アン・バランス・ダイアリー

読んだ本やドラマの感想を中心に書いています。気軽にコメントいただけると嬉しいです。

いつの時代でも嫉妬は間違いなく存在し、誰しも嫉妬したりされたりという経験はあるもの。嫉妬と階級の渦巻く宮仕え生活のなかで紫式部が達した境地は何だったのか、そういった視点で「源氏物語」に込められたメッセージを読み解いていくという趣向で、とても面白かったです。
一番びっくりしたのは、女三の宮を正妻に迎えた際、明石の君と花散里が紫の上に嫌味な手紙を送っていたというエピソード。二人は聡明で上品な人柄のイメージだったのですが、これくらいの嫉妬の描写は日常茶飯的に描かれているということのでしょうか。
巻末に「源氏物語嫉妬年表」なるものまで掲載されていて、これがなんとも圧巻で苦笑い。
あと、浮舟の生き方についての解釈がとても濃密で著者の思い入れの強さが伺えました。出家した浮舟が最後に薫を拒否した時に感じる読者の爽快感のありかが腑に落ちる解説だったとおもいます。
それにしても多くの登場人物が自分のことを「数ならぬ身」と表現するの、つくづく辛いですね…

3月の読書メーター
読んだ本の数:3
読んだページ数:1168
ナイス数:66

黄昏の百合の骨 (講談社文庫)黄昏の百合の骨 (講談社文庫)感想
「麦海」に引き続き再読。
「麦海」とはちょっとテイストが違い、頭がフラフラになるほどの幻想性はなくてがっつりミステリという感じ。とはいえ、じゅうぶんに不穏ですが。
そっか、稔と亘との関係ってこういうことだったのか(内容ほとんど覚えてなかった)。自分の生きる道をしっかり自覚し、いっさい迷いのない理瀬の強さに当時はとてつもないオーラを感じたものでしたが、今読んでみると人を信じすぎて脇が甘くなっていたり、雅雪にほんのり恋心のようなものを抱いたりしてるのが、やっぱり10代の可愛らしさがあるなぁと、少しほっこり。
読了日:03月24日 著者:恩田 陸

麦の海に沈む果実 (講談社文庫)麦の海に沈む果実 (講談社文庫)感想
「夜明けの花園」の解像度をあげたくて再読。前回読んだのはなんと21年以上前!
もちろん主要キャラやストーリーの骨となる部分は覚えていますが、細かな部分は見事に記憶の彼方。なので新鮮な気持ちで読み進めるも、次第に物語世界に深く深く没入陶酔、沼地に足を取られ身も心も身動きできない感覚に。これこれ、こうでなくっちゃぁ。最高です。そしてやっぱり黎二に心を持っていかれる。
でも今読んでみるとこの学園やばすぎませんか。クレイジーすぎる…だからこそ得られる恍惚感であり、極上のゴシックエンタメでもあるのですね。
読了日:03月15日 著者:恩田 陸

夜明けの花園夜明けの花園感想
理瀬シリーズのスピンオフ短編集。
既読のものもいくつかありましたが、こうして一つにまとめられ通して読むのはまた格別。
どれも最高!でも何より興奮したのは、黎二の再登場!恩田さん、やっと、やっと書いてくださったんですね。もうどれだけ待ったことかーー。喜び勇んで読んでみたら想像以上にヘビーで心折れそうになりましたが…あ〜黎二…
本編の記憶も薄らいでいて細かなネタが拾えなかったのがちょっと残念。「麦海」から再読してもういちど世界観にどっぷりハマってみたくなりました。
読了日:03月02日 著者:恩田 陸

読書メーター


3月は理瀬月間でした。
大好きなシリーズ、久しぶりに再読しましたが、また新たな感情と出会えて楽しかったです。

1年ぶりに行ったBUMPは、16年前のツアーのリバイバルライブ。ほぼ当時のセトリで感動もひとしおでした。1曲ぐらい最近の曲をやると思ってた…やっぱりBUMPは偉大なのです!

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全20話、BSテレ東にて完走です。



面白かったです。
笑わない世子様を演じていたド・ギョンスさんがとてもチャーミングでした。宮中の権力闘争に巻き込まれ命を奪われかけ、一命を取り留めるも記憶喪失となって庶民として暮らしていくのですが、「不愉快だ」と傲慢な態度をとるのもなんだか可愛くて。
偽りの夫婦生活から徐々に惹かれあっていくのも、二人がお互いに初恋の相手だったことも、まぁお決まりと言えばそうなのですが、退屈することなく最後まで楽しめました。
ヒロインに片想いする役人の方も素敵でした。(演じているのはキム・ソノさん)
世子嬪とヒロインの兄の悲恋は切なかった…
韓国ドラマはOSTもいいですね〜

