June 13, 2019

"Farther Along" The Byrds

fartheralong大変ご無沙汰致しております。昨年はPCが突然クラッシュしてしまいまして記事をエントリすることができず申し訳ございませんでした。今回はそういうことで2年ぶりの記事なんですが、幣ブログ"BYRD'S SELECT MUSIC"も昨日で開設から15年が経ちまして、おかげさまで15周年を迎えることとなりました。15年も経ちますと開設した2004年の頃と比べますとかなり時代も変わって現在はSNSの方が完全に主流となってしまいましたが、そんな状況の中でも頑張ってブログを書いておられるリンク先の方もおられまして、自分は頑張って書いておられる方々と比べると足元にも及びませんが、ここまで来て辞めるのももったいない気がしますので基本的には辞めないスタンスでたまに記事を書ければと思っておりますのでよろしくお願い致します。また以前は辞める時は「辞めます」と宣言することを書きましたが、そんな綺麗に辞めることはできないと思いましたので撤回しまして、お決まりの「そのまま放置」という形で辞めていくと思いますのでその辺りに適当に思っておいてください(笑)。この文章の展開だと今回で辞めるような感じに書いてしまってますが(笑)、気が向いたら今後も書きたいと思いますのでよろしくお願い申し上げます。さて今回のエントリですが、今回は15周年ということで1971年11月にリリースされた11枚目のアルバムで実質上ラスト・アルバムの『Farther Along』をご紹介したいと思います。

