2012年04月14日

大飯原発

昨日、政府は大飯原発再稼働を要請することを決めた。
なぜ変わらないのか。
1年前くらいの記事だけども、いまだに批判力を持ち続けていると思う。


こちら特報部 首相なぜ追い詰められた 菅降ろしに原発の影(上) 自公責任隠し小沢氏便乗か 「発送電分離」「浜岡」に反発【東京新聞2011年6月3日】

 
不信任決議や党分裂の最悪の事態こそ回避したものの、「辞意表明」へと追い込まれた菅直人首相。首相としての求心力は放棄したのも同然だ。それにしても「菅降ろし」の風は、なぜ今、急に、これほどの力を得たのか。背後に見え隠れするのは、やはり「原発」の影だ。初の市民運動出身宰相は、この国の禁忌に触れたのではなかったか。(佐藤圭、小国智宏)
 今回の「不信任案政局」を振り返ると、菅首相が原子力政策の見直しに傾斜するのと呼応するように、自民、公明両党、民主党内の反菅勢力の動きが激化していったことが分かる。
 首相は五月六日、中部電力に浜岡原発(静岡県御前崎市)の原子炉をいったん停止するよう要請。十八日には、電力会社の発電、送電部門の分離を検討する考えを表明した。
 さらに事故の原因を調べる政府の「事故調査・検証委員会」を二十四日に設置。二十五日には外遊先のパリで、太陽光や風力など自然エネルギーの総電力に占める割合を二〇二〇年代の早期に20%へと拡大する方針も打ち出した。
 自民党の谷垣禎一総裁も十七日、不信任決議案を提出する意向を表明し、公明党の山口那津男代表も即座に同調した。表向きは「東日本大震災の復旧・復興に向けた二〇一一年度第二次補正予算案の今国会提出を見送った場合」という条件を付けたが、原発をめぐる首相の言動が念頭にあったことは間違いない。
 実際、自民党の石原伸晃幹事長は六月二日、不信任案への賛成討論で「電力の安定供給の見通しもないまま、発送電の分離を検討」「日本の電力の三割が原発によって賄われているのに、科学的検証もないままやみくもに原発を止めた」と攻撃。菅降ろしの最大の理由の一つが原発問題にあることを“告白”した。
 民主党内でも、小沢一郎元代表周辺が五月の大型連休後、不信任案可決に向けた党内の署名集めなど多数派工作をスタートさせた。二十四日には、小沢氏と、菅首相を支持してきた渡部恒三最高顧問が「合同誕生会」を開催。渡部氏は、自民党時代から地元福島で原発を推進してきた人物だ。
 日本経団連の米倉弘昌会長はこの間、首相の足を引っ張り続けた。浜岡停止要請は「思考の過程がブラックボックス」、発送電分離は「(原発事故の)賠償問題に絡んで出てきた議論で動機が不純」、自然エネルギーの拡大には「目的だけが独り歩きする」という具合だ。
 金子勝慶大教授は、福島第一原発の事故について「財界中枢の東電、これにベッタリの経済産業省、長年政権を担当してきた自公という旧態依然とした権力が引き起こした大惨事だ」と指摘する。
 当然、自公両党にも大きな責任があるわけだが、「菅政権の不手際」に問題を矮小(わいしょう)化しようとする意図が見える。
 金子氏は、不信任案政局の背景をこう推測する。「菅首相は人気取りかもしれないが、自公や財界が一番手を突っ込まれたくないところに手を突っ込んだ。自公は事故の原因が自分たちにあることが明らかになってしまうと焦った。それを小沢氏があおったのではないか」



こちら特報部 首相なぜ追い詰められた 菅降ろしに原発の影(下) 与野党に「電力人脈」 「政権不手際」にすり替え? 東電勝俣会長ら個人献金 労組も推進派【東京新聞2011年6月3日】

