出光興産と三井化学は3月27日、「千葉地区エチレン装置集約による生産最適化」の検討開始について発表した。

中国を中心とした大型石化装置の新増設と国内エチレン需要減衰により、日本のエチレン装置は低稼働を余儀なくされる状況が続いている。

加えて、世界的にカーボンニュートラル社会の実現が推進される中、CO2 の排出量削減および資源循環を目指した次世代のコンビナート構築に向けた検討の加速化が強く求められている。


両社は2010年に千葉ケミカル製造有限責任事業組合を設立し、千葉地区の両社のエチレン装置の運営統合を行ったが、これまでの連携を一歩進め、更なる既存事業の競争力強化を目的として、「千葉地区エチレン装置集約による生産最適化」の検討を開始する。

前提:2027年度を目処に、出光エチレン(年産370千トン)を停止し、三井エチレン(年産550千トン)に集約、これを共同運営する。

両社の能力は下記の通り。(千トン/年)

関東 関西
出光興産 千葉 370 徳山 688
三井化学 千葉 550 大阪 500

   注 2023年末時点の各社能力は未発表で、2022年末は出光(千葉)が413千トン、三井(千葉)が612千トンであった。

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千葉地区における両社と関連各社の変遷は下記の通り。

1.京葉エチレン

京葉地区にある丸善石油化学、住友化学、三井石油化学はいずれもオレフィン不足の状況にあった。

1991
9月、丸善石化は需要に見合ったオレフィン供給体制の構築を図るため、100%出資の新会社「京葉エチレン株式会社」を設立した。

エチレン設備は20041月に完成したが、事業環境の悪化で営業運転開始は同年12月になった。
住友化学と三井石油化学は25%ずつの引取りを行ったが、異なる共販メンバー同士の提携を避けるため、出資については当初は行わなかった。

19959月に三井日石ポリマー、ユニオンポリマーが解散したのを受け、199512月に住友と三井は京葉エチレンに資本参加した。

  出資比率 取引比率
丸善石化   55.0%    50%
住友化学   22.5%    25%
三井石化   22.5%    25%


2. 三井化学および住友化学の全面的統合発表

2000年11月、三井化学と住友化学は「21世紀の化学産業におけるグローバルリーダー」をめざすべく、2003年10月に両社の事業を全面統合すること、ポリオレフィン事業については2001年10月に先行的に統合することを発表した。

しかし、統合比率で折り合えず、2003331日、統合計画の白紙撤回を発表した。

以上 詳細は http://www.knak.jp/blog/ethylene-hensen.htm#ethylene-2


3. 三井化学と出光興産、「千葉地区における生産最適化」の検討開始で合意

両社は2009年5月11日、出光興産・三井化学の強みを活かした「千葉地区における生産最適化」の検討開始で合意

 1. 両社ナフサクラッカーを中心とした生産最適化
 2. 出光・千葉製油所のリファイナリー装置も含めた生産最適化
 3. 既に両社でJVとして運営しているポリオレフィン・フェノール以外の両社石化誘導品の生産最適化

2009/5/18 三井化学、事業構造改革を実施、千葉地区で出光興産と生産最適化検討

4.両社の千葉のエチレンの統合

出光興産と三井化学は2010年4月1日、「千葉地区における生産最適化」の第1ステップとして両社のエチレンの運営統合を発表した。

4月1日付けで両社折半出資で「千葉ケミカル製造有限責任事業組合」(LLP)を設立した。

10月1日に出光及び三井からエチレン装置を譲渡し、LLPの運営を開始することとなった。

2010/4/3  出光興産と三井化学、千葉のエチレン統合

5.三井化学の京葉エチレン離脱と、住友化学の千葉エチレン停止(=国内エチレン生産撤退)

きっかけは三井化学の京葉エチレンからの離脱要求であった。供給過剰状態のなかで引取比率25%の三井が離脱すると、京葉エチレンは解散もありえた。

しかし、住友化学は2013年2月1日、国内石油化学事業の拠点の千葉工場の競争力強化のため、2015年9月(次の定修時期 )までに、エチレン製造設備(定修スキップ年能力415千トン)を停止すると発表した。

石油化学事業を強化・維持していくためには、製品の高付加価値化やコスト削減を一段と進めていく必要があるが、設備の老朽化(操業開始後 40年以上経過)や内需構造の変化を踏まえ、自社での生産を停止し、国内で最も新しく大型の設備である「京葉エチレン」からの調達に一本化することが最善と判断した。

同社は1958年に日本で最初のエチレンプラントをスタートさせた2社のうちの1社であるが、日本のエチレン事業から離脱する。

住友化学は京葉エチレンの三井化学の引取枠に加え、丸善石化の引取枠も一部引き受ける。

京葉エチレンの引取枠は次の通り。(千トン/年)

三井離脱前 三井離脱後
丸善石化 384 312
住友化学 192 456
三井化学 192 0
合計 768 768

十倉社長は2012年11月の記者会見で石油化学事業の今後の展開について以下のように述べている。

サウジのペトロ・ラービグ社が第2期計画段階に入る。

今後、バルク製品はサウジで展開し、シンガポールを高付加価値製品の供給拠点とする。
千葉工場はマザー工場として、生産技術・製品・ノウハウの発信拠点としても活用していきたい。

