博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

最近見てるドラマ(2024年3月)

2024年03月10日 | 中華時代劇
『大理寺少卿遊』
頭脳明晰な大理寺卿の息子李餅は父の葬儀中に悪漢に襲撃された際に猫の霊に取り憑かれ、猫としての姿と能力を手に入れる。その彼が兄を探しに洛陽にやって来た純朴な青年陳拾とパートナーを組み、大理寺少卿として陳拾や頼りない大理寺明鏡堂の面々を率いて洛陽で発生した難事件の解決に当たることに。『大唐狄公案』と同じく武則天の時代が舞台ですが、こちらはコメディです。アニメ原作で、アニメの方では李餅はずっと猫ということですが、実写版ではそうもいかず人間の姿でいることが多いのですが(いっそ着ぐるみでやって欲しかった気も…)鄭禹兮が猫のしぐさを取り入れたうまい演技をしています。

『宣武門』
清末に玉職人の李雲棉が崑崙玉から彫り出した「玉石榴」は皇室に献上されるが、「これを手に入れた者は天下をも得る」と喧伝されて官民の争奪の的となり… ということで主役の李天順を『月に咲く花の如く』の趙白石役の任重が演じ、その父親の李雲棉を趙豊毅、西太后を斯琴高娃が演じています。李天順は妻や友人とともに義和団事件、辛亥革命、日中戦争といった歴史的事件で試練に晒されるらしいです。MVでその様子を伺うだけでもワクワクしてきますw 今回の趙白石はとにかく単細胞ですね。序盤からトラブルばっかり起こしてます。しかし思わせぶりに出て来た「玉石榴」が序盤からうっちゃられてますが、どうなるのか (^_^;)

『歓楽英雄之少侠外伝』
古龍の『歓楽英雄』を『武林外伝』の尚敬がドラマ化ということで思い切りお笑いになってます (^_^;) 正直原作は古龍作品の中で一番好きな小説なので、あんまりお笑いにはしてほしくなかったんですが、字幕のフォントやなぜかクラシックの劇伴も含めて随所にこだわりの見える作品に仕上がってます。古龍ドラマの宿命か、キャラクターの名前を借りた程度にしか原作には沿ってませんが(林太平が王動より老けて見えるのが酷いw)。しかし同じ武侠コメディでも『鵲刀門伝奇』なんかと比べると三倍ぐらい見る気になりますね。あっちは金庸パロディしか能がないような作品でしたし。
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2024年2月に読んだ本

2024年03月01日 | 読書メーター
カーストとは何か-インド「不可触民」の実像 (中公新書 2787)カーストとは何か-インド「不可触民」の実像 (中公新書 2787)感想
カーストの歴史的な展開についての本かと思いきや、それは第1章のみでメインは不可触民の置かれた現状の話。フィールドワークによる実感やインタビューによる個別事例、映画での描写なども盛り込まれていて具体的な状況が想像しやすいようになっている。元々はそれほど厳密というわけでもなかったカーストが顕在化・実体化したのはイギリスによる植民地統治がきっかけだったというのが意外。不可触民の置かれた状況を見ると、日本の部落問題に対しても示唆する所が多そうである。
読了日:02月01日 著者:鈴木 真弥

ヨーロッパ史 拡大と統合の力学 (岩波新書 新赤版 2003)ヨーロッパ史 拡大と統合の力学 (岩波新書 新赤版 2003)感想
英仏独などの各国史ではなくヨーロッパ世界を一体のものとして見るヨーロッパ史……だと思う。古代末期から中世にかけての大帝の時代の部分が私にとっての読みどころだった。著者の専門柄「ビザンツ」に関する話が多いが、西暦が誕生したのはユスティニアヌスの時代であるという点や、コンスタンティノス7世が息子のために作ったという『帝国の統治について』の百科全書的な性質が『呂氏春秋』に似通っていること、ビザンツ帝国が周辺諸地域を子ども、兄弟など擬制的親族関係に擬えていたのが宋王朝のそれを連想させることなどが興味深い。
読了日:02月03日 著者:大月 康弘