 なるほど自民党と原発の関係は深い。
 一九五四年、当時若手衆院議員だった中曽根康弘元首相が、「原子力の平和利用」をうたい、原子力開発の関連予算を初めて提出、成立させた。保守合同で自民党が誕生した五五年には、原子力基本法が成立。その後の自民党の原発推進政策につながっていった。
 七四年には田中角栄内閣の下、原発などの立地を促す目的で自治体に交付金を支出する電源三法交付金制度がつくられ、全国の僻地(へきち)に原子炉を建設する原動力となる。
 自民党と電力会社の蜜月時代は今も続く。
 自民党の政治団体「国民政治協会」の二〇〇九年分の政治資金収支報告書を見てみると、九電力会社の会長、社長ら役員が個人献金をしている。
 東京電力の勝俣恒久会長と清水正孝社長は、それぞれ三十万円。東北電力の高橋宏明会長は二十万円、海輪誠社長は十五万円。中国電力の福田督会長と山下隆社長はそれぞれ三十八万円を献金している。
 会長、社長以外でも、東京電力では、六人の副社長の全員が十二万〜二十四万円を、九人の常務のうち七人が献金していた。
 九八年から昨年まで自民党参院議員を務めた加納時男氏は元東京電力副社長。党政調副会長などとしてエネルギー政策を担当し、原発推進の旗振り役を務めた。
 民主党の小沢元代表も、東京電力とは縁が深い。
 東京電力の社長、会長を務めた平岩外四氏は、九〇年から九四年まで財界トップの経団連会長。九〇年、当時自民党幹事長だった小沢氏は、日米の草の根交流を目的として「ジョン万次郎の会」を設立したが、この際、平岩氏の大きな支援があったとされる。
 「ジョン万次郎の会」は、財団法人「ジョン万次郎ホイットフィールド記念 国際草の根交流センター」に名を変えたが、今でも小沢氏が会長で、東京電力の勝俣会長は顧問に名を連ねている。「(原発事故は)神様の仕業としか説明できない」などと東京電力擁護の発言をしている与謝野馨経済財政相も、現在は大臣就任のため休職扱いだが、副会長に就いていた。与謝野氏は政界入り前に日本原子力発電の社員だった経緯もある。
 一方、電力会社の労働組合である電力総連は、民主党を支援している。労働組合とはいえ労使一体で、エネルギーの安定供給や地球温暖化対策などを理由に、原発推進を掲げてきた。原発で働いている組合員もいる。
 また電力総連は、連合加盟の有力労組であり、民主党の政策に大きな影響を及ぼしてきた。
 組織内議員も出していて、小林正夫参院議員は東京電力労組の出身。藤原正司参院議員は関西電力労組の出身だ。
 つまり、エネルギー政策の見直しを打ちだした菅首相は、これだけの勢力を敵に回した可能性がある。
 結局、菅首相は「死に体」となり、発送電分離や再生可能エネルギー拡大への道筋は不透明になった。「フクシマ」を招いた原子力政策の問題点もうやむやになってしまうのか。すべてを「菅政権の不手際」で“収束”させるシナリオが進行している。


   

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2012年03月26日

笑い飯哲夫の授業があるよ。

「笑い飯哲夫のドーテイしごき教室」

花びらに寄る性記 (ヨシモトブックス)
花びらに寄る性記 (ヨシモトブックス)
クチコミを見る


初の官能小説『花びらに寄る性記』刊行を記念して
童貞をめぐるアレコレを塾長となり授業します!

日時:4月22日(日) 開場19:30 開演20:00
場所:京都 ガケ書房
(当日の通常営業は、午後6時までとなります)
出演:笑い飯哲夫(吉本興業)
前売り:1500円 当日:2000円
(共にガケ書房500円商品券付)

ご予約・お問い合わせ:TEL 075−724−0071


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2012年03月23日

ビフォは来れなくなったけど…

ビフォは来れなくなったみたいだけど、代わりのイベントも楽しそうです。
どうやらぼくは行けそうにないけれども…。

2012/03/24-25 Document Media Gym -- 来日不可のおわびとクロージングパーティのご案内
Document Media Gym -- 来日不可のおわびとクロージングパーティのご案内
このたび4年ぶりに招聘計画を進めてまいりましたフランコ・ベラルディ(ビフォ)氏の来日でしたが、健康上の理由から主治医により長距離飛行は不可能と判断されました。remoとしてもぎりぎりの交渉を試みましたが、最終的には当初の予定をキャンセルせざるをえませんでした。来日不可となりましたこと、また皆様に直前のお知らせとなりましたこと、重ねてお詫び申し上げます。

