2024年03月28日
フロリダパンサー - 新種牡馬辞典'24
新種牡馬辞典、第三十七弾はフロリダパンサー。こちらも中央時代は条件馬、地方移籍後も安定はしていたものの重賞勝ちはなしということで競走馬としての知名度はかなり低いでしょうね。ただ母の全兄は皐月賞で2着に入ったタイガーカフェ、母の全弟は皐月賞で3着に入ったフサイチジャンク、父はダービー2着馬で種牡馬として菊花賞馬エピファネイアを送り出した*シンボリクリスエスということで、血統的にはクラシック路線を走っていても全くおかしくないような馬でした。*シンボリクリスエス産駒と言えばエピファネイアの1500万円を筆頭に、ダートのルヴァンスレーヴが300万円、エピファネイア産駒のエフフォーリアが400万円と人気種牡馬が勢ぞろいで、繁殖馬としての評価が非常に高まっていますね。同馬がジェネリック・シンボリクリスエスになれるとは思いませんが、ぜひともこの流れに乗って活躍馬を出してほしいところです。
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2024年03月27日
オリオール系 - サイアーラインで辿る日本競馬2023
「サイアーラインで辿る日本競馬2023」シリーズ第三十六弾はオリオール系。Aureole はエリザベス2世の所有馬としてキングジョージやコロネーションCを制した活躍馬で、種牡馬としても多数の活躍馬を出して英愛リーディングにも輝きました。孫世代の Vaguely Noble もリーディングに輝くなど70年代まではかなりの勢いがありましたが、残念ながら Vaguely Noble の後継種牡馬が軒並み失敗に終わったことで現在では父系としての役目を終えています。日本にも多くの種牡馬が輸入され、多数の活躍馬が出ましたが、「気まぐれジョージ」と言われたエリモジョージや「新聞が読める馬」と言われたカブトシロー、ド派手な流星で「貴公子」とも呼ばれたタイテエムなど、記録よりも記憶に残るような名馬が多かったような印象を受けますね。世界的に父系が消滅していく中で、日本ではデリケートワン産駒が2020年まで残っており、最後の最後までラインが生き残っていた国でもありました。
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2024年03月26日
ハウライト - 新種牡馬辞典'24
新種牡馬辞典、第三十六弾はハウライト。さすがにこの辺りまでくるとかなり知名度のない種牡馬が出てきますね。ハウライトは南関東や道営で走った馬ですが、重賞などの上位クラスで走ったことは一度もなく、最高でもB3クラスの勝ち星しかなかったとあってはこの馬のことを知らない人のほうが多いのではないでしょうか。父はアグネスタキオン×ビワハイジという血統で、京都記念や弥生賞を勝つなどクラシック向きの種牡馬として期待されながら次々にダートの活躍馬を送り出したアドマイヤオーラで、同馬はその初の後継種牡馬ということになります。アドマイヤオーラはダート種牡馬としての適性を見出された矢先に早世しましたが、同馬に限らずアグネスタキオンの系統自体が軒並みダート種牡馬化している中で、今後一体どれだけ生き残ることができるでしょうか。
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2024年03月25日
アリストファネス系 - サイアーラインで辿る日本競馬2023
「サイアーラインで辿る日本競馬2023」シリーズ第三十五弾はアリストファネス系。Aristophanes 自身はそれほど目立った競走馬でありませんでしたが、アルゼンチンで種牡馬入りし、大競走馬 Forli の父となったことで歴史に名を残しました。Forli はアメリカで種牡馬として供用されて多数の活躍馬を送り出しており、与えた影響力の大きさは南米出身の競走馬としては過去最大ではないでしょうか。特に母系での影響力が顕著で、世界各地で今なおその名を見ることができます。日本では芦毛の逃げ馬として人気を博したセイウンスカイがこの系統の出身で、菊花賞では世界レコードをマークして逃げ切るなど競走馬としては相当な能力を持っていたと思われますが、残念ながら血統的な魅力には乏しく、種牡馬としてはほとんど結果を残すことができませんでした。
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2024年03月24日
週刊種牡馬ニュース 3/18 - 3/24
雨模様で重馬場開催となった高松宮記念は Dark Angel 産駒の愛国産馬*マッドクールが力強く抜け出し、GI初勝利をあげました。なおこの勝利でサンデーレーシングは障害も含めJRAGI完全制覇とのことで、日本の競馬史に残る偉業を達成しましたね。それにしても今年はシンザン記念の*ノーブルロジャー、フィリーズレビューの*エトヴプレに続きマル外の活躍が目立ちますね。内国産系統が勢力を拡大し続ける中でのこうした海外勢の奮闘は多様性のためにもうれしいところですが、あとはダート以外で輸入種牡馬がもう少し頑張ってくれたらいうことはないですね。内国産と言えばビッグアーサー産駒の2頭は残念でしたが、改めてスプリンターズSに向けて頑張ってもらいたいところです。毎日杯はメイショウタバルが6馬身もの差をつけて逃げ切り、久々にゴールドシップ牡馬の平地重賞ウイナーとなりました。馬場に助けられた感は大いにありましたが、石橋守厩舎のメイショウ馬、これはクラシックでも期待したいところですね。
