2007年02月19日

楽観出来ないゲーム〜ちばぎんカップ

今年もやって来たプレシーズンマッチ「ちばぎんカップ」
毎年このゲームは結果よりもどの様なサッカーが出来るかという視点で見るのだが、今日は大雨の影響でサッカーをするには酷いコンディションだった。ピッチコンディションが悪いと余計にチーム力の差が出るとよく言われるが、今日のゲームはそれには当てはまらないと思える。

今日のゲーム、スコアは2−1で柏の勝利だし内容を見てもスコア以上の柏の圧勝だと思えるが、真っ正直に喜んではいけない危険なゲームだと感じている。

その原因として最も大きな点はジェフの手応えが無さ過ぎた事だ。正直今日見たジェフは先代オシム監督が率いたジェフとは全くの別物に見えた。守備はキーマンに対するマンツーマンだが、組織で守る意識が低いので連係が悪く柏のパス回しをカットする事が出来ない。攻撃についても同様で、何か明確な目的が無いので中盤を構成する事が出来ない。敢えて言えば、前線へのロングフィードからのこぼれ球を如何に拾うかという事だけだが、フィードに合わせてタイミング良く中盤が詰めてくる意識も低いので決定機にはならない。もちろん、一発のロングフィードが通ってしまう怖さはあるが、あまりにも稚拙と言わざるを得ない。
自分は「舐められているのだろうか???」と勘繰ってしまっていた。
このジェフの苦戦について敵将曰く、レギュラークラスが代表に取られてしまった事が原因らしい。確かに羽生選手を始め、佐藤選手、山岸選手がいれば大分違ったチームになるのかもしれない。しかしもっと問題はチームとしての戦い方が出来ていない様に感じた事だ。選手が入れ替わった時程監督のサッカーコンセプトが目に見えるはず。明確な指示が出せず、ゲーム後の苦しい言い訳。。。1昨年の柏の状態と似通っていると感じている。このままの状態が続くのであれば、シーズン途中での監督交代も十分に有り得ると感じた次第だ。

一方の柏について、前半はセットプレーの一発を食らう事、後半の圧倒的な内容でもセットプレー2点で終わってしまった事は不満が募る。
ジェフと違いしっかりと中盤を作ってゲームを終始コントロールする事は大いに評価したいが、圧倒するべき時に完膚無く相手を叩けない事は、柏の長年の悪い癖だと感じる。内容的には終始優位だったので相手に合わせてしまったとは言えないが、内容と結果がしっかり伴うサッカーが出来ないとリーグ戦で苦労をするだろう。とはいえまだまだ発展途上、新チーム結成からまだ1ヶ月しか経っていない訳でこれから昨年を上回る成熟を期待したい。

個人について、MVPに選ばれた菅沼は2年間の修行で本当に大きく成長したと感じる。以前の投稿で彼は主力を担う重要な選手になると書いたが、やはり今年の柏のキーマンになるだろう。彼にとって今年のシーズンは、大きく成長出来るか否かの分岐点となるシーズンだろう。苦難もあるだろうが何とか突破して本気で代表まで上り詰めて欲しい。
アルセウは初めて見た訳だが、極めて無難なボランチという印象。前のスペースに飛び出していく攻撃意識が特徴的だ。現段階でも及第点なのだが「助っ人」と言う意味で言うと運動量と展開力をもう少し欲しいところだ。
古賀の加入は改めてプレーを見ると非常に大きい。1対1の守備の強さはチーム1番だろうし、セットプレーでは好守に渡り存在感を見せてくれるだろう。後は柏の守備の要として、プレー面でも精神面でもリーダーシップを発揮出来ればほぼ満点と言いたい。とにかく期待している。

今年のシーズンスタートまで後2週間。最後の助っ人マルシオ・アラウージョもチームに合流したし、選手にとってはまだまだ厳しいレギュラー争いの日々だと思われる。ただ、昨年の開幕戦を見てもその後1年を通してレギュラーとして出続けた選手は少ない訳だし、誰にでもチャンスは巡ってくるはずだ。大事な事は昨年の様な団結したチームが完成する事だろう。我々サポーターとしては昨年のチームを上回る様な一心同体な空気を作るべく努力したい。

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2007年02月04日

久しぶりの投稿でスミマセン(汗)

前回投稿から気がつけば1ヶ月以上も空いてしまいました。
気にはなっていたものの、年が明けてから仕事がとにかく忙しすぎて、全くの手つかずになってしまっています。。。
どう言っても言い訳でしかありませんね。
年始からいろいろ書きたい事はあったんですけど、今となっては何に触れても新鮮なネタとは言えないので、これからの記事投稿をがんばって行きたいと思っています。と言う事で今年も宜しくお願い致します。


さて、2007の柏レイソル。どういう結果が待っているのだろうか。

昨年の今頃は、新リーグ・新チーム・新シーズン・新監督という何もかもが新しい環境でのチーム再建のスタートとなり、それはそれでワクワクした期待感があった。一方で、主力の多くを失った状況で「1年で昇格出来るのか」という不安ももちろんあった。(個人的には1年で昇格する為に短絡的なチーム強化は必要ないと思っていたけど)

今年は、昨年のチームの土台だったディエゴ・リカルジーニョの2名が移籍、現状ではこの結果出来た穴を埋めきれていない気がしている。特にディエゴの移籍は痛かった。彼の能力を惜しむ気持ちよりも、交渉に時間がかかった事でチーム編成が遅れてしまった事が残念。これを取り戻す事は簡単では無いだろう。
だからと言って、焦って新外国人を補強する事が問題解決でも無い。この事態に至った以上、昨年の東京Vの様な見苦しいドタバタ劇にならない様にじっくりと構えた方が良いと個人的には考えている。
ディエゴと付き合うには例の代理人の問題が必ずセットになる。仮に彼が今年も柏との選手契約を更新していたとしても毎年年末に同じ様な問題を抱える訳だし、長期的なクラブ強化の為には正しい決断だったと思う。

正直思わぬディエゴの移籍ではあったが、現有戦力ではJ1で全く歯が立たないと短絡的にネガティブになってはいない。その理由は石崎監督の存在だ。昨年のチーム作りを見て来て、自分の中で石崎監督への信頼が非常に大きくなっている。駒は毎年変わるものだけど、作る人がしっかりとしていればチームは成長して行く筈だ。今年の柏が、というか今年の石崎サッカーがどれだけ成長するのか本当に楽しみでならない。ベテランはもちろんいるが、若い選手がどうしても主体になるチームが今年の柏レイソルだ。チームはまだまだ発展途上という表現をどのチームでもしているが、柏の場合は本当にこの表現を用いる事が正しいチームだと思う。もし結果が伴わずまた降格していく様ならそれまでのチーム力だったと言う事だし、ピースが1つ変わるだけでチーム力がガクンと落ちるのであれば、石崎サッカーの浸透が低かったと言う事だろう。そういう意味で今年の戦いは、これから数年間のクラブの発展にとても重要な1年間になる筈だし、昨年のチームを上回るパフォーマンスを発揮しなければ厳しい現実も待っているだろう。

ただ、冷静且つ公平に考えても柏はかなり健闘すると期待している。柏のサッカーは激しい運動量がベースとなったプレッシングサッカーだ。このチームカラーは昨年出来上がった。今年はこのサッカーを全ての要素で成長させる1年になる。相手が浦和であろうが、G大阪であろうが、川崎であろうが、上位チームを恐れず全員で追い立てるプレッシングを今年も見せてくれる事を大いに期待したい。


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2006年12月28日

柏レイソル2007年の展望(その2)

いろいろ多忙で前回から大変時間が空いてしまい申し訳ございません。


前回の<その1>でも記したが、個人的にはJ1のリーグ戦はいわゆる負け難いサッカーではなく「勝ちきるサッカー」を身につけないと、J1定着と来期以降の継続的なチーム強化に繋がらないと思っている。一言で勝ちきるサッカーと言っても各チームによって取り組み方は様々で、これがチームカラーになってくる。柏レイソル式の勝ちきるサッカーとは、いかに高い位置でボールを奪い、いかに早く攻撃に結びつけるかだと思っている。要はプレッシングのレベルを上げる事に尽きる。前回投稿では、このコンセプトに基づいて補強するのであればラインコントロールに優れたセンターバックと好守の要となるボランチが必要と書いたが、今回は「柏レイソル2007年の展望」<その2>として、来期想定される基本フォーメーションに基づいた現有戦力の評価をし、補強すべきポイントをもう少し明確にしていきたい。選手評価についてはいろいろご意見、異議等もあると思うが、まずは勝手な評価をご容赦願いたい。


石崎監督は最終的なシステムは4−1−2−3を目標としているらしいが、来期のフォーメーションは今年の傾向から考えると、4−2−3−1か4−1−4−1と考えられる。4−1−2−3への発展を考えると最も望ましいのは4−1−4−1だと思われるが、これは来期も相手によって臨機応変に変える事になるのだろう。

どちらにしても変わらない部分が1トップという事だ。1トップのFWに求められる要素は、攻撃の起点としてポストプレーの精度が高い事、プレッシングの先頭として運動量が豊富な事、好守における周囲との連係、そして決定力が挙げられる。1トップFW候補は、北嶋、李忠成、フランサ、大久保だろう。大久保の力量は不明だが、彼以外の3選手を評価して見たい。
      ポスト  プレス  連 係  決定力  合計
フランサ   5    2    5    4   16
北嶋     3    4    4    3   14
李忠成    3    4    3    4   14
現状ではフランサがファーストチョイスになってくるが、チーム全体でのプレッシングに悪影響が出てしまう事は大きなリスク。来期飛躍的に改善される事は期待出来ないので、飛び抜けた選手が入れば一気にファーストチョイスになる可能性もある。ただ、李忠成の成長もあるだろうし、大久保も大きな体躯で活躍出来るポテンシャルはあると思える。なので、補強順位としては低いだろう。

柏の2列目は、MFでもありセカンドストライカーでもある。ラストパスの精度も欲しいし、周囲との連係はもちろんスピードも必要だ。プレッシングの主役として守備力も求められる。とにかく2列目は重要で、このパフォーマンスがチームの出来を左右すると言っても過言ではない。現状の選手は、平山、藏川、谷澤、鈴木、石舘、ディエゴ、ドゥンビア、佐藤、菅沼と言ったところだ。
       スピード  ラストパス  シュート力  連 係  プレス  合計
ディエゴ     3     5      4     4    4   20
藏川       4     3      4     4    4   19
佐藤       4     3      4     4    4   19
平山       3     4      3     4    4   18
鈴木       5     2      4     3    4   18
菅沼       4     4      4     3    3   18
谷澤       4     4      3     3    3   17
ドゥンビア    5     2      4     2    2   15
石舘       4     2      3     2    3   14
現状ではディエゴが最も能力値が高いが、個人的には愛媛より復帰した菅沼は現状でも即戦力という評価で、連係やプレッシングはトレーニングで格段に上がる事もあり、来期の軸候補だと思われる。また続く日本人選手もそこそこ揃っていると思われる。しかし、このポジションはより能力の高い選手がいればチームに大きな好影響を与えるだろうし、積極的に補強すべきポジションと考えている。

3列目は守備の要というよりも組織の要。組織バランスを司る重要なポジションで好守に高い能力が求められる。現状の候補は山根、大谷、石舘、藏川、永井、柳澤だろう。
     プレス  パ ス  1対1  飛び出し  連 係  合計
(リカ)  5    5    4     5    4   23
 山根   5    3    4     3    4   19
 藏川   4    3    4     3    4   18
 大谷   3    4    3     4    4   18
 永井   3    4    2     3    3   15
 柳澤   3    4    2     3    3   15
 石館   3    2    3     3    2   13
補強についてはダブルボランチを組むのか、1ボランチにするのかで大分変わってくるとは思うが、まずはリカルジーニョの穴をどうやって埋めるかが最大のポイントだ。彼レベルの日本人選手は他チームでも揺るぎない立場にあるだろうし、簡単には獲得出来ない。そうなると外国人枠を使って補強すべきポジションと考える。また山根は一度は引退を決意した選手。長期的な視点に立てば、今年は山根に変わる日本人選手を速やかに育てる年と言える。候補は大谷以下の4名になるが、誰かが山根を超えなければ2008年は外部から日本人選手を補強する事になると思われ、そうなると柏では出番が無くなってくる。4選手は勝負の1年との思いで取り組んで欲しいものだ。

サイドバックは4バックを採用した場合、攻撃の厚みを出す重要なポジションになる。ただ日本国内では常に人材不足と言われるポジションであり、簡単に他チームから補強出来ないだろう。そうなると所属選手の底上げに期待するしかないと思われる。
     スピード  クロス  1対1  運動量  連 係  合計
藏川     4    3    4    4    4   19
小林亮    4    3    3    5    4   19
祐三     4    3    5    3    3   18
大谷     4    4    3    3    4   18
中谷     4    4    3    3    3   17
石川     3    3    4    4    3   17
石館     4    4    3    3    2   16
大河原    3    3    3    3    2   14
藏川が2列目、3列目に引き続き3度目の登場となるが、どのポジションでも高い数値の評価になり、来期も柏の中心として活躍しなければならないと思っている。藏川はチームきってのユーティリティプレイヤーと言えるが、彼が優先すべきポジションは人材が薄いサイドバックだと思っている。逆に、今年左サイドで期待された中谷が全くチームに貢献出来なかった。怪我もあったと思うが、現状では戦力として考え難いと思われる。そうなると必然的に小林亮が左に入る事になるだろう。またサイドバックで考えると他のポジションに比べて数値が高くなった石館にも個人的には期待したい。