アテネ 最期の輝き (講談社学術文庫)アテネ 最期の輝き (講談社学術文庫)感想
デモステネスの生涯を軸に、カイロネイア以後のアテネの社会と民主政の終焉の過程を描く。デモステネスが当事者となった裁判、特にハルパロス裁判が対マケドニア政策といった政治的対立とは無縁の、積年の怨み辛みを晴らす個人的対立の場となっていたというのが面白い。しかし民主政転覆罪を名目とした裁判の頻発が民主政への傾倒の現れだったというのはどうだろうか?文庫版のあとがきで触れられている、アルキメデス・パリンプセストの発見により、デモステネスの弁論に対する評価が変わってきたという話は興味深い。
読了日:02月05日 著者:澤田 典子

技術革新と不平等の1000年史 上技術革新と不平等の1000年史 上感想
21世紀版『人間不平等起源論』といった趣。レセップスとパナマ運河の下りは西欧版『失敗の本質』という感じだが。農耕の開始から産業革命に至るまで、テクノロジーの発展は庶民を幸せにしないどころか、それ以前より生活を苦しくさせるということが議論されている。19世紀アメリカの綿花栽培にボリシェヴィキ・ロシアの姿を見るという視点や、中国のように(というよりイギリス以外の)一定程度科学が発展していた国でも工業化出来なかったのはなぜかという議論も面白い。
読了日:02月08日 著者:ダロン・アセモグル,サイモン・ジョンソン

世界史のリテラシー 「中国」は、いかにして統一されたか: 始皇帝の六国平定 (教養・文化シリーズ)世界史のリテラシー 「中国」は、いかにして統一されたか: 始皇帝の六国平定 (教養・文化シリーズ)感想
伝世文献の記述を中心とした比較的オーソドックスというか教科書的な作りの本。「古典中国」を押し出してる所がこの著者らしいといったところか。これは著者というより「世界史のリテラシー」シリーズ全体のコンセプトでもあるかもしれないが…… 目新しさはないが、特に間違ったことを書いてあるわけでもないので、手堅い内容を求める向きには悪くない本だと思う。
読了日:02月10日 著者:渡邉 義浩

技術革新と不平等の1000年史 下技術革新と不平等の1000年史 下感想
下巻の射程範囲は20世紀から現代まで。19世紀末から戦後まで経済成長の恩恵が下々にまで及ぼされ、下層階級もそれなりに豊かな生活を送ることができたのは、企業に対する世論の高まりと労働組合などの対抗勢力の活動が活発だったからである。しかしデジタル・テクノロジーの発展、特にAIの登場によりそれも怪しくなってきた……という主旨だと思う。歴史の話と思わせてといて現在、そして未来の話の比重が大きいという作りは『サピエンス全史』と共通している。結論としてはやはり声を上げ続けることが大事ということになるだろうか。
読了日:02月10日 著者:ダロン・アセモグル,サイモン・ジョンソン

老神介護 (角川文庫)老神介護 (角川文庫)感想
「老神介護」は『折りたたみ北京』収録のものと同じものだと思うが、続編(しかも趣が全く異なる)があるとは思わなかった。「地球大砲」も「彼女の眼を連れて」とは全く趣が異なる続編。本編で描かれている、病気を理由とする人工冬眠という趣向は『三体』でも存在する。本書の中では恐竜と蟻との共生、そしてその破綻を描く「白亜紀往時」を最も面白く読んだ。同じタイトルで出版された単行本はその長編版ということらしく、そのうち読んでみたい。
読了日:02月12日 著者:劉 慈欣

古代西アジアとギリシア ~前1世紀 (岩波講座 世界歴史 第2巻)古代西アジアとギリシア ~前1世紀 (岩波講座 世界歴史 第2巻)感想
ローマとセットにして西アジア地域と二項対立的に論じられがちだった古代ギリシアを西アジア史の文脈に位置づけたというのが特色ということになるだろうか。山花コラムで触れられている古代エジプトの女王が王朝末期に現れるというのは、日本の女帝と比較すると面白そうである。栗原焦点では古代ギリシアの少年愛について、愛され役の少年が長じて愛し役として成長しないと蔑視の対象となったというのが興味深い。阿部焦点のペルシアとギリシアが互いにどう見ていたのかという話も面白い。
読了日:02月14日 著者:

