2012年01月07日

「偽物」と分かっていても、治療に効果発揮する偽薬

http://jp.wsj.com/Life-Style/node_369992?google_editors_picks=true

「パラセボ(偽薬)効果」と聞くと、その偽薬が効くと信じるが故に得られる気分的な高まりを思い浮かべることが多い。だが、最近の研究では、つかの間の気分の高まり以上のものがパラセボから得られることが分かってきた。

 最近の研究で、自身の体や健康状態に関するある種の見方や思い込みが、病状の改善につながり、食欲や脳化学物質や視力の変化にまでつながる可能性があることが示され、心と体が深く結びついていることが浮き彫りになった。

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Douglas B. Jones

ぜんそくの発作にパラセボを与えられた患者は、本物の治療と同じように気分がよくなったと報告した

 この場合、摂取するのがパラセボであり、「本当の」治療ではないと分かっていても関係がないようだ。ある研究では、有効成分を含まない砂糖の薬を飲むと告げられた被験者にも、強いパラセボ効果が見られた。

 パラセボは実際の臨床診療でも使われる場合がある。英国の医学会報で発表された2008年の調査では、700人近い内科医とリウマチ専門医にアンケートを行い、その約半分がパラセボを定期的に処方すると答えた。最もよく使われるパラセボは市販の痛み止めとビタミン剤だ。砂糖でできた薬や食塩注射を使うと答えた医師はわずかだった。米国医師会によると、扱いにくい患者をなだめるためだけにパラセボを処方することはできず、患者に通知して同意を得なければ使うことはできない。

 研究者はパラセボ効果をさらに探求し、効果を増減させる方法を解明したいとしている。体重やメタボリズムに関係する健康状態を改善するうえでは、より強力で長続きするパラセボ効果があれば有用かもしれない。

 エール大学院生のアリア・クラム氏とハーバード大学のエレン・ランガー心理学教授が行い、2007年にサイコロジカル・サイエンス誌に掲載された研究によると、ホテルの客室係は、仕事がよい運動になると聞かされると、4週間後には体重や血圧、体脂肪が大きく減少した。同じ仕事をしながらも、運動については聞かされなかった従業員では体重に変化はなかった。両グループとも食事や運動量は変わっていなかった。

 昨年、ヘルス・サイコロジー誌に発表された別の研究では、個人の食欲やグレリンと呼ばれる消化管ペプチドの生成に対して、人の物の見方がどのように影響するかが示された。グレリンは食後に得る満足感に関係しており、体が食べ物を必要している時には上昇し、カロリーが摂取されると減少して、もう空腹ではなく、食べ物を探す必要はないと体に伝える。

 しかし調査では、グレリンのレベルは、実際にどれだけのカロリーを摂取したかではなく、どれだけ摂取したと告げられるかに左右されることが示された。これから飲もうとするミルクセーキが620キロカロリーで「過剰」であると告げられた被験者は、脳が満足感を認識し、同じミルクセーキが120キロカロリーで「適度」なものであると言われた被験者よりも、グレリンのレベルが低下した。

 クラム氏によると、この結果は、ダイエット食品を食べるとなぜ満足感が得られないのかを、心理学的に説明するという。「ダイエット食品を食べる場合、体に対して十分には食べないと伝えることになる」

 うつ病や片頭痛、パーキンソン病などに関する研究では、砂糖でできた薬や偽手術、偽はり治療といった効力のないとされている処置でも、大きな効果をもたらすことが発見されている。サイエンス誌に2001年に発表された研究では、パーキンソン病の症状を改善するうえで、パラセボが本当の治療と同等の効果を発揮することが示された。パラセボは実際に、パーキンソン病の治療に有効とされている神経伝達物質のドーパミンを大量に誘発した。

 ハーバード大学のパラセボ研究プログラムのディレクターであるテッド・カプチュク氏らは、パラセボが効果を発揮するためには、必ずしも患者をだます必要はないことを示した。同氏らは、過敏性大腸症候群の患者80人に対して、パラセボを与えるか、何の治療も施さなかった。パラセボを与えられたグループは、薬が効力のない物質で作られ、「心身の自己回復プロセス」を通じて症状が改善するという研究結果があることを示された。患者は、パラセボの効果を信じる必要はないが、ともかく薬を飲むように言われた。3週間が経過した後、パラセボを摂取した患者は苦痛が軽減し、一部の症状が大きく改善、生活の質がいくぶん向上したと報告した。

 なぜパラセボは、真の治療ではないと知らされた後でも効果を発揮するのか。カプチュク氏は、期待感がその一因だと言う。また、前向きな環境に置かれ、革新的なアプローチと薬を飲むという日々の儀式が、変化に対して開かれた心を作り出すのではないかという。

 カプチュク氏は「現在のところ、パラセボは病気の生態を根本から変えるのではなく、患者が病気を経験し反応する方法を変えるのではないかと考えている」と話している。


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米研究者、老化現象を遅らせる方法発見か―マウスで実験

http://jp.wsj.com/Life-Style/node_336791

一部の老化現象を遅らせる方法が見つかったかもしれない。2日に発表された米研究チームの論文によると、マウスを対象とした実験で、分裂しなくなった細胞を除去することで、白内障やしわの原因となる脂肪減少といった現象を遅らせたり、防いだりすることができたという。

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Getty Images


 若くて健康な細胞の大半は、体の組織や臓器を適切に機能させ続けるために分裂を続ける。しかし、その分裂はやがて止まって老化と呼ばれる状態になり、他の細胞に取って代えられる。細胞の老化はヒトの一生を通じて起こる現象だが、このような老化細胞を体から除去する能力は年齢を重ねるとともに衰えるため、このような細胞が体内にたまっていく。

 米ミネソタ州ロチェスターの有力医療機関メイヨー・クリニックの研究チームは、老化した細胞をターゲットとして死滅させる薬を使って、老化プロセスの一部を本質的に凍結できることを発見した。この研究結果は2日付の英科学誌「ネイチャー」に掲載された。

 この研究は、極めて初期の段階にあるものの、老化細胞を除去すれば、年齢を重ねながらも健康を維持する1つの方法である可能性を示している。

 論文の執筆者で、メイヨー・クリニックの教授でもあるジャン・バンデューセン氏は、「老化細胞を除去できれば、ひょっとすると老化に関連する各種の病を個別にではなく一つのグループとして治療できるようになるかもしれない」と語った。

 老化プロセスにおける細胞老化の重要性は、長年疑問視されていた。しかし、米国立加齢研究所(NIA)の加齢生物学部長フェリペ・シエラ氏は今回の研究結果について、これらの細胞が老化に関連する現象において一定の役割を果たしていることをはっきりと示していると指摘した。同氏はこの研究には参加していない。

 細胞は老化すると、炎症を引き起こすような有害な物質を出す。メイヨー・クリニック加齢センターの責任者で論文の執筆者でもあるジェームズ・カークランド氏によると、、認知症、アテローム性動脈硬化症、糖尿病などの疾病の裏には、加齢に伴う慢性的な組織の炎症が潜んでいると考えられるという。

 研究チームは、老化細胞が全体の細胞に占める割合はほんのわずかで、高齢者の組織の約5%ないしそれ未満だが、それが幅広い影響をもたらしている可能性があると指摘している。



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<鶏の空揚げブーム>専門店増加 「安価」「安全」で注目

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120107-00000039-mai-soci

食卓や居酒屋の一品として、さらには弁当のおかずとしても「定番」の鶏の空揚げ。このおなじみのメニューが今、ブームになっている。専門店が増え、関連商品もヒット。何が起きているのか。

【揚げてみよう】鶏の空揚げのコツ

 東京都葛飾区立石にある創業60年余の空揚げ店「鳥房(とりふさ)」。鶏肉店を兼ねる店先に据えられた二つの大鍋で、3代目主人の水澤昭さん(67)が鶏の半身を丸ごと揚げていく。

 約600円(大きさによる)の空揚げが1日200個以上、週末には300を超える勢いで売れる。「ブームだってね。この近所にも(空揚げ店が)四つできた」。水澤さんは目を丸くする。

 都内の空揚げ専門店は急増している。一般社団法人「日本唐揚協会」によると、09年には10店だったのに、昨年12月時点で60店以上に増えた。同協会は、空揚げ愛好家たちが08年に設立。人気店を集めた「からあげカーニバル」を大手スーパーで催したり、コンビニエンスストアの商品監修にも関わっている。

 人気の「発信源」と言えそうなのが大分県北部。特に「聖地」とされる中津市と「専門店発祥の地」の隣の宇佐市では、計80店が味を競う。大分の空揚げの特徴は、油をつぎ足し、そこに染み出した店独自の味を継承していることや、胸、もも、首といった部位ごとに買えることなど。

 空揚げは家庭料理のイメージが強いが、地元では「昔から専門店で買うもの」(中津市観光課)だそう。中津市では毎年「からあげフェスティバル」を開き、4回目の昨年は2日間で市の人口を上回る9万人以上を集めた。宇佐市も06年に市職員らが「からあげ探検隊」を結成、今年のB−1グランプリ出場に向け準備を進める。

 「東京では、大分から出てきた専門店を地元の店が迎え撃つ−−という構図で盛り上がっています」。日本唐揚協会専務理事で、自身はIT関連の会社を経営する八木宏一郎さん(36)はそう話す。

 ブームは外食分野だけにとどまらない。昭和産業が昨年3月に発売した「レンジでチンするから揚げ粉」は、鶏肉にまぶして電子レンジで加熱するだけで「空揚げ」ができるというもの。「揚げない揚げ物」というコンセプトが受け、当初の年間売り上げ目標5億円を既に上回り、今春には10億〜12億円に届く勢いという。空揚げ人気に加え「節電の夏で(室温を上げる)火を使う料理を避ける傾向も後押しした」と同社。

 なぜ今、空揚げなのか。「(08年の)リーマン・ショック後の不況に伴う節約ムードで、牛や豚よりも鶏、外食より調理された食品を買って自宅で食べる『中食』を、という傾向が強まった」と八木さんは分析する。さらに原発事故後、食品の安全への消費者の意識が敏感になったこともあり「生育サイクルが短く、比較的リスクの低い鶏肉需要が高まったのではないか」。

 関連書籍の出版も相次ぐ。9月に発売された「みんなの唐揚げ」(ナツメ社)は、さまざまなレシピ、各地の名店紹介の他、使用する鶏肉の部位や下味、衣などの違いも解説し「唐揚げバイブル」をうたう。「空揚げは誰にとっても身近で嫌いな人が少ない料理。一方でバリエーションも多く、熱く語る人たちがいるところが面白い」。編集担当の遠藤やよいさんは言う。

 かみしめればジュワッと広がるそのうまみのように、今年も空揚げブームは続くか。【井田純】


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2011年12月14日

シリコンバレーで起業した日本人が語るスタートアップガイド2――シリコンバレー流の資金調達

http://jp.techcrunch.com/archives/jp20111105the-guide-to-start-business-in-silicon-valley-for-japnanese2/

前回は、「シリコンバレーの投資家に受け入れられるプレゼン」について書きましたが、今回は、「投資家へのプレゼン方法」に次いで多く受ける質問である「資金調達」に関してです。

投資家へのプレゼンテーションは、日々試行錯誤をしながら改良していくことができますが、資金調達は一旦実施してしまうと、もう後戻りができません。事業(サービス)もチームも良いのに、資金調達で間違いを犯したがために、先に進めなくなる例も多々あります。

この記事では、シリコンバレーのオンライン系のスタートアップの最近の一般的な資金調達の方法を整理します。シリコンバレーのやり方が必ずしも絶対的に正しいわけではありませんが、長年の歴史を経て「標準化」されているやり方から学ぶことも多数あると思います。また、シリコンバレー進出をしたいと考えている人は、大きな間違いを犯すのを避ける意味でも、シリコンバレーの標準形を理解しておいて損はないと思います。

シリコンバレーのオンライン系スタートアップの資金調達の標準系
シリコンバレーでは、スタートアップにまつわるいろいろなものがパッケージ化(標準化)されています。(もちろん例外はいくらでもありますが)標準的な投資のパターンは大体以下のようなパターンです。個別に投資家と交渉するのはスタートアップ側にとって時間的、金額的(弁護士費用)にとても負担が大きいので、「今からXXラウンドを開きます。投資したい人は一緒にどうぞ」という形で投資を募ります。

