[新刊紹介] 日本ヘビ類大全

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hebirui
日本ヘビ類大全

楽しみにしていたヘビ類の図鑑「日本ヘビ類大全」が届きました。

まださっと通して見ただけなのですが、これは凄い図鑑です。日本に分布するヘビ43種3亜種(そんなにいるの!?)について、美しい白バック写真とフィールドで撮影された多くの生態写真、そして丁寧な解説があり、この一冊で日本のヘビについて何でも調べる事ができます。豊富な参考文献が明記されているのも、原典に当たりた方には嬉しいところ。

図鑑ページ以外には、ヘビにまつわる文化や毒蛇による咬傷についてもしっかりとページを割いて記述があり、読み物としても楽しめます(ちょっと怖い写真もありました)。

そしてなんといっても生態写真が美しく、どれもヘビの魅力的な表情を余すところなく捉えていて、思わず「かわいい」と声に出してしまうカットがいっぱい。これは著者、撮影協力者のみなさんの蛇愛の強さの表れでしょう。こうした「図鑑」は仕事と割り切って淡々と作る方も少なからずいるのですが、それは読者にも伝わってしまうもの。「良い図鑑」は、やはり対象への溢れんばかりの愛情でできているのだと再認識させられました。

「日本ヘビ類大全」文句なしにお勧めです。
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なお僕も1点生態写真を提供しています(p.100 鳥(キジバト)を食べるアオダイショウ)

誠文堂新光社
6,050円

これだけ

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P4100296
オツネントンボ オスの複眼 / OM SYSTEM OM-1, M. ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PRO.

そろそろ最盛期に差し掛かろうかというオツネントンボ。しかも前日は雨でこの日は晴天という絶好のコンディション。水辺では成熟したオスたちがたくさん縄張り占有して・・・いるはずでしたが、なぜかさっぱり。

P4100328
オツネントンボ 連結産卵 / OM SYSTEM OM-1, M. ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PRO.

数時間滞在してその登場を待ちましたが、ほぼ完全に空振り。帰り際になってようやく1ペアが撮影できました。

P4100225
オツネントンボ 連結産卵 / OM SYSTEM OM-1, M. ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO

あまりに少ないので、現地でお会いしたトンボ仲間の喜多英人さんと2人、互いに「飛ばさないでよ」と牽制しながらこの1ペアを写すことに(笑)。予定では数えきれないほどのオツネントンボが出迎えてくれるはずだったのに、なぜ?

2024年4月10日撮影 東京都多摩地区中部

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そこに星はあるか

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P4110711
トホシクビボソハムシ / OM SYSTEM OM-1, M. ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro, マクロフラッシュ STF-8. トリミング.

大きなクコの株に、冬眠から覚めて活動を始めたトホシクビボソハムシが。

鞘翅にある、大小合わせて10個の黒斑が和名のトホシ(十星)の由来。

P4110672
トホシクビボソハムシ 交尾 / OM SYSTEM OM-1, M. ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro, マクロフラッシュ STF-8. トリミング.

ところが実際は、星のない(無斑の)個体が大半。地域性があるかもしれませんが、少なくとも僕が観察している湘南地域の数カ所では、無斑の個体が圧倒的に多いです。


P4110722
トホシクビボソハムシ 交尾 / OM SYSTEM OM-1, M. ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro, マクロフラッシュ STF-8. トリミング.

こちらのペアはオスだけがトホシタイプ。

P4110700
トホシクビボソハムシ 交尾 / OM SYSTEM OM-1, M. ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro, マクロフラッシュ STF-8. トリミング.

そしてオスメスともトホシタイプのペア。この場所ではかなりの少数派で、感覚的には無斑のペア10~15に対し、トホシペア1くらいの割合です。

P4110728
トホシクビボソハムシ 卵 / OM SYSTEM OM-1, M. ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro, マクロフラッシュ STF-8. トリミング.

クコの葉の裏には、産み付けられた卵もたくさん確認できました。

P4110730
トホシクビボソハムシ 幼虫 / OM SYSTEM OM-1, M. ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro, マクロフラッシュ STF-8. トリミング.