今回ご紹介するバーズの11枚目でラスト・アルバムの『Farther Along』は1971年11月17日にリリースされましたが、アルバム紹介の前に前作『Byrdmaniax』がリリースされた頃から今回ご紹介するアルバム『Farther Along』がリリースされる頃までのバーズの活動について簡単に書いてみたいと思います。この時期のバーズは1971年6月に前作『Byrdmaniax』をリリースした後は7月24日に行われるリンカーン・フォーク・フェスティバルに出演ためにイギリスへ向かい、7月22日から7月28日までの7月23・24・26日を除く実質4日間で今回ご紹介するアルバム『Farther Along』のすべての楽曲のレコーディングを行います。その後もライヴ・ツアー中心に活動しますが、11月17日に今回ご紹介する11枚目のアルバム『Farther Along』をリリースし、11月29日にはスキップ・バッティン&キム・フォーリー作の「America's Great National Pastime(コーラとアメリカ人)」(B面はトラディショナル・ソングでアルバムのタイトル曲でもある「Farther Along」)がシングル・カットされますが、翌1972年7月になりますとロジャー・マッギンがジーン・パーソンズのドラミングに不満を持っていたことから解雇し、9月からはセッション・ドラマーのジョン・ゲリンが一時的に参加しますが、他のミュージシャンのセッションに参加するために1973年1月に脱退し、その後はデニス・ドラゴン、ジム・ムーンといったセッション・ドラマーがライヴ・ツアーに参加しますが、1973年2月にスキップ・バッティンが脱退してしまい、ロジャー・マッギンとクラレンス・ホワイトの二人だけになってしまったバーズは当時マナサスに参加していたクリス・ヒルマンとジョー・ララを助っ人に2月23日と24日のライヴを行ったのを最後に一旦活動を終了します。そして、ロジャー・マッギンはこの活動終了の少し前からオリジナル・メンバーによる再結成アルバムとソロ・アルバムの制作を兼ねて活動しており、3月にリユニオン・アルバム『Byrds』、6月にはソロ・アルバム『Roger McGuinn』がそれぞれリリースされて順調な活動をする一方で、クラレンス・ホワイトは兄弟たちとのバンドを再開させたり、伝説のブルーグラス・バンドのミュール・スキナーを結成して活動してましたが、7月15日に交通事故で亡くなってしまいます。それでは今回ご紹介する11枚目でラスト・アルバムとなる『Farther Along』の内容ですが、8枚目のアルバム『Balld Of Easy Rider』から前作『Byrdmaniax』まで3作連続でプロデュースしていたテリー・メルチャーは解任されてメンバーがプロデュースを行い、メンバー以外の外部のレコーディング・メンバーもほぼなく、収録曲は全11曲中メンバーによるオリジナル曲が7曲、トラディショナルのアレンジも含めたカヴァーが4曲となっております。アナログでいうところのA面のオープニング・ナンバーはロジャー・マッギン作の「Tiffany Queen」で、バーズにしては珍しいチャック・ベリー風のロックロール・ナンバーです。2曲目のジーン・パーソンズ作の「Get Down Your Line」は作者のジーン・パーソンズがリード・ヴォーカルの渋いカントリー・ロック・ナンバーです。3曲目のこのアルバムのタイトル曲となる「Farther Along」はクラレンス・ホワイトがリード・ヴォーカルのカントリーのトラディショナル・ナンバーで、素晴らしい仕上がりとなっております。また前年の1970年にフライング・ブリトー・ブラザーズグラム・パーソンズのリード・ヴォーカルで取り上げてますが、1973年7月15日に亡くなったクラレンス・ホワイトの葬儀の帰りにグラム・パーソンズ(当時はソロ活動)とバーニー・レドン(当時はイーグルスのメンバー)がこのナンバーを歌ったといういわく付きのナンバーでもあります。4曲目のジーン・パーソンズ&スチュアート・ドーソン作の「B.B. Class Road」は当時バーズのローディーだったスチュアート・ドーソンのことを歌ったブルース調のナンバーで、リード・ヴォーカルもスチュアート・ドーソンがとっています。5曲目のバーニー・レドン(後にディラード&クラーク、フライング・ブリトー・ブラザーズ、イーグルスを渡り歩く)が在籍していたことでも知られるハーツ&フラワーズのメンバーだったラリー・マレイ作の「Bugler」はクラレンス・ホワイトがリード・ヴォーカルが渋いカントリー・ロックで、このアルバムの収録曲の中で個人的には一番好きなナンバーです。