1.Seed Round (Advisory Round)
2.Seed Round (Money Round)
3.Series A
4.Series B
5.……
Series A以降(Priced Roundsとも言います)は、優先株(Preferred Stocks)による調達が一般的です。これは、日本で言う「第三者割当増資」に該当します。こちらは日本の皆さんも想像しやすいのではないかと思います。所謂ベンチャーキャピタル(VC)から調達します。通常、そのラウンドをリードする「リードインベスター」を決めて、まずはそのリードインベスターとスタートアップが詳細条件を詰めます。その後、双方が同じ条件で投資をしてくれる他のVCを探します。TechCrunchの記事で「A社にX, Y, Zが投資」という記事が出る場合、大抵はXがリードインベスターだと理解すればほぼ間違いないと思います。

ところが、最近では、特にオンライン系でSeries Aまで行かずに売却となるケースが多くなってきており、Series Aが実行されるということは、「プロダクト良し。ユーザー数(の増加率)良し。明確なビジネスモデルも見つかった。よって、後はお金を投入してチームを大きくしていけば、より大きなスケールで儲かりそう」という段階になる場合が多いです。VCは多くの場合、取締役の選任権(や場合によってはCEOの任命権)を要求します。従って、Series Aが行われるということは、創業者たちの自由が無くなるということでもあります。場合によっては、VCが指名したCEOによって創業者が解雇されるということも起こりえます。

他方、多くの会社は、創業後すぐに「プロダクト良し。ユーザー数(の増加率)良し。明確なビジネスモデルも見つかった。よって、後はお金を投入してチームを大きくしていけば、より大きなスケールで儲かりそう」とはなりません。かと言って、そうしたレベルになるまで自己資金で活動し続けるというのはほぼ無理です。20代の創業者たちが多くの貯金を持っていないのは日本もシリコンバレーも一緒です。シリコンバレーでは、若い創業者たちが自己資金を出すということをまったく期待されません。

では、Series A(あるいは売却)に到達するまでの間、どのように資金調達するのでしょうか。シリコンバレーには、多数のエンジェル投資家(個人)がおり、多くのスタートアップはVCからの調達の前にエンジェル投資家から資金を調達します。これが上記で言う1や2のSeed Roundに該当します。ただ、この段階での投資は、(一般的には)優先株を発行する第三者割当増資ではなく、Convertible Notesで調達します。Convertible Notesとは何かは後ほど詳細を説明しますが、Y CombinatorのPaul Grahamが

Convertible notes have won. Every investment so far in this YC batch (and there have been a lot) has been done on a convertible note.
(筆者訳:Convertible Notesが勝った。Y Combinatorの現クラスのすべての会社への投資(実際にはもっと)がConvertible Notesでの投資だった。)

と書いているように、シリコンバレーのオンライン系企業へのアーリーステージでの投資はほぼすべてConvertible Notesによる投資になってきているというのがトレンドです。AppGroovesも現時点ではすべての資金をConvertible Notesで調達しています。Convertible Notesによる投資に関する情報は日本語にほとんどない上に日本ではなじみのないやり方ではありますが、これは「シリコンバレーの歴史的な発明」だとも思いますので、後ほど整理します。

Advisory Roundとは文字通り、アドバイザー兼投資家となる人から投資を受けるためのラウンドです。アイデアがあって、プロトタイプがある、くらいのレベルでしょうか。基本的にはエンジェル投資家(個人)から調達します。詳細は後述しますが、評価額(正確には後述する「増資前評価額の上限」)は100万から300万ドル。Money Roundはもう少し対象となる投資家を広げて、Advisory Roundよりも大きな額を調達します。評価額は300万から1000万ドルくらいが標準的です。このラウンドはエンジェル投資家(個人)だけでなく、小さめのSeed FundやSuper Angelと呼ばれる人たちからも調達します。これらの投資家は、一般的には、取締役の選任権を要求しません。従って、このステージでは、基本的に会社はまだ創業者たちが自由にコントロールできます。

Advisory Round = お金以上のものを提供してくれる(エンジェル)投資家を探す
Convertible Notesとは何かを説明する前に、私が資金調達に関して、シリコンバレーの先輩たちから学んだ一番重要なことを書いておきます。それは「できるだけ創業初期に、資金以上の何かを提供してくれる人から投資を受けること」です。

特に、創業初期のスタートアップは、ほとんどの場合、解くべき問題とプロトタイプくらいしかない、言ってみれば、ほぼ何もない状態です。典型的なケースでは、20代のエンジニアが2から3人。こうした会社でも1から2年後にはとてつもない会社になる(場合がある)というのは、シリコンバレードリームです。私も最初は「20代の若者が頑張ってもどうにもならないのではないか」と思っていました。ところが、よく研究をしてみると、上手くいく会社ほど、若い創業者たちを助ける多くの投資家/アドバイザー(それも百戦錬磨の猛者たち)がいる、ということがわかりました。彼らのヘルプこそが、スタートアップを本当の意味で離陸させている、ということです。

創業初期の投資家/アドバイザーは、スタートアップに2つの価値を提供してくれます。1つ目はアドバイスです。まだ若い創業者たちは、夢と技術はありますが、経験がありません。過去に成功した起業家、同じ領域のエキスパートからのアドバイスはお金に換算することのできない貴重なものです。2つ目は、信用(英語で言うと「Social Proof」)です。「Xさんが投資した/アドバイザーになった」というのは、Xさんが過去に成功している人、大企業の重役であれば、非常に大きな信用になります。若い創業者が何かを売り込もうとしても大抵は無視されるでしょうが、Xさんからの紹介があるだけでまったく違うことが起こる、というのは日本でもシリコンバレーでも同じです。

こうした投資家/アドバイザーが見つからないと、ゲームが先に進みません。500 Startupsの3カ月のインキュベーション期間で最初に言われることは、早く「Advisory Roundをクローズしなさい」「良いアドバイザーを見つけなさい」という2点です。このステージでのターゲットは、大きく以下の2つのいずれかを満たす人です。

■過去に自分の会社と同じ領域で起業家として成功している人
■自分の会社と同じ領域の大きい会社の重役
例えば、自分の会社がエンタープライズのソフトウェアの会社であれば、「OracleのVice President」や「MySQLの創業メンバー」というような人が理想的です。こうした人たちに投資をしてもらうか、アドバイザーになってもらうというのがビジネスを進める上でも、その後の資金調達をしていく上でも欠かせません。「OracleのVice President」や「MySQLの創業メンバー」というような人を見つけるのは一見非常に大変に見えますが、逆に言うとこうした人たちを口説けないと、その先が非常に苦しくなります。例えば、Money Roundをやる際にしっかりしたアドバイザーがいないと、多くの(良い)投資家は投資をためらうでしょう。ちなみに、ここで言う「アドバイザー」というのは、少量の株式(あるいはストックオプション)を持ってもらう代わりに、ほぼ無償でスタートアップを支援する人のことです。明示的な契約書を交わすのが普通です。

AppGroovesの例で説明します。AppGroovesはシリコンバレーのローカルの投資家/アドバイザーも多いのですが、読者の皆さんに分かりやすくするために、日本の投資家の例にします。AppGroovesに創業当初に投資をしてくださった小澤隆生さんと宮澤弦さんの2人は、創業当初から今に至るまで「資金」以上の貢献をしてくれています。小澤さんは、私の楽天時代の先輩ですが、ビズシークという会社を創業し、楽天に売却しています。楽天に売却後も、楽天野球団はじめ数多くの新規ビジネスを立ち上げてきた猛者です。従って、事業/サービスの大きな方向性を決めていく際の相談相手として、彼以上の人はいません。大局的な判断が要求される際に相談をすると、すぐに的確なアドバイスが返ってきます。宮澤さんは、実は私の大学時代の同級生なのですが、彼は在学中から事業を興し大学卒業直後にはシリウステクノロジーズを起業、Yahoo! JAPANに売却しました。シリウステクノロジーズもAppGroovesと同じくモバイルの会社でしたので、モバイル領域での彼のノウハウは非常に強力です。また、学生時代から良く知っている仲なので、他の誰にも相談できない創業者ならではの悩み相談に乗ってもらうこともあります。

AppGroovesは、幸いこうした形でここぞという時に助けてくれるシリコンバレーの猛者たちにも、投資家/アドバイザーになってもらうことができました。われわれが今の時点まで何とかやってこられたのは、まぎれもなくこうした日本とシリコンバレーにいるアドバイザーのおかげです。逆に言えば、こうした投資家/アドバイザーを見つけられるかどうかで、スタートアップがフィルターされていきます。シリコンバレーで起業したい人にとって一番重要なことは「シリコンバレーで良い投資家/アドバイザーを見つけられるか」ということに尽きると思います。まだできたばかりの会社に投資をしてもらう、あるいは、給与なしでアドバイスしてもらうというコミットをしてもらうのはそう簡単ではありませんが、逆に言うと、これができないと次のステージに進めないのも事実です。

自己資金は? 日本からの投資はNG?
日本から来る人から良く受ける質問として「最初は自己資金でやろうと思うのですが……」というものがあります。シリコンバレーでグローバルに事業をしたいのであれば、これは絶対に止めた方がいいです。もちろん例外はありますが、自己資金で自分のペースでやって勝てるほど甘い勝負はありません。前述のように、特に初期(Advisory Round)での投資やアドバイザーの獲得というのは、「創業当初間もなくやらねばならないこと」ですし、彼らのヘルプなしに先に進めていくのはほぼ無理だと思った方が良いと思います。シリコンバレーの猛者たちを、自分のスタートアップにコミットさせるには、投資を受けるか、アドバイザーを依頼するか、いずれにしても株式の希薄化は避けられません。株式が希薄化するのが嫌な人は、そもそもシリコンバレーで起業しない方がいいでしょう。

次に良く受ける質問は「日本からの投資はNGですか?」という質問です。これは非常に難しい質問で、中には「お金はお金なのだからどこからもらっても同じ」という人もいます。私の回答は少し違って、「Advisory Roundの大半が日本からの投資となるのは、避けた方が良い」というものです。つまり、Advisory Roundの大半が日本からの投資で、Money Roundをシリコンバレーの投資家から集めるというのは困難であるということです。良い投資家/アドバイザーほど、できるだけ初期に、できるだけ良い条件で投資をしたがりますので、それを妨げるようなことはするべきではないと思います。アドバイザーを依頼する場合も、アドバイザー候補も過去の投資家一覧は当然気にしますので、できる限り初期にシリコンバレーの投資家を見つけることが最重要だということです。

Convertible Notesとは何か?
一言で言うと「会社にローンとしてお金を貸し付け、将来、優先株による資金調達(通常Series A)が起こった際にローンを優先株に転換(convert)する」というものです。

なぜ、こんな面倒なことをするのでしょうか? いくつか理由があります。第一には、「立ち上げ直後の会社の評価額を決めるのはほぼ不可能」という点があります。スタートアップの評価額というのはどこまでいっても決めるのが難しいのですが、特に立ち上げ直後は評価額を決めるのがほぼ不可能です。従って「とりあえずお金を貸すから、将来、評価額が決まった時に株にしてね」という形が投資家/スタートアップの双方にとって合理的だということです。

第二に、優先株による資金調達(Series A以降)に比べて、Convertible Notesの方が、契約そのものにかかる時間が圧倒的に短いという事実もあります。優先株による資金調達(Series A以降)はきちんとした査定(デューデリジェンス)が必要なので、非常に時間もお金もかかります。時間だけならまだしも、査定に対応するための弁護士費用をスタートアップが負担するのは非常に痛手です(アメリカは契約社会なので、創業直後とは言え、専門的な弁護士なしに契約書を処理するのはほぼ不可能です)。他方、Convertible Notesで投資をする人たちは、ほとんどがエンジェル投資家(個人)かせいぜい小さいSeed Fundなので、詳細な査定(デューデリジェンス)はほぼしないか、するとしても非常に簡易的な査定です。私の経験上、「私の弁護士はX事務所のYです」というと、「あぁ、あの事務所(弁護士)なら大丈夫だよね」という具合に、全く査定されないこともありました。

第三に、これは第二の点と似ていますが、Convertible Notesの場合、個別の投資家が契約に同意する度に投資額が入金されます。他方、一般的に優先株による資金調達(Series A以降)は、そのラウンドに参加するすべての投資家が合意するまで、当然ながら誰からも入金されません。創業直後はお金が無いので、スタートアップ側からすれば、「他の人がまだ契約に同意していないから入金されない」という状況よりは、個別の投資家が契約に同意する毎に入金される方がいいに決まっています。

Convertible Notesの詳細
以下が私の知る一般的な方法です。繰り返しになりますが、例外はいくらでもありますので、実際に実行される場合は、自己責任で弁護士を雇ってください。