4バックのセンターバックは、リベロシステムをとらなければセンターバック2名の連係で守備を構築する事になる。また、前回投稿でも触れたがプレッシングを機能させる核となるポジションでもある。候補は近藤、祐三、石川、岡山だ。
   ライン  1対1  空中戦  カバー  スピード  合計
近藤  4    4    4    4     4   20
祐三  3    4    3    4     4   18 
石川  3    3    4    4     4   18
岡山  3    3    5    3     3   17
とにかくセンターバックは2007柏レイソルのサッカーを有機的にさせる重要なポジション。来期は近藤を軸にしていく事になると思われるが、現状では質・量共に厳しい選手層で最も補強が必要と考えている。補強の際のポイントは、守備能力全般でリーグトップクラスであり、戦術理解度が高い事だ。前回投稿では清水の森岡選手の獲得を願っていたが、大変残念ながら京都に移籍する事が発表された。代わりでは無いが、柏は名古屋の古賀選手にアプローチしていると報道されている。古賀選手の印象は身体能力に優れたセンターバック専門の選手であり、実力実績共に申し分無い選手とは思っている。しかし柏にピタリと嵌る補強とは言い難い。ラインをコントロールするセンターバックとなると、絶対的なキャプテンシーが要求されると思うが、(外野からの印象だが)この要素に欠ける気がしている。ただ、本来の事を考えれば生え抜きの選手がその役目を負うべきだと思っているし、近藤、祐三、石川と新人の大島も含めた4選手の飛躍的な成長を期待したい。


思えば昨年のこの時期は退団選手の情報に戦々恐々としていた。結果的に多くの主力がチームを去ったが、その悔しさが個人的に今年の柏をサポートする大きなモチベーションになった事は間違いない。
そして今年もシーズンオフのチーム体制作りが始まっている。心情的には昨年とは大分違うものだが昨年と同じ事が1つある。それは降格チームから強奪に近い補強はして欲しく無いという思いだ。これは昨年柏が受けた屈辱感を他チームに受けてもらいたく無いという事では無く、その様な安易なチーム作りに走るクラブに成って欲しく無いという事だ。個人的な考えだが、降格チームから移籍する選手は個人能力は優れているのだろうが、精神面に必ず問題を持っており、これが新チームに悪影響を及ぼすと思っている。短期的な一発勝負では有効だろうが、1年間のリーグ戦では戦力になる事は無いだろう。

メディアの報道では今のところ柏はそのような補強路線に走っていない気がするが、実際の補強の発表は年明けからになるだろう。大いに興味を持って待ち受けたい。

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2006年12月19日

柏レイソル2007年の展望(その1)

1年間のJ2参戦でJ2チームにはかなり詳しくなった。しかし恥ずかしながら今年のJ1の状況はよく知らない。
挙げてみると、、、
他を圧倒する戦力で浦和が優勝。
J1に上がって2年目の川崎が2位。
最終節まで浦和と激しく覇権を争ったG大阪が3位。
昨年柏と残留争いの相手だった清水は4位。
毎年上位常連だった磐田と鹿島はそれぞれ5位と6位。
というぐらい。。。


改めて順位表を見ると、上記6チームが勝ち点の差から上位グループと言える様だ。この上位グループから勝ち点10の差で名古屋が7位に位置しているが、7位名古屋から15位甲府までの9チームは勝ち点差6以内にひしめき合っている中位グループで正に殆ど差がない状況。その下は甲府から勝ち点15離された下位グループ3チームで、いずれも降格した。
柏にとって心強いのは、石崎監督が土台を作ったと言われている川崎、昨年共に残留争いをした清水の2チームが躍進した事だ。この事からJリーグはほんのちょっとした事で勢力図が大きく変わると言えるし、柏には潜在的に上位進出の要素があると思いたい。

もちろん来期も同じ様な棲み分けになるとは言えない。しかし今年のJ1の結果はJ1における戦い方について大きなヒントがあると思える。それは「勝ち抜くサッカーを追求する事」が重要で、いわゆる負けないサッカーはJ1では通用しないという事だ。今年の例を見ても、15位甲府と16位以下のチームの明暗を分けたのは勝利数(甲府12勝/福岡5勝・C大阪6勝・京都4勝)である。敗戦を恐れず勝ち抜くサッカーを目指す事こそ他J1を生き抜く術であり、チームの永続的な強化になっていくと考える。幸い今年の柏は、石崎監督のもとJ1でも通用するチーム作りを進め、苦しい状況でも常にアグレッシブなサッカーを忘れずに戦って来た。柏は潜在的にJ1で戦っていく準備が出来つつあると思っている。

同じリーグで戦う以上全てが上手く回れば柏が優勝する可能性も無い訳では無いだろう。ただ来期の柏はJ1一年生であることが現実。どんなに補強をしても覇権争いに最も必要と思われる経験が全く足りていない。なので、来期の柏はJ1に定着出来る戦い方を身につける事が目標となると思われる。
具体的な目標順位は意味が無いと思うので記すつもりは無いが、J1定着という状況を具体的に記すと、常に中位グループに位置し、1年間を通じて徐々に成熟させ、最終的には限りなく上位グループに肉薄しシーズンを終える事だと思っている。

J1定着を目標にした場合、ある程度勝つ事が出来ないとチームを成長させる事は出来ないだろう。今年の例で見ると、15位の甲府から上位のチームは最低12勝している。そこで、J1リーグ戦34ゲームを5分割(7ゲーム/7ゲーム/7ゲーム/7ゲーム/6ゲーム)して考えてみたい。継続的なチーム強化に繋げる数値目標として、5分割のうち2分割は勝利、1分割を引き分け、2分割を敗戦の<14勝7分13敗>を来期のリアルな必達目標(ノルマ)と考えたい。分かり易くいえば5ゲームを2勝1分2敗のペースで進める計算となる。そして勝利と敗戦がいずれも1点差ゲームとすると、勝ち点49/得失点差+1となり、昨年の順位に当てはめると7位に相当、限りなく上位グループに近い中位グループとなる。重要な事は負け数よりも勝ち数が上回る事だ。これが出来ないとシーズンを通して手応えを感じる事が出来ず、チームもサポーターもフラストレーションが溜まる1年になってしまう気がする。簡単には崩れないとは思ってはいるが、変なフラストレーションで折角今年築いた選手とサポーターの連係が崩れる様な事は何としても避けたいところだ。後は、如何に敗戦ゲームを引き分けに、引き分けのゲームを勝利に持っていけるかが上位に肉薄するポイントになる。
ちなみにほぼ1勝1分1敗の成績で進み、最終成績12勝11分11敗でも勝ち点47で中位グループは確保出来る。しかし、1年間戦って結果的に上記の様な数字になる場合はあると思うが、最初からこの数値目標では実際に目指すべきサッカーの形が見え難くなると思う。(言えば「負けないサッカー」)
これでは今年の柏が追求したサッカーの発展形とは言えず最初からチームを作り直す事になり、結果強化ポイントがぼやけて失敗してしまう可能性が高い。
柏が低迷した過去3年の戦績を見ても、03年(12位)が9勝10分11敗、04年(16位)が5勝10分15敗、05年(16位)が8勝11分15敗であり、低迷した原因に勝ち数を稼げなかった事が影響したと思っている。

柏の今年の成績は27勝7分14敗/84得点60失点。これをJ1の試合数に換算してみると19勝5分10敗/59得点42失点となる。この成績を今年のJ1に当てはめると3位から4位辺りに該当する。一見勇気づけられそうな数字だが、今年の様なパフォーマンスを発揮したとしても優勝には手が届かない事を重く考えるべきだ。更に言うまでもなく相手チームの攻撃力・守備力共にJ2とは格段に手強い訳で全ての数字は悪化するだろう。そうなると来期のテーマはこの悪化をどの程度で食い止められるかがポイントになる。

数字の悪化を最低限に抑えるという表現すると、とにかく失点しない様な強固な守備を整備する事に意識が行きがちだがそれは正解とは思えない。強化・補強と言うと、決定力のあるFW、正確なクロスが上げられるサイド、1対1に強いDFなど数えれば切りがない。しかし来期を考えた基本は、今年追求した柏のアグレッシブなプレッシングサッカーをまずベースに考え、これをJ1で通用するレベルに引き上げる事が重要だと思っている。
要は、強化の出発点はプレッシングの強化と考える。プレッシングのベースとなる要素は前線から相手を追い込みつつコンパクトな組織を保つ事。今年の柏の最も大きな反省点は失点が多かった事だが、終盤のセットプレーの守備を除けばゲーム序盤や終盤にコンパクトに組織をコントロール出来なかった事が挙げられる。そこで最初の強化ポイントはラインコントロールに優れたセンターバックと、リカルジーニョが抜けた穴を埋めるボランチが欲しいところだ。更に精神面の弱さも大きな問題点だ。この3つの強化が上手くいかない様だと、個人技に優れる相手にプレッシングを簡単に外されるだろうし、また追いつめられてからの立て直しが効かずに相当苦労する事が予想される。


昇格決定後に「代表クラスを5人補強したい」というコメントが報道されたが、個人的には「代表クラス」という言葉の裏に変なブランド意識が感じられ、純粋に「柏のサッカーを強化する事」に欠ける発言の様で非常に残念だった。もちろん現役代表選手や元代表選手は集客に影響するだろうし無視出来ない要素だと思う。しかしそれを前提で補強を考える事は本末転倒である。仮に代表選手を輩出するのであれば純血選手の育成を基本に考え、その選手と共にクラブも成長していく事がクラブにとって極めて重要な事であると言いたい。現状では間違いのない補強が出来るのか不安だ。


これ以上書くと長くなるので、近々第2弾を投稿します。
ただ最後に噂になっているマリノスの中澤について。個人能力の高さは認めるが柏のサッカーや強化ポイントを考えた場合個人的には甚だ疑問。
エスパルスの森岡の方が格段にチーム力になる筈。
というよりも森岡と是非契約してください。お願いします。。。

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2006年12月14日

必然と偶然の連鎖反応

降格から苦難の1年間が文字通りアッという間に過ぎ、目標だったJ1昇格という結果を得る事が出来た。外野から見れば、降格チームが1年で復帰する事は波乱無くリーグ戦が進んだ様に見られがちだが、実情はそんな順風に後押しされた訳では無い。優勝した横浜FCとは勝ち点5をつけられた事から優勝には完全に及ばなかった訳だし、3位の神戸とは勝ち点2の差は27勝の内1ゲームでも落としていたら順位が入れ替わる本当に僅差の戦いだった。

降格に至る過程と昇格への1年間を振り返ると、必然と偶然が上手く連鎖的に絡み合っていた様に感じる。それは単純なチーム力を超える運命的な流れだ。

昨年12月10日、降格が決まった入れ替え戦第2戦は、悔しさよりも途方に暮れるしかない様なサッカーで考え得る最悪の敗戦だった。破壊的なチーム状態を目の当たりにされ、言いようの無い鈍色の空気が日立台に充満した。異様な雰囲気の中で小野寺社長はサポーターに1年でのJ1復帰を約束したが、サポーターの反応に激励など出て来ない。無言でピッチを睨みつけるかまたはブーイングだった。
帰るに帰れないサポーターを前に、現場の監督・キャプテンからは挨拶も無い。サッカーだけではなく、厳しい現実を前に最低限のけじめも果たせない柏レイソルという組織は根本的にねじ曲がっていたと言える。

病にかかっていたのはクラブだけではなくサポーターも大きな問題を抱えていた。
熱狂的で知られる柏サポーターだが、近年成績が低迷するに連れ中傷する弾幕を掲出したり、応援拒否に至ったり、相手サポーターと暴力沙汰に発展するなど、チームに対する愛情が歪んだ形で発せられる様になっていた。この様な行為に対して他チームのサポーターから批難が集中したが、自分も含めて素直に耳を傾けられない混沌の中にいた。

社会的に外れてしまった環境に囲まれたチームが勝てない事は必然だった。柏は昨年突然弱体化していたのではなく、数年かけて徐々にチームが壊れていった。そして降格後チームへの愛情を失っていた選手達は主力選手から順番にチームを去っていった。

昨年の降格は、クラブフロント・残留選手・サポーターなどレイソルに関わる全ての人間の心を戒めるきっかけとなった。「生まれ変わらなければならない」と本気で考えさせられた。

