COSTELLOG

エルヴィス・コステロに関するニュースから、どうでもいい小ネタまで。

2024年 ELVIS COSTELLO & STEVE NIEVE 来日公演を記念し、前回の来日から8年間の軌跡を振り返るべく、遡り更新中!
↓こちらの記事のリンクを随時更新しています。
http://blog.livedoor.jp/ayako445/archives/52498312.html

コステロス真っ只中で辛い一週間ですが、あの幸せな思い出を反芻するために、頑張って更新していこうと思います。しばらくお付き合いください。

今回の4公演、本当に毎日全然違うセットリストで楽しませてくれました。セットリストは毎度おなじみ、Elvis Costello wikiを参照していただければと思いますが、実は今回の来日公演では私が日本特派員(?)となり、公演中にとった判読不能なメモを頼りに、毎晩居酒屋で祝杯を上げる傍らアメリカのセットリスト職人の方にテキストメッセージを送っていたという苦労話がございます。間違いがあれば私のせいですので、ご指摘くださいませ。

2024-04-08 Tokyo https://elviscostello.info/wiki/index.php?title=Concert_2024-04-08_Tokyo
2024-04-09 Tokyo https://elviscostello.info/wiki/index.php?title=Concert_2024-04-09_Tokyo
2024-04-11 Osaka https://elviscostello.info/wiki/index.php?title=Concert_2024-04-11_Osaka
2024-04-12 Tokyo https://elviscostello.info/wiki/index.php?title=Concert_2024-04-12_Tokyo

4公演でなんと57曲の違う曲が演奏されていますが、その詳細がわかる@tamatsuさん入魂のセットリストマトリックスがこちら↓。既にご覧になった方も多いかと思いますが、毎公演の曲目と曲順、収録アルバムなどが一覧できます!便利!



今回は一公演あたり20曲ちょっと、公演時間も2時間かそれに満たない日もあり、アンコールも無し。かつて30曲とか3時間とかやっていたことを考えると、だいぶ短かったのは事実です。ただ、不思議なくらいに私は物足りなさを感じませんでした(もちろん激しくアンコールはしたけど)。一曲一曲、次は何の曲をどんなアレンジをやるのか全く想像がつかず、息をつめて見守りいちいち驚いたり歓喜したりして、惰性で聴き流せるところがなかったからではないかと。

マトリックスによると、4公演すべてで演奏されたのは、以下のたった5曲!しかも曲順も一定していません。何より、Watching The Detectivesを最終日のオープニングに持ってきたのがすごい。ちなみにこのうち3曲はオリジナルではなく、人の曲のカバー、というのが興味深いです。

・Watching The Detectives
・She
・Everybody's Crying Mercy
・(What's So Funny 'Bout) Peace, Love And Understanding?
・Alison

アルバムごとの演奏曲を見てみると、自分で言うのもなんですが、このブログの「1日1曲」シリーズで触れた「この曲やりそう」の予想はまあまあ当たってますよね。私は普段から海外でのセットリストを日々チェックしているので当たり前といえば当たり前かもしれませんが。しかしそれらのまあまあ予想できた曲に加えて投入された意外なあれこれがものすごくて、私もすっかりやられました。

一番多かったのはHey Clockfaceの6曲。今回のツアー全体の雰囲気にも合っていて納得の第一位です。続いて4曲で並ぶのがMy Aim Is True、Imprerial Bedroom、The Boy Named If。3曲演奏されたのがArmed Forces、Trust、そして最終日になってそれまでゼロだったBlood & Chocolateからも3曲ぶち込んできたのが面白かったです。もちろん全アルバムを網羅することは不可能ですが(Momofuku〜National Ransomはゼロ)、初期から最近の作品までかなり満遍なくやってくれて、たくさん驚かせてくれて、私は大満足です。ちなみに、ミュージカル「A Face In The Crowd」の上演が決まったのでいくつかやるかなと思ったのですがゼロでした。2016年にたっぷりやっていたので、無しでよかったです。

日本に来ない間にLook Now、Hey Clockface、The Boy Named Ifという3枚の素晴らしいニューアルバムがリリースされましたが、ここから計12曲が演奏されたというのが、個人的にはとてもとても嬉しいです。特にThe Boy Named Ifの曲は厳しいかなあと思っていたので4曲も聴けて感無量。3枚の中ではイマイチだと思っていたHey Clockfaceの曲も、ライブバージョンはすごく良かった!

尚、サウンドチェック時のセットリスト写真なるものが水面下で出回っており、もう終わったからいいかな、ということでここに貼ってしまいます。最終日、浅草のサウンドチェックと書いてあります。

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もう、全然違います。これやってほしかった😭という曲名の数々に悶絶。でも、やってみようと思ってくれただけでも嬉しい!と素直に思います。限りある公演数、時間の中で、私はとにかくできるだけ違う多くの曲を聴きたいと願っていました。最近、特にジ・インポスターズとのツアーでは(コステロにしては)割と固定されたセットリストでやることが多い印象があったので、今回のこのフリーダムなやりたい放題は嬉しい驚きでした。コステロも、可能な限りいろんな曲をやりたいと思っていてくれたんだなあと…。
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(4月17日修正)
MCの部分の映像を提供してくださった方がいたので、音源と差し替えました。また、書き起こしをしてくれたアメリカの方より続報というか修正案が来たので反映させました。いずれにしても適当な意訳になってしまうのですが…。


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コステロが日本にいた間に、季節がすごい速さで進んでいたことに気づきました。

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さて、前回2016年の来日(Detour)の際はかなり頑張って「来日公演MC集」という記事を投稿したのですが、今回は割とMCが短く断片的で、前回のようにストーリー性のあるネタもないのでとりあえず無しにします(後々すごく暇だったらトライするかも)。

