博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

最近見てるドラマ(2024年4月)

2024年04月10日 | 中華時代劇
Netflix版『三体』
予告編を見た段階では明らかに西洋人が主人公という風な扱いでイヤな予感がしていました。中身も実際その通りだったわけで、第1部から第2部の序盤までの話に第3部までの主要な登場人物を投影したキャラクターたちがヴェラ・葉=原作の楊冬の教え子たちとして主役を務めるという無茶な設定。しかし蓋を開けてみると原作に対するリスペクトは感じられたので、まあこれもありかなと思います。不満があるなら中国ドラマ版を見ればいいわけですし。

『金枝玉葉』
Netflixオリジナル作品ということで『三体』のついでに見てみることに。『瓔珞』の続編というか番外編です。全6話ということもあってか、肩の力を抜いてというか手を抜いて作ってるなという印象。いつもの于正ドラマと見せかけて終盤で突然サイコホラーの世界に突入したりもしますが、『瓔珞』と比べるとかなり落ちます。最初から最後まで三下同士の小競り合いを見せられてるような気分です。そんなクソ作品でもそこは于正作品なのでテンポよく見られてしまうのがムカつくw
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2024年3月に読んだ本

2024年04月01日 | 読書メーター
西遊記 ビギナーズ・クラシックス 中国の古典 (角川ソフィア文庫)西遊記 ビギナーズ・クラシックス 中国の古典 (角川ソフィア文庫)感想
同シリーズの『水滸伝』より訳文が多くて長い印象。解説やコラムも呉承恩作者説の出所や『西洋記』との比較、先行作品や版本間の比較、火焔山にまつわる地理学、ないしは元ネタの問題等々、『水滸伝』ほどではないが読ませるものが多い。初心者はもちろん西遊記ファンも読んで損はないだろう。
読了日:03月01日 著者:

図解 諸子百家の思想 (角川ソフィア文庫)図解 諸子百家の思想 (角川ソフィア文庫)感想
出土文献からの成果も豊富に取り入れた諸子百家入門。今回の文庫版では名家、陰陽家など章節新たに追加し、その後発見された出土文献や新たな研究の成果を参照して追記がなされている。儒家や孔子に関する理解が浅野流なので、その点だけは個人的に支持できないが、それ以外はおおむねまとまった概説となっている。欲を言えばね雑家すなわち諸子の成果を総合した『呂氏春秋』の章もあれば良かった。
読了日:03月03日 著者:浅野 裕一

アジア経済史 (上)アジア経済史 (上)感想
日本も含めた東アジア、東南アジア、南アジア地域の経済史概説。時代は近世以降が中心で、上巻はおおむね19世紀末まで。今まで読んだ中国経済史と比べて、特に第Ⅰ部で社会生活史に関する記述が多いのが特徴か。東インド会社の活動や商品作物としての茶葉の栽培・輸出地の変遷など、各地域を関連させた記述も特徴的。疾病に関する項があるのは今風を感じさせる。
読了日:03月06日 著者:

房思琪の初恋の楽園 (白水Uブックス)房思琪の初恋の楽園 (白水Uブックス)感想
尊敬する37歳年上の塾講師の慰み者となり、しかも彼を愛させられてしまった少女の物語。加害者はこれまでにも同じような「恋愛」を積み重ねており、また主人公の周辺には夫からのDVに苦しむ女性がいる。救われないのは、主人公も加害者も富裕層の出身であり、平均以上の教養に恵まれていることだ。高い生活水準や教養は決して性被害に遭う確率を低くはしない。そんな現実を突き付けられているようである。
読了日:03月09日 著者:林 奕含

戴天 (文春文庫 ち 12-2)戴天 (文春文庫 ち 12-2)感想
『震雷の人』と同じく安史の乱の時期の唐を舞台とし、話の中心となるのが男女3人という構図は同じだが、その男女3人が入れ替わり、舞台となる主要な地域も異なるという趣向。今回中心となるテーマは宦官と胡人。ラスボス的な存在である辺令誠も宦官であるが、単純に切って捨てられる悪役というわけでもない。「人は変わる」あるいは「人の評価は変わる」という所に注目して読むと面白い作品。
読了日:03月12日 著者:千葉 ともこ