アナログでいうところのB面のオープニング・ナンバーのスキップ・バッティン&キム・フォーリー作の「America's Great National Pastime(コーラとアメリカ人)」はスキップ・バッティンがリード・ヴォーカルのヴォードヴィル調のナンバーで、アルバムからシングル・カットもされました。2曲目のロジャー・マッギン、スキップ・バッティン、ジーン・パーソンズ、クラレンス・ホワイト&ジミー・サイター作の「Antique Sandy」は当時バーズのロード・マネージャーだったジミー・サイター(後に兄のジョン・サイターと山下達郎のアルバム『CIRCUS TOWN』のB面をプロデュース)の彼女のことを歌ったロジャー・マッギンがリード・ヴォーカルのカントリー・ロック調のラブ・バラードですが、曲の途中でヴォーカルにサイケデリックっぽい加工をしたミックスになったりする不思議な曲です。3曲目のスキップ・バッティン&キム・フォーリー作の「Precious Kate(愛するケイト)」のリード・ヴォーカルはなぜかロジャー・マッギンですが、こちらもカントリー・ロック調のラブ・バラードに仕上がっております。4曲目のジョニー・オーティス作の「So Fine」は1955年のシークスがオリジナルで、1959年のフィエスタスのヴァージョンが有名なバーズとしては珍しいドゥーワップ・ナンバーのカヴァーです。5曲目のボブ・ラフキン作の「Lazy Waters」はスキップ・バッティンがリード・ヴォーカルのヘヴィーなカントリー・ロック調のバラードで、スキップ・バッティンがバーズのメンバーとしてリード・ヴォーカルをとったナンバーで個人的には一番好きな素晴らしいナンバーです。ラスト・ナンバーのジーン・パーソンズ&クラレンス・ホワイト作の「Bristol Steam Convention Blues」は中後期のバーズらしさの出たブルーグラスのインストゥルメンタルで、アルバムを締めくくります。2000年にリイシューされたリマスターCDにはボーナス・トラックとして1972年1月12日にテリー・メルチャーがプロデュースしてレコーディングされたデヴィッド・ウィッフェン作の「Lost My Drivin' Wheel」、翌1973年のリユニオン・アルバム『Byrds』リリースの際にオリジナル・メンバーで再レコーディングされたロジャー・マッギン作の「Born To Rock Ans Roll(生まれながらのロック稼業)」のこのアルバムでのメンバーで1972年4月18日にレコーディングされたヴァージョン、ロジャー・マッギンのソロ・アルバム『Roger McGuinn』に収録曲となるロジャー・マッギン&ジャック・レヴィ作の「Bug Full Of Money」の1972年7月にこのアルバムのメンバーでレコーディングされたヴァージョンが収録されております(後の2曲はロジャー・マッギンのプロデュース)。さらに2014年に日本のみでリイシューされたリマスターCDには「America's Great National Pastime(コーラとアメリカ人)」のモノ・シングル・ヴァージョン、1990年にリリースされたボックス・セットに収録するためにロジャー・マッギン、クリス・ヒルマン、デヴィッド・クロスビーによってレコーディングされた「He Was a Friend of Mine(友だちだった彼)」の新録音ヴァージョン(オリジナル録音ヴァージョンはセカンド・アルバム『Turn! Turn! Turn!』に収録)、ボブ・ディラン作の「Paths of Victory」、ジュリー・ゴールド作の「From A Distance」、ロジャー・マッギン&スタン・リンチ作の「Love That Never Dies」が追加で収録されております。今回ご紹介した11枚目でラスト・アルバム『Farther Along』は前作『Byrdmaniax』でのテリー・メルチャーによる過剰なストリングスを加えたプロデュースに嫌気を刺したメンバーによるプロデュースで、ロジャー・マッギンが打ち出した民主化政策によってクラレンス・ホワイト、ジーン・パーソンズ、スキップ・バッティンの楽曲も均等に収録されていることから他のアルバムと比べてロジャー・マッギンの個性は薄いですが、シンプルながらもロジャー以外のメンバーそれぞれの個性の出た素晴らしいアルバムだと思います。個人的なお気に入りのトラックはやはりクラレンス・ホワイトがリード・ヴォーカルの「Farther Along」と「Bugler」の2曲、スキップ・バッティンがリード・ヴォーカルの「Lazy Waters」であります。興味のある方は是非聴いてみてください。

