RERAのウイスキーブログ

ロスジェネ世代のおっさんが、世界各地のウイスキーを飲み、独断で評価していきます。 Whisky reviews and informations

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今回は、ジムビームアップルを飲んでいきます。

フレーバードウイスキーとは

DSC_1023_01ジムビームアップルは、フレーバードウイスキーに含まれるボトルになります。

フレーバードウイスキーとは、ウイスキーに果汁やスパイス、香料などを加えて香りや味をつけたウイスキーを言います。

特に蜂蜜を加えたハニーウイスキーが有名です。

こうしたフレーバードウイスキーは、バーボンやカナディアンウイスキーに多く、ジムビームの他にジャックダニエルもフレーバードウイスキーを出しています。

ジムビームは、今回採り上げるアップルの他に、ハニー、そして2024年4月にリリースしたピーチの3種類をラインナップしています。

なお、フレーバードウイスキーは酒類の分類としては「リキュール」となっています。

テイスティング

グラスからの香り、液色

グラスからは青リンゴの香りがこれでもかというくらいに強烈に感じられます。
液色は少々薄い琥珀色です。

ストレート

リンゴの香りがやはり先に広がり、その後はハチミツ、メロン、接着剤、バニラの香りが続きます。
味わいは、少々辛みがあるものの、全体的には甘味がしっかりやってきて、奥から酸味が広がります。

ロック

青リンゴとカラメルの香りが一気に広がり、ハチミツ、接着剤の香りが続きます。
味わいは、多少の苦みはあるものの、全体的にはとても甘いです。

ハイボール

青リンゴの香りの後、接着剤とメロン、バニラの香りが続きます。
味わいは、酸味がしっかりやってきて、甘さは少し抑えられた印象です。

ストレートでもとても甘い

全体的に、リンゴの香りがしっかりしていて、とても甘いです。
ストレートでもアルコールからの辛みがリンゴ果汁によって抑え込まれて飲みやすくなっています。

一方でハイボールにすると酸味が強調されてサッパリ感が出ます。

欠点としては、砂糖またはハチミツから来るであろうベタベタした口当たりでしょう。

食事と一緒に飲むには甘味が強すぎるので、単体で飲むか、スイーツと一緒に飲む方がいいでしょう。

700mL、アルコール度数32.5度、価格は1850円ほどです。

<個人的評価>

  • 香り B: 青リンゴの香りが主体。ハチミツ、メロン、バニラ、接着剤の香りが続く。
  • 味わい C: ストレートでも甘味が強い。ハイボールでは酸味が前に出る。
  • 総評 C: アルコール感が苦手な人向け。



[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

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今回は、ここ10年で誕生しつつ、なかなか一般人が手に入れられない、ジャパニーズクラフトウイスキーについて考察していきます。

供給量が少ない故か

2010年代中盤以降より、北海道から沖縄までクラフトウイスキーの蒸溜所は数十カ所に及び、現在も計画中のものを含めれば100カ所近くになると言われています。

しかし、すでにジャパニーズウイスキーの基準に合致した3年以上熟成されたボトルは、1万円を超える物が大半で、とても一般消費者には手が届かない価格で高止まっています。

その大きな理由は供給量の少なさにあります。

基本的に価格そのものは需要と供給のバランスが鍵となります。
需要が少ないのに供給が多いと価格は安くなり、その逆だと高くなります。
クラフトウイスキーでは小規模故に製造、貯蔵できる原酒の量が大手と比べて少なくなってしまうため、価格を引き上げる要因となってしまいます。

また、モルト原酒のみを製造する蒸溜所が多いことで、グレーン原酒とブレンドして全体量をかさ上げすることも難しいため、ブレンデッドとして安く売ることも難しくなっています。

さらには国内のみならず、海外からも人気が高いことから、需要が更に大きくなることも要因となっています。

複数の蒸溜所で原酒をシェア

では、もっと価格を下げるにはどうすればいいでしょうか。

一つの方法は、複数の蒸溜所で原酒をシェアし、ブレンデッドモルト、ブレンデッドウイスキーとして売ることです。

スコットランドでは蒸溜所の原酒をボトラーやブレンデッドウイスキーの製造会社が買い取って、独自にブレンドして販売する事が一般的になっています。

むしろサントリーやニッカのように、自社で複数の蒸溜所を建設して自社製のみのモルト、グレーンのみを使うこと自体が珍しいと言えます(一部は海外の原酒を使うこともある)。

