否定的な状況証拠になるが、共産主義は宗教を排撃しようと試みた。脳化社会には、偶然の力は認められないからだ。

 こうして、極端な脳化社会の敗北が理解できる。人間の思考が理解し計画できるのは、自然の一部にすぎないからだ。そのことは天気予報を見るだけでもわかる。発達した現代科学をもってしても、予報は外れる。地震や噴火の予想は、人間に思考の限界を伝える神の声かとすら思えるほどだ。

 このような人間の存在を前に、極端な脳化社会が敗北するのは当然だろう。そして、人間の欲望という根源、けっして脳化できない部分を核とする資本主義が、敗北を知らずに生き残ったのも当然というべきである。

 したがって、これからの社会は資本主義を継続しながら、その都度に矛盾や悪癖を見出し、それを修正していく努力を要する。この修正を妨げる傾向こそが、未来への敵なのだ。このためには、きめ細かな目配りができる地方自治体を育て、スケールの大きな事業を探し出せる頭のやわらかい国家が必要だと考える。

アベノミクス再考

2013-04-19 04:25:16 | 社会・政治
 よくなるといわれる景気ですが、全然よくなりませんね。そこで、派手に宣伝されるアベノミクスを初歩から考えてみます。よかったら、みなさんも、ご一緒にどうぞ。

 まず、アベノミクスでよくいわれる物価目標2%です。前年よりも2%だけ物価が高くなることでいいですよね。その時点で消費税を8%へ、ついで2015年に10%へ増税します。政府は最低2年で10%増を達成すると意気込んでいます。この物価目標は、民主政権時代に民自合同で決定されました。物価高がデフレ脱却を意味し、景気回復の指標になると考えられました。

 ※黒田日銀総裁:2%の物価目標を2年念頭にできるだけ早期に実現する(Bloomberg)

 需要と供給の関係から、物価をあげるためには国民の購買力を高めることが普通に考えられます。ところが、その政治は民主党で破綻し、不可能と断定できないまでも時間がかかりすぎるように思われます。そこで、大規模な金融緩和が計画されました。

 物価目標は世界の多くの国が取っている経済政策のひとつで、インフレターゲットにほぼ同じ。日本を除く各国はインフレに苦しみ、物価目標2%をインフレ鎮静化の目標にしています。アベノミクスの値上げ目標とは話が逆です。

 ※インフレ目標政策(はてなキーワード)

 日銀を使った大規模な金融政策で、この値上げ目標を実現できると考えるのがアベノミクスです。日銀が貨幣を大幅に増加させると、世界のなかで円の価値が下がります。そのままでは富を目減りさせる円の購買者は、円売りに走り、簡単に円安が実現されるだろう。為替操作ですね。円安によって輸入品の物価が上昇するから、国内物価はつられて上昇するだろうし、物価統計上は高くなると。

 ※輸入物価、円安で急上昇 製品への転嫁が焦点(日経)

 たしかに大規模な金融緩和のため、円安は100円近くまで達成されました。ところが、困ったことが起こります。石油など輸入品の物価が国内物価の上昇を招くはずなのに、そうなりません。国民の購買力があがらないので、その他の物価は据え置きです。それどころか、風評被害のため東北地方の生産物は安値を示しています。

 ※金融緩和策で物価を上げることはやはり難しい(exiciteニュース)
 ※2月消費者物価は4カ月連続マイナス、予想より小幅-失業率は悪化(ブルームバーグ)

 金融緩和のキーワードは国債です。国債は国家が発行する借金の証文で、出したお金と引き換えに出資者が入手します。5年後とか10年後とか、いろいろありますが、購買額の返還(償還)と利子を約束しています。第一の買い手は、市中銀行や証券会社などの金融会社です。他の法人や個人が購入したい場合は、それらの金融機関からになります。

 歴代の政権によって赤字国債が積み重ねられ、財政を悪化させていると聞いていましたよね。それ以上の国債は発行しにくい雰囲気がありました。借金時計とかもあったし(笑)。この警戒心を無根拠なものと断定し、ふたたび大規模に国債を発行するのがアベノミクスの骨子です。日本は借金大国ではないんだと。海外資産をふくむ日本の総資産が、財政赤字を上回ってるのが背景になっているようです。

 ※赤字国債を減らす不断の努力が必要だ
 ※「国の借金」の推移(時事)

 大量の国債発行によって国家財政はうるおい、財務省の金庫に何兆円もの現金が積み重ねられます。そんなローンで借りたようなお金を集めて、政府はどう使うつもりでしょう。

 高度成長時代に建設したインフラの補修が口をあけて待っています。2012年12月に起こった笹子トンネルの事故がセンセーショナルに報道され、インフラの老朽化は国民の間で認知されました。世論の形成は十分。その後、日本の道路は建設会社のドル箱になっています。ついで軍事費。普通なら不況下での軍事費増は政府にとって困難ですが、北朝鮮の挑発はわたりに舟でした。これもセンセーショナルに報道され、国民の間に軍事費の増大にたいする世論が形成されています。

 しかし、このままでは安倍政権は亡国の政権です。いくらインフラに税を投入しても、国民生活は向上しない、というのが、高度成長が終わりを告げた教訓そのいち。また軍事費増は、米国から輸入しない武器の関連会社がGDPを押し上げますが、日本の産業構造は追いつきません。

