高岳堂Blog

上方落語を愛す


2005年からもう丸18年にもなる。きのうは吉朝忌。
例年なれば日本酒が恋しくなる時候だが、今年はなんとも、朝晩はさすがにひんやりだが日中は汗ばむほどの陽気で調子が狂う。
お世話になった方にいただいた落語研究会の全集はまだ封も切っていない。堪能する頃合いを思案している。


きょうは周年だったー。
18年。
もはや成人。
なにもしてないのに。


NHK「演芸図鑑」再放送で、柳家権太楼師の「代書屋」を聴いた。
マクラはカットされているようだが、一気に常識と非常識のズレの世界に誘う力はさすがというべき。
本籍が「東京都荒川区町屋二丁目26番地」のヒデさん(本名湯川秀樹)の発言や行動など、クスグリのエッセンスからすると、桂枝雀師が原型の模様。
サゲは「学歴は」「森友学園」「冗談言っちゃあいけない」。

丸17年の吉朝忌。
皆既月食の夜。
いつもの酒に浸る夜。
今年は今年の気がかりがある夜。
思う人は幾人もあるけれど、
あの人を思う夜。


たまたまTwitterで発見。久しぶりに「平成紅梅亭」の収録が行われる。
出演は、桂南光、笑福亭仁嬌、桂二葉、桂りょうばの各師。収録は9月22日(木)、読売テレビ内スタジオで。応募締切はあした9月16日(金)正午 (随時抽選)。
う〜ん、都合がつかない。残念。


このブログの開設が2005年からだから今年で17年を経過するわけだが、一時は強迫観念のごとく毎日のように更新していたけれど近頃は怠惰のせいで更新がままならない。情けないことではあるが、これも気概の問題。
けさは早くから起き出し、NHK「とっておき!朝から笑タイム」を観た。オンタイムでこういう番組を観るのも久しい。
演目は、桂小枝師で「悋気の独楽」。
メガネをしたまま。マクラは噺に関係ないところからじわじわ近づく。
噺に入ると、昔ながらの口調物言いが古風で、継承芸の真骨頂。伝統を打破してきた小枝師の落語は先祖返りである。


平成紅梅亭の公式Twitterで告知あり。
3月29日、4月5日、4月12日の火曜深夜に「東西特選落語会」の模様をオンエア。
当日の出演は[昼の部] 桂文枝、柳家喬太郎、神田伯山、月亭方正、[夕の部] 桂文枝、林家たい平、桂吉弥、瀧川鯉斗だったというので(喬太郎師とたい平師は三遊亭円楽師の代演)、放送での組み合わせがどうなるのか興味深い。
いずれにしても相変わらず平成紅梅亭の志向には敬意を払いたい。


けさのNHK「演芸図鑑」再放送を観た。
出演は、あさひのぼる、柳家花緑、トークゲストはふわちゃん。
花緑師は「二階ぞめき」。
吉原を材に採っているが、「冷やかしの醍醐味」という現代にも通ずる普遍的な心理をテーマに噺を構築しているので何ら問題もなく、若干の異文化はむしろ興味を掻き立てる要因にもなっている。加えて花緑師は流行りの「鬼滅の刃」を模した演出で(初回オンエアは昨年の10月)若い層へのアピールも怠らない。飽くなき追求心に敬服する。
目元がおじいさんの五代目小さん師に似てきた。


使い方がよくわからないTwitterが「あんたがマークしている人がなんか記事を投稿してるで」とお節介にも親切にも知らせてくる。
きょうは桂米ニ師の「誕生日と命日」と題したブログへの誘導のツイート。
本日が桂米朝師の丸七年の命日であることでブログを記されているのだが、載っている写真がまた貴重なもの。撮影当時の面々の顔触れに興味がわく。
2006年の絹子夫人の誕生日会でのショットは直弟子大集合の巻。2020年の五年祭の墓前での集合写真では一門の大きさと時の経過を思い知らされる。
さてわれわれは何を聴いて偲ぶか。


2月20日放送のNHK「演芸図鑑」の録画を観る。
出演は、インディアンズ、桂ニ葉、スペシャル対談は尾上菊之助。
ニ葉は「真田小僧」。
ませた子ども(おそらくは寅ちゃん)はさすがの絶品。父親はおとなの感触に不足を感じるが、子どもはデフォルメせずとも子どもらしく、女流の得ではあってもイキイキとした表現はニ葉ならではの味がある。
大阪の「真田小僧」は「初天神」の寅ちゃんである。よそのオッサンの風体が「白い洋服にステッキ」なのが時代ではあるが、対価が一銭であることは改善の余地あり。時代を普遍的にし、「残念!」など現代的なフレーズをセンスよくまぶしていけばよりおもしろくなりそう。多くはニ葉のニンのおもしろさが奏効しているのだろうとは思うが。