2013/2/4 住友化学、エチレン国内生産から撤退 



6.今回の出光千葉のエチレン停止





小林製薬は3月26日、健康被害の恐れがあるとして自主回収を決めた紅麹原料を含む機能性表示食品を摂取した消費者1人が死亡した可能性があると発表した。腎疾患で亡くなった人が生前に回収対象製品「紅麹コレステヘルプ」を使用していたと遺族から連絡があり判明した。

今年2月に腎疾患で入院中に亡くなった。2021年4月から2024年2月まで、悪玉コレステロールの抑制をうたったサプリメント「紅麹コレステヘルプ」を通信販売で定期的に購入。これらに小林製薬が健康被害の原因とみている成分の入った商品が含まれていた。

厚生労働省は同日夜、会社から2人の死亡事例の報告を受けたことを明らかにした。また、106人が入院していると発表した。会社側には約3000件の電話相談が寄せられているという。

2人目の死亡については遺族から26日午後に連絡があり判明。生前に同社の「紅麹コレステヘルプ」を摂取していた。ただ、摂取期間や、腎疾患が原因で亡くなったかどうかは不明という。

小林製薬では「腎疾患で亡くなったかどうかも含めて、事実と因果関係を確認している」と発表した。

付記

小林製薬は3月28日、新たに2人が亡くなっていたことがわかったと発表した。死亡事例は計4人になる。
27日に2人の遺族から同社に連絡があった。いずれも「紅麹コレステヘルプ」を摂取しており、死亡は腎臓病を悪化させたことによるという。


武見敬三厚生労働相は26日の閣議後記者会見で、「小林製薬が原因究明の調査をしている間、行政への情報提供を行わなかったのは遺憾だ」と小林製薬の対応の遅れを批判した。

サプリ摂取者の腎疾患の症例が最初に小林製薬に報告されたのは1月15日。一方、厚労省が健康被害の情報を把握したのは、それから2カ月以上過ぎて小林製薬が記者会見を開いた3月22日だった。

厚生労働省は3月26日、「紅麹」原料を使った小林製薬の機能性表示食品について、健康被害の恐れがある食品の販売禁止を定める食品衛生法第6条に該当するとの通知を大阪市宛てに発出した。

大阪市は3月27日、会社に対して自主回収の対象となっている3つの製品について製品の回収を命じる行政処分を出した。

食品衛生法第6 条(不衛生食品等の販売等の禁止
次に掲げる食品又は添加物は、これを販売し(不特定又は多数の者に授与する販売以外の場合を含む。以下同じ。)、又は販売の用に供するために、採取し、製造し、輸入し、加工し、使用し、調理し、貯蔵し、若しくは陳列してはならない。

一 腐敗し、若しくは変敗したもの又は未熟であるもの。ただし、一般に人の健康を損なうおそれがなく飲食に適すると認められているものは、この限りでない。

有毒な若しくは有害な物質が含まれ、若しくは付着し、又はこれらの疑いのあるもの。
  ただし、人の健康を損なうおそれがない場合として厚生労働大臣が定める場合においては、この限りでない。

三 病原微生物により汚染され、又その疑いがあり、人の健康を損なうおそれがあるもの。

四 不潔、異物の混入又は添加その他の事由により、人の健康を損なうおそれがあるもの。

自見英子消費者担当相は26日の閣議後会見で、小林製薬が消費者庁に届け出ている「機能性表示食品」のうち、紅麹成分を含む8件について、撤回を申し出たと明らかにした。
同庁は4月5日までに安全性を再検証して報告するよう同社に求めている。

自見氏は約7000件ある機能性表示食品の全てについて、健康被害の有無を緊急点検する方針を示した。


小林製薬は52社に紅麹を販売したとしており、販売先には商社も含まれている。
台湾では健康食品メーカーの「三合興産業」や「大医生技」などが小林製薬の紅麹を加工して販売していたことが判明し、カプセルや錠剤を回収している。