Convertible Notesとは、「会社にローンとしてお金を貸し付け、将来、優先株による資金調達(通常Series A)が起こった際にローンを優先株に転換(convert)する」と上述しましたが、どのようなルールで転換するのでしょうか。

通常、パラメーターは2つです。

1つ目は、転換時の「増資前評価額の上限」(pre-money valuation cap)です。仮に「増資前評価額の上限」が500万ドルのConvertible Notesで投資したエンジェル投資家がいるとします。その後しばらくして、増資前評価額が1,000万ドルでSeries Aを行うとします。この時に、エンジェル投資家が投資家が投資したお金が、優先株に転換されますが、エンジェル投資家からすると当然、「まだ会社が小さい(リスクが大きい)時期に投資したのだから、Series Aの投資家よりも有利な条件で転換してほしい」ということになります。

この場合、Series Aに参加するVCは1,000万ドルの評価額で投資しますが、このエンジェル投資家には、上限値の500万ドルの増資前評価額として優先株が発行されます(この場合、先に投資をしたエンジェル投資家は、Series Aで投資をするVCに比べて、同じ優先株を約半分の値段で手に入れられるということです)。つまり、「増資前評価額の上限」は、Convertible Notesの投資の後に事業が非常に上手くいき、Series A時の評価額が非常に高くなった場合に、先に投資をしてくれた投資家を守るためのものです。

二つ目は、「増資前評価額の割引率」(discount)です。同じく「増資前評価額の上限」が500万ドル、「増資前評価額の割引率」が20パーセントのConvertible Notesで投資したエンジェル投資家がいるとします。その後しばらくして、増資前評価額が300万ドルでSeries Aを行うとします。この時も、エンジェル投資家が投資家が投資したお金が、優先株に転換されますが、エンジェル投資家からすると同じく、「まだ会社が小さい(リスクが大きい)時期に投資したのだから、Series Aの投資家よりも有利な条件で転換してほしい」ということになります。

この場合、実際の増資前評価額(300万ドル)が「増資前評価額の上限(500万ドル)」よりも(ずっと)小さいことに注目してください。Series Aに参加するVCは300万ドルの評価額で投資しますが、このエンジェル投資家には、300何ドルの20パーセント引き、つまり240万ドルの増資前評価額として優先株が発行されます(この場合も、先に投資をしたエンジェル投資家は、Series Aで投資をするVCに比べて有利な条件で優先株が発行されていることになります)。つまり、「増資前評価額の割引率」(discount)は、Convertible Notesの投資の後に事業があまり上手くいかず、Series A時の評価額があまり高くならなかった場合に、先に投資をしてくれた投資家を守るためのものです。

繰り返しになりますが、これら2つのパラメーターは、リスクが非常に大きい初期に投資をしてくれたエンジェル投資家を守るためにあります。「増資前評価額の上限」は、事業が非常に上手くいって、Series Aの評価額が大きくなった場合に、エンジェル投資家に有利に作用します。逆に、「増資前評価額の割引率」は、事業がそこそこだった場合、あるいは上手くいかない場合のためのものです。

Convertible Notesに精通している投資家と話をして、投資したいということになると「capはいくら? discountはいくつ?」と聞かれるのが通常です。

計算が非常に煩雑になりますが、それでも、スピード感を持って急成長していくスタートアップには非常に良い仕組みです。日本のスタートアップでもこの仕組みは検討する価値があると思います。スタートアップは、新しい事業を通して世の中を少しでも良くすることがミッションです。他方、資金調達は特にスタートアップ側にとって、非常に時間を取られるプロセスでもあります。実際に自分で体験してみて良くわかりましたが、「いかに早く動くか」という点に重きを置いてきた中で発明されたこのConvertible Notesは本当に「シリコンバレーの歴史が産んだ発明」だと思います。Wilson Sonsini Goodrich & Rosatiというシリコンバレー最大手の弁護士事務所が自動的にConvertible NotesのTerm Sheet(契約書の概要)を作成するサービスを提供していますので、興味がある方はぜひお試しを。



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シリコンバレーで起業した日本人が語るスタートアップガイド――受け入れられる投資家へのプレゼンとは

http://jp.techcrunch.com/archives/jp20111017the-guide-to-start-business-in-silicon-valley-for-japnanese/

編集部注:この記事はシリコンバレーでAppGroovesを起業した柴田尚樹(@shibataism)によるゲスト記事。AppGroovesについてはTechCrunch Japanでも以前に紹介している。柴田氏は楽天で執行役員を務めたり東京大学で助教を務めた経験を持つ。

私がシリコンバレーでAppGroovesを起業してから、ほぼ毎週のように、日本のスタートアップから「シリコンバレー進出したいのですがどうしたらいいですか?」という問い合わせを受けます。彼らが決まって言うことの1つは「アメリカ人はプレゼンがとても上手なので、自信がない」ということです。

これは、一理あります(確かにアメリカ人の中には、信じられないくらいプレゼンが上手な人がたまにいます)が、日本人=アメリカ人よりプレゼンが下手、と言っている限り、何も先に進みません。シリコンバレーはスタートアップのメジャーリーグなので、日本人から来たという理由だけで優遇してくれる人はほぼいません。むしろ、シリコンバレーの投資家は、いい投資家ほど毎日山のようにアプローチを受けていますので、英語がネイティブでないということ自体が非常に大きなハンディキャップです。

私が思うに、多くの場合、「シリコンバレーの投資家が期待する形でプレゼンテーションをしていない」というのがほとんどです。実際に「僕にピッチ(注)してみてください」と言って聞くと、大半の場合は、「あぁ、これじゃぁ門前払いされるだろうなぁ」というものが多いです。そのスタートアップやサービスやチームがダメだと言っているのではありません。素晴らしいサービスやチームを持っていても、相手が期待する形で伝えていないため、せっかくの良さが伝わる前に門前払いされているように思います。要は「郷に入りては郷に従え」ということです。

(注:アメリカでは投資家へのプレゼンテーションをピッチする(pitch)と良く言います)

シリコンバレーの投資家が重視するポイント
明確なルールがあるわけではありませんし、もちろん個々の投資家ごとに好みはありますが、AppGroovesにも投資している500 StartupsのDave McClureは、以下の5つの点が重要だと指摘しています。

1.Market
2.Product
3.Team
4.Customers
5.Revenue
創業直後であれば、この5つすべてで100点満点である必要はありませんが、全部がまぁまぁという状態だと恐らく投資されないでしょう。創業直後であっても、この5つのうち、いくつかは、世界基準で飛び抜けている必要があります。

シリコンバレーの投資家へのプレゼン(ピッチ)のフォーマット
これも特に決まりがある訳ではありませんが、KissMetrics創業者兼CEOのHiten Shah(500 Startupsのメンターでもあります)は、

Simple #startup pitch: 1. Problem 2. Solution 3. Traction 4. Team 5. Future – thats it.

とTweetしています。彼はシリアルアントレプレナー(複数回起業している起業家)であるため、投資家が何を求めているかをよく理解しています。

非常に短いtweetですが、実に的を得ていると思います。私がこれまで聞いた良いピッチはほぼこの順番で構成されており、すべての要素にエッジが立っている内容でした。

1.どういった問題を解決しようとしているのか
2.どういった解決策(サービス)なのか
3.現時点でどの程度ユーザーがいるのか(増加率はどの程度か)
4.創業チームは誰なのか
5.今後どのような計画か
の5つです。これ以外のことはすべてAppendix(付録)で十分です。

シリコンバレー投資家は、1日に何度も起業家のピッチを聞いています。従って、平凡な内容だと「またかぁ」となります。その中に埋もれないためにも、この5つの項目に関しては、真剣に考えて、シリコンバレー水準で「おぉ、こいつら凄そうだ」となるようにしておかないと、投資家の興味を引くことは難しいでしょう。

実際には、私は、上述の5つ(1. Problem 2. Solution 3. Traction 4. Team 5. Future)を含んだ「30秒バージョン」「1分バージョン」「3分バージョン」を3つ用意してあります。ちなみに、これは私の好みかもしれませんが、相手がわれわれに強い関心を持っていると分かるまでスライドを使いません。3バージョンともすべて、口頭で説明します。相手が関心を持っていることが分かって、細部の議論になってはじめて、スライドを使って説明します。

「30秒バージョン」は文字通りエレベーターピッチ用です。500 Startupsのオフィスはビルの12Fにあり、投資家もよく出入りしているので、よく彼らとエレベーターで一緒になり「お前何してんの?」と聞かれます。その時には「30秒バージョン」を使います。ここで気に入られれば、「もう少し話聞かせてくれ」と言って、私のデスクまで来ることもありますし、「今度、コーヒー飲もう」と言われて別のミーティングを設定することもあります。

「1分バージョン」はパーティーなどではじめて会う人に使うためのものです。エレベーターよりは時間を使えますが、そもそも大勢の人がいるパーティーで、特定の人に対して自分だけに関心を持ってもらうのは1分間が限界だと思います。これで気に入られれば、われわれのプロダクトはiPhoneアプリなので、その場でダウンロードしてもらい、フィードバックをもらったり、上述のようにより詳細を聞かせてくれ、ということになります。

「3分バージョン」は、事前にアポを取ってカフェやオフィスで投資家に会う時に使います。この場合、相手は私がスタートアップの創業者で、現在、資金調達の最中であるということは分かっている前提ですが、それでも相手の関心が続くのは3分程度でないでしょうか。もちろん、3分のピッチで相手が気に入れば、途中であっても、どんどん質問してきます。そうなればこちらの勝ちです。そこからお互いに会話が始まります。3分のピッチで相手の関心を引けなければ、5分やっても10分やっても一緒です。お互い時間が無駄なので、要点だけを3分にまとめる方がずっと効率的なのでこうしています。

よくありがちな失敗例とその対策
500 StartupsのDave McClureは日頃から、

Problem, NOT solution. Customer, NOT technology. UX, NOT code. Distribution, NOT PR. Acq cost, NOT revenue projections.

と言っています。多くのスタートアップはこのことを理解しないで、投資家にピッチをして、その結果投資を受けられずにいる、という彼の経験則です。これは日本人だけに対して発せられたメッセージではありませんが、私が見る限り日本から来た人でこのことを理解している人はほぼいませんでした。

「Problem, NOT solution.」というのは、解決策(サービス)よりも、自分が何を解決しようとしているかの方がずっと重要だよ、ということです。サービスは将来変わることがあります。シリコンバレーではそれを「ピボット(Pivot)」と呼び、むしろ推奨されているくらいです。他方、解決しようとしている問題というのは、変えられるはずがありません。創業者は、自分が解決したい問題に関しては、世界中の誰よりも熱意があるはずですから。

最初の1. Problem部分で「ストーリーを語れ、感情的に相手を納得させろ」とよく言われます。なぜその問題を解決しようとしているのか、という点でまず投資家に感情移入させられないと、その後の2. Solution 3. Traction 4. Team 5. Futureというところまで話が行かずにピッチを打ち切られてしまうことがあります。5つの要素で一番大事なのは何かと聞かれたら、間違いなく1. Problemです。何を解決しようとしているサービスなのか、なぜそれを始めようと思ったのか、ということです。

典型的にダメな例を一つ挙げます。今年(2011年の)TechCrunch Disruptにて、Y CombinatorのPaul Grahamがオフィスアワーを設けていましたが、その中に典型的な例がありました。この中のOmniplacesという会社です。22分21秒からビデオを見てください。27分20秒くらいに注目です。Paulがイライラしてし始めます。

Paul「なぜこの会社を始めようと思ったのか?」

創業者「モバイルの位置情報検索をより良くしたいから。」

これにPaulは全く納得していません。

Paul「スタートアップのアイディアというのは、カフェに座って考えて、『よしモバイルの位置情報検索をより良くしよう』というような形で思いつくもんじゃないんだよ。」

Paul「スタートアップのアイディアというのは、明確な解くべき問題ありきなんだ。以前に働いていた会社が抱えている問題とかね。もっと君の身の回りで起こった具体的なストーリーを説明してくれない?」

創業者「僕は大学で研究をしているんだ。このサービスは僕の研究を応用して..」

Paul「これは、研究の事業化なんだね。こりゃダメだ。研究内容の事業化というのは、自分で妄想上の問題を作り出しがちなんだ。僕はこんな技術があるから会社を作りますってね。そのサービスを欲している人がいるかどうか気にしない。」

