2024年03月05日
ネタの内容には触れません。レポと言うより自分の感想や思い出の話です。
この1年近く、もう信じられないことばかり起きてきましたが、次のTHE SECOND前のその最後の締めくくりが、マシンガンズ単独ライブだったと思います。
太田プロは基本的に、事務所ライブ「月笑」で年間優勝するとご褒美として単独ライブを開けます。年間優勝とマシンガンズの成績は以下のとおり。
2008年 風藤松原(マシンガンズ2位)
2009年 トップリード(マシンガンズ2位)
2010年 トップリード(マシンガンズ2位)
2011年 トップリード(マシンガンズ5位)
2012年 風藤松原(マシンガンズ4位)
2013年 風藤松原(マシンガンズ8位)
2014年 タイムマシーン3号(マシンガンズ5位)
2015年 タイムマシーン3号(マシンガンズ9位)
2016年 アルコ&ピース(マシンガンズ9位)
2017年 アイデンティティ(マシンガンズ4位)
2018年 アイデンティティ(マシンガンズ8位)
2019年 さすらいラビー(マシンガンズ9位)
2020〜2021 年間優勝を決めるクライマックスシリーズ不開催
2022年 さすらいラビー
2023年 センチネル
こう一覧で書くと、どの時期にどの芸人さんが脂が乗っていたのかの流れがはっきりわかるので面白いですね。ちゃんと10位以内に残り続けてきたマシンガンズのすごさも。
私がマシンガンズ目当てでライブに通い始めたのが2009年で、その頃からしばらくはトップリードが無双状態だったので、マシンガンズは惜しくもCSで負けていました。
CSはその場で開票される客席投票なのですが、勝ってもおかしくないんじゃないかなという時も「大差だった」と司会の人が言っていたので、マシンガンズは正統派には客席投票で勝てないんだという私の苦手意識はこの時から始まりました。
ご褒美単独以外にも誰かが主催するか何かの条件で開催することはできるらしく、インジョンがやっていたこともあったし、劇団ひとりさんのラジオの企画の延長か何かで神宮寺しし丸さんがやったこともありました。
とはいえマシンガンズは単独をやる気が全くなくて、2009年や2010年のあと一歩で年間優勝というあたりでも、「優勝したら単独やらないといけないからどうしようかと思ってた」「お互いの親でも呼んで漫才してもらって時間潰そうと思ってた」といった話をしていました。
トークライブ等でも、「世界観があって最後に全部のネタがつながってたことがわかる単独とかできない」というような話を何回か聞いたことがあります。
もちろん私もファンだから単独ライブは見たかったです。全ネタがマシンガンズで、幕間のVTRもマシンガンズでなんて最高じゃないですか。でもやれそうな気配が1ミリたりともないので、完全に諦めていました。
そこへ2023年の5月20日に運命が変わって(しかも客席投票の賞レースで)、単独ライブやろうかみたいな話が出てくるようになりました。で、本当に開催されました。
「マシンガンズが跳ねる賞レース」なんていうこの世になかったものがいきなり爆誕したので、その延長でやはりこの世になかった「マシンガンズの単独ライブ」まで実現したのが、本当にうれしいです。
単独にあたってファンの撮った写真を募集していたので昔のライブの写真を見返してみたら、長く続けて今もやっているコンビは大半が売れていました。辞めてしまった人か売れている人のほぼ二択になっているんですよね。全く箸にも棒にもかかっていない、一度も世間やお笑いファンの間で話題になってこなかった人というのもほとんどいなくて、長く続けていればわりとチャンスは来るということを実感しました。
そしてさらにセカンドチャンスまで与えてくれる賞レースが生まれたのは、長くやっている芸人さんのファンにはありがたい限りです。
チケットが即完したのも、会場が立派なよみうり大手町ホールなのも、お祝いのお花がたくさん来ているのも、グッズ販売に列ができているのも、全部が信じられないぐらいうれしかったです。グッズもついいろいろ買ってしまって、そういうのも楽しかったです。
