米共和党のジョンソン下院議長は4月15日、イスラエルとウクライナへの支援を今週、別個の法案として審議すると述べた。
上院は約2カ月前に両国への支援を一体化した法案を可決している。

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上院はこれまで与野党の対立で宙に浮いていたウクライナへの軍事支援の予算について、2月13日 に緊急の予算案を可決した。

緊急予算案は953.4億ドル(約14兆円)にのぼる。ウクライナやイスラエル支援に加え、インド太平洋地域向けの予算も計上した。

2月7日に否決された予算案から、トランプ前大統領の介入で政治問題になっている米国の国境不法移民対策の予算を除外し、ほぼ、前回と同じものである。

バイデン案 2/7 上院否決 2/13 上院可決
ウクライナ支援 614億ドル 601億ドル 600.6億ドル
米国国境不法移民対策  136億ドル 202億ドル

 除外

イスラエル支援 143億ドル 141億ドル 141億ドル
ガザ支援 92億ドル 100億ドル 91.5億ドル
インド-太平洋 74億ドル 48.3億ドル 48.3億ドル
紅海対策 24.4億ドル 24.4億ドル
その他 63億ドル 47.6億ドル
合計 1060億ドル 1180億ドル 953.4億ドル

2024/2/9 米連邦議会の混迷 

野党・共和党の ジョンソン下院議長は、国境の危機的な状況への対応を怠っているとして、この予算案に否定的な考えを示していた。

ジョンソン下院議長は共和党の超保守派議員から、移民政策で譲歩を引き出すことなしにウクライナ支援法案を可決させないよう圧力を受けている。超保守派議員が求めているのは亡命希望者全員を強制的にメキシコにとどまらせること、国境に壁を建設することなど、民主党にとっては受け入れがたい内容である。

なお、トランプ前大統領は2月10日、Social Media PlatformのTruth Socialで、米政府の対外国支援を返済義務が生じる融資又は紐付き融資に限定すべきだと表明した。反対してきた対ウクライナ追加支援の条件に浮上する可能性がある。

2024/2/15 米議会上院 ウクライナ支援の予算案可決  成立は不透明な状況

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ジョンソン下院議長は4月17日、イスラエル、インド太平洋地域、ウクライナの地域別に分割した三つの法案を20日に採決にかけると明らかにした。対外支援法案については米政府や外国から早期の採決を求める声が上がっていた一方で、一部の共和党員が強く反発していた。

下院歳出委員会は計950億ドル超の安全保障支援法案を公表した。ウクライナに608.4億ドル、イスラエルに263.8億ドル、インド太平洋に81.2億ドルを充てる。

ジョンソン議長は20日正午まで法案を精査し修正を提案する期間を設けると述べた。保守派の要求に応じ、国境警備に関する別の法案を公表する方針も示した。

2/13 上院可決 今回下院案
ウクライナ支援 600.6億ドル 608.4億ドル
(うち 融資) (79.0億ドル)
米国国境不法移民対策 

 除外

イスラエル支援 141億ドル 263.8億ドル
ガザ支援 91.5億ドル
インド-太平洋 48.3億ドル 81.2億ドル
紅海対策 24.4億ドル
その他 47.6億ドル
合計 953.4億ドル 953.4億ドル

詳細は別紙

トランプ前大統領の主張を踏まえ、ウクライナ支援法案にはこのうちの経済援助の79億ドルは2025年9月までの融資の形をとる。

政府は法案成立後60日以内にウクライナ政府と返済について合意する必要がある

なお、議会が認めれば、大統領は2024年11月15日以降にウクライナの債務の50%を、また2026年1月1日以降に残りすべてを、帳消しにできる。(バイデンが大統領選に勝てば、この規定でウクライナの債務を消せるが、トランプが勝てば、ウクライナ支援をローンにすることを主張しているため、これを求めないと思われる。)

下院指導部はその後、安全保障支援パッケージの一環として4番目の法案を提出した。上院案には盛り込まれていない凍結したロシア資産のウクライナへの移転やイスラム組織ハマスとイランに対する制裁が含まれた。

「TikTok」など中国の字節跳動(バイトダンス)傘下のアプリについて、米国内のアプリストアでの配信やホスティングサービスの利用を禁止する項目も入った。
バイトダンスやその他の「外国敵対勢力」の管理下にある企業との関係を断てば適用を免れる。

バイデン米大統領は17日、「イスラエルやウクライナ、パレスチナへの人道支援、インド太平洋の安全保障強化を提供する緊急予算案を強く支持する」と述べ、上下両院に早期可決を求めた。

共和党の保守強硬派は、ジョンソン議長がウクライナ支援と国境管理厳格化をセットにして民主党の譲歩を迫らなかったことに反発し、ジョンソン議長が法案を採決にかければ同氏の解任を求める構えを見せているが、下院民主党ではジョンソン下院議長の解任動議が提出されても同調せず、反対すべきだとの声が強まっている。


2023年10月に米下院共和党保守強硬派が、共和党のマッカーシー下院議長が政府機関閉鎖の回避に向けたつなぎ予算成立を図るため民主党の支持を得たことを問題視し、解任動議を提出したが、民主党議員全員がこれに賛成し、8人の共和党員の造反で、これが通ってしまった。共和党議員の大半の反対にもかかわらず民主党の望む法案を通してくれた議長を放り出すことになり、その後、混乱が続いた。

