阪和線の沿線から

阪和線沿線在住の筆者が記している日記です。
鉄道を中心に、バス・航空・フェリーといった交通全般に関する話題や、
管理人の乗車記録や旅行記、撮影記録などを気の向くままにお送りしています。
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【JR北海道】キハ143形観光列車「赤い星」「青い星」導入(2026年春)水戸岡鋭治氏最後のデザイン列車になるか

JR北海道では、これまで様々な観光列車を運行してきましたが、既に廃車となったものや、今後継続的に運行できる車両が少なくなってきていることから、車両・運行体系・サービスなど全く新しい観光列車を運行させる「スタートレイン計画」を発表しました。

【社長会見】★スタートレイン計画★始動!|JR北海道

概要は以下のとおりです。

【車両概要】
キハ143形一般形気動車を改造し、グレード差を設けた2編成(4両編成)を制作。
・車両仕様は、コンセプトに基づき、水戸岡鋭治氏と同社で共同で検討

<「赤い星」編成>
・ラグジュアリークラス(豪華)の座席、設備
・定員100名程度を予定
・個室、セミコンパートメント、ボックス席など多様なニーズに対応する座席種別の設置を予定
・ラウンジや茶室、展望室などの設備を予定

<「青い星」編成>
・プレミアムクラス(上質)の座席、設備
・定員200名程度を予定
・全車に展望室、荷棚、大型荷物置場を設置

【車両イメージ】
・エクステリアイメージ
jrhokkaido_akaihoshi
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(いずれも上記発表資料(https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20240417_KO_startrain.pdf)より引用)

・インテリアイメージ
jrhokkaido_aka_ao_interior
(上記発表資料(https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20240417_KO_startrain.pdf)より引用)

【車両改造費】
約18億円

【運行開始時期】
2026年春からの運行を予定

【運行等について】
・「赤い星」編成は主に釧網線、「青い星」編成は主に富良野線での運行を予定
・北海道を周遊するクルーズトレインとしての活用も検討


詳細は、上記発表資料をご覧下さい。



JR北海道では、民営化当初から「ニセコエクスプレス」「クリスタルエクスプレス トマム&サホロ」「ノースレインボーエクスプレス」といったリゾート列車や、「SL冬の湿原号」等のSL列車、「くしろ湿原ノロッコ号」などの「ノロッコ列車」など、豊富な観光資源を活かした多数の観光列車が運行されてきました。

しかし、これらの観光列車も老朽化が進み次々に引退していく一方、同社の経営環境の厳しさから、新たな観光列車の導入が難しいことから、観光誘客に活かせる車両が少なくなってきている現状があります。

こういった状況を打開する取り組みの一つとして、キハ261系特急形気動車の一部を「はまなす編成」「ラベンダー編成」として投入し、定期列車の代走や観光用臨時列車として運用しています。
(参考)


今回、これに加えて全く新しい観光列車を運行する「スタートレイン計画」として、同社で長年活躍してきたキハ143形一般形気動車を改造した「赤い星」「青い星」編成を投入することが発表されました。

デザインは、JR九州をはじめ各地の観光列車などをデザインしてきた「水戸岡鋭治氏」で、イメージイラストからは、同氏がデザインした特徴的な内外装が見えてきます。

これらの観光列車は、釧網線や富良野線を中心に、道内のクルーズトレインとしても活用するとのことで、今後の新たな北海道観光の顔となる列車になるのかな、とも感じています。

一方で、種車となるキハ143形は、元をたどれば国鉄時代の1970年代に投入された50系客車であり、その後1990年代にエンジン等を搭載する気動車化改造が行われ、キハ143形となりました。
気動車化からでさえも30年以上、改造元となる50系客車から数えると、それこそ製造から50年近く経過したこの車両を、観光列車として改造して、決して安くない料金で利用者を迎える列車としてのレベルに生まれ変わらせることができるのか。

