自動車野郎の独り言

日本の製造業、最後の砦、自動車産業。 現状の課題を捉えながら、自動車メーカーが取るべき戦略を考える。 経営者よ、目覚めよ!

アベノミクス成長戦略は『働き方改革』から

日本の労働環境はそれほど先進的ではない。

未だに「会社主義」というイデオロギーが社会を支配しており、今日でも過剰労働やそれに伴う労働災害も減ってはいない。

「天皇主義」の次に現れたのが「会社主義」であるが、労働者は会社のために、私を捨てても公を優先すべきであると半ば強制されてきた。

日本企業の多くは、その株主が企業であり、銀行や保険会社が大株主に名を連ねることが多い。「法人資本主義」というのは、つまり社会が会社を所有するという形態であり、それがため、会社は「公」と見なされる存在で、労働者はそれに忠誠して奉公することを当たり前としてきたが、優れた経営者であれば、いいかげんにこの「会社主義」は是正されるべきであることに気付くだろう。

日本の経営者は、柔軟な労働環境に支配された労働者の休日出勤や長時間残業、そして派遣社員や偽装請負などの容易な雇用システムに依存する経営をしてきたが、ドイツやフランス、北欧諸国から見れば、これがレベルの低い経営形態であることは明白である。

そして、真の問題は、この人間軽視の「会社主義」に基づいた物造りのやり方が、製品自身に反映されてしまっていることにある。製品自身が薄っぺらいものになり、付加価値が低く、グローバルでは売れず、結果として労働生産性を下げてしまっているのである。


労働者一人当たりの労働時間を減らして、正規雇用を増やすこと。
そして、多くの労働力を集中投下して、グローバルにより多く売れる製品を作って、産出する付加価値額を高め、労働生産性を高めること。

これらが経営者がまずなすべき施策である。


そうすることで、「労働時間が減っても給与が減らない」しくみが確立されて、社会においてマネーフローが増加してデフレからも脱却できるというものだ。


例えば、デンソーには連結従業員は約15万1000人いるが、日本で雇用しているのは6万6000人だけである。

独ボッシュなどは、連結従業員は約38万9000人いるが、ドイツ国内では13万4000人を雇用している。

日本企業は雇用責任を十分に果たしていない。「人間主義」への転換こそが、景気浮上の原動力となることを理解すべきである。


<デンソーの有価証券報告書とボッシュのデータ>
170522_Denso
























170522_Bosch








自動運転レベル4、ロボットトラックを実現せよ!

自動運転に関して、日本政府、各省庁のイニシアティブ不足が指摘され始めてきた。

来たる東京オリンピックに向けて、政府は自動運転の実現を目指しているが、具体策が不足しているようである。

高精度3次元地図の準備は進んでいるが、このような高価な地図は高速道路にしか適用できない。

高速道路だけで隊列走行したところで仕方ないし、今の技術では、自動で合流までは出来ないだろう。

単に、「自動運転車を公道で走らせよう」といった発想ではなくて、ある特定のエリア、特定の区間、特定のルートのみに対して、自動運転を認可すればいい。

過疎地のロボットタクシー、ロボットハイエースなどは、認可しやすいアプリケーションの一つであろう。しかし、結局、人口は減っていくから、過疎地には最終的に誰も住まなくなるだろう。

やはり、社会的要請の高いアプリケーションが、『ロボットトラック』である。物流はこれからも伸びる分野であるし、運転手不足も深刻になってきた。

例えば、地方から都会へ食品を運送するルートを自動運転ルートとして認可する。すると、そこの物流はすべてロボトラでできるのだ。

交差点での右折はまだ難しい場合もあるので、左折だけでルートを作るといった事も検討を要するだろう。

高速道路での合流も問題になる。時には割り込まないと、渋滞の列に入れないこともある。そこで、「このトラックはロボットトラックですよ。入れてください。」と分かるように表示することで、他のドライバーに道を譲ってもらえるようにすればどうだろうか。ロボットトラックは赤のナンバープレート、ロボットタクシーは青のナンバープレートするなどの工夫もいるだろう。

世界に先駆けて自動運転レベル4を実現したいところだが、そのためには、社会的ニーズを基礎として、法改正も含めて政府主導で進めるべきである。「自動運転ルート認可制度」と「自動運転車両認可制度」を策定すれば、社会的要請に答えて自ずとサービス会社が出現してくるだろう。



<レベル4対応車の認可が待たれる>
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VWの電動化戦略

フォルクスワーゲングループが電動化戦略を加速している。

現行のMQBプラットフォームに加えて、EV専用のMEBプラットフォームを投入する。

そして、2025年には出荷台数の3割を電気自動車が占めるようになる。

これは、日本メーカーのように「何となくやってみる」「できるだけ挑戦する」といった努力目標ではない。ドイツメーカーの場合は、本当にそれを確実に実行するために、準備を進めているので注意が必要だ。

もっとも最終的には、消費者が判断することになる。

それでも、フォルクスワーゲンが、「2025年にEVを最低でも年間2百万台売る」という目標達成に向けて行動しているのは事実だと認識すべきだろう。


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