今回は予算案の成立を優先する。

4月18日の朝日新聞は、「宇宙から見える」砂漠に再エネ発電所 のタイトルで、インド西部グジャラート州の最西部にあるカッチ地方の砂漠で建設されているGujarat Hybrid Renewable Energy Park (Khavda Solar Park) の訪問記を掲載している。

用地面積はシンガポールの国土とほぼ同じ広さの約724平方キロメートルの人を寄せ付けない塩性湿地で、総事業費は22億6千万ドル(約3400億円) 、ディベロッパーはその巨大さをit will be visible from space と表現した。

インドの西北端で、パキスタンとの国境近くのKhavda村の近くにある。

官民計6社が設備を設置・運営し、計画段階の出力は計2770万キロワット。単純比較で大型火力発電所や原発約20基分に相当する。太陽光と風力発電に加え、蓄電設備も設ける。発電量が天候に左右される再エネの弱みを補い、24時間電気を供給できる計画である。

Sr.No Name of Park Developers Solar-Wind Hybrid capacity (MW) Allocated Land in (Ha.)
1 Gujarat Industrial Power Company Limited 2,375 4,750
2 Gujarat State Electricity Corporation Limited 3,325 6,650
3 National Thermal Power Corporation Limited 4,750 9,500
4 Adani Green Energy Limited 9,500 19,000
5 Sarjan Realities Limited 4,750 9,500
6 Solar Energy Corporation of India Limited

(only wind)  3,000

23,000
Total 27,700 MW 72,400 Ha

Developers は、2021/12/31から3年以内に能力の50%、5年以内に100%達成を義務付けられている。

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人口増加や経済発展によるエネルギー需要の急激な伸びが予測されるインドでは、効率的かつ環境に優しいエネルギーインフラの拡充が急務となっている。モディ首相は、2021年に開催されたCOP26(第26回気候変動枠組条約締約国会議)において、2070年までにネット・ゼロ・エミッションを達成する、具体的な目標年を発表、再生可能エネルギー発電容量を500GWまで増やし、2030年までにインドのエネルギー需要の50%を再生可能エネルギーで賄うことを宣言した。

国際エネルギー機関(IEA)によると、2022年時点でインドは再生可能エネルギー容量と風力発電容量で世界第4位、太陽光発電容量で第5位である。また、インドはCOP21での公約を9年近く前倒しで達成し、すでに発電能力の40%を非化石燃料で賄っており、インドのエネルギーミックスに占める太陽光と風力の割合は驚異的に伸びている。

インドの再生可能エネルギー発電容量は過去数年間で急速に増加しており、FY16~FY23(2023年2月まで)の年平均成長率は14%を超える。

その内訳は、太陽光と風力がほとんどを占めている状況。2019年時点では風力が主流だったが、現在は太陽光が53%を占め、次いで風力35%、両者を合わせ、88%に上る。


以上、infoBRIDGE 情報

経済産業省は2023年12月13日、国が指定した秋田・新潟・長崎の3海域で洋上風力発電を担う事業者の公募結果を発表した。

公募された海域は再エネ海域利用法で促進区域に指定しており、事業者は最大30年間占有できる。今回は2021年末の初回に続く第2弾となる。

公募結果は下記の通り。秋田県八峰町及び能代市沖については、最も評価の高かった事業者に再提出させ、第三者委員会における評価等を経て、2024年3月に選定結果を公表する。

第1ラウンド 2022/2/24 国の洋上風力発電公募入札の評価基準が問題に

第2ラウンド(中間)  2023/12/14 経産省、洋上風力発電を担う事業者の公募結果を発表


3月に
秋田県八峰町及び能代市沖について、下記の通り発表され、第2ラウンドのすべてが揃った。

事業者 発電設備 運転開始 供給価格
秋田県八峰町及び能代市沖 ジャパン・リニューアブル・エナジー(ENEOS)
イベルドローラ・リニューアブルズ・ジャパン、
東北電力 
37.5万kw(1.5万kW×25基、Vestas製) 2029年6月 @3
長崎県西海市江島沖 住友商事、東京電力リニューアブルパワー 42.0万kW (1.5万kW×28基、Vestas製) 2029年8月 @22.18
秋田県男鹿市、潟上市及び秋田市沖 JERA、電源開発、伊藤忠商事、東北電力 31.5万kW (1.5万kW×21基、Vestas製) 2028年6月 @3
新潟県村上市及び胎内市沖 三井物産、RWE Offshore Wind Japan 、
大阪瓦斯
68.4万kW (1.8万kW×38基、GE製) 2029年6月 @3


長崎県西海市江島沖は
着床式で、ジャケット式基礎のため、上限価格を29円/kWhに設定
他の3つはモノパイル式で、「ゼロプレミアム水準」を3円/kWhとし、3円以下の価格はすべて価格点を満点(120点)とした。