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2024年03月23日
ステッペンウルフ - 新種牡馬辞典'24
新種牡馬辞典、第三十五弾はステッペンウルフ。ステッペンウルフといえばかつて父が大種牡馬*サンデーサイレンス、母がオークス馬シャダイアイバーという超良血馬で、条件戦を4連勝してGI級の期待をかけられながらも大成できなかった同名馬がいましたが、こちらは*サウスヴィグラス産駒で、京浜盃を勝つもやはり故障により大成を阻まれた馬でした。母ディープキッスはその父アグネスタキオン、その母が3歳限定時代のエリザベス女王杯でタケノベルベットの2着に入ったメジロカンムリで、もともとはクラシック級の活躍を期待されて配合されたものと思われますが、地方ダート向け種牡馬として考えた時には逆にそのアグネスタキオンのダート向きの血がいい方向に向かいそうな気はしますね。とはいえ種付け数は非常に少なく、どこまで種牡馬として結果を残すことができるでしょうか。
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2024年03月22日
カーレッド系 - サイアーラインで辿る日本競馬2023
「サイアーラインで辿る日本競馬2023」シリーズ第三十四弾はカーレッド系。Khaled 自身はミドルパークSやセントジェームズパレスSを制すなど英国で活躍しましたが、種牡馬としてはアメリカに渡り、歴史的名馬 Swaps を出すなどして成功しました。日本にも多数の種牡馬が輸入され、ホクトフラッグやトウショウレオの父となった二冠馬*シャトーゲイ、水田と呼ばれるほどの泥んこ馬場となった皐月賞を制したハワイアンイメージらを出し、ダート・不良馬場の鬼と言われた*ファーザーズイメージなどが活躍しましたが、個人的に印象深いのは*フェートメーカーでしょうか。マル外として輸入されるも重賞には手が届きませんでしたが、種牡馬としてフェートノーザンやカウンテスアップなど多数のダートの活躍馬を出して成功しました。さらに特徴的だったのは活躍馬の多くが同じカーレッド系種牡馬である*ドレスアップを母父に持っていたことで、これほど近い同系配合で結果を残した例はほかにないのではないでしょうか。
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2024年03月21日
サイモンラムセス - 新種牡馬辞典'24
新種牡馬辞典、第三十四弾はサイモンラムセス。近年まれにみる遅咲きタイプの競走馬で、初勝利自体は2歳にあげるなどそれなりに早かったのですが、そこから条件戦を抜けるまでが非常に長く、ようやくオープン入りを果たしたのが8歳の夏という超晩成型でした。しかもオープン入り直後に宝塚記念に出走して8歳にしてGI初出走を飾ると(シンガリ負け)、9歳時の小倉大賞典で最低人気ながら3着に入ってオープンクラスで初めて馬券圏内に入り、さらに引退レースとなった10歳時の鳴尾記念では単勝600倍ながら4着に突っ込む大健闘を見せるなど、最後の最後まで闘志を失わなかった老兵でした。そんな同馬が種牡馬入りしたのも驚きですが、近年注目されているブラックタイド直仔というのが大きなポイントだったでしょうか。産駒は多くありませんが、自身のようなしぶとい産駒の登場を期待したいですね。
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2024年03月20日
アリバイ系 - サイアーラインで辿る日本競馬2023
「サイアーラインで辿る日本競馬2023」シリーズ第三十三弾はアリバイ系。Alibhai 自身は幼少期に負った故障のため競走馬としてデビューすることができませんでしたが、アメリカで種牡馬となり、ケンタッキーダービー馬 Determine などを送り出して成功しました。日本にも仏リーディングにも輝いた*トラフィックら複数の種牡馬が輸入されましたが、これらはあまり結果を残せず、種牡馬として成功したのはマル外として走って平凡な成績で終わっていた*カバーラップ二世で、ほぼ吉田牧場のプライベート種牡馬という状況ながら皐月賞馬リュウズキ、桜花賞馬ワカクモ、天皇賞馬カシュウチカラ、同じく天皇賞馬プリテイキャストと多数の八大競走勝ち馬を送り出しました。父系は発展しませんでしたが、トウショウ牧場のソシアルバターフライや社台ファームの*ファンシミンなど大牝系の祖となった馬の多くがこの系統の出身であり、今でもその影響力は大きいと言えます。
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2024年03月19日
オウケンワールド - 新種牡馬辞典'24
新種牡馬辞典、第三十三弾はオウケンワールド。当初はなかなか歯車がかみ合わず、条件戦すら勝ち上がるのに苦労していましたが、5歳になったとたんに一気に本格化し、500万下から怒涛の4連勝でオープン勝ちを達成した上がり馬でした。そのまま重賞まで突き抜けるかと思われましたが、その後屈腱炎を発症、長い長い休養の末に復帰した時にはすでに往年の力は残っていませんでした。父はダート・スプリントの大種牡馬*クロフネで、その残した功績は非常に大きいのですが、完全なるフィリーサイアーだったということで実績に比べて後継種牡馬は全く育っていません。シラユキヒメ一族から出た重賞馬のうち1頭でも牡馬に出ていればまた違っていたのかもしれませんが、なかなか現実は厳しいですね。
