カサンドラ獄中記

やったね、これが映画だよ

【20180325】

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男性器・慕情

鬱病になったときのことである。勃起しなくなったのは。
初めは漠然とした不安と倦怠感であった。そのとき、私はそれを病気の初期症状であるとは認識していなかった。まず外を出歩く気力がなくなり、次に本を読む気力が消え、やがて映画やテレビを見る気力が失せた。会社に足を引きずり、休日は家に閉じこもり、やがて布団から出ないようになった。
そうなると、やることは一つである。自慰であった。
家にはエロ漫画とエロDVDがあった。それらを活用し、私はせっせと自慰をした。
異変が起きたのは、そうした生活が二年目に差し掛かった頃であろうか。
気が付くと、私は勃起しなくなったのである。初めは、イイ加減に使っているDVDやエロ漫画に飽きたのだろうと思った。私は新しいエロDVDを買った。しかし、我が性器はピクリとも応答せず。次に私は、ありとあらゆるオナニーを試そうと考えた。大量のローションを購入し、布団を一枚ダメにするオナニーを決行した。しかし、これも勃起には至らなかった。
かと言って、自慰の他にはエンターテイメントなど存在しなかった。私は勃起していないチンポを弄り、射精へと促す日々を送った。やがて手での上下運動すらかったるくなった私は、電動マッサージ機を購入、それを股間に押し当てて射精するようになった。これは驚くべき成果を上げた。電動マッサージ機は、ほんの数十秒で私を射精へと導いた。これこそタイム・イズ・マネーであると私は誇らしげに笑った。
そんな性生活が続いた頃、気が付けば、私は一睡もしない生活に突入していた。眠いのは眠いのだ。しかし、一切眠れない日々が続く。眠ろうと自慰をするのだが、それでも眠れない。一晩中抜きまくった後に会社に行くのは応えたが、しかしその日の夜も眠れないのだ。やがて幻聴のようなものを聞こえるようになった。社内で誰かが私の名前を呼ぶのだ。「はい!」そう言って立ち上がる度に、皆が首をひねった。誰も私に声をかけていなかったのだ。
そしてある日、家でテイラー・スウィフトのLOVE STORYという曲を聴いて、私は声をあげて泣いた。この歌はロミオとジュリエットを題材にした、いかにもなティーン向けのラブ・ソングである。そういう歌を聴いて、私はワンワンと泣いたのだ。正確に言うなら訳詞を読んで泣いたのだ。「ロミオが迎えに来てくれて、本当に良かった」私は心底ジュリエットの幸せを願い、その日のうちに心療内科の扉を叩いた。
それから二年、私の精神は徐々に回復に向かいつつある。こうしてブログを更新できるくらいには回復した。今、また会社を辞めようとしているが、それはもういい。経済的な困窮は予想されるが、またあのような状態に戻るよりは遥かにマシだ。
そして、本題はここである。今、私は勃起するのである。電動マッサージも、レッドブルも、アナル弄りも必要はない。ノーマルな手淫で、鋼のようとはいかなくても、それなりに勃起するのである。
ある人は、得意げにこう言う。「男はチンポでものを考えるのである」と。個人的には、その説には同意しかねる。私の経験から言うならば、やはり「チンポが考えるのではない。人が考え、チンポが従う」のである。ただし一言付け加えるならば、「チンポは時に人よりも、人の精神を表す」のだ。思えば、あのチンポが立たなくなったとき、私は心療内科の扉を叩くべきだった。あれは私の精神のSOSサインだったのだ。今ならばそう断言できる。
チンポは第二の脳みそではないし、チンポに心は宿らない。しかし、チンポが一つの心のバロメーターであることは間違いない。もし貴方のチンポに元気が無かったら、貴方は自分が思っているよりも疲れているのかもしれない。心と肉体の一つの基準として、チンポはそこにあり、ときに立ち、ときに萎えるのだ。