各計画の詳細は次の通り。

1) 秋田県八峰町及び能代市沖

「合同会社八峰能代沖洋上風力」は、ジャパン・リニューアブル・エナジー(JRE)、イベルドローラ・リニューアブルズ・ジャパン(スペイン)、東北電力の3社で構成


2) 長崎県西海市江島沖

「みらいえのしまコンソーシアム」:住友商事、東京電力リニューアブルパワー

 

  

3) 秋田県男鹿市、潟上市及び秋田市沖

「男鹿・潟上・秋田Offshore Green Energyコンソーシアム」は、JERA、電源開発、伊藤忠商事、東北電力の4社で構成する。

4) 新潟県村上市、胎内市沖

「村上胎内洋上風力コンソーシアム」は、三井物産、RWE Offshore Wind Japan 村上胎内、大阪瓦斯の3社で構成する。


全体計画は下図のとおり。

2024年1月19日、洋上風力第3ラウンドの事業者公募が開始された。今回の対象区域は「青森県沖日本海(南側)」「山形県遊佐町沖」の2つで、公募の期間は2024年1月19日〜2024年7月19日。

    選定事業者 運転開始
促進地域 ①長崎県五島市沖 1.7万kw 戸田建設グループ
②秋田県能代市・三種町・男鹿市沖 47.88万kw 三菱商事連合
③秋田県由利本荘市沖 81.9万kw 三菱商事連合
④千葉県銚子市沖 39.06万kw 三菱商事連合
⑤秋田県八峰町・能代市沖 37.5万kw ジャパン・リニューアブル・エナジー(ENEOS グループ)
イベルドローラ・リニューアブルズ・ジャパン、
東北電力 
2029/6/30
有望な区域 ⑥長崎県西海市江島沖 42.0万kw 住友商事、東京電力リニューアブルパワー 2029/8/31
⑦青森県沖日本海(南側)

 第3ラウンド

⑧青森県沖日本海(北側)  
⑨秋田県男鹿市、潟上市及び秋田市沖 31.5万kw JERA、電源開発、伊藤忠商事、東北電力 2028/6/30
⑩山形県遊佐町沖

第3ラウンド

⑪新潟県村上市及び胎内市沖 68.4万kw 三井物産、RWE Offshore Wind Japan村上胎内、大阪瓦斯 2029/6/30
⑫千葉県いすみ市沖  

三菱商事は4月16日、Shell US Gas & Powerなどが米国ルイジアナ州で検討を進める大気中の CO2 を直接回収するプロジェクト(Pelican Gulf Coast Carbon Removal Project)への参画を決定したと発表した。

参画企業・団体は、シェル、ルイジアナ州立大学、ヒューストン大学と三菱商事で、ルイジアナ州立大学が主導する。最先端の直接空気回収(Direct Air Capture)技術を活用して大気中のCO2を回収し、ルイジアナ州を中心としたエリアに地下貯留することで炭素除去(Carbon Dioxide Removal)を行う。将来的にCO2換算年間約100万トンの炭素除去を目指す。

今後、大幅なコスト削減が見込まれる複数の有望なDirect Air Capture技術会社と共に技術実証を進め、Direct Air Capture技術の精査と設計作業を通じて当該技術の成熟度を高めつつ、Direct Air Capture技術会社への資金拠出を含めた商業化支援、エネルギー消費・用水・土地利用等におけるコスト削減機会の追求などを通じ、Direct Air Capture事業の早期商業化を目指す。

将来的には回収したCO2の一部をe-methane (非化石エネルギー源を原料として製造された合成メタン)やSustainaやSustainable Aviation Fuel(持続可能な航空燃料)などの三菱商事が取り組む合成燃料の原料として活用することや、直接空気回収事業の他地域での展開も視野に入れながら、カーボンニュートラル社会の実現に貢献するとしている。


米国エネルギー省は2023年8月に、本プロジェクトの第一段階を支援するために、490万ドルのプロジェクト助成金を授与した。

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直接空気回収(Direct Air Capture)技術には下記の4つの方法がある。(産業技術総合研究所)

DACの種類特徴主な材料
化学吸収法 空気を吸収液に通すことで、大気中のCO2を吸収・分離し、加熱によってCO2を回収する。 アルカリ水溶液
アミン
化学吸着法 空気を吸着材に通すことで、大気中のCO2を吸着・分離し、加熱・減圧・加湿操作によりCO2を回収する。 アルカリ金属塩
アミン担持多孔質材
金属有機構造体(MOF)
イオン交換樹脂
膜分離法 空気を分離膜に通すことで、大気中のCO2を分離・回収する。 高分子膜
イオン液体膜
深冷分離法 CO2の凝固点まで空気を冷却し、CO2をドライアイスにして分離する。


Harvard Medical School のMassachusetts General Hospital は3月21日、遺伝子操作を行ったブタの腎臓を脳死者でない患者に世界で初めて移植したと発表した。同病院では1954年に世界で初めて腎臓移植が行われている。

移植を受けたのは重い腎臓病を患っていた男性 Rick Slayman(62)で、手術は3月16日に行われ、4時間に及んだ。術後の経過は順調で、患者は手術から2週間あまりがたった4月3日に退院した。