笑福亭銀瓶「師弟」読了。
師の自叙伝。
アイデンティティーに関わる出自については、後年の韓国語落語にも大いに関係するので避けて通れない事柄だが、一般的な在日三世の感覚はこうなのだろうと窺わせる語り口。韓国語の習得が独学というのは驚き。
タレント志望が上方落語家として成る決意や奥様との馴れ初め過程がやや言葉足らずに思える一方、持ちネタの選択やその稽古風景、あるいは演出の工夫は、普段隠されているが故に大変興味深い。
今回、執筆・出版に至ったのは皮肉にも新型コロナの影響かも知れないが、文章を書くのが好きそうなので、今後師匠に頼らない、落語のネタや上方落語界の裏事情に迫る本の上梓を期待する


1月16日放送のABCラジオ「日曜落語なみはや亭」の録音を聴いた。
去年11月の神戸新開地喜楽館でのプロ野球応援ウィーク公演から、桂小文枝師で「孝行糖」。
前段はプロ野球にまつわる思い出トーク。いわばフリートークのようなもので、実際公けにしゃべったことのある内容なのだろうけれど、ネタとしての構成が未熟な上にセリフテキストも十分腹に入っていないような話しぶりで、少々盛り上がりに欠ける(野球解説・福本豊氏関連の笑福亭仁智師のネタを借用したりしている)。
それに引き換え、落語「孝行糖」は十二分に練りに練られた完成度が際立つ。マクラの弱さがあったから余計に際立ったのかも知れないが、大の得意ネタとして商品になっている。


ABCラジオ「日曜落語なみはや亭」を聴く。
去年11月の神戸新開地喜楽館での公演から一挙に落語三席。
まず林家染八の「動物園」。南天師バージョンを下敷きにしているようだが、細部で独自の工夫を入れている。若手にとっては融通がきく噺のようだ。
次は桂そうばで「代書」。主人公は松本留五郎だが、職歴などのエピソードは変化をつけている。やや生煮えの印象に加え、かなりの訛り加減に引っ掛かりを覚える。
最後は笑福亭風喬「大安売り」。一連の高座の流れのどの位置での出番かと訝るが、彼ほどのキャリアでこの噺は、いとも容易く手のひらで転がすが如し。
興行における各人の軽重を含めて、ネタの選択に重要性が見られない感じがする。


1月9日放送のABCラジオ「日曜落語なみはや亭」の録音を聴く。
落語は昨年11月22日に神戸新開地喜楽館で収録の笑福亭銀瓶師「牛ほめ」。「プロ野球応援ウィーク」の中トリでの「牛ほめ」は少々軽いが、彼ほどのクラスのいわゆる前座ネタは安心して聴ける。実態はよくわからないが、もう少し客席が埋まっていれば、と思う。
トークゲストのコーナーは月亭八方師で、2月の会の告知。
最後に、3月6日に行われる「第120回上方落語をきく会」の告知。昼夜興行で、またラジオでの生放送 もしてはくれないだろうか。


午後1時過ぎから放送の「令和3年度NHK新人落語大賞」をオンタイムで観た(裏の「帰ってきた時効警察」を録画していたから)。
出演順に演目は、三遊亭好志朗「権助魚」、桂小鯛「親子酒」、笑福亭生寿「近日息子」、春風亭昇也「壺算」、林家つる子「お菊の皿」、桂二葉「天狗刺し」。
コンクールの参加資格は入門15年以下のプロの落語家二ツ目クラス。決勝での持ち時間は11分。
審査員は、桂文珍、柳家権太楼、片岡鶴太郎、堀井憲一郎、広瀬和生の各氏で、各人がそれぞれを10点満点で評価する。
戦前の見通しでは真打昇進直前という昇也かと思っていたが、昇也のほかに小鯛の出来もよかったので、最後の二葉に興味が高まった。
が予想を大きく上回り、なんとなんと、二葉の出来はすばらしかった。審査員の評価は全員10点満点。女流の「男の模倣」という難点を克服し、可愛らしい喜六を表現していた。また高座を離れても可愛らしく、たちまち観客を魅了してしまう。ほぼ初めてまともに聴いたが、これから上方の若手で最もイチオシしたくなった。なによりファンになった。


ついにこの日が来てしまった。10月7日、柳家小三治師が彼岸に旅立たれたという。
人間いつかは行かなければならない時が来るし、それがそう遠くない日だとはわかっていながら、先に先にと思いたいものだけれど、その時は来る。 
あとに残された者は彼の人を偲ぶしかない。合掌。