幕が上がったら二人が立っていて歓声が起きて(これはおじフェスの時に二人が出てきたらあまりに客席が無反応で本人たちが後でトークのネタにしていたので、意識的に声を出したファンが多かったからと思われます)、漫才7本もやってもちろん幕間VTRも全部マシンガンズで…。
見たい見たいと思っていた夢の空間が、まさか2024年に実現するとは。
幕が上がった時と最初のVTRが始まった時に泣きそうになったんですが、その後がずっと楽しくて、結局泣きませんでした。
ちなみにパンフレットでもVTRでも年表をやっていましたが、マシンガンズは初めてのトークライブでもマシンガンズ年表をやったらしいので、まずは年表を示すところから始めたいのかもしれません。
あと、特にパンフの内容のネタバレというわけではないので書きますが、滝沢さんのインタビューの中で「久々にネタ番組に出たらうまくやれなかったから月一回はライブに出るようにした」という話のネタ番組と思われる名前が出ていて、私は2021年4月の「ENGEIグランドスラムマチネ」だと思っていたのですが、「アンタウォッチマン」と書いてありました。
とはいえ、アンタウォッチマンになってからはセカンド後の2024年6月にしか出ていないので、「お笑い実力刃」時代の2021年11月放送回のことだと思います。やっぱり時期的には2021年ごろなんですね。
単独の内容に戻ると、どの漫才も本当に面白かったです。マシンガンズの漫才を一日に7本も見るのが初めてだったんですが、こんなにちゃんと場が持つ漫才師になれたんだなと思いました。何度出てきても飽きない、息切れしない、面白さが目減りしないというか。単独ライブ、やればできるんじゃん!という気持ちです。
あと滝沢さんが新しい漫才スーツを着てて、まさにビジュ爆発してました。あれでがなるのは本当にかっこいい。西堀さんの演技力や表現力にも磨きがかかっていて、そこに俳優業を結構やっているからという裏付けが感じられるのもよかったです。
ただ、マシンガンズの良さって、とてつもない爆発力にあると思うので、単独ライブだとペース配分もあってあの境地に至ることはまあないですよね。だから一つのネタで全部出し切ればいいという考えなのもわかります。
二人ともとにかく人を笑わせたい、楽しんでほしいという気持ちの人たちで、「自分たちが一番人を笑わせる方法は一本のネタに全力投球することだ」と思っていた部分もあるんじゃないかなと。
でもやっぱり、全部がマシンガンズ尽くしのあの空間の特別さにはまた別物の良さがありますね。こういう形でもまた大勢の人が楽しんでくれるとわかったら、またやってほしいなあと思います。
マシンガンズの単独ライブという夢がかなって本当に最高でした。でも人間は欲張りだから、もっともっと売れてもっともっと人気者になるマシンガンズが見たいです。なぜなら、それができるぐらい面白い人たちだからです。
私は見たことがないものを見るためにお笑いを見ていて、マシンガンズは本当に、「見たことがないもの」を見せてくれるんですよ。
DVD「怒」も、あんなに何本も怒り続けて最後にヘロヘロになって自分たちに怒る漫才なんて見たことがなかったし、「羅生門」とか「OL」のネタも、あんなに固唾を呑んで漫才を見たことなんてありません。最後に滑車で吊るす漫才とか、西堀さんが滝沢さんに二代目ビックスモールンになりたいと言い出すコントも、他では見たことがありません。
事務所ライブでいきなり覆面で出てきてややウケするコンビなんてのも見たことありません。普通は覆面で出てこないし、覆面で出てきたらめちゃくちゃウケるかめちゃくちゃ滑るかのどっちかなんですから。
イロモネアで本選に進んだのにショートコントが全然できなくて1stチャレンジで落ちるコンビも見たことありません。普通漫才をしてたら多少はショートコントができるのに。
そして、一度どん底に落ちたところから賞レースで勝ち上がって、最後の最後に最後にネタがなくなって、「ネタがない」というネタで人を笑わせるコンビも見たことがありません。
