2011年09月14日

「でーれーガールズ」原田マハ

早苗さま。

「でーれーガールズ」(原田マハ、祥伝社、1470円)読みました。
ごく普通の高校生の友情と恋のお話です。
著者の原田マハは、親の転勤のため、高校生まで岡山市で過ごしたので、岡山市中心部の知ってるあちこちの地名がたくさん出てきて、楽しかったです。

岡山市内在住者限定ローカルネタ満載爆笑涙腺決壊泣き笑いティッシュ一箱必須小説でした。

岡山以外じゃ売れないんじゃないかと心配になります。
ご当地ミステリーが、それなりに人気があるように、ご当地青春小説もぼちぼち書かれているようです。

岡山弁も、でーれー楽しく、笑いました。

朋子
  
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2011年09月05日

「神変〜役小角絵巻」山本兼一

早苗さま。

台風は大変でした。
月並みながら、自然は脅威です。

5月に今回の台風で豪雨にみまわれている紀伊半島に行きました。
桜の季節の吉野までしか行ったことがありませんでした。
母が入院する前の5月の連休に
雪まだ深い八経ヶ岳と大台が原に登りました。
大峯奧駆道のほんの一部も歩きました。

長谷寺の牡丹はまだ早かったですが、途中立ち寄った当麻寺の牡丹は満開で、それはそれは素晴らしかったです。
次回は大津皇子を偲んで、見上げただけの二上山も歩いてみたいです。

何回か紀伊半島に通い、熊野古道やあちこち歩いてみました。
それでも、まだまだ足りません。
あそこもここも、行ってみたい歴史のいわれのある場所だらけで、奧が深い紀伊半島です。

「神変〜役小角絵巻」(山本兼一、中央公論新社)読んでみました。
カバーのポップな絵を見て、不吉な予感はしていたのですが、「利休にたずねよ」の作者だし…と期待もありました。
わたしには珍しく、最後まで歯を食いしばって読みました。
もうこの年なので、自分に合わない本を、歯を食いしばってまで読み通す必然性はないのですが。

きっと、役小角に対する興味、コミック「天上の虹」での持統天皇への想いが最後まで読み通させたのでしょう。

「日経おとなのOFF」先月8月号は、夏山賛歌2011でした。
祈りの山、学びの山、散策の山の特集で
祈りの山、霊山、修験道の山で、役行者=役小角の特集もありました。

この雑誌の記事の方が面白かったです。

わたしは、わたしの「役小角」像をまた探します。

日経おとなのOFF、今月号はミステリー特集で読み応えありました。
お見舞いにきた知人が、いいねっ!って持って帰ってしまいました。

朋子
  
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2011年08月08日

「犯罪」F・v・シーラッハ

早苗さま。

あっという間に8月です。
今年のミステリー外国部門は「最初の刑事」で決まり、と思っていたのに、また面白い本に出会ってしまいました。

「犯罪」フェルディナント・フォン・シーラッハ、東京創元社、1890円。
ドイツの高名な刑事事件弁護士である作者の短編集です。
短く端正で、悲しい。ドイツの裁判制度にも、詳しくなります。

11の物語がありますが、最初と最後のお話が好きです。
最後の物語には、希望もあります。
シーラッハの次作が早く翻訳されるのを楽しみに待ちます。

各紙の書評で取り上げられていた「刑務所図書館の人びと」もそれなりに面白かったですが、後半ジェットコースター読みしてしまいました。

国内ものミステリーは、沼田まほかる「ユリゴコロ」が今のところ、わたしのベストで、沼田まほかるの作品は全部読むつもりで、買い求めました。

病院の付き添い生活もずいぶん長くなりました。
老人病院ではあるけれど、ここもある意味、社会のフロンティアだなあ〜と思います。
死は、普通に隣にあり、医療制度の矛盾の中での医療現場の現実を感じ……

すっかり弱ってしまって、大人しくなった母のそばで、ミステリーを読んでいます。

朋子
  
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2011年07月25日

「最初の刑事」その2

早苗さま。


「最初の刑事」の感想の続きです。
読みたい!と思ったときは、岡山の丸善でも紀伊国屋でも売り切れ。Amazonでも2〜4週間待ちだったので、いやがおうにも高まる期待!!
今は増刷されたので、即日発送です。
本屋にも積み上げられているはずです。