これまでキハ47形なども観光列車としてデザインしてきた水戸岡鋭治氏の「作品」に期待したいと思います。



ところでその水戸岡鋭治氏ですが、今回の発表資料で気になるコメントがありました。
jrhokkaido_aka_ao_message
(上記発表資料(https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20240417_KO_startrain.pdf)より引用)

上記は、今回の発表資料の最後のページですが、引用しますと、
「北海道の仕事から始まり、全国区の仕事をさせていただき、最後の仕事としてJR北海道のローカル車両デザインに繋がった。」とあります。

文字通り受け取るならば、今回の「赤い星」「青い星」が、水戸岡鋭治氏デザインによる最後の列車、ということになりそうです。

1988年のJR九州「アクアエクスプレス」以降、数多くの列車のデザインを手がけられてきた水戸岡鋭治氏。
そのデザインに賛否の意見はあるにしても、沿線人口の減少、自家用車への移転が進み将来がじり貧でしかなかった地方鉄道が、その生き残りをかけた活性化を水戸岡氏に託し、そしてそれに水戸岡氏が応えてきたことは事実でありましょう。

デザイン列車・観光列車の点から地方鉄道の活性化を支えてきた水戸岡氏が、今回のJR北海道「赤い星」「青い星」が最後の列車デザインとなれば、地方鉄道を応援する私としては寂しく感じるところです。
仮に最後のデザインとなれば、是非満足いくものに仕上げていただきたいと思いますし、また、水戸岡氏に続く、地方鉄道の活性化に資するデザインを手がけるデザイナーの活躍を期待したいと思ったニュースでした。



鉄道コム関連記事】
JR北、観光列車導入計画「スタートレイン計画」を発表 2026年春に運行開始へ - 鉄道コム



【関連ブログ】
「水戸岡デザイン」は北海道のキハ143形が最後かも - 鉄道プレス



【関連ニュースサイト】
JR北海道キハ143形改造「赤い星」「青い星」編成、2026年運行開始 | マイナビニュース
水戸岡鋭治氏が「最後の仕事」。JR北海道「赤い星」「青い星」が集大成に | タビリス
JR北海道,新たな観光列車「赤い星」・「青い星」を導入|鉄道ニュース|2024年4月18日掲載|鉄道ファン・railf.jp



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今日の乗車記録(通勤)


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和泉鳥取(0809)-和歌山 区間快速 モハ224-5122

和歌山(1913)-和泉鳥取 紀州路快速 サハ223-9

ここ数日、南海加太線に2000系が運用されているという情報を耳にしているので、仕事帰りに見に行こうと思っているのですが、なかなか遭遇できません。

…そのうち記録できればいいな、と思っているのですけどね…

【JR東海】東海道新幹線に個室の設置を発表(2026年度中)

JR東海では、これまで新幹線の新たな座席のあり方を検討してきましたが、この度グリーン車よりも更に上質な設備・サービスを備えた個室を東海道新幹線に導入することを発表しました。

東海道新幹線への個室の導入について|JR東海

概要は以下のとおりです。

【概要】
・東海道新幹線のN700S車両の一部に、高いプライベート感・セキュリティ環境を備えた完全個室タイプの座席を順次導入
・個室専用の Wi-Fi、レッグレスト付きのリクライニングシート、個別調整可能な照明(明るさ)・空調(風量)・放送(音量)等の設備・機能を整備予定
・オンライン等での打合せを気兼ねなく行いたいビジネスパーソン、プライバシーを重視する乗客や、周囲を気にせずゆっくりと寛ぎたい乗客など、様々な利用者層・利用シーンを想定
1編成につき、2室導入予定

【サービス開始時期】
2026年度中(予定)

【個室(内装)のイメージ】
jr_central_room
(上記発表資料(https://jr-central.co.jp/news/release/_pdf/000043528.pdf)より引用)


詳細は、上記発表資料をご覧ください。


JR東海では、2022年10月に、同社が目指す鉄道の将来像とその取り組みを発表し、その中で「東海道新幹線への上級クラス座席設置」を検討することとしていました。
(参考)



