以下が審判規定、いわゆる七帝ルールです。高専柔道のルールを踏襲しています。
七大学柔道大会試合審判規定
前 文
七大学柔道大会は昭和二十七年に始められた。七大学柔道大会の母体とも云うべきものは、第2次大戦以前から高専柔道大会という形態で行われていた。現在国立七大学は、北海道大学・東北大学・東北大学・名古屋大学・京都大学・大阪大学・九州大学で構成されている。輝かしい伝統を持ち、環境のよく似た大学に在学する七大学柔道部員が一年間研究に研究を重ね鍛えに鍛えた技と力をお互いにぶつけあうために本大会は毎年一回開催される。本大会を通じて、お互いの切磋琢磨によって、日本の学生柔道を牽引していくような立派な七大学柔道を作り上げていかなければならない。柔道を学ぶなかで絶えず心身練磨、自己修養を心掛けることはとりもなおさず七大学柔道の発展に寄与することである。柔道は立技と寝技を同等に修得して初めて完成されるものである。この意味で七大学柔道は、寝技の実力向上を大きな目標としている。本大会において、第3回大会以来「引き込み」を認めているのはこのためである。また、試合の進行を円滑にし、実力を充分に発揮させるために、場内外の規定を弾力的に運用する。各合試者は本大会の趣旨をよく理解して正々堂々と試合することを心掛けねばならない。(以上の前文は、昭和48年に制定されたもの)
試合規定
第1条 各大学より1チームを出し、1チームの選手は20名とする。選手は各大学学部に在籍する学生とする。
第2条 試合の組合せ及び順序は、大会の前日に開かれる主将・審判会議の席上抽選をもって定める。但しその年の主管大学は第7番簸を当てるものとする。
第3条 試合者は選手の中から各試合ごとに15名選ばれる。残りの5名は補欠とする。試合者の出場は各試合ごとに随意する。
第4条 試合場は原則として5間4方(50畳)とし、外周にできるだけ広い余地をとることとする。
第5条 試合は、試合場内で行うものとする。ただし、試合者の双方または一方が故意ではなく場外に出た場合には、できるだけ試合の進行を中断しないという配慮から、審判員の判断により試合を継続させる。
第6条 試合は勝ち抜き試合とする。勝負は「一本」「技有2回」を一方が取ったとき、あるいは第21条、第24条〜第27条の規定によって決定される。勝者は次の出場順の試合者と対戦する。上記以外の場合は「引き分け」とし、両試合者は退場し、次の出場順の試合者が対戦する。
第7条 大将戦で試合の勝敗が決しないときは、両チームは試合者の中から代表者を随意に選び代表戦を行う。3回の代表戦でも勝敗が決しない場合は抽選にて決定する。ただし、決勝戦は勝敗が決するまで代表戦を続ける。同一選手が2度以上代表者となることはこれを妨げない。
第8条 試合時間は6分間とする。ただし大将ならびに副将の試合時間は8分間とする。代表戦の試合時間は6分間とする。なお、試合が中断された時間は上記の試合時間から除外される。
第9条 各大学チームは、部長、師範、監督、コーチあるいは卒業生の中から審判員として、少なくとも主審1名、副審2名を指名し、登録する。審判員は本規定に精通し、七大学柔道を指導できる者とする。
第10条 各試合の審判員は原則として主審1名、副審2名で構成される。主審は師範またはそれに準ずる者が行うものとする。各試合の審判員は、対戦する両チーム以外のチームから指名された審判員がつとめる。各試合の主審および副審が、同一チームの指名による審判員で占められることは原則として避ける。
第11条 試合者は、試合場の中央で2間の距離をおいて向かいあって立ち、互いに立礼を行い、一歩前に進み出て審判員の「始め」の宣告により、試合を始める。
第12条 試合者は、試合が終わったとき、開始時の位置に戻り、向かいあって立ち、審判員の指示あるいは宣告の後、一歩後ろにさがって、互いに立礼を行う。
第13条 対戦する両チームは、時計係を各1名指名する。指名された時計係は、試合時間、「抑え込み」時間及び停止時間(「待て」、「そのまま」)を測るとともに、試合時間の終了及び「抑え込み」の終了時間を鈴等によって審判員に知らせる。また、抑え込み「解けた」までの「抑え込み」時間は、その都度、適当な方法によってこれを審判員に知らせる。
第14条 試合は柔道衣を着用し、紅または白の紐を各々その帯の上に締める。柔道衣は下記の条件に合ったものでなければならない。
1.上衣の身丈は帯を締めたとき腎部を覆う程度とする。
2.袖は緩やかで、前腕最大囲のところで、袖口との空きが少なくとも5センチ以上あり、長さは前腕の半ばをやや越える程度以上とする。
3.下穿は絶やかで、下腿最大囲のところで、裾口との空きが少なくとも7センチ以上あり、長さは下腿の半ばをやや越える程度以上とする。
4.帯は上衣のはだけるのを防ぐため適度の締め方で結び、その結び目から15センチ以上の余裕ある長さであること。