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June 13, 2017

"McGuinn, Clark & Hillman" McGuinn, Clark & Hillman

mcginnclarkhillman6月に入りましてちょうど一週間ほど前に梅雨入りしまして当日こそ雨が降りましたが、その後は雨も降らずに湿度も少ないカラッとした過ごしやすい天気が続いており、いつものジメジメした梅雨の天気だと半夏バテ状態になってしまう自分にはありがたいと思っている今日この頃であります。さてここ何年も開店休業状態の幣ブログでありますが、おかげさまで昨日でブログ開設から丸13年となりました。こんなブログでありますが、少ないながらも読んでくださっている方がおられるのでここまで続けることがでました。本当にありがとうございます。今後も引き続きご愛顧の程よろしくお願い致します。そこで今回もネタ切れ寸前ですが、毎年この時期はバーズ関連のエントリということで、バーズのメンバーだったロジャー・マッギンとジーン・クラーク、クリス・ヒルマンが1970年代後半に結成したユニットのマッギン,クラーク&ヒルマンが1979年に発表したアルバム『McGuinn, Clark & Hillman』をご紹介したいと思います。

今回ご紹介するマッギン,クラーク&ヒルマンは元バーズのメンバーのロジャー・マッギンジーン・クラーククリス・ヒルマンの3人によって結成されたユニットで、元々は3人が各々で活動していた1977年に共同でツアーを行う話が持ち上がったのですが、クリス・ヒルマンだけがアサイラム・レコードとの契約が残っていたことから参加することができなかったようで、ロジャー・マッギンとジーン・クラークがキャピトル・レコードと契約し、1977年秋頃から2人でツアーやテレビ出演などの活動を行うようになります。そして、翌1978年の夏前にアサイラム・レコードとの契約が完了したクリス・ヒルマンが合流し、3人でツアー(中にはデヴィッド・クロスビーが参加したライヴもあったようです)やテレビ出演などを行い、翌1979年1月に今回ご紹介するアルバム『McGuinn, Clark & Hillman』をリリースします。その後もツアーやテレビ出演などの活動を続け(来日公演も実現)、アルバム『City』のレコーディングを開始しますが、その頃にジーン・クラークが脱退し、2人だけで活動を続けます。翌1980年には『City』(ジーン・クラークはゲスト扱い)と『McGuinn-Hillman』の2枚のアルバムをリリースしてツアーなども続けましたが、翌1981年辺りにコンビを解消して再び各々の活動に戻ることとなります。それでは今回ご紹介するアルバム『McGuinn, Clark & Hillman』の内容ですが、ロン・アルバートとハワード・アルバートの兄弟によるアルバート・ブラザーズがプロデュースで、全10曲でロジャー・マッギンが2曲、ジーン・クラークが4曲、クリス・ヒルマンが4曲のリード・ヴォーカルをとっていて、サウンドの方はこの時期に流行したAOR的なアレンジの楽曲が大半を占めています。アナログでいうところのA面のオープニング・ナンバーはクリス・ヒルマンがフライング・ブリトー・ブラザーズ時代の同僚リック・ロバーツと共作した「Long Long Time」は当時リック・ロバーツが在籍していたファイアフォールに近い作風の楽曲となっています。2曲目はジーン・クラーク作の「Little Mama」はゆったりとしたメロディの楽曲で、このアルバムの大半を占めるAOR的なサウンドのアレンジもよく合ってると思います。3曲目はロジャー・マッギン&ロバート・ジェイムス・ヒッパード作の「Don't You Write Her Off」(全米33位)は軽快でポップなナンバーですが、シングルとしてもリリースされてこのユニットでは最大のヒットを記録しました。4曲目はロジャー・マッギンがこのユニットを組む直前まで活動していたサンダーバーズのギタリストのリック・ヴィト作でクリス・ヒルマンがリード・ヴォーカルの「Surrender To Me」はこのアルバムでクリス・ヒルマンがヴォーカルをとった楽曲の中では一番出来の良いナンバーだと思います。5曲目はジーン・クラーク&S・クアントリル作の「Backstage Pass」はジーン・クラークらしさを感じるメロディ・ラインのナンバーで、このアルバムでジーン・クラークが提供した楽曲の中では一番出来の良いナンバーと言えると思います。アナログでいうところのB面の1曲目はクリス・ヒルマン&ピーター・ノブラー作の「Stopping Traffic」はアップ・テンポなロック・ナンバーです。2曲目はジーン・クラーク&テリ・メッシーナ作の「Feelin' Higher」は優しさを感じる曲調で聴いていて心地よいナンバーです。3曲目はクリス・ヒルマン作の「Sad Boy」は軽快でポップなロック・ナンバーです。4曲目はジーン・クラーク&トーマス・ジェファーソン・ケイ作の「Release Me Girl」は楽曲そのものは悪くないのですが、ディスコを意識したアレンジが少し無理があるように思います。アルバムのラスト・ナンバーはロジャー・マッギン&ロバート・ジェイムス・ヒッパード作の「Bye Bye, Baby」はロジャー・マッギンがソロ活動を始めた頃に戻ったようなアコースティックなアレンジのナンバーで、このアルバムの中では一番浮いたナンバーですが、個人的にはこのアルバムでは一番好きなナンバーだったりします。自分がこのマッギン,クラーク&ヒルマンを聴くようになったのはバーズ解散後の各メンバーの活動を追ってるうちに辿り着いたからなんですが、最初にこのアルバムを買って聴くようになり、その後の2枚のアルバムも聴きたくなったのですが、1990年代前半頃はその後の2枚のアルバムがGDで売ってなくて、アルバム1枚分の曲のダブりはありながらもエドセルから出ていた3枚のアルバムを2枚のCDにした『Return Flight』と『Return Flight Vol.2』を買って聴いておりました。3枚のアルバムの中でこの『McGuinn, Clark & Hillman』は先にも書きましたようにサウンドがAOR的なこともあってバーズらしさがほとんど感じられないのでバーズを思わせる楽曲を求めるならその後のアルバム『City』辺りの方が良いのかもしれないのですが、楽曲そのものの良さという点で3枚のアルバムの中でこの『McGuinn, Clark & Hillman』を選びました。興味のある方は是非聴いてみてください。

