2024年04月16日

海外供用新種牡馬 No.7 - 新種牡馬辞典'24

Global Campaign はクラシックに出走することはできませんでしたが、古馬になってGIウッドワードSを勝ち、BCクラシックでも Tiz the Law らに先着する3着に健闘しました。Curlin 産駒ということでダートで注目です。Golden Horde は早熟快速血統の Lethal Force 産駒で、3歳スプリントGIのコモンウェルスCを制しました。血統通り2歳戦から活躍が期待できるでしょう。Hello Youmzain はスプリントC、ダイヤモンドジュビリーSとスプリントGIを2勝した快速馬で、デインヒル系の快速分岐 Kodiac の産駒です。父同様スプリント戦で存在感を示すでしょうか。Higher Power は古馬になってパシフィッククラシックSを制した成長力のあるタイプ。Medaglia d'Oro 産駒として多くの牝馬を集めています。Honor A. P. は日本に輸入された*オナーコードの産駒で、サンタアニタダービーの勝ち馬。母父も*ワイルドラッシュで、いかにも日本のダートに合いそうです。

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2024年04月15日

プリメロ系 - サイアーラインで辿る日本競馬2023

「サイアーラインで辿る日本競馬2023」シリーズ第四十四弾はプリメロ系*プリメロは愛ダービー・愛セントレジャーの二冠を達成した活躍馬で、当時のアイルランドのクラシックは今と比べて比較にならないほど重要性が低かったと言われていますが、それでも当時の日本としてはバリバリの一流馬であったことには変わりなく、種牡馬としてはリーディングこそ獲得できなかったものの、多数の大レース勝ち馬を送り出して戦前における最高級の種牡馬の一頭となりました。特にクラシックでの強さは圧倒的で、ダービー勝利数およびクラシック通算勝利数記録はあの*サンデーサイレンスに破られるまで保持していたとうことでも同馬の偉大さが伝わりますね。種牡馬の父としても成功し、その後継筆頭が顕彰馬にも選ばれたトサミドリですが、トサミドリのラインには今シリーズの対象馬がいないため、今回はトサミドリを除くプリメロ系についてまとめています。

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2024年04月14日

週刊種牡馬ニュース 4/8 - 4/14

牡馬クラシック第一冠、皐月賞はキズナ産駒のジャスティンミラノがコースレコードをマークして快勝し、ディープインパクト孫世代待望のクラシック制覇を達成しました。キズナもディープインパクトの後継一番手として成功を収めていたものの、今一つ大物感に欠けるきらいはありましたが、種付け料が600万円に増額された世代で見事結果を残してきましたね。ここからさらに1000万円、1200万円の世代が控えているわけですから、来年種牡馬デビューとなるコントレイルとともにディープインパクト絶対王朝を築いていく可能性も十分あるでしょう。2着はアルアイン産駒の伏兵コスモキュランダ。6歳で現役を続ける全弟シャフリヤールの種牡馬入りに向けても好結果を残したと言えそうです。2歳王者のジャンタルマンタルは早めに抜け出してそのまま押し切りかと思われましたが、最後の1ハロンで失速してしまいましたね。乗り方次第ではダービーでもと思いますが、確実なマイル路線に向かう可能性もありそうですね。

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2024年04月13日

新種牡馬辞典'24 海外編 No.6

Country House は Lookin At Lucky 産駒で、重賞勝ちは18番人気のケンタッキーダービーのみ、しかもそれすら繰り上がりによる優勝という世紀の一発屋で、知名度は高いですが初年度は7500ドルで58頭と牝馬はあまり集まっていません。Echo Town は7ハロンのGI・H.アレンジャーケンズSを圧勝した快速馬で、GI勝ちはこれひとつだけですが、Speightstown 産駒らしいスピードを伝えそうです。Far Above は Farhh 産駒で愛国産馬で、古馬になって5ハロンのGIIIパレスハウスSを制すなど5戦4勝の成績を残しました。出世は遅かったですが、本来は仕上がりの早い系統で、2歳戦からの活躍が期待できそうです。Farnan は Not a Single Doubt 産駒で、豪2歳GIの最高峰・ゴールデンスリッパーSを勝って2歳チャンピオンにも選ばれた快速馬でした。種牡馬としてもそのスピードを大いに伝えることでしょう。Gift Box は逆に6歳でようやくGIサンタアニタHを制した遅咲きタイプ。父 Twirling Candy もどちらかというと芝に良績のある馬で、あまり需要は伸びていないようです。

