真昼の月

創作?現実? ちょっとHな虚実不明のお話です。
女の子の本音・・・覗いてみませんか?

月夜に輝く

2007-12-08 06:21:47 | オリジナル小説
最初は小さなルビーのネックレスだった。
そこから始まって、エメラルドのリング、ダイヤのピアス、サファイアのペンダント・・・どんどんn際限無く、彼女のコレクションは増えていった。
色褪せる事なく輝く宝石を見ていると、それだけで彼女の心は安らぎ満足するのだった。
そう、今の彼女はジュエリーを買うために働いていると言っても過言では無い。
風俗という、肉体的にも精神的にもハードな世界に身を置きながら、日々男達の欲望に応え、得た対価を惜し気も無く宝石達に注ぎ込む。そんな生活をもう2年もつづけていた。

彼女がそもそも風俗の世界に足を踏み入れたのは、付き合っていた恋人のためだった。
保険の切れた自動車で人身事故を起こし、多額の借金を背負った恋人。
ただ泣き言を言うしか脳の無い情けない男だったが、情けないからこそ、彼女は彼を愛していた。
自分にその弱さを露呈する姿を、愛情故と錯覚してしまったのだ。

最初は・・・恋人には秘密の仕事だった。
本屋で高額収入の求人誌を買い、そこにある風俗店に半ば混乱したまま連絡をし、そしてさしたる心の準備も無いままに仕事を始めてしまった。
恋人にその事を話すつもりは無かった。
だが、そんな事はすぐにバレてしまう。
帰宅時間の遅くなった彼女を怪しんだ恋人が、密かに後を尾けたのだ。
バレた当初は酷く怒られ、頬をはたかれ、泣かれもした。
しかし彼は卑怯でズルい男であり、所詮金の魔力には適いはしなかった。
いや、あらがう気があったのかさえ怪しい。
次第に彼女の金をアテにするようになり、金遣いも荒くなり、いつの間にか仕事も辞め、揚句の果てには別の女に貢ぐまでに成り下がっていったのだ。

別れは突然で、唾棄すべき結末だった。

事実を知った時、誤解しようの無い現場を目の当たりにして、彼女は崩れ落ちた。。。
半裸の見苦しい姿のままで苦しい言い訳を繰り返す男、その横で開き直る女 そんな二人を前に言葉も出ない彼女
現場を目撃されながら狼狽し、見苦しい言い訳を繰り返し、果ては逆切れする男を前に、彼女の中の何かが崩れた。
そう、崩れたのは二人の関係だけでは無かった。
愚かしくもまだ自分に付き纏おうとする男を醜いと思った。
いっそ開き直る女の姿の方が心地良かった。

自分でも驚くほど冷静に、彼女は二人を部屋から追い出すと、男に別れを突きつけた。
そして誓った。 もう恋なんてしないと───
そんな自分を月並みだと思いながらも、彼女はその後本当に恋をしなかった。 いや、恋ができない女になっていた。

凍えた心を抱えたまま、彼女は仕事をし続けた。
そんな必要など無くなったのだが、仕事を辞める気にはならなかった。
ひとつには考える時間が欲しく無かったからというのもある。そして自虐的な気持ちも・・・
汚れてしまった自分。裏切った恋人。
それならとことん汚れきってしまおう。

使い道の無い金は、どんどん貯まる一方だった。
そして金が貯まれば貯まる程に、彼女の心を虚無の風が吹き抜けていくのだった。

金なんて欲しく無かった。
自分に金を払ってまで会いに来る客がいる事に、なけなしの自分の存在意義を見出しているのに、矛盾した感情。
金を払ってまで会いに来る客。金を与えても裏切った恋人。
彼女には”金”という物が、これ以上無い汚れたものに感じられた。
「ぱぁーっと使ってすまおうか」ふと、そんな考えが浮かんだ。
汚い金を持っていたく無かった。
しかし使おうというものの、その方法が分からなかった。
不動産・・・には金額が足りない。
ホストクラブ・・・楽しいとは思えなかった。
美味しい料理、旅行・・・どちらも一人じゃつまらない。

そんな事を考えながら、店への道を歩いていると、ふとロードサイドにある宝飾店のショーウインドーに目が留まった。
鮮やかな赤い石のネックレス。
それは彼女の誕生石だった。
恋人が、いつか彼女の指にはめてくれると約束していた石。忌まわしい赤い色。
特に気に入ったわけでも無いのに、どうしてもそのネックレスが欲しくなった。
そのまま店内に入ると、今の彼女にとってははした金程度のそのネックレスを買い求め、身に付けもせずにバッグにしまう。
仕事がはね、帰宅すると、早速バッグからネックレスを取り出し、鏡の前で胸にかざして見る。
小さな赤い石は、汚れなく、そして今完全に彼女だけの物だ。色褪せもしなければ裏切りもしはしない。
不思議な安堵感と満足感に満たされ、その夜彼女は久々に幸せな眠りに就いた。
そしてその日から、彼女の宝石狂いが始まったのだ。

金は稼ぐ先から新しい宝石へと姿を変えていく。
身に纏うでもなく、自慢するでも無い。かといって資産と考えているわけでも無かった。
ただ、それはそこにありさえすれば良かったのだ。
そこにあるという、その事だけで、彼女は満たされ、幸福だった。
宝石達に囲まれ眠るのが、彼女の日課であり、至福の時間なのだ。

彼女は今日も男達を楽しませる。
その身を汚し、そして彼女の愛する汚れなき宝石達と共に眠るのだ。

模様替え

2007-12-08 05:51:45 | Weblog
世間ではクリスマスが近づいている今日この頃ですので、ここのBLOGもちょっぴり模様替えしてみました。
なんか気分盛り上がる気がしませんか?

