中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

イスラエルの報復攻撃

イランの対イスラエル大規模攻撃は、イスラエル側に大きな損害もなく、イスラエルメディアはIDFの歴史的成功などと称するところもありますが、兎に角イラン本土等から、大量のミサイル等を発射し、イスラエルに大きな損害を与えて、その即時大規模報復を招かなかった点で、イランの「華やかだが米等の過激な反応を招かない」報復というのは、ある意味でよく計算された、対イスラエル、米シグナルであった可能性もありそうです。

そこで今度はイスラエルの報復という番になりますが、y net news 等は。イスラエルの戦争内閣は15日対イラン報復攻撃を決めたが、報復は限定的なものになるだろうと報じています。

戦火の拡大を望まないバイデン政権の立場、先日のイラン攻撃を「歴史的」な成果で乗り切ったIDFの成功等から見ても、イスラエルには激しい攻撃を加えない選択の余地がありそうで、近々あると予測されるその報復攻撃は
 軍事目的を中心とした限定的なもので、テヘランとかの人口密集地帯は狙わない
 核施設も外す(ただし、IDF幹部等が、イランの核兵器開発までには時間的余裕がある現在が好機とかんがえれば、核施設の攻撃もありうるが、そうなると双方の全面戦争となる可能性も排除できない)
 主たる対象は空軍基地、ミサイルやドローン基地
 革命防衛隊施設
 革命防衛隊海軍海岸の軍事施設
等を中心とし、これにレバノン、イエメン、シリア、イラクなどのシーア派組織の施設も含まれる可能性があろう?

こちらのほうの報復も、華やかで戦火を誇示できるようなものとなろうが、米国特にバイデンを過度に刺激することは避けるのではないか? 
今後の情勢は、イスラエルの報復攻撃の規模や対象如何にもよるが、イランがその報復でとりあえずのゼスチャーは示せたと考えれば、これらの動きが近い将来、双方の連鎖反応を招き、中東が極度の不安定になることはないと希望的には見られる
しかしやはり中東は現代のバルカンで、今後も国際的不安定の大きな要因であり続けると思われる
とくに破壊しつくされたガザについて、今後その再建や統治をだれがどのようにしていくかが,全く不透明で、さらにヨルダン川西岸も不安定が進行している点で、やはりいわゆるパレスチナ問題が不安定さの中心にあるように思われる
'This is not over,' IDF officials warn as they push for retaliation against Iran (ynetnews.com)
مجلس الحرب الإسرائيلي ينهي اجتماعا وتوقعات برد قريب على إيران | أخبار | الجزيرة نت (aljazeera.net)

イランのイスラエル攻撃

イランのイスラエルに対する大規模攻撃は、どうやら失敗した模様です。

攻撃から24時間以上たったが、攻撃で死亡したイスラエル人はなく、またIDFの拠点等も攻撃が成功したところはなさそうです。
これをイスラエルメディアは、イランからのミサイル、ドローン等は99%捕捉されたとか、IDFの歴史的成功だとか報じています。もちろん、まだイスラエル人の死傷のニュースは入ってくる可能性はあるかもしれませんが、仮にあったとしても大きな数になるとは思われません。

また国際的にも、英米ヨルダン等がミサイル等迎撃に参加したほか、Y netnewsなどによれば、イラン飛翔体の破片が中東の広い地域で発見されている由にて、軍事的にはIDFや米国等の対空能力の高さが示された一方、数百ものミサイルを発射しながら、そのほとんどを捕捉されたイランの能力が低いことが暴露されたようです。
ここでもy net newsなどは、イスラエルのドローン会社等に照会、連絡が殺到していると報じています。
より大きな国際社会との関係では、13日開かれた国連安保理で、イランの攻撃にとのことですとのことで、イスラエルがすぐに大規模報復をしなかったこともあってか、その自衛行動を理解する声が大きかったとのことです

もちろんイスラエル政府の構成やその戦略思想からして、イスラエルが何の報復措置もとらないとは信じがたいところ、何らかの報復をすると考えたほうがよさそうですが、バイデン等はかなり真剣に報復から思いとどまるように働きかけており、仮にイスラエルが今後報復をするとしても、中東全域巻き込むような大規模なものではないような気もします。