という具合に、Paulはこの創業者が解こうとしている問題が、彼の日頃の生活の中に無く、単に彼の研究内容からきているという点を第一に疑問視しています。研究内容の事業化そのものが悪いというわけではありません。「本当に誰かが困っている問題を解決しているんだ」というストーリーが無いと、この例のようにサービスの説明をする前に話が終わってしまうのです。これは実に本質的なのですが、逆に多くの創業者がこの問いに答えることが出来ないというのも事実です。「何となくおもしろそうだから」や「市場が大きいから」というだけでは、不十分です。

(注:よく私が研究者バックグラウンドなので誤解されやすいので説明しておきますが、AppGroovesの場合も、私の研究内容があったからこのサービスが出来たのではなく、私にとって身の回りにある一番大きな問題がApp Disoveryだったからこのサービスを作りました。たまたまレコメンデーションなどに私が研究してきたことが役立っていますが、もっと良い方法が見つかれば、これらのアルゴリズムは今すぐにでも捨てる覚悟があります。)

「web2.0」という言葉が流行した頃、「トラフィックさえあれば、お金は後から稼げるからビジネスモデルは気にしなくて大丈夫」と言う人がたくさんいましたが、これは半分以上間違えています。あるシリコンバレーのVCと話していた際に「重要なのは、起業家が解決しようとしている問題なんだ。解決しようとしている問題が十分に大きいということは大きな市場があるということ。創業初期からビジネスモデルが固まっている必要なないけど、解こうとしている問題が曖昧だったり、どれだけ社会を変えられるものなのかが伝わってこないと多分投資しないだろうね。テクニックを使ってトラフィックを増やしてもダメだよ。そんなことより、自分たちが解決しようとしている問題に困っている人がどれだけいるか、今はまだ小さくても、自分たちのサービスがどれだけその問題を解決して顧客を幸せにしているかを伝えた方がいい。」と言っていました。

話を元に戻します。次の「Customer, NOT technology」というのは、技術の素晴らしさを語るのではなく、顧客にどういった価値を提供できるのかを説明しなさい、という意味です。いかに技術が素晴らしくても、顧客に価値が無いのであれば、それは単なる自己満足に過ぎません。

「UX, NOT code」というのは、顧客に見えないコードではなく、顧客に見えるユーザーエクスペリエンスを重視しなさい、という意味です。コードが汚くていい、ということでは決してありませんが、スタートアップのミッションは世の中をより良くすることなのですから、常に顧客を意識しなさい、という意味です。

「Distribution, NOT PR」というのは、少し分かりにくいですが、PRのことばかり言わないで、実際にどのように顧客を獲得していくのかを語りなさい、ということです。例えば、良くあるダメな例は「このサービスをxx日後にリリースして、プレスリリースを出して、メディアにコンタクトして…」というものです。スタートアップが山ほどある中で、自分でプレスリリースで出しても誰も関心を持ってくれません。そうではなくて、例えば、「facebookとtwitter上にバイラル作る仕掛けがあります」、「facebook adsを買うと、CTRがX%, CVRがY%なので、1ユーザーあたり$xで獲得できます」といったような具体的な顧客獲得方法を述べなさい、という意味です。

「Acq cost, NOT revenue projections」というのは、創業直後の売上計画なんてどうせ分からないんだから、それなら顧客獲得コストを述べなさい、という意味です。具体的に、どのような施策でどの程度のユーザーが獲得出来ているのか(出来る予定なのか)という点を具体的に述べる必要があります。

おわりに
以上、シリコンバレーの投資家に受け入れられるピッチについて書きましたが、何事も習うより慣れろです。シリコンバレーでの資金調達にトライしたい方は、ぜひ現地にて切磋琢磨してください。そうでない方にも、新しい何かを始める場合には役立つことがあれば幸いです。

また、プレゼンテーションに関する本で1つおすすめを挙げるとすれば「スティーブ・ジョブズ驚異のプレゼン 人々を惹きつける18の法則」(Amazon, 楽天)を挙げさせていただきます。単なるHow Toだけでなく、その背景にある思想まで説明してある良書です。



animalsensei at 22:26|PermalinkComments(0) タルト | ビジネス

AppGrooves(500Startup)の柴田氏「僕がこうしてシリコンバレーで起業した」

http://onlab.jp/blog/archives/2011/12/appgrooves500startup.html

本日はOnlabでシリコンバレーで起業、日本人として初めて 500 Startupsの2011年夏のアクセラレータープログラムに参加した柴田 尚樹氏をお招きし、トークイベントを開催しました。柴田 尚樹氏は、今年シリコンバレーにて、AppGroovesInc.共同創業されました。AppGroovesは、スマートフォンアプリをより簡単に探せるようにするためのiPhoneアプリです。AppGroovesの最大の特徴は、独自に開発された推薦アルゴリズムHot
or Not形式のユーザーによる投票を組み合わせるというユニークさにあります。


今回のトークイベントでは、「シリコンバレーが僕に教えてくれたこと」という題目で、
1.なぜ起業する?
2.どうやって起業する?(起業前)
3.とうやって起業する?(起業後)
についてお話していただきました。


1.なぜ起業する?
スタートアップのミッション
大学生のころからいつかは起業したいと思っていたが、「なぜ」起業しなければならないのか分からなかった。
その答えは、"Make the world a better place"(世の中を良くすること)だった。
自分(の会社)が無かった場合に比べて、「より良い」社会にするために事業をする。


2.どうやって起業する?(起業前)
<AppGroovesの場合>
・$500K(約4000万円)調達するまでパワーポイントすらなかった。
・最初の投資コミットから2ヶ月後まで会社を登記しなかった。


最初は、どうやって起業すればいいか分からなかった。
アメリカでは「優秀な人ほど起業する」が、突然すごいアイディアを思いつく必要はない。
the best way to start your startup is
1. to find something broken in your life
2. to fix it (by your technology)
(自分が困っているものを探して、それを自分のテクノロジーを使って直す。)
ここでは問題が重要であり、時間が経っても変わらないパッションを持っているものをやるべきだ。
自分が解決した問題が、全てのオプションを捨ててでもやりたいことなのか?
収入、名誉、何がなくなってもいいと思うのであれば、起業すればいい。
やるからにはそれくらいの覚悟でやるべき。
更に、自分が他人よりも上手に解ける問題に取り組むべきである。


解くべき問題を見つける
<AppGroovesの例>
見つけた問題:
・スマートフォンアプリが探せない
・App Store, Android Marketダメすぎ
解きたい問題は見つかった。
柴田さんには、「研究者」「EC業界」の両方の業務経験あり、優位性があったが、会社・大学を辞めるのは怖かったので、週末研究プロジェクト発足させた。
2ヶ月でプロトタイプを作り、友人に見せ、気に入ったのでiPhoneアプリを作ることになった。
iPhoneアプリを密かに公開すると、2週間で3000DLがあり、リテンションが非常に高いことが分かった。
更に先輩・メンターに見せると、投資家を紹介された。
その中で、500 startups Dave
McClureに会い、15分のピッチが終わると、「投資する」と言い、iPhoneでDaveと柴田さんの弁護士にメールを書き始めた。
500 Startupsでは、2日に一回のペースで投資をしているので、その場で決め、その場でメールをするスピード感があった。
でもまだ仕事を辞めるのが不安だったので、その同じ週に他の3人の投資家に会った。
すると、全員投資をコミットしたため、仕事を全部辞める決意をし、1ヶ月で3回辞表を書いた。
解くべき問題が見つかったら、プロトタイプ、プロダクトを作って、その後に投資を探し、その後に会社を作ればいい。


3.どうやって起業する?(起業後)Lean Startup
Lean Startupとは、安く・早く・上手くプロダクトを作ること。
なぜLeanな方がいいのか?
スタートアップは、99%失敗すると言われているため、100打席に1本しかヒットが打てないなら、1打席あたりの時間とコストを短くしたほうがいい。


<AppGroovesでの取り組み>
最低でも2週間に一度はアプリを更新
1.なるべく人を採用しない
2.クラウドをフル活用
3.グローバルプラットフォームに乗る


ユーザの声を吸い上げて、どんどんサービスを改善していくことが重要。


以上です。


animalsensei at 22:24|PermalinkComments(0) タルト | ビジネス

シリコンバレーで起業する10のヒント--AppGroovesの実体験より

http://japan.cnet.com/news/business/35011865/?google_editors_picks=true

シリコンバレーでスタートアップする――難しいと言う投資家がいるかと思えば、軽々と海を飛び越えて実現する起業家もいる。国をまたいだ起業には大きな夢が描ける反面、その実態は言葉や文化、距離などさまざまなハードルが待ち構えている。スマートフォン向けアプリ検索サービスの「AppGrooves」を展開する柴田尚樹氏はシリコンバレーのシードアクセラレーター「500Startups」に日本人として初めて参加した人物だ。東京大学助教授、楽天では当時最年少の執行役員だった彼がすべてを捨てて異国の地でスタートアップを選択できたのはなぜなのか? 12月初頭に都内で開催されたイベントにて語られた彼の経験から、シリコンバレーで起業する際に留意すべき10のポイントを紹介する。

1.起業家の使命である「Make the world a better place」を理解する
 「なぜ起業しなければいけないのか理由がわからなかった」――柴田氏は学生時代から起業を志すも、その理由を明確にできず模索していたそうだ。名誉やお金、社会貢献など、起業の理由は人それぞれ。しかし、シリコンバレーで彼が学んだことは、スタートアップは「Make the world a better place(世の中を良くする)」ためにあるということ。シリコンバレーの起業家から「会社をやることで、世の中が少しでも良くなっていればそれはよいスタートアップだ」ということを学んだ彼は、社会をどう良くしたいかを明確にしてスタートアップすべきだと語る。


AppGrooves共同創業者の柴田尚樹氏 2.優秀な人物ほどスタートアップする
 北米でどういった人材がスタートアップしているのかを理解することも重要だ。「スタンフォード大学にいると、優秀な人ほど起業する。情報計算学科の成績トップ10は起業する。それに続く人はスタートアップに就職する。さらにその下はGoogleなど優良企業に就職していく」のだそうだ。

3.自分が解くべき問題を見つける
 柴田氏は起業家たちから「あなたの身の回りで壊れているものを見つけなさい。それを自分のテクノロジーで直しなさい。そうすれば自然と会社はできる」という話をよく聞いたそうだ。「それだったら俺もできるかなと思った。『解く問題』が重要であり、ソリューションは後から変えればいい」(柴田氏)。これは彼が支援を受ける500Startupsを主宰するDave McClure氏も常に言っていることだ。この問題を解くべきは自分しかいない、そういう覚悟がないなら「それまで積み上げてきたものを捨てないほうがいい」と話した。

4.会社を設立するステップを考える
 「起業方法」をテーマにしたハウツー本を読むと、最初に会社の設立、資金の調達が話題にくることがある。柴田氏はその経験から、そういった“お作法”だけが大事でないと語る。「プロトタイプを作って投資家と会って会社を作る。プロダクトができて、それが良さそうだと思ってから資金の調達に動けばいい。会社なんていつでも作れる。それ以外にやらなければならないことはもっとある」(柴田氏)

5.最初から優秀な弁護士を雇う
 契約社会である北米で弁護士の存在は必要不可欠だ。「ダメな例は安い弁護士を雇うこと。米国では弁護士の格差が激しい。最初にそこそこの弁護士を雇って、そのうち高い弁護士に変更しようという人もいるが、そこそこの人が作ったドキュメントを高い弁護士に読ませることになるので結果的に高くついてしまうことになる。弁護士や会計士などは優秀な人を雇った方がいい」のだそうだ。

6.ビザを甘くみない
 柴田氏によると米国で就労ビザを取得するにはいくつかの条件があるそうだ。米国人の雇用を脅かさない、米国人にできない専門的なことができる、米国で働くことで経済的なメリットがある。こういったことを証明しなければならない。さらに、ビザを発行する移民局(米国移民帰化局:USCIS)は官僚的でトラブルも多いそうだ。「ビザはすごい大変で時間もかかる。シリコンバレーで働きたいという人は気をつけるべき」(柴田氏)

7.シリコンバレーのシード投資のスタイルを理解する
 在職中は研究プロジェクトを作って、週末にプロトタイプを開発していた柴田氏。周囲にアプリを公開し「これはいけるかもしれない」と思ったそうだ。人に見せると自然と投資家を紹介してもらうことになるのは、シリコンバレーならではのスピード感で、柴田氏は間もなく500StartupsのDave氏にデモピッチするチャンスを掴んだ。