両京十五日 1: 凶兆 (ハヤカワ・ミステリ)両京十五日 1: 凶兆 (ハヤカワ・ミステリ)感想
皇族内の皇位簒奪を狙う者が白蓮教と結託して、南京から北京に戻ろうとする皇太子・朱瞻基の命を狙おうとし、于謙や白蓮教徒と因縁のある捕快の呉定縁、女医・蘇荊渓が太子を守って北京へと送り届けようとするという構図。朱瞻基と呉定縁の成長物語ということになると思うが、そのあおりということか朱瞻基のダメダメ度が他のエンタメ作品より高くなっている印象。于謙は早々と世に出た後の死亡フラグが立っている感じ。下巻にも期待。
読了日:02月18日 著者:馬伯庸

中国農村の現在-「14億分の10億」のリアル (中公新書 2791)中国農村の現在-「14億分の10億」のリアル (中公新書 2791)感想
現地調査、歴史的展開、日本や印度の農村との比較、理論の四方向から今の中国農村のリアルを描き出す。古典とされる費孝通の『郷土中国』はどうにも話がわかりにくかったが、本書は具体性でもって理論を肉付けしてくれている。現代中国に家族主義のもとでの「官」は存在しても庶民の代表となるような代議士・政治家が存在しないというのは歴史的な科挙の影響の大きさを示しているし、中国の民主主義が議会制民主主義とは大きく違った形を取らざるを得ない理由を示していよう。農民が都市化された県城に包摂されているという指摘も興味深い。
読了日:02月22日 著者:田原 史起

老虎残夢 (講談社文庫)老虎残夢 (講談社文庫)感想
武侠にミステリーをかませるというのは中国エンタメではよく見られるものだし、作者も金庸、古龍作品は一通り読んでいるようで、おそらくそれを承知で書いている。私も武侠物のバリエーションとして読んだ。しかし出版社側や評価する側はそういう予備知識がまったくないようで、基本的に歴史ミステリーとして評価しており、中国の歴史物、あるいは武侠物にミステリーをかませるのは新鮮だと考えているようである。そのギャップにそれでよいのかと考えさせられた。
読了日:02月23日 著者:桃野 雑派

ジェンダー史10講 (岩波新書 新赤版 2009)ジェンダー史10講 (岩波新書 新赤版 2009)感想
取り上げる地域は近代以降の欧米、就中ドイツ、そして日本とほぼ限られているが、テーマは歴史教育、家族、労働、植民地・戦争・レイシズムといったように幅広い。フランス革命によって女性が政治に関与する幅が却って狭くなったこと、外交史などジェンダーとは無縁と考えられてきた領域でも新しい視点が提示されていること、ルイ14世の服装から見出せるジェンダー、一定不変と思われてきた男女の身体観の変化、女性参政権の実現が女性の戦争協力の直接的な帰結とはいえないこと等々、興味深い指摘が多々見られ、啓発性に富む書となっている。
読了日:02月25日 著者:姫岡 とし子

世界哲学のすすめ (ちくま新書 1769)世界哲学のすすめ (ちくま新書 1769)感想
『世界哲学史』シリーズの補編というかダイジェスト的なものというか今後の展望的な内容。哲学そのものというより哲学研究を取り巻く現状の話が中心。話題が多岐に渡るが、翻訳のディレンマの話、アフリカ哲学の位置づけの問題、ギリシア哲学と印度哲学との邂逅の話を面白く読んだ。
読了日:02月28日 著者:納富 信留

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最近見てるドラマ(2024年2月)

2024年02月17日 | 中華時代劇
『阿麦従軍』
靖国公の一人娘阿麦は幼少の頃に父母を義兄の陳起に殺害され、それ以来男装してインチキ商売に励みつつ仇の行方を追う日々を送っている。そんな彼女がある日頑皮公子の商易之と出会う。実は彼にも出生の秘密があり…… 『太子妃狂想曲』の前伝ということで、同じく張天愛が主演しています。男装の女性が従軍してキップのいい将校の唐紹義と義兄弟の契りを交わすというあたりは花木蘭を思わせます。小ずるい阿麦が毎回ピンチを切り抜けていくさまが面白い。今年のダークホースその1ですね。