なんかよく分からないことが起きた件について

先日、「黒異本」っていうホラー漫画の感想文を書きました。そしたら、よく分からないことが起きました。

まず「黒異本」というのは 外薗 昌也先生が出した実話怪談本を原作に、高港 基資先生が脚色を加えたホラー漫画なわけですが、この中に「独居死」と「黒い団地」っていうエピソードがあるんですね。「独居死」は、タイトルからも分かるように、一人暮らしの男性が連絡がつかなくなって独居死してる……というお話。「黒い団地」は団地の中でカラスが絡む謎の儀式が行われている……というお話なんです。

で、そういう漫画の感想を書いた翌朝に、私が住んでるアパートの お隣さんが連絡が取れないっていう話になったんですよ。




しかも、コレ、友人と電話で「いやー、『黒異本』怖かったッスね〜」みたいな話をしてる最中に、上で言うトコの「ご家族の方」が私の家に来たんです。「(あなたの部屋のお隣さんと)連絡がとれない。ずっと留守電になっている。何か知ってますか?」と聞かれました。上に出した「独居死」の冒頭に近い展開が実際に起きたわけです。これ、単なる偶然にしたって、タイミング的に最悪じゃないですか。正直、怖くなって、とりあえず近所のセブンイレブンに逃げたんですね。そして唐揚げ棒とかを食べて、ちょっと落ち着いて、家に帰ったんですよ。そしたら、今度はお隣さんの家の窓が開いていて、中に人がいるのが見えたんですね。

「えっ?」ってなりましたね。でも、こうなると、何も言わないワケにもいかないし、その隣室を尋ねてみたんです。インターホンを押すと、中年の男性が出てきました。そして私が、「なんか身内っぽい人が私の家に来たんですけど、なんか連絡がつかないって焦ってましたよ。留守電ばっかになってるとか……」と言うと、「えっ、周りには言ってたはずだけどなぁ」「留守電ですか?うーん、残ってなかったけど……」みたいなことを言うんです。

ちょっとよく分からないじゃないですか。じゃあ昼間に来た「ご家族の方」は何なんだ?留守電を残した、という話は何だったんだ?ってなるじゃないですか。

いや、もちろん単なる手違いとか、そういう偶然の可能性が高いですよ。「単純に連絡が行ってなかった」とか、「私が『留守電』と言ったときに、主語がなかったんで、中年男性は携帯を、私は据え置きを想定していて、そこで『残ってなかった』っていう答えが出てきた」とか、そういうオチだとは思うんですよ。別に昼間に来た女性ふたり組が、上に出した「黒い団地」に出てくる集団みたいな感じとか、そういう話はある筈がないと思うんです。でも、そんな偶然が、このタイミングで起きなくてもいいじゃないですか。

やっぱり怖い話というのは、その話が終わった後が大切だと思うんです。終わったあとにも尾を引くというか。簡単に言うと、話が終わったあとにトイレに行けなくなる感覚です。その話が、私たちが生きる日常と、怪異の世界の橋渡し役になる感じ。……そういう風に常々考えていたのですが、まさか実際につながるとは思わないじゃないですか。もちろん、色んな偶然が重なった結果だとは思いますし、別に死人が出たりとか、実害が出たわけじゃないんです。なんかモヤモヤするというか、よく分からんことが起きたってだけなんです。それに、別に『黒異本』を読んでなくても、このことは起きたんだとは思いますよ。でも、正直重なりすぎでしょうよと。偶然が。

これ以上、「偶然」が重ならないことを祈りつつ、この月並みな台詞で今回の事を〆たい……と言うか、もう今後はこういうことが起きず、これで〆る方向でお願いしたいと思います。

「いやー、あるんですね、こういうこと……」

読書感想文【黒異本】

「今の日本で一番怖い絵を描く漫画家は誰か?」この問いに対して、私は高港基資(たかみなと もとすけ)先生を推す。Jホラーの古典「女優霊」のコミカライズや、一昔前にコンビニに置いてあった「読者投稿心霊体験」シリーズなどを手掛けた方である。この人の特徴を言うと、とにかく不気味な絵を描くことにある。あまりにも貧弱な語彙であるが、不気味としか言いようがないのである。見た瞬間に「こうはなりたくないなぁ」「こんなの会いたくないなぁ」と思わせる説得力がある絵を持っている。どんな絵かと言うと、こういう絵である。見た瞬間に「フワァ!」となる上に、何か尾を引いてしまう業のある画だ。勿論、ただ絵が上手いだけでなく、その怖い絵を絶妙なタイミングでブチ込んでくる間の上手さも凄い。来るのが分かっていても避けることができない、高速の必殺パンチを持つボクサーのようだ。