「見たことがあるもの」が好きな人もいますよね。見たことがあるものは予想できて安心できますから。でもマシンガンズはそれとは対極的な存在だと思います。予想ができない、何が出てくるかわからない。信じられないぐらい滑る時もあるし、でもはまったら信じられないぐらいの大爆発が起きる。そういうのを全部ひっくるめた壮大な起伏というかギャンブル感が、マシンガンズの他のどの芸人さんにも勝る魅力だと思います。滑りすぎてて見ていて胃が痛くなることもあれば、ヒーヒー言って椅子から落ちそうになるぐらい笑うこともある。それがマシンガンズだと思います。
だからもっともっと多くの人がマシンガンズのその魅力に引き込まれてほしいなと思います。だって、そのぐらい面白い人たちなので。
夢のような1年を経て、そんなことを改めて思ったマシンガンズ初単独ライブでした。
(19:25)
2023年12月24日
準決勝はこちら。
・令和ロマン 遅刻
準決勝とは違うネタ。漫才コントではない方がこのコンビの良さが出ていていいと思ったし、この後多く出てくる漫才コントとも差別化できたと思います。正しいけど面白くない答えを捨てるところがすごく好きです。今までの令和ロマンのネタの中で一番好きかも。トップバッターとは思えない盛り上がりで。648点という高得点が出ました。
・シシガシラ 合コン
ルールが変わった敗者復活戦の熾烈な争いを勝ち抜き、応援されて上がってきたのですが、敗者復活とは違い、準決勝と同じネタ。
敗者復活のネタはみんな見ているはずということで変えたのかもしれませんが、勝てた理由になっていた要素が全くなく、シンプルな力不足が出てしまうネタで、準決勝でも後半あっぷあっぷしていたので…。
シシガシラは敗者復活でCブロックの3番目だったので、ブロック分けが準決勝の順位が上から割り振られていると考えると、準決勝23位〜25位のネタなわけで(ですよね?)、ちょうどそのぐらいの順位のネタが決勝の場に紛れ込んでしまったらこういう雰囲気になるよなあという感じになってしまいました。
点数は627点。審査コメントでハゲネタはちょっとと言われていましたが、敗者復活のネタは新しい切り口のハゲネタだから上がったので…。
・さや香 ホストファミリー
準決勝と同じネタ。シシガシラの「敗者復活から上がってこれ?」という雰囲気で冷え切ってしまい、その後が優勝候補のさや香。準決勝でも同じような笑いの起き方だったと思います。いいネタだけど場が冷えているためウケきっていなくて、そこをどう評価するかなと思ったら659点という高得点が出ました。
・カベポスター おまじない
準決勝と同じネタ。去年トップバッターで悔しい結果になったカベポスターですが、このネタは個人的には「ずっラブ」「ずっゼリ」の語呂が悪い、言いにくいことにツッコミが入らないのが気になります。不倫という負の印象の題材かつ流れを聞いていてもすっきりしてこないという盛り上がりにくいネタなので、こういう空気感ならこうなるよな…という感じでした。点数は635点。
・マユリカ 倦怠期
「ずっとキモダチ」というシンプルかつ衝撃的なキャッチフレーズ!
こちらは準決勝と違うネタ。ウケてるんだけど、劇場にたくさん立っているはずなのに、なんか場数を踏んでいないように見えるな…と思ったら、大吉さんからも緊張しているのではというコメントがありました。オーソドックスなボケツッコミの漫才コントで、そこから加点する要素というかオリジナリティというかカラーというか、そういったものがありそうでなかなかないから準決勝から上がれていなかったんですよね。
コメントの時にキモダチに引っかかり続ける阪本さんの返しが全部100点でした。点数は645点。
・ヤーレンズ 引っ越しの挨拶
準決勝と同じネタ。オーソドックスなボケツッコミの漫才コントから加点する要素という点で「めちゃくちゃボケ続ける」がはっきり見えたのがよかったです。ずっとウケていたからこそ後半の笑いが落ち込んだのも減点にならないというすごさ。