『大唐狄公案』
周一囲主演の狄仁傑物で、ヒューリック原作を謳っています。スタッフにも総編劇にイギリス人が参加。小説のディー判事のエピソードをドラマ化したようで、喬泰・馬栄など原作(あるいは原典『狄公案』)のキャラクターも登場。人体発火など『神探狄仁傑』やアンディ・ラウ主演の映画版を思わせるような伝奇風味も盛り込まれています。しかし周一囲が武功高手なのが違和感 (^_^;) これでは李元芳の出る幕がないw
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2024年1月に読んだ本

2024年02月01日 | 読書メーター
アフリカ史 (講談社学術文庫)アフリカ史 (講談社学術文庫)感想
著者の専門柄ということか『新書アフリカ史』と比べて各地の神話が占める比重が多い。そして人物などについて日本史に例える箇所が目立つが、ボルヌーのイドリス2世、ズールーのシャカ王、エチオピアのメネリック2世ら英雄たちの物語は確かに魅力的である。特にエチオピアは独立を保ち続けたということもあり、アフリカ人民の解放の象徴となったということである。近代になって西欧からキリスト教が伝来すると、コンゴのシモン・キンバングーのように救世主を称して宗主国への反抗を説く者が現れたのは、中国の太平天国を連想させる。
読了日:01月08日 著者:山口 昌男

中国学の近代的展開と日中交渉 (アジア遊学)中国学の近代的展開と日中交渉 (アジア遊学)感想
複数の論文で指摘されている近代日本の漢学の先進性の指摘のほか、古勝論文で議論されている余嘉錫の章学誠評価の矛盾の真意、周論文で言及されている、明治以後の日本の漢学家たちによる現地体験や中国の学者との学術交流は過去には考えられなかったことであるという指摘や、山田論文で議論されている竹内好の「支那」呼称と「中国」呼称をめぐる葛藤などを面白く読んだ。私の専門に関係する甲骨文の研究や『古史弁』運動(この二つについても本書でカバーされているが)についても、近代の日中学術交流全般の中に位置づける必要があるのだろう。
読了日:01月11日 著者:

繁花 上繁花 上感想
90年代の話と文革の前後の話が交互に語られる群像劇というか風俗小説と言った方がいいのだろうか?筋はあるようでなく、ないようであるという感じで、ひたすら原著の上海語を関西弁に置き換えて下世話な話が続く。かと思えば古典詩詞なども適宜会話に織り交ぜてくるので、ちょっと不思議な感覚がする。取り敢えずウォン・カーワイのドラマは登場人物の名前を借りただけの別物だと思う。
読了日:01月15日 著者:金宇澄

国民国家と帝国 19世紀 (岩波講座 世界歴史 第16巻)国民国家と帝国 19世紀 (岩波講座 世界歴史 第16巻)感想
北村氏の展望ではフランス革命の起点に諸説があること、西欧諸国の植民地獲得の動機について「文明化の使命」が注目されていることなどが示唆されている。「文明化の使命」は、並河論文によると英仏による奴隷制廃止の拡散にも影響したとのこと。「文明化の使命」はまた、中澤論文で触れられる西欧のスロヴァキアなどに対する「歴史なき民」という視線とも関係するであろう。貴堂論文では、「移民国家」の印象が強いアメリカではあるが、南北戦争の頃までは「奴隷国家」「奴隷主国家」と位置づけるべきであるという議論を紹介する。
読了日:01月18日 著者:

繁花 下繁花 下感想
文革期の話と90年代の話がまったく交わらないまま展開していき、終盤まで2種類の違う話を読んでる気にすらなった(登場人物も半数以上は重ならないのではないか)。それが最後に……ということでこのままオチが付かないまま終わるのでないかと思われた話に一応の決着がついて完結する。しかし本書を読んでもドラマ版の参考にはまったくなりませんw
読了日:01月22日 著者:金宇澄

感染症の歴史学 (岩波新書 新赤版 2004)感染症の歴史学 (岩波新書 新赤版 2004)感想
新型コロナとの対比から天然痘、ペスト、マラリアの流行や対策を読み解こうという試み。第一章はコロナ禍の簡潔にしてよいまとめとなっている。しかし新型コロナに関する記憶や記録は急速に失われつつあるとして、「デマ」とされた動画なども含めて保存の必要を訴える。新型コロナが中国政府によって人為的に開発されたという言説から731部隊の話などウイルスや細菌の兵器利用の試みを話題に出したり、日本による橋本イニシアティブの発想が中国に継承されているといった点を面白く読んだ。
読了日:01月24日 著者:飯島 渉