新たな1歩を踏み出すにあたり、まずは崩れ去った柏のサッカーを新しく作り上げなければならない。例年の様な曖昧なビジョンでは到底生まれ変わる事は出来ない。特に新監督の人事は大変重要な仕事で、新監督のサッカー観がその後当面の柏のカタチになっていく。担当するのは昨年ヘッドコーチを務めていた竹本新GMだ。
フロントの考える新監督の資質としては「1年で昇格を目指すチーム作りが出来て、若手の育成に定評のある人物」と言っていた。だが、正直そんな都合のいい人物がタイミングよく職探ししている訳が無い。当初は暗中模索、難航している様に感じられた。
しかし、ここで柏に追い風が吹く。柏のコーチを務めていたラモス氏は柏を去り、同じく降格した東京Vの新監督に就任。これで東京Vのコーチ職にあった石崎監督が玉突き人事で東京Vを弾き出される事となり、晴れて柏の新監督に就任する運びとなった。これは柏にとって最初の幸運な出来事だった。石崎監督はJ2を熟知した人であるし、J2であれば何処のクラブでも欲しがる貴重な人材だ。その様な人を運良く竹本新GMが引っ張って来られたのは、東京Vの同年降格、ラモス氏の監督就任、ラモス氏の組閣構想外などの全く他力な偶然が重なった結果と感じる。
柏と東京Vは同じく降格した神戸と違い主力選手の大量移籍が発生した事で環境が相似しているが、以降両クラブは明暗が分かれていく。原因の半分以上は監督の差であると思える。

石崎監督の就任に伴い、監督を慕って新しい戦力が加入する。
山根は中盤の底で柏のサッカーを土台から支え、岡山は貴重なキャラクターでサポーターと選手の垣根を取り払う。また柏に二度と戻らないと思われた北嶋も石崎監督を頼って戻って来た。シーズン途中には佐藤由紀彦が加入し、リーグ終盤に大変貴重な働きをする。以上の選手達は石崎監督の就任が無ければ柏に加入する事は無かった筈だ。後に南は、チーム結成当初に山根や岡山が石崎監督のサッカーと人柄が如何に信用出来るかを、自信を失っていたレイソルの選手達に切々と語ってくれた事が大きかったと語っている。
石崎監督の最も優れた能力はサッカー観や指導力よりも人心掌握術だと思っている。これは、組織の上に立つ人物として最も重要な要素と言える。この人心掌握術によりブラジル人の3人がしっかり監督を信用してくれた事は非常に大きかった。ここ数年外国人が何の不協和音も出さずに1年間働いた事は無かった様に思う。今年も怪我が重なり100%稼働したとは言えないが、最後までチームの力になっていた事は事実。外国人がしっかりとチームに馴染んだのは監督の功績と言える。
強化担当者の経験が無い竹本GMだったが、偶然が作用し石崎監督の招聘に成功し、新監督の人脈で入って来た新入団選手達が主力として柏を牽引する。石崎監督が東京Vの監督に収まっていた可能性も大いにあった訳で、そうなっていたとしたら柏と東京Vの立場は逆転していたかもしれない。

今年最も重要な戦力だったのはディエゴだが彼についても数奇な運命の末に柏に入ってくる。ディエゴはもともと昨年の夏に神戸と契約し来日しているが、当時の神戸を率いていたレオン監督が更迭された事により、リーグ戦に起用されずに帰国している。パルメイラスに戻ったディエゴだったが、パルメイラスの成績低迷に従い自身も調子を崩しゲームに起用されなくなってしまう。このタイミングに代理人が柏に売り込みに来るが、当初は違う選手を想定していたらしい。このセールスVTRを石崎監督が見てディエゴを指名、逆転で入団の運びになる。
神戸のディエゴ放出が無かったら、セールスVTRにディエゴが映っていなかったら、石崎監督が見なかったらとしたら、、、。
ディエゴの柏入団はやはり偶然がいくつも重なった結果だと感じる。

新チームがその年のサッカーを初めてサポーターの前で披露するのがプレシーズンマッチのちばぎんカップだが、これも大きな偶然があったと思っている。
結果としては0−2でジェフに敗戦するが、ゲーム後の挨拶で柏のサポーターは大きな拍手をもって選手を激励する。戦前からプレッシングサッカーを目指す事は聞こえて来ていた。その為にキャンプ中から厳しいトレーニングをこなしている事も聞いていた。しかし、柏のサポーターはこれまで歴任した監督達の説明と見せられるサッカーのギャップに幻滅し続けて来た。結果、ここ数年8割方守備を意識しコンセプトが見えないサッカーを見せられ続けている。要は自分たちの目で見ない限り信用出来なかった。
ところが千葉銀カップで柏が見せたサッカーは、石崎監督の説明通りの前線から激しいプレッシングを強いる攻撃型のサッカーだった。もちろん荒削りな印象が強く、修正すべき部分は沢山ある。ただそれを差し引いてもこの日に柏が見せたサッカーはサポーターには極めて新鮮で、久しぶりにエンターテインメントを感じられたと思われる。ゲーム後に自然と起こった激励はサッカーの内容を見れば必然的な行動であり、サポーターの素直な気持ちだった。
これに感激してくれたのが岡山だ。昇格後に岡山はこのゲーム後のサポーターの反応を見て柏のサポーターに対する見方を変えたと言った。彼の考えでは柏のサポーターは暴力的で選手に対して攻撃的なイメージがあったのだろう。それが選手を勇気づける為に負けても激励する集団なのだと180度方向転換。これを契機に彼がバイパスとなって選手達とサポーターの関係強化が始まっていく。
しかし仮に同じ0−2でも、昨年までのサッカーをドラフトした様な内容だったら、サポーターは容赦なくブーイングを浴びせた可能性もあった。そうなっていたら今年の選手とサポーターのガッチリとしたスクラム関係は無かったかもしれない。
ある意味岡山の勘違いから始まった勝利後のパフォーマンスは、勝利を重ねる毎に選手とサポーターの距離が縮まり、遂には一心同体となった。

新チーム立ち上げ時のチームスローガンは「タフネス」と言っていた。しかし秋以降、柏は精神的な弱さが目立ち勝ちきれずに苦しむ。そこにはいくら贔屓目に見てもタフネスさは感じられなかった。代わりにサポーターから発信されたスローガンが「一心同体」だ。今年の柏を語るのにこれ以上相応しい言葉は無いだろう。終盤は苦難の連続だったが、選手とサポーターの一体感があったからこそ乗り切れたと思える。
また違った見方で考えれば、タフネスの最後のピースをサポーターが埋めたのかもしれない。どんな不甲斐ないゲームをしてもサポーターはキレずについていった。選手達が持ち得なかった精神的なタフネスをサポーターが持っていたと言えるのかもしれない。

1年でのJ1昇格は、降格する必然性から始まり、思い返せば様々な偶然が重なり合って達成出来たものだと思っている。正直実力以上の結果だった思うし、偶然の1つでも欠けていたら結果はどうなっていたか分からない。そう考えると運命的なものを感じる。


P.S.
知人より、「昇格したのだからブログタイトルを変えれば?」と言われていますが、昇格したから「よみがえった」とは思えません。なので、暫くは現行維持って事で行きます。
そろそろ、来期の補強についてなど書こうかと思います。ヒントを言うと、上記の通りまだ竹本GMの手柄は少ない訳で、まだまだ信用出来ないかなと思ってます。

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2006年12月04日

柏の誇りを見る〜湘南戦(第4クール)

3月4日のJ2開幕から9ヶ月。週間で区切れば39週間。48ゲームに及ぶ長いリーグ戦が終わった。1月20日の新チームの立ち上げ以来、一般社会の様な週2日の休みも無い正にハードな1年。選手・スタッフ・フロントに心から「お疲れさま」と声をかけなければならない。

昇格を賭けた運命の湘南戦、キャプテン南はコイントスで勝って風下を選ぶ。いろんな意図があったのだろうが、平塚競技場はアウェイゴール側が真南になる。風下の上に太陽光を正面から受ける事になるので正直心配だった。

湘南ボールでのキックオフ。湘南は浜風の勢いにも乗って、激しく柏陣内に攻め入って来た。湘南のシステムは4−4−2のボックス型だったが、中盤でボールが良く回るいいパフォーマンスだったと思う。中心にいたのは坂本選手と望だ。特に望の運動量は柏時代と遜色が無く縦横無尽に局面に登場する。守備では湘南の誰よりも厳しいプレスを実践し、攻撃ではボールに絡むばかりか鋭いスペースへの飛び出しもある。
反面、柏の選手達の序盤は硬さが見られる。ゲームに慣れれば硬さも取れると思われたが、今シーズンの全てがかかったゲーム、平常心で臨める訳も無い。硬さは出足の悪さに表れ、風下の劣勢も相まって局面に負けるシーンが非常に目立っていた。

パフォーマンスに大きな差が出た序盤戦は湘南のゲーム。湘南は中盤でしっかりボールを回し数的優位を作ってサイドに展開、何度も決定機を作り柏ゴールを攻め立てる。最初の決定機は前半4分の湘南CKだったが、ヘディングシュートは鈴木達也がゴール枠内のゴールライン上でヘディングクリア。このこぼれ球にも柏の守備陣が体を張って止める。前半9分には望が蹴ったFKに南が反応出来なかったがクロスバーに助けられる。前半15分には望と南が1対1となるが、至近距離のシュートを正に体でブロックする。
その後も決定的な局面にならずとも前半30分までは湘南がゲームを支配していると感じていた。しかし柏は、序盤の決定的なピンチを必死のディフェンスに運も味方しゴールを守り抜いた事は大きかった。そして流れは柏に傾いていく。

守備でペースを掴んだ柏は、本来のプレッシングが発揮される様になってきた。
フランサの守備貢献度は相変わらず低いが、2列目に入った由紀彦・鈴木達也・谷澤と3列目のリカ・山根の出足は時間とともに鋭くなっていく。特に中央を固めた由紀彦・リカ・山根のベテラン達の運動量と局面での勝利は素晴らしかったと言いたい。サッカーでボールのある局面に勝つか負けるかは、その後のプレーが180度変わってくるので本当に大きい要素である。局面に負ければ数人が守備に戻らないと行けない上に次の局面にも遅れる。後ろの守備も相手にいい形で持たれてしまえば下がり気味の対応をするしか無くなる。その果てが失点になる。逆に局面に勝つ事が出来れば攻撃の連係プレーに繋がるし、一気に相手ゴールに迫る事も出来る。
3人のベテラン達が中盤の局面でしっかり力を発揮出来る様になると、引っ張られる様に若手もパフォーマンスを上げ完全に中盤の制圧に成功した。序盤の湘南の決定機を守った南と同様にセンターの3人はこのゲームの功労者だろう。

流れを掴んだ柏の勢いは簡単には止まらない。湘南の守備はファールで止めるシーンが目立ち始め、ファールの内容も時間の経過に比例する様に悪化していった。
柏が掴んだ最初の決定機もファールからのリスタートだった。前半32分、湘南左ペナ付近でFKを獲得すると、後方から谷澤が走り込む。谷澤の動きで出来たスペースにフランサが走り込みフリーでボレーシュートを放つ。フランサなのでシュートを撃つ寸前「決まった!」と思ったが、珍しくキックミスをしてしまい得点には至らず。しかしこのセットプレーは非常に素晴らしい形だった。リカはいいタイミングで走り込む谷澤を見たリスタートに見えたが、実はその後ろのフランサを見ていた。フランサも谷澤の動きに因って裏がフリーになる事を体が知っている。練習したセットプレーなのか咄嗟のプレーなのかは分からないが息の合った一連の動きは思わず唸らされる。湘南ディフェンダーは慌ててフランサのシュートをブロックに行ったが、フリーでシュートを許してしまった。
このセットプレーは湘南の選手達に精神的なプレッシャーを与え、湘南の選手から序盤の思い切りの良い積極的な姿勢が消えてしまった。これは前節、柏が札幌のフッキ選手から与えられたプレッシャーと同等のものに思える。流れは完全に変わった。

2回目の決定機はこのプレーから2分後、やはりリスタートからだ。今度は湘南右ペナ付近で得たFKに藏川が後ろから静かに走り込む。完全にフリーになった藏川は狙いを定めクロス。ボールは大外のフランサの足下に収まり今度は落ち着いてしっかりと決めた。序盤の決定機を凌いだ後の先制点、柏にとっては本当に大きい先制点だった。

柏は勝つしかない立場だったが、リーグ終盤戦は勝利を失う事を恐れて守りに入り失敗を重ねている。先制点を奪ってどうなるのか心配されたが、守りに入る姿勢は見えない。湘南からすれば、リード後に脆くなる柏の組織も頭に入っていたと思うが、このゲームの柏は圧力が減るばかりか逆に増す一方。柏の先制以降は反撃の糸口も掴めなかったと思われる。
その後谷澤・由紀彦・リカ・フランサがいい連係で絡み、フランサのポストプレーから鈴木達也が決定的なシュートを放つ場面もあった。惜しくも枠を外したが今年の柏の集大成と言える連係プレーだったと思う。

後半キックオフから谷澤に代わって小林亮を右サイドバックに入れ、藏川を1列上げて臨む。
谷澤の持ち味はボールキープとドリブルだが、これが武器になる反面、ボールの持ち過ぎと奪われてから右サイドの守備が1枚になるバランスの悪さもある。ボランチがバランスを取る事もあるが中央が薄くなり、酷いケースではチーム全体でバランスを崩す事も有り得る。石崎監督の藏川2列目起用により右サイドはプレッシングが強化された上に連係プレーも出始めた。反対に湘南はこの采配によりサイド攻撃は殆ど繰り出せなくなった。