すべてのことが、資料に基づき丁寧に書かれているので、警察や刑事のこと、裁判のこと、当時のマスコミのこと、刑務所での暮らしのこと、中流階級の暮らしぶり、あれもこれもそこから派生する興味が尽きません。

作者はなぜか、アガサ・クリスティには触れてないですが、アガサ・クリスティ好きのわたしとしては、動機の原点のようなものを感じました。

この事件より前にミステリーを書いたエドガー・アラン・ポーも凄い!と思います。読み直さねば!
この事件にインスパイアされた作品については、引用もされているし、列挙されているので、読んでみたいです。

エラリー・クイーンについて調べたら、二人の合作なんですね。しらなかった。
ミステリー史を復習するよい機会となりました。

最近何かで読んだのですが、エラリー・クインの後期作品のプロットについての議論の本があるようで、是非とも読んでみたいです。

次は、同じく書評で評判の「刑務所図書館の人々」を買ってみました。
若干活字が小さく、肩凝りを避けるためと、よい本を読み終えた後の余韻に浸るため、別の超ライトミステリーを、きっちり真ん中から読み始めました。
どうにもこうにも、出だしの冗長さに挫折してしまった本なので。
題名はロマンチックで好きなんですが。

朋子
  
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2011年07月22日

「最初の刑事」ケイト・サマースケイル

早苗さま。

携帯よりは便利でパソコンよりはだいぶ不便な、でも病院生活の最強ツール、Androidからの投稿なので、読みにくかったら、お許し下さいませ。

書評で絶賛されていた「最初の刑事」をやっと手に入れ(買い求めようとしたときは、品切れだったので、読みたい気持ちがつのりました。)読み終えました。

日経新聞の書評は、犯人の告白やその後のことまで言及。
いいんですか?とも思いましたが、そういう犯人が誰か、など超越したところに読みどころがあるんだな、と感じました。

しかも、読み終えてみれば、犯人を若干間違えてるし。書評の中身に間違い(わざと?)を見つけたのは、初めてで、少しうれしくもあり。
新刊書の書評のチェックは、どうなってるのかな〜などと考えてみました。

本は書評通りの、面白い犯罪ノンフィクションでした。
1860年に英国のカントリーハウスで起こった実際の幼児殺害事件を題材に、もたつく地元警察。興味本位で書き立てる新聞。呼ばれるスコットランドヤードの刑事(←彼とその仲間が英国の最初の刑事なのです)など資料に基づき、時系列順に書き起こされます。

1860年頃の英国の日々。
中産階級の日常生活。
丁寧で科学的な警察の捜査。
識字率が上がったことによる地方新聞の乱立とパパラッチ化。

ジェーン・オースティンの作品が恋愛小説の原形であるように、このロード・ヒル・ハウス殺害事件も、ミステリーや探偵小説の原点のように思います。

思わず、コナン・ドイル、アガサ・クリスティ、エドガー・アラン・ポー、エラリー・クインの生年・没年・活躍時期など一覧表にしてみました。

ノンフィクションなので、描写されるすべてが新鮮で興味深かったです。

(アガサ・クリスティのテレビドラマはすべて本物のよう、と思いこんでしまっている)
朋子
  
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2011年07月15日

「なずな」堀江敏幸

早苗さま。

病院で母の付き添いを始めて、2ヶ月になります。
最初はしなければならないことが、あれもこれもあり、
本を読む時間は全くありませんでした。
今は、悲しいことに、たっぷり本が読めます。

ハリー・ポッター並に分厚い本「なずな」(堀江敏幸、集英社、1800円)読みました。
独身の地方紙記者の男性が、海外出張中に交通事故に遭った弟と出産直後に難病で入院してしまった弟妻との間に生まれたばかりの赤ちゃん、なずなちゃんを育てるイクメン小説というか、保育小説です。

ふだんなら絶対読まないたぐいのこの本を読んでみようか、と思ったのは、
わたしも今、要介護5、生まれたての赤ん坊のように寝たきりで、
あれもこれも世話をしなければ生きていけない母のそばで暮らしているからでしょう。
本当に育児をしている気分です。

まだ独身のなずなのおじさんが、職場の人や近所の人の助けを自然に借りて、生まれたての赤ん坊の世話をする様子は微笑ましいです。

孤独に奮闘する実の母親より、ずっと健全で、なぜ一人で孤軍奮闘しながら子育てしている母親に
そういう愛の手がさしのべられないのか、悲しくなってきたりもします。

本を読むにもタイミングがあり、生と死の境目にある老人病院の
より死に近い部屋で横たわる母のベッドにぶら下がる
導尿パックの尿の色や量やうんちの回数や形状が一番の関心事だったりするわたしには、
本の中でかなり詳細に記述されるミルクを飲むこと、ゲップをすること、うんちやおしっこをすることが、身近で、親近感を感じてしまうのです。

