2023年01月08日
ベートーヴェン：六重奏曲変ホ長調作品81
深刻かつ重厚な交響曲を作曲したベートーヴェンが、なんとも軽妙で美しい室内楽を残しています。作品81の六重奏曲は、ホルン二重奏に弦楽四重奏が伴奏を加えるもので、2本のホルンが本格的に扱われています。変ホ長調の平和な響きに各楽器が伸びやかに歌を奏でます。きっと聴く以上に演奏している方が愉しい作品なのではと感じます。
六重奏曲変ホ長調作品81
ヴィタリ・ブヤノフスキー（Hr)
ウラディーミル・シャリート（Hr)
タネーエフ弦楽四重奏団
（録音年不詳 ソ連Melodiya CM-2949 LP)
作品目録をみると、楽器編成は異なるのですが六重奏曲は作品71と作品81の2曲があり、作品81の方はピアノ三重奏曲に編曲したものもあるようです。当レコードではその両方に加え管楽八重奏の為のロンディーノ変ホ長調WoO.25を収録しています。平穏な安らぎを与えてくれる清涼剤のような音楽で、ハイドンやモーツァルトの緩徐楽章のような性格をもち、ホルンの重奏が美しい調和を創ります。作品71の六重奏曲は、ホルン、クラリネット、ファゴットがそれぞれ2本づつの編成で、ここでもベートーヴェンは気分を紛らわせるかのような優しさに満ちた音楽を作っています。木管のアンサンブルが、気分の軽さを演出し、ホルンの重奏が、柔らかい音色をつくり、それが合わさることでなんとも豊かな音色と表情が浮かび上がってきます。主導的な立場でホルンを担当する、ヴィタリ・ブヤノフスキーは、国立レニングラード・フィルの首席奏者で、このアルバムをはじめアンサンブルやソロの活動も極めて積極的に行っているようです。メロディヤには彼の吹込みが多数確認できます。またタネーエフ弦楽四重奏団も含め、このアルバムではレニングラードを拠点にしているソ連屈指のソリストを贅沢に集めて録音させたもので、息の合った精巧なアンサンブルが聴かれます。
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アナトリー・デーミン(Hr)
ボリス・ハルチェンコ(Hr)
ヴァランティン・ジューク(Vn)
ユーリ・ダネマン(Vn)
ミハイル・トルピーゴ(Va)
G.イワーノフ(Vc)
（録音年不詳 ソ連Melodiya CM2453 LP)
ホルンのデーミンは、ボリショイ劇場管弦楽団を経て、ソビエト国立交響楽団の首席奏者だった人で、弦楽四重奏のリーダーを務めるジュークは、モスクワ・フィルのコンサートマスター。ヴィオラはソビエト国立交響楽団の首席トルピーゴ。こちらは、モスクワを拠点にしているソ連屈指のソリストを集めて録音されており、演奏も秀逸。精緻な合奏に舌を巻きます。