ハイテンポなボケツッコミでもインディアンスより加点が多そうなのは、ツッコミの受け方のバリエーションが豊富だからかもしれません。特に「ゴスペラーズは全員ステゴロ」が好きでした。点数は656点でさや香に次ぐ2位。
・真空ジェシカ 映画館
準決勝と同じネタ。今回は漫才コントが多い中で、そのトップランナーと言える真空ジェシカ、その前に漫才コントのヤーレンズがかなりウケた。これがどう転ぶかと思ったら、ウケるけどなんだかインパクトに欠けるなという感じでした。固有名詞をたくさん出すという点でもちょっと印象がかぶったのかもしれません。でも松本さんの言う通り、これまでの真空ジェシカの中で一番広く理解されやすいネタだったと思います。点数は643点。
・ダンビラムーチョ 副業
準決勝と同じネタ。準決勝では決勝に行った実績のある組を除いたら一番ウケたと私は思っているのですが、全然ウケる空気ではないという…。準決勝だと天体観測の中盤からかなりウケて、「業態」「設備投資がいらない」でドンと来ていた記憶があります。これをカラオケとして営業しようとしているという面白さが全然伝わっていなかったなと…。
一曲目が長いと言うのを言われていましたが、ウケていないからそう言われるのであって、ウケていれば必然性があるのがわかると思います。だってカラオケなんだから一番くらいは歌わないとおかしいし、消費カロリーも測れないし。歌ネタはちょっとと言われていましたが、ダンビラといえば歌ネタなのに!点数は631点。下げどころになってしまった…。
・くらげ 思い出せない
準決勝と同じネタ。このタイトルになる時点でミルクボーイだよなあと思ったらやっぱり指摘されていました。
本当に似てるかどうか、それが普段からわかるはずかというより、M-1という舞台に立ったら、過去のM-1ファイナリストのネタと比べられるようになるんですよね。たぶん普段の劇場だとあまりそう思われないんじゃないかと思います。
去年の敗者復活の舞台でストレッチーズを見ると、今まで一度もそんな風に思ったことないのにかまいたちっぽく見えることにびっくりしましたし。
ネタとしては準決勝でもあまり盛り上がっていなかったのですが、ウケる場所は同じだった感じがします。ということは、羅列だけどウケ方がちゃんと計算されているんですよね。得点は620点。
・モグライダー 錦野旦
準決勝と同じネタ。歌ネタはよくないとあんなに言われて歌ネタが始まると、お客さんが身構えてしまった可能性があります。名作漫才「さそり座の女」とは、芝さんのかっこいいターンがあるところに変化があると思うのですが、準決勝とほぼ同じ流れだったと思うので、ともしげさんのランダム性が出なかったのかなと…。準決勝はごめんねごめんねが間違えて出た感じがして、そこでドンとウケて決め手になった感じがあるので。こうなると待っているところが多いネタという印象になってしまうのかもしれません。点数は632点。
ここまで上位の令和ロマン、ヤーレンズ、さや香が最終決戦へ。
・令和ロマン 町工場
ここへきて漫才コント。そしてなんとこちらも準決勝と違うネタ。
始まってすぐに分厚い笑いが起きて、みんな令和ロマンを待っていたんだというのがすごく伝わってきました。
・ヤーレンズ ラーメン
令和ロマンに続いて漫才コント。こうなるとちょっと印象が薄れるかなと思うのですが、ウケてました。
・さや香 見せ算
すごいネタ。すごいネタなんですが…。一本目1位とはいえ、さや香は客席をつかみきっていなかったんですよね。だから客席の待ってました感がどうもなくて…。で、緩和がなかなかないタイプの漫才なので、ふっと力を抜いて笑えるところがあまりない感じになっていました。
「からあげ」もそうですが、こういうネタもやりたい人たちなんですよね。一本目と全く違う筋肉のこんなネタができるのはすごい。この1年、寄席で見たさや香はずっと面白かったので、やっぱりものすごく力のあるコンビだと思います。
最後の投票の結果、ヤーレンズ3票、令和ロマン4票で、令和ロマンの優勝!