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2024年03月18日
スターキングダム系 - サイアーラインで辿る日本競馬2023
「サイアーラインで辿る日本競馬2023」シリーズ第三十二弾はスターキングダム系。Star Kingdom 自身は2歳戦ではそこそこの活躍を見せたものの、3歳以降はさっぱりという早枯れ馬で、英国では人気が出ずオーストラリアで種牡馬入りすることになりましたが、これが2歳戦を重要視する現地の馬産に大嵌りし、何度もリーディングサイアーに輝く大種牡馬となりました。特に2歳戦最高峰レースであるゴールデンスリッパーSを初年度から5連覇するなどその早熟性は他馬の追随を許さず、20世紀末あたりまではオーストラリアの主流血統として君臨していましたが、シャトルスタリオンでミスプロ・デインヒルなど遺伝力の高い早熟血統が次々に導入されると、あっという間に駆逐され現在では絶滅寸前にまで追い込まれてしまいました。同じ土着血統の Sir Tristram は成長力があってある程度距離をこなせるためか、今でもそれなりに勢力を保っているのとは対照的ですね。
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2024年03月17日
週刊種牡馬ニュース 3/11 - 3/17
スプリングSのシックスペンスはまるで祖父を彷彿とさせるような驚異の加速力を見せてデビュー3連勝を達成しました。ついにキズナから牡馬の大物産駒が登場といったところでしょうか。母がスプリントで活躍した馬で、代々つけられた種牡馬もスピード系ということもあって距離延長には若干の不安もありそうですが、それを補って余りあるポテンシャルの持ち主で、ぜひ直系3代クラシック制覇を達成してもらいたいものです。阪神大賞典はここまで3000m超級の重賞を2勝しているテーオーロイヤルが圧巻の走りを見せました。ダイヤモンドSはほとんど天皇賞(春)に結びつかないのでこのレースまでは半信半疑のところもあったのですが、これを見せられると本番でも大いに期待してしまいますね。
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2024年03月16日
コパノチャーリー - 新種牡馬辞典'24
新種牡馬辞典、第三十二弾はコパノチャーリー。半兄はダートの名馬コパノリッキーで、兄ほどの爆発力はありませんでしたが、オープン特別を2勝するなど9歳まで60戦以上を走り抜いたタフガイでした。これがゴールドアリュール産駒なら兄の代替種牡馬として多少は牝馬が集まったのかもしれませんが、父が種牡馬としては一定の結果を残しつつも突き抜けたものを見せることができなかった*アグネスデジタルということで、残念ながら牝馬はほとんど集まっていません。種牡馬入りしたのが熊本の本田土寿牧場ということで、もともと牝馬のパイが限られているというのもあるでしょうが、2年目以降はDr.コパ氏がわざわざ牝馬を送り込んで種付けを行うなど、頭数は少なくとも上位クラスで戦える産駒が出てくる可能性は十分あるのかもしれませんね。
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2024年03月14日
ハイペリオン系 - サイアーラインで辿る日本競馬2023
「サイアーラインで辿る日本競馬2023」シリーズ第三十一弾はハイペリオン系。寄せ集めのエクリプス系がコンプリート出来たので、ここからは大父系としてのハイペリオン系に入っていきたいと思います。Hyperion 自身もかなりの強豪で、英クラシック二冠を制した名馬でしたが、種牡馬としてはさらにその上を行く大成功をおさめ、英愛リーディングにも輝きました。さらに同馬が偉大だったのは様々なタイプの名種牡馬の父となったことで、アメリカや欧州をはじめ、オセアニアや南米、果ては日本でもリーディングサイアーを輩出するなど、一時はテディ系などとともに世界の主流血統の座についていたほどでしたが、やはり圧倒的な遺伝力を誇るファラリス系の出現とともに父系は衰退しており、現在ではオセアニアのスターキングダム系およびアリストファネス系、さらには欧州のオーウェンテューダー系の末裔がひっそりと残っているにすぎません。
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2024年03月13日
クワイトファイン - 新種牡馬辞典'24
新種牡馬辞典、第三十一弾はクワイトファイン。父は三冠馬シンボリルドルフの息子で有馬記念で奇跡の復活を遂げた二冠馬トウカイテイオー、母父は史上初の父内国産馬としての三冠馬ミスターシービー、母母父は戦後初のクラシック三冠馬シンザン、母母母父はクラシック二冠馬タニノムーティエと代々種付けされた種牡馬が日本を代表する大競走馬ばかりで、古き良き時代の日本競馬を色濃く残す1頭となっています。父系のみの希少性に注目すればこのクラスの種牡馬はほかにもいるかもしれませんが、母系も含めてこれだけの重みがある馬はもう二度と現れることはなく、まさに走る世界遺産といってもいいのではないでしょうか。クラウドファンディングで種牡馬入りを目指すという手法もあって競走馬としての知名度に比べて多くの注目を集めることとなりましたが、あっというまに目標金額に達したところを見ると、多くの人がこの馬の産駒を心待ちにしていることがわかりますね。
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