 「15分ほど一方的にしゃべっていた」という柴田氏。手書きのメモとアプリだけのプレゼンテーションの後に、Dave氏が言ったのは「I like it」――このやりとりで投資を決めたDave氏は、その場で自分の弁護士に連絡。「彼の弁護士と自分の弁護士が話をして会食すると言っている。(スピード感に)びっくりした」(柴田氏)。500Startupsが、年間に投資する数は200件。シリコンバレーには、ほぼ2日に1件投資する状況があると柴田氏は説明した。

8.会うべき人間は人のつながりで紹介してもらう
 「シリコンバレーは村社会なので、全員知っている。なので共通の知人などがいるかどうか確認する」(柴田氏)。柴田氏も知り合い経由の紹介というところは重視しており、Dave氏が知らない、もしくはネガティブな反応をする場合は会わないそうだ。

9.リーンスタートアップを理解する
 「最近シリコンバレーで『リーンスタートアップ』という話がよく言われる。簡単に言えば安く、早く、うまくやるということ。なぜリーンスタートアップがいいのか。投資家はスタートアップを必死に選んで投資しても99%は外す。どれだけ天才がやっても外す。そうであれば100打席あたりの時間とコストを安くしましょう、と。ただそれだけのこと」(柴田氏)。同じ1億円で1サイクルするより、10分の1のスケールにして10サイクルやったほうが打率があがる、ということだ。本当の意味でリーンスタートアップの手法が生まれた背景を理解すべきだろう。

10.効率を考える
 スタートアップにとってコストや効率の話題は注意すべきポイントだ。柴田氏は人材採用やインフラ、サービス、アプリの配信方法の3つについて「まず気をつけるべきは、『なるべく人を採用しない』ことだ」と説明する。「(仕事が)できない人を採用しても遅くなる。少数精鋭を心がける。2つ目はクラウドをフルに活用する。ハードのメンテナンスはやる必要がない。3つ目はグローバルに配信できるプラットフォームを選ぶこと。サイトを作ってそこに集客しなければならない、というやり方は辛い」とアドバイスした。


animalsensei at 22:11|PermalinkComments(0) タルト | ビジネス

2011年12月10日

2011年の人気iPhoneアプリは? 「iTunes Rewind 2011」発表

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111209-00000033-impress-inet

アップルの「iTunes Store」で9日、2011年を総括する特別企画「iTunes Rewind 2011」が公開された。同ストアで取り扱われたコンテンツの年間ランキングがまとめられており、有料アプリ部門では「秘密の写真管理 - i写真フォルダ(フォルダ管理/動画/メモ/共有)」(85円)、無料アプリ部門では「Skype」、トップセールス部門では「-Kingdom Conquest-」がそれぞれ1位を獲得した。また、「今年のベスト iPhone App」には無料のTo Do管理ソフト「Wunderlist」が選ばれた。

 有料アプリ部門で1位だった「秘密の写真管理」は、iPhone上の写真や動画をフォルダー単位で管理できるアプリ。フォルダーごとに暗証番号を設定し、画像を無断で見られないようにすることもできる。同部門2位は「Sleep Cycle alarm Clock」、3位が「ストリートファイターIV」。

 無料アプリ部門1位は、ボイスチャットアプリの「Skype」。2位は「Twitter」、3位が「マクドナルド公式アプリ」だった。トップセールス部門は1位の「-Kingdom Conquest-」に続き、2位「探検ドリランド」、3位「カイブツクロニクル」と、アイテム課金制のゲームが上位を占めた。

 スタッフの選出によるベストアプリ「Wunderlist」はクラウド同期に対応したタスク管理アプリ。「シンプルで洗練されたユーザーインターフェイスとマルチプラットフォーム同期を可能に(した)」と評されている。なお、「ベスト iPhone ゲーム」には「Tiny Wings」が選ばれた。

 このほか、iPadアプリ関連では「GoodReader for iPad」「そら案内 for iOS」「jubeat plus」が各部門のトップセラーランキング1位を獲得。ミュージック部門のトップセラーアルバムにはレディー・ガガの「Born This Way」、映画部門では「トイ・ストーリー3」が1位に輝いている。



animalsensei at 21:22|PermalinkComments(0) タルト | ビジネス

日本の「絵文字」米国にも広がる 「iPhone効果」で世界標準に

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111210-00000001-jct-sci

携帯電話やスマートフォンで絵文字を使う――日本では既におなじみだが、米国でも近年、絵文字を使ったコミュニケーションが増えてきたという。

 立役者は、米アップルの「アイフォーン(iPhone)」だ。

■基本ソフト最新版でキーボードに絵文字

 携帯電話でメールを書くとき、スマイルや泣き顔、犬や猫の動物から食べ物、天気、乗り物と多種類のアイコンから気に入ったものを選び、文面に張り付けて相手に送る。こうした「絵文字」を使ったメールのやり取りが米国でも人気だと、米ニューヨークタイムズ紙(NYT)電子版が2011年12月6日付の記事で取り上げた。「emoji」と英語表記で紹介している。

 米国で携帯電話を使ったメールは、テキストによる「ショートメッセージ」(SMS)が主流だった。そこでは「絵」を表現するために、アルファベットや、カッコなどの記号文字を組み合わせて顔の表情をつくる「顔文字」が頻繁に使われていた。だが「半角文字」のアルファベットの場合、顔の表情も「横向き」となってしまう。多様な全角文字を使える日本の顔文字と比べるとやや見づらく、バリエーションにも乏しい。

 イラストでひと目で分かる絵文字が、米国のユーザーの間で使えるようになったのは、「iPhone」の功績のようだ。基本ソフト「iOS」の最新版では、設定の際に「各国のキーボード」から絵文字をセットできる仕組みになっている。米ITブログメディア「マッシャブル」によると、日本を中心にアジアで普及していた絵文字に、アップルとグーグルが注目。2009年に絵文字使用の標準化プログラムを推進したという。現在「iPhone」で使える数は722個に増え、またグーグルのメールサービス「Gメール」でも絵文字に対応するようになった。

 NYTの記事では、従来は「顔文字」を使っていたが、絵文字を使えるようになり簡単に「感情表現」できるようになったと話す女子大生や、子どもとのメールのやり取りが楽しくなったという父親のコメントを紹介している。

■弁当や温泉マークはどう使う?

 日米を含む7か国で10月14日に発売された「iPhone 4S」は、世界各地で好調な売れ行きを見せている。米国では大手通信会社AT&Tが12月7日、iPhone人気が後押しして同社のスマートフォンの売上高が四半期ベースで過去最高に達する見通しを示した。このままiPhoneの普及が進めば、絵文字を使うコミュニケーションが米国で「普通の光景」になる日も遠くなさそうだ。

 一方でNYTは、日本生まれの絵文字をすべてそのまま米国で受け入れるのは難しいのでは、と指摘した。例えばiPhoneの絵文字ラインアップには、おにぎりや弁当、温泉マークなど「世界共通」とは言えない絵柄も入っている。文化の違いで、特定の絵文字をどう使えばいいか分からないケースもある。

 とはいえ日本の絵文字がグローバルに広がることで、日本では生まれなかったユニークな使い方が将来は世界各国で編み出されるかもしれない。



animalsensei at 21:11|PermalinkComments(0) タルト | ビジネス

2011年12月06日

新潟で3億円を稼ぎ上京した美人姉妹【3】

http://media.yucasee.jp/posts/index/4581

 「こんばんは」

 ドレスを数着、手に抱えた若い女性が毎夜、キャバクラ店への営業活動に駆け回っていた。最初は門前払いを食らっていたアポなし営業も、相手にしてくれる店が現れ始めたのだ。「Sugar」のオーナー清水彩子さんのこうした地道な営業活動は、確実に人の目に留まるようになっていった。

 「ドレスをいっしょに持っていったことで、女の子(キャバクラ嬢)が興味を示してくれたりしたので、話を聞いてくれるお店も少しずつ増えていきましたね」

 また、営業活動と並行して力を入れたのがフリーペーパーへの掲載。足を使った地道な営業と媒体の相乗効果で瞬く間に、新潟市内の繁華街で、Sugarと清水さんの存在は知れ渡るようになった。そして、もうひとつ手を打った。

 新潟市の歓楽街にはヘアセットの場所がなかったのだという。夜の街の必須スポットなのに、なぜないのだろうか。「夜のお店で働く女の子たちにとって、自分たちの働く街が活性化しないのはどうか」(清水さん)と、店舗内にそのスペースを設置したのだ。その結果、女の子は自然と来店し、店内は賑やかになった。

 「ドレス選びで女の子にとって大事なことは、着た時にどれだけ、シルエットがきれいに映るか。決して見た目のデザインだけじゃないんです。値段が10万円でも買ってもらえるように、ラインや飾り付けなどを改善していきました」

 従業員を雇い、妹・けい子さんの抜けた穴を埋めながら、Sugarは1年目から黒字を達成することができたのだった。

 知られるようになれば、思わぬチャンスが巡ってくることもある。


新潟市の繁華街にあるSugarの店舗。2年目を迎えた頃には、立ち寄る女の子が増えていた。そんなある日、身長は低いが、どこか普通の子とは違うオーラを放った女性が来店していた。お忍びで来ている様子だが、一度目は何も買わずに帰ったという。

 よほど気に入ったのだろうか、この「大物ゲスト」は再度来店することになる。この女性とは、その世界では誰もが知る「モモエリ」こと、大人気のモデル兼会社社長の桃華絵里さんだった。

 その頃、大ブームとなっていたキャバクラ嬢のファッション誌「小悪魔ageha」で専属モデルを務めている桃華さん。実は、清水さんが売るドレスがどんな物なのか興味を持っていたのだという。

 桃華さんはその後、知人からの紹介を受けて懇意になり、Sugarのドレスのモデルを務めたり、清水さんの強い味方になってくれた。


Sugarも3年目となった2008年。店舗とネットによる2つの販路で、全国から来る注文に応えていた。卸していたものを販売しているうちに、清水さんがそれまで心のうちにしまっていた自分がデザインしたものを売りだしたいという気持ちが強くなり始めていた。

 「モモエリさん(桃華絵里さん)とたまたま知り合うことになって、『小悪魔ageha』の存在を知ったのですが、この本に自分たちのドレスを載せてみたいと思いました。そうなると、オリジナルのドレスを持つ必要があるのですが、今まで自分たちのオリジナルを作りたいと考えていたので、本当にいい機会でした」

 清水さんはこうしてオリジナルドレスの製作を計画した。デザインはこれまで清水さんが温めていたものがある。しかし、どこで作ってもらうのかという点で、壁につきあたっていた。

 そこで目を向けたのが中国。自身で調べて、交渉に一人で現地に行った。企業秘密でどこにある工場かは、ここでは申し上げられない。ある空港からタクシーで数時間も山間部に行った場所にあるのだという。そこは、清水さんたちが希望するものを、希望通り作ってくれるところだった。

 そして生産が始まると、あとはブームに乗っていくだけだった。Sugarの業績もおもしろいように伸び、従業員全員に海外旅行をプレゼントできるまでになっていた。

animalsensei at 20:31|PermalinkComments(0) タルト | ビジネス

新潟で3億円を稼ぎ上京した美人姉妹【1】

http://media.yucasee.jp/posts/index/4293/1

流行の発信基地、東京・渋谷。雑踏の中を日々多くの若者たちが往来するこの街で、女子高生をはじめガールズたちが足繁く通うランドマークがある。それが「SHIBUYA109」。通称マルキューと呼ばれて親しまれるこの場所は、いつの時代も「とりあえず、行っとく」スポットであることに変わりない。

 そうした位置づけがなされているからこそ、働く人にとっても大きなステータスとなる。
全国から多くのティーンたちが東京に来たら「とりあえず行っとく」場所なら、そうしたティーンたちが着る服に携わる職業人にとっては「絶対に店を出したい」場所なのだ。

 先日、そのマルキューで、出店を目指す若者たちの選考が行われていた。合格枠は若干名。それに対して応募は50店舗以上。3回にわたって面接が行われ、合格者の中に新潟から来た美人姉妹がいた。

 その名を清水彩子さん(28)、けい子さん(27)。清水姉妹は、若くして新潟で年商3億円をあげて成功を収めた。そして、あるブームを世に起こした人でもある。


六本木、新宿、北新地、ミナミ…。日本全国どこへ行っても、夜の街の主役と言えば、キャバクラ嬢だ。今や女の子の憧れる職業の一つとなったが、その彼女たちを美しく彩るのが「ドレス」。ひとたび、メイクを決めてヘアーをセットし、ドレスに身を包むと、その瞬間から夜の蝶へと変身を遂げる。