読売新聞によると、自主回収などの対応を取っている企業と主な商品(小林製薬を除く)は以下の通り。

山形県「おたまや」粒・粉末『紅麹01~11番』 栃木県「金谷ホテルベーカリー」いちごブレッド 千葉県「ヘルシープラス」コレステライフ
東京都紀文食品」国産いか使用いか塩辛 東京都「富沢商店」紅麹パウダー 新潟県「原商」新潟紅麹甘酒
富山県「富山薬品」レッダームDX 石川県「アサダヤコーポレーション」さくら御飯の素・紅麹入り 福井県「伝食」祖の食庵納豆キナーゼ
長野県「竹屋」塩ひかえめ紅麹仕立て 長野県「仙醸」黒松仙醸どぶろくロゼ 長野県「山高味噌」信州甘口紅麹みそ
静岡県「シャンソン化粧品」特撰十六酢 愛知県「豆福」豆だくさん 愛知県「山本漢方製薬」内脂ブロッカー
愛知県「甘強酒造」紅麹梅酒 滋賀県「パンのカワバタ」いのちのパン 京都府「京都一の傳」大型いか紅麹みそ漬
京都府「本田味噌本店」紅こうじ味噌 京都府「宝酒造」松竹梅白壁蔵『澪』PREMIUM<ROSE> 京都府「京都やま六」紅麹みそ漬
大阪府「大塚食品」あわ紅豆腐 兵庫県「ノエビア」ノエビアDHA & EPA 兵庫県「げんぶ堂」松葉マヨネーズ
岡山県「高見味噌店」米仕立て紅こうじみそ 岡山「キミセ麹油」五穀紅麹みそ 岡山県「馬場商店」紅糀みそ
香川県「芳香園製薬」ノンコレッセンプレミアム 福岡県「ZERO PLUS」悪玉コレステロールを下げるのに役立つ濃厚チーズせんべい
熊本県「森川健康堂」KIDSプロポリス 大分県「フジヨシ醤油」カトレアさんの元気みそ 鹿児島県「福山黒酢」紅糀黒酢
沖縄県「海洋食品」豆腐よう

鉄道車両メーカー世界大手の中国中車(CRRC)は水素を動力源とする鉄道車両の試験走行に成功したと発表した。時速160キロメートルで走り、航続距離は1000キロメートルに達するという。都市間の旅客輸送への導入をめざす。


グループの中車長春軌道客車(中車長客)は3月21日、中国・長春市の実験線で同社が研究開発した中国初の水素燃料電池都市列車の走行試験を行った。

この列車は、水素をエネルギー源とし、水素駆動システムを内蔵している。燃料電池と蓄電池のハイブリッドシステムを併用し、同時に中車長客が独自に開発したエネルギー管理システムを搭載することで、エネルギーの利用効率を高め、エネルギー供給の柔軟性と安全性を向上させている。列車の1キロ当たりの実際の走行平均エネルギー消費量は5キロワット時で、車両設計の各指標の要求を満たし、世界トップ水準に達している。

外観や内観デザインは水素を意識して青色で統一した。

水素エネルギー都市鉄道の水素動力システムとそのコア部品の耐久性、高・低温下の性能、振動、電磁両立性、防災性などに関する試験を完了したほか、速度別のエネルギー消費量、航続距離、安全性、牽引力、制動、動力などに関する車両試験も実施しており、初めてマイナス25~35度の低温環境の中での性能を確認できた。

中国政府は2022年春に公表した水素産業の発展計画に「2035年までに交通、貯蔵、工業など水素エネルギー応用の生態系をつくる」と明記した。水素を「戦略的新興産業」と位置づけ、水素の生成から活用まで研究開発を支援する方針を示している。

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日本ではJR東日本が水素を燃料とする燃料電池と蓄電池を併用するハイブリッド車両(燃料電池)試験車両「FV-E991系」愛称 HYBARI(ひばり)の開発を進めている。最高時速は100キロメートルで、環境に配慮した列車として2030年度の実用化を目指して、2022年春から首都圏で試運転を始めている。

世界で初めて70MPaの高圧水素を利用できる燃料電池鉄道車両で、これにより、35MPaの燃料電池車両では困難だった長距離での鉄道走行が可能になる。

JR東日本が長年培った鉄道車両の設計と製造の技術、日立製作所がJR東日本と共同で開発した鉄道用ハイブリッド駆動システムの技術、トヨタ自動車が燃料電池の技術を担当した。

2号車の屋根上に水素貯蔵ユニットを配置し、2号車の床下にある燃料電池装置へ世界初となる70MPaの高圧水素を供給して空気中の酸素との化学反応で発電を行う。水素貯蔵ユニットは容量51Lのタンクを5個ずつ内蔵しており、計4ユニットが搭載され、圧力70MPaで約40kgの水素を貯蔵できる。

1号車の床下には主回路用蓄電池を配置し、燃料電池装置からの電源供給と回生ブレーキからの電源供給によりエネルギーを蓄え、電力変換装置を通した上で主電動機などへ送られる。冷房装置などの接客設備に用いられる電源は電力変換装置を介さず補助電源装置へ供給される。主電動機は出力95kW×4台、蓄電池は容量120kWhのリチウムイオン電池を2基搭載する。

宇宙航空研究開発機構 (JAXA) の宇宙探査イノベーションハブは2023年9月に第11回研究提案の募集を行った。

課題はアイデア型が12課題、チャレンジ型が1課題ある。

レゾナック(昭和電工と旧日立化成が統合)は研究課題(8) レゴリス物理蓄熱エネルギーシステムに対し「月面での蓄熱・熱利用システムの研究提案」を 行い、採択された。

2024年4月よりJAXAと共同研究を開始する。


月では、夜の気温がマイナス 170℃まで下がり、昼夜の気温差が激しい過酷な期間が約2週間ずつ続くため、有人活動をするには、安定的にエネルギーを確保する必要がある。