つきましては、本事業「Document Media Gym」の締めくくりにあたり、心機一転、remoの総力をあげてゲスト講師に集まっていただく機会を設けることといたしましたので、以下のとおりご案内いたします。また、フランコ・ベラルディ(ビフォ)氏にはインターネットを通じて、ご自宅よりご登場いただく時間を設ける予定です。

当日は、ゲスト講師がさらに増える可能性もありますので、皆さんお楽しみに。ぜひDocument Media Gym/農民車ショー最終の週末にご参集ください。

*日時:2012年3月24日(土)・25日(日) 15:00〜
*場所:コーポ北加賀屋
*アクセス: 大阪市営地下鉄 四つ橋線 北加賀屋駅 4号出口より徒歩約5分
参加費無料

24日(土)
15:00 翻訳者とよむ『プレカリアートの詩』/ 櫻田和也 + 内田聖良 + Silvia Siberini
17:00 ビフォ公開インタビュー 01 / RLL + Franco Berardi(bifo)

25日(日) Media Punks! (仮)
15:00 アウトノミアの現在 / 酒井隆史 + 二木信
17:00 ビフォ公開インタビュー 02 / RLL + Franco Berardi(bifo)
18:00 インフォショップとストリートアート / 成田圭祐 + Silvia Siberini
19:00 ポストパンクの現在 / ROGUES’GALLERY + 稲田光造
--
ゲスト:
Silvia Siberini (哲学者)
映像史的にも画期的なウォールペイントのストリートアニメーション作品により世界を驚かせたBLUをはじめ、ボローニャで自費出版・自主制作を実践するARTSH.itをはじめ沢山のアーティストたち、またラテン系諸国各地の小集団と協働してきた編集者でもある。

RLL(カルチャージャマー)
RとLとL’の3人組。「wearable
ideas」というコンセプトで、哲学・政治・文化といった知の視覚的転用(Detournement)によるTシャツやzineを制作。サウンドデモやネットラジオ「素人の乱」などでも活動中。http://www.rll.jp/

酒井隆史 (社会思想)
大阪府立大学人間社会学部准教授。主な著書に『自由論』(青土社)、『暴力の哲学』(河出書房新社)、訳書にジジェク『否定的なもののもとへの滞留』(太田出版のち筑摩書房)、ネグリ+ハート『帝国』(以文社)など。昨年末、大阪20世紀の底流を描ききった大著『通天閣--新・日本資本主義発達史』(青土社)を上梓、深くしずかにおおきな反響をよんでいる。

二木信 (音楽ライター)
おもに日本のヒップホップ、アンダーグラウンド・ミュージックの紹介、批評、パーティのレポートを行う。2011年、素人の乱が呼びかけた「原発やめろデモ」に関わる。共編著に『素人の乱』(河出書房新社)、共著に『音の力--ストリート占拠編』(インパクト出版会)、『ゼロ年代の音楽--壊れた10年』(河出書房新社)などがある。現在、『WEBRONZA』や紙版『ele-king』などで連載中。近く『すばる』で連載開始予定。

成田圭祐 (IRA)
国内外のカウンターカルチャー・社会運動から発信される情報、物、そして人が集まるインフォショップ「イレギュラー・リズム・アサイラム(IRA)」を運営。アナキズム文献センター運営委員。デザイナーとしても活躍。

稲田光造 (実験音楽)
「実験音楽の作家としてヨーロッパを中心に作品を多数リリースしています。また、対極に企業創業者として会社をいくつか立ち上げて経営しています。果たして両方を共存させる事はできるのでしょうか。」
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文化庁委託事業「平成23年度次代の文化を創造する新進芸術家育成事業」
制作: remo[NPO 法人記録と表現とメディアのための組織]
協力:NPO法人淡路島アートセンター/AIR大阪/大木自動車/クボソーコ/窪田航平/豊田達也/中村隆行/南野佳英/RESULT]