第15条 試合者は爪を短く切り、また相手に危険を及ぼすものは、一切身につけてはならない。
審判規定
第16条 審判員の決定に対する抗議は、これを認めない。
第17条 主審は場内にあって試合の進行ならびに勝負の判定を司る。副審は、主審を補佐する。副審2名は場外の勝負の見やすい相隔たった場所にそれぞれ位置する。副審は、主審の判定に対して異なる意見があれば、速やかに主審に申し出なければならない。合議の上、主審は副審の意見を採用して判定を変更することができる。
第18条 「引き込み」はこれを認める。
第19条 主審は、試合者の施した投げ技または固め技を「一本」と認めたとき、「一本」と宣告して片手を上方に高く挙げたのち、「それまで」と宣告してその試合を止めさせ、双方を試合開始時の位置に戻らせたのち、手を挙げて勝者を指示して勝ちを宣告する。
第20条 主審は、試合者が、「技有り」をとったと認めたとき、「技有り」と宣告し、掌を下にして片手を側方肩の高さに挙げる。同一人が「技有り」を再びとったときは、「技有り」と宣告して片手を側方肩の高さに挙げたのち、「合せて一本」と宣告して片手を上方に高く挙げる。「それまで」と宣告して試合開始時の位置に戻らせたのち、手を挙げて勝者を指示して勝ちを宣告する。
第21条 主審は、試合者の一方が「技有り」をとったのち、他方が反則行為を行い「警告」を受けたとき、または試合者の一方が反則行為を行い「警告」を受けたのち、他方が「技有り」をとったときは、「総合勝ち、一本」「それまで」と宣告してその試合を止めさせ、双方を試合開始時の位置に戻らせたのち、手を挙げて勝者を指示して勝ちを宣告する。
第22条 主審は、勝負が決しないまま試合時間切れの場合は「それまで」と宣告してその試合を止めさせ、試合者双方を試合開始時の位置に戻らせたのち、手を上方から前方に下ろして「引き分け」と宣告する。
第23条 主審は、次の場合には「まて」と宣告して、試合を一時止めさせる。再び始めるときは、両試合者を試合開始時の位置に戻らせたのち、「始め」と宣告する。
1.試合者が場外に出て、試合の継続が不可能と判断されるとき。
2.試合者が反則行為を行ったとき。
3.試合者が負傷したり、発病したとき。
4.試合者の服装が乱れたとき。
5.試合者の一方が背後から搦みつき、相手が立ち上った場合、搦みついた試合者の両足が畳から離れたとき。及び下から三角固を施した場合、相手が立ち上ることにより、三角固を施した試合者の肩が畳から離れて頸椎に損傷を受けることが予想されるとき。
6.試合者の一方が立ち姿勢になり、下から技を施したり、引き込もうとする相手の体を引き上げて体が畳から離れたとき。
7.試合者の一方がうつ伏せて亀状の形をとり、両者が攻める意志がない場合または両者が離れたとき。
8.試合者の一方が「引き込み」を施したにもかかわらず、手や足がはずれて両試合者の体が離れた場合、「引き込み」を施された試合者が攻める意志がないとき。
9.その他、主審が必要と認めたとき。なお、主審が「まて」と宣告する以前に施した技は、試合者が場外にあっても判定の対象とする。
第24条 主審は、試合者が第26条に該当する反則行為を行ったとき、その行為の程度により、「注意」「警告」及び「反則負け」を判定し、その試合者に宣告する。なお、反則行為の判定は審判員の合議による。
第25条 反則行為の判定は次の基準により行い、処置する。なお反則に近い行為があった場合には適宜「指導」を行う。
1.「注意」。軽度の反則行為に対して「注意」を判定する。主審は「注意」の宣告を行う場合、試合を一時中止させ、両試合者を試合開始時の位置に戻らせたのち、両者を立たせたままで「注意」の宣告を与える。
2.「警告」。かなり重度の反則行為に対して「警告」と判定する。また「注意」に相当する反則行為を再び行ったときも「警告」と判定する。主審は「警告」の宣告を行う場合、試合を一時中止させ、両試合者を試合開始時の位置に戻させ、両者を正座させたのち、「警告」の宣告を与える。「警告」は「技有り」を相手にとられたものと同等にみなす。
3.「反則負け」。重度の反則行為に対して「反則負け」と判定する。「注意」を与えられた者がさらに「警告」を受ける反則行為を行ったとき、また「警告」を受けたのち、「注意」または「警告」に相当する反則行為を再び行ったときも「反則負け」と判定する。主審は「反則負け」の宣告を行う場合、試合を止めさせて、両試合者を試合開始時の位置に戻させ、両者を正座させたのち、「反則負け」の試合者を手で示しながら「反則負け」を宣告する。「反則負け」は「一本」を相手にとられたものと同等にみなす。なお、「反則負け」により勝負が決められたとき、勝者が負傷しており試合継続不可能であると審判員が判定したときは、その勝者のチームは代理として1名の試合者を補欠者より選び、出場させることができる。