サイドが強化されればボールは中央へ集まる。しかし柏の中央のプレスは厳しい。いよいよ湘南は個人技に頼るしか無くなっていった。だが個人技のみで柏のプレスをかわすのは容易ではない。
(苦しめられたフッキ選手でさえ相川選手がいたからこそ生きたと言える)
52分に柏が追加点を奪う。これも湘南がファールを犯した後のセットプレーだった。リカのボールも良かったし、石川のヘディングも良かった。しかしこのゴールのポイントはフリーキックを得た山根の突破が大きい。湘南がピッチ中央で何処かルーズなパスワークをしてしまい、これを山根が狙いを定めてパスカット、フランサとのコンビネーションで中央突破を図りFKを得る。
湘南の選手達は何をやっても打開出来ず柏にボールが奪われる。なかなか柏ゴールに近づけない上にアッという間に攻め込まれる。セットプレーの守備はゾーンで対応していたが、中央の石川のエリアには誰もいなかった。後半から気持ちを新たに戦う意識はあったと思うが、柏の選手交代の効果と風下という条件もあり前半以上に圧倒され、既にパニックに陥り集中出来ていなかった様に感じる。

完全にゲームを掌握した柏は依然攻撃の手を緩めない。
64分、柏が決定的な3点目を奪う。2−0以降に柏の選手達が見せた集中は「2点差の悪夢」を心配させないものではあったが、このゴールで完全に消えていった。

振り返ると、中盤での湘南のパスを石川がカットし一気にゴール前へ運んだところから始まる。
その後のボールの流れは、石川→由紀彦→山根→鈴木達也→由紀彦→フランサ→由紀彦→フランサシュート→リカゴール。。。となる。
ポイントは、、、
(1)石川が最初のオーバーラップで鈴木達也が走り込むスペースが出来た事。
(2)フランサのポストプレーに湘南は3人が守備にいくが、数的不利の状況でもしっかりキープした事。
(3)鈴木達也がフランサのポストに絡もうと動いた事で左サイドには大きなスペースが出来た事。
(4)ここに由紀彦がいいタイミングで走り込み、フランサはいい動きを見せた由紀彦にしっかりとパスを出した事。
(5)フランサがポストプレー後にウェーブの動きでゴール前にフリーになった事。
由紀彦からのクロスボールはゴール前のフランサにぴったりと合いダイレクトボレー。これをキーパーがセーブするがこぼれ球をリカルジーニョが決めた。
数人がいい距離感でボールに絡むチームプレーは、前節札幌戦の山根のゴールと形は違うが、今年の柏の集大成の様な非常に素晴らしいゴールだった。
この柏の攻撃に対し湘南組織は整っていたのだが、柏のパスワークに判断が遅れ局面で守備が出来ず、最後はフランサとリカルジーニョの2人をゴール前でフリーにさせてしまった。柏の攻撃が良かったと思う反面、湘南の選手は正直有り得ない集中の無さだ。あまり他チームの事をネチネチ指摘する事を善しとはしないが、2失点目と3失点目の様なプレーを仮に柏の選手達が見せたらサポーターとして許し難い。湘南の選手達は大きく反省する必要があると思われる。

残り時間は約25分。その後も柏に何度か決定機があったがこれは決められず、後はしっかり無失点でゲームを締める事が出来るかに興味が移る。しかしこの日の柏の守備陣の集中は本当に素晴らしく、終盤に近づくに連れ集中は高まり、いい集中は執念深い守備に繋がった。これまでの脆さは全く感じられなかった。
湘南最後のチャンスは87分のセットプレー。望からいいボールが柏ゴール前に入り、アジエル選手にボレーシュートを撃たれそうになるが、柏の守備陣の集中が高くしっかりと局面に対峙出来ていた。
キックオフ当初は大一番の硬さからか相手に流れを持っていかれたが、集中力だけはしっかり保てていた様に思う。この集中力が途切れずに最後まで貫徹出来た事はこのゲームの大きな収穫。そして逆転昇格に繋がったと感じている。


1年でのJ1復帰は簡単では無かった。J2の戦いは本当に苦しいものだった。特に終盤はもがき苦しんだが、最後は「勝ってみせる!復帰してみせる!」という執念が実ったのだと言いたい。
佐藤由紀彦は「J2は魂が磨かれる場所」と言っているが、自分としてはバラバラに崩れた柏レイソルの誇りをまた形成する場所だった様に思える。
1年間の戦いを終え、今の柏レイソルに昨年までの形は跡形も無い。全てがこの1年間で大きく生まれ変わった。それはサッカーの内容はもちろんだが、クラブの姿勢、サポーターの姿勢も含まれる。1年前の今頃は選手・監督・コーチ・フロント・サポが恊働という言葉を知らず、夢ばかりは高いが折れ易く脆いヒョロヒョロの高木の様だった。しかし今はそれぞれがガッチリスクラムを組み、正に「一心同体」という大木に成長出来たと感じる。これこそ、柏レイソルに関わる全ての人間が地道に作り上げた「柏の誇り」だと思っている。
リーグ最終戦、今シーズン最高のゲームだったかどうかは見る人に因って違うだろう。しかしこの日見せた選手達のパフォーマンス(運動量・プレッシング・連係・執念)とサポーターのパフォーマンス(熱意・応援・雰囲気作り)をこれからの「最低レベルの基準点」と考えたい。これが即ち「柏の誇り」の発露であり、来年以降どんな事があろうと最低限守るべきものとしていきたい。

しかし、1ヶ月に5ゲーム以上、1週間に1ゲーム以上のペースで消化していくスケジュールは、サポーターをフットボール中毒にさせる。特にW杯期間中は、昼間は自分たちのクラブを応援し、夜はW杯を堪能する世界一恵まれたリーグだと幸せを感じていた。(選手達は世界一不幸せと思っていたかもしれないけど。。。)
12月2日をもってリーグ戦が終了する事を頭では理解しているものの、最終節で逆転昇格が叶った事で今年の柏レイソルの活動が突然終了してしまい、今は大きな空虚感を感じている。
個人的には、12月6日のホーム入れ替え戦でJ1チームを圧倒的に攻め、12月9日のアウェイゲームで昇格を勝ち取るイメージが出来上がっていた。これは客観的に柏がリーグ戦3位になると考えていたのでは無く「もっと今年のレイソルのサッカーを見たい!」という気持ちが強かったからである。
頭では理解していても体が慣れない感覚。。。これが実感が湧かないという事だろう。
そう。まだJ1昇格の実感が湧いて来ない。

最後に。。。
柏の選手達、監督以下スタッフの方々、社長以下フロントの方々、ボランティアの方々、応援をリードして来たゴール裏の人たち、降格しても逃げずにサポートを続けた人たち、全ての柏の家族に心からおめでとうと言いたい。

P.S.
ただ、大変残念な事が1点。平塚から帰途、満たされた最高の気持ちでいた訳ですが、この間何の情報もチェックせず、帰宅後もゆっくり風呂に浸かり夕食を食べてしまい、祝昇会の存在すら知らずに参加仕損なってしまいました。これだけ柏レイソル漬けになりながら、最後に悔やみきれない大きなミスを犯してしまった自分に呆れ返っています。
なので、J1制覇を達成し祝勝会に参加する事が大きな目標になりました。

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2006年11月28日

理想と現実の狭間で揺れた柏〜札幌戦(第4クール)

柏は昇格へ向けて絶対に負けられない気持ちを持って臨んだゲームだったが、柏の前にたった1人の選手が大きく立ち塞がった。
それは札幌のフッキ選手。
テクニック、シュート共に正確で、誰よりもスピードがある。積極的に守備に参加する事は無いが、攻撃に入ると味方の選手を上手く使い、パス・アンド・ゴーを実践、常に動き続ける集中力を持っている。敵ながら極めて素晴らしい選手であると認めざるを得ない。(相棒としての相川選手もいい動きだった)
今シーズンの札幌との対戦を思い返すとフッキとの戦いだったと思える。第3クールまでの対戦成績は2勝1敗だったが、2勝のうち1勝はフッキ不在の第2クールで完勝だった。しかしフッキが出場した第1クールは、柏の右サイドをスピードで振り切られ、厳しい角度からファインゴールを入れられた。第3クールはフッキの個人技で中央突破を許し失点し、その後右サイドを突破されPKを与えた。
結局、柏は1度もフッキを止めた事は無かった。

そして迎えた第4クールだが、やはり柏レイソル対コンサドーレ札幌というよりも、柏レイソル対フッキというゲームだった。後半9分までに2ゴールをあげた柏だったが、その後3失点を喫し沈む。しかも3失点全てにおいてフッキ選手にやられてしまった。
フッキ、フッキ、フッキ、フッキ、フッキ、フッキ。。。うなされそうである・・・。

フッキ選手が危険だと言う事はもちろん承知だ。石崎監督始め選手達もいろいろ対策を考えただろう。しかし、スタートはこれまで柏がやってきたサッカーに集中していた様に感じた。
柏のシステムは4−2−3−1。フッキ選手をケアする意識は高いものの、誰かをぴったりマークにつける様な事は無い。自分には、この柏の姿勢は相手よりも自分たちの良さを出し、絶対に先攻するという前向きな意識の統一に感じられた。表現を変えれば前半の柏は、理想とするサッカーを実践していたと言える。結果、攻撃においてはボールを前に運びゴールに迫る強い意欲になって表れ、守備では危ない場面はあったものの水際で食い止め、無失点で抑える事が出来た。

先制点は柏が奪う。山根が頭で奪った先制ゴールは、柏の攻撃意識が高かった事を証明している。
組織を崩さない事を重視する札幌の守備は万全の備えが出来上がっていた。これに対し、柏の攻撃は素早いパスワークを見せた訳では無い。組織力でジワジワと札幌ゴールに迫る。ボールの流れは、ボランチ山根→左SB石川→右サイド藏川→ボランチ山根→左サイド鈴木達也→右サイド藏川→山根ゴール・・・となる。ボールには絡まないが、トップ下の由紀彦もスペースを作る効果的な動きを見せ、1トップ山下もゴール前の動きで山根にスペースを作った。このゴールのポイントは、それぞれの選手がポジションチェンジによりフリーの選手を生み出したチームプレーの結晶と言える。敢えてポジションを書いたのは、ポジションを見るとボールが右から左までピッチ上を飛び交ったかの様に思えるが、実際のボールの動きは柏の左サイドに集中していた事を言いたかったからだ。更に右サイドバックの小林亮もゴール前に詰める動きもあったので、このゴールに絡んだ人数は7人。厚みのある攻撃が出来ていたと言える。

ただ柏が内容で圧倒していた訳ではない。
前半は、ゲームの流れが札幌に移る時間もあり趨勢は互角だったと感じられた。流れを引き寄せる要素がチームの武器であると思うが、このゲームでは、札幌はフッキのパフォーマンスであり、柏は攻撃的な組織力だと感じていた。もう一度言うが、間違ってはいけないのは前半のサッカーで互角だったという事だ。

柏側の人間の誰もが先制点で「勝てる」と思った人はいない筈だ。柏には、これまでの守備的な姿勢で被った数々の苦い経験がある。追加点を確実に奪わなければならないし、その後はダメ押しの3点目を奪わなければならない。

昇格へ向けた運命の後半45分が始まる。
注目していた柏の攻撃意欲は変わらない様に感じられた。一方札幌もフッキにボールを集め局面の打開を図る。

前半と同じ互角の戦いが続いたが、次のゴールも柏に生まれた。柏にとっては待望の追加点だ。
札幌のミドルシュートをブロックしたこぼれ球を由紀彦が拾いカウンターとなり、コーナーキックを得る。このセットプレーのこぼれ球を藏川がミドルシュートを打ち、キーパーが弾いたところを石川が詰めた得点だ。
ここで藏川について。
ルーズボールがどちらに味方するかは運の要素が大きい。仙台に引き続きこのゲームでも藏川の足下へルーズボールがこぼれて来た。もっと遡ればカウンターのきっかけとなったシュートブロックも藏川のブロックであり、これが由紀彦の下にこぼれた。更に先制点も本来右サイドにいる筈の藏川が左サイドにポジションを移してフリーになりアシストに成功した。苦しい終盤戦でチーム力以上のものを出すにはラッキーボーイが必要だと思っていた事があったが、最近の藏川は正にラッキーボーイ。彼の存在が柏にツキを呼んでいると感じられる。

ラッキーボーイが絶妙に絡んだ2ゴールで2点差をつけた柏。言い古された表現だが、2点差はサッカーでは危険な点差。失うものが無い挑戦者の立場から失う事の恐怖心が芽生える。この恐怖心は目の前の現象を追いかける現実的なサッカーとなってしまい、ガラッと様相が変わっていった。
札幌の脅威だったフッキ選手にボールが集まりだし、5分後には同点にされる。
あの様に崩れてしまった原因は、最終ラインが3枚だとか4枚だという類いの話では無く、2点先攻した事による勝ち急ぎから生じた柏の必要以上の恐怖心だと思っている。この恐怖心を確かな形に変えたのが札幌が奪った1点目だろう。柏の左サイドでキープするフッキ選手に対し、柏は数人で奪いにいく。しかしアッサリ突破され相川選手との連係プレーに繋がってしまった。結果的には相川選手のパスが祐三の足に当たりプレゼントボールになってしまったが、フッキ選手を止められなかった残像はしっかり刻まれてしまった。あの失点以降、柏はフッキ選手をケアする度に崩壊してしまう悪循環に嵌ってしまった。

