算数が苦手である。という自己申告を前提に、以下を読んでいただければと思う。
先日、「認知症予防には魚がいい」という新聞記事を読んだ。なんでも、1週間に2回以上魚料理を食べると認知症の発症リスクは47%も軽減されるという。朗報である。何しろわたしは週に5回以上は魚料理を食べる重度の〈フィッシュ・ジャンキー〉だからである。
その記事を読んで、「ナッツ類が良い」という以前に知った認知症予防関連の情報も思い出した。正確な数字は忘れたが30数パーセントのリスク軽減効果があるということだったような気がする。その記事を読んで以降、当然毎朝食べるわがシリアルにミックスナッツが加わることになった。こう見えてもわたしは、近代科学が切り拓く明るい未来を信じて育った〈ラ・ラ・ラ、科学の子〜〉(←鉄腕アトムの主題歌)なのである。このテの scientific な情報には、すぐ飛びつくことになっている。
さて、そこで算数だ。47+30数パーセント=77数パーセント。魚を良く食べ、ナッツを毎朝摂っているわたしは77パーセント以上、およそ80%のリスク軽減効果の下、日々を生きていることになる。素晴らしい!
「大豆が」とか「緑黄色野菜や海藻が」とか「オリーブオイルが」とか、「毎日の散歩が効果的」などということもよく聞く。大豆が好きで、海藻も良く食べ、サラダにやたらオリーブオイルをかけまくり、部屋にじっとしていると気が狂いそうになってすぐ外に出かけるわたしは、これらの全てをクリアしている。なんと認知症予防の優等生ではないか。実に素晴らしいことだが、しかし、今回わたしが言いたいのはここから先だ。「あれがいい」「これが効く」というそれらのリスク軽減効果を足していくと、かるーく100パーセントを超えることになるのだが、それでいいのか? どこかが間違っているという気がするが、わたしの算数ではどうしてもそういうことになる。
しかし、たとえば158パーセントとか、あるいは221パーセントとかのリスク軽減効果というものがあるとして、それは一体どのようなものなのか。認知症予防の優等生であり、計算上は100パーセントを超えるリスク軽減効果の下に暮らしているはずなのに、日々の暮らしにおいてわたしは一向にその効果を実感できていない。炊飯器の蓋を開けたままにして、炊飯器に残ったご飯を何度もカチカチの〈干し飯(ほしいい)〉にしてしまったことがある。干し飯は、ご存じのように水ですぐ戻せる昔の携帯食である。意識の深いどこかで今いるここを捨ててさすらいの旅に出ようとでも思っているのだろうか、わたしは。スーパーに自転車で買い物に行って、歩いて帰って来ることもしばしばだ。ついさっきまで知っていたはずの人の名前を突然思い出せなくなって悶絶するというハイスペックな〈ど忘れ機能〉は、もちろん標準装備である。人の名前だけではない。先日は「ヒジキ」という昔からなじんできた食材の名称がどうしても思い出せなくなり、パソコンで「海藻」「煮物」「常備食」などのヒント・ワードを入力して検索してしまった。
もしかしてリスク軽減効果というものは、ある一定の数値を超えたらそっから先は引き算になるとか割り算にするとかというような、われわれ素人には知られていない複雑な方程式でもあるのだろうか。
先日、「認知症予防には魚がいい」という新聞記事を読んだ。なんでも、1週間に2回以上魚料理を食べると認知症の発症リスクは47%も軽減されるという。朗報である。何しろわたしは週に5回以上は魚料理を食べる重度の〈フィッシュ・ジャンキー〉だからである。
その記事を読んで、「ナッツ類が良い」という以前に知った認知症予防関連の情報も思い出した。正確な数字は忘れたが30数パーセントのリスク軽減効果があるということだったような気がする。その記事を読んで以降、当然毎朝食べるわがシリアルにミックスナッツが加わることになった。こう見えてもわたしは、近代科学が切り拓く明るい未来を信じて育った〈ラ・ラ・ラ、科学の子〜〉(←鉄腕アトムの主題歌)なのである。このテの scientific な情報には、すぐ飛びつくことになっている。
さて、そこで算数だ。47+30数パーセント=77数パーセント。魚を良く食べ、ナッツを毎朝摂っているわたしは77パーセント以上、およそ80%のリスク軽減効果の下、日々を生きていることになる。素晴らしい!
「大豆が」とか「緑黄色野菜や海藻が」とか「オリーブオイルが」とか、「毎日の散歩が効果的」などということもよく聞く。大豆が好きで、海藻も良く食べ、サラダにやたらオリーブオイルをかけまくり、部屋にじっとしていると気が狂いそうになってすぐ外に出かけるわたしは、これらの全てをクリアしている。なんと認知症予防の優等生ではないか。実に素晴らしいことだが、しかし、今回わたしが言いたいのはここから先だ。「あれがいい」「これが効く」というそれらのリスク軽減効果を足していくと、かるーく100パーセントを超えることになるのだが、それでいいのか? どこかが間違っているという気がするが、わたしの算数ではどうしてもそういうことになる。
しかし、たとえば158パーセントとか、あるいは221パーセントとかのリスク軽減効果というものがあるとして、それは一体どのようなものなのか。認知症予防の優等生であり、計算上は100パーセントを超えるリスク軽減効果の下に暮らしているはずなのに、日々の暮らしにおいてわたしは一向にその効果を実感できていない。炊飯器の蓋を開けたままにして、炊飯器に残ったご飯を何度もカチカチの〈干し飯(ほしいい)〉にしてしまったことがある。干し飯は、ご存じのように水ですぐ戻せる昔の携帯食である。意識の深いどこかで今いるここを捨ててさすらいの旅に出ようとでも思っているのだろうか、わたしは。スーパーに自転車で買い物に行って、歩いて帰って来ることもしばしばだ。ついさっきまで知っていたはずの人の名前を突然思い出せなくなって悶絶するというハイスペックな〈ど忘れ機能〉は、もちろん標準装備である。人の名前だけではない。先日は「ヒジキ」という昔からなじんできた食材の名称がどうしても思い出せなくなり、パソコンで「海藻」「煮物」「常備食」などのヒント・ワードを入力して検索してしまった。
もしかしてリスク軽減効果というものは、ある一定の数値を超えたらそっから先は引き算になるとか割り算にするとかというような、われわれ素人には知られていない複雑な方程式でもあるのだろうか。