この「上級クラス」がどのようなものになるのか、注目となっていましたが、今回その答えが発表された、といえるでしょう。

東海道新幹線の個室といいますと、かつて100系の時代に二階建てグリーン車の一階を活用して設置されていたことを思い出すかたも多いかと思います。

新幹線で初めての個室として注目されましたが、その後の300系以降の車両では、このような個室は設置されないまま現在に至っています。

そんな中、今回発表された個室ですので、100系以来の東海道新幹線の個室の再来と、ちょっと世代が上のファンにとっては懐かしくも思えるのではないのでしょうか。

また、座席数は1編成2室となっており、一部編成のみの設置になると思われますが、多くの編成に設置されることで、利用チャンスの拡大も期待したいところです。

一方、上記発表資料では同時に、「新幹線の新たな座席のあり方については、引き続き検討を進めます」とあるように、今回発表された個室以外にも、上級クラスの座席を計画しているのかも知れません。

ともあれ、100系以来久々の登場となる東海道新幹線の個室車両。
もとより需要の多い区間であり、他の利用者に気兼ねなく利用できる個室のニーズは高いと思いますので、
同時に、今回の個室に続く新たな座席サービスにも期待したいな、と感じたニュースでした。



鉄道コム関連記事】
1編成に「2室のみ」、東海道新幹線に個室導入へ 2026年度中に提供開始予定 - 鉄道コム



【関連ブログ】
【JR東海】東海道新幹線に個室を導入へ…2026年度から - 鉄道プレス



【関連ニュースサイト】
東海道新幹線に「個室」導入へ グリーン車より上質 2026年度から | 乗りものニュース
東海道新幹線に「個室」導入。グリーン車よりも上質な完全プライベート席、2026年度中 - トラベル Watch
東海道新幹線に「完全個室タイプ」の座席導入へ 専用Wi-Fi付き 26年度中 - ITmedia NEWS
東海道新幹線に完全「個室」座席 Wi-Fiも専用で26年度導入 - Impress Watch



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今日の乗車記録(通勤)


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和泉鳥取(0809)-和歌山 区間快速 モハ224-5141
和歌山(1840)-和泉鳥取 紀州路快速 クモハ223-2506

【JR東海】紀勢本線で定期列車でのサイクルトレイン実証実験を実施(2024年5月・6月の特定日)

JR東海では、昨年12月に紀勢本線沿線のイベント開催に合わせて専用臨時列車での実証実験を行った「サイクルトレイン」について、今般定期列車での運行についても実証実験を実施することを発表しました。

紀勢本線での定期列車によるサイクルトレイン運行の実証実験について|JR東海

概要は以下のとおりです。

【実施日】
2024年5月:
11日(土)、12日(日)、18日(土)、19日(日)、25日(土)、26日(日)
2024年6月:
1日(土)、2日(日)、8日(土)、9日(日)

合計10日間

【実施区間】
紀勢本線 熊野市駅〜新宮駅の各駅間

【対象列車】
紀勢本線 上記区間の上下線全ての普通列車(特急「南紀」号は対象外)

【その他】
・事前予約不要、追加料金不要で利用可能
(列車に乗車するための運賃は必要)
・車内に専用ラックや専用スペースは無く、他の乗客と同じ座席スペースでの利用
・軽量な自転車での利用を前提


その他詳細は、上記発表資料をご覧下さい。



近年、全国的に広まっている「サイクルトレイン」ですが、紀勢本線に関して言えば、JR西日本が積極的に実施してきており、現在、普通列車に関しては、予約無しで御坊〜紀伊田辺〜新宮間、予約有りで和歌山〜御坊間で実施しています。
またこれらに加え、白浜〜新宮間の特急「くろしお」でもサイクルトレインを実施しています。
(参考)


こうなると、新宮から更に先(松阪方面)の区間でもサイクルトレインの実施要望もでてきそうなものですが、同区間を管轄するJR東海では、実際に昨年12月に、団体列車によるサイクルトレイン実証実験を実施しています。
(参考)
JR東海「初めての試み」紀勢本線でサイクルトレイン実証実験を実施 | マイナビニュース