フッキ選手にボールが入ってからの悪循環とは以下の様な現象だ。
・近い選手がマークに行く。
・または数人で囲い込む。
・ディフェンスラインは警戒し体重が後ろ向きにかかる。

〜この段階で守備組織は崩壊している〜

この結果以下の様な事が起きてしまった。
・フッキ以外の選手がフリーになる。
・フッキ選手は前を向いてボールに絡める。
・バイタルエリアが空いている状態に陥る。

2失点目は、相川選手のいいポストプレーでフッキ選手に前を向かれてしまい、パニックで後手後手の対応になり全く捕まえられなかった。柏の選手達は5人はいたと思うが、フッキ選手ばかりを意識するあまり相川選手の動きも見えず、5対2の数的優位の局面に完敗した。冷静にパスコースを切り、マークを怠らず、コンパクトな組織でスペースを埋めていれば防げる失点だったと思っている。フッキ選手は上記した通り素晴らしい選手ではあるが、柏のナーバスな組織こそが彼の能力を最大限に引き出す要因になってしまった様に思える。
特定の選手が危険であればある程、プレー機会を与えない守備・気持ちよくプレーさせない守備が大事。要はフッキ選手にボールが回らない様に、リスクを負って前に人数をかけ高いラインを保つべきだったと考える。柏はあまりに彼を意識する事で「前で守備をする」という最も大事な事を忘れてしまった様に感じている。

途中で3−5−2に変えたと思ったが、VTRを見返したら2失点目フランサ投入以降にシステム変更をした様だった。
もちろんフッキ選手を止める為の策だが、結果論だが柏には大きな失敗だったと思える。
理由の1つは、スカパーの解説だった越後氏も指摘していたが、システムが同じ相手同士の戦いはマークが簡単になる。柏は守備の為に3−5−2にしたが、それは札幌にも守備のし易さを与えてしまった。
もう1つの理由、これが最も大きな影響を与えたと思うが、守備を意識する柏からは数人がいい距離感で攻撃に絡む姿が無くなってしまった。
本来であれば、前半互角に戦った4−2−3−1を崩さずに攻撃的な意識を喚起させれば立て直す事が出来たと思う。これがメンタルの強さだろうし、経験なのだろう。しかし、柏はこの精神的な部分が成長途上のチームであり故に弱点だと認めざるを得ない。石崎監督のシステム変更はメンタル面の立て直しは厳しいという判断で、機械的にリスクヘッジにいく苦渋の決断だったと思われる。

この時点での柏の武器はフランサの創造力くらい。ただ、フランサはこれまで見せてくれた通り相手のマークを跳ね返す技術がある。要はフランサにマークが集中すれば他の選手が空いてくる筈なのだ。更にフランサの特徴は周りの選手の能力を最大限に引き出す事だ。フランサを入れた以上、柏の攻撃は如何にフランサにボール集め、如何に他のフィールドプレイヤーが絡むか、だった。しかし柏はフランサを生かしたとは言えない。問題は守勢に回った他のフィールドプレイヤーが積極的にフランサに絡めなかった事だろう。結果的にフランサが強引に個人技で突破を試みるシーンと、その姿を見つめる柏の選手達が目立っていた。

札幌に入った決勝点、これもフッキ選手が起点になり、止められずフリーの選手を生み、狙い棲ましたクロスを入れられた。最後決めた選手は中山選手だったが、マーカーだった小林亮は簡単に振り切られてしまった。雪崩の様な失点だったと言える。守備を強化し後ろに人数をかけた柏なのに、フッキ選手の動きを意識しすぎて結果的に守備になっていなかった。
以降は一層守備を固める札幌に対し、柏は効果的な攻撃は殆ど繰り出せなかった。「焦るな!落ち着け!」と言っても、この事態に陥っては例え強いメンタルを持ったチームでも難しいだろう。
そして柏はまたしても痛すぎる勝ち点を落とした。


切れ味鋭い1面がある一方で信じ難い脆さもあるチームが柏レイソル。この札幌戦は今の柏がありのままに出たゲームだった。理想的な戦い方(柏のサッカー)で2点リードした現実(勝ち点3)が柏の選手達及び石崎監督までも狂わせた。
選手達は不甲斐ないゲームで無念の想いが強かっただろう。しかしゲーム終了後、昨年までの様な罵倒するサポーターの姿は見えない。ゴールを奪う美しさ、プレスの厳しさ、相手を凌駕する運動量、守備の脆さ、メンタルの弱さ、熱烈なサポーター、全てが愛すべき柏レイソル。サポーターは本当に今年の柏レイソルを愛している。今年の昇格が叶うかどうかは分からないが、このサポーターの変化は今年の柏の選手達が誇るべき大きな成果だ。
今の柏レイソルは例えればガラスかもしれない。しかしまだまだ発展途上のチーム。ガラスの様な脆さは熱烈なサポーターに支えられ、やがて鋼に変わってくれると信じている。

湘南とのリーグ最終戦。柏のミッションは勝利あるのみだ。今度こそ失うものは無い。得失点差も考える必要は無い。ライバルチームは神戸となったが、目前の敵は湘南のみ。石崎監督含め神戸の事は考える必要は無い。
ただ、入れ替え戦は見据えなければならないだろう。入れ替え戦は最終節から中3日でやってくるのだ。しかし入れ替え戦を意識して特別な事をする必要は無い。何故なら柏のサッカーが十分にJ1で通じる事は天皇杯ジュビロ戦で分かっているからだ。なので、湘南戦を入れ替え戦に向けてチームを熟成させるゲームと捉えれば、柏の戦い方は柏のスタイルを貫く事に尽きる。


P.S.
横浜FCのスタッフ・選手・サポーターの皆さん、昇格と優勝おめでとうございます。
このブログ上で失礼な事を書いた事もありましたが、お許し下さい。

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2006年11月25日

悲観する必要なし〜山形戦(第4クール)

山形とのゲームが終わった。

この山形との対戦を前に、柏に不利なデータがズラリと並んだ。詳しくは「最後の3連戦」(11/17投稿)と「天敵・難敵・強敵山形」(11/22投稿)の記事にて記載したが端的に触れると、苦手のアウェイゲーム・苦手の3連戦の2戦目・休養明けチームとの対戦など。相性の悪さを除いても苦戦は必至のデータだ。その不利な条件の上に、対戦する山形は今シーズンの柏にとって最強最大の敵である。
山形は、今のチーム状態を推し量るには最適の相手であると思っていた。また、このデータを覆す事が出来れば本物の強さが備わったと自信を深められた事も確かだ。しかし柏は逆境を跳ね返す事は出来なかった。
何故か???はいたって簡単で、まだそこまでの力は無いという事だ。逆にこの逆境にも打ち克つ力があれば今この様に苦労している訳が無いのである。
なので、終盤ではあるがこの50節山形戦の敗戦は想定の範囲内。悲観的になる必要は全く無い。(このタイミングだから無理にポジティブに書いている訳でも無い)
決定的なチャンスを決められなかった事は残念だが、決定機自体の数は山形を大きく上回る。サッカーの内容も厳しかったがその中でも5回もの決定機を作り出した事は評価出来る。
寧ろこれだけ不利な条件の下で柏は良く戦ったと言いたい。

今年の対戦スケジュールが決まった時の事を思い出す。
湘南・草津・仙台・・・馴染みの薄い相手チームを眺め「あぁJ2に来たんだなぁ」と改めて実感した。その時に印象に残ったカードが第50節の山形戦だった。まだJ1の頃、山形のホームゲームで降雪でドロドロにぬかるんだ劣悪なピッチでサッカーをしていた映像が頭に残っていて、この50節は、レイソルがその様なサッカーを強いられるかもしれないと心配していた。
あれから9ヶ月以上が経ち、その50節を迎えた。芝の根付きは悪かったが、天候に恵まれたので最悪のピッチコンディションは回避出来た。しかし寒さは想像以上、石崎監督も入念なアップを指示し選手達に注意を呼びかけたという。

だが、前半の柏のチーム状態を確認した結果、あまりいい状態には見えなかった。

キックオフ直後は最近の勢いのまま柏の優勢で進んでいたと思うが、時間とともに山形に主導権を奪われていった。柏は、前半であればキックオフ直後から20分ぐらいまでに得点したかった。この間は中盤のプレッシングも効いていたし、局面での争いも良く戦えていた。だがトラップやパスなどボール際での細かいミスが多く、自らチャンスを逸してしまった様に感じる。この段階ではゲームに慣れてくればより優勢になると思ってみていたのだが、ゲームへの慣れは山形の方が早かった。
柏の動きは重く運動量が上がって来ない。反面山形は休養十分の上に、ホーム故の気候の慣れもある。
コンディションに差がある事は想定していたが、両チームの動き出しや局面での反応は相当の差があった。連戦の疲労もあるだろうが、まだ関東地方では冬の寒さを感じられない中、この山形の気温というアウェイのコンディションにやられてしまった様に感じる。
動きの悪い柏は局面に遅れ、次第にセカンドボールを取る事が出来なくなってしまった。パスの受け手はマーカーを外す事が出来ず、縦パスは悉くカットされポストプレーが嵌らない。これでは、山形の守備陣を崩す事は厳しい。

柏が山形の守備組織を崩せなかったのは、動きの悪さに加え、ゲームを通して攻撃に工夫が足りなかったからだと感じている。最近の柏の攻撃パターンは中央でのコンビネーションプレーが殆どだ。個人的には、最近の柏のコンビネーションはレベルが高いものだったし、相手に警戒されても簡単には止められないだろうと考えていた。しかし敵将の樋口監督も言っているが、山形はこの柏の攻撃を十分研究しており、中央の守備をガッチリ固めてきた。これに対し柏は待ち構える山形の守備組織に真正面からいくばかり。この柏の頑固さは何かプライドというか意地の様なものを感じさせた。実際に中央突破の攻撃は、後半は特に成功していたし相手キーパーの好守が無ければ3点ぐらいは入っていたとは思う。それが中央に固執し続けた原因かもしれないが、中央の攻撃力を生かす為にもサイドを抉る様なサイド攻撃が必要だったと思っている。

ただこれは、このゲームの大きなポイントであるサイドの劣勢の問題に絡む。互角の戦いの中、サイドについては山形にゲームを通して数的優位を作られた。
柏は終始3−5−2のシステムで進めたが、4−4−2の相手には数的不利な状況だ。これを少なくともイーブンに持っていくにはボランチの運動量が必要だったが、上にも触れたが柏はフィジカルに差があったし、中央の守備の意識もあったのかどうしてもボランチが局面に遅れ、上手くいかなかった。
そもそも3−5−2はサイド攻撃を意識してワイドに広げた攻撃陣形を採るものだが、3−5−2でサイドの強さを発揮するには1対1の技術で勝る事が出来なければ叶わない。結局藏川と小林亮では個人技で相手を勝る事が出来なかったと言える。
では4−4−2にすれば良かったのかとなるが、それも広範囲に動くレアンドロ選手を止めるにはセンターディフェンダーが2人の4バックでは厳しかったかもしれないし、難しい問題だ。結果的にはレアンドロ選手を封じる事は成功したと思うので、守備については3バックで正しかったのだろうと思う。ただ柏の攻撃面をいい様に封じられてしまったのは、サイド攻撃が効果的に出来なかった事が大きいと思っている。


柏は得点を取るため、後半13分でフランサが登場し決定機を作っていく。
結局、前半含めこの数度訪れた決定機を決められなかった事が直接の敗因と言えるだろう。
柏の決定機は、前半ラストプレーの鈴木達のヘッド・後半早々の岡山のヘッド・小林亮のヘッド・小林亮の右足シュート・フランサの1対1の5回と見る。(山形はレアンドロのミドルシュートと得点したセットプレー)
確かに相手キーパーの好守もあったが、柏にはフィニッシュでの落ち着きが無かったと感じている。フランサの1対1は読み負けだろうが、それ以外、特にヘディングシュートは頭を振り過ぎで力が入り過ぎてしまった。「もらったぁ!」という時程冷静さが欲しい。大きな反省点だと思っている。

何度も来た決定機を外してしまえば、雰囲気は怪しくなってくる。そんな中、3ゲーム連続でセットプレーで失点する。キッカーの財前選手が一度フェイクした事で石川のマークが外れてしまった事が直接の原因だ。石川は残念だったが、マンマークでセットプレーに入っている以上あの程度のフェイクは通常の範囲内の話だ。これを最後にしっかりマークに集中して欲しい。また、石川と同等に指摘しなければならないのはニアでヘッドを許した岡山のマークミス、及びニアサイドのクリア役であるディエゴの集中を切った為のクリアミスだ。あの局面は3つのミスが重なった失点だ。これだけミスが重なれば失点しても何ら不思議ではない。個人的な意見では、石川より岡山とディエゴ2人の責任の方が大きいと思っている。ニアであの様に綺麗に擦らせてしまったら中は厳しいだろう。

以前にも触れた事があるが、山形と戦うといろいろ勉強させられる。
今回の反省点は、
・中央とサイドの攻撃バランスの悪さ
・フィニッシュの落ち着き
・セットプレーのマークミス/集中ミス
と言ったところか。

最強の敵・山形との対戦は敗戦で終わった。しかしこれまでも山形に敗戦した経験を機に立ち上がって来たのが柏レイソルである。
山形に敗戦後、第1クールでは札幌とのアウェイゲームでサテライトメンバーで劇勝、第2クールでは横浜FCとのホームゲームで逆転勝ちした。ちなみに第3クールは勝利したのだが、続く鳥栖戦で惨敗している。信頼に足る根拠は全くないのだが、山形に敗戦した事は縁起物と考えたい。
次節札幌はここに来て調子上昇中の相手だが、相性はいい筈だ。今度は柏に有利なデータばかりが並ぶ。
リーグ戦も残すところあと2ゲーム。まだまだ昇格どころか優勝だって十分に可能性がある。言うまでも無いが、その為には次節札幌戦は何としても勝たなけらばならない。
絶対に勝ちましょう!