……なのですが、最終の浅草公演、お別れの挨拶っぽいところで何を言っているのかざっくりとしか聞き取れず気になっていました。ボイスメモ(実は録っていた)を何度聴き直してもはっきりせず。セットリストの件などでやりとりしていたアメリカのファンの方に音源を送って書き起こしをお願いしたところ、その人もよくわからないところがあると言ってわざわざ別の人に聞いてくれました。

そんな前置きをするほどの内容でもないかもしれないのですが、せっかく海外の人まで振り回して、Twitterで予告もしてしまったので、音源と英語と日本語訳を載せておきます。実際、聞き取りも難しかったのですが訳もなかなか困難でして、かなり意訳だったりしますがご了承ください。

● 映像(この部分録っていた方がいたのでシェアさせていただきます)

● 英語書き起こし

Thank you all. It's been a real, real pleasure to play for you all again. Honestly, we hope it isn't as many years until we see you again. But if our paths should not cross anyway, this was the time we were supposed to spend together. It's been an absolute joy, to just throw all cares away, sometimes get a little bit off the track, sometimes by musical novinces models? /moments? of beauty that we hope that you'll appreciate…

You know, there's a song that I, I wanna play for you, before we take it home. It's a song, it's a woman's song really. It's about a woman who is, trying to find a new life, say, here in Tokyo. She's left all her cares behind. And... sometimes I think I was that woman. This is a song that Steve I know loves to play, he's just trying to find the music...

("The Whirlwind)

● 日本語訳

皆さん、ありがとう。 再び皆の前で演奏することができて、本当に、本当に嬉しい。 いやほんとに、また次に会えるまで何年もかからないことを願っている。 でも、もし僕たちの道が再び交わることがないのであれば、今この時間こそが、僕たちが一緒に過ごすことになっていた時間なんだ。すべての心配事を投げ捨てて、時には少し道から外れ、時に美しい音楽の新風を吹き込むことが的なモデル/瞬間を共有できて、それは最高の喜びだった。皆さんにも楽しんでもらえればと思う。
※当初novincesと聞こえていた部分、そんな単語はないのでnoviceとして意訳しましたが、modelではないか?と修正案が来て、しかしmoments?というようにも聞こえ、結局わからなくて再度意訳。

ひとつ聴いてほしい曲がある、家に持って帰る前に。実は女性の歌なんだ。新しい人生を……そう、たとえば東京で、見つけようとしている女性の歌だ。彼女はすべての心配事を置き去りにしてきた。そして……時々、僕は自分がその女性だったんじゃないかと思う。これはスティーヴが大好きな曲で、今演奏しようとしている...

(と言って”The Whirlwind”へ)

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前回までの来日公演の最後では、結構軽やかに「See you again soon!」とか言ってた気がするのですが、それがなかったのが気になって、こんな記事を書いてしまいました。来日の前、オーストラリア公演のMCで、「オーストラリアはこれが最後だな」などと言っていたという情報を耳にして私は密かにくよくよしていたのです。幸い日本ではそんなこと言わなかったし、上記のMCにあるように、もっと早く来たいと思う、と普通に言っていますが…。でもどこか、「また次回」は当たり前じゃないんだぞ、という気持ちが込められていたように私は感じました。その辺は各自想像していただければと。まあ、前回のように「Next year, maybe?」などと言って8年も待たされるよりいいかもしれません。

早くも締めくくりみたいな内容になってしまいましたが、来日公演、まだまだ反芻していろいろ書いていく予定ですので、よろしくお願いします。
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来日公演最終日の浅草から一夜明けても私はまったく余韻が抜けず、終わってしまったという喪失感でいっぱい、心身おかしいままの週末ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。素晴らしいライブを見せてくれたコステロご一行は今朝早々に空港に発ち、それぞれの帰路についたようです。

おそらく空港での待ち時間にTwitterを見ていたのだと思いますが、浅草公演に招待したと思われるchelmicoの鈴木真海子さんのツイートにリプライする形で、コステロがこんな文章を投稿していました。

https://twitter.com/______mmk______/status/1778768859367129520

前半はchelmicoのお二人に対し「やっと会えてよかった」という内容なのですが、途中から東京と大阪の観客へのメッセージとなっています。

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chelimo(惜しい…正しくはchelmico)のレイチェルとマミコと、彼らがリミックスした "Magnificent Hurt "を聴きながらステージに上がった後、ついに直接会うことができてとても嬉しかった。東京と大阪の観客にインスパイアされて、スティーブと僕は様々な曲を演奏したり、新しいアレンジを考え出したり、今この瞬間に共に生きていることを感じたりすることができた。本当にありがとう。E.C.

ツアーの終わりにこんな素敵なコメントを投稿するのを見た記憶があまりないので、ちょっと驚き、そして感激してしまいました。いつものようにひねった表現もジョークもなくストレートで、短いけれどこれ以上ないメッセージだと思います。実際、チケットの売れ行きの良さだけではなく、8年間で溜まった思いが噴出したかのように今回の日本のお客さんの反応は熱くて温かいなあと私も感じていたのですが、それが伝わったのではないでしょうか。だとしたら本当に嬉しいです。惜しいのは、リプライじゃなくて普通に投稿してくれたらもっとよかったのですが。