そして今回、新たな実証実験として、熊野市〜新宮間の普通列車で「サイクルトレイン」を実施することが、今回発表されています。

対象となるのは、同区間の普通列車ですが、土日に実施ということもあり、上下線含めた全列車でサイクルトレインの利用が可能となっています。
ただ、実証実験という位置づけだからでしょうか、利用できる自転車は「軽量タイプ」(「ロードバイク」タイプ、「折りたたみタイプ」タイプ)が提示されており、いわゆる「ママチャリ」は今回は利用できない模様です。


とはいえ、こういった実証実験を重ねることにより、新宮以西と同様、ママチャリ等でも気軽にサイクルトレインが利用できるようになり、サイクリストのみならず、沿線地元の学生や買い物客等、幅広い利用に繋がればいいな、と感じたニュースであります。

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▲新宮駅に停車中のJR東海・キハ25形(2016年12月撮影)
このキハ25形で運用されている普通列車の熊野市〜新宮間において、実証実験としてサイクルトレインが利用できるようになります。




鉄道コム関連記事】
紀勢本線 定期列車サイクルトレイン 実証実験 実施(2024年5月11日〜) - 鉄道コム



【関連ニュースサイト】
JR東海,紀勢本線の定期列車で「サイクルトレイン」の実証実験を実施|鉄道ニュース|2024年4月11日掲載|鉄道ファン・railf.jp



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今日の乗車記録(通勤)


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和泉鳥取(0809)-和歌山 区間快速 モハ224-5145
和歌山(1913)-和泉鳥取 紀州路快速 クモハ225-5109

和歌山駅前に、和歌山バスの新車が止まっていましたので、撮影してみました。
この車両も、少しずつではありますが増えてきてますね…

今日の乗車記録(通勤)


和泉鳥取(0809)-和歌山 区間快速 モハ224-5119
和歌山(1913)-和泉鳥取 紀州路快速 クモハ225-5006

【南海】特急ラピート「セレッソ大阪×特急ラピート30周年記念ラッピング」編成をみる(2024.4.14)

先の「はるか」281系オリジナル塗色に加え、本日(4月14日)の撮影記録です。

撮影したいと思っていた「大阪・関西万博ラッピングラピート」に遭遇できず、意気消沈のままりんくうタウン駅に戻ってきましたが、一縷の望みをかけて、関西空港方面へのホームで、「ラピート」を待っていたら、「セレッソ大阪」ラッピングのラピートが到着しました。

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▲りんくうタウン駅に停車中の「セレッソ大阪」ラッピングラピート。
(参考)



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▲先頭部を真横より。
セレッソ大阪のエンブレムが誇らしくデザインされていました。

ラッピングの全貌が記録できればと思い、発車時の動画も撮影してみました。



先の「はるか」と同じく、多くの訪日外国人旅行者を乗せて、関西空港駅に向けて走り去っていきました。

現在、特急「ラピート」には、この「セレッソ大阪」の他、「MOB鉄道」、そして「大阪・関西万博」と、3種類のラッピング編成が運行されています。
これら3編成のうち、今回ご紹介した「セレッソ大阪」のラッピングが、最も早く終了することから、この機会に撮影できてよかったです。

残り2編成も、機会を見つけて撮影しておきたいと思います。



鉄道コム関連記事】
南海 ラピート セレッソ大阪ラッピング車両 運転(2024年4月8日〜) - 鉄道コム



【関連ニュースサイト】
南海電鉄「ラピート」セレッソ大阪ラッピング、ともに30周年を祝う | マイナビニュース



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【JR西日本】281系「はるか」オリジナル白色塗装をみる(2024.4.14)