※余談ですが、札幌戦は自分の娘が「サポートキッズ」として選手達と一緒に入場する予定です。
娘は昨年までは玉田ファンでした。(1月7日投稿の記事でちょっとエピソードを触れてます)
それが今年はディエゴの大ファンで、札幌戦に彼と一緒に入場する事を心待ちにしてます。ただ山形戦でディエゴが終盤怪我した模様。。。出場出来るか心配です。
ゲームの方は仮に欠場でも控え選手が変わらぬ活躍をすると信じてますけどね。

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2006年11月22日

天敵・難敵・強敵山形

山形とのゲームが近づいて来た。
今シーズン柏にとって山形は非常に印象の悪い相手である。しかし何故柏は山形に苦戦してしまうのだろうか。。。興味があったので以下の様な順位表を作ってみた。
<対柏の成績による第3クール終了時点順位表>
       点 得 失 差
1位  山形 6 7 3 4
2位  横浜 6 4 2 2
3位  鳥栖 4 7 6 1
4位  神戸 4 2 4 -2
5位  仙台 3 3 3 0
6位  東京 3 7 8 -1
7位  札幌 3 4 5 -1
8位  徳島 3 2 6 -4
9位  水戸 1 1 3 -2
10位 湘南 1 2 7 -5
10位 草津 1 2 7 -5
12位 愛媛 0 1 5 -4

<対山形の成績による第3クール終了時点順位表>
       点 得 失 差
1位  横浜 9 5 2 3
2位  東京 6 4 3 1
3位  神戸 5 5 3 2
4位  札幌 5 3 2 1
5位  仙台 4 4 2 2
6位  草津 4 5 4 1
7位  鳥栖 4 4 3 1
8位  湘南 4 3 3 0
9位  水戸 4 3 4 -1
10位 柏  3 3 7 -4
11位 愛媛 1 2 6 -4
12位 徳島 0 3 8 -5

解説すると、順位が上のチーム程当該チームとの相性がいい事になる。
ちなみに第3クール終了時点での成績は、柏は首位神戸と勝ち点で並んでいるが得失点差によりリーグ2位。山形は柏から勝ち点で19も離されて8位である。上の順位表から、リーグ戦8位の山形は対柏となると首位に跳ね上がり、リーグ戦2位の柏は対山形となると10位に沈んでしまう。当該の山形や柏を除けば、上位はリーグ戦の上位チームとほぼ連動している形になっているので、柏が如何に突出して山形を苦手にしているかが一目瞭然だ。

目立つのは得失点の数字だ。
山形が柏に許した失点は3点で1ゲーム平均1ゴール。柏に対する守備でこの数字を上回るは2失点の横浜FCのみで、仙台・水戸が3失点で続く。横浜FC・仙台・水戸は堅守が特徴のチーム。実際第3クール終了時点の守備力は横浜FCが1位、仙台が2位という結果が出ている。(水戸は8位)
ところが山形は6番目の失点数で全体では平均的な守備力と言えるのだが、対柏となると堅守のチームに変貌する。
山形が柏から奪ったゴール数は7得点で1ゲーム平均2ゴール以上になる。これは、東京V・鳥栖と並びトップの数字だ。柏から7ゴールを奪った東京V・鳥栖・山形の攻撃力は、リーグ全体で見ると3チーム並んで6位で守備力と同様に攻撃力も平均的なものだ。東京Vと鳥栖の2チームは、第3クールの対柏戦で大量得点した事が数字に表れているが、山形は第1・第2クールに3ゴールを奪っており、柏に対してコンスタントに得点した結果が出ている。
第3クールまでのシュート数を見ても、柏の34本に対して山形は38本と柏を上回る。

この山形に対する相性の悪さは異常では無いかと思える。
神戸戦と仙台戦では結果を出して来たが、柏にとって山形は別格と言える強敵だ。更に山形は休養明けでフィジカルの不安は無いだろうし、これまで柏を苦しめた財前選手も柏戦に合わせて怪我から復帰してくると思われる。レアンドロ選手や永井選手も健在だろう。
ただ、山形にとっては既に消化ゲーム。柏に対して特別な対策は採らず、これまでと変わらない戦術でくると思われる。なので、柏は対策を立て易いし、その意味では最後の昇格試験の様なゲームと言える。

山形の基本戦術はしっかり引いて守備を固めてパスカットからのカウンターだ。ビルドアップには財前選手・永井選手を中心にレアンドロ選手がフィニッシュに絡んでくる。山形の昇格試験をパスするには、このビルドアップを止めなければ合格とは言えないだろう。厳しいプレッシングを実践する事は基本として、意識したいのは、攻から守への切り替えとパスコースを消すポジショニングだ。ボールを奪われたらまずパスコースを消し、カウンターの勢いを止めたい。また、守備のベースとして中盤が間延びしてしまうと相手にスペースを使われるので、DFラインを高く設定し続ける事が重要だ。前回対戦が8月6日なので3ヶ月半も前になるが、この間にバイタルエリアやカウンターをケアする意識は改善されてきている。以前山形にやられた様な失点は回避出来ると期待したい。山形で最も注意しなければいけない選手はレアンドロ選手だ。上で記した山形のシュート数38本の内、1人で15本のシュートを放ち各ゲーム1ゴールずつ合計3得点している。今度こそは彼を止めなければならない。
第3クールまでの対戦で平均2失点以上しているが、最後は無失点がノルマと考えている。

攻撃に関しては、山形の4バック・2ラインのゾーンディフェンスを破らなければならない。上の順位表を見ると柏は山形・横浜FC・鳥栖に苦戦しており、これらチームは4バック・2ラインのゾーンディフェンスが特徴。柏は春からこの守備組織に対してボールを持たされ、攻め疲れた隙を突かれてカウンターを受け、失点を重ねた。だが苦労を重ねつつ進化して来ている。
山形の守備組織を破るポイントはコンビネーションプレーだ。ゴール前での1タッチや2タッチでの崩しや縦にポジションチェンジが入るプレーが必須になってくる。その為には起点となるFWのポストプレーの上手さが必要で、山下やフランサの技術に期待したい。ここに来て2列目との連係は非常に高くなって来ているので、ポストプレーが成功し前線でキープ出来れば崩せるだろうと考えている。
これまでは平均1ゴールに留まっているが、ノルマは2ゴール、目標は4ゴール以上を期待したい。幾多の敵と戦って熟成してきた攻撃力を存分に発揮して欲しい。

確かに山形は天敵だ。しかし自分は重要な山形戦を前に悲壮感は無い。様々な苦難を乗り越えて来た逞しさやチーム力の向上を試すには絶好の相手だと思っている。何よりも心強い事は昇格争いで劇的なゲームが続き、いい雰囲気でゲームに臨める事だ。昇格へ向けた大波で天敵を飲み込む事を期待している。

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2006年11月20日

見えない力〜仙台戦(第4クール)

J2第49節。リーグ戦終盤を迎え今節もドラマが生まれている。
首位攻防戦は首位神戸が横浜FCの守備力の前に屈する。前回投稿で、神戸対横浜FCは神戸の勝利が堅いとデータを示して書いたが思わぬ結果だ。
興味があったのでこのゲームの録画を見返したが、柏と接戦を演じた神戸の姿は無かった。神戸は首位ではあるが故の何か見えない力の前に力を発揮出来ず敗戦した様に見えた。
神戸のギクシャクした戦いは、ちょうど柏がメンタル面の問題で勝ち点を落とした9月から10月の頃に似ていると感じた。一言で言えばプレッシャーなのだが、首位攻防の2連戦に連敗した神戸は上位3チームで最もメンタルダメージが大きいと思われる。これを乗り越えれば一段と強いチームになるのは間違いないが、残りは3ゲーム、カレンダーで言えば2週間しか残っていない。ライバルチームではあるが、同じ経験をした柏としては神戸の健闘を期待したい。
反面横浜FCは普段通りの試合運びを忠実に実行出来るメンタルの強さが目立つゲームだった。守備的な戦いをベースに隙を見つければしっかりと攻める事が出来る。ベテラン達の強かさを認めない訳にはいかない試合巧者ぶりだった。残り3ゲームで首位に立ち最も優位である事は間違いない。しかし、これから柏と神戸が味わったプレッシャーに打ち克つ事が出来るかがポイントだろう。それと「首位」という言葉の響きに騙されてしまいがちだが、勝ち点は離れていない。1ゲームの結果次第で大きく順位が入れ替わる状態は変わっていないのだ。

この横浜FCの勝利は正直柏にとってありがたく無い結果だ。詳しくは前回投稿で記しているので書かないが、横浜FCの勝利で昇格や優勝の行方は最終節までもつれる事になると思われる。

という事で、柏対仙台だが、一般的にはJ2で2番目の注目カードだろう。
柏は敗戦すれば残り3ゲームで自動昇格圏内に入れないし、仙台は敗戦で今シーズンが終わってしまう。両者共に絶対に負ける事が許されない特別なゲームになった。

仙台のシステムは4−3−1−2というもので、4バックのラインディフェンスの前に3ボランチが並ぶ守備的な布陣を敷いて来た。守備に7割の意識があり攻撃はカウンターが基本。正に横浜FC・鳥栖・山形を参考にしたやり方だ。
柏に対するまで3週間の準備期間があった訳だが、仙台のサンタナ監督は落とせない柏戦を他チームのコピーで戦おうと思った様だ。ただ、やはり急造のシステムである事はロペス選手へのフォローがあまりにも足りない事から一目瞭然。このシステムが熟成した横浜FC・鳥栖・山形の3チームは、状況次第で3ボランチの2枚までが上がってくる。しかしこの連動性が出ない仙台は、ロペス選手が個人技で局面を打開しないとチャンスが出来ないという現象は解消されず、なかなか攻撃に厚みが出なかった。

ただ守備に人数を割かれてしまえばなかなか相手組織を崩せない。この仙台の守備網を突破するのに柏は非常に苦労する。

今年の柏は、チームの調子のバロメータとして守備意識の高さと連動性を見れば大体見える。仙台戦の柏はかなりいい出来だと思えた。
出足が素早く攻守の切り替えが非常に早い。ルーズボールに仙台の選手より局面に遅れたケースは殆ど無かったと思われる。プレッシングも効果的で、相手を3人以上で囲い込むシーンは何度も見られた。この連動した連係守備と運動量はなかなか見られるものでは無く、正に鍛えられたプロチームと自然と目が細くなる。
思えば昨年のチームはこの部分が酷かった。相手が少々自分たちよりも順位が上回っているというだけでビビってしまい下がるばかりの守備組織。永田・土屋・明神などの個人技術がイコール柏の守備力になっていた。今は個人能力では劣る選手達が必死で局面に対峙し防いでいる。もちろん相手の攻撃能力の違いもあるが、今年はDFラインよりも前の選手達の守備局面に参加する人数が違う。戦術の差と言うしか無い。
柏の組織守備に対し仙台の攻撃は連係不足。余程の事(ミス)が無いと崩されて失点するシーンは無いだろうと思って見ていた。

攻撃時も、いい距離感で数人が絡みパスが良く回るし、攻め急いで変な形でボールを失うシーンは殆ど無かった。しかし、仙台は柏がボールを持つと7人が一気に引いてゴール前を固めてしまう。この2ラインのゾーンディフェンスは横浜FCの守備の特徴だが、仙台には横浜FCの様な前線からのプレスは無かった。

余談だが、今年の仙台の大きな問題の1つは外国人が守備をしないという事だが、1年間通して結局ここが改善されなかった。これはサンタナ監督の責任だろう。来年も同監督に任せるのか分からないが、個人的には監督を変えないと仙台はまた同じ轍を踏むと思っている。

柏は仙台の引いた守備組織の前に、ラストパスの前でボールを失う事が多かった。これをパスミスとするか相手の守備力と見るかは人それぞれだと思う。自分としては、チャレンジした結果のミスだと思っており、全く気にならなかった。あれだけ引かれてしまえば、相当高いコンビネーションや圧倒的なスピードなどが出ないと決定機は出来ない。ただ仙台もこのゲームは勝たなければならないのだから、いずれは組織を崩して前に出てくる筈だし、その時こそ一気に畳み掛けるチャンスだと思っていた。