要介護5で生まれ、要介護5で死んでゆく。育てて、看取れるわたしは幸せ者です。

なずなちゃんに負けないくらいかわいい母と共に
朋子
  
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2011年07月11日

「ユリゴコロ」沼田まほかる

早苗さま。

ご無沙汰しています。

久しぶりにミステリーを読みました。
「ユリゴコロ」沼田まほかる、双葉社、1400円。
テレビも見ず、新聞も読まず、
かろうじて日曜日の読書欄を一週間遅れで拾い読み、ネット環境にもなく、どんな本が流行っているかも知らず…‥
それでも短い書評に込められた「面白いっ!」オーラに満ちた「ユリゴコロ」は、本当に面白かったです。

最後にピースのかけらがカチッとはまる爽快感あふれた終わり方で、新鮮に読み終えました。

題名のユリゴコロとは、人が生きていく上での大切なキーワードなのですが、幼い登場人物が、聞き間違え、そう覚え込んでしまった概念のようなもので、その謎は早い段階で明らかにされます。

話はプライベートに戻りますが、自宅療養中だったわたしの母が入院して、もう2ヶ月です。
親を管だらけにはしない。延命治療はしない。
と、決めていたはずでしたが、母はわたしだけの母ではなく、父や弟や妹の想いが入り乱れ
今、管だらけで、病院のベッドに横たわっています。

本や映画には全く縁がない、忙しい日々でした。最近やっと超低空飛行で安定してきて、静かに横たわる母のそばで本を読む余裕が出てきました。

延命治療や脳死のこと、その是非について、当事者の視線で考えました。当事者の思いは、また別物でした。
しかしまた、冷静・冷徹な第三者の視線も大切にされるべき、とも思います。

少し本を読む時間が持て始めたので、新刊書や話題の本など読んで、心と身体をリラックスさせたいです。

ではまた。
朋子
  
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2011年01月10日

新年♪

早苗さま。

あけましておめでとうございます。

今年も忙しくなりそうです。
本はたくさん読もうと思っています。
年末に実用書を買いに行ったついでに
ミステリーなど買い求めました。

お礼が遅くなりました。
いつもすてきなカレンダーをありがとうございます。

毎日が「事件」の日々です。
母の要介護5は仕方ない、と思っていたのですが
体は不自由でも頭はしっかりしていると思っていた父も
実はボケ老人化しているのではないか
と思い始めました。どきっ。

本で得た知識と、習いに行って覚えた必死のリハビリの結果
寝返りができて、自分で起きあがれるようになった母は
皆が目を離した隙に
ふらりと立ち上がり、歩き始めて、どさっと倒れ
あごの下5針縫って、左手はギブスです。

ぐああああ〜〜〜〜ん。

寝たきりにしていた方がよかったのか!?
悩みます。

妹と
寝返りが出来るようになり、座れて、立ち上がれて
次、トイレトレーニングをしたら
おむつがはずれるか?

などと、真剣に話し合っています。

外部からみたら、大変かもしれないけれど
渦中にあっては
けっこう、笑いが絶えず
小さなことに喜びが感じられ
母の、女王然とした威厳に
いやされる日々です。

朋子  
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2010年12月21日

「乙女の密告」赤染晶子

早苗さま。

最近の芥川賞直木賞情報に疎いわたしです。
多分芥川賞受賞作だと思う「乙女の密告」読みました。

忙しすぎて新聞すらまともに読めない日々です。
熟読するのは、実用介護本のみ。
すがりついて読んで、役立ちます。
本って偉大だ、と思います。

「乙女の密告」は薄い、活字が大きい、という2点が気に入りました。

それに、なんとなくミステリー風。軽い。

イマドキの乙女は「赤毛のアン」を読まないように
「アンネの日記」も読まないようです。

イマドキの乙女たちに「アンネの日記」への関心を持ってもらうためだけに
受賞したのかも、と思いました。
それなら価値があります。

もっとほかの実力ある人に受賞させろ、と言う声もありますが
「じゃあ誰?」というと誰も答えられません。

「乙女の密告」は、わたしとしては、久々に面白く読んだ芥川賞受賞作でした。
答えがないのがよかったです。

朋子

  
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2010年12月18日

映画「ノルウェイの森」

早苗さま。

先週の土曜日封切日に、映画「ノルウェイの森」を見に行きました。
早稲田大学でのロケ風景がたくさん出てきて
懐かしさでいっぱいになりました。
わたしは若干ずれていますが、
村上春樹と同じ時期、同じキャンパスで過ごしました。

