January 05, 2009

ディエンビエンフー 4

ディエンビエンフー 4 (4) (IKKI COMIX)

Su gap lai

気に入っていたディン将軍が…。
想像以上に呆気なかったです。
そして山岳民族チャム族が大活躍です。
モンタニヤードを中心とした部隊というのが、本当にあったということをはじめて知りました。
ふと、空爆により失われてしまったミソンの遺跡を思い出しました。

「またね!」という意味のベトナム語は“Hen gap lai”で、漢字では「再会来」と書くそうです。
4巻の最後に、ティムがパワーアップして帰ってきました。
今後の展開が楽しみです。

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January 02, 2009

バタフライ・エフェクト

バタフライ・エフェクト プレミアム・エディション [DVD]

きみを救うため、ぼくは何度でも過去に戻る。

「ある場所で蝶が羽ばたくと、地球の反対側で竜巻が起こる」。
“バタフライ・エフェクト”とは、初期条件のわずかな違いが、将来の結果に大きな差を生み出す、という意味のカオス理論の一つだそうです。
以前から気になっていて、冬休みのタイミングで借りてみました。

冒頭の「もし誰かがこのメモを見つけたならそれは僕の計画が失敗した証拠、その時僕は死んでいる。でももし僕が最初に戻れたらその時はきっと彼女を救えるだろう」という走り書きからぐいぐいと引き込まれてしまいました。
予測できない展開に焦りながら、最後まで退屈することなくあっという間に衝撃のラストを迎えます。
一呼吸置いて、そういうことかと納得しましたが、考えるほどに謎が謎をよんで、もう一度最初から確かめてみたいという気持ちになりました。

社会問題が時々に暗い影を落とし、こういう不幸の連鎖がなくなればいいのにといたたまれない気持ちになりました。
最後にケイリーと遭遇するシーンはoasisの“stop crying your heart out”が本当によく合っていて、やっぱり主人公のその選択はあまりに切ないものです。
DC版はもっと重いラストだそうですが、私はこの哀しいハッピーエンディングが一番好きです。

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みんなのいえ

みんなのいえ スタンダード・エディション [DVD]

玄関ドアが、内開き?

お正月に何か観たいなーと思ってレンタルショップに行き、そういえばずいぶん前に「みんなのいえ」を薦められたことを思い出しました。
誰に薦められたのかはすでに忘れてしまいましたが、住宅をつくることを職業にしているならきっと楽しめるよ、というようなことを言われました。

愛嬌があって、ドタバタだけれど最後にはしっかり魅せる、そんな三谷さんの作風が良い感じに出ている第二作です。
出ている俳優さんは著名な方ばかりで、それぞれが主張しすぎずに素敵な雰囲気をつくっています。
唐沢寿明さんや田中邦衛さんはもちろんですが、田中直樹さんと八木亜希子さんの夫婦が個人的にはすごく自然で良かったです。

二十畳の和室や“インチ”など突っ込みどころ満載で、最後に出来上がった家もこれかぁ…みたいな感じでしたが、まぁ実際そんなものなのかもしれないなと思いました。
温かいお茶とみかんを用意して、ほのぼの観られる作品です。

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December 27, 2008

白い嵐

白い嵐―アルバトロス号最後の航海

『やさしい月が海を光で染める時、哀しくもわれわれは美しいドミニカに別れを告げる』

例年よりも長めの年末は、毎日を大掃除に費やしています。
部屋の模様替えもして、かなり色々と捨てたり整理したりしました。
卒業の時にも片付けたのに、一年経つとまた随分とたまるものです。

パソコンも、併せて大掃除をしました。
もう7年目になるわけですが、CADやAdobe系ソフトで酷使したのに、よく働いてくれています。
今はメールかネットぐらいしか使わないので、余生という感じでしょうか。
モニタの画面を拭いて、エアダスターでキーボードの埃を払い、電源を抜いてから本体を掃除しようと開けたところ。

からん。

と、嫌な音が。
見ると謎の四角い物体がマザーボードの真ん中に転がっています。

mono

四方についたバネのとめ具が外れてしまい、さらに裏面の接着剤が劣化してパーツがとれてしまったようです。
しかしどこかに接続されているようでもなく、とりあえずデータのバックアップだけはとれるかも…と思い、ファンだけささっと掃除して、恐る恐る電源ON!!