いずれにせよIDFの成功で、イスラエルは報復までかなりの時間を稼ぎ、また報復そのものもかなり限定的なものとする行動の自由を得た感じがします・
とりあえず
Cool heads needed: Iran's assault becomes Israel's unexpected boon (ynetnews.com)
الجيش الإسرائيلي يعترض مسيّرة أطلقت نحو إيلات | أخبار | الجزيرة نت (aljazeera.net)

iイランのイスラエル攻撃

イランの報復攻撃については朝方報告しましたが、その後イスラエル紙等は、攻撃の詳細について報じています(そのソースはIDFであろうことは間違いないので、どの程度公正というか正確なものかの問題はあるも)。
またイスラエル当局は同国上空の飛行禁止を解除したとのことですので、少なくとも現時点でイランの第2波攻撃はなさそうです。

イスラエルメディア等は、IDFが、13日のイランの攻撃について、イランは185発のドローン、36発の巡航ミサイル、130発の地対地ミサイルを発射したと報じています。
これらのミサイル等は大部分が捕捉撃墜されたとのことで、その捕捉には米軍のほか、英、ヨルダン軍も加わった由(このうち米軍はともかくヨルダンも地理的に近く・・・・誰が捕捉したかは不明だがアルアクサモスク上空でも捕捉された由・・・・十分ありうる話ですが、英軍はどこにいてミサイルを捕捉したのでしょうか?)
他方イスラエルの損害や人名の喪失等のニュースはありません。

さすがにアラビア語メディアはこのへん、あまり詳しい報道はありませんが、これらの報道が事実に近ければ、イランの軍事的脅威がpaper tigerであったのでしょうか?
もしそうであれば、イラン体制の安定にも影響があるのでは?
Biden praises Israel's ' remarkable capacity against unprecedented attacks' (ynetnews.com)
مباشر.. إيران تشن هجوما على إسرائيل | أخبار | الجزيرة نت (aljazeera.net)

イランの報復攻撃

誰もが予測していたイランの報復攻撃が始まりました!

中東及び国際的メディアは、一斉に、イランが13日イスラエルに対してミサイル及びドローンによる攻撃を始めたと報じています。

報道のことですから細部には差もあり、どの程度正確なものかは不明ですが、ざっと見たところでは攻撃はイラン本土からで、使われたのはミサイル及びドローン(ミサイルについては巡航ミサイルと弾道ミサイルとの報道あり。ドローンについては数百発‥…ただし100発という説と4〜500発という説がある)で、狙われたのは占領地であるゴラン高原。(ただしエルサレム等でも空襲警報が鳴らされた由)

IDF(イスラエル国防軍)はドローンの99%は捕捉撃墜したとしている由。

イスラエルでは全学校が休校となり、イラン攻撃の第2波があるとして警戒態勢が維持されている由。またドローンが到着するまでにはまだ時間がある由。

ということでまだイスラエルの被害の規模は不明だが、注目されるのは、その規模とイラン本土から直接発射された(これは革命防衛隊が発表したところ)ことと、他方目的地がゴラン高原で、エルサレムその他のイスラエルの大都市を避けていること。

IDFが反撃することは当然と予測されているが、その時期、目標、攻撃の規模等は不明。

もしかすると、イランは目に見える形で報復をする必要性と、米・イスラエルの過剰?反撃を避けるためにこのような形をとったのかもしれない。

また12日だっかには、ホルムズ海峡近くで、革命防衛隊の海軍がイスラエル人所有のタンカーを降下作戦で乗っ取り、イランへ回航させており、これとの関係は不明だが、もしかすると多くが予期していた通り、イランの複数個所における報復活動かとも思われ、注目される。

おそらくこの事件は今後とも尾を引き中東はさらに不安定になっていく危険性があると思われるもとりあえず。

مباشر.. إيران تشن هجوما على إسرائيل | أخبار | الجزيرة نت (aljazeera.net)
Iranian missiles, drones attack Israel; sirens in Jerusalem and cities in the Negev, (ynetnews.com)

欧州諸国のパレスチナ国家承認の動き

aljazeera netなどは、スペイン、アイルランド、ノルウェイの欧州3国が、パレスチナの国家承認の方向に動いていて、ほかのEU諸国にも承認方働きかけていると報じています。

実は2日ほど前だったかに、アイルランド外相がパレスチナ国家の承認を呼びかけたとのニュースがあり、また国連安保理はパレスチナ国家の正式国連加盟問題(現在はオブザーバー資格)について議論し、問題を安保理の資格審査委員会に委託したが、11日だったかに、同委員会はパレスチナ国家の承認について意見をまとめることができなかったとのニュースもありました・
安保理では米等が拒否権を有しており、パレスチナの加盟問題等のように安保理の合意が必要な問題で、安保理が同意するわけがなく、この問題はそもそもがnon starterなのですが、パレスチナ問題の解決が袋小路に入ると、国連加盟問題はアラブ諸国や非同盟諸国等が、次善の策として?必ず持ち出してきたものです。