文学部キャンパスは今では昔と全く同じというわけではありません。
が、当時の授業の様子もよく再現されていて
ギリシャ哲学の授業が革マル派に乗っ取られるシーンは
わたしも全く同じ経験をしたことがあるので
思わず笑ってしまいました。

映画は原作のニュアンスをよく表していたと思います。
原作に思い入れがあればあるほど
映画化された作品には、がっかりすることが多いのですが
発売当時一回読んだきりなので
そんなに違和感を感じることもありませんでした。

独特の台詞のしゃべり方、美しい映像
村上春樹ワールドらしかったです。

あまりに普遍的すぎて、映画の時代が1970年頃ではなくて
現代であっても何の問題もないのに・・・・
むしろ時代を現代としてもよかったのではないか、とも思いました。

生と愛と性を突き詰める青春は、とても美しく苦しい。

でもわたしも年をとったのでしょう。
昔はそうだったなあ、と思ってしまった自分が少しさびしかった。
そして、そういう青春の苦しみとは無縁に
お気楽に生きていくことを選んだ今は今で、これでよかったと思いました。

映画のパンフはレコードジャケット風で
さりげなくおしゃれでした。

朋子
  
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2010年11月27日

屋久島宮之浦岳

早苗さま。

自宅リフォーム中で
キッチン、トイレ、お風呂が使えない不自由な生活をしています。
でもなんとかなるものです。

庭にテントを張り、簡易トイレとキャンプ道具があれば
暮らせます。
車で寝ても快適です。
コインランドリーも近くにあるし。

というわけで、一昨年から始めた山登りで
どんな状況になろうとも、生きていけるサバイバル技術が身につきました。
お皿は庭の水まき水栓で洗っていて
川の方が便利かも、な〜んて思ったりします。

混乱状態の自宅を離れて、屋久島に行ってきました。
今までは基本が車中泊利用の日帰り登山で、泊まりは営業山小屋の経験しかなく
無人小屋(=避難小屋)に泊まる山行は初めてです。

そのため、寝袋や食料、調理器具などの荷物が多く
ザックも大きく、重くなりました。
で、一日目は慣れないザックの大きさと重さに、ありとあらゆる人に追い越されるという
涙と汗の屈辱登山でした。

1ヶ月に35日雨が降るという屋久島で、奇跡のような快晴の中
「もう帰りたい・こなきゃよかった・しんどい」しか言わないわたしを
サポートしてくれた夫には感謝です。
写真も撮りたかったです。でも余裕がありませんでした。
一歩一歩前に進むのがやっとでした。
わたしって徳川家康みたい、と思った頃から少し余裕が。

晴れ渡った屋久島のあの山にもこの山にも立ち寄りたかった。
ただ今回は、わたしに体力がなかったので、とても残念です。
いつかまた挑戦したいです。

日の出とともに登り始めて7時間後、とうとう宮之浦岳山頂に着きました。
その頃にはコツも掴めて、いつものペースが戻ってきました。

出遅れたので、その日宿泊予定の新高塚小屋への到着も遅れました。
小屋の蚕棚は既に満杯。通路に寝袋を広げたり、詰めてもらったり
遅れた人もなんとかその夜の寝床を確保。

寝床確保に疲れ果て、夕飯は
港近くのお店で買った島野菜煮込みラーメンで大宴会、の予定が・・・
イトーヨーカ堂のおでんパックにサトウのゴハン2パックを混ぜた
おでんご飯という超手抜き山御飯でした。

暗くなった18時には、寝袋にホッカイロを仕込んで早々と寝ました。

皆が寝静まった20時半頃
ヘッドランプで夜の登山道を駆け抜けてきたフランス人親子二人が到着。
寝袋を広げる場所もないので、屋久島のガイドの方が手持ちのテントを小屋入り口に張って
貸してあげていました。
恐るべし連休の屋久島山小屋混雑状況。
60人は寝ていたような気がします。
最高80人泊まったこともあるそうです。