何事もなかったように、普通に起動。
慌ててバックアップをとった後も、あまりに順調でむしろ拍子抜けしてしまいました。
すぐにでも買い替えを覚悟していたのに、その決心も鈍りそうです。
でも、突然発火したらどうしよう…。
どなたかお解かりになる方がいらっしゃったら教えてください。

チャック・ギーグ氏の『白い嵐』は、会社の先輩にお薦めしてもらいました。
最近読んで面白かった本が、さらっと言える人になりたいです。
船の部分部分の名前がわからず、何度も挿絵を見返して一通り頭に入れるのが大変でした。
しかし、それが主人公たちの最初の戸惑いと重なって物語に入り込めたと思います。
海難事故の実話を扱った話ですが、それよりも少年たちが様々なことを経験しながら大きく成長していく様子が丁寧に描かれています。
映画が有名なようですがそちらは観たことがなかったので、今度観てみたいと思います。

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December 21, 2008

神々の山嶺

神々の山嶺〈上〉 (集英社文庫) 神々の山嶺〈下〉 (集英社文庫)

何故山へ登るのか、という問いは、考えてみたら、何故生きているのかと問う行為と同じじゃないか。

社内で高尾山に行った時、なんとなく始まった“山の会”。
現在、会員2名。
登山部やワンダーフォーゲル部を想像させてしまう名ですが、正確には“山の本の会”です。
石塚真一『岳』という漫画が面白い、という話がきっかけではじまりました。

T君に最初に薦められたのが、この夢枕獏さんの『神々の山嶺』。
読んだ後に知ったことですが、作中の羽生のモデルは森田勝さんという方で、長谷のモデルは長谷川恒男さんだそうです。
登山家や冒険家が、自らなぜそこまで困難に立ち向かおうとするのか、少しはわかった気がします。
生きる意味を問いかけてくる感動の大作です。

きっかけは、ひとつの古いカメラ。
主人公である深町が羽生という山屋に魅せられていくにつれ、読者も物語に引き込まれて行きます。
特に登山中に幻覚、幻聴に襲われるシーンは鬼気迫るものがあり、読んでいて鳥肌がたちました。
夢を追いかける羽生を追いかける深町。
その深町の登山もまた、生きる意味を問いかけてきます。

ここにいて、死んだように生きてるくらいなら、山へ行って雪崩で死んだ方がましだ……

神々の山嶺(いただき) (1) (集英社文庫―コミック版 (た66-1))

漫画化されていて、こちらも読みましたがかなり原作に忠実です。
登山の専門用語や、山の地形、知らない道具など、絵が頼りになるのでオススメです。

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November 30, 2008

君に届け 6 7 8

君に届け 6 (6) (マーガレットコミックス) 君に届け 7 (7) (マーガレットコミックス) 君に届け 8 (8) (マーガレットコミックス) (マーガレットコミックス)

今思うと どうして恋愛感情かどうか悩んでいたのかわからない

CREAの2008年「私たちの最愛マンガ」BEST100の5位に入っていました。
ついついランキングを全て見てしまいましたが、名作漫画が多数入っている一方で、最近の漫画もかなり検討していました。
ちなみに、リンクで1992年のランキングも見ることが出来ますが、こちらにも入っている作品は、やはりいつかは読んでみたいです。

6巻はちづちゃんの気持ちが痛いほど伝わってきて、切ないです。
7巻から爽やか風早くんがどんどん嫌な感じになってくる一方で、相変わらず龍くんは気ままで良い雰囲気です。
以前「貞子に似ている」と言われた時に、「どの辺が?」と咄嗟に聞き返せなかったのですが、最近髪が伸びてますますそれらしくなってきたように思います。
見た目だけじゃなく、貞子のまっすぐな感じも見習いたいところです。