優勝した直後に来年も出ると宣言するくるまさん、そしてさや香のネタに対してみんながうっすら思っていたことを代弁した邦子さんのコメントw
ということで令和ロマンの優勝でした。
準決勝を見に行きましたが、どうも全体的にウケはするけど爆発はしなくて、どの組も甲乙つけがたい…という結果、これまでの知名度や実績のある組が挙がったと言う印象でした。誰も頭角を現さなかった準決勝だったと言ってしまえるかもしれません。
敗者復活は客席審査、タイマンバトル、最後に芸人審査という審査方法もばっちりはまっていて、とても面白かったです。準決勝の順位も客席審査の点数差も私の感覚とほぼぴったりで、ずっと納得していました。
ただ、基本的に準決勝の上位が有利になっているルールを覆す威力のあるネタをやったシシガシラが、まさか違うネタをやってああなってしまうとは…。
敗者復活を見ていない人はあまりいないと思うのですが、そちらの審査自体はとても妥当で、これが敗者復活だという興奮があったので、来年以降も続けてほしいです。野田さんも「今までの敗者復活は何だったのか」みたいなことを言っていましたし。
シシガシラが不発というかなんかめっちゃダメ出しをされた暗い印象が残った結果、低調だった準決勝の流れを変えるような組も現れないという感じでした。シシガシラが準決勝と同じネタをやったことで、時計の針が準決勝に戻ってしまったように思いました。
だからこそ、二本とも準決勝と全く違うネタをやった令和ロマンは、起こるべき流れに逆らうことができたのかもしれません。お笑いは結局人を楽しい気分にさせるかどうかなので、その時の雰囲気や流れの影響もとても大きいと思うんですよね。
トップバッターの令和ロマンが終わった時は準決勝と裏腹に盛り上がる大会になりそうだと思ったのに…。でも、しょっぱなから令和ロマンがすごく面白くてその空気になった結果、それを誰も塗り替えることができなかったというのも大きそうです。
準決勝の記事では、低調で合格が後半に偏ったのはトップバッターのダブルヒガシまでが長すぎたからではと書きましたが、もしかしたら準決勝は構成に限らず結局ああいう感じになるのは同じだったのかもしれません。
それと、そろそろみんな言っていることだと思いますが、予選のネタを見る機会が多すぎますよね。お金を出さなくても現場に行かなくても、誰がどういうネタをかけてきたのかかなりわかってしまう状況なのは、芸人さんにとってはプレッシャーだと思います。決勝を見る大多数の視聴者は見ていないとはいえ、配信されているということは無視はできないですよね。
で、配信を見るような熱心なお客さんなら見たことがあるネタでもちゃんと笑うかというと、全然そんなことはないのが現実だと思います。
チケットの競争率の高さや転売への対策、動画サイトとの関係、あとはもちろん売り上げや大会の盛り上がりのために配信をしている面もあると思うのですが、ちょっと芸人さんにとっては厳しい状況になっていると思います。ここまでネタの消費が激しくなるなら、配信がなくても我慢できると私は思います。
あとは番組側が「爆発」というワードを出しすぎたかなあと思いました。あまり言われると見る側が無意識のうちに爆発を待ってしまい、出し惜しんでしまうかもしれません。「ほほう爆発というものが来るのか」みたいな待ち方をしてしまうのかなと。
それと、コメントの時間が長すぎて同じようなダメ出しが続いて、後に出てくる組にもそれが当てはまっていてお客さんが盛り下がって…というのもあったと思います。もしシシガシラ以降にハゲネタがいたらとんでもないことになっていましたよ。
審査員の審査には異論はありません。ウケきった組があまりいないので割れるのは当然だし、各組の平均点で考えると大体自分の印象と合いますし、コメントもウケていないとこういう言い方をせざるを得ないよねというのが多かったです。いろんな点がつくからいいんですよね。ちゃんと妥当な結果が出ますし。
私はしっかりとキモいタイプのお笑いファンなので、準決勝を見ながら点数をつけているんですが、今回はあまりにもみんな同じようなウケ方なので、中盤以降94点の連打になってしまい、それを後から言葉で説明できる気がしませんでした。普段はもうちょっと根拠があって点をつけられるんですが。
ちゃんとした点数をつけるのがどれだけ大変なことか改めて実感しました。審査員はすごいです。
敗者復活のルールは本当に良かったです。ぜひ今後もこのルールでお願いします。
昼間からぶっ続けのM-1にどっぷり浸かった一日でした。皆さんお疲れさまでした!