二日目は朝2時半頃から雨が降り始めました。
4時には出発準備を始める人が大半でした。
慣れない山道、それも雨。わたしたちは夜明けの6時半に出発しました。

縄文杉には下るだけ。あっというまに到着です。
確かに雨の登山は大変です。
でも屋久島は、雨の日に歩くのもいいかも、と思えました。
この緑。この苔。この水。この木々たち。

縄文杉とウィルソン株を経て、もののけ姫の森、白谷雲水峡へ。
もののけ姫の映画そのままの風景でした。
雨に煙る屋久島の森と水はすばらしかった。
次回はぜひ夏に来たい、と思いました。

予定通り、下山口16時発の港行きバスにも乗れました。

朋子

  
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捨てられない本

早苗さま。

わたしの家は築後47年です。
6月頃にガス管が腐食してガス漏れしている、とガス会社から言われました。
速攻ガス解約。

その日から台所でキャンプ生活が始まりました。
お湯はポットで沸かし、煮炊きはスーパーで買い求めたIH一口コンロ。
なんとかなっていました。

その後、あの暑い夏のさなかにエアコンが壊れ
電子レンジが31年の天寿を全うし
水道管も腐食し
家の寿命を感じました。

慣れとは恐ろしいもので
このまま老朽化していく家に、住み続けるつもりだったのに
夫が音を上げました。

ついに、トイレ・お風呂・キッチンのリフォームをすることになり
今我が家はてんやわんやです。

今片付けなければいつ片付ける、と言う気持ちで
いろんなものを処分しています。
流行の「断・捨・離」の本は読んでいないのですが
噂だけ聞いて、いろんなものをばっさり捨てました。

でも本だけは捨てられません。
本こそが一番処分しやすいものだと思っていました。
活字が小さくて絶対に読み直せない。
ガラスの扉付きの本棚に入れていたのに日焼けしてシミだらけ。
廃品回収に縛って出すのが一番簡単な処分法だとは思ったのですが。

服も靴も食器もその他もろもろ、処分できました。
でも本だけは、おいておきたい。
わたしの青春。わたしの人生。今のわたしを形作ったものだから。

わたし以外の誰にも価値のあるものではないのだけれど
せめてわたしが生きている間は、わたしのそばに置いておきたい。
もう読み返すことはないけど
背表紙を眺めておぼろげに内容を反芻したい。

そう思って取っておくことにして
なんだかほっとしました。

朋子
  
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2010年11月04日

霧氷と紅葉

早苗さま。

あんなに暑かった夏が、つい最近のことに思えるのに
肌寒い晩秋の日々です。

昨日は久しぶりの快晴で、四国に山登りに行きました。
西赤石山はかって別子銅山の山だったところです。

四国の植生にはないカラマツが植林されています。
カラマツの紅葉は終わりに近かったですが
登山口から見上げた頂上は真っ白で、朝日に輝いていたので
霧氷かも?と期待でドキドキしながら登りました。

登山道には花はほとんど咲いていませんでしたが
赤や黄色の落ち葉が美しく、たくさん拾ってきました。
何の葉っぱか調べなくては。

お天気がよくて日差しが強く、早く登らなくては溶けてしまうと思いながらも
足が遅い上に、紅葉した葉っぱを拾うにも忙しく
4時間弱で頂上へ。
南側の霧氷は強い風が吹くたびにパラパラと剥がされて宙に舞い
太陽の光を浴びて輝くダイヤモンドダスト。

夏の感覚から抜けきれなくて
服装計画に失敗し、若干寒い登山となりました。
(セーターやジャケットも持っていたんですが・・・)
紅葉と霧氷の組み合わせが美しく
澄み渡った空気の中、周囲のすべての山がくっきり見渡せ
楽しい秋の一日となりました。

朋子
  
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2010年10月27日

能楽師 伝承

朋子さま

いつもお手紙ありがとうございます。
東京も、急に寒くなってきました。

昨日、TOHOシネマズ六本木ヒルズで
田中千世子監督作品「能楽師 伝承」を見ました。
関根祥六先生、祥人先生、祥丸君
親から子、そして孫へと継承される芸を
綴った長編ドキュメンタリーです。
映画としては、少々、期待はずれ。
というのは、
関根ご一家のファンである私は、
祥六先生、祥人先生、祥丸君が
お目当てで、他のものは不必要な気がしたから。

新劇?俳優さんによる演技?やおしゃべりの部分がつまらなくて、
なんで、この映画に必要なのかも分りませんでした。
風景描写だけならいいのですが、
俳優さんの演技は全体に不自然で「ちぐはぐ」な印象を持ちました。
火曜サスペンス告白の大詰め場面みたいな断崖絶壁の上で、
エセーニンだったか?のロシアの詩を朗読する場面があったのですが、
そこも意味不明!