清朝滅亡:戦争・動乱・革命の中国近代史一八九四―一九一二清朝滅亡:戦争・動乱・革命の中国近代史一八九四―一九一二感想
日清戦争から溥儀の退位までの流れをドキュメンタリーチックに描く。「海軍の予算を頤和園の修築費として流用」したという話の真相、康有為の公車上書の史実性、義和団事件の際の東南互保が清朝の中央集権体制の瓦解を決定づけたとする視点、袁世凱や孫文の人物評価などが読みどころか。
読了日:01月27日 著者:杉山 祐之

平安貴族とは何か 三つの日記で読む実像 (NHK出版新書 707)平安貴族とは何か 三つの日記で読む実像 (NHK出版新書 707)感想
一条には長らく天皇としての呼び名が定まっていなかった(意外なことに息子の後一条の方が先に定められたとのよし)というような豆知識も面白いが、『御堂関白記』の墨で消された部分の判読、『御堂関白記』『権記』などの間の一条の辞世の句の食い違い、藤原実資だけが著者とは言い切れない『小右記』の形成過程の問題など、それぞれの日記のテキスト的な問題の方がなお面白い。
読了日:01月30日 著者:倉本 一宏

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最近見てるドラマ(2024年1月)

2024年01月13日 | 中華時代劇
『天啓異聞録』
明朝天啓年間、錦衣衛の褚思鏡は任務中行方不明になった双子の弟を探すため、韃官のバヤンとともに遼東の烏暮島に上陸する。島では奇病が蔓延し、おまけに怪物が出没するというが…… ということで黄軒主演のサスペンス・ホラーです。全12話と短いですが、中国時代劇には珍しい伝奇です。怪物のほか、邪教集団だの何だのが関わってきます (^_^;) バヤン役に久しぶりに見る呉樾、西洋の女航海士(彼女の兄がやはり怪物に関わって行方不明らしい)の安大人ことアンジェリカ役に、『妖猫伝』の楊貴妃役だった楊榕容がキャスティングされてます。映像の暗さに反してB級のノリで気楽に楽しめる作品ですw

『三大隊』
凶悪犯の王大勇兄弟を追っていた公安局三大隊隊長程兵は、犯人の片割れの王二勇を取り調べ中にぶん殴って急死させてしまったことにより、罪に問われて投獄。免職となって約10年後に出所し、新しくやり直そうとするが、事件のことを忘れられず単身捜査を試みることに…… 実在の事件に取材した作品というのが売りで、秦昊が服役刑事の程兵を好演してます。映画版とほぼ同時公開ということで映画版の方が評価が高いようですが、ドラマ版もまあまあの出来です。話が始まる1998年から程兵が服役して出所する2007年までの社会の変化の急激さが序盤でうまく表現されており、当時中国にいた人が楽しめるポイントかもしれません。

『大江大河之歳月如歌』
突然放映が始まったシリーズ3作目。今作は1993年から開始。宋運輝が彭陽の農薬工場に飛ばされてから2ヶ月。工場の改革を成し遂げ、部下には慕われと順風満帆かと思われましたが、そこへ突然の大事件が。一方、雷東宝は鎮政府、県政府の支援を得て電線工場を開業。楊巡は故郷で母の死を承けて実家の後始末。それぞれ新たな出発を迎え…… ということで出だしは上々です。今作は全33話ということですが、年頭で一番続きが楽しみな作品です。韓磊によるEDテーマもいいです。

『繁花』
ウォン・カーワイ初のドラマ監督作品、胡歌ら有名俳優が出演ということで2024年年頭の最大の話題作。上海が舞台、しかも原作が上海語による小説ということでドラマの方も上海語版を用意したりしていますが、個人的にどうも作品に入り込めず…… 『大江大河3』の序盤と同様に1993年が主要な舞台ということになるようですが、ストーリーと映像に対するシンパシーは圧倒的に『大江大河』、あるいは『三大隊』の方が上なんですよね……
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