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さよなら渓谷

さよなら渓谷

何かを十数年思い続けることなど、人間には簡単なことなのだ。

忘れられないというのではなく、気がつけば思いを抱いたまま月日は徒に過ぎていきます。
十年前に思い描いていた未来より、思いもかけない変化があったようにも、まるで何も変わっていないようにも思います。
時折、自分自身は何も変わっていないのに、周りはどんどん変わっていって、ひとり取り残されてしまったような気持ちになります。
しかし、自分自身が変わっていないなど、きっと単なるエゴでしかないのでしょう。
過去の私は、今の自分に最も裏切られているのかもしれません。

吉田修一さんの『さよなら渓谷』は、そんなことを考えさせられる内容でした。
情景描写はうっとりするほど美しく的確な文章で、渓谷からのすっきりとした爽やかな風さえ感じられそうです。
あまり後味のよくない話なので、賛否両論分かれるとは思いますが、私は肯定的に読むことが出来ました。
どの選択が幸せかということは他人にはけしてわからないことで、それ以上に本人にはわからないことなのかもしれません。
同様に、自らの気持ちというものが最も危く不確かなものなのではないでしょうか。
この二人はこうするより他になかったのだろうという、哀しい結末です。

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November 28, 2008

普通のデザイン

普通のデザイン―日常に宿る美のかたち

「デザインとはまず人間の行動・思考に関する人類学的考察が必要であり、そのビジュアル表現がデザインである」

連休の最終日に、“フェルメール展”に行ってきました。
午前中だというのにすでに長い行列で、1時間近くも待ってようやく展示室へ。
30数点と言われるフェルメールの作品のうち、7点も一所に集められたのは本当にすごいことだと思います。
フェルメールはもちろんのこと、ヤン・ファン・デア・ヘイデンやピーテル・デ・ホーホの作品も並び、2000年の“レンブラント、フェルメールとその時代展”と比較すると、本当に豪華な展示です。

最初に目を引いたのは、ヘラルト・ハウクヘーストの“デルフト新教会の回廊”です。
教会建築を細密に描き、穏やかで静謐な空気が感じられます。
私は昔からこういった緻密な筆致の作品が好きで、飽かず眺めてしまいます。

デルフト新教会の回廊

隣の展示室には、お目当てのひとつ、ピーテル・デ・ホーホの“食料貯蔵庫の女と子供”がありました。
この絵画を知ったのはI教授のデルフト絵画の授業で、螺旋階段、窓から見える景色、左手の不自然な壁等、室内空間の描かれ方から想像を膨らましていくことの面白さを教わりました。
今回の企画展は、I教授にとっては垂涎ものの展示なのではないかと思います。

食料貯蔵庫の女と子供

フェルメールの作品の中で最も楽しみにしていたのが“小路”です。
何度も授業のスライドで見てきた作品でしたが、実際にはあまりに色味が異なっていて驚きました。
作品集では明るいレンガ色の外壁ですが、実際にはもっとくすんだ色合いで、庶民の質素で静かな暮らしぶりが感じられます。
また、“手紙を書く婦人と召使”は、レースの柔らかな質感が本当に綺麗で、はっとする美しさでした。

小路

手紙を書く婦人と召使

内田繁さんの『普通のデザイン』は、講演会の予習のために読みました。
ユニバーサルデザインという言葉が使われるようになって久しいですが、ガラスは割れるから美しいという言葉にもやもやしていた蟠りがすとんと消えたような気がしました。
日本の伝統から生まれるデザインとは何か?ということについて考えさせられました。
ただ、伝統的な考え方や慣習から、具体的なものをかたちづくる時には、やっぱりえいや!という瞬間があると思います。
その時にどういうことを考えているのか、そういう具体的な作品と結び付けての話が知りたかったです。