 株高はどうでしょう。円安と株高はアベノミクスを派手に演出し、日本に、いや世界に、日本の経済復興を印象づけています。

 そこで、「株」(株式)を小中レベルで復習しておきます。知識がいつも上ヅラだけなら、世間の常識に振り回されてゾンビになる可能性が。

 株にも多種あるようですが、雑把には、企業がカネ(資本)を入手するため、証券会社をつうじて市場に売り出します。額面が100円の株を100万個(枚)だけ発行し、それを全部買ってもらえたら、会社は1億円を手にできます。

 合法的に会社がカネ(資本)を入手するため、銀行から融資を受ける方法がありますよね。実際には、多くの企業にメーンバンクがあるので、そこから多少の融資を受ける必要があります。じゃないと、銀行は企業の要望に耳を貸してくれません。銀行の態度はデカイ(笑)。

 受けた融資には、利子がつきます。払わないと借金に。その点、株はご気楽です。買ってくれた人(株主)にサービス提供や金銭での配当を行いますが、義務化されていませんし。それも業績次第。企業は実際、何回も株を発行して増資します。

 一度売り出した株の値段が上がっても下がっても、基本的には株を発行した企業に関係ありません。儲けも損もないのです。ただ、自社株買いはあります。不況で下がりすぎた自社株を自社で買い取って、株価を押し上げるのです。プライドのためですね(笑)。

 ※自社株買い(GLOBIS.JP)

 なぜ、株価は上がり下がりするんですか。無料のお食事券とかサービスがほしい?配当を期待する?資本主義の前期には、それが株を欲する動機だったはずです。ついで、ほかの商品みたいに、すでに発行された株をほしがる人と売る人の間に売買が生じます。株が売買できる、うまくいけば大儲けできると、やがて人は気づくのです。、

 株の売買は人の思い(欲望)にしたがって行われます。アベノミクスによる日経平均の上昇は、貨幣量などの経済学的な論理に従っているのではなく、国内と世界に形成された儲かるムードに乗って起こっています。

 ポイントは2点あります。株価の上昇は、企業の儲けや体質の改善などと無関係である。もうひとつ。株価の上昇は、経済学的な理論や論理に無関係である。

 では、株で儲けられる思い(欲望)は、どこからきたのか。円安誘導のためですよね。政府は大規模な国債発行を行い、それを一度、市中の銀行や証券会社などの金融機関に買い取らせます。それをふたたび日銀が買い取る保障を与えて。保障がなければ、不況下なので引き受けません。

 市中の金融関連会社が引き受けた国債を、黒田・日銀が買い取ります。国内の金融会社には現金が山積みされます。ご存じのように、現代の銀行はなかなか融資しません。鳴かない鈴虫は、じゃあ、どうしたらメスを、いや利益を得るのでしょう。

 まず株。あとは外貨を、国内外の国債など各種金融証券を売り買いするのです。現代の銀行は江戸時代の両替商から引き継いだDNAを自己改造し、投資銀行に変身しました。投資銀行と言えば、ゴールドマン・サックス、バンク・オブ・アメリカ、倒産した米国のリーマン・ブラザーズなど、だれでも名前だけは聞いています。

 したがって、銀行の融資を当てにしても貨幣は市中に流通しません。そんな物語は、すっかり神話になりました。株価上昇の直接の原因は、まず国内の銀行や金融機関で形成されたジャパン・ファンドが大量の買いに入ったからでしょう。

 ※銀行、迫られる融資先の発掘 日銀の国債購入強化で
 ※大手行、新規融資の意欲後退-政府系金融は積極的

 これを海外のファンドが見過ごすはずはありません。のみか、それ以前から大規模な金融緩和は宣伝されていました。緩和後の出来事を予測できないファンドはいません。こうして国内外のファンドが日本株で儲けようと買いに走り、日経平均を押し上げているのでしょう。株の売り買いも激しい。株価の上昇局面では、利益を確定しようとする思いと、もっと上がるだろうと予想する思いの間で株がやり取りされます。金持ちはもっと金持ちになり、少し金持ちは少しだけ金持ちになり、貧乏人は貧乏なまま。

 トヨタなどの輸出産業は買いの目玉です。円安によって業績の好転が見込まれると、買いが殺到します。利益の確定売りも殺到します。日本の富の一部は外国に流れていきます。

 ご推測のように、株の売買がグローバルに行われる現代では、巨大な外国ファンドの浴びせ売りが危機となって迫ります。大量に買いに入って、十分に上がったと判断すれば、外国ファンドは容赦なく瞬間売り(利益の確定)に走ります。株価は暴落します。それを禁止する法律はありません。

 儲かる欲望に火がついた金持ちや、少し金持ちは、株を売っては買いつづけます。株価の暴落に無縁なのは、貧乏人だけ。貧乏ばんざーい!!

 はっきりしたことがあります。株価の上昇は、国民生活の全体には無関係です。そのくせ暴落すれば、政府は税をつぎ込んで金融機関の救済に奔走し、世間はさらに不況に追い込まれます。じゃあ、アベノミクスって何?その答えは、物価の上昇と消費税、政府財政の使われ方にかかっています。これは政権の性格によって決められます。

 このあたりで、アベノミクスのお話は限界になりました。筆者の実力の問題があり、また、この先は近未来の予想問題になって、個人的な思想に話が歪められる恐れがあります。みなさんで、よくお考えを。ということにしておきます。草々。v(^_^)v