ただでさえ胸がいっぱいだったところに、朝からこんなのを見てしまい、ライブの感動やいろんな思いが押し寄せてしまい大変でした。いろいろ書きたいことはあるので、落ち着いて少しずつ投稿していきたいと思います。
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終わってしまいました、2024年来日公演。いつも来日期間の終わりはコステロスで大変なのですが、今回は何か特に寂しくて、今メソメソしながらこれを書いています。本当に楽しくて幸せな一週間でした……と全体を振り返るのはまた別途、暑苦しい別記事を投稿しますので、まずは最終日の模様から。
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浅草公会堂というこじんまりした異色の会場で行われた追加公演。まず出囃子の音楽がMagnificent Hurt!でうおおおっとざわめきます。そして……実は事前情報で、会場入りの時に例のキルトを着ていた!という噂を聞いてドキドキしていたのですが、登場したコステロは普通のスーツでした😂なぜ!意味がわからない!と、頭の中が忙しいところにズーンと打ち込みのビートが響き、いきなりWatching The Detectivesという意表をついたオープニング。しかもそこに2曲目のShot With His Own Gunがマッシュアップされる予想もつかない展開、スティーヴのピアノが炸裂します。その後またWatching The Detectivesに戻って曲が終わるという、早くも波乱(?)の予感を感じさせる幕開けでした。

続いては椅子に座ってストラト(でしたっけ…)を抱えRadio, Radio!ちょっと歌いにくそうではあったけど、さすがに盛り上がるナンバーです。ここで最初のMC、「東京3公演目だけど、前の2公演にいた人いる?」と問いかけ、いぇーい🙌と声と手が上がると「これまでとは違う曲をやるよ!」と宣言。と言いつつ次にスパニッシュギターで力強く弾き始めたのは1日目にもやったClublandでした。今日はGhost Townは無しで、ちょっと高音がキツそう。そしてそのまま爪弾きながら「brand new songだ、東京で初めてやるよ」と言って、去年の初演奏以来4回目というレア曲、ボサノバっぽいリズムが印象的なThat Blue Lookを披露してくれました。

ギターを替えて、前日に引き続きのSo Like Candy、やっぱりすごくいい!スティーヴのピアニカも印象的です。そのまま同じく前日からやってるMagnificent Hurt、これは今日のほうがこなれててかっこよかったです。この辺りからボーカルにもエンジンがかかってきた気がします。そしてそして!打ち込み、というかプリレコーディングの音源が流れてきたのだけど、何の曲だろう?歌い始めても、あれ、なんだっけ…としばし固まってしまったのですが、サビ前ぐらいでBattered Old Birdとわかり、うわあああとなります。去年のヨーロッパでもやってた大胆なアレンジバージョンなのですが、今日のはさらにメロディを変えていたかも。

ここでピアノのほうに歩いてスティーヴに、何かやってみろ、というように指図を出します。スティーヴはしばし何かクラシックぽい曲を奏でるのですが、それがなんと、Unwanted Numberにつながるという驚きの展開!この曲を聴けるとは思わなかった…。さらに、スティーヴがめちゃくちゃ小さいミニアコーディオンを抱え、コステロ自らはアコースティックギターで歌い出したのはNew Amsterdam!!!そしてYou've Got To Hide Your Love Awayにつながるという、一時は定番化していたけど最近なかったメドレーに会場も湧きます。嬉しいーー!!!その後、打ち込み音源に合わせてギターをかき鳴らすのは、えええええ、Tokyo Storm Warning!この曲を東京で聴けるなんて……春の嵐だった東京2公演目の日に思いついたのかな?原曲同様長いのですが、やたらカッコよくて大満足でした。

今回、4公演で毎回演奏している数少ない曲のひとつ、Everybody's Crying Mercyを挟み、またギターを置いてピアノの近くに立ちます。「バート・バカラックと書いた曲だ」というので、何だろうと思ったら、The Songs of Bacharach & Costello Disc 2に収録のLook Up Again、過去2回しか歌われたことのないレア曲でした。なかなか渋いね、と思っているところに「もう一曲バカラックとの曲を」と、I Still Have That Other Girlを。そして、今日もやっぱり大盛り上がりのSheにつながります。

今日は長いMCは少なかったものの、割と曲説明みたいのを挟んでくれます。「自分の祖母を思い出す曲だ」と語り始めたので、一瞬Veronicaかな?と思いましたが全然違ってThe Boy Named If収録のThe Man You Love To Hate!!!ジ・インポスターズとのツアーでは時々歌われていた曲ですが、二人のライブで聴けるとは感激でした。スティーヴの跳ねるピアノと、コステロが後奏に合わせてワウワウとかババババとか歌うスキャットみたいなところが印象的。

昨日もやったトム・ウェイツのカバーMore Than Rainをはさみ、今回の来日初登場となったI Want You、これも嬉しい〜。間奏でTake it, Steve!といきなり振られてソロを弾くところと、後奏でコステロが歌いながら足を踏み鳴らし、ギターを替えてフィニッシュするところが面白かったです。

その後(What's So Funny 'Bout) Peace, Love And Understanding?になだれ込み(今日もスティーヴのボーカルあり)一気に終わっちゃうのかなと思ったらここでMC。「またここ(東京)で皆さんのために演奏できて本当に本当に嬉しい。次に会うまでにまた何年も経たないといいと思うけど」というような、何か本当に心のこもった感じのメッセージに聞こえました(その後がよく聞き取れなかった)。そしてピアノオンリーで、Hey Clockface収録のThe Whirlwind!個人的にはアルバム収録のよりすごく良かったと思います。

ここで、昨日は出てこなかった折りたたみギターをつかんだので、ああ、これでいよいよAlisonやって終わりかな…と思いきや、ぎゃぎゃぎゃぎゃ…と弾き始めたのはなんとなんとなんとFarewell, OK!!!まさか聴けると思わなかった!こんなに思いっきりFarewell言われちゃうと悲しいのですが、最後はやさしくAlisonで締めくくりました。