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June 13, 2016

"The Notorious Byrd Brothers" The Byrds

thenotoriousbyrdbrothers6月ももう半月近くが過ぎまして、梅雨のこの時期らしい天気が続いております。今年の梅雨入りもほぼ平年通りだそうで、暑さの方も数年前に記録した35℃を超える猛暑もなく、この時期らしいジメジメとした湿度の高さを感じるもので、それでも暑さに弱い自分には嫌な季節になってきましたが、まだエアコンのお世話になってないだけマシかなと思ってる今日この頃であります。さてほぼ放置状態の続いている幣ブログでありますが、おかげさまで昨日で丸12年を迎えまして、ここまで続けることができましたのも、こんな放ったらかしの幣ブログでも読んで下さっている方々のおかげでございます。今後もこんな感じで細々と続けていければと思っておりますので、引き続きご愛顧の程宜しくお願い申し上げます。そして、今回のエントリはネタ切れ寸前になってきてますが、毎年ブログ開始○周年記念のエントリはバーズ関連のエントリとなっておりますので、今回は1968年にリリースされたバーズの5枚目のアルバム『The Notorious Byrd Brothers(名うてのバード兄弟)』をご紹介したいと思います。

今回ご紹介するバーズの5枚目のアルバム『The Notorious Byrd Brothers(名うてのバード兄弟)』は1968年1月15日にリリースされましたが、アルバム紹介の前に前作『Younger Than Yesterday(昨日より若く)』がリリースされた頃から今回ご紹介する『The Notorious Byrd Brothers(名うてのバード兄弟)』がリリースされる頃までのバーズの活動について簡単に書いてみたいと思います。この時期のバーズは1967年2月に前作『Younger Than Yesterday(昨日より若く)』をリリースした後は2月末から3月にかけてスウェーデンとイギリスに渡ってテレビ出演などを行います。そして、同じく3月13日にアルバムからのシングル・カットでボブ・ディランのカヴァー「My Back Pages」(全米30位)(B面は"デヴィッド・クロスビージム・マッギン作の「Renaissance Fair」)がリリースされます。その後はアメリカ国内でライヴやレコーディングなどの活動を行い、5月22日にはまたもアルバムからのシングル・カットでクリス・ヒルマン作の「Have You Seen Her Face」(全米74位)(B面はアルバム未収録でジム・マッギン&クリス・ヒルマン作の「Don't Make Waves」)がリリースされます。そして、6月17日にはモンタレー・ポップ・フェスティバルに出演しますが、デヴィッド・クロスビーは翌6月18日にもニール・ヤングの代わりにバッファロー・スプリングフィールドのメンバーとして出演したことから、ジム・マッギンとクリス・ヒルマンから反感を買うこととなります。そして、6月21日から今回ご紹介する5枚目のアルバム『The Notorious Byrd Brothers(名うてのバード兄弟)』のレコーディングに突入し、7月13日にはデヴィッド・クロスビー作でアルバムには未収録のシングル「Lady Friend」(全米82位)(B面はアメリカとヨーロッパではクリス・ヒルマン&ジム・マッギン作で今回ご紹介する5枚目のアルバム『The Notorious Byrd Brothers(名うてのバード兄弟)』にも収録された「Old John Robertson(年老いたジョン・ロバートソン)」(ただしこのシングルとアルバム収録のものではミックスが異なります)、イギリスでは先述したジム・マッギン&クリス・ヒルマン作でアルバムには未収録の「Don't Make Waves」)がリリースされます。そして、8月7日にはバーズ初のベスト・アルバム『The Byrds' Greatest Hits』がリリースされ、その後もアルバムのレコーディングとライヴなどの活動が並行して行われますが、9月になるとデヴィッド・クロスビー作で後にジェファーソン・エアプレインが取り上げる「Triad」のレコーディングが難航していたこともあってアルバム用の楽曲のレコーディングが遅れていたことから、急遽ジェリー・ゴフィン&キャロル・キング作でダスティ・スプリングフィールドのカヴァーとなる「Goin' Back」(全米82位)をレコーディングすることを決めますが、デヴィッド・クロスビーはそのレコーディングに参加しなかったことと「Triad」をアルバムに収録しないと決定したことに反発したことから、10月にロジャー・マッギンとクリス・ヒルマンから解雇を言い渡されて脱退することとなります。その後のデヴィッド・クロスビーについてはみなさんもご存じと思いますが、元バッファロー・スプリングフィールドのスティーヴン・スティルスと元ホリーズグレアム・ナッシュクロスビー,スティルス&ナッシュを、その後ニール・ヤングを加えたクロスビー,スティルス,ナッシュ&ヤングをそれぞれ結成し、バーズ在籍時以上の活躍をすることとなります。一方、デヴィッド・クロスビーの抜けたバーズは1966年に脱退したオリジナル・メンバーのジーン・クラークが復帰して先述の「Goin' Back」(全米89位)やアルバムのラストに収録された「Space Odyssey」のレコーディング、テレビ出演などに参加しますが、そのジーン・クラークもディラード&クラークを結成するために脱退してしまいます。そして、10月20日にシングル「Goin' Back」(全米89位)(B面はクリス・ヒルマン&ロジャー・マッギン作の「Change Is Now(今が転機)」)がリリースされ、その後もアルバムのレコーディングは続きますが、レコーディングが終了した12月にドラマーのマイケル・クラークが脱退してしまいます。マイケル・クラークの脱退した理由については、このアルバムのレコーディング・セッションで彼は収録曲の半分程度しかドラムを叩いておらず、残りの約半数の楽曲をジム・ゴードンやハル・ブレインといった腕利きのセッション・ドラマーを起用したことに不満があったことだそうです。また正確な時期は不明ですが、リーダーのマッギンはこの1967年に宗教上の理由でそれまでの"ジム・マッギン"から"ロジャー・マッギン"へ改名しています。そして、1968年を迎えて正式なメンバーはロジャー・マッギンとクリス・ヒルマンだけになりましたが、1月15日に今回ご紹介する5枚目のアルバム『The Notorious Byrd Brothers(名うてのバード兄弟)』がリリースされ、アメリカでは47位とまずまずのチャート成績でしたが、イギリスでは12位と前2作以上のヒットとなりました。それでは今回ご紹介する5枚目のアルバム『The Notorious Byrd Brothers(名うてのバード兄弟)』の内容ですが、プロデューサーは前作に続いてゲイリー・アッシャーで、レコーディングにはメンバーの他にドラマーのジム・ゴードン、ハル・ブレイン、ギタリストのクラレンス・ホワイト、バック・コーラスにカート・ベッチャー、ゲイリー・アッシャーなどのセッション・ミュージシャンも参加していて、収録曲は全11曲中メンバーによるオリジナル曲が9曲、カヴァーが2曲となっております。