手術を執刀したのはハーバード大学外科教授の河合達郎医師(67歳)で、2023年8月にMassachusetts General Hospital に新設された臨床移植免疫寛容センター(Legoretta Center for Clinical Transplant Tolerance)の初代所長に就任した。

移植寛容は、臓器移植と同時に骨髄或いは血液幹細胞を移植することにより長期間の免疫抑制剤を必要とせずに、患者の免疫系が新しい臓器を維持することを可能にする革新的な方法で、移植の成功を確保しながら、患者が薬物療法を減らす、又は中止することを可能にする。Legoretta夫妻の2500万ドルの寄付で、移植寛容における世界有数のセンターとなることを目的に設立された。

患者は11年間移植を待ち、2018年に腎臓の提供を受けた。しかし昨年から腎不全の兆候が現れ始め、透析を再開、「末期」との診断が下された。

医師らからブタの腎臓の移植について提案され、男性は「自分が助かるためだけでなく、移植を必要とする多くの人に希望を与えるものだと考えた」と決断に至った経緯を説明した。

河合医師によると(毎日新聞インタビュー)、今回の手術の前にサルで100例以上ブタの腎臓を移植したが、今回、移植直後の腎臓の様子がこれほど良かった例はなかったという。移植した腎臓に血液が流れ始めると 、きれいなピンク色になり、すぐに尿が出た。

人間の場合は腎臓の動脈が2本や3本、たまに4本あることもあるが、ブタはいつも1本で、その意味では実は人間のドナーよりも技術的には簡単だが、今回の患者は透析が難しいほどに血管の病変が進み、移植で使える動脈が限られるなどの難しさはあったという。

今回使用したブタは、米スタートアップの eGenesisが、拒絶反応が起こりにくくなるように遺伝子を改変したもの。ゲノム編集技術「CRISPR/Cas9」が2012に登場し、2015年に同社が創業した。

eGenesisは、ハーバード大学の遺伝学者 George Church と30歳のMs. Luhan Yang(Chief Scientific Officer )が2015年に共同設立した。

人間の病気や臓器の拒否反応の原因となり得る特定の遺伝子を不活性化することで、豚の臓器を人間に移植可能なものにすることを目指している。

この手術で使用されたドナー腎臓(EGEN-2784)は、同社の腎移植のリード候補であり、以下の3つのクラスの編集をした。

(1)ハイパーアキュート(超急性)拒絶に関与する糖鎖抗原の合成に関与する3つの遺伝子のノックアウト、
(2)拒絶を調節する経路の調節に関与する7つのヒトトランスジェンの挿入:炎症、先天性免疫、凝固、および補体、
(3)豚のゲノム内の内因性レトロウイルスの不活化。

遺伝子改変を行わない場合、豚の腎臓は人間の受容体によって直ちに拒絶される。eGenesisは、臓器の安全性と有効性を解決するために、これらのすべての編集を持つ臓器を開発している業界で唯一の企業。

河合医師は5年ほど前まで異種移植をあきらめかけていた。2000年代初め、異種移植後の急性の拒絶反応を抑えるため、Gal(ギャル)という抗原を生む遺伝子をノックアウト(欠失)させたブタが登場したが、その腎臓をサルに移植してもせいぜい100日くらいまでしか生きられず、その先の展望が見えなかった。

そこにクリスパーが登場、さらに多くの拒絶や感染を引き起こす可能性のあるブタの遺伝子を除去したり、特定のヒトの遺伝子を追加したりすることが簡単になった。

それからまた試してみようかという雰囲気になった。

eGenesisと共同研究を始めたのは2017年ごろで、新しいドナーのブタの作製が続けられ、河合医師らは週2~3例のペースでサルでの移植を続けた。免疫抑制法を工夫するなどしてついに術後2年以上生存させることに成功し、これならヒトでも可能かもしれないと思ったという。

過去にゲノム編集されたブタの心臓移植を2人の患者が受けている。
1人目は2022年1月、2人目は23年9月に手術を受けたが、いずれも2カ月足らずで死亡した。

Massachusetts General Hospital の医療チームは、さらに多くの患者でゲノム編集したブタの腎臓移植を実施すべく、正式な臨床試験を開始する予定だが、さしあたり、スレイマンの健康維持に主な焦点を置いている。

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明治大学発ベンチャーのポル・メド・テック社とeGenesis は、eGenesis が開発した遺伝子改変ブタを日本で再現生産することに成功した。3頭のブタが2024年2月11日に誕生し、今後前臨床研究のために日本国内の医療機関に供給される予定。

ポル・メド・テックは、明治大学バイオリソース研究国際インスティテュートにおける遺伝子改変ブタ作出技術の事業化を目的に2017年2月に設立された。

事業内容は、
 医療用ブタによる臓器移植・再生医療事業
 疾患モデルブタの製造販売事業
 技術サービス事業

2023年9月にポル・メド・テックはeGenesisから遺伝子改変ブタ細胞を輸入し、明治大学バイオリソース研究国際インスティテュートで開発された体細胞核移植技術を用いてクローン子豚を作製した。