第26条 下記の各項に該当する行為を反則行為とし、各反則行為に対する罰則を次のように定める。
下記の第1項〜第4項の反則行為に対しては「反則負け」と判定する。
1.柔道精神に反する暴力的行為を行うこと。
2.河津掛で投げること。
3.肘関節以外の関節を故意にとること。
4.主審が「まて」と宣告したのちに関節技を施すこと。
下記の第5項〜第9項の反則行為に対しては「警告」または「反則負け」と判定 する。
5.試合者が相手の体に危害を及ぼすような行為を行うこと。
6.柔道精神に反する言葉を発すること。
7.払い腰や内股などを掛けられたとき、相手の支えている脚を内側から刈りまたは払うこと。
8.相手および自己の頸部および脊柱に傷害を及ぼすような動作をすること。
9.試合者の一方が背後から搦みついたとき、これを制しながら、故意に同体となって後方に倒れること。
下記の第10項〜第24項の反則行為に対しては「注意」または「警告」と判定する。
10.故意に場外に出ること。
11.立った姿戦から腋固めを施す場合、一挙に体を捨ててとること。
12、故意に相手を場外に押し出すこと。
13.相手と組もうとしないこと。
14.主審が「まて」と宣告したのちに関節技以外の技を施すこと。
15.主審の指示に従わないこと。
16.胴部、頸部または頭部を直接両脚で挟んで絞めること。
17.背を畳についている相手を引き上げ、また抱き上げたのち、故意に相手を突き落すこと。
18.立ったまま柔道衣や帯を持った相手の手を膝や脚または足で蹴り離すこと。
19.立ったままで、試合者が互いの手の指を組み合わす姿勢を続けること。
20.故意に服装を乱すこと。また審判員の許可を得ないで勝手に帯等を締め直すこと。
21.帯の端や上衣の裾を相手の手に一周以上巻きつけること。
22.相手の顔面に直接手や足をかけること。
23.固め技のとき、故意に相手の帯や襟に直接足をかけること。また相手の指を逆にして引き離すこと。
第27条 相手の反則行為によらないで、試合者が負傷したり発病したとき、試合を継続するか中止するかは、審判員および負傷または発病した試合者の所属するチームとの協議によって決定する。中止を決定した場合には負傷または発病した試合者に「痛み負け」と主審は宣告し、その試合者は退く。相手の試合者は残って、次の出場順の試合者と対戦する。
第28条 「一本」の判定は下記の各項によって行う。
1.投げ技
(1)技を掛けるか、相手の技をはずすか、または相手の技を返して、相手を相当な勢いあるいははずみで、仰向けに倒して背面全体がほぼ同時に畳に接する技が施されたとき。
(2)仰向けになっている相手を凡そ肩の高さに巧みに抱き上げて立ち上がったとき。
2.固め技
(1)「参った」と発声するか、または手か足で相手または自己の体あるいは畳を2度以上打って合図したとき。
(2)「抑え込み」と宣告があったのち30秒間、抑えられた者が抑え込み技をはずすことができなかったとき。この場合、一つの抑え込み技から他の抑え込み技に変化しても完全に相手を制しているときは、「抑え込み」は継続しているものと認める。
(3)絞め技で明らかに落ちたとき、関節技で明らかに肘関節が脱臼したり、上腕骨が折れたとき。なお関節技で完全に極ったと主審が判定した場合、見込みで一本を宣告する。
第29集 「技有り」の判定は下記の各項によって行う。
1.投げ技で、完全に「一本」と認めがたいが、今少しで「一本」となるような技が施されたとき。
2.抑え込み技で25秒以上経過したとき。
3.巴投げを施したとき、直ぐには効果がなく、一度畳に背をつけた姿勢からなおもその動作を続け、それによって鮮やかに投げたとき。
第30条 主審は、抑え込み技が完全にその体勢に入ったと認めたとき。「抑え込み」と宣告しながら片手を試合者に向け、斜め下方に挙げる。「抑え込み」と宣告した後で技をはずしたときは「解けた」と宣告しながら、片手を体の前方で左右に数回早く振る。
第31条
1.宣告された「抑え込み」の場合、試合者が場外に出て試合継続不可能になる と主審が判断したときは、主審は「そのまま」と宣告して双方の動作を停止さ せ、その体勢のまま場内の適当なところに引き入れて、「よし」と宣告して試合 を継続させる。
2.場外に出て試合継続ができなくなると予想される寝技の場合、試合者双方の動作が一時停止し、しばらくその体勢に変化を生じないと見られるときは、前項と同様にして、その体勢のまま場内の適当なところに引き入れて試合を継続させる。
第31条第3項文案
「本条第2項は、立技の場合においても之を適用する。」
第32条 試合時間終了の合図と同時に施された投げ技は判定の対象となる。また「抑え込み」の宣告があった場合には、終了時間が来てもその結末がつくまで試合時間は延長される。
第33条 本規定に記されていない事態が生じた場合は登録された審判員の合議によってこれを処置する。