 夜の世界で必需品となった「キャバ嬢の制服」。そうしたファッションは、キャバ嬢のファッション雑誌「小悪魔ageha」などでも紹介されるようになり、一躍ブームとなった。

 男性は普段、あまり気に留める機会は少ないであろう。だが、キャバ嬢にとっては、自身の変身願望を満たしてくれる「必須アイテム」。それなら、もっとカワイイと思えるドレスを、と求めるのが普通だ。ここに大きく実る市場は確かに存在し、ビジネスの種はあったのだ。

 姉・清水彩子さんは「楽しいもの、カワイイもの、そんなドレスをいっぱい流行らせたい。だから、ドレス屋さんをやろう」と始めた動機を語った。

 事業をスタートした清水さんは、5年目となった昨年、年商3億円を上げて法人化した。それも、自らの意思ではなく、税務署に促されてのこと。個人で続けるには規模が大きくなりすぎたからだ。

 社名を「Sugar」と名付け、今年春、いよいよ満を持して念願の東京進出を果たした。「YUCASEE MEDIA(ゆかしメディア)」は、清水姉妹のビジネスの成功の秘密と、その素顔に密着することにした。



一個人が新潟という地方から、全国に発信して、年商3億円をあげるまでに育て上げたビジネス。まさに言うのは簡単なのだが、しかも20代の若さで女性が、それを成し遂げてしまったことは、あまりにも大きな衝撃を受けるに十分だった。

 まずは「Sugar」のオーナーである清水彩子さん(28)が、このビジネスを始めるきっかけに触れなければならないだろう。清水さんは、エステ、コンビニエンスストアの店員などをするうちに、あることにのめり込んでいった。それはインターネットオークション。ファッションが好きだったこともあって、服の写真を撮って説明文を書いてアップし、どんどん売り捌いていった。そこで貯めたお金が後に軍資金となった。

 「インターネットが面白くなって、どうせなら、自分で卸業者から買い取り販売した方が良いと思うようになったんです。ドレスが大好きだったこともあって、最初はドレスをネット販売できたらと考えていました」

 ネットオークションでは成功したものの、世の中、そんなに甘くはなかった。



だが、今では成功している清水さんのビジネスも、最初にして最大のピンチはネットショップ立ち上げだった。

 「立ち上げるために、卸し業者に話を持っていったのですが、みんな『ネットじゃダメだ』といって断られました。やっぱり実際のリアルの店舗を持つしかないと考るようになって、それが店を構えたきっかけです」

 すぐに店舗が必要だったが新潟市内で良い物件はすぐに見つかった。新潟市中央区。この地方で最大の繁華街であり、立地としては申し分なかった。だが、両親からは「借金だけはするな」とキツく釘をさされていた。しかし、30平方メートルほどで、坪あたりの賃料は1カ月2万円。両親の教え、自身の予算、立地の良さを考えれば、願ってもない条件だった。

 「繁華街の中心にすぐ近いビルの1階が空いていたんですよ。元は着物店があったのですが、飲食店にも向かないということで、ずっと空いたままになっていたそうです。ちょうど良い場所と広さの場所が見つかったのは、ラッキーでしたね」

 自己資金は約500万円。初期費用の内訳はだいたい次のようになった。
・内装工事100万円
・保証金  100万円
・仕入れ  150万円
・雑費   50万円

 内装工事費用は知り合いに頼みこみ、また、保証金も値切って、何とか予算内に収まった。そして問題の仕入れだが、とあるメーカーの協力を得られた。それも、商品を先に貸してくれる委託という方式で、店側にとっては在庫を抱えるリスクがなかった。

 「潤沢な資金があったわけではないし、在庫を抱えていたらやってはいけないし、このメーカーさんには、本当に助けられました。今でも感謝しています」と清水さん。

 2005年、この地に「Sugar」は誕生し、現在も本社所在地となっている。


清水彩子さんのビジネスは新潟市で生まれたが、自身は東京で生まれた(妹のけい子さんも東京)。父親の転勤の都合で小学生の時に新潟へ。新潟の自然の中で育まれた活発な姉、大人しい妹というタイプの少し違う姉妹。経営全般を統括する姉、渋谷の109の店舗「ジュエルズプロム」を店長として切り盛りする妹は、息があったコンビにも見える。

 「当時は新潟市内には、(キャバクラの)スーツを扱うお店は1軒ありましたけど、ドレスを扱う店は1軒もありませんでした。絶対にウケるとは思っていました」

 自分の夢を早く形にしたい清水さん。高校を卒業してエステサロンで働いていた妹のけい子さんの手を借りた。姉妹2人で始めた開店準備だが、やることは、次から次へと出てくる。寝る時間を取ることさえ、難しい状況だった。





清水けい子さん(新潟市で開店当時) 「わたしはぶっ通しで働いていても大丈夫という方だったので、妹にも知らず知らずのうちに同じだけの仕事を求めていました。でも姉妹でも違うんですね。妹は父や母にグチばかり言うようになり、姉妹の仲も次第にギクシャクしていきました」

 間柄はオーナーと従業員。だが、清水さんは、けい子さんに対しては妹だから大丈夫だろうという安心感からも、遠慮なく仕事を頼むことができたためか、「仕事をたくさん任せすぎた」と当時を振り返る。そしてついに、妹の不満は爆発した。

 「もっと、従業員のことを考えて」

 家族経営で悩む経営者も多いが、早くもその問題に直面した2人。開店したら、お互いのために別々の道を歩むことに決めた。当時としては、それが最良の決断だった。そうするうちに、姉妹の力の結晶である店舗は、どうにか開店にこぎつけていた。

 だが、やはり妹がいない穴が大きいことを思い知ることになる。



「店舗は妹、ネットは姉」。清水さんの元々の構想はそうだった。だが、その妹はいない。新しく店舗ができただけで、お客さんが来てくれるほど商売は甘くはない。

 「完全に店舗を甘く見ていましたね。とにかくお客さんに足を運んでもらわないといけないのに、誰も来てくれないし、当分の間はネットをやめて、夜の店に自分からドレスを持って直接売りに行くようになりました」

 20代の若い女性が、ドレスを何着か脇に携えて、お店を何軒も回っていく。当たり前のことだが、美人というだけで相手にしてくれるほど、これまた商売は甘くはない。何せ、自分から売りに行くという仕事は、生まれてから経験したことがない。相手にしてもらえないことがほとんど。それでも続けた。

 2005年当時、新潟市内の夜の店では、キャバクラ嬢の服装はまだドレスではなくスーツが一般的だった。実は清水さんは少しだけ、夜の店でアルバイトした経験があり、キャバクラ嬢には「ドレス願望」があることをわかっていた。今は結果が出なくても、いずれは…。

 半信半疑ながらも、やがてそれが確信に変わっていくのだった。(

animalsensei at 20:27|PermalinkComments(0) タルト | ビジネス

2011年11月30日

年収1000万円台がゴロゴロと噂の業界

http://news.livedoor.com/article/detail/6074583/

年収1000万円がゴロゴロしている、と以前にインターネット上でも話題となった同人誌作家の世界。同人誌のマーケットは確実に根を張って市民権を得たが、その実態はどうなのだろうか。

■兼業から専業になる人もいる

 4000億円の市場規模を持つと言われるオタク産業。同人誌市場はその10%以上となる553億円(数字はいずれも野村総研調べ)。漫画、アニメ、フィギアと言った商品は、もはやブームを越え世界各地に輸出されている。

 そんな中、「オタクのお祭り」と言われる「コミックマーケット」なる巨大イベントが存在する。このイベントは年に2回開催され、驚いた事に開催期間の3日間の間に約55万人もの人間が東京有明のイベント会場ビックサイトに集結する。彼らの目的は一般の書店では購入する事が出来ない同人誌であり、コミックマーケットは世界最大の同人誌即売会なのだ。

 「自分が好きな事で勝負できる場ですね」

 同人誌作家Aさん(20歳代)は自分が作った本を手にそう語る。デザインソフトや画像加工ソフト、今までに趣味のために使ったお金は15万円以上だ。
 
 同人誌とは、個人が趣味で作成し企業を通さず自費で出版したものだ。その内容は人気の漫画やアニメのパロディ漫画から文壇評論までと幅広く、中にはプロ顔負けのクオリティを誇る同人誌も存在する。

 55万人が集まるため、動く金額は相当のもの。多くは会社員として働きながら同人誌を作成しているが、人気作家ともなれば会社員の給料よりも同人誌の収入の方が多くなる事もしばしばだ。仕事を辞め専業として同人誌作家になるケースも存在する。

■漫画家の副業

 数年前、品川かおるこさん(ペンネーム)という同人誌作家が、同販売で3年間で約2億円の所得を得たが、所得を約2000万円と過少申告し、脱税で6570万円の追徴課税を受けたことがあった。

 また、漫画家が副業として同人誌を作成し1000万円以上売り上げる場合もある。「売れない漫画家」の収入源としても同人誌は活用され、連載が決まるまで、同人誌を販売して糊口を凌ぐというわけだ。出版社にマージンが取られない分、売れるほど所得が多くなっていく。

 だが「売上が1000万円を越える人はごくわずか」と前述のAさん含め多くの同人誌作家は口を揃える。同人誌の販売価格は、1冊400円〜1000円程度、印刷代も馬鹿にならない。売れなければ在庫になり、印刷代も回収出来ない。専業の同人誌作家になったとしても、その道のりは険しい。

 それでもAさんは「仕事では予算、納期、そう言った負わなければならない事が沢山ありますが、同人誌の制作にはそれがありません。自分が頑張れば成果が出ると思っています」と言う。

 同人誌作家は自分の時間を投資する。社会人として働きながら余暇を同人誌を作成する。売れたいという事もあるが、純粋に「自分の作品を皆に見てもらいたい」という思いもある。厳しい世界だが、市場規模からすれば、将来のスターが生まれることは夢ではない。


animalsensei at 23:14|PermalinkComments(0) タルト | ビジネス

「手に職があれば安心」も今は昔。技術職の仕事単価は10年前の約半額に

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20111130-00000304-playboyz-soci

現在、就職市場では「正社員志向」が高まっている。だが、たとえ正社員で採用されたとしても、この不況のご時世だとリストラに遭ったり、または会社がいつ倒産してもおかしくない。そんなときに心強いのが「手に職」を持っている技術系労働者だ。だが彼らの仕事も、軒並み単価が下がる傾向にあるという。

 かつては安定の代名詞だった「国家資格」保持者の建築設計士の42歳男性は、こう憤(いきどお)る。

「こんなギャラじゃ、とてもじゃないけどやってらんねえ! 工務店の依頼を受けて戸建住宅の設計図面を作ってるんだけど、10年前じゃ売出し価格の10%が取り分だったのに、今じゃたったの3%だぞ。1000万円の戸建てなら、ギャラが100万円から30万円に減ったってことになる。生活苦で辞めていった同業者もたくさん見てきたよ。俺たちの技術を安く見んじゃねえ!! 理由? そりゃ仕事が減って競争がきつくなったから……。いや、違うな。俺たちが苦しんでる分、間違いなく誰かが甘い汁吸ってんだろ!」

 また、テレビカメラマンの36歳男性も「仕事量は減少傾向」と苦しい現状をこう明かす。

「僕らの仕事は1回のロケをワンチェーンと言って、かつてはカメラマン、音声、アシスタントの3名体制で平均受注金額が13万円ぐらいだった。それが、今じゃカメラマンと音声の2名になり、受注金額も8〜10万円。これだけ聞くと『ひとり当たりのギャラは変わんないじゃん』と思うかもしれないけど、実は、以前はワンチェーンで1本撮りだったのが、今は3本撮りも当たり前。しかもカメラの性能が良くなっちゃったから、制作会社のディレクターがハンディカメラでロケに行くことも多く、仕事の本数自体もかなり減っちゃった。もうやってらんない!」

 スチールカメラマンの37歳男性は、「全仕事平均で単価が4割減」だと話す。高収入が期待できた広告写真のギャラでさえ「10年前と比べたら、今の単価は50〜70%減。リーマン・ショック後に1段下がり、最近もう一段下がった」とのこと。

 一方で、仕事の単価が減少したのは、「景気がいいときにボッタクリ過ぎたから」という声もある。WEBデザイナーの38歳男性は2000年代前半の「ITバブル」に、さまざまな企業がクライアントの無知を逆手にとって法外な料金を請求してたとして、事情を次のように話す。