(23:44)
2023年12月11日
と言いつつネタのレポはありません。ネタバレにならないように感想を書くのが難しそうなので。
超幸運にも会場で見ることができて、もちろん楽しかったのですが、16時の開演予定が20分遅れて始まり、さらにベストアマチュア賞その他の発表と受賞者とのトーク、ベストアマチュア賞受賞者のネタ披露があり、トップバッターのダブルヒガシが出てきた時には16時45分か50分になっていました。
これでウケるかというともちろんそんなわけはなく、観客が温まったどころか一度集中力が切れた状態で本編が始まったので、AブロックとBブロックの間は観客の集中力が戻ってこなかったように思います。客席が冷えているわけではないんだけど、ぐっと大きな笑いが起きることもないという独特な変な感じでした。
休憩後のCブロックからは明確にウケ度合いが上がりました。
その結果、合格者が後半に集中したという。これが単なる印象の話ではないということを伝えるために、2015年まで遡って決勝進出者の出番順の平均を見ていきましょう。
たとえば去年なら、27組出場していて、合格者の出番順は以下のとおりです。
7番手 カベポスター
9番手 真空ジェシカ
12番手 キュウ
14番手 ヨネダ2000
17番手 ダイヤモンド
21番手 ウエストランド
22番手 さや香
26番手 ロングコートダディ
27番手 男性ブランコ
平均 17.22…
(1〜27の平均 14.5)
これと同様に、2015年までを計算していきます。
2021年 26組
合格者平均 15.77…
1〜26の平均 13.5
2020年 26組
合格者平均 16.11…
1〜26の平均 13.5
2019年 26組
合格者平均 16.22…
1〜26の平均 13.5
2018年 26組
合格者平均 16.77…
1〜26の平均 13.5
2017年 30組
合格者平均 18.44…
1〜30の平均 15.5
2016年 29組
合格者平均 18.75
1〜29の平均 15
2015年 28組
合格者平均 15.375
1〜28の平均 14.5
このように、多少後半に合格者が偏りつつ、おおむね偏りの範囲は一定に収まっていたことがわかります。
今年の計算はこうなります。
2023年 31組
13番手 くらげ
15番手 真空ジェシカ
18番手 令和ロマン
23番手 モグライダー
24番手 ダンビラムーチョ
25番手 ヤーレンズ
29番手 さや香
30番手 カベポスター
31番手 マユリカ
平均 23.11…
(1〜31の平均 16)
31組であることを考慮に入れても、明らかに後半に偏りすぎです。
そしてこれは、トップバッターまで非常に時間がかかったことと大きな関係があると思います。
もともと、準決勝も決勝同様に「トップバッターが不利」というのが言われていて、それを多少改善するためにワイルドカードをトップバッターに持ってきたのではないかと思います。
しかし去年からは、さらにベストアマチュア賞の組のトークとネタがあり、トップバッターの時点で一度集中力が切れてしまったお客さんが多かったように思います。
その上、ベストアマチュア賞の組は2年連続でM-1あるあるのようなネタを披露しています。
本人の意志でそうしているのか、運営側が誰ともネタかぶりしないようにお願いしているのかは不明です。
頑張っているアマチュアを見るのはもちろん楽しいですが、MCとアマチュアのゆるいトーク、M-1あるあるの楽しいネタを経て、その後にようやく出てきたトップバッターの漫才を集中して見ることはとてもできません。
要は長く待った上にほのぼのした緩んだ空気になってしまっているので、そこに出てきたダブルヒガシがどう見えるかということです。去年は金属バットがこうなってしまっていました。
おそらく、映画館で見た人、家で配信で見た人の印象はもう少し違うと思います。
会場だと開演まで座席にずっと座っている必要がありますし、チケットは一人一枚しか申し込めないので、みんな連れがいなくて無言で待っています。そのため、20分経ってMCが出てきた時にはもう疲れていました。
ライブの開演が20分押してさらに前説が20分あり、最初にアマチュアがそのライブのあるあるのようなネタをやった後に、ようやく出てきたトップバッターがどんな空気になるか、ちょっと想像していただければわかると思います。
実際、去年も例年よりは後半に合格者がやや偏っていると言えます。去年は5分押しで始まり、香盤表によると開演から15分後にベストアマチュアのネタの予定で、これも確か5分ほど遅れた記憶があります。そして今年は20分押しでこの結果です。
おそらくトップバッターの不利を解消するために最初にいろんな催しを入れたはずが、前半が丸ごと不利になってしまっています。
これは非常に不公平だと思うので、開演が大幅遅れないように、またトップバッターまでをあまり長くしないように、改善していただきたいです。
さて、準決勝の中身ですが、滑った組もいないのですが、だからといって大爆発した組もいなかったという印象です。あと、準決勝によく出ている東京のコンビに比べて、準決勝初進出の大阪のコンビへの温度感が総じて低かったです。最初の笑いの起き方が全然違いました。
ネタの最後まで狙い通りにウケて盛り上がりを作れたのは、モグライダーとさや香ぐらいだったと思います。その次がカベポスター、真空ジェシカあたり。
そのため、合格したのがおかしい、落ちたのがおかしいという組もいませんが、実績のある組、準決勝進出回数の多いおなじみの組が選ばれたという印象があります。
せっかく漫才のレベル自体は素晴らしいのに、前半はとても集中して見られる環境ではなかったのが残念です。
出場者のためにも改善されてほしいと思います。
(23:02)