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November 24, 2008

パレオマニア

パレオマニア―大英博物館からの13の旅 (集英社文庫)

なるべく現地で専門家の話を聞き、熱心なアマチュアという二世紀ほど前の蒐集者たちの立場をなぞった。

旅をする前に出来るだけ勉強していきたいと思うようになったのは、東南アジアの建築史を専門とするようになってからです。
もちろん日本を旅する時にも、建築を見る機会がある場合には図面をコピーしたり論文に目を通したりということはしていましたが、海外に行く場合には特に一般書をよく読むようになりました。
他国の場合はその土地の歴史自体ほとんど知識として持っていないので、『地球の歩き方』の最後の方にある歴史の項目を活用する程度ですが、全体の流れを知っておくように心がけています。
アジア諸国は国境が曖昧なため、同じ文化圏の建築ばかりではないことも理由のひとつです。

池澤夏樹さんの『パレオマニア』は、たまたま書店で見つけてつい手にとってしまった一冊です。
裏表紙に書かれた言葉にどうしようもなく惹きつけられました。
大事なのはいいものが残ること。作者の名がなくてもそれ自身の力で生き残るようなものを作ること。だからそれを作った人間は美しいものを作っただけで幸福。

「パレオマニア」とは古代妄想狂ということ。
大英博物館の収蔵品からはじまる旅は、ありきたりな観光からさらに一歩踏み込んだもので、読者の想像を様々に掻き立てます。
紀行文としての体裁に、文明論や博物館学の要素もゆるやかに内包し、一篇を読むごとに長い旅を経験したような充実が感じられました。
池澤さんのものに対する向き合い方が素敵で、こういう姿勢で旅をしたいなぁと思いました。

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November 22, 2008

マノン・レスコー

マノン・レスコー

彼の旅行の唯一の動機は、彼に言わせれば、私に会って、私をフランスにつれもどすことだった。

某Kさんのお誘いで、オペラ『マノン・レスコー』を見に行くことになりました。
以前にも一度読んでいたのですが、この機会に改めて文庫を買って読み直してみました。

マノンが魔性の女で、デ・グリュウが懲りない男という印象以外、特にストーリーについて覚えていませんでした。
しかし読み始めると、意外と波乱万丈で引き込まれる展開です。
なんだかんだと言い訳をしつつ、落ちるところまで落ちていきます。
女性視点ですが、どちらかと言うとマノンの振る舞いは合理的にすら思えたので、デ・グリュウの自分勝手な言動に耐えられれば、読み進められると思います。

そしてマノンが最期の時を迎え、残されたデ・グリュウが悲嘆に暮れて物語が終わるのかと思いきや、ついにチベルジュ登場。
そこでようやく前回読んだ時の「題名は『チベルジュ』がいいんじゃないのか?」という感想を思い出しました。
とにかく友人チベルジュのデ・グリュウへの思いは並々ならぬものです。
どこまでも許し、助け、そして追いかけてきてくれる。
むしろ、これこそ本当の愛と言えるでしょう。
そしてようやくその愛に目が覚めたデ・グリュウ。
そんなチベルジュとデ・グリュウの愛の物語(のようにしか思えません)でした。

しかし、オペラと小説は一部ストーリーが異なっていて、残念ながらチベルジュは登場しません。
タダ券をもらって行ったプッチーニのガラ・コンサートでちょっとオペラに興味を持ち、今回はじめて本格的なオペラに挑戦しました。
めぐろパーシモンホールでキエフ・オペラによるものでしたが、オペラは観るのにすごくエネルギーが要りました。
歌の言葉がわからないので字幕を読まなければならないし、音を聴いて、演技を観て、それを同時にやるのはなかなか大変です。
CDをかけながら本を読んで、時々テレビ画面を見ているような感じがしました。
しかし、隣に座っていたお姉さんが号泣していて、そこまで物語に没頭していることに驚きました。
次回は、もう少し勉強して、明るいストーリーのものに挑戦したいです。

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