「昔は発注する企業側がネットのことをよくわかっていなくて、こちらの言い値でけっこう通った。ひどい制作会社だと、バナーをちょっと右にズラすだけで『5万円です』とか(笑)。確かに、単価は下がったけど、それは一般の人たちもどんどんネットに詳しくなって、ボッタクリの実態がバレたということだと思う。本当に大変なのに『このぐらい簡単でしょ?』って言ってくるクライアントが増えたのは困ったもんですが……。」

 技術職の仕事単価が減少した理由はさまざまな背景があるようだが、少なくとも現在は「手に職」があっても安心できる時代ではないようだ。



animalsensei at 23:11|PermalinkComments(0) タルト | ビジネス

2011年06月08日

電子書籍が紙に負ける5つのポイント

http://wiredvision.jp/news/201106/2011060622.html

米Amazon.com社が最初の『Kindle』を発売し、電子書籍という革命を始めたのは3年半前のことだ。現在同社は、紙の本の売り上げよりも電子書籍の売り上げのほうが大きいという状態にある(日本語版記事)。

日本が江戸時代に、銃を捨てて刀に戻ったような、珍しい「時代逆行」が生じないかぎり、電子書籍は、紙の本を引き継ぐ「21世紀の書籍」になることだろう。

実は筆者は、今まで電子書籍リーダーというものを買ったことがなかった。生まれつき、単一機能の機器というものが嫌いだからだ。しかし、iPadを使い始めて以来というもの、紙の本はまったく購入しなくなってしまった。本は今後、完全に消え失せるということはないだろうが、ニッチなメディアという周縁的な存在になっていくことだろう。

しかしそれでも、電子書籍には根本的な欠陥がいくつかある。電子書籍には、紙の本にはかなわない(少なくとも、簡単にはかなわない)側面が、まだいくつかあるのだ。逆にいえば、以下の5つの問題が解決されさえすれば、電子書籍は制限なく成長していくことだろう。

1)読了へのプレッシャーがない。

今年2月、『The New York Times』のテクノロジー記者(元Wiredで記事を書いていたジェナ・ワーサム)が興奮した様子で、電子書籍をやっと最後まで読み終わることができた、と書いていた。ハイテクに精通した記者が、なぜそこまで時間がかかったのだろうか。本人が素晴らしい説明をしている。読み始めても、電子書籍だと「続きを読む」ことを忘れてしまうのだ。読み通すには、真摯な「新年の決意」が必要だった。

電子書籍は、視界のどこかに存在するということがない。読み始めたものは最後まで読め、と訴えてくる力に欠けるのだ。1,000冊を超える電子書籍を持っていたとしても、視界に入ってこなければ忘れられてしまう。

この問題を解決する方法は、『A Shore Thing』を読み始めてもう17日がたつが、まだ47ページめだ、ということを思い出させてくれる通知がポップアップで登場することだろう。

2)購入した本を1カ所にまとめられない。

物理的な本では、本棚を自分で整理し、その中から本を選ぶというプロセスがある。しかし、タブレットやスマートフォンの場合は、アプリごとに「本棚」ができてしまい、いろいろな所から購入した電子書籍を、まとめて1カ所で見ることができない。まとめるためのアプリが存在しないのだ。(電子リーダーはさらにつらい。専用の店以外からは何も買えないのだから)。

小さな問題だと思うかもしれないが、本屋がユーザーの本棚のサイズや形を決め、本棚にはその本屋で買った本しか並べるな、というルールを強制してきたとしたらどう思うか、考えてみてほしい。

iOSデバイス上で共通ライブラリーのようなものを作るとすれば、ルート情報を使うことが必要になるが、米Apple社は開発者にそれを許していない。また、仮にこの制限がなくなったとしても、各ベンダーの協力を取り付けるという問題がある。各社が競合していること、このような均一化が価格競争につながりかねないことなどを考えると、協力が得られるとは限らない。

3)思考を助ける「余白への書き込み」ができない。

文章をハイライトする機能だけでは十分ではない。注意深い読み手は、著者と議論したり、論点を展開したり、読んですぐに思いついたことを書き留めたりしたいものだ。そして、そのようなメモはオリジナルの近くにある必要がある----別のノートにというのでは話にならない。発明されそうでまだ発明されていない、気の利いたインデックス化システムがあろうと、それは変わらない。

本への書き込みというものは、本を誰かと共有すると、また興味深い「偶然の発見」を生み出していくものだ。こうした書き込みがまったくできないことは電子書籍の弱点だ。

書き込みの体験を再現するには新しい標準が必要だ。そしてそういった標準は、プロプライエタリな電子書籍技術を用いている各社によって共通して採用されなければならない。こうした新しい方向性は、『OpenMargin』[以下の動画]を見てもらうと、どんなものかわかるだろう。


4)位置づけとしては使い捨てなのに、価格がそうなっていない。

ハリウッドがDVDの特典でやっているように、電子書籍がそれ自体の価値をきちんと追加しない限り、レンタルに等しいものに13ドルを出すのは納得がいかないところがある。電子書籍は発行にほとんど費用がかからないのに、出版社が設定している基本となるカバープライスは、紙で出された新作の割引価格よりわずかに安いだけなのだ。

電子書籍は、貸すことも、地元の図書館に寄付することも、転売することもできない。物理的な空間を占めておらず、そのため、データを削除する際にも複雑な感情が生じにくい。このことは、次の項目とも関係してくる。

5)インテリア・デザインにならない。

くだらないと言うかもしれないが、物理的な本棚というものは、自分の人となりをほかの人々に無言で紹介するものではないだろうか。われわれが公共スペースに置く本、置かない本、そしてその並べ方は、世間に自分をどう思ってほしいかを雄弁に語るものだ(虚栄も混じるだろうが)。本棚はわれわれの紋章や名刺のようなもので、会話を始めるきっかけにもなるものだ。電子書籍リーダーの奥深くに隠されてしまえば、本棚の語る言葉は誰にも聞こえなくなってしまう。

ただし、古いメディアが完全に廃れるということは、今までもなかった。インターネット以前のラジオやテレビや映画は、いまでも存在する。だから、本がすぐ廃れるということはあり得ないだろう。電子書籍と物理的な本の両方を使い続ける方法が、両方の世界のいちばんよいところを取り入れる方法なのかもしれない。



animalsensei at 01:28|PermalinkComments(0) タルト | ビジネス

2011年06月04日

東日本大震災 住宅ローン、政府救済案を検討 金融庁と国税庁が調整

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110604-00000117-san-soci

東日本大震災では全壊や半壊を含め、損壊した建物は17万戸以上に上る。住宅ローンだけが残ったという被災者は多い。

 震災前に組んだローンについて、金融機関は現在、支払い猶予などに応じているが、元本や利子は残ったままで、最終的に返済額が膨らむ可能性もある。このため政府は救済策の策定を急いでおり、国や自治体でつくる基金で利子分を補充するなどの案を検討中だ。

 金融機関によるローンの返済免除を促進するための案も浮上している。ただ、現行制度では、債務者が自己破産していないのに金融機関が債務を免除すると、免除額に応じた税金がかかるケースもある。このため、金融庁は被災者が破産せずに返済を免除しても、金融機関も被災者も不利にならないよう、国税庁と調整に入った。

 この問題をめぐっては、日本弁護士連合会が、返済が難しい被災者には金融機関が既存ローンの債権放棄を行うよう提言している。

 日弁連の東日本大震災・原子力発電所事故等対策本部副本部長を務める永井幸寿(こうじゅ)弁護士によると、4月下旬から5月初旬まで全国13府県の弁護士約300人が宮城県の約100カ所の避難所で無料相談を実施したところ、震災に関する相談約1060件のうち、ローンや借入金の返済の相談が約18%を占めた。阪神大震災後、約1年間受け付けた法律相談ではローンなど借金関係が約2%だったのとは対照的だ。

 中には「新築した家の引き渡しから3時間後に津波で流された」という切実な訴えもあった。永井弁護士は「今回の震災では住宅だけでなく、就労先も壊滅的被害を受けた。土地の資産価値がなくなった地域もあり、多くの被災者が破産を申し立てることは確実。被災者再生のためには返済免除が必要だ」と訴える。その上で、「被災地の金融機関から債権を買い取るなど国が率先して対策に取り組まなければ、被災地域は壊滅する。政争をしている場合ではない」と国に対し、早期の対応を求めている。



animalsensei at 12:25|PermalinkComments(0) タルト | 社会

被災者苦しめる二重ローン問題 「せめてゼロから」

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110604/dst11060410440010-n1.htm

東日本大震災前のローンに加え、家の建て直しや生活再建のために新たなローンを抱える「二重ローン問題」が被災者の生活に重くのしかかっている。政治のゴタゴタで、震災復興対策の遅れは必至。被災者は「家あってのローン。せめてゼロから再スタートさせてほしい」と一刻も早い政府の救済策を求めている。(荒船清太)

 宮城県石巻市のパート、平由佳さん(40)の自宅は津波が2階の天井近くまで押し寄せ、建物は外壁を残して全壊。2700万円分のローンが残った。

 平さんは大手製紙会社に勤める夫の義勝さん(44)、中学3年の和樹さん(14)、中学1年の七海(ななみ)さん(12)、小学4年のえりかさん(9)の5人家族。平成16年7月、3300万円のローンを組み、同市南浜町の約100坪の土地に夢だったマイホームを建てた。

 「3人の子供と一緒に過ごせるのは10年くらい」。広々とした庭にはベンチを据え、芝を植えた。和樹さんが家庭を持ったら、もう1軒、家を建てられるようにスペースも確保した。

夢は震災で一変した。

 今は月8万円のローン返済がのしかかる。地元金融機関への支払い分の3万5千円は3カ月間、支払いが猶予されている。しかし、会社を通したローン4万5千円は給与からの天引き。勤務先も被災し月30万円以上あった義勝さんの月収は休業手当からローンが引かれた9万4千円になった。

 自己破産してローン返済を免除してもらうことも考えたが、会社を通したローンの免除は容易ではない。土地を担保に借金して新たに家を建てようにも被災した土地が売れるはずがない。八方ふさがりの中、社宅の一室でほかの社員らと避難生活を送っている。

 「死んだ方がよかったかも」。震災翌日、崩壊した自宅を見て、思わず友人にメールを送った。「家族が無事でよかった」と思うよう努めてきたが、不安は増す。「ローンが残る以上、マイナスからのスタート。民主でも自民でもいい、一刻も早く対応してほしい」。平さんはそう言う。



animalsensei at 12:19|PermalinkComments(0) タルト | 社会

2011年06月03日

元GSトレーダー創設のヘッジファンド、震災後に運用資産の大半失う

http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPJAPAN-21444720110531?pageNumber=1&virtualBrandChannel=0

 元ゴールドマン・サックス(GS.N: 株価, 企業情報, レポート)のトレーダー、西健一郎氏が創設したガイア・キャピタル・マネジメントが運用する日本フォーカス型のヘッジファンドが、3月に44.34%の損失を被ったことから解約請求が殺到し、運用資産の大半を失ったことが、ロイターが入手した投資家向け報告書で明らかになった。
 そのヘッジファンドは「GAIA J─マルチ・ストラテジー・ファンド」で、運用資産は3月末の9206万ドルから、4月末までに3265万ドルに落ち込んだ。関係筋によると、同ファンドの運用資産は震災前に1億5000万ドル以上あった。

 同ファンドは、3月の東日本大震災によるパニック売りですべてのポジションの手仕舞いを強いられ、パフォーマンスが急激に悪化していた。

 ガイア・キャピタルは投資家向け報告書の中で「大震災や原発事故の深刻化で、(3月)14日と15日に指数とボラティリティが想定を超える動きとなった結果、当ファンドは想定以上の損失を被り、すべてのポジションを手仕舞わざるを得なくなった」と説明した。

 日経平均.N225は14日と15日の2日間で16%急落。3月月間では8.2%下落した。

 投資家向け報告書によると、同ファンドは3月に、ガンマ戦略とボラティリティ戦略で特に大きな損失を被った。

 ガイア・キャピタルは、何度かに渡るロイターの取材申し込みにもかかわらず、コメントを拒否している。オフィスを訪問しても応答がなく、電子メールも戻ってきた。

 アジアヘッジが2006年に作成したリポートによると、西氏は1997年から2003年までゴールドマンに在籍し、約20億ドルの日本転換社債で運用するポートフォリオや、約30億ドルのDKRオアシスを運用した後、日本フォーカス型のヘッジファンドを立ち上げた。


animalsensei at 20:37|PermalinkComments(0) タルト | 株式・債券・金融派生商品

2011年02月19日

「100円英会話」脚光 海外講師と無料通話で価格破壊

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110219/biz11021918010015-n1.htm