日照時の太陽光発電の余剰電力を蓄電し、夜間に利用しようというもの。

月面上には、宇宙風化作用によって生成された主にガラス質の微小粒子の「レゴリス」が大量に存在する。これを蓄熱材として活用できれば、月面で効率的に低コストでエネルギーを確保できる

上図のシステムイメージ図の通り、日照時の太陽電池の余剰電力をレゴリスを蓄熱材として蓄え、越夜時に熱を取り出し利用する。

フィンランドのPolar Night Energy社のSand Batteryは、地球上で砂を蓄熱材として使うものである。

しかし、月の場合は真空のため、レゴリスの粒子間の空隙は熱が伝わらない。

従来の研究では、レゴリスの蓄熱性を改善する手法として、レーザ溶融によるガラス固形化などが考えられてきたが、重量物であるレーザの月への運搬や溶融といった製造時に多大なエネルギーが必要であることが課題であった。

レゾナックは、同社グループで量産実績のある「レジンコーテッドサンド 技術」を用いることで、熱伝導率および比熱を向上できると着想した。

鋳物製品を製造するときに使われる表面をポリアミドイミド等の樹脂層をコーティングした砂のこと。

加熱により樹脂が溶融し硬化剤等と反応することで硬化物となる。鋳物生産後はバラバラにして再生処理し、再利用する。

このシステムを利用し、レゴリスを樹脂でコーティングし、熱伝導経路を確保するもの。


この適用可能性を確認するため、メンバーは、熱が輻射のみで伝わる真空の環境、かつ約2 週間ごとに昼夜の過酷な気温変化を繰り返す月面環境を想定して、熱シミュレーションを行った。

その結果、熱伝導率、比熱ともに向上し、月の赤道面においてはレゴリス単体に比べ、コーティングした場合のほうが昼間の太陽熱を20 倍以上蓄熱可能な見込みであるという結論を得た。

今回提案した手法は、月面上で、スクリュー混練のみでコーティング可能であり、実現できれば圧倒的に低エネルギーで大量製造することができる。

同社は計算情報科学研究センターで高いシミュレーション技術を保有しているため、今回の蓄熱効果の検証も短期間で実現できた。このような独創性が評価され、「チャレンジ型」枠で採択された。

今後、JAXA との共同研究実施に向け、研究計画・体制等の調整を行った後、レゴリスを蓄熱材として成立させるための検討、また、コストと性能のバランスの取れた月面用蓄熱エネルギーシステムについて検証を行う予定 。

なお、JAXA との共同研究期間は、最長 1 年を予定している。

小林製薬は3月22日、「紅麹(べにこうじ)」の成分を含む健康食品を摂取した人が腎臓の病気などを発症したことが報告されたと明らかにし、「健康食品が原因となった可能性がある」として、この成分を含む3つの健康食品を自主回収するとともに、使用を中止するよう呼びかけた。

紅麹コレステヘルプ

  45粒15日分
  90粒30日分
  60粒20日分

ナイシヘルプ+コレステロール ナットウキナーゼ
さらさら粒GOLD


いずれもコレステロールや血圧を下げる効果を記した健康食品


「紅麹」は、コメなどの穀類に麹菌の一種である紅麹菌を繁殖させてつくられたもので、古くから食品の着色料などとして使われてきた。

小林製薬は、紅麹のサプリを摂取した40~70代の男女13人から腎疾患などの報告が出ているとして、約30万袋を自主回収する。ただ、同社の生産量全体のうち自社で使用していたのは2割程度で、残りの8割は飲料や食品メーカーに供給していたという。

販売先は日本国内と台湾の飲料、食品メーカーや原料商社など52社だという。小林製薬は、各社に健康被害が出る恐れがあるとして、使用を中止するよう連絡をした。

宝酒造は3月24日、スパークリング日本酒「松竹梅白壁蔵『澪』PREMIUM〈ROSE〉」を自主回収すると発表した。この日本酒には、小林製薬が製造した紅麹原料を着色料として使用している。

松竹梅白壁蔵「澪」PREMIUM〈ROSE〉750ml
松竹梅白壁蔵「澪」PREMIUM〈ROSE〉300ml

福岡県に本社がある「ZEROPLUS」が製造・販売する機能性表示食品「悪玉コレステロールを下げるのに役立つ濃厚チーズせんべい」でも、小林製薬が生産の紅麹原料を使用しているとして、商品の自主回収を行うと22日に発表した。

このほか、紀文食品は「国産いか使用いか塩辛」「いか塩辛3P」、ジェイアール東海高島屋(名古屋市)は和菓子売り場「豆福」で販売した豆菓子などの自主回収をそれぞれホームページ上で公表した。

ーーー

小林製薬によると、ことし1月、「紅麹コレステヘルプ」を摂取した人が腎臓の病気などを発症したことが報告された。
その後、体調不良が報告された患者の数は13人に増えた。

付記

小林製薬は3月26日、健康被害の恐れがあるとして自主回収を決めた紅麹原料を含む機能性表示食品を摂取した消費者1人が死亡した可能性があると発表した。腎疾患で亡くなった人が生前に回収対象製品「紅麹コレステヘルプ」を使用していたと遺族から連絡があり判明した。