なお、今年の海外供用新種牡馬でトルコ供用のクルーガーを紹介し忘れていましたので、新種牡馬辞典'24 海外編 No.1に追記しました。

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2024年04月12日

ブランドフォード系 - サイアーラインで辿る日本競馬2023

「サイアーラインで辿る日本競馬2023」シリーズ第四十三弾はブランドフォード系Blandford は英愛およびフランスでリーディングサイアーに輝いた名種牡馬で、現代にもその血を伝えることに成功していますが、日本でもその後継種牡馬が多数輸入され、大きな影響を与えました。その代表的存在である*プリメロに関しては次回以降に紹介しますが、それ以外にもオークス馬ルーネラおよびロックステーツ、天皇賞(およびその前身の帝室御賞典)を制したエステイツおよびレダなど、多数の大レース勝ち馬を送り出した*ステーツマンナスノコトブキニホンピローエースなど複数のクラシックホースを出し、モーリスの母系に入って今なお影響を与える*モンタヴァルなどが成功しました。*プリメロの全兄にあたる*アスフォードは種牡馬としてはまずまずといったところでしたが、アングロアラブ父系の祖として大いに発展し、21世紀まで父系を存続させることに成功しました。

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2024年04月11日

新種牡馬辞典'24 海外編 No.5

ここからは今年デビューを迎える海外供用の新種牡馬で、日本に産駒が輸入される可能性がありそうな馬を適当にピックアップしていきたいと思います。Anders は父が重賞未勝利から大種牡馬へと上り詰めた Not a Single Doubt で、自身はGIIIを勝った程度にすぎませんでしたが、祖母が日本産馬のグラマーストック、母父が*ウォーエンブレムという血統で、日本に非常になじみ深い血統となっています。Arizona は2歳6月に行われたGIIコヴェントリーSの勝ち馬で、No Nay Never 産駒らしい仕上がりの早さを伝えそうです。Bivouac は豪リーディングにも輝いた Exceed and Excel 産駒で、ゴールデンローズSなど豪GI3勝をあげた活躍馬でした。豪州で今年デビューする新種牡馬では最も高額の種付け料だったようです。Circus Maximus は Galileo 産駒ながらマイルGIを3勝した貴重なタイプで、ニュージーランドにもシャトル供用されています。Complexity は Maclean's Music 産駒で、2歳GIシャンペンSを勝ちました。藤田晋オーナーが産駒を落札しており、日本で走る可能性は非常に高いでしょう。

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2024年04月10日

スターリング系 - サイアーラインで辿る日本競馬2023

「サイアーラインで辿る日本競馬2023」シリーズ第四十二弾はスターリング系。ここからは大種牡馬 Blandford 、さらには障害用がメインながら現在でもそれなりに繁栄している Monsun を擁するスターリング系に入っていきたいと思います。今回は主にその Blandford 以前の系統ということになりますが、あまりこの系統から輸入された種牡馬は多くないものの、3歳時に有馬記念を制したリードホーユーを出した*マラケート、持込馬として走り、重賞未勝利ながら種牡馬として長距離重賞2勝をあげたホッカイペガサスを出したホッカイダイヤ、日本の競馬黎明期に供用され多数の帝室御賞典勝ち馬を送り出した*ピュア―クリスタルが出るなど、それなりに存在感は見せたでしょうか。それ以上に影響力が大きいのは数々の名牝系の祖がこの系統の出身であることで、特に*ビューチフルドリーマー*プロポンチス*キーンドラーといった現在でも繁栄している小岩井農場の基礎牝馬がここから出ているのは注目に値するでしょう。