実績を有する遺伝子改変ブタのクローン個体が日本で誕生したことにより、今後我が国での臨床応用実現に向けての取り組みが加速化されることが期待される。


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東京慈恵医科大や国立成育医療研究センターなどの研究チームが、重い腎臓病の胎児にブタの腎臓を一時的に移植する臨床研究を計画している。年内にも、国が認定する委員会への研究計画の申請を目指している。



腎臓に問題がある「ポッター症候群」の胎児に、受精後30日のブタ胎児から取り出した約2mmの腎臓を移植する。移植手術は出産予定日の約4週間前に行い、胎児の背中の皮下に特殊な注射針でブタの腎臓を注入する。

ポッター症候群は、生まれつき腎臓が正常に作られず、体内の水分や老廃物を十分に排出できない病気で、5000~1万人に1人の頻度で発症するとの報告もある。妊娠中に羊水の量が少なくなることで見つかり、肺などに障害が出る。生後、透析が受けられないと、間もなく死亡するケースが多い。

移植した腎臓は周囲の血管と自然に結合し、1日数十ml 程度の尿を作ることが期待できるという。出産後、赤ちゃんの背中にチューブを挿入し、たまった尿を排出する。

治療は、赤ちゃんが透析を安全に受けられるようになるまでの数週間、病気の腎臓の代役となる「橋渡し」との位置づけで、その後、ブタの腎臓は取り除くという。

チームの横尾隆・慈恵医大教授(腎臓高血圧内科)は「亡くなるのを見守るしかなかった赤ちゃんの命を救える可能性がある」と話す。

新タイプの肥満症治療薬の利用者が、米国を中心に世界で急増している。

先駆けとなったのが、デンマーク製薬大手Novo Nordisk Wegovy(ウゴービ )で、2021年に米国で承認された。もともと糖尿病(内臓脂肪の蓄積が主な原因)のために開発した薬(GLP-1受容体作動薬)を肥満症治療に応用したもので、食欲を抑制することでやせる効果があるとされる。日本では「セマグルチド(遺伝子組換え)」として2023年3月に承認された。

食事をとると小腸から分泌され、インスリンの分泌を促進する働きをもつホルモンをインクレチンといい、GIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド )とGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)がある。
2型糖尿病に対する治療薬として注目されるのがGLP-1である。

GLP-1は、食事をとって血糖値が上がると、小腸にあるL細胞から分泌され、すい臓のβ 細胞表面にあるGLP-1の鍵穴 (受容体) にくっつき、β 細胞内からインスリンを分泌させる。GLP-1は、血糖値が高い場合にのみインスリンを分泌させる特徴がある。摂取した食物の胃からの排出を遅らせる作用や食欲を抑える作用などもある。

GIPも食欲を抑制するだけでなく、体内での糖分や脂肪の分解を改善する可能性がある。

Eli Lillyは昨年12月、同様の働きを持つ肥満症治療薬Zepboundを米市場に投入した。

Amgen や Pfizerなど多くのメーカーが開発を急ぐ。

CNBCによると、各社の開発状況は下記の通り。

製品名

メーカー

用法

米承認

Wegovy

Novo Nordisk

週1回の注射

2021 承認

GLP-1を活性化 

Zepbound

Eli Lilly

週1回の注射

2023 承認

GLP-1とGIPを活性化   

Saxenda

Novo Nordisk

週1回の注射

2020 承認

GLP-1を活性化

MariTide

Amgen

月1回の注射

Experimental

GLP-1を活性化し、GIPをブロック

Danuglipron

Pfizer

1日1回の錠剤

Experimental

GLP-1を活性化

VK2735

Viking Therapeutics

週1回の注射

Experimental

GLP-1とGIPを活性化

Pemvidutide

Altimmune

週1回の注射

Experimental

GLP-1を活性化

GSBR-1290

Structure Therapeutics

週1回の錠剤

Experimental

GLP-1を活性化

Survodutide

Zealand Pharma,
Boehringer Ingelheim

週1回の注射

Experimental

GLP-1とグルカゴンを活性化


Amgen のMariTide は、他の薬剤が週1回の注射が必要なのに対し、月1回の注射でよいことで注目されている。

Eli Lilly のZepbound はGLP-1とともにGIPを活性化する。GIPは食欲を抑制するだけでなく、体内での糖分や脂肪の分解を改善する可能性がある。

しかし、AmgenのMariTideはGIPをブロックする。同社では、これを遺伝学的研究に基づいているとしている。

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これとは別に、日本では2023年2月17日に大正製薬が、肥満の人向けの肥満症予防薬オルリスタットをOTC医薬品として厚生労働省より製造販売承認を取得した。欧米ではRocheがXenical、GraxoSmithKlineがAlliの商品名で販売している。

薬局・薬店で薬剤師から指導を受けて購入する「要指導医薬品」に指定されている。「腹部が太めな方の内臓脂肪および腹囲の減少(生活習慣改善の取り組みを行っている場合に限る)」の効能・効果をうたう。

カプセルタイプで1日3回、食事中もしくは食後に服用する。

オルリスタットには、脂質の吸収を抑える効果がある。通常、小腸では、リパーゼという脂肪分解酵素が脂質を分解して、脂質が吸収される。オルリスタットを服用すると、オルリスタットはリパーゼと結合し、リパーゼの働きが抑えられる。その結果、脂質は分解されず、そのまま便として排出され、肥満症を予防する。