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2012年03月20日

この間の歌たち

ジェロニモレーベル 「ナメられてるにもほどがある」




FRYING DUTCHMAN 「humanERROR」




タイマーズ 「メルトダウン」






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2012年03月18日

高橋哲哉 犠牲のシステム

高橋哲哉が来ます。



高橋哲哉が語る『犠牲のシステム 福島・沖縄』 

【日時】 2012年4月7日(土)18:45〜(開場18:30)
【場所】 ひと・まち交流館・京都 大会議室 ⇒アクセス
【参加費】 500円
【主催】 高橋哲哉さん講演会実行委員会 
【賛同団体】 京都行動(沖縄・辺野古への基地建設に反対し、
普天間基地の撤去を求める京都行動)
【問合】 090-2359-9278(「ぐるーぷチャンプル〜」松本)

高橋哲哉が語る「犠牲のシステム 福島・沖縄」
『福島』や新潟、福井などに54基(世界第3位)の原発
沖縄には 在日米軍基地74%の集中・・・
この事実が示すものはなんなのか。
福島で幼少年期を過ごした氏が、痛切な思いを込めて語る。

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高橋 哲哉(たかはし てつや)さんプロフィール

1956年福島県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得。専攻は哲学。南山大学講師等を経て、東京大学大学院総合文化研究科教授。著書に『逆光のロゴス』『記憶のエチカ』『デリダ』『戦後責任論』『歴史/修正主義』『「心」と戦争』『証言のポリティクス』『〈物語〉の廃墟から』『反・哲学入門』『教育と国家』『靖国問題』『国家と犠牲』『状況への発言』など。
最新刊に『犠牲のシステム 福島・沖縄』(集英社新書)、
『いのちと責任』(高史明氏との共著、大月書店)がある。

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『犠牲のシステム 福島・沖縄』
著者:高橋哲哉 集英社新書(740円+税)

経済成長も安全保障も「犠牲」の上に成り立っている。
『靖国問題』以来、6年ぶりの書き下ろし!
3・11が暴いた「戦後」の欺瞞

福島の原発事故は、原発推進政策に潜む「犠牲」のありかを暴露し、沖縄の普天間基地問題は、日米安保体制における「犠牲」のありかを示した。もはや誰も「知らなかった」とは言えない。沖縄も福島も、中央政治の大問題となり、「国民的」規模で可視化されたのだから−。経済成長や安全保障といった共同体全体の利益のために、誰かを「犠牲」にするシステムは正当化できるのか?福島第一原発事故で警戒区域となった富岡町などで幼少期を過ごした哲学者による、緊急書き下ろし。
(同書ホームページより)


【会場アクセス】 ひと・まち交流館 京都 ⇒アクセス
河原町五条下る東側 市バス「河原町正面」下車すぐ
京阪「清水五条」駅下車 徒歩8分
地下鉄烏丸線「五条」駅下車 徒歩10分
075-354-8711
HP


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2012年03月17日

パウル・ツェラン詩文集 刊行記念イベント

パウル・ツェランは一度じっくり読みたいと思います。
これまで、手に入る本がほとんどなかったが、白水社から刊行が決まりました。

『パウル・ツェラン詩文集』(白水社)刊行記念
斎藤環×堀江敏幸トークショー
「ツェランの言葉の力」

3・11以後、多くの人々が様々な場所で、未曾有の大災害と向き合い、
それ以後を生きるために「言葉」を模索しています。
震災後一周年に向けて、『パウル・ツェラン詩文集』(白水社)が刊行されました。
20世紀の最も過酷な歴史を生き抜き、極限状況と絶望的な苦しみの体験を経たツェランの言葉は、震災後の今を生きる私たちの心に強く訴えかけてきます。
この繊細にして強靱な詩人の言葉の力に、精神科医の斎藤環さんと作家の堀江敏幸さんが迫ります。
ツェランの言葉にじっくりと向き合う充実した2時間をお過ごしください。