スコットランドに倣い、特定の業者、または蒸溜所側が他の蒸溜所から原酒を買い取って、ブレンデッドモルトウイスキーやブレンデッドウイスキーとして売ることで、比較的安く提供することも不可能ではないでしょう。

ただ、価格的には1000円前後というのは難しく、頑張っても4000円くらいが損益分岐点になるかも知れません。

現状では、まだまだ熟成期間の短い原酒しか揃っていない蒸溜所が大半ですので、こういった方法が柔軟に採れるためにはあと10年の月日が必要かも知れません。

いずれにしても、新しい日本のもの作りの文化を、日本人、日本国民が手軽に享受できる時代が早く来ることを願っています。

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今回はサントリーの角瓶を改めて飲みます。
一体何度目か、と言われるかも知れませんが、とある変化があったので、それもお伝えします。

いつの間にかジャパニーズウイスキーに?

以前の記事で、2024年4月から、業界団体によって策定されたジャパニーズウイスキーの基準が本格施行されたとお伝えしましたが、それを調査する中である変化がありました。

それは2年ほど前にはジャパニーズウイスキーの対象外だったはずのサントリー角瓶が、ジャパニーズウイスキーとして追加されていたことでした。

実際、現在の角瓶の製品ページにおいても、ジャパニーズウイスキーの基準に準拠している旨が記載されています。


DSC_1017_01おかしいと思って、近所のコンビニで角瓶を購入してみると、裏のラベルに変化がありました。
そこには、原材料名と併記して、「原料原産地名」という表記があり、そこには「国内製造(グレーンウイスキー、モルトウイスキー)」と明記されていました。

しかし調べてみると、2年以上前に記載された他の方のブログでも、上記のラベルに変わっているとの報告があったので、この表記がジャパニーズウイスキーである証拠とはならないようです。


一応、3年ほど前から山崎、白州のモルト、知多のグレーンのみで構成されたブレンドになったのは確かなようです。
それがいつの頃から全て3年以上熟成された原酒のみになったのかがわかりません。

それならばと、サントリーに直接問い合わせてみました。

いただいた「角瓶はいつ頃の出荷分からジャパニーズウイスキーの基準に準拠したボトルになったのでしょうか」とのご質問について、ご返答申し上げます。

 

角瓶は、2021年のジャパニーズウイスキーの定義施行以降、順次切り替えを実施してまいりました。

角瓶のラインナップ毎に切替時期が異なるため、詳細はお答えしておらず、誠に申し訳ございません。

何とぞご了承いただきますようお願い申し上げます。

と、御茶を濁す回答。
ブレンド内容の変化と出荷分くらい、きちんと社内でデータ管理しないと品質管理なんて出来るわけがないのですが、結構機密レベルが高いのでしょうかね。

もっとも、昨年は韓国で角ハイボールがブームになって爆買いがあったので、いつのロットからジャパニーズウイスキー準拠になったと明示してしまうと、買い控えや特定ロット以降しか売れないという事態にもなりかねないので、それを警戒しての回答とも取れます。

いずれにしても、産地表記したときに既にジャパニーズウイスキー準拠に切り替わったのか、特定の時期に出荷したものから準拠になったのか、結局謎のままとなりました。

このまま終わりではしゃくに障るので、先日購入した分を改めてレビューします。
5月頃にもう一つ購入し、飲み比べもやろうと思います。

テイスティング

グラスからの香り、液色

グラスからはビネガー、リンゴ、カラメルの香りがやってきます。
液色は中庸な琥珀色です。

ストレート

先にリンゴの香りが広がり、ブドウ、バニラ、カラメル、カカオと続きます。
味わいは、思ったほどアルコールからの辛みは少なく、甘さが全体に広がり、軽い苦み、酸味も伴います。