神戸大学大学院科学技術イノベーション研究科の田口 精一特命教授、高 相昊特命助教と産総研とカネカの共同研究グループは4月10日、"強靭性" と "生分解性" を両立する次世代型ポリ乳酸の開発に成功したと発表した。

   https://www.kobe-u.ac.jp/ja/news/article/20240402-65194/

石油系プラスチックは、衣類・食品容器・医療器材など、日常生活を豊かにしてくれる欠かせない材料だが、世界で年間4億トンも製造される巨大産業で、毎年約600万トンのプラスチックごみが海洋へ流出している。

気候変動対策としてのCO2削減、不適切な廃棄による海洋汚染問題が世界的な課題となる中で、これらの課題解決に応える"実用的な"生分解性プラスチック素材の開発が求められている。

ポリ乳酸は、木や草などの未利用な植物バイオマスを原料から作られるバイオプラスチックの代表格であり、石油由来の合成プラスチックの代替素材として注目されているが、ポリ乳酸には、"硬い・成型しづらい"という実用面の課題と、海水中では "難分解" という環境面での課題を抱えており、利用拡大の妨げとなっている。

今回開発に成功した次世代型ポリ乳酸は、使用時は"強靭" でありながら、使用後は、海水中でも速やかに "生分解" されるため、地球にやさしい実用的なバイオプラスチック製品の開発に繋げることが期待できる。

「次世代型ポリ乳酸に立脚した循環型プラスチック材料開発」 の全体像 は下図の通り。



神戸大学の研究グループでは、遺伝子組換え大腸菌により、乳酸(LA)と3-ヒドロキシブタン酸(HB)の共重合体(LAHB)の合成に世界で初めて成功した。

微生物によって生合成される天然ポリエステルの "3-ヒドロキシブタン酸" の基本骨格に、非天然の "乳酸"を組み込むことで実現した成果で、天然の生分解性を持つポリヒドロキシブタン酸実用物性を持つポリ乳酸の両方の長所を兼ね備えたハイブリッドな性質を示すため、まさに、次世代型のポリ乳酸と言える。

従来のアカデミック用途の "大腸菌" を用いたLAHB生産系では、「生産性が低い」ことが実用化に向けての大きなハードルとなっていた。

今回、生分解性プラスチック GreenPlanet TM の商用生産に成功しているカネカとの共同研究を行い、産業実績のある "水素細菌" に注目し、代謝経路の最適化を行う合成生物学的アプローチによって、LAHBの大量生産技術を世界で初めて確立した。

水素細菌から生産されるLAHBは、分子量100万を超える "超高分子量" で強靭なプラスチックであることが明らかになった。成型加工プロセスで要求される "強靭性" を発揮する実用的なプラスチック素材である点が、従来技術と大きく異なる。

今回得られたLAHBは、強靭な特性を持ちながら、海水中に含まれる微生物によって、常温でも速やかに生分解されることも明らかになった。

さらに産総研の共同研究において、LAHBをポリ乳酸に添加剤として少量加えることで、ポリ乳酸の伸びの大幅な改善と、ポリ乳酸の海水中での生分解が促進されることを見いだした。

すなわち、LAHBがポリ乳酸の "強靭性""生分解" の弱点を解消する "モディファイアー (改質剤)" として機能するという、これまでのポリ乳酸が分解されないという常識を覆す革新的な研究成果である。


今後の展開として、
様々な環境に応じて、生分解性を制御し、かつ、本来の性能や機能を発揮できるような自律的プラスチック材料あるいは、ポリ乳酸の改質剤としての展開を図る。
将来的には、バイオ・サーキュラーエコノミー社会への貢献が期待される。



この研究成果は、4月10日に、国際誌「ACS Sustainable Chemistry & Engineering」に掲載された。

日本産業パートナーズは2023年3月23日、東芝を株式公開買い付け(TOB)で非公開化することを目指すと発表、8月8日から買付を行い、9月20日に応募が成立に必要な 3分の2を上回り(78.65%)、TOBが成立した。

この結果、東芝は2023年12月20日をもって上場廃止となり、TOBに応募しなかった株主には、スクイーズアウト手続きにより公開買付け価格と同額の1株あたり4,620円の金銭が交付される。

11月22日に臨時株主総会を開き、株式併合を決めた。普通株93,000,000 株を1株に併合するもので、併合後の発行済株式はたった4株になった。

2023/8/8 東芝、国内連合が8月8日からTOB 付記

他方、東芝の過去の不適切会計問題を巡り、株主が旧経営陣の経営責任を追及する株主代表訴訟が多数、進展している。

2015年に発覚した不正会計問題で、東芝は旧経営陣に責任があるとして佐々木則夫元社長ら5人を提訴、別途、個人株主が他の歴代幹部10人に株主代表訴訟を起こした。 東京地裁はこれを統合した裁判で2023年3月に、東芝が訴えた3人と株主が訴えた2人の計5人の賠償責任を認め、総額3億860万円の賠償を命じた。