ボーカルは昨日よりだいぶ疲れているようにも聞こえましたが、ラディカルなセットリストがとても面白く新鮮で、とにかく何か違うことをやってやる!という意欲を感じました。そしてそんな数々の「違うこと」を可能にするのがスティーヴなのだと実感。今日は席の位置的にその姿をじっくり見ることができました。いったいどれくらいリハーサルしたのか知りませんが、コステロと本当に僅かに視線を交わすところ、あるいはそれすらもないように見える場面での息の合った演奏にあらためて感動せずにいられません。4日間、本当にいいものを見たと思っています。今はただ寂しく、もう抜け殻状態です…
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今日はすごい!やばい!!大変!!!一昨日のトリフォニーホールが個人的に奇跡のような体験だったため、完全にやられてしまっていましたが、ライブとしては今日のほうが上!声もどんどん良くなってるし、何より毎日思いっきりセットリスト変えてくるのがたまりません。

最前列とはいえ超端っこで、目の前にスピーカーがどーーんとそびえていてどうなるかと思ったのですが、結果的に先日よりしっかり音楽を受け止めることができた気がして、もう大大大満足です。

ほぼ時間通りに颯爽と登場すると、中央でアコースティックギターを抱えオープニングはWatch Your Steps。次も先日と同じTalking In The Darkだったため、東京2日目をベースにする感じかしら……と思いきや、そこからが凄かった。

再びアコギを抱えて歌い始めたのはなんとTownCryer!そう来たか!と胸が高鳴ります。後奏のドゥドゥドゥドゥ……を力強く歌って、会場の熱がぐぐっと上がった感じ。そこへ打ち込みのベース音が聞こえてきて、ん?何だろう?と思ったらWaiting For The End Of The World!超新鮮なアレンジ、かっこいい!!

盛大な歓声を受け、何かひとりワウワウ言いながら椅子セクションに。スパニッシュギターを爪弾いてAlmost Blue、今日はDio Come Ti Amoは入りませんでした。一言How Are You?!と挨拶すると、バリトンギター(?)に持ち替えて、うわあSo Like Candy!熱唱!!すごい良かった……。そのままバリトンギターでゴリゴリ弾き始めたのはなんとMagnificent Hurt!!!The Boy Named Ifの曲なるべくやってほしいとは思ってたけど、まさかこれを2人でやるとは!なんかもうこの辺りで既に、今日のショーがとんでもないことになってると実感し始めました。

ここでまだ打ち込みのビートが鳴り響き、Watching The Detectives。やっぱりこのバージョンカッコいい。そしてだんだん長くなってる気がしたのですが錯覚でしょうか?続いてギターを置きスティーヴ側のスタンドマイクに立つと、「ヘルシンキではタンゴはヘルシンキで生まれたと言われるけど、実はタンゴは大阪で発明されたんだ」(???)みたいな謎のMCで、I Do (Zula’s Song)を。特にタンゴっぽくなかった気が…。しかしスティーヴのピアノが超ゴージャスだった!その流れで同じくピアノが大活躍のShot With His Own Gunへ。

ここでなぜか帽子を青いのに被り変える。ギターを抱えて歌い出したのはなんとなんとなんと!「もう歌わない」発言が波紋を呼んだOliver’sArmy!!!!海外では歌詞を変えて歌うこともあったのですが、そのニューリリックバージョンを日本で聴けるとは思わなかった、つまりもう聴けない曲かなと思ってたので、嬉し過ぎて思わず涙。

再び椅子セクションに戻り、響いてきた打ち込みのビートはHetty O’Hara Confidential。東京初日も登場しましたが、今日は低音と高音のボーカルを使い分け、ぐぐっと熱くてかっこ良さ倍増してた!そのまま座ってEverybody’s Crying Mercy、これもどんどん良くなってる気がしました。短いMCを挟み、Hey Clockfaceから初登場のNewspaper Pane。これも、ライブでやるには地味だろうと想像してた曲だったのですが、まあ確かに渋いのですが、かっこいい!

また大阪に来られて嬉しいよ、的なMCで「スペシャルな曲をやるよ、ずっと前に書いた曲だ…」と青いエレキギターで歌い始めたのはなんとなんとなんとなんと!The Only Flame In Town!そんなことってある?正直この曲をライブで聴くことは一生ないと思ってたし、なくても別にいいやと思ってた、のですが!こんないい曲だったとは……

その後ピアノの前に戻り、今日もやっぱり一番拍手の大きかったShe。続いては東京2日目で登場したLong Honeymoon、今日はハンドマイクでステージ中歩き回りながら熱唱。そのままハンドマイクで、I Still Had The Other Girl、これは盛大な拍手が沸き起こりました。

その後スティーヴに何やら耳打ち。自分は椅子セクションに戻って、私の知らないカバー曲(?)を一人でギター爪弾きながら歌います(その後、トム・ウェイツのMore Than Rainと判明)。スティーヴはステージから姿を消し…….と思ったらやっぱり!ステージ後方高くにそびえるパイプオルガンにいました。先日と同じく、The Birds Will Still Be Singingのイントロのフレーズを奏でた後、Shipbuildingへ。演奏もコステロの大熱唱も素晴らしいとしか言いようがなく。

スティーヴがパイプオルガンに残ったまま椅子セクションに戻ったので、またWe Are All Cowards Nowかと思いきやなんと、Cinco Minutos Con Vos!!!この曲をパイプオルガンと打ち込みとギターで聴くなんて想像もしなかった…ほんと凄い!最後のほうでスティーヴはいつのまにか戻ってきてピアノ弾いてました。

割と間髪入れずに今日はエレキギターでAlison。これは私は2日目のバージョンのほうが好みかな。そしてラストはお約束の(What’s So Funny ‘Bout) Peace, Love And Understanding
、今日は客席からの手拍子が響き渡って大盛り上がり!で終了。今日も終演後アンコールの拍手が鳴り止みませんでしたが、やっぱり出てきてくれなかった。