「麦海」に引き続き。
理瀬が学園を出てからのお話。長崎にある祖母の家に叔母と一緒に暮らしています。
「麦海」とはちょっとテイストが違い、頭がフラフラになるほどの幻想性はなくてがっつりミステリという感じ。初読時はそのあたりが少々物足らなかったような記憶があります。とはいえ、じゅうぶんに不穏なんですけど。
そっか、稔と亘との関係ってこういうことだったのか(内容ほとんど覚えてなかった)。自分の生きる道をしっかり自覚し、いっさい迷いのない理瀬の強さに当時はとてつもないオーラを感じたものでしたが、今読んでみると人を信じすぎて脇が甘くなっていたり、雅雪にほんのり恋心のようなものを抱いたりしてるのが、やっぱり10代の可愛らしさがあるなぁと、少しほっこり。
20年ぶりに読んでもとても面白かったです。

初読時の感想です↓


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全16話、WOWOWにて完走です。
これ、見たかったんですよね〜!期待に違わぬ面白さ。見終えた後の余韻が深かった…
WOWOWさん素晴らしい!ありがとう!


『天地に問う〜Under the Microscope〜』は、“算術バカ”の主人公が、税の不正を見つけたことで陰謀に巻き込まれていく予測不能なサスペンス時代劇!

数字に誤りを見つけると正さずにはいられない“算術バカ”の帥家黙は、ある日、侵入した役所の帳簿から、八つある県のうち仁華県のみが、存在しないはずの税を100年前から支払っていることに気付く。得意の算術を駆使して不正を暴くべく奔走する帥家黙だったが、やがて事件は幼い頃に死別した両親の死の真相につながっていることを知るのだった。


主演は「慶余年」のチャン・ルオユン。演技派としての評価が高い俳優さんだけあって、とても存在感があります。
彼だけじゃなくて、「慶余年」のキャストががっちり脇を固めているのが嬉しい。

数学者は純真な人が多いと聞くけど、師家黙はまさに純粋無垢そのもの。最初は家黙が税の不正を訴えるもどの役人もまともに聞いてくれず、たらい回しにされてしまう。訪れる場所場所で牢屋に入れられたり命を狙われたり、何度も危険な目に遭ってしまう。
面白いのはいろんな役人さんが登場するところで、不正を隠蔽し私腹を肥やす悪い役人もいれば、算術好きな役人もいて家黙と算術談義で心を通わせたり、家黙の純粋さに心を打たれる誠実な役人もいて、そうして少しずつ支援者が増えていく筋立てにとてもワクワクしました。

なかでも、当初は敵だった訴師の程仁清が立場を変えて家黙のサポートにつく展開がとにかく熱い!かっこいいの〜(王陽さん推したい)
家黙の両親の死の真相が明かされる終盤はホロリとさせられたし、友達思いの豊宝玉の成長も嬉しかった。

シリーズ化という話も聞いているので続編を楽しみに待ちたいと思います。


↑こちらも併せて見ると楽しさ倍増です🎵

「夜明けの花園」の解像度をあげたくて再読。前回読んだのは2002年10月なのでなんと21年以上前!
そりゃ忘れてるはずだ…
もちろん主要キャラやストーリーの骨となる部分は覚えていますが、細かな部分は見事に記憶の彼方。なので新鮮な気持ちで読み進めるも、次第に物語世界に深く深く没入陶酔、沼地に足を取られ身も心も身動きできない感覚に。これこれ、こうでなくっちゃぁ。やっぱり良い。そしてやっぱり黎二に心を持っていかれる。
でも今読んでみるとこの学園やばすぎませんか。設定も運営も登場人物も起こる出来事も全てやばいしクレイジーすぎる…だからこそ得られる恍惚感ではあるのだけれども。
「夜明けの花園」のなかの「丘をゆく船」での黎二の過去に胸が潰れる思いでしたが、本編でも語られていたんですね。さらに切なさが増してしまいます。しかしこんなに人が死ぬお話でしたっけ?黎二と理瀬が好きすぎてミステリという印象は少なかったけど、極上のゴシックミステリなんですね。

さぁ「黄昏の百合の骨」にいきますよ〜




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BSテレ東にて全30話完走です
いやぁ面白かった〜
タイムスリップ&魂入れ変わり(正しくは入れ替わってない、共存)ものって、よくあるパターンではあるけれど、やっぱり楽しいですね。鉄板。
なんといってもソヨン役のジン・ヘソンさんの演技が圧巻。ビジュアルは美人なのに中身は自信過剰な軽薄おじさんなものだから、もう何をしても面白い。しかも自分が嫁ぐ予定の相手は史実では完全に存在感のない負け組王様だということがわかっているという設定も巧妙。
脚本も練られていて、権力抗争の渦の中にいる人たちがいろいろと誤解しあったり、王后に振り回されたり、敵も味方も錯綜し複雑に絡み合っていくので、全く先が読めなくて飽きない。毎日のオンエアが楽しみでした。
王后が次第に王と心を通わせ、彼の計画を支持し協力体制をとっていく流れも痛快。
脇キャラもみんな愛おしくて、それぞれの成長がきちんと描かれていたのも良かった。チェ尚宮カップルは癒しでした。
主人公がシェフだから料理を振る舞う場面もたくさんあって、まさかのマクドナルドは大受けしてしまいました。

さすが韓ドラは安定感ありますね〜
おすすめです!