会社提訴は5人のうち2人が請求却下、3人が連帯で合計2億円、株主代表訴訟での2人が1億860万円となる。

2023/3/30 東芝粉飾事件で元役員に対する損害賠償請求訴訟の判決

上記の控訴審や、別の訴訟の判決が順次、出つつある。

ここで、「株式併合」が問題となった。

上記の裁判の控訴審で東京高裁 は2024年3月6日、株主代表訴訟分について、株式併合で原告株主の保有株が1株未満になったため「原告適格を失った」と判断し、内容は何も判断せずに、この分の一審判決を取り消し、株主の訴えを却下した。

東京地裁で審理が続いていた監査法人への訴訟も2024年3月28日、同様の理由で却下された。

株式併合で原告株主の保有株が1株未満になったため「原告適格を失う」だけでなく、TOBに応募しなかった株主は上場廃止後ににはスクイーズアウト手続きにより新株主に強制的に買い上げられるため、原告としての法的な立場を失う。

TOBがからむ限り、「会社役員の意思決定や行動等により会社に対して損害を与えたにもかかわらず、会社がその責任を追及しない場合、株主が所定の手続を経たうえで会社に代わってその会社役員の責任を追及する訴訟を提起できる」という会社法 第847条の規定が意味がないこととなる。

弁護団は、TOBで株主の地位を引き継いだ日本産業パートナーズ陣営に株主側の訴えを引き継いでもらう必要があるとして、質問状を送り、訴訟の経緯とともに、一部の賠償請求権が失われることを説明したが、現在も回答はないという。

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株主代表訴訟ではなく、旧株主として損害を受けたとして訴えた場合は、TOBで株主の地位を失っても原告としての資格は失わない。

東芝の不正会計問題で株価が下落し損失が生じたとして、個人株主244人が同社と旧経営陣に計約7億2200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は2024年3月22日、東芝に対し、そのうちの174人へ計約4805万円を支払うよう命じた。
旧経営陣に対する賠償請求は棄却した。  

原告側は、2008~14年度の有価証券報告書などで不正会計による報告書の虚偽記載があり、不正を知っていれば株を購入しなかったと主張。東芝側は請求額の一部は虚偽記載と因果関係がないなどと主張していた。

判決では、2009、11、12年度の報告書で重要事項の虚偽記載があったと認定。一方、旧経営陣は虚偽記載への責任を負わないとした。  

大阪、高松、福岡などで起こされた同種訴訟では、各地裁や高裁が東芝に請求額の一部の賠償を命じ、旧経営陣への賠償請求は棄却する判断が続いている。  

SaudiAramcoは4月2日、サウジアラビア東部のJubailのFadhili Gas Plantの大規模拡張に向けて、77億ドル相当のエンジニアリング・調達・建設(EPC)契約を韓国のSAMSUNG Engineering Company、GS Engineering & Construction Corporation、およびサウジの大手請負会社のNesma & Partnersと締結したと発表した。


このプロジェクトにより、工場の処理能力は 1 日あたり 25 億標準立方フィート から最大40 億標準立方フィートに増加する。
また、工場の拡張により、硫黄生産量がさらに1日あたり2,300トン増加する。これらの工事は 2027年11月までに完了する予定。


同社では、この
15億標準立方フィートの処理能力追加は、2030 年までにガス生産量を 2021 年のレベルと比較して 60% 以上増加させるという同社の戦略に貢献するとしている。「これらの契約の締結は、天然ガスの供給を増やし、温室効果ガス排出削減の取り組みを支援し、より多くの原油を付加価値のある精製と輸出のために解放するというアラムコの目標を反映している」と述べた。

Aramcoは3社の契約内訳を発表していないが、韓国側は、Samsungの受注額は60億ドル、GSの受注額は12.2億ドルと発表した。これによれはサウジのNesma & Partnersの受注額は4.8億ドルになる。



Fadhili Gas Plantは、陸上および沖合の両方の油田から非随伴ガス(原油の生産に伴って生産される随伴ガスではなく、ガス井戸から気体のみの形で生産される天然ガス) を処理する初のプラントである。


Tail Gas 処理技術を使用するように設計された最初のAramcoのプラントで、これにより、硫黄回収率が99.9%以上に達することが可能となっている。

Fadhili Gas Plantは2021年に設計ガス処理能力の2.5 bscfdに達し、会社のマスターガスシステムの一部として、サウジアラビアのエネルギー需要の増加に対応するのに役立っている。

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韓国大統領室によると、今回の2社の72.2億ドルの受注は韓国企業の海外建設事業のうち、アラブ首長国連邦(UAE)のバラカ原発(2009年、191億ドル)とイラクのニュータウン(2012年、77億ドル)に続く3番目の規模となる。

バラカ原発については、2024/3/5 韓国が輸出したUAEのバラカ原発4号機が稼働

イラクのニュータウン工事は、ハンファグループが受注したもので、首都バグダッドの南東10キロにあるビスマヤ地区で、道路や上下水道などのニュータウン造成工事と10万戸の公営住宅建設工事を行った。