日 時:2012年3月31日(土)
    17:00〜19:00(16:30開場)
参加費:1,500円(当日精算)
予約制:電話または、メール(biblio@superedition.co.jp)にて、メール受付の場合は 件名「ツェラントーク希望」・お名前・電話番号・参加人数、をお知らせ下さい。おって返信メールで予約完了をお知らせいたします。

    Tel.03-3408-9482
    ※50名様になり次第締切り
電話予約受付:火〜土曜 12:00〜20:00
      日、祝日 12:00〜19:00
会 場:Bibliotheque(ビブリオテック)
東京都渋谷区千駄ヶ谷3-54-2
HP







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2012年03月15日

ビフォが来る!

なんと、No Futureのビフォが来ます!あーめっちゃ行きたい。


remoでは本年Media Gymと称して、次代を担う新進芸術家にメディア芸術家に求められる基礎的な諸技術の学習機会を提供するワークショップを行なっています。近年ますますブラックボックス化・パッケージ化される「商品」に依存せず自分で出来るものは手ずからつくる力、いわばメディア芸術家の「基礎体力」の向上を目指すのが、Media Gymのもくろみに他なりません。
公募により選考された参加アーティスト3組は、すでに各々これまでの活動の枠をこえるあらたな試行錯誤をremoとともに模索してきました。このたび、約7ヶ月間にわたる活動のプロセスを展示という形で発表することとなりました。
アーティストの、愚直なまでのメディアとの格闘の軌跡を是非ご体験ください。


●ワークショップ:フランコ・ベラルディ(ビフォ)「機械・身体・言語」
今回それぞれのアプローチから、身体を動かすこと、車をとりもどすこと、機械とのふれあい方をみつめなおすこと…そのような課題に取り組んできたアーティストたちと語りあう時間をみなさんを含めもちたいと考えました。お相手をしていただくのはメディア哲学者のビフォ。時計の起源から精神病理まで縦横無尽に駆けめぐるかれは今回、イタリアから4年ぶりの来日となります。

日時:2012年3月24日(土)・25日(日) 15:00 - 17:00
料金:無料
事前申込不要
http://www.remo.or.jp/ja/


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2012年02月19日

最近読んだ本。「通天閣」

通天閣 (ちくま文庫)
通天閣 (ちくま文庫)
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さくら
さくら
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あおい
あおい
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 最近、西加奈子を友人に勧められて、立て続けに三冊読んだ。関西弁に心底飢えている私にとって、西さんが放つ軽快な「なにわ」の言葉はとても心地よかった。「通天閣」は抱腹絶倒してしまう痛快な小説。通天閣界隈に住むどーしよもない人々に、胸をすくわれる。「さくら」は、家族って暗いとこもあるけど、あったかいなーとしみじみ感じさせる。「あおい」は、恋ってなんやねん、ってつっこみたくなる。
 彼女の小説に共通しているのは、とても幸せな日常にも、どうしようもない日々にも決して永遠はない、という世界観だ。当たり前のことかもしれないが、そんなことさえ忘れてしまう日常が私たちの前に横たわるときがある。西さんは、何でもないところに気がついて、細かい比喩を繰り出すことで日常を色づけてしまう。だから西さんの小説を読むと、とても不安になったり、気が楽になったりする。
 おすすめは、断然「通天閣」!






zucchini

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2011年12月12日

クラブと風営法に関するメモ書き1




 橋下が大阪で力を持つようになってから、大阪でのクラブの摘発が激しい。先月の産経新聞の記事を読んでも、大阪だけで12店舗が対象となったという。今日出会ったダンサーも「大阪は壊滅している。」と嘆いていた。
 今までほとんど知らなかったけど、クラブ文化というのは法律のグレーゾーンではぐくまれている。例えば、ダンス目的の店は、基本的には深夜0時(条例によっては1時)までしか営業できない。たまに夜通しやっているクラブは、バーのように飲食店として申請しているわけだ。といっても毎晩のようにクラブでイベントは行われている。多くの場合、それらはイベンターと呼ばれる人たちが企画しているので、店は場所を貸しているだけなのだ。