「らくらじ」で録っていた、先週9月26日放送のABCラジオ「日曜落語 なみはや亭」を聴く。
ABCのライブラリーから、1978年5月の桂枝雀「八五郎坊主」と1982年の正司敏江・玲児の漫才。
枝雀師の収録はなんば高島屋ホールでのものらしく、客席の反応もこじんまりした感じ。マクラ以降の噺の構成は「枝雀十八番」などのCD音源とほぼ同様だが、会場のキャパと人口密度の関係から、そう大きな反響とは言えないように思える。ライブの難しさはそういうところにある。
一方の敏江・玲児の漫才は、客の入りがいかほどかわからないが、会場が角座だけあってウケているように聴こえる不思議。往年の元夫婦漫才は古き良き時代のおもひで(敏江師が先月亡くなったとか。合掌)。


けさのABCラジオ「日曜落語なみはや亭」を録音して聴く。
落語は2019年の桂小春團治「アルカトラズ病院」。
そのあと小春團治師の直近の独演会の告知があって、トークゲストは笑福亭たま。
たま師がプロデューサーとして企画した「落語 for the future!」について。
11月10日から30日にかけて行われる、喜楽館、繁昌亭、動楽亭を会場にした「全部で200席!」の触れ込みの落語会。それぞれ「上方プレミアム落語会:ベテランの至芸!」「上方次世代落語会:次世代を担う若手がトリ!」「上方錬成落語会:今勢いのある落語家!」としてフューチャリングの差別化を図った企画。
文化庁の補助金予算を引っ張ってくる「株式会社笑福亭たま事務所」の意欲的な姿勢が刺激的である。
それにしても番組を見ていると、「ああ、この人がもう中堅とされているのか」とか「知らん名前がたくさんあるなあ」とか、浦島太郎である。


新型コロナワクチンの二回目接種から帰宅して、「さあ、しばらく安静にしとこ」とテレビを点けると、笑福亭仁鶴師の「代脈」が流れている。
MBSテレビの「追悼 笑福亭仁鶴さん〜天国ってどんなんかなー〜」のようだ。番組では仁鶴師の4年後輩にあたる六代桂文枝師、筆頭弟子で上方落語協会会長の笑福亭仁智師のインタビューと同局の放送番組の映像など。約30分の比較的短い番組なのでうわべをなぞるに留まっている印象だが、全編を観られなかったのは不覚。
終わり際、同局の9月5日(日)5時20分からの「らくごのお時間」で特別番組を放送するとの告知。「池田の猪買い」らしい。
昨夜はよみうりテレビで深夜に「平成紅梅亭」があったし、「ほんわかテレビ」でも師を偲ぶ構成だったし、思えばこのように各局で追悼番組があるはずとググってみる。すると、NHK Eテレ「日本の話芸」は、通常の日曜日14時はパラリンピックの中継だが、8月30日(月)15時のEテレと9月4日(土)4時半のNHK総合で師の「崇徳院」を放送するらしい。「NHK上方落語の会」で2012年に収録された一席。これも要チェック。
しかし思うに、世が世なら仁鶴師クラスの訃報では在阪各局とも追悼番組を組むはずで、落語演芸部門の弱体化が潜在としてあるのかしらんと嘆く。


最近は毎日朝4時半頃に起きて(前夜にチューハイやウイスキーの炭酸割を呑むのも原因だろうか、年とともに尿意で目が覚めることが多くなってきた)、コーヒーを淹れてパンを焼いて、よみうりテレビを見る。
このごろよく流れているCMが、東京の若手三人の落語会で、柳亭小痴楽・春風亭昇々・桂宮治のワンダースリーの会。平成紅梅亭Presentsという触れ込みで、上方の若手志向では客の入りが期待できないのかとぼんやり思いながら、そう言えば平成紅梅亭自体の放送はどうなっているのかしらんと番組ホームページを検索すると、なんとタイミングよく(と言うと不謹慎になるけれど)、笑福亭仁鶴師の追悼番組があるではないか。
曰く【先ごろ84歳で亡くなられた上方落語界の功労者・笑福亭仁鶴さんを偲び、8月27日(金)深夜1時26分から追悼特別番組を放送する予定です。平成紅梅亭に数多くご出演いただいた中から名演「青菜」「不動坊」「壺算」の3作品をたっぷりとお送りします】。
うーん、確かにこの三つの演目は師の得意とするところで、爆笑必至の噺ばかり。当然、録画予約。

このページのトップヘ