冷戦史(上)-第二次世界大戦終結からキューバ危機まで (中公新書 2781)冷戦史(上)-第二次世界大戦終結からキューバ危機まで (中公新書 2781)感想
冷戦通史の前半部分だが、特に終戦直後の米ソ対立が決定的になっていない時点では米国の世界構想が多くの可能性に満ちており、ソ連側もイデオロギー性の重視が逆説的に外交に柔軟性を与えていたこと、キューバ危機に対してソ連側がベルリン危機と関係づけていたように、同時期の他地域の動向が密接に関わっていることが強調されている点、中南米地域の反米の動きにありもしない共産主義の影を見るななど、ソ連とともにアメリカもイデオロギーにとらわれていたことなどが印象的。
読了日:03月15日 著者:青野 利彦

冷戦史(下)-ベトナム戦争からソ連崩壊まで (中公新書 2782)冷戦史(下)-ベトナム戦争からソ連崩壊まで (中公新書 2782)感想
冷戦史後半。ソ連型共産主義の破綻が目に見えた時に権威主義を温存したまま市場経済を導入した中国のあり方が第三世界の諸国の国家発展モデルとなったことや、多国間の枠組みを形成していったヨーロッパに対して東アジアの国際関係の改善が二国間関係の締結に終始したことが、現在まで続く東アジア地域の分断の継続に影響しているといった指摘が興味深い。米ソ中に加えて分断解消に対する日本の努力不足も問われている。
読了日:03月16日 著者:青野 利彦

近代日本の陽明学 (講談社学術文庫)近代日本の陽明学 (講談社学術文庫)感想
文庫化を機に三回目の読書。大塩平八郎から三島由紀夫まで近代日本の陽明学徒の系譜を辿る。増補部分は中江兆民や西田幾多郎、渋沢栄一など本書の内容と関係する人物と朱子学・陽明学との関わりについて。西洋の概念の訳語としての「自由」が『論語』顔淵篇の「克己復礼」の章に見える「己に由る」という言葉と同義語であるという指摘が面白い。著者は儒教との関係でしか議論していないが、これは当然近代日本の漢文脈の話にもなってくるだろう。
読了日:03月18日 著者:小島 毅

ローマ帝国の誕生 (講談社現代新書)ローマ帝国の誕生 (講談社現代新書)感想
後に属州として位置づけられることになる征服地や従属地の人々との関係を軸にたどる、(皇帝が支配する国家ということではなく)多様な民族を統治する国家としてのローマ帝国誕生の軌跡。一口に属州と言っても時期によってローマ側の対応が異なるや、属州を得たことがローマ自身の政治危機の淵源となったこと、後に属州となる外地との戦争や国内の危機に対して執政官の再任などの例外を認め、それを積み重ねたことがアウグストゥス、すなわち元首、ローマ皇帝の登場につながったという逆説的な議論が面白い。
読了日:03月21日 著者:宮嵜 麻子

両京十五日 2: 天命 (ハヤカワ・ミステリ)両京十五日 2: 天命 (ハヤカワ・ミステリ)感想
昨日の敵は今日の友、今日の友は……という展開。黒幕は明朝宮廷物のドラマを見ていればある程度予想することができると思うが、中国エンタメでお馴染みの漢方や食べ物はもちろんのこと、白蓮教に水運、土木建築、殉死と作者の歴史に対する広い知識や考証が嫌味にならず、物語を面白くする結果につながっている。日本の中国物だとなかなかこの域に達するのは難しいだろう(中国でもこの年代の作家としては彼ぐらいかもしれないが)。馬伯庸の他の作品の翻訳も是非どんどん出してほしい。
読了日:03月24日 著者:馬伯庸

統治されない技法: 太湖に浮かぶ〈梁山泊〉統治されない技法: 太湖に浮かぶ〈梁山泊〉感想
歴史文献とオーラルヒストリーの両方を駆使し、歴史的に平地民から蔑視されてきた太湖の漁民の生態を、彼らの宗教信仰を軸に追っていくという内容(だと思う)。賛神歌が地域の非物質文化遺産に指定されるうえでの漁民と役所の思惑のズレが興味深い。中国政府の政策もさることながら、市場経済の導入と環境破壊が漁民としてのくらしを成り立たなくさせているというのが何だ世知辛い。
読了日:03月27日 著者:太田 出
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最近見てるドラマ(2024年3月)