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2024年04月09日

新種牡馬辞典'24 海外編 No.4

Tiz the Law はタピット系の Constitution 産駒で、フロリダダービー、ベルモントS、トラヴァーズSとGI3連勝を達成した活躍馬でした。母父が Tiznow 、母母父がリボー系の Go for Gin という血統もあり、何か一発大物を引き当てそうな予感がしますね。ディープインパクト牝馬とも相性がよさそうです。Tom's d'Etat は Smart Strike 産駒で、6歳時に重賞初勝利をあげた超遅咲きタイプでした。しぶとさが売りのタイプになりそうです。Vekoma は Candy Ride 産駒で、4歳時にカーターH、メトロポリタンHとGIを連勝。ただ血統的には2歳戦から活躍が期待できそうです。Volatile も古馬になってからGI・A.G.ヴァンダービルトSを制した遅咲きタイプでしたが、父が2歳戦が得意な Violence ということで、仕上がりは早いのではないでしょうか。War of Will は Danzig 最後の大物 War Front 産駒で、芝ダート両GI制覇を達成しました。実績通りオールマイティな活躍を期待したいところです。

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2024年04月08日

テューダーメロディ系 - サイアーラインで辿る日本競馬2023

「サイアーラインで辿る日本競馬2023」シリーズ第四十一弾はテューダーメロディ系。ハイペリオン系としては今回がラストになります。*テュデナムはミドルパークSの勝ち馬で、種牡馬としてクラシックで期待されながら骨折で引退したサルノキング、中山記念など重賞2勝をあげたテュデナムキングなど複数の重賞馬を送り出しました。種牡馬の父としても地味ながら優秀で、JRA重賞勝ちはセントライト記念だけというホスピタリティが種牡馬として皐月賞馬ドクタースパート、重賞3勝の名牝ファンドリポポを出すなど当時の内国産種牡馬として目立った成功を収めています。*フィリップオブスペインは2歳重賞のニューSで生涯唯一の勝利をあげたという馬で、種牡馬としては安田記念を制したフレッシュボイス、高松宮杯や京阪杯を勝ったほか、宝塚記念でも3着に入ったミスタースペインなどを送り出すことに成功しました。

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2024年04月07日

週刊種牡馬ニュース 4/1 - 4/7

桜花賞は阪神ジュベナイルフィリーズ2着以来の競馬だった2番人気ステレンボッシュが快勝し、見事GI初勝利をあげました。エピファネイア産駒としても久々のGI勝利となりましたが、一時は高騰した種付け料に見合わない成績しか残せていなかったものの、種付け料が500万円となったこの3歳世代がしっかり立て直してきましたね。キズナも好調ですし、今年はまた新たなメンツによるリーディングサイアー争いが見られそうですね。それにしてもステレンボッシュは3代母が*ウインドインハーヘア、父エピファネイアの母がシーザリオ、そして母父ルーラーシップの母がエアグルーヴと21世紀の日本競馬を彩る名繁殖牝馬が一堂に会する血統で、今後は競走馬としての実績はもちろん、繁殖馬としてどんな産駒を出すかも非常に楽しみになってきました。

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2024年04月06日

新種牡馬辞典'24 海外編 No.3

Kameko はヴァーテムフューチュリティTS、英2000ギニーとマイルGIを2勝した快速馬で、どちらかというと中距離での活躍が目立つ Kitten's Joy のスピード系後継種牡馬ということでなかなかの評価を受けているようです。Maximum Security は日本で供用されている*ニューイヤーズデイ産駒で、フロリダダービーなどGI4勝をあげ、ブラジルに輸出されていた父を日本に呼び寄せるきっかけとなった馬です。McKinzie は*ストリートセンス産駒で、2歳時から4歳時まで3年連続でGIを計4勝する活躍を見せており、初年度は200頭を超える牝馬を集めることに成功しました。Pinatubo は2歳時にナショナルS・デューハーストSを含む6戦無敗の成績を残した馬で、3歳時にもジャンプラ賞を勝ちました。父も2歳チャンピオンの Shamardal で、仕上がりの早さを産駒に伝えられるでしょうか。Sottsass は不良馬場の凱旋門賞を制したほか、仏ダービーはレコード勝ち、また全弟に日本で重賞を勝った*シンエンペラーがおり、意外と高速馬場にも対応できそうな気もします。