ロック

バニラ、ラムレーズン、リンゴ、メロンの香りが広がります。
味わいは、甘味が先行し、ほろ苦さと軽い酸味が続きます。

ハイボール

接着剤、メロン、ナッツ、バニラの香りが一気にやってきます。
味わいは甘味がメインで、炭酸から来る酸味と軽いほろ苦さが続きます。

ストレートでもマイルドに変化

完全国産に切り替わる前、2020年頃に書いた記事を改めて読んでみると、ストレートではアルコールからの辛みがあってきついものがあった、とされているので、この当時だと海外の原酒を使ったのみならず、熟成期間も3年未満のものを使っていた証左が見られます。


しかし現行のボトルを飲んでみると、アルコールの刺激、辛さはほとんどなくなっていて、むしろ甘味がしっかりした味へと変化をしています。

ハイボールにしても、バーボン樽原酒ならではのナッツ、バニラ、接着剤っぽさが強くなったように思えます。
甘味がしっかり出たことで、角ハイボールで加えるレモン果汁の酸味とのバランスもより考えられた仕上がりになっている気がします。

以前のブレンドはハイボール用に特化したと揶揄をされましたが、現行においては海外での需要も踏まえてか、ストレートでも飲みやすく改良されているように思えます。
また、すでに全ての原酒が3年以上熟成している可能性もありそうです。
この点については5月に新しいボトルを買って飲み比べて検証をする予定です。

<個人的評価>

  • 香り B: リンゴ、ブドウ、バニラ、接着剤、メロンが主体。
  • 味わい B: ストレートでもアルコールの辛みが少なくて飲みやすい。全体的に甘味が強め。
  • 総評 B: 心なしか昔よりもオールラウンダーになった気がする。

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今回は、久米仙酒造の沖縄ISLAND BLUEを飲んでみます。

泡盛のメーカーが作った米のグレーンウイスキー

DSC_1002_01久米仙酒造は沖縄県那覇市にある酒造メーカーです(「久米島の久米仙」とは別法人)。

1952年に創業した同社は、沖縄の蒸留酒である泡盛を主体としていますが、他のメーカーと比べて伝統にこだわることなく、新しい製品にチャレンジするメーカーです。

一般的な泡盛の古酒(クース)は、陶製の甕に貯蔵、熟成を行いますが、同社ではオーク樽で熟成する製品も出されています。

そして同社は2010年代から、樽熟成の泡盛のノウハウをベースに、米を原料としたグレーンウイスキーの製造に着手し、「沖縄 ISLAND BLUE」としてリリースされました。

現在はノンエイジでアルコール度数43度のボトルの他、アルコール度数40度の「8年」、そしてアルコール度数59度のカスクストレングスがレギュラーとしてラインナップされています。

これ以外にも、東京ヤクルトスワローズとのコラボレーションボトル、ゴジラとのコラボボトルなど、限定品も多く登場しています。

今回飲むノンエイジでは、熟成樽としてホワイトオークの新樽を使っています。
「8年」ではバーボン樽を使っているため、後々こちらも飲んでみたいと思います。

テイスティング

グラスからの香り、液色

グラスからは、バナナ、接着剤の香りが感じられます。
液色は、中庸な琥珀色です。

ストレート

バナナ、ゴム、メロン、接着剤の香りが一気に広がります。
味わいは、アルコールからの辛みは少なめで、酸味が強く感じられます。

ロック

接着剤とメロンの香りが一気に鼻を突き抜けていきます。後からバニラ、メロン、ナッツ、バナナの香りが続きます。
味わいは、酸味が引き続き強く、後から甘味が追いかけるイメージです。

ハイボール

メロン、ナッツの香りが先立ち、オーク樽のウッディな香りが続き、バニラ、バナナの香りが締めてきます。

味わいは、多少のほろ苦さがあるものの、甘さがメインになります。

バーボンやライウイスキーを思わせる

全体的には、米を主原料にしているにもかかわらず、トウモロコシやライ麦を主体としたバーボンやライウイスキーのような香り、味わいを感じさせて、なかなかに興味深いものがあります。