今日(4月14日)、時間があったので、りんくうタウン駅まで出向きました。

目的は、昨日から運行した南海の大阪・関西万博ラッピングラピートでしたが、あいにく運用に入っていなかった模様で、こちらに関しては空振りに終わってしまいました。

ただ、収穫もありました。
JR線上りホーム(日根野方面)を通過する281系「はるか」の「ハローキティ」ラッピングが解除されたオリジナル塗色(白色)編成を記録することができました。

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▲りんくうタウン駅を通過する281系「はるか」。
ご覧のとおり「ハローキティ」のラッピングは撤去され、白色ベースのオリジナル塗装に戻されていました。
詳しい経緯は不明ですが、今年に入ってから、一部の281系でこのようにラッピングが解除された編成が目撃されるようになりました。
別に狙っていたわけではありませんでしたが、このように記録することができました。

今後の動向は不明ですが、ラッピングの契約等の関係とすれば、今後何らかのタイミングでラッピングが撤去されていくのかも知れませんね。

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▲付属編成の271系3両編成は、「ハローキティ」ラッピングが残っていました。
271系がデビューした2020年3月は、新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい、「はるか」の利用者も極端に落ち込んだことから、271系の増結は長らく中止されていました。

しかし、昨年5月に新型コロナウイルス感染症が5類相当に引き下げられたこと、またそれ以前から海外からの水際対策の見直しにより、再び多くの外国人旅行者が日本に来訪するようになりました。

それに連れて、271系を増結した「はるか」を見られるようになりました。
デビュー当初間もない頃から鳳や日根野の引込線で、いつとも分からない休眠期間を過ごす、痛々しい姿をみていただけに、外国人旅行者を満載して走る姿は、本当に嬉しく感じた次第です。




【関連ブログ】
【JR西日本】「ハローキティはるか」はもうすぐ見納め? - 鉄道プレス



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【JR九州】肥薩線・八代〜人吉間の復旧について熊本県と合意(2024.4.4)

JR九州と熊本県では、令和2年7月豪雨により被災して運休中の、JR肥薩線(八代〜人吉間)(以下、「復旧区間」という。)について、鉄道復旧の方向性について合意し、2024年4月4日付けで鉄道復旧に関する基本合意書を締結しました。

JR肥薩線(八代〜人吉間)の復旧に関する基本合意書の締結について|JR九州

基本合意書の内容は以下のとおりです。

【復旧区間の運営】
・熊本県を含む地元自治体(地元自治体が設立する法人も含む)が「第三種鉄道事業者」
・JR九州が「第二種鉄道事業者」
とする「上下分離方式」を採用。

【復旧に向けての連携・協力】
JR九州と熊本県を含む地方自治体の双方が連携、協力して、復旧区間の持続可能性を更に高めるため、「観光を軸にした日本一の地方創生モデルの実現」と「マイレール意識の醸成による日常利用の創出」を具体化する。

【最終合意】
基本合意書の内容について深度化を行い、令和6年度(2024年度)末までに熊本県・JR九州において鉄道復旧について最終合意することを目指す。


詳細は、上記発表資料をご覧下さい。



DSC09530_R
▲人吉駅に停車中の「九州横断特急」と「いさぶろう・しんぺい」(2014年2月撮影)
県南部・球磨地区の拠点都市である人吉市と県庁所在地を結ぶ特急「九州横断特急」「くまがわ」が運行されていましたが、2016年3月のダイヤ改正で廃止となりました。
その後、人吉駅を発着する優等列車は、被災前までは観光列車のみとなっていました。


肥薩線の八代〜人吉間は、熊本県南部の拠点都市である人吉市と、県庁所在地の熊本市などを結ぶ生活路線に加え、球磨川の流域に沿って走る線形が故に、車窓からの眺めが楽しめることから、「SL人吉」をはじめとした観光列車のルートとしても人気がありました。

一方、上述のうち生活路線の観点では、九州自動車道が開業したこともあって、都市間輸送の多くが自動車・バスに移転したこともあり、民営化当初(1987年度・2,171人/日)に比べ、被災前直近の2019年度の平均通過人員(輸送密度)は、およそ2割の414人/日にまで減少していました。
(参考)
線区別収支(平均通過人員が2,000人/日未満の線区)|JR九州