アナログでいうところのA面のオープニング・ナンバーとなるロジャー・マッギン,クリス・ヒルマン&マイケル・クラーク作の「Artificial Energy(人造エネルギー)」はホーンを導入したブラス・ロック風のアレンジのナンバーですが、アルバムのレコーディング・セッションの最後に録音されたこともあり、少々やっつけ仕事的な感じがする微妙な仕上がりな楽曲だと個人的には思います。2曲目のジェリー・ゴフィン&キャロル・キング作でダスティ・スプリングフィールドのカヴァーとなる「Goin' Back」(全米82位)は先述しましたようにデヴィッド・クロスビーの脱退のきっかけとなってしまった先行シングルのナンバーですが、このバーズのカヴァーは特にハーモニーが素晴らしく、後に作者のキャロル・キングも自身のアルバム『Writer』と『Pearls: Songs of Goffin And King』で2度もセルフ・カヴァーしているように、素晴らしい楽曲といえると思います。3曲目のクリス・ヒルマン作の「Natural Harmony(自然なハーモニー)」はラーガ・ロック的な香りのするサイケデリックなナンバーですが、アルバムに合わせてこういった曲作りをするクリス・ヒルマンの器用さに感心させられます。4曲目のデヴィッド・クロスビー,クリス・ヒルマン&ロジャー・マッギン作の「Draft Morning」は元々デヴィッド・クロスビーが書いていた楽曲をロジャー・マッギンとクリス・ヒルマンの2人が仕上げたナンバーということですが、楽曲自体はデヴィッド・クロスビーらしい浮遊感の漂うナンバーで、そこにバーズらしいハーモニーが加わって、個人的にはアルバム前半では一番出来の良い楽曲だと思っています。5曲目のジェリー・ゴフィン&キャロル・キング作でキャロル・キングが自身で結成したバンド”ザ・シティ”のアルバム『Now That Everything's Been Said』と自身のアルバム『Pearls: Songs of Goffin And King』でもセルフ・カヴァーした「Wasn't Born To Follow」はバーズが後に展開するカントリー・ロック的なアレンジが感じられるナンバーで、後に映画『イージー・ライダー』のサウンドトラックにも使用されることになります。6曲目のクリス・ヒルマン&ロジャー・マッギン作の「Get To You」はワルツ調のハーモニーが美しいナンバーですが、最近になってこの楽曲はジーン・クラークとロジャー・マッギンが書いたものだという説があるみたいで、CDなどのクレジットを見ても作者はクリス・ヒルマン&ロジャー・マッギンとなっていて真相は定かではありませんが、もし御存じの方がおられましたらご教示いただけばと思います。そして、アナログでいうところのB面のオープニング・ナンバーはクリス・ヒルマン&ロジャー・マッギン作の「Change Is Now(今が転機)」は先行シングル「Goin' Back」(全米89位)のB面曲ですが、フォーク・ロックの曲調にカントリーやサイケデリックの要素を融合させたといえるナンバーで、バーズの過去・現在・未来が入り組んでいるようなこのナンバーはこのアルバムの立ち位置を象徴してる曲なのかなと個人的には思ったりします。2曲目のクリス・ヒルマン&ロジャー・マッギン作の「Old John Robertson(年老いたジョン・ロバートソン)」はシングル「Lady Friend」(全米82位)のB面曲でシングルとはミックスが違いますが、このナンバーも「Wasn't Born To Follow」同様にバーズが後に展開するカントリー・ロック的な要素が垣間見れるナンバーといえます。3曲目のデヴィッド・クロスビー&クリス・ヒルマン作の「Tribal Gathering(部族集会)」はデイヴ・ブルーベック・カルテットの「Take Five」を思わせる4分の5拍子を取り入れたナンバーで、変拍子がハマるとクセになるほど心地良いナンバーです。。4曲目のデヴィッド・クロスビー,クリス・ヒルマン&ロジャー・マッギン作の「Dolphin's Smile」はイルカ好きのデヴィッド・クロスビーが中心になって書いたナンバーで、曲中にイルカの鳴き声が挿入されたりしてますが、デヴィッド・クロスビーとクリス・ヒルマン、ロジャー・マッギンの3人によるハーモニーが美しいナンバーに仕上がっています。アルバムのラスト・ナンバーはロジャー・マッギン&ロバート・ジェイムス・ヒッパード作の「Space Odyssey」はバーズお決まりともいえるお遊び的なナンバーですが、ロジャー・マッギンがこのアルバムの他の楽曲にも積極的に導入したモーグ・シンセサイザーを前面に押し出したものとなっています。そして、1997年にリリースされたリマスターCDにはロジャー・マッギン作のインストゥルメンタル「Moog Raga」、マイケル・ブリューワー&トム・マスティン作のインストゥルメンタル「Bound To Fall」、デヴィッド・クロスビー作で後にジェファーソン・エアプレインが取り上げたことでも知られる「Triad」、「Goin' Back」の初期ヴァージョン、「Draft Morning」のエンディング違いヴァージョン、「Change Is Now(今が転機)」のインストゥルメンタルから始まり途中からこのアルバムのラジオCMになり、最後は「Dolphin's Smile」のセッションになる「Universal Mind Decoder」が収録されており、また2012年にリリースされたモノラル&ステレオの両方の音源を収録したリマスターCDには収録時間の関係で1997年版のボーナス・トラックは未収録となりましたが、その代わりにデヴィッド・クロスビー作のシングル「Lady Friend」(全米82位)とそのB面曲でクリス・ヒルマン&ロジャー・マッギン作の「Old John Robertson(年老いたジョン・ロバートソン)」のモノ・シングル・ヴァージョンが収録されています。今回ご紹介したアルバム『The Notorious Byrd Brothers(名うてのバード兄弟)』は当時ビートルズが発表して一大ムーヴメントとなっていたアルバム『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』に影響を受けて制作されたバーズ版トータル・コンセプト・アルバムといえるもので、楽曲面でメンバーによるオリジナル曲以外の曲を採用したのはトータル・コンセプト・アルバムという観点からは残念ではありますが、メンバーによるオリジナル曲もフォーク・ロックをベースにサイケデリックやジャズ、カントリーなどの様々なジャンルの音楽を上手くミックスしたものを作り、サウンド面で今回モーグ・シンセサイザーを積極的に取り入れて独特の世界観を表現したところが、このアルバムの聴きどころではないかと思います。またプロデューサーのゲイリー・アッシャーとバック・コーラスで参加したカート・ベッチャーはこの『The Notorious Byrd Brothers(名うてのバーズ兄弟)』と同じく1968年にリリースされたソフト・ロックの名盤とされるサジタリアスの『Present Tense』とミレニウムの『Begin』の制作をほぼ同時期に行っていたということもあるので、この『The Notorious Brothers(名うてのバード兄弟)』はそういったソフト・ロックが好きな方々にも好まれているアルバムともいえます。ダラダラと長いアルバムの説明になりましたが、アルバムは全編通しても30分弱と短い収録時間であっという間に聴けますすので、少しでも興味を持たれた方は是非とも聴いてみてください。