通常国際法では国家は、支配する領域と人民を有し、独立国家としての能力を有するものとされており、パレスチナの場合、この要件を満たさないのではないか、として米英はじめ欧米諸国や我が国等は、否定的だったかと思います。
それでもオスロ合意の後では、米国も含め、パレスチナ問題の解決にはイスラエルとパレスチナノ2国を基本とした国間方式であるべきとの意見がトランプの以前では支配的で(現在でも米政府は公式には2国間方式を支持しているはず)、パレスチナとはヨルダン河西岸とガザからなるとして、それを具体化する種々構想も提起されてきました。

しかし、ネタニアフをはじめとするイスラエル政府は右翼入植者の圧力もあり、西岸での入植地の拡大等でパレスチナ人の土地を包囲したり、取り上げる政策を進めてきて、パレスチナとなるべき土地は年々縮小してきました。
特にガザは過激派のハマスが支配していることもあり、IDFの包囲と攻撃の対象となってきましたが、ガザ戦争の勃発以来」見る影もない惨状を呈しています。

要するに2国間解決の、一方の当事者が影を消そうとしているときに、パレスチナ国家の承認を提唱するのがいかなる意味があるのか?
今回名前の挙がった3国のうち、スペインは歴史的事情(かってスペインはアラブの西オマイヤ朝があったところ)もあってか、欧州では最も親アラブ的な国であるが、アイルランド、ノルウェイの背景は不明です。
いずれにせよ、国連加盟問題はもとより、EUとの関係も英仏独等域内大国の立場に鑑みれば、大きな変化は当面起こりそうにもありません。
ということは、国際機関(国連やICJ )等がこの問題に関与することで、少しでもパレスチナ人の不満をやわらげようということなのでしょうか?
スペインではドン・キホーテが最大の古典のようですが、こんかいのスペイン外相の動きが現代版ドン・キホーテではなく、パレスチナ問題に何らかの好影響を与えることを期待しています。

قادة إسبانيا وأيرلندا والنرويج: مستعدون للاعتراف بدولة فلسطينية | أخبار | الجزيرة نت (aljazeera.net)

イスラエル・イラン関係

イスラエルとイランの報復合戦の可能性はますます緊迫しているようで、バイデン大統領もその可能性に触れ、イランに対して軍事的行動をとらないように警告したとのことです。

この点に関し、アラビア語およびイスラエルのメディアは、ヒズボッラーが12日午後、南レバノンから数十発(ynet news によれば40発)のミサイル及び2機の爆発物搭載ドローンをイスラエルに向け発射したと報じています。これらの飛翔体はIDFが捕捉したり、レバノン内で爆発したり、野原に落下したりで、イスラエル側には損失はなかった由。
これに対してIDFはこれら飛翔体の発射地点と思われるところを砲爆撃した由。

これがイラン・イスラエルの報復合戦の一部であるのかは不明だがとりあえず

IDF says some 40 rockets fired by Hezbollah on Israeli north (ynetnews.com)

 إطلاق عشرات الصواريخ ومسيرتين من جنوب لبنان على إسرائيل | أخبار | الجزيرة نت (aljazeera.net)

イスラエル・イラン対決?

イランとイスラエルの敵対関係については、先ほどイスラエルメディアは48時間以内に、イランの対イスラエル攻撃があるのではないかと予測していると書きましたが、イスラエルメディアの中には、その後24〜48時間内にイランの攻撃があるのでは、と報じるところもあり、イスラエルメディアを見る限り、事態はさらに切迫している感がします。
また。ynet news などは
  IDFとイスラエル情報機関はイランに対するイスラエルの報復作戦(内容は不明)について合意した
  IDF空軍はキプロス周辺で訓練(特にイランまでの行動に備えての空中給油等)を行い、イランに対し、メッセージを送っている
  IDFは空軍及び対空防衛要員に対して禁足令を出した
などと報じています

これに対しアラビア語メディアは、現在でもガザ情勢が主で(IDFは地上部隊の撤退後も。盛んに空爆やミサイル攻撃を行っているもよう)、明らかにイスラエル・イラン関係への関心とは温度差がありますが、その理由は不明です。

24時間とか48時間とか具体的な時間はともかく、これから週末にかけて中東でイスラエル(プラス米国)とイランなどとの間で、軍事衝突が起きる可能性もあり、とりあえず
Israel expects Iranian attack within 48 hours - WSJ - The Jerusalem Post (jpost.com)
IDF, Mossad approve Iran strike plans (ynetnews.com)
 