……どっちがいいとかではなく、東京とは全っ然違うモードでした。一昨日は超ご機嫌で笑顔満載、MCもかなり多く、キュートな姿大サービスだったのですが、今日は打って変わってクールで!ご機嫌は相変わらず上々に見えたけど、とにかくどんどん曲を畳み掛ける勢いがすごくて、なんか自信満々な感じがしました。

最初に書いた通り、3日間でセットリスト激変です。この勢いで浅草はどうなってしまうのか……もうドキドキです!

https://elviscostello.info/wiki/index.php?title=Concert_2024-04-11_Osaka

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(今日も飲んでから帰宅したため、便宜上の当日の日付です)

ああもう、幸せ過ぎてどうしたらいいんでしょう...… 昨日で既にとんでもない幸福感だったのに、それを軽く超える感情が渦巻いています。昨日だけ参加の方ごめんなさい、でも個人的には今日のほうがさらに良かったと言わざるを得ない、声も音も選曲も。昨日「明日は違う曲やるよ〜」とステージ上で宣言していたコステロ、有言実行です!!!

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まず席が良過ぎて、開演前から嘔吐または失神しそうでした。こんな目の前で歌うのか…しかも今日はもしかして衣装キルト?と身構えていたのでしたが、昨日よりもシックなスーツ姿で元気に登場。今日もご機嫌です。昨日2曲目だったWatch Your Stepがオープニング、これまた渋い…でも明らかに昨日より声出てる!そして2曲目でスティーヴのピアノに合わせていきなり観客に拍手を強要し、Talking In The Dark!うおおお変えてきた変えてきた!とワクワク感が高まります。

ここでMCが入り、文脈がよくわからないのだけどPut Away Forbidden Playthingsの歌詞を朗読していたと思います(どなたか意味がわかる方教えてください)。続けてAll This Useless Beauty、これは素晴らしい熱唱!早くもうるうるしてきたのですが、なんと次はThe Long Honeymoon!うわうわ、た、たまらねえ… ちなみに後奏で一人タンゴのダンスの真似事をしてたのがキュートでした。

今日は全体にMCが多めだったのですが、あまり聞き取れなかった😓 今のは1981年に書いたThe Long Honeymoonという曲、と解説し、続けてLook Nowのデラックス盤ボーナストラックというレア曲Isabelle In Tears。なんていい曲なんだ…とあらためて噛み締めているところに、打ち込みの低音がブーンと響いてきてWhen I Was Cruel No. 2。これは昨日のオープニングとだいたい同様のアレンジ。昨日書き損ねましたが、スティーヴがピアノのアドリブで挿入してくるDancing Queenのフレーズがかっこいい!めちゃくちゃへヴィーなトラックと歪んだギターのサウンドの中でピアノの音色が光っていました。ここでスティーヴは一旦退場。

その後アコースティックギターに持ち替えて、アルペジオで爪弾きながら「another guyと一緒に作った曲だ」というようなMC。ん?誰のこと?何の曲?と思ってたら、なんとVeronicaではないですか!ワルツ風のアレンジ、新鮮ですごーーく良かった!ちなみにその間にスティーヴがステージ後方のパイプオルガンに向かっていくのが見えた…気がします。

椅子に座ったまま、またMC。日本に長い間来られなかった、その間にたくさんレコードを作ったのだけど、世界の他のところを廻っていたから東京で演奏する機会がなかった(超意訳)みたいな話をして、あまり見たことない変わったギターを手に歌い始めたのが、なんとなんとなんとMr. Crescent!そう、このブログの1日1枚シリーズで私が「やってくれたら泣く」と書いた、The Boy Named Ifの中の名曲です。それを私の真正面で歌ってくれているのです。信じられない……あまりのことにしばらくは泣くどころか、いやいやこんなにうまい話があっていいわけない!と感情がバグを起こしていました。で、実は今、書きながら泣いています。本当に、やってくれてありがとう。

そのまま続けてEveryday I Write The Bookの断片、歌い終わったところでパイプオルガンがの場所が明るくなり、ああやっぱりスティーヴが!!!そして弾き始めた荘厳な感じのイントロは、Shipbuilding!!!うわあああああ…。重厚な演奏とコステロの歌唱に圧倒されてしまいました。続けてコステロは椅子&ギターに戻り、オルガンの伴奏つきのままWe Are All Cowards Nowを。これ、ライブでやったら地味過ぎなのでは…と想像していたのですが、全然そんなことない、やたらカッコよくて痺れました。スティーヴは曲途中からオルガンやめて下に降りてきていました。

続けて椅子のまましばしMCののち歌ったのは、昨日もやってたEverybody's Crying Mercy、そしてGood Year For The Roses(すごい良かった!)へ。その後「自分は46年(?)の間日本に何度も来ているけどほんの少ししか日本語はわからない。父はスペイン語をベッドで覚えた。だから家庭内ではスペイン語ご法度だった」みたいな逸話をMCで語りつつ、でも歌ったのはイタリア語のDio Come Ti Amo〜Almost Blueにつながります。

今度は椅子を立ってステージ中央へ。前奏でもしや?と思ったらそう、The Comediansでした!これ聴きたかった!嬉しい嬉しい嬉しい!最後の力強い Come--dia-------ns!は素晴らしい声で震えました。そして今日も、最大の拍手が沸き起こったShe。これが一番嬉しい!という人がこんなにいるのだったら、他の渋い曲やレア曲はどう受け止められてるんだろう、と若干心配に。その後、なぜか椅子セクションから自分で椅子を引っ張って中央に持ってきて座り、バカラックの話を少しした後Toledoを。これも嬉しかった…