2024年03月10日 | 中華時代劇
『大理寺少卿遊』
頭脳明晰な大理寺卿の息子李餅は父の葬儀中に悪漢に襲撃された際に猫の霊に取り憑かれ、猫としての姿と能力を手に入れる。その彼が兄を探しに洛陽にやって来た純朴な青年陳拾とパートナーを組み、大理寺少卿として陳拾や頼りない大理寺明鏡堂の面々を率いて洛陽で発生した難事件の解決に当たることに。『大唐狄公案』と同じく武則天の時代が舞台ですが、こちらはコメディです。アニメ原作で、アニメの方では李餅はずっと猫ということですが、実写版ではそうもいかず人間の姿でいることが多いのですが(いっそ着ぐるみでやって欲しかった気も…)鄭禹兮が猫のしぐさを取り入れたうまい演技をしています。

『宣武門』
清末に玉職人の李雲棉が崑崙玉から彫り出した「玉石榴」は皇室に献上されるが、「これを手に入れた者は天下をも得る」と喧伝されて官民の争奪の的となり… ということで主役の李天順を『月に咲く花の如く』の趙白石役の任重が演じ、その父親の李雲棉を趙豊毅、西太后を斯琴高娃が演じています。李天順は妻や友人とともに義和団事件、辛亥革命、日中戦争といった歴史的事件で試練に晒されるらしいです。MVでその様子を伺うだけでもワクワクしてきますw 今回の趙白石はとにかく単細胞ですね。序盤からトラブルばっかり起こしてます。しかし思わせぶりに出て来た「玉石榴」が序盤からうっちゃられてますが、どうなるのか (^_^;)

『歓楽英雄之少侠外伝』
古龍の『歓楽英雄』を『武林外伝』の尚敬がドラマ化ということで思い切りお笑いになってます (^_^;) 正直原作は古龍作品の中で一番好きな小説なので、あんまりお笑いにはしてほしくなかったんですが、字幕のフォントやなぜかクラシックの劇伴も含めて随所にこだわりの見える作品に仕上がってます。古龍ドラマの宿命か、キャラクターの名前を借りた程度にしか原作には沿ってませんが(林太平が王動より老けて見えるのが酷いw)。しかし同じ武侠コメディでも『鵲刀門伝奇』なんかと比べると三倍ぐらい見る気になりますね。あっちは金庸パロディしか能がないような作品でしたし。
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2024年2月に読んだ本

2024年03月01日 | 読書メーター
カーストとは何か-インド「不可触民」の実像 (中公新書 2787)カーストとは何か-インド「不可触民」の実像 (中公新書 2787)感想
カーストの歴史的な展開についての本かと思いきや、それは第1章のみでメインは不可触民の置かれた現状の話。フィールドワークによる実感やインタビューによる個別事例、映画での描写なども盛り込まれていて具体的な状況が想像しやすいようになっている。元々はそれほど厳密というわけでもなかったカーストが顕在化・実体化したのはイギリスによる植民地統治がきっかけだったというのが意外。不可触民の置かれた状況を見ると、日本の部落問題に対しても示唆する所が多そうである。
読了日:02月01日 著者:鈴木 真弥

ヨーロッパ史 拡大と統合の力学 (岩波新書 新赤版 2003)ヨーロッパ史 拡大と統合の力学 (岩波新書 新赤版 2003)感想
英仏独などの各国史ではなくヨーロッパ世界を一体のものとして見るヨーロッパ史……だと思う。古代末期から中世にかけての大帝の時代の部分が私にとっての読みどころだった。著者の専門柄「ビザンツ」に関する話が多いが、西暦が誕生したのはユスティニアヌスの時代であるという点や、コンスタンティノス7世が息子のために作ったという『帝国の統治について』の百科全書的な性質が『呂氏春秋』に似通っていること、ビザンツ帝国が周辺諸地域を子ども、兄弟など擬制的親族関係に擬えていたのが宋王朝のそれを連想させることなどが興味深い。
読了日:02月03日 著者:大月 康弘

アテネ 最期の輝き (講談社学術文庫)アテネ 最期の輝き (講談社学術文庫)感想
デモステネスの生涯を軸に、カイロネイア以後のアテネの社会と民主政の終焉の過程を描く。デモステネスが当事者となった裁判、特にハルパロス裁判が対マケドニア政策といった政治的対立とは無縁の、積年の怨み辛みを晴らす個人的対立の場となっていたというのが面白い。しかし民主政転覆罪を名目とした裁判の頻発が民主政への傾倒の現れだったというのはどうだろうか?文庫版のあとがきで触れられている、アルキメデス・パリンプセストの発見により、デモステネスの弁論に対する評価が変わってきたという話は興味深い。
読了日:02月05日 著者:澤田 典子

