今年も新年度にあわせて“マンダラ形式”の法律書ブックガイドを更新し、2024年版としました。Google Slideで公開しています。企業法務に関心のある方や、新たに法務部門に配属・異動された皆様のお役に立てれば幸いです。
スライド内の書名がアフィリエイトリンクになっており、Amazonでそのままご購入いただけます。なお、マンダラ内ではスペースの都合で一部書名を略しています。リンク先では正式書名をご確認いただけますのでご了承ください。
▼企業法務マンサバイバル_法律書マンダラ2024
以下、2023年版から追加・入替した書籍について、各分野ごとにコメントさせていただきます。
・コア領域
全分野のコアとなるL1に、新たに『情報法のリーガル・マインド』を入れました。同書は新著ではないものの、近年変化の激しい情報法・知的財産法分野を中心に、商品・サービスの品質表示責任、果てはコーポレートガバナンスまでをカバーしており、10年先を見通せるブレない幹となるような考え方を示してくれる書籍だと思います。
・契約・商取引法
以前から、L2に江頭『商取引法』を置くのは重たいなあ…と気になっていたところ、L3へ移動させた同書への橋渡し役として、新たに『民法とつながる商法総則・商行為法』を入れました。
・消費者法
手薄だったL2エリアに2冊追加です。ステマ・No.1表記等に代表される不当表示の取り締まりは厳しさを増しており、各社法務部門においてここ数年注力すべき法分野と感じています。にもかかわらず、通称「緑本」と呼ばれる『景品表示法』しか推薦できる書籍がなかったわけですが、昨年その入門編という位置付けの『はじめて学ぶ景品表示法』が刊行されました。また、景表法以外の表示規制である特商法や薬機法などについてもカバーした『インターネット広告法務ハンドブック』も新たに推薦しています。
・情報法
拙著ですがL2にようやく5年ぶりの改訂にこぎつけた『利用規約の作り方』を復活させていただきました。L3には、待望の第2版が刊行された『クラウド管理の法律実務』を入れています。
・知的財産法
この分野は昨年から(法改正に伴う改版を除き)入れ替えはしていません。なお、音楽著作権に関するおすすめ書籍のお尋ねをいただくことが増えており、その際には、CD・レコード時代の音楽著作権を中心に細かい実務を抑えようとする2分冊の某書よりも、YouTube動画等での著作権処理を中心とした『音楽・動画クリエイターの権利とルール』をおすすめしています。
・M&A・経済法
先日本ブログで書評した『起業家のためのリスク&法律入門』をL2に入れました。同書はスタートアップに生じる法的リスク全般の概説書でもありますが、中でも資金調達まわりの法律解説がわかりやすく秀逸なため、L3にある『中小企業買収の法務』や『スタートアップ投資ガイドブック』への橋渡し役としてここに置いています。
・会社法
会社法分野の文書デジタル化の指南書として昨年は拙著をリストしていましたが、これを削除し、最新の法改正や電子署名技術を踏まえ緻密に書かれた『商業登記のデジタル完結/完全オンライン申請の実践』を新たにL3に加えました。
・訴訟法
昨年大きくラインナップを更新したので今回はほとんど変化がないものの、いわゆる「司法のIT化」が今後どんなスケジュールで進められていくのかを知っておくことは必要と思われ、『民事裁判手続きのIT化』をL2に加えました。
・その他諸法
金融のデジタル化に伴う諸法律の概説書として新たに『詳解デジタル金融法務』を、また昨今の生成AIに関する実務書は好著がたくさんありどれを入れるべきか迷った結果、『生成AIの法的リスクと対策』を入れています。
なお、この“マンダラ形式”のブックガイドのアイデアは、山口周著『外資系コンサルが教える 読書を仕事につなげる技術』からお借りしています。重ねて御礼申し上げます。