またドゥンッドゥドゥン、という打ち込みのビートが流れてきて、Watching The Detectives、昨日と概ね同様のアレンジで、ステージ袖で音源の操作をしている人の姿が私の席からよく見えて新鮮でした。若い男の人なんだけどすごいノリノリで、結構一緒に歌ってたりもした。ピアニカを吹くスティーヴが前に出てきてコステロも立って近くに寄り添い、熱い演奏を繰り広げていました。

アコースティックギターを手にして中央に立ち、弾き始めたのはAlisonのイントロ、あれ、でもアンプつながってない?と思ったらスタッフが出てきてシールドをつけようとするのですが、要らん要らんと首を振り、ギターをマイクに近づけたまま弾き切ったのが印象的。このAlisonもよかったあ。

そして折りたたみギターに持ち替えて、今日はギャンギャンにかき鳴らす演奏で(What's So Funny 'Bout) Peace, Love And Understanding?!今日もスティーヴのボーカル大フィーチャー!絵に描いたように盛り上がりました。

演奏が終わり、お辞儀をして二人が退場しても、今日は拍手が鳴り止みません。昨日よりさらに短かったせいもあると思いますが。もっと聴きたい、もっと一緒にいたいという気持ちが抑えきれず、手が腫れそうになるくらい叩きましたが、残念ながら出てきてくれず終演。でも日本のファンの熱い熱い熱い思いはコステロに伝わったと思います!!!


……すべてがハイライトで素晴らしかったので、逆にメリハリがない、冗長なだけの記事になってしまいましたが、とにかく幸せだったので許してください。セットリストは例によってこちらへ。

https://www.elviscostello.info/wiki/index.php?title=Concert_2024-04-09_Tokyo








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(一杯飲んで帰宅したら日が変わってしまったのですが、便宜上当日の日付で更新します)

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来日公演が迫るにつれ、もはや「楽しみ」などという気持ちをを通り越してしまい、緊張して苦しくて辛い数日間を過ごしてきました。なぜおまえが緊張する必要があるのかね?と一番突っ込みたいのは私です。今日の午後などはもう、生きた心地もしませんでした。

……そんな意味不明の辛さがもう今は吹き飛んで、楽しくて幸せで温かい気持ちでいっぱいです。東京公演初日、短かったけど充実感たっぷり、コステロのことをもっともっと好きになってしまう素敵なショーでした。

会場についてまず素敵なサプライズ、チケットもぎりのところでこんなフライヤーというかチケットもどきが貰えます。日付入り。Hey Tokyo!See you soon!ってメッセージが嬉し過ぎて、いきなりテンション上がった状態で客席へ。

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開演してうわっと感動したのは、久しぶりのコステロを迎えるお客さんの大歓迎っぷり。海外の公演もいくつも観てきましたが、オーディエンスに関しては日本最高です。ステージにコステロが登場した瞬間から熱い声援が浴びせられ、コステロもそれに応えて最初から超ご機嫌の笑顔。「東京は久しぶりだから、スペシャルな、ユニークなショーにするよ!」と。

オープニングは椅子に座っていきなり渋〜くWhen I Was Cruel No. 2、プリレコーディングの音源と謎のリズムボックス、ギターを駆使した斬新なサウンド。スティーヴはピアニカを吹きながら早くも客席に降りてくるというサプライズをかましてきました。序盤はだいぶ声が苦しそうなところもありましたが、だんだん調子が上がってきた様子。スパニッシュギターを爪弾きながらのラテン風Clubland(スペシャルズのGhost Trainを挟んできた!)〜Don't Let Me Be Misunderstoodは個人的には前半ハイライトでした。

(確かこの辺でスティーヴ一時退場)ここでMC、最初よく聞き取れなかったのですが、オーストラリアではやらないで取っておいた曲をやるよ!と。そして、日本に来ると思い出すのは…と語り始めたのはアラン・トゥーサンの話でした(涙)。日本のファンの人たちがサイン会で、アラン自身も忘れていたような古いレコードを持ってきていて感銘を受けた、というエピソードの後、アコースティックギター1本で歌ったAscension Dayにはグッときました。その後に続いたアコギバージョンのBeyond Beliefも大好き!

Hey Clockfaceの途中からスティーヴが戻って、今度はピアノを伴奏に数曲。個人的にはStill Too Soon To Knowで涙しました。Red Shoesはかなり大幅に崩してアレンジしたバージョン。その後また椅子に戻り、重低音のリズムがズンダカズンダカ♪と流れてきたので、最近のツアーではかなり定番化しているHetty O'Hara Confidentialだな、とすぐわかりました。ところがいざ歌い始めたら、全然聴いたことのない、超低音のボーカルが渋い新アレンジ!終わった後、やったぜ、という顔でスティーヴの方を見て笑ってた……一筋縄ではいかない人です。Watching The Detectivesも思いっきり壊して再構築されたようなバージョンで、最高にカッコよかった!と私は思うのですが…どう受け止められたのかなあ。私のような狂ったファンは、もうオリジナル通りにやるなら別にやらなくていい、くらいに思っているのであくまでも主観です。

I Still Have That Other Girlは、声の調子からしてどうかなと思ったのですが、見事でした!そしてその後のSheも、思いがけずすごく良かった!この曲が一番盛大な拍手だったところをみると、割とライトなファンの方も多かったのかなと。

アンコールといえるのかどうか、一旦ステージ袖に引っ込んだかと思ったらギターを掲げて出てきて、また椅子に座り「明日も来る人いる?」と観客に問いかけYeah!と声が上がると「明日は全然違う曲をやるよ〜」だって😊。そして「平和についての曲を探していたんだけど、今の世界情勢にはこの歌がふさわしいと思う」というようなMCで、Everybody's Crying Mercy!そしてその流れで(What's So Funny 'Bout) Peace, Love And Understanding?へ。この曲ではなんと、スティーヴのボーカルがフィーチャーされました!最近時々スティーヴが歌わされてるのは知っていましたが、今日のはちゃんとハモリもやっていて、かなり上手かった!と思います。最後は折りたたみギターでAlison。もっとやってーー!More〜〜!!と叫びましたが叶わず。でもスタンディングオベーションをしながら、自分の中に幸福感が満ち満ちているのを感じました。