しかし柏はコーナーキックからゴールを奪われる。最近の不安定なセットプレーの守備は柏の弱点であるが、このゲームでもセットプレーで失点してしまった。ただ仙台戦の失点は、キッカーのボールとボルジェス選手のマークを外すアジリティがピタリと合ったファインゴールと言いたい。あの局面、マーカーであった山根のプレーに入るタイミングが一瞬遅れた事もあるし、雄太がパンチングでクリア出来なかっただろうかという検証もある。しかし柏の守備面での反省点を挙げると、ニアサイドでクリアしなければならなかったと言う事だろう。その意味ではケアが足りなかったのかもしれないし、穴があったのかもしれない。ただ今までの初歩的なミスとはレベルが違うもので改善は見られた。なので、この失点はミスでは無く反省点だと思っている。
守備的な仙台が先制するという避けたい展開になってしまったが、直ぐに同点に追いついた事は非常に大きかった。仙台の守備網を強靭なフィジカルを持ってディエゴが突破した結果だ。仙台の守備はポジティブでは無く、人数かけて構え受け止める守備だったので、ディエゴのドリブルは非常に有効だった。しかしあの突進を見るとつくづく敵にならなくて良かったと思わせる。

後半に入っても守る仙台と攻める柏と言う趨勢は変わらない。仙台はなかなか攻撃に人数をかけて来ない。仙台の引いた守備を崩す為、柏はフランサを投入する。この結果山下は下がる事になったが、最近の先発起用でめきめきコンディションが上がっている様に感じる。是非今シーズン中にゴールを見せて欲しいものだ。

後半25分、仙台ロペス選手がなかなか上手く攻撃出来ない鬱憤からロングシュートを放つ。こぼれ球をボルジェス選手がキープして出来た時間、この一瞬の隙をついて村上選手が攻撃参加した。仙台はこの村上選手の様な動きがなかなか出なかったが、いいプレーだった。この様な縦に飛び込む動きが頻繁に出ていれば勝負は分からなかったと思う。(この動きが出ないから仙台とも言える)
この村上選手を藏川がペナ内で引っ掛けてPKを与えてしまう。PKのジャッジについてはいつも議論になるが今回も微妙な判定。藏川は先にボールを触ってクリアしており、写真判定すれば村上選手のダイビングだろう。ただサッカーに写真判定は無いので、結論としては村上選手が上手かったと言うしか無い。これもサッカーである。

そしてこのPKは仙台戦最大の見せ場となる。柏は終始優勢にゲームを進めていたので、仮にこのPKセーブが無く敗戦したとしたら、ただの敗戦以上にダメージは大きかったと思われる。反面仙台からすれば、セットプレーのファインゴールに加え勝ち越しPK獲得という事で、守備的なサッカーで結果を出すにはこれ以上無い要素を得た勝つべきゲームと言える。
自分は、もし柏がJ1に昇格出来る運命なら(ファインセーブか枠外かは別として)必ず失敗すると思って見つめていた。また、個人的にはボルジェス選手は右に蹴ると思っていた。何故なら仙台サポーターがゴールマウスの右に固まっているので、ゴール後に得意のパフォーマンスに移るには右に蹴った方がスムーズだと思ったからだ。(この土壇場で下らない事考えていました。。。あくまで余談です)

雄太の肩に柏の今シーズンの全てがのしかかったが、それは相手のボルジェス選手も同じ。どちらの気迫が勝るかの勝負だ。
両者固唾を飲んで見守ったPKは雄太がピシャッと止めてみせる。
このPK失敗による仙台の落胆は相当のものだったと思われる。その後唯一の得点源だったボルジェス選手を、失敗の責任で交代させる采配。これで今年の仙台は終わったと言っていいだろう。

後は勝ち越しゴールを決めるだけの柏だったが、鈴木達也のパンチ力あるシュートもキーパーの正面を突くばかり。ディエゴのヘディング・フランサのヘディングも枠に嫌われ続ける。ただ、焦りは不思議と無かった。ここまでのゲームの流れで、柏は勝利に向かい「見えない力」に導かれている不思議な感覚を感じていた。
そして、藏川のロングシュートが勝負を決める。
このロングシュートも強烈な「見えない力」に導かれたゴールだった様に感じる。

選手個人の評価については全員がいい出来だったと思うが、中でもリカルジーニョと山根のバランスが非常に優れていると感じている。これは最近のゲームでいつも感じる事で非常に調子がいいと思われ心強い。ただリカについては現在イエローカードがリーチの状態でもあり、残りゲームに出続ける事が出来るかがポイントかもしれない。
それとディエゴが相手選手を突き飛ばしたシーンだが、やはり頂けない行為だろう。確かに相手のタックルは酷いものだった。ボールに触るどころかディエゴにスライディングでローキックを見舞った。(実際バシッと肉を打つ音が聞こえて来た)
ただ、故意でない事も事実な訳で、ディエゴには拙い技術を憐れむぐらいの余裕が欲しい。

自分はこの仙台戦、いつものゲームの表現で書けば、結果は2対1という僅差だがサッカーの内容では柏の圧勝と書いていたと思う。
しかし自分の今の感想は、サッカーの内容を超えた何かに強烈に引っ張られ勝利を得た様に感じている。
雄太のPKセーブは、野球で言えばピッチャーがホームランを打つよりも低い確率だと思うし、藏川の決勝ゴールは練習でもなかなか決まらないファインゴールだ。何よりもセットプレー崩れじゃないと藏川が正面にいる事は無い。更にこのセットプレーに繋がったのも相手のクリアミスがあり、フランサが飛び込んだからである。フランサのヘディングが決まっていてもスーパーな偶然だったと感じていたが、キーパーがファインセーブした為、よりスーパーな藏川のゴールに繋がる。
全ては偶然だけど、勝利の為には必然な要素だった。


続く戦いはアウェーの山形戦だ。
もちろん苦手意識はあるがこの終盤戦では相性など問題外。前回投稿では中立な立場でデータを検証した結果山形戦は敗戦と想定したが、あくまでデータ上のものだ。気持ちは勝利しか考えていない。横浜FCが神戸に勝利した以上、柏は残り3連勝するしか昇格の扉は開かれないだろう。
昇格レースは何処がプレッシャーに潰されるかという、正にギリギリの状態まで来た。これまでのチームの頑張りは賞賛しか無いが、もう一踏ん張り。力を結集しよう。

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2006年11月17日

最後の3連戦

リーグ戦も残すところ後4ゲームとなった。
今年のJ2の特徴は、13クラブがリーグ戦に参加した事で、52節/48ゲームというゲーム数の多さから短いインターバルで3ゲームをこなす3連戦がある事と、毎節1チームが休養するという変則スケジュールと言える。

3連戦はシーズン中14回組まれており、ここまで13回を消化して来た。以前、第2クール愛媛戦後に3連戦をどうこなしていくかが重要になると書いた事があったが、最後の3連戦を前にこれまでのデータを上位3チームで検証してみたい。

<3連戦戦績データ>
神戸:勝ち点71(21勝/8分/8敗/2休) 1ゲーム当りの勝ち点獲得指数・・・1.918
横浜:勝ち点73(21勝/10分/4敗/4休)1ゲーム当りの勝ち点獲得指数・・・2.057
柏 :勝ち点65(20勝/5分/10敗/4休)1ゲーム当りの勝ち点獲得指数・・・1.857
となっている。
ここで全ゲームの1ゲーム当りの勝ち点獲得指数を、3連戦の勝ち点獲得指数と比較してみる。
神戸:全ゲーム1.909 ⇒ 3連戦1.918
横浜:全ゲーム1.886 ⇒ 3連戦2.057
柏 :全ゲーム1.863 ⇒ 3連戦1.857
となり、上位2チームは3連戦のデータの方が全ゲームより上回り、柏は下回る。神戸と柏は特筆する程の差はなく僅かなものだが、横浜FCは3連戦で多く勝ち点を稼いでいる事が分かる。

<3連戦を1戦目/2戦目/3戦目に分けて検証>
神戸(全ゲーム平均1.909):2.363/1.846/1.615
横浜(全ゲーム平均1.886):1.416/2.363/2.500
柏 (全ゲーム平均1.863):1.818/1.583/2.166
神戸は、3連戦の初戦が最もいいパフォーマンスで勝ち点を稼いでいるが徐々に下降していく傾向。フィジカル面の弱点を抱えていると言える。
横浜は、神戸と逆に3戦目に向けて上昇する傾向。横浜はフィジカルが強いと言うチームカラーでは無いので、個人的には省エネサッカーのマッチングとベテランの経験値が数字として表れていると思われる。
柏は、2戦目に苦戦する傾向がある。特に2戦目の敗戦は3連戦の全敗戦数10敗の半分の5敗を喫している。1戦目に全力で臨んだ影響が2戦目の低パフォーマンスと集中力低下に繋がっていると思われるが、3戦目に反省して持ち直す。この安定しない戦いは、チームを引き締める存在がいないと言えるかもしれない。

<3連戦に向けた3チームの調子>
これは第4クールに入ってから3ゲーム毎に区切って1ゲーム当りの獲得勝ち点の推移を見てみる。
神戸:2.000⇒2.000⇒2.000⇒3.000⇒2.333⇒1.333
横浜:2.000⇒2.000⇒3.000⇒3.000⇒2.333⇒1.333
柏 :2.333⇒1.333⇒2.000⇒1.000⇒1.333⇒1.333
神戸・横浜FCの2チームは、第4クールは安定して勝ち点を稼いで来たがやや下降傾向になってきている。柏は第4クール序盤は不安定だったが、昇り調子に入りつつある。ただ天皇杯のパフォーマンスがいい影響を与えたと見るかは時期尚早で、上位2チームの調子に追いついた程度と言える。
要は上位3チームについて、上昇中・下降中の差はあっても横一線に並んだ状態で最後の3連戦を迎えると言える。

<各チームの3連戦に対戦する相手との相性>
神戸(全ゲーム平均1.909):横浜戦(1.333)⇒草津戦(1.000)⇒湘南戦(1.333)
横浜(全ゲーム平均1.886):神戸戦(1.333)⇒徳島戦(2.333)⇒鳥栖戦(1.666)
柏 (全ゲーム平均1.863):仙台戦(2.000)⇒山形戦(1.000)⇒札幌戦(2.000)
神戸は全ゲームの勝ち点獲得指数を下回り苦手の相手が続く事になる。
横浜は全ゲームの勝ち点獲得指数を上回るのは徳島のみだが3戦目はパフォーマンスが上がるので3戦目の鳥栖は相手は不利でも白熱すると思われる。
柏は相性は悪く無い。ただ苦手の山形が、苦手の2戦目、苦手のアウェイに組まれている事がポイントだ。

ちなみに対戦相手で最も状態がいいチームが鳥栖だ。
鳥栖が第4クールに入ってからの1ゲーム当りの獲得勝ち点の推移は以下の様になる。
2.000⇒1.333⇒2.333⇒2.333⇒3.000⇒3.000
鳥栖は第4クールに入ってからの成績を見ても勝ち点19で首位。鳥栖との対戦を残す横浜FCには厄介な相手と言える。
神戸は、横浜戦の後に苦手チームが続く事になるが、対戦する草津・湘南は第4クールに入ってからの勝ち点推移を出すとJ2で最も調子が悪い2チームというデータがある。

気になる柏と対戦する仙台・山形・札幌について。
仙台は、下降気味の状態だったがいいタイミングで休養節が入り、天皇杯開催週も挟んで3週間ぶりのリーグ戦になる。最高の状態では無いとしても上り調子で来る事は間違いないだろう。
山形は、第4クールに入り勝ち点の平均値が1.000を下回り非常に調子が悪かったのだが、前節勝利し昇り調子というデータになっている。しかも、柏との対戦は休養節を挟んだホームゲームという状況も山形を後押しすると思われる。
札幌は、第4クールに入った当初は調子が良かったが一旦下降し上昇中になって来ている。上り調子の状態で天皇杯を戦いナビスコを制した千葉を破ってもいる。この調子が続けば侮れない相手だ。

<休養節に関するデータ>
今年のJ2の特徴である休養節の影響を見てみたい。
休養明けチームの戦績は23勝8分16敗というデータになっている。データで見ると休養明けチームが勝つ可能性の方が高く、柏はこの3連戦で仙台・山形の2チームと対戦しなければならない。ちなみに神戸・横浜FCは休養明けのチームとの対戦は無い。
当該チームの休養明けの戦績は
仙台:2勝0分1敗
山形:1勝1分1敗
仙台は休養明けに2勝しているが、このうちの1勝は開幕節休養後なので、実質は休養明け1勝と考えた方が正しいだろう。ただ、その1勝は柏から上げている。
実はそれよりも最も気になるデータが柏の休養明けチームとの戦績で、0勝2分2敗と非常に苦手にしている。これを打破しないと自動昇格は厳しいだろう。


<今週末からの3連戦について結論>
神戸は、3連戦初戦の相性から横浜FCに勝利し、後に苦手チームとの連戦もあるが相手の調子が悪い事もあり恐らく優位で戦えると思われる。
横浜は、データ上神戸に勝利する事は厳しい。ただ以降調子を上げていき徳島戦には快勝。ポイントは3戦目の鳥栖戦になるだろう。
柏は何と言っても2戦目の山形戦が昇格のカギだ。山形に勝つ様だと一気に優勝まで可能性が拡がる。