映画としては満足できなかったのですが、
ただ、ただ、
関根祥人先生が自然に生き生きと、
そこに「在る」のを見られて、嬉しかったです。
祥六先生が孫の祥丸君にお稽古をつけている場面があって、
そこにこそ、まさに「伝承」が描かれていて、
大満足。

もうひとつ、面白かったのは、
映画が終わったあとでおこなわれた
田中監督との質疑応答の中で
「能は映画と、とても似ている」というお話。
祥人先生も、そのことに言及していた由。
興味深いお話でした。

そして、なによりも、この映画には、
祥人先生が、能楽師として、
一段と深いところに行かれる直前であったような予感が
みちあふれていました。
本当にもったいない!惜しい!という思いが
あらためてこみあげてきたのでした。

早苗



  
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2010年10月23日

人生の秋

早苗さま。

夫が今年の3月で定年を迎え
「山登り」以外は地味に暮らしています。

夫母90才、わたしの父83才。母80才。
それなりに衰えてはいるのですが、
それなりに暮らしています。
親の人生はよい道しるべです。

医療保険を見直しているのですが
先のことは誰にもわからない、とはいっても
自分がこれからどんな人生を送りたいかなど
考えるよい機会となっています。

親の来し方を学び、自分の人生に想いをはせながら
物を減らそうとしています。

吉本隆明「老いの超え方」など、じっくり読む秋の夜長です。

朋子  
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2010年10月15日

忘れ物:山編

早苗さま。

いつも物忘れには悩まされています。
最近は「年のせい」という強力な言い訳を手に入れたので
ますます忘れ物が増えます。

山に行くとき、忘れ物をすると大変です。
命に関わります。
雨具、非常食、救急セット、レスキューシート、ヘッドランプなどは
常備品で、ザックに入れています。
山で迷子になっても、一日二日くらいは生き抜ける準備はしています。
迷子以上遭難未満をしたので、身にしみています。

ところで、人の忘れ物話を聞くのは、なかなか面白いです。

焼き肉ランチをしようとしたが、肉担当者が肉を忘れたので
肉なし焼き肉=野菜だけ、焼き肉のたれで食べた。とか。

準備万端整えて、北アルプスに向かったが、登山靴を積み忘れて
普段履きのウォーキングシューズで槍ヶ岳に登ったとか。

わたしも先日、涸沢行きに備えて、石鎚山に訓練登山に行ったとき
夫がわたしの登山靴だけ積み忘れていて
一瞬そのとき履いていた銀座で買った赤いタウンシューズで
登ろうかとも思ったのですが
靴が惜しいので、登山をあきらめました。


今回の涸沢トレッキンッグでは雨で冷えたので
夫がコーヒーを沸かしてくれるというのです。
みんな期待して待っていました。

ところが、肝心のコーヒーの粉を忘れた、とのこと。
で、コーヒー粉なしコーヒーを飲みました。

人生とはこんなものさ。

朋子
  
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2010年10月14日

錦秋の涸沢

早苗さま。

連休は北アルプスに行きました。

10月9日8時、雨の中、上高地ビジターセンターを東京の友人夫婦と4人で出発。
涸沢までの雨の20kmはなかなかハードでした。
涸沢ヒュッテには15時過ぎに着きました。

聞きしにまさる大混雑。
一度は経験してみたかった一つの布団に3人、というのは
残念ながら体験できませんでした。

予約していたので、男女混合寝袋27人部屋でした。
頭と足は交互。
仰向けではなく横向きに寝ます。
体格のよい人が仰向けに寝ていると
左右の人はドミノ倒しで足を隣の人の肩にかけたり
宙に浮かして筋トレ訓練状態で寝ます。


10日は5時半の段階で雨と濃霧のため、夫のみ穂高に向かい
友人夫婦とわたしは、その日の宿の明神館までゆっくり下ることにしました。

7時過ぎには雨も上がり、カールに虹が見えました。

すごい数の登ってくる人をかわしながら、振り返り、振り返り
錦秋の涸沢を後にしました。
横尾からは木漏れ日さす快適な道で、秋のハイキングを堪能しました。
夫は奥穂〜吊尾根〜前穂〜岳沢経由で明神館に5時到着。