近年、正直声はきつそうというか不安定さが目立つのは事実なのですが、そういうことを超越した歌の力をあらためて感じた一夜でした。とにかくこれを歌いたいんだ!という意欲で全力で攻めてきます。音楽的にもステージ上で躊躇なく新しいことに挑戦していて、次は何やるんだろう?と目が離せません。そして随所で笑いを誘うチャーミングさ。ライブに何を求めるかは人それぞれだと思いますが、私はもういろんな意味でメロメロです。

Wikiの中の人に求められて急ぎセットリストを提供したのは私なので、これで合っていると思いますが、間違いがあればご指摘くださいませ。

https://www.elviscostello.info/wiki/index.php?title=Concert_2024-04-08_Tokyo

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来日公演を明日に控え、1日1枚シリーズも今日が最後となりました。2022年リリースの、現時点での最新アルバムにしてキャリア最高傑作です!と私は言い切ります。異論は認めますが聞く耳は持ちません。 This Year's Modelの頃の原点に回帰したとか、Brutal Youthを彷彿とさせるとか言われていましたが、はい、確かにそう感じられる部分もありますが、もっと深いと思います。

The Boy Named If の”If”はImaginary Friendをかけているとのことで、空想上の友だちがいた少年時代から大人になっていく過程の出来事や心境、というのがざっくりしたテーマといえるでしょうか。いえないかもしれない。正直、歌詞はいつもながらよくわからない部分が多いのですが、全体的に漂うみずみずしい雰囲気や、時に性急で思い詰めたような切実さを感じさせる音は、そのテーマと無縁ではないような気がします。

とにかく、「捨て曲なし」などという言葉では言い表せないほど、どこを切っても好きで好きで好きで大好きで何度聴いても飽きません。美しく鮮烈で、時にひねくれた極上のメロディと、タイトでシンプル、かつアイデアあふれ出るバンドサウンド。これ以上何を求めるものがあろうかと。

激しく荒々しいロックンロールFarewell, OKで幕を開け、メロディアスなベースのうねりが印象的な表題曲The Boy Named Ifでぐんと物語の世界に吸い込まれます。あどけない(?)感じのボーカルがかわいいPenelope Halfpennyは、特徴的なドラムのフィルインとぴろぴろ鳴り響くキーボードが耳に残ります。映画「Cold War」にインスパイアされたというDifferenceは、構成も音も独創的な、これまでにない感じの曲。ポップなんだけどどこか不穏な危うさを秘めているような。What If I Can't Give You Anything But Love?を最初に聞いた時はビートルズのDig A Ponyを彷彿とさせると思いました。ブルージーで力強く、コステロのギターソロが炸裂しています。やさしく切ないバラードPaint The Red Rose Blueで一息つかせたかと思えば、続くのは元気なMistook Me For A Friend、たたみかけるビートとボーカルに心が躍ります。ニコール・アトキンスをゲストボーカルに迎えたMy Most Beautiful Mistakeは、ユーモアと色気が見え隠れする、ストーリー性のあるポップソング。と思ったらここでまた横っ面を張り倒すような先行シングルのMagnificent Hurt、そしてノスタルジックな響きがある意味コステロらしいThe Man You Love To Hateと続きます。The Death Of Magic Thinkingは性急な感じのビートに乗せて大人になることへの恐れを歌った曲で、ある意味このアルバムを象徴するような曲。続くTrick Out The Truthは遊び心と仕掛けが満載!Lady GodivaとGodzillaで韻を踏んで、ガオーーと吠えるところなんか最高です。そして最後を飾るのは美しいワルツのバラードMr. Crescent。何を歌っているのかハッキリとはわからないのですが、悲しくて切なくて涙が出てきます。

※大好きなあまり思わず全曲語ってしまい、読みにくくなったので曲名を太字にしてみました。

お互いの国を行き来できないコロナ禍で、完全にリモートでレコーディングされたというのが信じられないほど、ジ・インポスターズの演奏は息がぴったり合っていて勢いに満ちています。機材を揃えるところから協力したというプロデューサーのセバスチャン・クリスの功績も大きいのかもしれません。コステロがギターで書いた曲をまずピート・トーマスに送ってリズムをつけて完成させていったそうで、アルバム全体にピートの貢献度の高さを感じます。デイヴィーのベースもスティーヴのキーボードも、そしてコステロのギターも、すべて個性が立っていて聴かせどころに満ち満ちていると感じました。

世間一般にもとても評価の高いアルバムだと思いますが、さすがにこれを最高傑作と言っている方はなかなか見かけず。でも私は、現時点での最新作が最高だと、大げさでも逆張りでもなく心底そう思える幸せ者です。次のアルバムがいつになるのか、どんな内容になるのかもわかりませんが、何であったとしてもこれと同じくらい好きになれる気がしません。それくらい好きです。このアルバムを引っ提げて日本にきてくれるのを待っていた、のですが…