 風営法の目的は、「善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し、及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止」することらしい。この法律には、とても違和感を感じたのだが、今、クラブシーンを守るために動いている人もいると聞くし、まずは自分の理解を深めようと思う。

 とりあえず、クラブを禁止すればどうなるかを橋下に思い知らせてやるべきだ。

 私たちは路上を占拠する。

 とても元気の出る動画があったので、どうぞ。






zucchini

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2011年11月24日

「WORKERS」

 最近、訳あってサルガドの写真集「WORKERS」を買ってしまった。学生の頃から好きだったが、序文を久しぶりに読んで、また元気づけられた。おそらく、写真を撮り終えた1984年前後に書かれた文であろう。サルガドが、歴史貫通的な人々の営みをとらえ、相当の決意をもって、撮影に挑んだことがわかる。スーザン・ソンタグは、彼の写真をスペクタクルだと言って批判する。人類という壮大なイメージにされてしまっては、個人の苦しみが曖昧になる、という。しかし、そうだろうか。サルガドの写真は、被写体への尊厳に満ちている。例えば、この「WORKERS」でとらえようとしたのは、1次産業に携わる労働者たちの営みだった。西洋が推し進めてきた効率化や機械化の名の下に破壊されようとしているのは何か、読者は問われる。身体全体を使って金を掘る人々、大きな鎌を振り下ろしサトウキビを刈る人々。植民地化、グローバル化の荒波のなかで、彼らが大地とともにはぐくんできた生の凄まじさに私は魂が震える。まるで各々の労働者たちが壮大な物語を語っているかのようなのだ。そこには、文字で書かれたテクストとはまた別のテクストが存在するのではないか。確かに強大なスペクタクルかもしれいない。しかし、サルガドは、個人を撮ることから派生して、歴史に対して終わりない闘いを挑んでいるのではないか。だからこそ、彼の写真は西洋の文脈に収まりきらない、強度を持ち得るのではないだろうか。



 

序文

 これらの写真は、一つの時代の歴史を物語っている。ここに写し撮られた映像は、歴史が産業革命という名で呼ぶ時代、すなわち両手を力のかぎり使って働く男たちや女たちが世界の中心軸を形成していた時代の考古学を、視覚的イメージとして示している。

 今日、生産と効率性の概念は変化し、それとともに労働の性質も変わりつつある。高度に産業化された世界が、よろめきながら未来に向かって疾走している。たしかに、この時の圧縮ともいえる事態は全世界の人々の日々の労働の結果であるが、実際にはそれが人々に恩恵をもたらすことは非常に少ない。

 先進世界は、消費することができる者のためにのみ生産しているが、そうした人間は全世界の約五分の一を占めている。残りの五分の四の人々は、理論的には余剰生産物の恩恵に浴するはずであるのに、実際は消費者になる可能性を絶たれてしまっている。彼らは自分たちの資源と富のあまりに多くを繁栄した世界に譲り渡してしまっているので、そうした世界と対等関係を樹立するいかなる方法も見つけだせないのだ。

 こうして地球は二分されたままでいる。第一は世界は過剰の危機に陥り、第三の世界は恒常的な欠乏状態にあり、そして今世紀の終わるころには、社会主義の上に打ち立てられた第二の世界は滅亡しているかもしれない。

 いま、男たち女たちの目標は新しい世界を創造することにある。あたらしい生のあり方を発見し、夢以外のあらゆるもののなかに未開拓の場所が存在していることを思いだすことである。そうすることで、彼らは適応し、抵抗し、信じ、生き残る。

 歴史はなによりも、たえまない挑戦と反復と忍耐の連鎖である。それはめぐりくる抑圧と屈辱と災難の周期であるが、一方でそれは人間の生存に向けての能力を次代に伝える遺言でもある。歴史のなかにはいかなる孤独な夢もない。なぜならある一人の人間のなかで懐胎された夢は、次代の人の人生のなかで呼吸しはじめるからである。


セバスチャン・サルガド








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