そして幼虫も。

そういえば食草のクコは日本在来とも、中国原産の帰化(外来)植物とも言われています。後者だった場合は、トホシクビボソハムシも古い時代に渡来した外来昆虫なのかもしれません。

2024年4月11日撮影

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贅沢

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P4110043
キアゲハ / OM SYSTEM OM-1, M. ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro.


行きつけのショカツサイの群落にて、今期初めてのキアゲハに遭遇。瑞々しい翅の質感などを見るに、羽化してからさほど日の経っていない個体でしょうか。

このチョウが現れた途端にその空間がぱっと華やぐような。このチョウの大きさと煌びやかさには、やはり何か特別なものがあります。

P4111163NR
ルリタテハ / OM SYSTEM OM-1, M. ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO

夕方、公園のベンチから飛び立つルリタテハ。近くを飛ぶ別のルリタテハに強く反応していました。一度飛び立つとしばらく追いかけっこをして、なかなか戻ってきません。その激しい争いのせいもあってか翅がもうボロボロになりかけていましたが、その美しさは健在。

こうした美麗なチョウたちを普通種として身近に見ることができるのですから、我々はずいぶん贅沢な土地に生きているのかも。

2024年4月11日撮影 神奈川県

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栄養

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P4110115
アサヒナカワトンボ ♀ / OM SYSTEM OM-1, M. ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS.


湘南の里山でも、ちらほらとその姿を見せるようになったアサヒナカワトンボ。時期としては例年通りといった感じ。

まだ羽化直後〜数日の若い個体がほとんどで、水辺に近い林縁に止まり、時おり飛び立っては小昆虫を捕食する場面が観察されました。このメスが食べているのはおそらく水辺に多いオナシカワゲラの一種。

P4110285
アサヒナカワトンボ ♂ / OM SYSTEM OM-1, M. ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro.

こちらは若いオスの個体。何かを食べていましたが、かなり咀嚼されていて現地ではその種類までは判断できませんでした。

帰宅後に拡大して確認してみると、やはりこちらもオナシカワゲラのよう。よく見ればその卵らしきものも視認できます。

こうしてせっせと栄養摂取する若いカワトンボたち。早ければ来週あたりから成熟した個体が現れ、交尾、産卵などの生殖活動を行う姿が見られそうです。

2024年4月11日 神奈川県

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現実

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P4110815NR
ヤブキリ 幼虫 / OM SYSTEM OM-1, M. ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro, マクロフラッシュ STF-8.

タンポポの花にいたのは、今年初めて見たヤブキリの幼虫。例年なら3月下旬ごろには見ている気がします。今年はすこし遅いのでしょうか。

P4110994
アカボシゴマダラ 幼虫 / OM SYSTEM OM-1, M. ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO, マクロフラッシュ STF-8.

エノキの若葉には、春ならではの装いをしたアカボシゴマダラの幼虫が。在来種、外来種の違いはあれど、どちらも里山の春を感じる組み合わせ。これがこの時代の現実。

2024年4月11日 神奈川県


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白い卵

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P4100268NR
純白の卵塊 / OM SYSTEM OM-1, M. ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro, マクロフラッシュ STF-8.トリミング.

水辺に生えたイネ科植物(エノコログサ類?)の葉の上に、真っ白な卵の塊が。

P4100243NR
純白の卵塊・側面 / OM SYSTEM OM-1, M. ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro, マクロフラッシュ STF-8. トリミング.

側面から見ると、細長いこんな形。これはカメムシでもガの類でもないな。でもどこかで見たような気がする・・・。

P4100275NR
アシブトハナアブ / OM SYSTEM OM-1, M. ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro.

するとすぐそばに生えた同じイネ科植物に、腹部を曲げて産卵行動を取るハナアブ類の姿が。

P4100276-NR
アシブトハナアブ / OM SYSTEM OM-1, M. ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro.

どうにか背面も見えてその正体が判明。アシブトハナアブでした。アシブトハナアブの幼虫は「オナガウジ」と呼ばれる水生のウジムシですが、どうやら卵は水面より上のこうした所に産みつけるようです。

あれ、このアブと卵の組み合わせ、どこかで見たぞと記憶が甦ってきました。そこで調べてみると、昆虫写真家の新海孝さんが2006年10月20日、21日の両日、ご自身のブログ「昆虫ある記」に美しい写真とともに紹介されていたのでした。⇩

アシブトハナアブの卵(2006年10月20日・21日の記事に掲載)/ 昆虫ある記(新開孝さん)


これで正体が分かったので、また見る機会があれば産卵シーンや卵の様子など、しっかり撮影したいと思います。

2024年4月10日 東京都多摩地域中部

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違い

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P4071242NR
クマバチ / OM SYSTEM OM-1, M. ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS.