厚生労働省は3月26日夜、摂取した2人が死亡、106人が入院していると発表した。

腎疾患を発症したのは40代から70代の男女で、むくみやけん怠感、それに尿の色が濃くなるといった症状を訴えている。一時6人が入院したほか、現在も7人が通院している。このうち2人は一時、人工透析が必要な状態になった。

小林製薬の信頼性保証本部長は、腎疾患と製品との関連は調査中だとした上で、「腎疾患を発症した人が摂取していた製品にはいずれも同じロットの原料が使われており、分析したところ、私たちが想定していない成分が含まれている可能性があることがわかった。この成分がなにかまだ特定できていないが、紅麹を培養する過程で作られるという報告があるシトリニンという毒素は検出されなかった。大学の研究室とともに調査を進めていて、人体への影響が分かりしだい伝えたい」と説明した。

今回の小林製薬製品に用いる紅麹菌株は、そもそもシトリニンを生成しないものを選定しており、問題発覚後の検査でもシトリニンは検出されていない。

食品安全委員会によると、紅麹由来の成分にはLDLコレステロール値を下げる効果が期待される一方、一部の紅麹は腎臓の働きに影響を与える「シトリニン」というカビ毒を発生させる可能性がある。

実際にフランスでは、紅麹由来の成分が配合されたサプリメントの摂取と関連が疑われる筋肉や肝臓障害の事例が複数件報告されている。

欧州では以下の対応をしている。

欧州連合(EU)は2014年3月7日、紅麹由来のサプリメント中のかび毒シトリニンの基準値を設定
スイス連邦食品安全獣医局は2014年3月14日、紅麹を成分に含む食品の売買は違法と注意喚起
フランス食品環境労働衛生安全庁は2014年3月13日、紅麹を有効成分とするサプリメントを服用する前に必ず医師に相談するよう注意喚起

付記

小林製薬中央研究所の検証では、

日本で主に利用されている紅麹菌M. pilosusは、物質レベルでシトリニンを生成せず、ゲノムにもシトリニン産生遺伝子が存在しないことが確認された。

一方、中国で主に利用されている紅麹菌M. purpureusでは、シトリニンの産生およびシトリニン産生遺伝子の存在が確認された。

台湾で主に利用されているM. ruber に関しては、今回の研究で用いた菌株ではシトリニンを作る遺伝子は存在していないが、M. purpureusM. ruberは過去にシトリニンの遺伝子が機能している菌株の報告がある。

食品安全委員会の担当者は「欧州の事例でも健康被害の原因が明らかになっておらず、今回も原因究明が待たれる」と話している。

上院は3月23日午前2時に2024会計年度予算案を可決した。下院は可決済みで、バイデン大統領署名で成立する。昨年10月に2024年度に入ってから半年を経て、ようやく予算案全体が議会を通過した。

つなぎ予算は3月22日までで、期限を2時間過ぎていたが、ホワイトハウスは上院での審議が長引き期限に間に合わなかった場合でも、ホワイトハウス予算局は限定的ながら3月23日の閉鎖命令を先延ばしすることが可能 としていた。

ーーー

バイデン米大統領は3月9日、2024会計年度(2023年10月-2024年9月)予算案の一部(総額4600億ドル)に署名した。3度のつなぎ予算で賄ってきた昨年10月からの予算が5ヶ月遅れで成立した。


2度目のつなぎ予算で予算を2分割して、それぞれ期限を設けたもので、今回成立したのは、農務、内務、商務、司法、運輸、住宅都市開発、エネルギー、退役軍人省と食品医薬品局(FDA)、環境保護局(EPA)、航空宇宙局(NASA)の予算を盛り込んだ歳出法案である。

残るのは、 金融・サービス、商務・司法・科学、労働・保健・教育、国防、国土安全、内務・環境、立法、外交の8分野 で、つなぎ予算は3月22日までであり、22日までに可決・成立しなければ、これらの政府機関が23日に閉鎖される危険が残 った。

2024/3/11 米予算の一部可決成立


米議会指導部はつなぎ予算が期限切れとなる前日の3月21日に、残る分野に1兆2000億ドル規模を支出する超党派の予算案を発表した。

下院は3月22日、この予算案を可決し、上院に送付した。

共和党 民主党 合計 欠員
賛成 101 185 286
反対 112 22 134
棄権 6 6 12
合計 219 213 432 3

予算案の下院可決を見て、共和党のトランプ派の女性議員 Marjorie Taylor Greeneは予算案への怒りを表明し、ジョンソン下院議長(共和党)の解任動議を提出した。

下院を混乱に陥れることは望まないとしつつ、ジョンソン議長のように民主党の側に立つのではなく、共和党及び共和党の多数派の側に立つ新たな下院議長を見出す必要があるとの認識を表明した。「かなりの数の」議員が解任動議を支持していると述べた。ただそれらの議員の正確な数には言及しなかった。

下院は23日から来月8日まで休会に入る予定で、動議の審議や採決の日程は決まっていない。

一方、穏健派の共和党Mike Lawler下院議員はGreene議員による解任動議提出を「ばかげている」と一蹴。「保守運動を前進させることには全くならない」と批判した。