韓国企業がサウジアラビアで受注した事業のうち最大規模で、大統領室は「韓国・サウジアラビア首脳外交の結実」と評価した。

尹錫悦大統領は2022年11月にソウルでサウジのムハンマド皇太子と会談、2023年10月にはサウジを国賓として訪問している。大統領室は「建設・インフラ分野での協力を強化することで合意した首脳外交の成果」としており、今回の受注により、今年の海外建設受注目標額400億ドルの達成に「青信号が出た」としている。

LG Energy Solutionは4月4日、アリゾナ州知事等を米アリゾナ州Queen Creek の新工場に招待し、工場の着工に本格的に突入したと発表した。

LG Energy Solutionは2023年3月24日、米国アリゾナ州Queen Creekで電気自動車(EV)用円筒型バッテリーと蓄電システム用リン酸鉄リチウムイオン(LFP)パウチ型バッテリーの複合生産工場を建設すると発表した。

総投資額は55億ドルで、EV用円筒型バッテリー工場建設には32億ドルを投じ、主に北米EVメーカー向けの2170型セルの生産を2025年から開始する計画で、年間生産能力は27ギガワット時(→36ギガワット時に変更)。

蓄電システム向けのLFPパウチ型バッテリー工場建設には23億ドルを投じ、2026年生産開始を目指している。年間生産能力は16GWh(→17ギガワット時に変更)。

同社は2022年3月に、13億ドルを投資し、年間生産能力11GwhのEV用バッテリー工場をアリゾナ州クイーンクリークに建設し、2024年から生産を開始すると発表していたが、同年6月に米国の経済環境や投資環境を理由に工場建設の計画を再検討とした。

今回発表では、投資規模が4倍以上に拡大した。「インフレ削減法(IRA)のEV税額控除要件を満たすため、EVメーカーから現地生産の高品質・高性能バッテリーへの要求が高まっているため」と説明している。

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LG Energy Solutionは米国において、①単独資本工場をミシガン州で、②ゼネラルモーターズ(GM)との合弁工場をオハイオ州で運営している。さらに同社は、北米でのバッテリー生産工場への投資を加速しており、現在、③GMとの合弁工場をテネシー州とミシガン州で、④ホンダとの合弁工場をオハイオ州で、⑤ステランティスとの合弁工場をカナダのオンタリオ州で建設している。

LG単独ではミシガン州Hollandに5GWhの工場を持ち、GM、Ford Motor、Chrysler などに供給している。ミシガン工場は 当初はいろいろな問題が発生した。

2013/9/10 LG化学のミシガン州のリチウムイオン電池工場、生産開始2か月で停止

LGはGMとのJVのUltium Cells LLCで、オハイオ州 Lordstown の近辺に23億ドルを投資して生産能力30GWhの次世代グローバルEVバッテリーシステムの生産工場を建設。

2020/1/3 GMとLG Chem、世界最大級のEV用電池工場建設計画を発表

③GMとLGは2021年4月16日、第二工場のテネシー州Spring Hillでの建設を発表した。能力は35GWh。

 GMは2022年1月25日、EVの生産能力の強化に向けて、米国で3つ目となる新たな電池工場の建設を発表した。LG Energy Solution との50/50 JVのUltium Cells LLCが26億ドルを投じ、ミシガン州 Lansing に第3工場を建設する。

2022/1/28 GM、米国で3つ目の電池工場を建設、電気自動車生産投資も

④ホンダとLG Energy Solution のEV用リチウムイオンバッテリーの生産合弁会社は2023年2月28日、米国オハイオ州Jeffersonville の工場建設予定地で工場の建設に着工した。

2023/3/7 ホンダとLGの米バッテリー工場 起工式

Stellantis N.V.は2021年10月18日、LG Energy Solutionと合弁会社を設立し、北米で電動車用の電池を生産すると発表した。
立地:カナダ オンタリオ州 Windsor

2022/5/27 Stellantis、米国での2つのEV向け電池合弁会社の内容が確定



アリゾナ州Queen Creekの新工場は、ミシガン工場に次ぐLG Energy Solutionの2番目の北米単独工場となる。



計53GWhの生産能力のうち、EV用の円筒形バッテリーが36GWh、エネルギー貯蔵装置(ESS)用リチウムリン酸鉄(LFP)バッテリーが17GWhの規模でそれぞれ運営される予定。

同社では「最近、工場敷地の地ならしを終えて着工に入り、現在、鉄骨建設作業が順調に行われている」とし、「2026年の稼動と共に、計4桁の新規雇用も生まれるだろう」と話した。

特に、米国内初の円筒型専用工場ということで意味が大きいと会社は強調した。アリゾナの新工場では、電気自動車用46シリーズ(直径46ミリ)のバッテリーが生産される予定。「次世代バッテリー」と呼ばれる46シリーズは、従来の21シリーズ(直径21ミリ)より容量と出力がそれぞれ5倍ほど向上した高付加価値バッテリーで、テスラを皮切りに、BMWやボルボ、GMなどが搭載を進めており、成長性の高い製品である。

17GWh規模で建設されるESS専用バッテリー工場への期待も大きい。米国は世界最大のESS市場であり、エコ政策のおかげで急成長している。現地生産を通じて物流や関税費用を削減し、価格競争力を確保する方針で、顧客の要求に直ちに対応し、現場を管理できる体系を構築し、差別化された顧客価値を提供すると強調した。

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