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2024年04月05日

テューダーミンストレル系 - サイアーラインで辿る日本競馬2023

「サイアーラインで辿る日本競馬2023」シリーズ第四十弾はテューダーミンストレル系Tudor Minstrel は20世紀最高のマイラーの1頭とされる馬で、英ダービーなど中距離以上のレースでは分が悪かったのですが、8馬身差で圧勝した英2000ギニーなどマイル以下では8戦無敗の成績を残しました。まだまだ長距離戦に権威のあった時代の活躍馬ながら後世との比較でも同馬を明確に上回るのは Frankel くらいだと言われており、もし今のような短距離路線が充実した時代ならどれだけの成績を残したでしょうか。種牡馬としても成功し、欧州の短距離向き系統として父系を発展させることに成功しましたが、現在では遺伝力の強いメジャー父系にかなり駆逐されてしまっており、Tudor Minstrel 産駒で重賞未勝利馬であった Will Somers の系統が辛うじて生き残っているに過ぎない状況となっています。

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2024年04月04日

新種牡馬辞典'24 海外編 No.2

ここからは海外で供用された新種牡馬で、日本に産駒が輸入されている種牡馬を何回かに分けて紹介していきます。Authentic はどちらかというと質より量タイプのリーディングサイアーである Into Mischief の牡馬の最高傑作ともいうべき馬で、父系を繋ぐものとして大きな期待が寄せられています。Earthlight は Shamardal 産駒でミドルパークSなど欧州2歳GIを2勝。Game Winner は Candy Ride 産駒で、こちらはBCジュヴェナイルなど米2歳GIを3勝した早熟馬でした。どちらも仕上がりの早い一族で、2歳戦から期待できそうです。Dubawi 産駒の Ghaiyyath はGI初勝利が古馬になってからという晩成型でしたが、5歳時にコロネーションC、エクリプスS、英国際SとGI3連勝を達成した王道タイプで、クラシックでも期待できそうです。Improbable は City Zip 産駒で、2歳GI勝ちがあったものの、さらに古馬になってGI3連勝をあげて米古牡馬チャンピオンに選ばれた成長力のあるタイプでした。ダートでしぶとく走りそうですね。

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2024年04月03日

オーウェンテューダー系 - サイアーラインで辿る日本競馬2023

「サイアーラインで辿る日本競馬2023」シリーズ第三十九弾はオーウェンテューダー系Owen Tudor は戦時中のため代替開催となった英ダービーやゴールドCを制した活躍馬で、種牡馬としても成功しましたが、さらに種牡馬の父としても大成功を収めたことにより、ハイペリオン系の最大派閥へと上り詰めました。一部 Right Royal のようにクラシックディスタンスからステイヤー路線で結果を残した分岐もありましたが、総じてみればスピードタイプで、特に欧州最強マイラーの1頭と言われる Tudor Minstrel の系統が最も大きく発展し、今でも辛うじて父系を存続させることに成功しています。日本にも多数の種牡馬が輸入されていますが、今回紹介する中でもっとも著名なのは*テューダーペリオッドで、宝塚記念のハマノパレードや菊花賞馬ハシハーミットを出すなど成功、しかもかなりの長命だったこともあり、長きにわたって活躍馬を送り出しました。

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2024年04月02日

新種牡馬辞典'24 海外編 No.1

ひとまず日本で供用された新種牡馬はすべて紹介し終わりましたので、ここからは海外で供用された新種牡馬をまとめていきたいと思います。ということでまずは海外で種牡馬入りした日本馬、および日本馬の仔をピックアップしてみました。

ダノンリバティはキングカメハメハ産駒で、オープン特別を2勝してオーストラリアに移籍しましたが、目立った成績をあげられず。ひとまず種牡馬入りはしたものの、ほとんど牝馬は集められていません。Tagaloa はロードカナロア産駒、Fierce Impact はディープインパクト産駒で、それぞれオーストラリアで競走馬デビューし、GIを勝つことに成功しました。こちらは種牡馬としてかなりの牝馬を集めており、初年度から活躍馬を出す可能性は十分あるでしょう。Win Win Win はハットトリック産駒の米GI馬。種付け料はともかく牝馬はそこそこ集めており、その血を繋ぐことはできるでしょうか。Cheonji Storm はアドマイヤドン産駒の韓国重賞馬。奇しくも同じアドマイヤドン産駒のアルバートが今年日本で種牡馬デビュー予定で、産駒はわずかながら活躍馬をだしてほしいところです。

※(4/13追記)トルコで種牡馬入りしたクルーガーを追記しました。

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