ーーー

予算案は上院に送付されたが、一部政府機関の閉鎖の期限は同日深夜に迫っている。

しかし、期限の0時になっても予算案の投票には至らず、予算案が可決されたのは3月23日午前2時であった。政府は午前0時を過ぎても政府機関閉鎖命令を出さず、23日午前2時の可決で最終的に閉鎖が回避された。

途中で、Majority Leader Chuck Schumer は、「重要な場所に行きたい人がいる。早く行かせたい」と述べ、急がせた。共和党予算充当者の Susan Collins議員の母親の葬儀が23日の朝にメイン州で行われる。

投票結果は次の通り。

  共和党 民主党系 合計
民主党 民主系無所属 無所属
賛成 25 47 1 1 74
反対 22 1 1 24
棄権 2 2
合計 49 48 2 1 100

民主系無所属はSanders, King 両議員、無所属は元民主党のSinema議員

大統領の署名でようやく本年度(2023/10~2024/9)予算がすべて通ったことになる。ただし、この予算にはウクライナやイスラエル支援などは含まれていない。

3月18日付けの韓国東亜日報(日本語版)は上記のタイトルの記事を配信した。

韓国経営者総協会(経総)は、このような内容を盛り込んだ「韓日賃金の現状推移の国際比較と示唆するところ」と題した報告書を公開した。

それによると、2002年は、10人以上の企業に従事する常用労働者の月賃金は、韓国労働者が179万8000ウォンで、日本(385万4000ウォン)の47%の水準に過ぎなかった。(1ウオンは0.11円)

しかし、2022年は、韓国が399万8000ウォンで日本の379万1000ウォンを上回った。

20年間で韓国の賃金は122.4%上がったのに対し、日本はむしろ円基準で0.03%下がったことで逆転が可能になった。

特に、韓国の大企業が大幅に賃金を引き上げた(157.6%) のが決定的な役割を果たした。

「韓国では、大企業と中小企業間の賃金格差が社会的対立を招いている」とし、改善の努力が必要としている。

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JETROも2022年9月5日付けで、「韓国の賃金水準、日本並みに:最低賃金や大企業の大卒初任給は日本を上回る」という報告をしている。

日韓の各年の名目平均賃金をその年の平均為替レートでドル換算すると、下図のとおりとなり、2001年時点では日本の平均賃金は韓国の2.4倍だったが、その後、2010年代前半にかけて格差が縮小し、2010年代後半以降は、逆転とまではいかないものの、ほぼ類似の水準で推移している。

為替レート次第では、現実の日韓の平均賃金が2022年に逆転することもありうるわけで、両国の平均賃金の格差はそれほど小さい。 (実際には、最近の円安の影響が大きい。)


最低賃金は日韓が逆転している。

韓国では、このところの物価高もあり、2023年の最低賃金を前年比5.0%増の9,620ウォン(約1,010円)にすることが決定されている。他方、日本の最低賃金時間額は全国加重平均で、2021年度(2021年10月~2022年9月)930円、2022年度は961円で、既に韓国が日本を上回っている。

バイデン大統領は3月20日、西部アリゾナ州Chandler市のOcotillo Campusにある半導体メーカー、インテルの施設を視察した。

Intelは2021年9月24日、アリゾナ州Chandler市のOcotillo Campusで新工場建設の起工式を行なった。総額200億ドルを投じて2つの半導体製造工場を建設し、「インテル20A」を含む同社の最先端製品の製造を予定する。2024年の完全稼働を目指している。

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Intelは2022年1月21日、最大1000億ドルを投じ、オハイオ州に世界最大級の半導体製造工場を建設すると発表した。

先進半導体の製造に向け、まず200億ドルを投じてオハイオ州に新工場2カ所を建設する。最終的には8つの工場を擁する1000億ドル規模の 世界最大規模の「メガサイト」とする。
スマートフォンや自動車向けなどの最先端の半導体を生産するほか、他社からの受託事業も行なう。

建設場所は州都Columbus郊外のNew Albanyで敷地面積は1000エーカー。3000人の正規雇用、建設関連で7000人の雇用を創出する見込み。

2022/1/31  インテル、米に世界最大級の半導体工場新設

視察後、演説したバイデン大統領は、CHIPS and Science Act に基づき、インテルに最大で85億ドルの補助金を出すと明らかにした。合わせて110億ドルの融資も行う。

補助金は、Arizona, Ohio, New Mexico, Oregon で最先端の半導体工場を建設する費用などにあてられる。

 Chandler, Arizona

2つの先端logic fab と1つの既存fabの近代化を支援し、米国で最も先進的な半導体を製造するための製造能力を大幅に増加させる。インテルのアリゾナへの投資は、州の歴史上最大の民間セクターの投資の1つである。

 New Albany, Ohio:

2つの先端logic fabの建設を通じて米国の半導体製造のための新しい地域経済クラスターが確立される。インテルのオハイオへの投資は、州の歴史上最大の民間セクターの投資である。