イランのイスラエル報復

イスラエルのダマスのイラン大使館に対する攻撃に対し、イランは最高指導者以下、厳しい罰を下すと、報復を高言しているところ(イスラエルメディアでは米WPを引用して攻撃は48時間以内にもあるのでは、と報じているところもある)、ynet news やjerusalem post net などは、イラン外相が7日オマーンを訪問した際に、米国に対してイランは報復を急いではおらず、過度に米国を刺激しない程度の規模にとどめるつもりで、米国もこの問題に介入しないで欲しいとのメッセージを伝えたと報じています。

これに対して米大統領府等は、イランがそのような形で米にメッセージを送ってきたとは承知していないとしている由。また米国外交官に対しては当面外出しないようにとの指示が出されている由。
他方バイデン大統領は、米のイスラエル支持政策はiron clad だとして、米のイスラエルの安全保障に対するコミットを再確認した由。

他方、現在カイロで米国も含めてガザの停戦協議が行われているところ、y net news は、ハマスの指導者シンワルは、イランや米国の動きも見るために、米国が提示した新しい妥協案に対する回答を保留している、と米メディアを引用して報じています。

もちろん現時点で、これらのニュースの事実確認はできませんが、これまでも、イランは報復しないではおかないだろうが、イスラエル及び米国との直接軍事的対決に避けたいとしているとの見方が一般的であったこと及び、従来からオマーンがイランと米等とのメッセージのなどの仲立ちをしてきたことから、こののニュースもなかなかもっともらしいものがあります。
取り合えず
Iran says will retaliate against Israel in a way that won't start regional war (ynetnews.com)
Israel expected to be attacked by Iran within next 48 hours - WSJ - The Jerusalem Post (jpost.com)

ハマス政治指導者息子の死

中東のメディアは、IDFが10日ガザでハマスの政治指導者hanie の息子3名を殺害したと報じています。

彼らはamir hanie
          muhamamad hanie
         hazem hanieの3名で、最初の息子は、ハマスの軍事組織の細胞指揮者で、残りの2名は戦闘員の由。彼らは車で移動中であった由。

これを報じるal qods al arabi netは、これら3名の死はIDFも確認しているとして、イスラエルでは、敵の政治的指導者など重要人物の殺害(暗殺)の場合、事前に首相等に通報してその許可をとることになっているが、これら3名(ほかに孫もいた模様)の殺害に関しては、事前の首相等への通報、許可申請等はな無かったとしています。
他方hanieはハマス政治局を通じて、息子たちの死に関して、haniegが、彼らの血はほかのパレスチナ人の血よりも尊いわけでhないではないとして、イスラエルとの戦いを続けるとしたと報じています。

ということで双方が確認しているようで、ハマス政治指導者の息子たちの死は間違いなさそうですが、問題はその死が現在カイロで続いている(はず)の停戦協議にどう影響するかでしょう。
中東メディア等は、ハマスが若干の柔軟姿勢を見せてきたが、まだ双方の距離は遠いとしていたところ、hanieの3人の息子たちの暗殺がさらに柔軟化の方向に左右するとも思われません。
取り合えず


الجيش الإسرائيلي يقر باغتيال 3 من أبناء هنية- (بيان) (alquds.co.uk)





イランの報復攻撃予測

IDFのダマスのイラン大使館空爆に対しては、イラン最高指導者も含め、イランは深刻な報復を予告し,いつ、どこで、何に対して行われるかはともかく、イランの報復攻撃があるだろうことは広く予測されており最近中東では特に緊張が高まっている模様です
もっとも一般的ではありますが、イランとしても直接イスラエルや米との対決は避けたいが、イランがこの事件を極めて深刻に受け取っているとのメッセージを送るには、何らかの劇的な攻撃が必要とのジレンマを抱えています。

この問題について米ブルんバーグ通信は、イスラエル、米の情報当局をソースとして、10日イランが11日にも。ミサイルかドローンを使って報復を行うのではないかと報じている由。
これはイスラエルメディアが報じるところですが、イランが自ら行うか、手先を使ってのテロとなるかは不明、
またこれと関係あるかと思いますが、y net news は、ドイツのルフトハンザが10日、とりあえずテヘランへの就航を中止すると発表したと報じています。それによると、同便の運航停止は少なくとも11日までは続く由
取り合えず
Germany's Lufthansa suspends flights to and from Tehran amid Middle East crisis (ynetnews.com)
Iranian attack on Israel may be imminent - report - The Jerusalem Post (jpost.com)
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