理瀬シリーズのスピンオフ短編集。
既読のものもいくつかありましたが、こうして一つにまとめられ通して読むのはまた格別。
どれも最高!でも何より興奮したのは、黎二の再登場!恩田さん、やっと、やっと書いてくださったんですね。もうどれだけ待ったことかーー。喜び勇んで読んでみたら想像以上にヘビーで心折れそうになりましたが…あ〜黎二…
本編の記憶も薄らいでいて細かなネタが拾えなかったのがちょっと残念。「麦海」から再読してもういちど世界観にどっぷりハマってみたくなりました。

2月の読書メーター
読んだ本の数:2
読んだページ数:536
ナイス数:36

『源氏物語の時代』一条天皇と后たちのものがたり (朝日選書)『源氏物語の時代』一条天皇と后たちのものがたり (朝日選書)感想
源氏物語が生まれた一条天皇在位時代を、現存する歴史資料と文学作品、研究成果にもとづきものがたりとして書き起こしています。とても濃密でドラマチックで、ゆっくり噛み締めるように読みました。
中宮定子と一条帝の「純愛」の物語、藤原道長が栄華を極めるまでの道すじ、政界に渦巻く権謀術数、全てが目に浮かぶようでワクワクしながら読みました。
中宮定子の一生はまるでメロドラマだし、地味な印象だった中宮彰子が意外に強くスケールの大きい女性だったのが特に心に残りました。
大河ドラマの予習復習にぴったりです。

読了日:02月21日 著者:山本 淳子

おばちゃんに言うてみ?おばちゃんに言うてみ?感想
まぁ私もそうなんですけど、正直言って「大阪のおばちゃん」は少し苦手。賑やかでやかましいし、おせっかいで空気を読んでいるのやらそうでないやら。
この本の主人公とし子さんも生粋の「大阪のおばちゃん」。しかも実在の方をモデルにしているとか。生きづらさや悩みを抱える人たちが、とし子さんに出会うことで心がほどけていく。とし子さんの明るさの奥に隠されている悲しみと根底にある優しさにほろっとさせられました。決して「いい人」過ぎないのがまた良い。私も話を聞いてほしい!
地元あるある年代あるあるが盛りだくさんで楽しかった。
読了日:02月07日 著者:泉 ゆたか


読書メーター


「光る君へ」面白いですね。毎回ゾクゾクしながら見ています。
平安貴族関連本はまだまだ読んでいきたいです。

2月は宝塚RRRライブビューイング、花組公演に行きました。
あと、京都冬の特別公開も(仁和寺など)。
お友達と会う機会もあり、楽しい時間を過ごしました。
同時に、両親の通院介助もなかなか忙しくなってきました・・・

国内ドラマは、光る君へ、正直不動産、不適切にもほどがある、おっさんずラブ
海外ドラマは、哲仁王后、有翡、天地に問う、玉骨遥、となかなか忙しいけどどれも楽しんでます(特に有翡の王一博の麗しさに毎回ときめいてる♪)

源氏物語が生まれた一条天皇在位時代を、現存する歴史資料と文学作品、研究成果にもとづきものがたりとして書き起こしています。分厚い本という訳ではないけれど、とても濃密でドラマチックで、ゆっくり噛み締めるように読みました。ちなみに源氏物語の内容に関する解説はほとんどありません。
中宮定子と一条帝の「純愛」の物語、藤原道長が栄華を極めるまでの道すじ、政界に渦巻く権謀術数、全てが目に浮かぶようでワクワクしながら読みました。
中宮定子の一生はまるでメロドラマだし、地味な印象だった中宮彰子が意外に強くスケールの大きい女性だったのが特に心に残りました。
優雅で風流なイメージとは程遠い平安貴族の暮らし。男性も女性もなんて生きづらいこと。世をはかなみ出家する男性も多かったのですね。
先日読んだ「平安貴族とは何か」でも思いましたが、道長さん、行成さん、実資さん、よくぞ日記をつけてくれていたものですね。ありがたや…(ちょっと行成推しになりました)
それにしても花山天皇は…とんでもないですね。

大河ドラマの予習復習にぴったり。借りて読んだけど購入しようと思っています。
あと、枕草子も気になる…ちゃんと読んだことないのでまずは関連本を調べてみよう。

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