そんな中で発生したのが、令和2年7月の豪雨で橋梁や路盤の流出など、もはや線路が現状を留めないほどの被害を受けることとなりました。
(参考)



被害の大きさに加え、上述のとおり利用者の大幅な減少により、鉄道という輸送モードでの復旧が果たして妥当なのか、という観点から、熊本県をはじめとした地元自治体とJR九州とで、復旧方針が協議されてきましたが、今回両者で鉄道による復旧を目指すという方向性に合意しました。


ポイントは、線路や設備等を熊本県をはじめとした地方自治体が保有し、JR九州は列車の運行を担う、鉄道事業法上での「上下分離」を採用したことでありましょう。

この形式による復旧スキームは、JRグループ各社でみますと、JR東日本の只見線(会津川口〜只見間)が代表的な例で、今回の肥薩線については、それに続くものといえるでしょう。
(参考)

只見線についても、日常利用が僅少である一方、観光誘客の価値としては大きいことから、鉄道による復旧の方向性に至った、という点では、今回の肥薩線と類似のケースといえるでしょう。


今後のスケジュールとしては、今年度中に鉄道復旧について最終合意とすることとし、復旧費用の負担や施設等財産の取扱い、使用料の取り決めなど、詳細を詰めていくものと思われます。
そして、この最終合意に基づき、今後復旧工事に着手していくものと思われます。


このように、八代〜人吉間については鉄道復旧の方向性が示された一方で、残る運休区間の人吉〜吉松間については、今回の合意の対象外となり、引き続き復旧方法を協議していくものと思われます。

この区間は、大畑駅のスイッチバックなど、より観光要素の強い区間である一方、日常的な流動が皆無であり、被災前でも「いさぶろう」「しんぺい」といった観光列車が主体のダイヤとなっていました。
平均通過人員(輸送密度)は、についても、2019年度が106人と、鉄道として維持することが果たして妥当なのか、というレベルであります。

また、この区間は熊本、宮崎、鹿児島の3県にまたがることから、復旧費用やその後の運営に関しても、より多くの自治体が関わることとなり、復旧可否の方向性を示すにしても、更なる時間が必要なのでは、とも感じています。
(参考)
JR肥薩線の鉄路復旧「一体じゃなかったのか」…人吉−吉松の「山線」沿線首長ら落胆、新協議の場に望みつなぐ | 鹿児島のニュース | 南日本新聞 | 373news.com

とはいえ、まずは八代〜人吉間が鉄道による復旧の方向性となったことから、今後はこの復旧に向けての動きを見ていくとともに、残る人吉〜吉松間の扱いについても、注目していきたいな、と思っています。

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▲同じく、2014年2月に人吉駅で撮影した肥薩線の八代発人吉行きの普通列車。

当時であっても、キハ40形1両編成で足りる輸送需要となっていましたが、台風被害の後の人口流出もあると考えられ、復旧後であっても、沿線の利用は厳しい状況が続くと思われます。

それだけに、復旧に際しては、出張や用務などで肥薩線を積極的に利用することなどの利用促進が、沿線自治体とその住民にも求められることになるのではないかと思います。
またその姿勢が、残る人吉〜吉松間の復旧にも繋がってくるのかも知れませんので、沿線自治体の奮起を期待したいです。




鉄道コム関連記事】
JR九州、肥薩線八代〜人吉間の鉄道復旧に関する基本合意書を締結 - 鉄道コム



【関連ニュースサイト】
肥薩線、八代〜人吉の鉄道復旧で基本合意。人吉〜吉松の協議も動き出すか | タビリス
熊本県とJR九州、肥薩線八代〜人吉間の鉄道復旧めざす方向性で合意 | マイナビニュース
熊本県・JR九州,肥薩線 八代—人吉間の復旧に基本合意|鉄道ニュース|2024年4月10日掲載|鉄道ファン・railf.jp



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