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June 13, 2015

"Ballad Of Easy Rider" The Byrds

balladofeasyrider6月ということで梅雨入りしてから1週間ほど経ちますが、雨の日とそうでない日がほぼ半々といったところで、雨の降り方としては結構しっかり降ってる感じであります。それでも暑さの方はここ数年と比べるとまだマシな感じではありますが、これからは湿度も高くなって蒸し暑くなってきますから、年齢も年齢ですので体調管理もしっかりしないといけないなと思う今日この頃であります。さて今回のエントリですが、昨日でこのブログを開始して11年となりましたので、毎年恒例のバーズ関係のエントリということで、今回は1969年11月10日にリリースされたバーズの8枚目のアルバム『Ballad Of Easy Rider』をご紹介したいと思います。

今回ご紹介するバーズの8枚目のアルバム『Ballad Of Easy Rider』は1969年11月10日にリリースされましたが、アルバム紹介の前に前作『Dr. Byrds & Mr. Hyde(バード博士とハイド氏)』がリリースされた頃から今回ご紹介する『Ballad Of Easy Rider』がリリースされる頃までのバーズの活動について簡単に書いてみたいと思います。前作『Dr. Byrds & Mr. hyde(バード博士とハイド氏)』のリリースから多少前後しますが、この時期のバーズはアメリカ本国でのライヴを行いながら(この時期のライヴは2000年にリリースされたライヴ・アルバム『Live At The Fillmore - February 1969』で聴くことができます)、同じく2月に映画『イージー・ライダー』で使用されるロジャー・マッギン作の「Ballad Of Easy Rider」とボブ・ディランのカヴァー「It's Alright, Ma (I'm only Bleeding) 」をロジャー・マッギンのソロ名義でレコーディング(マッギンの他にはジーン・パーソンズがハーモニカで参加)を行います。ここで映画『イージー・ライダー』のサウンドトラックとしてロジャー・マッギン作の「Ballad Of Easy Rider」が使用されるのですが、元々この楽曲は主演のピーター・フォンダがボブ・ディランに依頼し、ディランは少しだけ作詞をしたところで続きをマッギンに依頼して完成したもので、楽曲のクレジットも本来ならディランとマッギンの共作となるところがマッギンの単独作となっているのは、ディランが映画の内容を気に入らなかったのでクレジットも拒否したためであります(「It's Alright, Ma (I'm Only Bleeding)」のディランのヴァージョンの使用の許可が下りなかったのも恐らく同じ理由だと思われます)。ところでバーズの活動に戻りますが、3月27日にボブ・ディランのカヴァー「Lay Lady lay」(全米132位)をレコーディングしますが、4月18日にプロデューサーのボブ・ジョンストンがメンバーの許可を得ずに女性コーラスのオーヴァー・ダビングを行います。そして、メンバーがそのオーヴァー・ダビングのことを知らないまま、5月2日にシングル「Lay Lady Lay」(全米132位)(B面はトラディショナル・ナンバーの「Old Blue」)がリリースされますが、メンバーは女性コーラスをオーヴァー・ダビングされたことに気付いて激怒し、プロデューサーのボブ・ジョンストンを解任します。そして、6月17日からはセカンド・アルバム『Turn! Turn! Turn!』以来4年ぶりにテリー・メルチャーを再びプロデューサーに迎え、今回ご紹介する8枚目のアルバム『Ballad Of Easy Rider』のレコーディングに突入します。レコーディングは8月26日までかかりますが、実際にはレコーディング以外にライヴなどの仕事もありましたので、レコーディングに費やした日数は2週間ほどでした。同じく8月には映画『イージー・ライダー』のサウンドトラック・アルバムがリリースされます(バーズ名義では5枚目のアルバム『The Notorious Byrd Brothers(名うてのバード兄弟)』収録のジェリー・ゴフィン&キャロル・キング作の「Wasn't Born To Follow」、ロジャー・マッギン名義で2月にレコーディングされたロジャー・マッギン作の「Ballad Of Easy Rider」とボブ・ディランのカヴァー「It's Alright, Ma (I'm Only Bleeding)」が収録)。9月26日にはジェリー・ゴフィン&キャロル・キング作のシングル「Wasn't Born To Follow」(B面は前作『Dr. Byrds & Mr. Hyde(バード博士とハイド氏)』収録のロジャー・マッギン&デヴィッド・グルーシン作の「Child Of The Universe」)がリリースされますが、同じく9月にジョン・ヨークが脱退してしまいます。そんな中で10月1日には6月にバーズ名義で新たにレコーディングされたロジャー・マッギン作のシングル「Ballad Of Easy Rider」(全米65位)が続けてリリースされ、同じく10月には新メンバーのスキップ・バッティンが加入して早速ライヴ活動に参加します。そして、11月10日には今回ご紹介する8枚目のアルバム『Ballad Of Easy Rider』がリリースされ、12月15日にはアルバムからのシングル・カットでアーサー・リード・レイノルズのカヴァーとなる「Jesus Is Just Alright」(全米97位)(B面はボブ・ディランのカヴァーとなる「It's All Over Now, Baby Blue」)がリリースされますが、映画『イージー・ライダー』の興業的な成功もあって、アルバムは全米36位、シングル2枚はトップ100入りするなど前作よりセールス的には成功となりました。それでは今回ご紹介する8枚目のアルバム『Ballad of Easy Rider』の内容ですが、プロデュースは先述しましたが、前作のボブ・ジョンストンからセカンド・アルバム『Turn! Turn! Turn!』以来4年ぶりにテリー・メルチャーとなり、収録曲は全11曲中メンバーによるオリジナル曲が3曲、トラディショナルのアレンジも含めたカヴァーは8曲となっております。