また、沖縄という温暖な地域であるため、ノンエイジであってもアルコールの刺激から来る「若さ」が少なく、熟成感も感じられる仕上がりになっています。

どの飲み方でもそれぞれに個性があり、物足りなさは感じないでしょう。

この米主体のグレーンウイスキーと、全国各地のクラフト蒸溜所のモルトウイスキーとをブレンドすることで、新しいブレンデッドウイスキーが生まれるワクワク感を持たせてくれます。

700mL、アルコール度数43度、価格は5000円ほど。

<個人的評価>

  • 香り B: バナナ、メロン、接着剤、バニラ、ナッツ、樽香と豊富な香り。
  • 味わい B: アルコールからの辛みが少なく、比較的まろやか。酸味から甘味へと移り変わる。
  • 総評 B: バーボンっぽさを持ちつつも独特の香りと味わいが面白い。



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2024年4月に、業界団体によって規定されたジャパニーズウイスキーの基準本格的に施行されました。

基準策定に至るまで

2021年2月に、ウイスキーなどの洋酒を扱うメーカーによって集まった業界団体、日本洋酒酒造組合によって、ジャパニーズウイスキーの基準が策定されました。

元々、日本におけるウイスキーの規定は、酒税法に基づいて行われいましたが、日本のウイスキーのお手本と言えるスコッチウイスキーの基準に比べてとても緩く、それこそ樽熟成をしていなくてもウイスキーを名乗れるなど、品質向上を求めるメーカーや消費者のニーズに合ったものではありませんでした。

酒税法を運用する財務省にとっては、少しでもウイスキーに当てはまるものに対してより多くの酒税をかけて徴収しようとする意図が見て取れます。
全く国民を向いていない自分勝手なやり方と言えるでしょう。

さて、ハイボールブーム、マッサンブームによって日本におけるウイスキー人気が急上昇したことと、海外のコンテストで上位入賞を果たすなど海外でも人気が高まったことにより、ここ10年で多くのメーカーがウイスキー製造に参入しました。

しかし実際には、スコットランドなどからバルクウイスキーを輸入して自前で熟成させただけのウイスキーや、3年の熟成期間を経ずに出荷してジャパニーズウイスキーを名乗るメーカーがでたことで、折角国内外で高まる熱に冷や水をぶっかける行為が目立つようになりました。

そのために、高品質のジャパニーズウイスキーを出そうと、業界団体が動いたのです。

そして基準策定の中で、経過措置として、2024年3月末まで、酒税法に準じた基準でも構わないということとなりましたが、4月からはそれが許されない、ということになります。

罰則規定は無いものの、同組合に加盟するメーカーが違反を行えば、何らかの不利な状況になるかも知れません。
今後は法制化に向けて動くかも知れません。

基準内容について

なお、規定された内容は下記の通りです。

原材料

原材料は、麦芽、穀類、日本国内で採水された水に限ること。
なお、麦芽は必ず使用しなければならない。

製造

糖化、発酵、蒸留は、日本国内の蒸留所で行うこと。
なお、蒸留の際の留出時のアルコール分は95度未満とする。

貯蔵

内容量700リットル以下の木製樽に詰め、当該詰めた日の翌日から起算して3年以上日本国内において貯蔵すること。

瓶詰

日本国内において容器詰めし、充填時のアルコール分は40度以上であること。

その他

色調の微調整のためのカラメルの使用を認める。

ジャパニーズウイスキーの実情

実は現在においても、サントリー、ニッカ、キリンといった大手メーカーでも、海外の原酒を使ったウイスキーが販売されていて、それらにはジャパニーズウイスキーという表記はされていません。

例えばニッカの場合、ジャパニーズウイスキーの基準を満たすのは竹鶴、余市、宮城峡、カフェグレーンの4種類しかありません。

一方でサントリーでは、角瓶、オールド、リザーブ、ローヤルと言った比較的低価格の銘柄もジャパニーズウイスキーに含まれるなど、メーカーによって温度差が違っています。

背景には、ウイスキーブームの到来によって積極的に増産に踏み切ったサントリーと、なかなか踏み切れなかったニッカ、キリンというのもあるでしょう。

今後、海外に向けて高品質なウイスキーを大中小それぞれのメーカーが苦心しながらも小人を図ってくれることを願うばかりです。



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