そんな高港先生が、現在「鬼畜島(タイトルだけで100点満点である)」を絶賛連載中の外薗昌也(ほかぞの まさや)先生の実話怪談本「黒異本」をマンガにしてしまった。この「黒異本」、何が凄いって、怖い上に買った人が次々と恐怖体験をしていることである。その辺りは外薗昌也先生の公式ブログを読むと分かる。そんな曰くつきの本を、必殺の筆を持つ人がコミカライズしてしまったのだ。まさに悪夢のコラボレーションが此処に実現した。それが今回ご紹介する「黒異本」である。




もう表紙から嫌な予感しかしないが、その予想は的中した。全8篇を通して、まさに必殺のタイミングでブチこまれる高港先生の恐怖顔面描写のオンパレード。なぜ俺は夜にコレを買ったのか。正直に言うと、俺はこの本をさっき買った。そして怖いからJAM Projectをガンガンに聴きながらコレを書いている。書くという行為は、俺にとってセラピーのようなものなんだ(洋楽ミュージシャン風)。

本作は全8篇で構成されている。まずは重いジャブ程度のショック・シーンが炸裂する「独居死」。ショタ同士の美しい友情と、高港先生十八番の不気味すぎる造形が絡むハートフル&グロテスクな「赤鬼」。かわいい幼女からの(高港先生は女の子も可愛い)最悪の展開が最悪のタイミングで起きる「妹」。続け様に幼女で攻めてくる「2F」。個人的には絶対に埼玉県には近付かないでおこうと思った「ベビーカーの女たち」。もう本当に洒落にならない「障り」前篇・後編。そして不気味すぎる後味を残す「黒い団地」。怖いのは勿論、時にはハートフルに、時にはコミカルに、時には最悪の後味を残したり……本当に恐ろしい作品である。高港先生ファンである友人から「本当に怖い」と聞いていたので、かなりハードルを上げていたのだけど、それでも怖かった。それも尾を引く感じの、嫌な感じの怖さである。今、PCの画面越しに後ろを何かがよぎったように見えた気がしたが、もう気にしないようにしよう。

夏と言えば怪談。読んでいるだけで鳥肌が立ち、まさにクーラー要らず。寝苦しい夜には、さらに眠れなくなること請け合いだ。648円で買える極上に最悪な一冊。「うわぁ……」という気分になりたい方は必見だと言えよう。しかし今夜どうしよう、俺……。

【黒異本 (原作/外薗 昌也 作画/ 高港 基資)】…★★★★☆

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魂を抱いてくれ

鬱病になったんですが、氷室京介にハマりました。

鬱病になった原因は仕事のせいなんですが、細かい話は書けるようになったら書きたいと思います。とにかく最初は何か体の調子が悪いなぁ、何かやる気が出ないなぁ、気の迷いかなぁ……と思っていたのですが、3日間くらい一切眠れないわ、体は動かないわ、突然に失神するわ、街を歩いていたら急に号泣しちゃうわで、もう精神的にも肉体的にも弱りに弱ったわけです。で、家でテイラー・スウィフトの「ロミオとジュリエット」を題材にしたヒット曲「Love Story」を聴いたときに、「ロミオが迎えに来てくれて本当に良かった」とオイオイ泣いてしまいまして、これは本当にヤバいと思って病院に行ったんですよ。そこでちゃんと診断をされて、薬を処方されて、最近はようやく落ち着いてきたんです。折り合いをつけられるレベルになってきたというか。もう本当に病院最高という感じです。ちょっとでもヤバいと思ったら、とりあえず病院に相談に行きましょう。