日中は暖かくなる日が多くなり、クマバチの姿が目立つようになってきました。ショカツサイの花畑でも忙しなく飛び回る姿がよく見られ、あちこちからブオォンと迫力のある羽音が聞こえてきます。

P4071136NR
クロマルハナバチ / OM SYSTEM OM-1, M. ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS.


背後からの羽音にまたクマバチかと振り返ると、そこにいたのは花粉にまみれたクロマルハナバチ。

しばらく観察していると、クマバチに比べて花に滞在する時間が長く、近くで咲いている花には歩いて移動する(クマバチはおもに飛んで移動)ということに気づきました。似たもの同士でも性格?に違いがあるのが面白い。

2024年4月7日撮影 神奈川県

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記憶

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P4070643NR
ツマキチョウ メス / OM SYSTEM OM-1, M. ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS.

ショカツサイの花に飛んできたツマキチョウのメス。吸蜜シーンが撮れるかな、とカメラを構えると・・・。

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ツマキチョウ 産卵するメス / OM SYSTEM OM-1, M. ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS.

やがて花に止まったメスは、なんと腹部を曲げて蕾に産卵行動を取りました。花から花へ移動しながら、何度も産卵行動を繰り返します。

P4071262NR
ツマキチョウ 卵 / OM SYSTEM OM-1, M. ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro, マクロフラッシュ STF-8.

そのあとを確かめると、ちゃんと卵が産み付けてありましたが、なぜか見つかったのは2本の株にそれぞれ一つの合計2つだけ。しかもそのうちの一つは、いざ撮ろうと思った時にその株の位置がわからなくなってしまうという大失敗。その後どんなに探しても見つけ出せませんでした。自分の記憶力が心配・・・。

P4071087
ツマキチョウ メス / OM SYSTEM OM-1, M. ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS.

ひとしきり産卵したメスは、やがて花の上で翅を閉じ、すっかり休憩モードに。この翅の裏の美しい迷彩柄が、ツマキチョウの特徴のひとつ。

数分間にわたりこの状態だったので、少し離れた場所に置いたカメラバッグを回収してレンズ交換。ところがいざ撮影しようとすると、いつの間にかその姿は消えていました。他のチョウやハチにでも追い立てられたかな。

2024年4月8日 神奈川県

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イモとアリの間に

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P40702871
ミノウスバ 幼虫 / OM SYSTEM OM-1, M. ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO, Panasonic DMW-FL200L

すっかり若葉の広がったマユミの木を見上げると、そこにいたのはミノウスバの幼虫たち。ここは20日ほど前に、孵化間もない幼虫たちを観察した場所。当日の記事はこちら↓



P4070306
ミノウスバ 幼虫 / OM SYSTEM OM-1, M. ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO, Panasonic DMW-FL200L

あたりを見回すと、葉をほとんど食べ尽くされた枝と、集団を形成している幼虫たちもいました。

P4070243
ミノウスバ 幼虫 / OM SYSTEM OM-1, M. ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO, Panasonic DMW-FL200L

この調子では、このあたりのマユミが丸坊主にされてしまうのも時間の問題か。

しかし今日の観察でそれ以上に気になったのは、最初の写真にもフレームインしている黒々としたクサアリ類(クロクサアリ?)の存在。よくみるとどのカットにも映り込んでいて、ミノウスバの幼虫に誘引されているようにも見えます。しかしそのことに注目して観察していると、幼虫そのものよりも幼虫が食べた葉の縁(食痕の境界部)に顔を近づけ、執着しているように見えました。

幼虫にしてみれば、アリが絶えず近くにいることで、寄生バエや寄生バチから身を守る効果も期待できそう(3枚目の写真に怪しいハエが写っています)。このイモムシとアリ、そしてマユミの間にはどんな関係が・・・?

2024年4月7日 神奈川県

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