技術革新と不平等の1000年史 上技術革新と不平等の1000年史 上感想
21世紀版『人間不平等起源論』といった趣。レセップスとパナマ運河の下りは西欧版『失敗の本質』という感じだが。農耕の開始から産業革命に至るまで、テクノロジーの発展は庶民を幸せにしないどころか、それ以前より生活を苦しくさせるということが議論されている。19世紀アメリカの綿花栽培にボリシェヴィキ・ロシアの姿を見るという視点や、中国のように(というよりイギリス以外の)一定程度科学が発展していた国でも工業化出来なかったのはなぜかという議論も面白い。
読了日:02月08日 著者:ダロン・アセモグル,サイモン・ジョンソン

世界史のリテラシー 「中国」は、いかにして統一されたか: 始皇帝の六国平定 (教養・文化シリーズ)世界史のリテラシー 「中国」は、いかにして統一されたか: 始皇帝の六国平定 (教養・文化シリーズ)感想
伝世文献の記述を中心とした比較的オーソドックスというか教科書的な作りの本。「古典中国」を押し出してる所がこの著者らしいといったところか。これは著者というより「世界史のリテラシー」シリーズ全体のコンセプトでもあるかもしれないが…… 目新しさはないが、特に間違ったことを書いてあるわけでもないので、手堅い内容を求める向きには悪くない本だと思う。
読了日:02月10日 著者:渡邉 義浩

技術革新と不平等の1000年史 下技術革新と不平等の1000年史 下感想
下巻の射程範囲は20世紀から現代まで。19世紀末から戦後まで経済成長の恩恵が下々にまで及ぼされ、下層階級もそれなりに豊かな生活を送ることができたのは、企業に対する世論の高まりと労働組合などの対抗勢力の活動が活発だったからである。しかしデジタル・テクノロジーの発展、特にAIの登場によりそれも怪しくなってきた……という主旨だと思う。歴史の話と思わせてといて現在、そして未来の話の比重が大きいという作りは『サピエンス全史』と共通している。結論としてはやはり声を上げ続けることが大事ということになるだろうか。
読了日:02月10日 著者:ダロン・アセモグル,サイモン・ジョンソン

老神介護 (角川文庫)老神介護 (角川文庫)感想
「老神介護」は『折りたたみ北京』収録のものと同じものだと思うが、続編(しかも趣が全く異なる)があるとは思わなかった。「地球大砲」も「彼女の眼を連れて」とは全く趣が異なる続編。本編で描かれている、病気を理由とする人工冬眠という趣向は『三体』でも存在する。本書の中では恐竜と蟻との共生、そしてその破綻を描く「白亜紀往時」を最も面白く読んだ。同じタイトルで出版された単行本はその長編版ということらしく、そのうち読んでみたい。
読了日:02月12日 著者:劉 慈欣

古代西アジアとギリシア ~前1世紀 (岩波講座 世界歴史 第2巻)古代西アジアとギリシア ~前1世紀 (岩波講座 世界歴史 第2巻)感想
ローマとセットにして西アジア地域と二項対立的に論じられがちだった古代ギリシアを西アジア史の文脈に位置づけたというのが特色ということになるだろうか。山花コラムで触れられている古代エジプトの女王が王朝末期に現れるというのは、日本の女帝と比較すると面白そうである。栗原焦点では古代ギリシアの少年愛について、愛され役の少年が長じて愛し役として成長しないと蔑視の対象となったというのが興味深い。阿部焦点のペルシアとギリシアが互いにどう見ていたのかという話も面白い。
読了日:02月14日 著者:

両京十五日 1: 凶兆 (ハヤカワ・ミステリ)両京十五日 1: 凶兆 (ハヤカワ・ミステリ)感想
皇族内の皇位簒奪を狙う者が白蓮教と結託して、南京から北京に戻ろうとする皇太子・朱瞻基の命を狙おうとし、于謙や白蓮教徒と因縁のある捕快の呉定縁、女医・蘇荊渓が太子を守って北京へと送り届けようとするという構図。朱瞻基と呉定縁の成長物語ということになると思うが、そのあおりということか朱瞻基のダメダメ度が他のエンタメ作品より高くなっている印象。于謙は早々と世に出た後の死亡フラグが立っている感じ。下巻にも期待。
読了日:02月18日 著者:馬伯庸