アナログでいうところのA面のオープニング・ナンバーは先行シングルとしてリリースされたロジャー・マッギン作の「Ballad Of Easy Rider」(全米65位)は先述しましたように元々は映画『イージー・ライダー』のサウンドトラックとして書かれた楽曲で、映画のサウンドトラック用にレコーディングされたヴァージョンはマッギンのアコースティック・ギターにジーン・パーソンズのハーモニカのみのシンプルなアレンジでしたが、バーズ名義のこのアルバムと先行シングルでのヴァージョンはグレン・キャンベルの「Gentle On My Mind」(全米39位)やハリー・ニルソンがカヴァーしたフレッド・ニール作の「Everybody's Talkin'(うわさの男)」(全米6位)あたりを意識したストリングスを加えたアレンジとなっております。2曲目のジョン・ヨーク作の「Fido」は作者であるジョン・ヨークがリード・ヴォーカルのナンバーで、グルーヴ感のあるナンバーでバーズらしくないですが、様々なジャンルが入り混じったこのアルバムでは妙にしっくりくる不思議なナンバーです。3曲目の「Oil In My Lamp」はトラディショナル・ナンバーをジーン・パーソンズとクラレンス・ホワイトがアレンジしたナンバーで、クラレンス・ホワイトのリード・ヴォーカルによる全編コーラス主体のカントリー・ロックに仕上がっています。4曲目のパメラ・ポランド作の「Tulsa County Blue」はロジャー・マッギンがリード・ヴォーカルのナンバーで、クラレンス・ホワイトによるストリング・ベンダーが素晴らしいカントリー・ロックに仕上がっています。5曲目の「Jack Tarr The Sailor」は英国フォークのトラディショナル・ナンバーをロジャー・マッギンがアレンジしたもので、リード・ヴォーカルもロジャー・マッギンですが、バーズ解散後の1976年にリリースされたマッギンのソロ・アルバム『Cardiff Rose』収録の「Jolly Roger」に通じるところがあるナンバーです。アナログでいうところのB面のオープニング・ナンバーのアーサー・リード・レイノルズのカヴァーとなる「Jesus Is Just Alright」(全米97位)は後にドゥービー・ブラザーズも取り上げたゴスペル・ロック!?ともいえるナンバーで、このバーズのヴァージョンはロジャー・マッギンがリード・ヴォーカルですが、この時期以降のライヴでもよく演奏されたナンバーです。2曲目のボブ・ディランのカヴァーとなる「It's All Over Now, Baby Blue」はロジャー・マッギンのリード・ヴォーカルで、セカンド・アルバム『Turn! Turn! Turn!』のセッションの際もガレージ・ロック風のアレンジでレコーディングされるも当時お蔵入りとなりましたが、今回新たにスローなカントリー・ロック調にアレンジしてレコーディングされ、哀愁漂う素晴らしいカヴァーに仕上がっています。3曲目のゴスディン・ブラザーズのカヴァーとなる「There Must Be Someone」はジーン・パーソンズが渋いリード・ヴォーカルのカントリー・ロックです。4曲目のジーン・パーソンズ作の「Gunga Din」は作者のジーン・パーソンズがリード・ヴォーカルのブルーグラス風味のカントリー・ロックに仕上がっています。5曲目のウディ・ガスリーのカヴァーとなるウディ・ガスリー&マーティン・ホフマン作の「Deportee (Plane Wreck At Los Gatos)」はロジャー・マッギンがヴォーカルの弾き語りナンバーで、6枚目のアルバム『Sweetheart Of The Rodeo(ロデオの恋人)』で取り上げた「Pretty Boy Floyd」の続編ともいえるナンバーです。アルバムのラスト・ナンバーとなるのはジーク・マナーズ&スコット・シーリー作の「Armstrong, Aldrin And Collins」はアポロ11号の操縦士を讃えたナンバーで、ロケット発射のSEで始まりますが、その後はロジャー・マッギンによる弾き語りでアルバムを締め括ります。そして、1997年にリリースされたリマスターCDにはペンタングルも取り上げたトラディショナル・ナンバーの「Way Behind The Sun」、ジャクソン・ブラウン作の「Mae Jean Goes To Hollywood」、「Oil in My Lamp」の別ヴァージョン、ジョン・ヨークがヴォーカルの「Tulsa County Blue」、トラディショナル・ナンバーがロジャー・マッギンがモーグを取り入れてアレンジした「Fiddler a Dram (Moog Experiment)」、間奏でクラレンス・ホワイトのストリング・ベンダーによるソロが聴ける「Ballad Of Easy Rider」のロング・ヴァージョン、クラレンス・ホワイト&ジーン・パーソンズ作のインストゥルメンタルの「Build It Up」がボーナス・トラックとして収録されており、さらに2014年に日本のみでリリースされたリマスターCDには1997年のリマスターCDでのボーナス・トラックの他に「Ballad Of Easy Rider」(全米65位)のモノラル&ステレオ・シングル・ヴァージョン、「Oil in My Lamp」、「Wasn't Born To Follow」、「Jesus Is Just Alright」(全米97位)、「It's All Over Now, Baby Blue」のモノラル・シングル・ヴァージョン、「Fido」の別ヴァージョンが追加収録されています。最後になりますが、今回ご紹介した8枚目のアルバム『Ballad Of Easy Rider』は前作『Dr. Byrds & Mr. Hyde(バード博士とハイド氏)』と同じメンバーで制作されたこともあって、サウンド的には前作同様カントリー・ロックが基盤となっていて、メンバー各々がリード・ヴォーカルをとる楽曲がそれぞれ収録されていたりしていますが、楽曲によってはフォークに回帰したり、ゴスペルなどのカントリー・ロック以外のジャンルのものを取り入れたりしてバーズらしさを出そうとしているところもあり、個人的にはバーズのアルバムの中で今でも結構気に入って聴いているアルバムですので、興味を持たれた方は是非聴いてみてください。

nktk46 at 22:38|PermalinkComments(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 60's American Rock & Pops 
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1960〜70年代の洋楽を中心にレビューを書いております。

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