高額チケットの事前購入や経営破綻をめぐるトラブルが絶えなかった英会話業界で、“価格破壊”が進行している。ネットの無料通話ソフトを活用したり、主婦や海外在住の講師陣を採用するといった工夫で講習1回100円前後の超低価格を実現したスクールが続々登場しているのだ。「ユニクロ」のファーストリテイリングや楽天など、社内公用語を英語にする企業も増える中、さらに勢力を拡大しそうだ。


主婦や高齢者も起用


 都内で一人暮らしのIT系企業に務める30代の男性社員は早朝、自宅でパソコンに向かい英会話を学ぶのが日課になった。

 「朝から夜まで仕事で、普通の英会話教室には通えなかったから助かる。何よりも講習料が安い」

 男性が利用しているのは、ウェブサイトの制作などを手がけるライトアップ(東京都渋谷区)が今年1月から運営を始めたオンライン英会話サービス「ワールドトーク」。講習1回25分142円からという低料金が話題となっている。

 安さの秘密は講師陣。夫の勤務などで海外に住んでいる主婦や海外生活の経験のある高齢者らを採用。専属講師に比べ、時給を格段に抑えた。さらに、インターネットを活用し無料でテレビ電話通信ができるソフト「スカイプ」を活用することで、海外在住講師との通信コストがかからないようにした。

 しかも講師のほとんどが日本人のため、外国人講師相手だと質問がしにくい初級者に好評を得ている。

 ただ、さすがに100円台の価格設定では赤字という。白石崇社長は「他にも多くのオンラインサービスを展開しており、全体で利益をあげていく。英会話は、あくまで出血覚悟の目玉事業と位置づけている」と明かす。






筑波大学発のベンチャー企業「アイデアインターフェイス」(兵庫県明石市)も、海外在住とスカイプの組み合わせで1回100円前後の低価格を実現した。昨年7月に始めたオンライン英会話サービス「ラングリッチ」は、半年で約1600人の登録者を獲得するなど滑り出しは順調だ。

 同社の場合は、英語を公用語として使うフィリピン人を現地で雇い、スカイプで日本の生徒に講習を行うスタイルをとっている。

 講師陣に英語能力テスト「TOEIC」の高得点者を採用するなど、質にもこだわっている。

 講師の自宅やカフェなどを教室にした初心者向けレッスンを受けられる英会話ビギン(東京都港区)も会員数を増やしている。

 講習料は1回60分で2500円と、一般の英会話学校のマンツーマン・レッスンの相場の3分の1程度に抑えている。

 加藤いづみ社長は「家賃の高い都心の教室を持たないなど、徹底したコスト削減でこの料金を実現した」と胸を張る。

 英語の社内公用語化の動きをチャンスととらえており、「これまでは女性受講者が多く、男性は3割程度だったが、今年は4〜5割に増えるだろう」(加藤社長)と期待している。


再編淘汰が加速


 ネットを利用した学習「eラーニング」市場は、通信料の値下がりもあり成長を続けている。矢野経済研究所によると、市場規模は、平成17年度の23億円から21年度には30億円まで拡大したという。




英会話業界では、高額の講習チケットを事前に購入したものの、予約が取れずに期限切れを迎え、使えなくなるといったトラブルが多い。「NOVA」や「ジオス」など大手が過当競争で相次いで破綻し、料金を払い込んでいた生徒の保護が問題になった。

 富士通総研経済研究所の湯川抗主任研究員は、ネット英会話の台頭により、「高コスト体質の既存の英会話スクールの淘(とう)汰(た)がさらに進む」とみる。

 一方で、ネット英会話にも課題はある。湯川氏は「単にオンラインに移行し価格を安くしただけでは、長い目でみれば淘汰される。低価格と高品質をいかに両立できるかがカギ」と指摘。受講生が取得する共通の資格制度が創設されれば、「品質面の競争が促される」と提案する。

 企業のグローバル化などで英会話のニーズがますます高まる中、「100円英会話」の普及は、低価格だけでなく、顧客満足度をいかに高めていけるかにかかっているといえそうだ。(那須慎一、臼井慎太郎)



animalsensei at 23:30|PermalinkComments(0) タルト | ビジネス

文章力がなくても面白いブログ記事を書く秘けつ

http://www.excite.co.jp/News/net_clm/20110219/Getnews_99429.html?_p=2

今回はかん吉さんのブログ『わかったブログ』からご寄稿いただきました。

文章力がなくても面白いブログ記事を書く秘けつ
人気ブロガーになるためには、“文章力”が必要だと考える人は多いと思います。本屋さんに行けば“人に伝わる文章の書き方”のようなタイトルの本が、たくさん売っています。

面白いブログ記事を書くために、一般的な文章力は必要ないと考えています。ブログにはブログなりのコツがあります。

なぜ、文章力は必要ないのか?
まずはこの文章を読んでみてください。

* * * * *
こんちには みさなん おんげき ですか? わしたは げんき です。
この ぶんょしう は いりぎす の ケブンッリジ だがいく の けゅきんう の けっか にんんげ は もじ を にしんき する とき その さしいょ と さいご の もさじえ あいてっれば じばんゅん は めくちちゃゃ でも ちんゃと よめる という けゅきんう に もづいとて わざと もじの じんばゅん を いかれえて あまりす。
どでうす? ちんゃと よゃちめう でしょ?
* * * * *

よく見ると、文章がぐちゃぐちゃですよね。文章が多少おかしくても、人間は自分で修正して読めてしまうのです。

ネットでは、文章を最初から最後まで隅々まで読むというよりは、眺めるような感じでページを閲覧しています。一般的な“文章力”で、うまい言い回しを駆使しても、そこまで読まれていないというのが実情です。しっかりとした文章の構造を考えることの方が最優先です。

最強のブログ文章術は“分割”すること
最初から最後まで一気に説明しないで、話を分割すると、読み手が理解しやすくなります。多少の抜け落ちはかまいません。 “3個のポイント”のように、記事タイトルに数字を入れると、読者をひきつけやすいことは良く知られています。これも“分割”を利用したテクニックです。分割することで、文章の構造がわかりやすくなります。いわゆる“論理的”になるのです。

例えば、休日に釣りに行ったことを、ブログに書くとします。その日の様子を時間順に説明していくと、ただの日記になってしまいます。

それはそれでも良いとは思いますが、“分割”のテクニックを利用して、“釣り”を
・タックル(さお&リール)
・仕掛け
・戦術
・結果
に分割します。これらを小見出しにして、文章を書いていけば、筋の通った文章のできあがりです。

キャッチーなタイトルでひきつける





ご自分の行動を振り返ってもらえばわかると思いますが、人はタイトルを見て読む記事を選んでいます。 いくら面白くても、読んでもらわないことには意味がありません。記事タイトルは記事の内容を書くのと同じくらいのパワーを使って考えるべきです。

また、人々は“記事タイトル”を補助線にして、ブログ記事を読んでいます。タイトルの内容を探しながら、文章を追っているのです。多少雑な文章でも、的を射たタイトルがガイド役となって、文章がわかりやすくなります。

キャッチーなタイトルをつけるためには、本文を一通り書いて、読み直して“読者にとって、一番有益な情報は何か?”を考えると、良いアイデアが出てくると思います。“自分が一番伝えたいこと”とは違うのでご注意を!(詳しくは「“Twitter”時代に注目される、ブログ記事タイトル9つのルール」を参照してください)

自分ではなかなか良いタイトルが考えられないという方は、『ホッテントリメーカー』を使ってみてください。キーワードを入力すると、キャッチーなタイトルを自動生成してくれます。お勧めです。

公開前に“声に出して読む”
文書は雑でもよいと書きましたが、文章の体裁はできるだけ整えたいですよね。ブログ記事を公開する前に、声に出して文書を読んでみましょう。 おかしな接続や、変な言い回しは、声に出したほうが不思議と発見できます。ぜひお試しください。

最終的には“ネタ”に行き着く
“コンテンツの分割”と、“キャッチーなタイトル”の二つを意識できれば、誰でも“読んでもらえる記事”を書くことができます。となると、差がつく部分は“ネタ”そのものになります。 日ごろから色々なことに興味をもって、有意義に過ごすことが、面白い記事のベースになるのです。毎日の仕事、食事、風景から、ネタを引き出しましょう。見聞きすることがすべてブログネタに感じられるようになれば、しめたものです。

分割する=フレームワークを生み出す
フレームワークとは“思考の枠組み”という意味です。“法則化”“仕組み化”とも言えます。例えば、ダイエットのフレームワークは“消費カロリーを増やし、摂取カロリーを減らす”となります。 物事を分割して説明するということは、“フレームワーク”を作ることと、ほぼ同じです。前述の釣りの話も、しっかり研究すれば“誰でも爆釣する方法”というフレームワークに落としめそうです。




人気があるブログは“新しいフレームワーク”を提案している記事が多いです。

そんなに難しい話ではありません。誰でも日ごろの気づきから、自分なりの法則を生み出しているはずです。それを上手くブログで公開できれば、ブログのレイヤーは確実に上がっていくでしょう。

執筆: この記事はかん吉さんのブログ『わかったブログ』からご寄稿いただきました。



animalsensei at 23:26|PermalinkComments(0) タルト | ビジネス

年収900万円でもなぜか毎月赤字

http://president.jp.reuters.com/article/2010/07/24/18976464-8FBC-11DF-8762-4B093F99CD51.php

「家計のことは妻にすべて任せきりなので、よくわからないんですよ。年収はそこそこだと思うのですが、毎月赤字だとボヤかれてばかりで。カードの支払い時期などは、ついケンカになったりもします。同僚たちはもう少し余裕があるように見えるのですが、いったいどうやりくりしているのか聞きたいくらいです」

そう首をかしげるのは、広告代理店勤務の崖縁さん。バブル時代を経たこともあり、かつては金銭的に余裕のある生活を謳歌していた。事情が一変したのは10年前。34歳で昇進してからのことだ。

「残業代がつかなくなったんですよ。年収換算で約200万ほどのダウン。これが、かなり痛かったですね」

収入はダウンしたのに、支出は年々増えていく。8年前に購入した自宅のローンに、2人の娘たちの教育費もある。2人ともピアノを習い、長女は塾、次女は新体操にも通っている。なんだかんだで毎月少しずつ支出がオーバーするので、今はボーナスで補填して帳尻を合わせている状況だ。

ただ、それほど浪費している感覚はない。週1万円の小遣いは、毎日の昼食とタバコ・缶ジュース代で消えてしまうので、仕事のつき合い以外では飲みにもいかず、家で食べるようにしている。以前は通勤に使うほど乗り回していたマイカーも、めっきり乗らなくなった。趣味も、同僚たちと月に1〜2回楽しむゴルフだけだ。その費用も、自分のヘソクリから出すことが多い。年2回のボーナス時に、10万〜20万ずつ社内預金に移動させて捻出したものだ。妻には内緒だが、毎月の給料はすべて渡しているのだから、それぐらいは許してほしい。

だが、心中ではこの綱渡り生活に一抹の危機感を抱いている。来年は長女が高校に進学するし、住宅ローンもまだまだ残っている。自分は長男だから、現在一人暮らしの実父の面倒も、やがては見ることになるだろう。なのに、貯金はほとんどない。頼みのボーナスも、このご時世では大幅カットにならないとも限らない。妻も、総菜屋でパートをしているが、フルタイムではないので家計のわずかな足しになる程度。このままでいいのだろうか。そんな不安が募っている。


■荻原さんCHECK
 大学進学させたいなら、お稽古を見直すべし

この方は、危機感がまったく足りませんね。900万も稼いでいて40代で貯蓄ができていないというのは論外です。毎月赤字になるというのなら、乗りもしない車など、とっとと処分すべきです。自家用車には、車検や保険料などの維持費がかかるので、ローン以外の負担も増えます。それがなくなれば、毎月の赤字は簡単に解消されるはず。さらに、光熱費を節約するなど日常の倹約に努めれば、貯蓄に回せるお金は簡単に捻出できます。このままでは、経済的な理由でお子さんが大学に進学できなくなります。大学に行かせたいなら、その資金を準備するために今のお稽古事を見直すべきです。また、貯蓄のない今のままでいけば、将来、車より先に、家を手放す羽目になりかねません。しかも、現在の住宅相場を考えれば、家を売却してもローンが残るという最悪の事態も考えられます。夫婦で家計の現状を話し合う必要があります。



animalsensei at 23:24|PermalinkComments(0) タルト | ビジネス