11日は、明神館のテラスで朝焼けの明神岳を見ることができました。
あこがれの上高地帝国ホテルで1500円のケーキセット。
白骨温泉立寄湯に入って、帰る予定が・・・

あまりのお天気のよさに、つい畳平行きのバスに乗ってしまいました。
乗鞍さん。ついでに登る山にしてしまい、ごめんなさい。
ナナカマドの紅葉は涸沢の方が抜群によかったです。

13時に畳平(2700m)につき、大急ぎで頂上(3026m)へ。
16時の最終バスに間に合いました。
17時に駐車場を出発。
白川郷周辺の荘川ICあたり・名古屋・京都・大阪で渋滞にあい
夜中の1時半に無事岡山に帰ってきました。

初めての北アルプスはすてきでした。
次回はぜひ夏のお花畑シーズンに行ってみたいです。

山ってほんとうにすてき。
たとえ雨でも濃霧でも。
今回の秋雨の20kmハイクと大混雑の涸沢ヒュッテは一生の思い出です。

いや、もちろん
真っ赤に燃える涸沢のナナカマドと
横尾大橋横の金色に輝くカツラの紅葉は
充分堪能しました。



朋子
  
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2010年10月06日

「テルアエ・ロマエ」ヤマザキマリ

早苗さま。

久しぶりにコミックを読みました。
「漫画大賞2010」と「手塚治虫文化賞(短編賞)」のダブル受賞作品です。

若きローマの浴場設計者が、ときどき日本にタイムスリップ。
彼の目に写った日本のお風呂文化をローマ帝国で、活かします。

なんともありえない設定なのです。
日本のお風呂文化をローマ帝国時代の若者が見たらどう感じるか
浴場を通しての、ローマ帝国時代の庶民の暮らしぶり
このふたつのミスマッチというかグッドマッチというかが、笑えます。

塩野七生もいいですが、コミックも面白いです。
2巻まで出ています。

朋子
  
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2010年10月05日

ルバーブ

早苗さま。

ずっと謎の野菜だった「ルバーブ」を
北海道で農業をしている友人が送ってくれました。
早速にジャムにしてみました。
う〜ん。すっぱくて美味しい。
煮くずれていない、まだ固いままのときに、スプーンですくって食べてみました。
形は“太い蕗の茎”なのに、味は“りんご”です。

ルバーブをはじめて知ったのは映画だったか小説だったか。

気になるとあちこち目につきます。
欧米ではよくある野菜のようです。
「わたしを離さないで」(カズオ・イシグロ)にも描かれていたような気がします。
映画にもルバーブ畑が出てきたらいいなあ。

外国の小説や映画で出てくる食べ物や植物はとても気になります。
それが日常生活に根ざしたものならなおさらです。

「赤毛のアン」では植物の名前がお気に入りです。
あこがれ、というべきか。

そうして気になっていたものに直接出会えるとうれしいです。

永遠に解決しないものは
「若草物語」の塩漬けライムかもしれません。
原文も読んでみましたが、
わたしの中では永遠に「塩漬けライム」です。
青いライムを買って塩漬けしてみようか、と思ってたくらいです。
なんだったんでしょう。
エイミーがあれほどこだわった食べ物って。

朋子
  
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2010年09月29日

関根祥六傘寿記念能

まき子さま

本当に!
昔から、ふたことめには、
日本には四季がある!って聞かされてきました。
いつまでもあると思うな、日本の四季。。。でしょうか?

昨日は、雨の中、松濤の観世能楽堂に、
関根祥六先生の傘寿記念能を見に行きました。

宗家ならびに東西の大御所が大集合!

パンフレットの「お礼の言葉」に祥六先生が

「この御座敷にあるならば」との思いはございますが、これも常。

と書かれていて、胸がつまりました。
ロビーには遺影もかかげられていて、。
お写真に手を合わせている方が何人もおられました。

祥六先生のお孫さんの祥丸君が「高砂」を舞ったのですが、
その舞台姿に祥人先生から引き継がれたものを
確かに感じることが出来ました。
傘寿のお祝いと、祥人先生への鎮魂との気持ちが
ぎっしりとつまった能の一日でした。


早苗  
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