話を氷室京介に戻します。そんな人生のドン底状態だった私を救ってくれたのが氷室京介なワケですよ。なぜ氷室京介なのか?と言いますと、そのキッカケは自分でもよく分からないんですね。別に昔から聴いていたわけではないんです。病気になってから流れ着いたと言いますか。

「流れ着 いた」というのは、精神的に凹み切った時に、それまで好きだったはずの音楽や映画が受け付けなくなってしまったんですね。それまで映画は「殺してやるぞ!」的なやつ、歌だと「教会を燃やせ!」「闘え!」みたいな歌が好きだったんですが、そういうのが聴けなくなってしまったんです。「殺せ!」にしろ「燃やせ!」にしろ、つまりは「頑張れ!」と鼓舞する系統のモノなんですよ。そういうのが凄くキツくなったんです。あとは「僕は君の友達だよ。一緒に頑張ろう」とか「ボチボチ頑張ろう」とか「俺はダメ人間だぁ!」系のヤツもキツかった。とにかくもう何もしたくない。前も後ろも見たくない……そんな気分だったんです。

で、そんなときに偶然にも氷室京介の歌を聴いたんですね。すると ポカリスエットのようにスッと心に入ってきたんです。それからは氷室京介をドンドン聴くようになっていきました。なんで氷室京介だけは入ってきたのか?今になって思えば、これは氷室京介のやっている音楽の特殊性にあるんじゃないかなと。

個人的に氷室京介の音楽というのは、社会に物申すぜ!とか人間かくあるべし!みたいな感じじゃなく(そういう要素が皆無だとは言いませんが)、主軸は「いかに氷室京介がカッコいいか?」だと思うんです。ラブソングにしたって「愛とは何か?」みたいなのじゃなくて、「ラブソングを歌う氷室京介がいかにカッコいいか?」を表現してるんじゃないかと(※あくまで個人の感想です)。ある意味で、AKBやジャニーズなどのアイドルたちの活動が、「この子たちを一番魅力的に見せる」の1点に集約されているのに近いんじゃないかなと。ただ、アイドルは それを事務所とかが主導でやってるわけですが、氷室京介の場合は氷室京介自身がやってるわけです。つまり氷室京介は氷室京介という存在その物をひたすら高めているんです。ロスに行ったり、いろんな作詞家と組んだりして、あらゆる手を使って自分のカッコよさを徹底的に追及していく。ひたすら高いところへ昇って行く感じです。

一方の私は地面にいるわけですよ。で、空へドンドン昇っていく氷室京介を見上げるしかない。ここが重要なんです。前述のように、前も後ろも見たくないという気分になっていた私に「上を見上げる」という新たな視点を教えてくれたわけです。「カッコイイ……」と、星を見上げるように呆然と 見てしまう。まさにスターなんだなと。氷室京介はひたすらカッコよ く、そのカッコいい氷室京介を見上げるだけなんです。説教をしてくるわけではなく、松岡修造的に何かを押し付けてくるわけでもない。ただただカッコイイ氷室京介を見せてくれる。カッコイイ場所にいてくれる。こっちはそれを見上げる。その距離感が心地よかったんですね。

で、そうやって氷室京介の音楽を聴いている内に、少しずつ音楽の門が開けてくると言いますか、普通に音楽が聴けるようになっていったんです。最近は以前のように「殺してやる!」系の曲も聴けるようになってきました。本当に良かったと思います。

つらつらと書いてまいりました。これは完全に私の個人的な話です。途中で挟んだ氷室京介論も、氷室京介や、他の氷室京介ファンの方に知られたら「テメー何を言ってる んだよ 」とボコボコにされるかもしれません。しかし、とりあえず人生に絶望していた時に、そこに一筋の光となって現れてくれたこと。そして、そこから少しずつ回復してきて、今では「頑張ろう」という気持ちになったのは、氷室京介のおかげです。そのことは何処かに書いておきたかった。

氷室京介は耳の不調などを理由に、近々引退するということです。寂しいですが、一ファンとしては、「お体だけはどうぞ大事に」と思うばかりです。ありがとうございました。

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囚人経歴

加藤ヨシキ

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