 Rio Rancho, New Mexico

2つのファブを先進的なパッケージング施設に近代化し、変革を支援する。ここでは、チップが組み合わされて性能が向上し、コストが削減される。先進的なパッケージングは人工知能(AI)アプリケーションや次世代の半導体技術にとって重要である。これにより、メーカーは性能と機能を向上させ、多くの先進的なチップを市場に導入するまでの時間を短縮できる。これらの施設が完成すると、これらは米国最大の先進パッケージング施設となる。

 Hillsboro, Oregon

クリーンルームの容量を拡張し、先端リソグラフィ装置を利用するための施設の近代化を支援し、米国の先端開発と生産の重要なイノベーションハブをさらに強化する。


バイデン大統領は「アメリカ国内で投資を行えば国の未来を変えるとともに世界を再びリードすることができる」と述べ、半導体産業の立て直しをはかると強調した。補助金は、バイデン政権が2022年に成立させた国内の半導体の生産や開発を後押しする法律、CHIPS and Science Act の枠組みが使われ、この制度では最大の額となる。

また、今回の投資によっておよそ3万人の雇用創出につながるとしている。

秋の大統領選挙で再選を目指すバイデン大統領としては、最先端の半導体をめぐり国家主導でばく大な予算を使って技術開発を進める中国に対抗するとともに、製造業を強く後押しする姿勢を強調するねらいもある。

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バイデン大統領は2022年8月9日、国内半導体産業支援法「CHIPS法」案に署名し、同法が成立した。

法案の総額は約5年で約2,800億ドルとなり、その多くはエネルギー省や商務省、国立科学財団(NSF)、国立標準技術研究所(NIST)といった連邦政府機関の研究開発プログラムなどへの予算の充当となる。

産業界向けのCHIPSに関する5年間で527億ドルの予算の内訳は次のとおり。

  1. 商務省製造インセンティブ(390億ドル):半導体の設計、組み立て、試験、先端パッケージング、研究開発のための国内施設・装置の建設、拡張または現代化に対する資金援助。
       うち、60億ドルは直接融資または融資保証に使用可能。
     
  2. 商務省研究開発(110億ドル):商務省管轄の半導体関連の研究開発プログラムへの予算充当。
  3. その他下記(27億ドル)

2022/7/29 米議会、「CHIPS法」を可決 

商務省はこの390億ドルのインセンティブの実質第1号として、2月にGlobalFoundriesに15億ドルを支給した。

2023年12月にNew HampshireのBAE Systems の施設に35百万ドル、2024年1月にMicrochip Technologyに162百万ドル支給を発表したが、本格的な支給はこれが最初。

GlobalFoundriesは米国の半導体製造企業で、ファウンドリとしてはTSMC、Samsungに次いで世界第3位グループ。

2024/2/28 米国商務省、CHIPS法に基づく半導体メーカーへの最初の補助金支給

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3月14日のBloomberg は関係筋の話として、米政府は韓国のサムスン電子に対して、同社が発表したテキサスプロジェクトを越えて投資を拡大するよう支援するために60億ドル以上の補助金を支給する方針と報じた。

これは、台湾のTSMCが受け取るものと知られている50億ドルを上回る金額である。

経済産業省は3月19日、電気自動車(EV)補助金に関し、車両ごとの2024年度の「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金(CEV補助金)」を公表した。充電拠点の整備状況や製造時の二酸化炭素(CO2)排出削減、サイバー攻撃対策などを進める企業を優遇した。

ガソリン車よりも価格が高いEVの購入者向けに購入金額の一部を補助するもので、2023年度の補正予算で1291億円の予算を計上し、財源としている。

2023年度までは充電1回あたりの航続距離など車両性能と、EV自体に災害時に充電設備としての機能があることなどを要件に37万〜85万円を支給していた。2024年度の補助からはこれらに加え、充電器の設置といったEVの普及に向けたメーカー側の取り組みを重視するようにした。その上で補助額を12万〜85万円と差を大きくした。

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経産省が要件とした項目は主に7つとなる。①航続距離など車両性能、②EV自体が災害時に充電設備として機能すること、③充電拠点の整備状況④製造時のCO2など排出削減⑤サイバー攻撃対策⑥修理拠点の整備状況や部材の安定確保⑦整備人材の育成である。

各項目の達成度に下記の配分で車種と企業に点数をつけ、最大200点を付与する。

評価項目 車種 企業
①航続距離など車両性能 40点
②EV自体が災害時に充電設備として機能すること 10点 10点
③充電インフラ整備 40点
④製造時のCO2など排出削減 20点
⑤サイバー攻撃対策 20点
⑥修理拠点の整備状況、部材の安定確保 20点 20点
⑦整備人材の育成 20点
合計

90点

110点

200点

下表の通り、EVの場合、130点以上に補助最高額となる85万円を支給する。このほか100〜129点は65万円、54点以下は15万円といった6段階に分けた。

販売価格が840万円以上の車両は支給額を2割差し引く。130点以上であっても68万円となる。


日刊自動車新聞によると、車種ごとの補助金は下記の通り。


車種別の補助上限額は、日産自動車「リーフ」やトヨタ自動車「レクサス」、米テスラ「モデル3」が最高額の85万円となった。

マツダ「MX-30」や独メルセデス・ベンツ「EQA」は65万円、韓国の現代自動車「KONA」は45万円、中国の比亜迪(BYD)「DOLPHIN」は35万円とした。