ところで先日投稿した携帯サイトの小説ですけど、自信無かったので当然といえば当然なんですけど、見事に落っこちました(笑)
なのでこの後UPさせて頂く予定です。
もし良かったらご感想等お聞かせくださいね。

Freedom

2007-11-28 04:31:17 | Weblog
自由を手に入れたはずだった
自由を手にするための戦い その為に払ってきた犠牲
何物にも捉われず、自分の歩く道を自分で決める
そんな快適な自由のために生きてきた、選択だったはずだった

なのに気がついたら、その”自由”っていう枠に捉われて
いつの間にか重い足かせをつけて歩いていた自分
そんな事にさえ気づかずに過ごしてきた年月

毎日のルーティンワークに忙殺されている現在(いま)
知らず知らずの間に摩滅していた感性

15の時、自分に言い聞かせた事
何かを感じる心を 湧き上がる情熱を鈍化させる事なく生きていこうとした自分
そんな気持ちを いつからどこに忘れてきてしまっていたのだろう

もし今飛ぼうとしたら、果たしてとべるだろうか? それとも無様に墜落してしまうのだろうか?
それでもいい 自分に起こる物事を 気づかず生きていくよりは
悲しさだって、感じないより感じて涙した方がずっと自分らしい

私は私を取り戻そう いつか気づかなくなってしまう前に
全てを忘れて楽な選択をしてしまうその前に

戦う事は辛い事だけど 戦わなければ手に入らない物がある
それが自由という名の翼だとしたら、傷だらけになっても掴み取りたい

Go on and on!

まだ遅すぎはしない
飛べるだけ飛ぼう 動けなくなるまで
後悔するなんて、それからでも遅くは無い

投稿してしまいました。

2007-11-25 00:58:26 | Weblog
今日の内容は、またまた”都築凛”としてのご報告です。

先月見事に落っこちた携帯サイトの投稿小説。
今月のテーマは”宝石”という、私にとってはちょっと難しいテーマだったんですけど、なんとか昨日投稿を終えました!

宝石と風俗嬢とに纏わる、ちょっと悲しい、ちょっと切ないストーリーです。

前回は2作品投稿したんだけど、今回はこの1作品だけにするつもりです。
正直納得の行く作品にはできなかったんだけど、なんとかまとめてみました。
前回同様、落っこちたらこちらで掲載させて頂きますね(笑)

恋をしたら・・・

2007-11-23 23:07:58 | コラム
”風俗で恋をする” よく聞くお話です。
意識するにせよ、しないにせよ、通っている特定の女の子がいる場合、多かれ少なかれ恋情というものは、恐らくあるのでしょう。
ここで言いたいのは、あくまでも”恋”情だという事。
恋は愛の中に含まれるけど、愛は恋の中に必ずしも含まれません。
風俗で愛する事ができる人は、恋をする人の中のほんの一握りでしょう。

と、余談は置いておいて・・・風俗で恋をするのはどうなのか?
私は敢えて是と言います。

よく聞きますよね。”勘違い客”という言葉やストーカーの存在、そして女の子側からの色恋営業etc.
でも、それを鑑みた上でも、やはり私は風俗での恋はアリだと思うのです。
それは何故か・・・
そもそも仕事とはいえ、肌を重ねる以上何の感情も抱かないわけが無いのです。
それが良い感情であれ、悪い感情であれ、人間であれば何らかの感情を抱くのがごく正常なのではないでしょうか?

そんな事は無いよ、金だけのビジネスライクの付き合いだよ、と言う方。
私には非常に不幸な方に思えてしまいます。
だって、ただ単に肉体的な欲求だけで風俗を訪れるのであれば、風俗など行かないで、いくらでも安く済ませる方法があるじゃないですか。
女の子側だって、恋をするとは言わないけど、好きなお客様、嫌いなお客様、きっとどんな子にだっているはずです。
もし嫌いなお客様しかいないという子がいたとしても、嫌いという感情を抱いた時点で、ビジネスライクには徹しきれていないと言えませんか?
本当に何も感じない方がいるとすれば、それは心のどこかが欠けているのでは無いでしょうか?

風俗嬢側も客側も、所詮どちらも人間なんですから、いろんな感情を持って当たり前です。

とはいうものの、毎回恋をされて告白されていたら身が持たないという風俗嬢さん、風俗嬢に恋などしたら嫉妬で大変だというお客様、どちらの意見も尤もです。
本当にそのつもりが無くても真剣に恋したり愛したりしてしまった人は、それはもう、その後は成り行きに任せるしか無いでしょうけど、そうじゃ無い人は”擬似”でもいいじゃないですか。
そもそも風俗は架空の空間、架空の存在同士として出逢場所。
そんな中では束の間俗世のしがらみを忘れて、出逢い、恋をし、泡沫の夢を見て、そしてまた俗世の中で出て行く・・・
これでいいような気がします。

逆に言うなら、わざわざ風俗に行ってまで、夢さえ見れない人、夢さえ見せられない人は風俗には向いていないのかもしれないですね。

木枯らしの吹くこんな夜は、いくつもの恋が生まれては消えていく、そんな気がします。