中国農村の現在-「14億分の10億」のリアル (中公新書 2791)中国農村の現在-「14億分の10億」のリアル (中公新書 2791)感想
現地調査、歴史的展開、日本や印度の農村との比較、理論の四方向から今の中国農村のリアルを描き出す。古典とされる費孝通の『郷土中国』はどうにも話がわかりにくかったが、本書は具体性でもって理論を肉付けしてくれている。現代中国に家族主義のもとでの「官」は存在しても庶民の代表となるような代議士・政治家が存在しないというのは歴史的な科挙の影響の大きさを示しているし、中国の民主主義が議会制民主主義とは大きく違った形を取らざるを得ない理由を示していよう。農民が都市化された県城に包摂されているという指摘も興味深い。
読了日:02月22日 著者:田原 史起

老虎残夢 (講談社文庫)老虎残夢 (講談社文庫)感想
武侠にミステリーをかませるというのは中国エンタメではよく見られるものだし、作者も金庸、古龍作品は一通り読んでいるようで、おそらくそれを承知で書いている。私も武侠物のバリエーションとして読んだ。しかし出版社側や評価する側はそういう予備知識がまったくないようで、基本的に歴史ミステリーとして評価しており、中国の歴史物、あるいは武侠物にミステリーをかませるのは新鮮だと考えているようである。そのギャップにそれでよいのかと考えさせられた。
読了日:02月23日 著者:桃野 雑派

ジェンダー史10講 (岩波新書 新赤版 2009)ジェンダー史10講 (岩波新書 新赤版 2009)感想
取り上げる地域は近代以降の欧米、就中ドイツ、そして日本とほぼ限られているが、テーマは歴史教育、家族、労働、植民地・戦争・レイシズムといったように幅広い。フランス革命によって女性が政治に関与する幅が却って狭くなったこと、外交史などジェンダーとは無縁と考えられてきた領域でも新しい視点が提示されていること、ルイ14世の服装から見出せるジェンダー、一定不変と思われてきた男女の身体観の変化、女性参政権の実現が女性の戦争協力の直接的な帰結とはいえないこと等々、興味深い指摘が多々見られ、啓発性に富む書となっている。
読了日:02月25日 著者:姫岡 とし子

世界哲学のすすめ (ちくま新書 1769)世界哲学のすすめ (ちくま新書 1769)感想
『世界哲学史』シリーズの補編というかダイジェスト的なものというか今後の展望的な内容。哲学そのものというより哲学研究を取り巻く現状の話が中心。話題が多岐に渡るが、翻訳のディレンマの話、アフリカ哲学の位置づけの問題、ギリシア哲学と印度哲学との邂逅の話を面白く読んだ。
読了日:02月28日 著者:納富 信留

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最近見てるドラマ(2024年2月)

2024年02月17日 | 中華時代劇
『阿麦従軍』
靖国公の一人娘阿麦は幼少の頃に父母を義兄の陳起に殺害され、それ以来男装してインチキ商売に励みつつ仇の行方を追う日々を送っている。そんな彼女がある日頑皮公子の商易之と出会う。実は彼にも出生の秘密があり…… 『太子妃狂想曲』の前伝ということで、同じく張天愛が主演しています。男装の女性が従軍してキップのいい将校の唐紹義と義兄弟の契りを交わすというあたりは花木蘭を思わせます。小ずるい阿麦が毎回ピンチを切り抜けていくさまが面白い。今年のダークホースその1ですね。

『大唐狄公案』
周一囲主演の狄仁傑物で、ヒューリック原作を謳っています。スタッフにも総編劇にイギリス人が参加。小説のディー判事のエピソードをドラマ化したようで、喬泰・馬栄など原作(あるいは原典『狄公案』)のキャラクターも登場。人体発火など『神探狄仁傑』やアンディ・ラウ主演の映画版を思わせるような伝奇風味も盛り込まれています。しかし周一囲が武功高手なのが違和感 (^_^;) これでは李元芳の出る幕がないw
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