表にはないが、英ジャガー「I-PACE」は、2023年度は52万円だったが、今回は12万円となり、最も低い。

トヨタの「bZ4X」と、スバルの「ソルテラ」は共同開発しており、ほぼ同じ車両だが、それぞれ85万円、65万円と差がついた。日本経済新聞によると、経産省の担当者は「EVの普及に向けたメーカー独自の取り組み状況を反映した」と話す。

日本国内に整備拠点を設置しにくい海外メーカーからは「新制度で不利になる」との懸念の声が上がっていた。経産省は自社の整備工場がなくても、他社の工場と提携しているかといった点を考慮し、海外メーカーでも対応できる制度設計にした。

経産省はメーカーの要望に応じて配点理由を個別に説明、得点が低かった項目などを示し、改善を促す。

EV補助金に関しては政府からの支援のほか、東京都など各自治体の制度も併用できる。

日本銀行は3月18日~19日の金融政策決定会合で、「マイナス金利政策」を解除し、金利を引き上げることを決めた。

政策委員会・金融政策決定会合において、賃金と物価の好循環を確認し、先行き、「展望レポート」の見通し期間終盤にかけて、2%の「物価安定の目標」が持続的・安定的に実現していくことが見通せる状況に至ったと判断した。

これまでの「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の枠組み(イールドカーブ・コントロールおよびマイナス金利政策は、その役割を果たしたと考えている。

日本銀行は、引き続き2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、短期金利の操作を主たる政策手段として、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営する。

現時点の経済・物価見通しを前提にすれば、当面、緩和的な金融環境が継続すると考えている。

(1)金融市場調節方針(賛成7反対2)

 次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針は、無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0~0.1%程度で推移するよう促す。

 この方針を実現するため、日本銀行当座預金(所要準備額相当部分を除く)に0.1%の付利金利を適用する。(「マイナス金利政策」を解除)

日銀による利上げは2007年2月以来およそ17年ぶり

2016年9月に導入し、短期金利に加えて長期金利を低く抑え込んできた長短金利操作=イールドカーブ・コントロールと呼ばれる金融政策の枠組みを終了

(2)長期国債の買入れ(賛成8 反対1)

日銀が国債を大量購入して長期金利を0%に抑える長期金利操作は撤廃するが、)
これまでと概ね同程度の金額(足もとの長期国債の月間買入れ額は6兆円程度)で長期国債の買入れを継続する。

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日本銀行(黒田・日銀)は2013年4月4日の政策委員会・金融政策決定会合で、「量的・質的金融緩和」の導入を決めた。

日本銀行は2016年1月29日、政策委員会・金融政策決定会合で、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現するため、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を導入することを決定した。今後は、「量」・「質」・「金利」の3つの次元で緩和手段を駆使して、金融緩和を進めることとした。

白川・日銀

黒田・日銀

2013/4/4 2014/10/31 2016/1/29
金融市場
調節手段
無担保コール翌日物金利 マネタリーベース
マイナス金利の導入
マネタリー
ベース
年間 60~70兆円増 年間約80兆円増
2012年末 138兆円 2013年末 200兆円
2014年末 270兆円
長期国債
買い入れ

残高 年間50兆円増
40年債を含む全ゾーン
残高 年間80兆円増
平均残存 3年弱 7年程度 7年~10年程度


2016/2/13 マイナス金利の波紋 

日銀は、2016年9月「長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)付き・量的・質的金融緩和」の導入を決定した。

短期金利、および10年物国債金利の操作目標の2つの金利水準を提示する。

  1. 短期金利は日銀当座預金のうち政策金利残高にマイナス金利を適用(従来通りマイナス0.1%)
  2. 長期金利は10年物国債金利が0%程度で推移するように長期国債の買い入れ

2016/9/27 バーナンキ氏、日銀の新政策は「ヘリコプターマネー政策に似ている」 後半に詳細

その後、長期金利については下記の通り、見直してきた。

2016/9 「長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)付き・量的・質的金融緩和」の導入 10年物国債金利が0%程度で推移するように長期国債の買い入れ
 0%~±0.1%程度
2018/7   ±0.2%程度
2021/3   ±0.25%程度
2022/12 イールドカーブ・コントロールの運用の一部見直し   ±0.50%程度
2023/4 黒田総裁→植田総裁
2023/7 運用の柔軟化 「±0.5%程度」を目途とする=1%を事実上の上限
2023/10 長短金利操作の再修正  1%を「めど」とし、一定程度超えることを容認


2023/11/1 日銀、金利操作の再修正を決定、長期金利1%超え容認


上記の通り、日本ではゼロ金利が続いてきたが、欧米各国は早期に利上げに転じている。

2022/9/26 主要中央銀行でマイナス金利は日銀だけに



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