私は普段は、バンドじゃないから残念、などとはまっっったく思っておらず、スティーヴと二人の公演も大大大好きなのですが、このアルバムに限ってはジ・インポスターズとの来日が実現しなかったことが惜しまれます。でもスティーヴと二人でこの中の曲を少しでも聴かせてくれたらいいな、と期待しています。Paint The Red Rose BlueとMr. Crescentをやってくれたら泣きます。泣かせてください。

https://elviscostello.info/wiki/index.php?title=The_Boy_Named_If

Farewell, OK
The Boy Named If
Penelope Halfpenny
The Difference
What If I Can't Give You Anything But Love?
Paint The Red Rose Blue
Mistook Me For A Friend
My Most Beautiful Mistake
Magnificent Hurt
The Man You Love To Hate
The Death Of Magic Thinking
Trick Out The Truth
Mr. Crescent

Truth Drug (Japan bonus track)
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さあいよいよです!!!オーストラリアツアーを終え、ついにコステロとスティーヴが8年ぶりに日本に上陸しました。私は昨日ツアーマネジャーのToastさんのInstagramをチェックしつつ、フライトトラッカーで飛行機の行方を追い、メルボルンからのカンタス航空で成田に到着したことを見届けました。とにかくまずは無事に来てくれてよかった!よかった!!よかった!!!

お天気はイマイチで肌寒いですが、例年ならこの時期既に終わりかけている桜がちょうど満開で、まるでコステロたちの来日を待っていたかのようです。
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今日明日とゆっくり休みつつ、日本を堪能していただきたいですね。もし街中で遭遇したり見かけたりした場合は、ぜひ惜しみなく報告してくださいね♪

そして来日公演招聘元のSMASHからは、今回の公演の会場販売グッズが発表されました!


…………。
まあデザインに期待はしていませんでしたが、この値段は何なのか。いやもう、何も言いますまい😓(言ってる)。

また、来日公演各会場でのCD即売に際しての抽選特典が発表されました。対象商品を購入すると、抽選でエルヴィス・コステロの直筆サイン入りテストプレス盤が当たる!という、これは先日投稿した、タワレコの企画と同じですね。来日記念盤はじめ、過去の作品も対象ですので、この機にぜひ!

https://www.universal-music.co.jp/elvis-costello/news/2024-04-03/

そのほか、来日に合わせて各種メディアも盛り上がって……欲しいところですが、今のところあまりそのような情報は見受けられず(涙)。とりあえずわかっているのは、来日公演始まってからになりますが、4/6にTOKYO FMのラジオ番組で大鷹俊一さんによるコステロ特集があるようです。


もっともっと色々出てきて欲しいな〜!追加情報があったら、いやなくても引き続き更新して参りますので、よろしくお願いします!
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最近のアルバムになるにつれて、どんどん熱くなってしまい大変な今日この頃でしたが、ここで一旦熱量が下がります。世界3か所でレコーディングされ、パンデミックの真っ最中にリリースされた異色のアルバムです。

「自分のことを誰も知らない場所に行きたかった」とかいう、何を今さら、な謎に自分探しみたいな動機でヘルシンキでほぼ一人でレコーディングした実験的な3曲、パリでのスティーヴ・ナイーヴやその仲間たちとの演奏による9曲、そしてNYのマイケル・レオンハートらとリモートで録音したという2曲、で構成されています。寄せ集め感ありつつ、なぜか不思議に統一感もあるようで、うーーんでもやっぱりあまりしっくり来ないな……というのが個人的な感想。

私がイマイチだと感じてしまうのは半分以上を占めるパリの曲たちなのですが、まずコステロの声が出ていないのが残念… The WhirlwindとかThe Last Confession Of Vivian Whip(スティーヴとの共作!)とか、いい曲なのに、どうしてそのテイクで良しとしてしまうの?と。タイトル曲Hey Clockfaceも、どうしてこれをタイトルにしたかなあ?と思ってしまいました。全体的に新鮮なアレンジもあったり、演奏は決して悪くないのですが、Look Nowで完璧に練られた音に浸った耳には物足りなく響きました。

とはいえそれは、曲自体のレベルの高さを感じるからこその感想かもしれません。前述の2曲をはじめ、映画「Cold War」にインスパイアされたというI Do (Zula's Song)、2016年で大阪で世界で初めて披露された(←これはもっと強調されてよいと思う!)They're Not Laughing At Me NowとWhat Is It That I Need That I Don't Already Have?、そして最後を飾るBylineなど、静かだけれど沁みいる名曲。このレベルの曲を次から次へと作れちゃうんだなこの人は!と思ったものです。

私が好きなのはヘルシンキ録音の3曲です。1番のお気に入りはHetty O'Hara Confidential!私好みのコステロまくしたてボーカルがたまりません。これはジ・インポスターズとのライブでさらにめちゃくちゃクールなアレンジで演奏されています。先行リリースされたNo Flagは前衛的で激しいロックだし、We Are All Cowards Nowの厭世的なムードは何か世相を反映しているようで、すべて聴き応えあります。ニューヨークの2曲もかなり尖ってるのですが、このセッションだと、後に別途リリースされたShut Him Downのほうがもっとカッコいい!

……というわけで、珍しくネガティブなことを書いてしまいましたが、今回の来日で一番演奏されそうなのは実はこのアルバムじゃないかと密かに予想してます(笑)。パリでの9曲はスティーヴががっつり関わっているわけですし、ヘルシンキの曲はリズムマシンとかプリレコーディングの音源とかでやれそう。繰り返しになりますが曲のクオリティは高いのです。ライブで聴いて好きになった!というパターンもありえそう。

https://elviscostello.info/wiki/index.php?title=Hey_Clockface

Revolution #49
No Flag
They're Not Laughing At Me Now
Newspaper Pane
I Do (Zula's Song)
We Are All Cowards Now
Hey Clockface / How Can You Face Me?
The Whirlwind
Hetty O'Hara Confidential
The Last Confession Of Vivian Whip
What Is It That I Need That I Don't Already Have?
Radio Is Everything
I Can't Say Her Name
Byline

Phonographic Memory (Japan CD bonus track)
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