データ通りになるのであれば、、、
神戸:勝(横浜)⇒勝(草津)⇒勝(湘南)・・・勝ち点93(51節終了時点)
横浜:負(神戸)⇒勝(徳島)⇒分(鳥栖)・・・勝ち点87(51節終了時点)
柏 :勝(仙台)⇒負(山形)⇒勝(札幌)・・・勝ち点88(51節終了時点)
こうなると、神戸が51節で昇格と優勝を同時に決め、2位の座は最終節に持ち越される。柏がポイントの山形に勝てば柏も51節で昇格が決定し、優勝は最終節に持ち越される。
最も避けたい流れは、次節横浜FCが神戸に勝利する事である。
そうなると、柏が3連勝したとして51節終了時点で勝ち点1差の首位に立つが、昇格が決まっていない状態で最終節となる。(2位は神戸・横浜FCが勝ち点90で並ぶ)
柏が山形に負ける様だと勝ち点2差の3位で最終節を迎える。更に横浜FCが鳥栖に引き分けるというのもかなり楽観的な見方で、横浜FCが3連戦のデータ通りに3戦目鳥栖戦に勝つ様だと、柏の自動昇格の相手は勝ち点2差の神戸になってくる。神戸の最終節は仙台との対戦で、モチベーションの差から柏の勝利を待たずに神戸の勝利は堅い。
柏としては、他力に頼る状態で最終節を迎える事は何としても避けたいところだ。

と、データを見ていくと柏は上位3チームの中で最も厳しい立場である事は否定出来ない。
実はこれを書いていて、かなり飛躍しているが以前ベストセラーになった「国家の品格」(藤原正彦氏著)を思い出した。読んだ方も多いと思うが論理的思考が得意な数学者の主張を要約すると、社会が論理に従いすぎると、常に弱者は強者に勝つ事が出来ずいずれ国家が破綻するというもの。そもそも日本の教育や社会に警鐘を鳴らした書籍なのでサッカーに結びつけるには無理があるかもしれない。何故この本を思い出したかを書き始めると、非常に長くなる上に正直理解頂けるか分からないので簡単に結論だけ言わせてもらえば「大事なのは数値化出来ない情緒や文化」という事で、結局「気持ち」だという事だ。

これまで48節もこなせばデータは出てくるし、現在3位であれば楽観的なデータはなかなか出て来ない。なので、これからの柏の4ゲームはデータを破る為にあると決意を新たにしたい。
ここまで書いて結論が「気持ち」なんて浅はかで薄っぺらいかもしれない。しかし「気持ち」をしっかり持って取り組まないとこれまでのデータは覆せないと思う。それほど数字は正しいものだ。

今まで以上のメンタルタフネスが試される時が来た。礎となるのは選手・チーム・サポーターの団結した気持ちである。

「一心同体」

覚悟を持って、戦っていくしかない。

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2006年11月13日

「負けたくない」と「絶対に負けない!」の差〜神戸戦(第4クール)

神戸戦のゲームから少々時間が経ってしまいましたが、両チーム合わせて7ゴールとなると書くべき要素が非常に多い。なので、今までで最も長い記事になる事を予め申し上げておきます。


前節、横浜FC戦では終盤の守備的な意識の芽生えから組織を崩し勝ち点2を失った。これまで何度も犯して来た同じ失敗と言える。
第1クール湘南戦(ドロー)
第2クール鳥栖戦(ドロー)
第2クール水戸戦(ドロー)
第4クール徳島戦(ドロー)
第4クール鳥栖戦(敗戦)
覚えているだけでも上記5ゲームは柏側の弱いメンタルが影響して勝ち点を失ったゲームと思っている。これに前節の結果を加えると、実に13点もの勝ち点を失った計算になる。もう終わった事をあれこれ悔やんでも何の意味も無い事は承知だが、仮に柏が強いメンタルを兼ね備えたチームカラーだったら、現在の劣勢は疎か前節で昇格が決まっていたところだ。

第4クールの徳島戦後の記事で「戦う心構えが出来ていない」と書いたが、前節の内容・結果を受け石崎監督も「覚悟」という簡潔な言葉で選手達に強い決意を求めた。

2週間ぶりのリーグ戦、この間に各クラブそれぞれのスケジュールをこなして来たと思う。柏は主力選手の怪我の回復に充てる一方、サテライトメンバーはジュビロとの天皇杯を戦った。この天皇杯のパフォーマンスはチームに大きな力を与えたと思っていたが、逆に慢心に繋がる可能性があった事も確かだ。石崎監督の「覚悟」という言葉は、そのような中発せられた鼓舞だが、これがどの様にチームに影響するか大変注目していた。

一方神戸だが、前回投稿した展望の中で、神戸の有利な状況から逆に難しいゲームになると書いた。リスクを取らないサッカーをするのか敢えて攻撃に出るのか。。。個人的には真っ向勝負で来ると思っていたが。

リーグ終盤の上位争いらしい要素をはらんだ中キックオフを迎える。
注目していた神戸のゲームプランだが、実際どうだったかは確認する事は出来なかった。それはキックオフ僅か30秒で柏がゴールを奪ったからだ。
キックオフは柏ボール。柏は右サイドから左サイドにパスを出すが神戸がカット。神戸はこのボールを何となく朴康造へフィードするが、再び柏がカットし山下へ。脇を追い越す鈴木達のスピードを殺さないヒールパスで一気に決定的な局面を作った。この時の神戸の守備チェックは非常に甘かった。方や柏は前の選手を追い越すというサッカーでは重要な縦のコンビネーションプレーが早くも出る。甘いチェックと狙い通りのプレー。集中の差が出たと言える。
鈴木達はこの決定機を迷う事無くゴールマウスに蹴り込み先制する。前回投稿で彼について躊躇するプレーが出る懸念ポイントを書いたが、自分の心配は全くの杞憂だった。思い切りの良い素晴らしいゴールだったと讃えたい。

ゲームを占う上でこの最初のプレーは非常に大きかった。理由はもちろん先制された神戸は攻撃に出ざるを得なくなったからだ。柏はキックオフ直後の先制ゴールで、神戸を正に腕ずくで死闘に引きずり込んだと言える。そして今シーズンで最も激しいゲームが繰り広げられる事になった。

ゲームのポイントだった中盤のプレッシング。それは予想通り両チーム共に激しくほぼ互角の戦いだった。しかしゲームが進む程に柏の優勢に変わっていった。
柏は神戸のキーマンである朴康造と三浦淳を何度も囲い込みボールを奪う事に成功した。この立役者は山根が中央の栗原のマークに完全に成功したからだと思っている。サイドの起点と栗原の連係を断った事で、神戸はサイドにボールが入っても局面を打開出来なくなった。神戸としては栗原が抑えられた事で田中・丹羽のダブルボランチが絡む事が必要だった。しかし丹羽は神戸のゲームプランの1つであるディエゴのマンマークに奔走、田中は柏の反撃を警戒して3列目の守備バランスを意識し動けない。この神戸のセーフティな中盤は、攻撃が中央の連係を省いた早めのサイドチェンジか前線へのフィードに限定されたばかりか、リカルジーニョにキープする時間とスペースを与えてしまう。栗原を無力化するスカウティングと、戦術を忠実に実践した山根のパフォーマンスは「素晴らしい」の一言である。

もう1つのポイントと思われたサイドの攻防だが、三浦淳と対峙する谷澤・藏川の右サイドは非常に良かった。柏は三浦淳をほぼ完璧に押さえ込む事に成功、三浦淳選手としては殆どプレーした感覚が無かったのでは無いだろうか。鈴木達と小林亮の左サイドについては及第点という評価をしたい。朴康造に仕事をさせなかった事は良かったのだが、敢えて欲を言えば、小林亮の持ち味である攻撃的なパフォーマンスが足りなかったと感じている。この主要因は2列目の鈴木達がワイドに動く為、小林亮が攻撃参加するリスクがあまりにも大きく自重したからだろう。少々厳しいかもしれないが、要は2人の連係面はまだまだ未熟で改善の余地があると思っている。加えて小林亮に反省して欲しい点は、朴康造をマークするばかりにボール保持後に前に運ばず早めにパスを選択し、パスカットされる事が目立った事だ。もちろん無闇に仕掛けて奪われたら決定的なピンチになる。難しい判断だが、本人のレベルアップを考えればもう少し相手にチャレンジし恐れられる存在となる事が必要だと思っている。今後の課題だろう。

柏の組織サッカーが機能した事で、神戸は流れの中で柏ゴールを脅かすシーンは殆ど無い。ただセットプレーは形勢に関係無い訳で、前半終了間際に柏は失点してしまう。北本をマークする祐三が栗原に進路を妨害され倒れてしまい、北本がノーマークになってしまった事が原因だ。相手にとっては狙い通りだし、柏には甘さがあった。ホイッスル後の妨害なのでレフェリーによってはオブストラクションをとる人もいるだろうが、神戸が上手かったという感想だ。祐三としては悔しいケースだろうが、J1ではあの局面はもっと厳しい争いになるし相手も強い。この事を忘れず今後に生かして欲しい。

前節と同じく前半終了間際で追いつかれた柏だが、後半に入っても前節のプレイバックに落胆する様子も無くチームの勢いは変わらなかった。
そして後半開始5分に柏がリスタートから追加点を奪う。セットプレーなので相手組織は強固だ。しかしリカルジーニョのフリーキック、山下の1タッチでディエゴへパスした体を張ったポストプレー、後ろからトップスピードで走り込む鈴木達、このスピードを殺さないディエゴのアシスト、そして鈴木達のパンチ力あるシュート。。。個人の特徴を生かしつつ、ファインプレーが集約した素晴らしいゴールだった。中でも相手GKは鈴木達のあのシュート力は想定外だっただろう。
鈴木達は連日居残りでシュート練習に励んでいたと聞いている。このゲームでの2ゴールは日々の努力が実を結んだという事で本人もコーチも感慨深いゴールだろう。

3点目も素晴らしいゴールだ。ディエゴのシュートはもちろん見事なのだが、このゴールに繋がる一連のプレーが素晴らしい。柏陣内で山根がボールを奪い鈴木達へ横パスが入って攻撃が始まるが、このボール奪取時にディエゴは鈴木達より後ろにいた。鈴木達にボールが入る前に相手の浅い守備ラインへフリーランニングを始める。スピードに乗ったディエゴに鈴木達也からスルーボールが入るという形だ。

この後半の2ゴールはいずれも1点目と同様に縦のコンビネーションプレーである。やはり縦のコンビネーションが決まると簡単には止められないという非常に良い例だ。

これで前節と同様に3対1というスコア。柏にとっては前回の反省を生かす絶好のシチュエーションとなった。しかしまたしても2点を奪われ同点に持ち込まれる。

誰もが首を傾げてしまうのが、2失点目のセットプレーだろう。「マークが足りてないぞ!」と思わず叫んだが届く筈も無くフリーでヘディングを許し失点する。一瞬オフサイドか?とも思ったが、VTRを見返すと山根が残ってしまっていた。(山根がゴールマウスの前にいるのは基本なので彼を責めている訳ではない)
あの場面、早いリスタートでも無いのにフリーの選手が出た事は選手全員の責任だ。誰1人相手の陣形を確認していない。前線に残っていた選手を1人戻せば失点する事は無かった筈。大いに反省しなければならない。
これでセットプレーで2失点したが、セットプレーの守備の甘さはこの神戸戦に限った事では無い。特に第4クールに入ってからセットプレーの守備が非常に不安定だ。残り4ゲームでキッチリ改善をしないと致命傷となりかねない。早急な対処が必要だろう。

柏のセットプレー後のカウンターで喫した3失点目も、相手の確認が足りなかったという点で2失点目と同様のミスだ。切り替えが遅い訳ではなかった。問題は神戸がFW近藤しか残っていないのに、彼へのマーカーが怪我を抱えた祐三1人だった事だ。(山根はセンターのカウンターに備えていたが。)
祐三は膝の怪我を押しての出場。手負いのDFではフィジカル・スピード勝負になれば厳しすぎる備えだ。藏川でも鈴木達でも誰か1人近藤のマークに下がっていれば失点することは無かった筈で、1点差に追いつめられた状況なのにリスクマネージメントが甘すぎる。神戸寄りに見れば厳しい角度から狙ったファインシュート、柏寄りに見れば雄太の足に触れて入ってしまったという不運もある。ただこの失点の原因は柏の準備不足と言うしか無い。

残り10分を切ってまたしても2点を守れなかった柏。前節と全く同じ轍を踏み、このまま終わっていればチームは崩壊していたかもしれない。唯一前節と違う点は、フランサという駒を残していた事だ。

残り時間は少ないがフランサが柏を救うのか???しかし、フランサはフランサだった。彼はこの土壇場でも結果を出して見せた。
日本ハムのヒルマン監督ではないが、彼の技術と冷静な判断は「シンジラレナーイ!」という感嘆しか出て来ない。
スローインをディエゴが受け、直ぐにペナ内にポジションを取るフランサへクサビを打ち猛ダッシュ。神戸DF陣はフランサのマークに気を取られディエゴは全くのノーマークになる。そこへ有り得ない浮き球パスだ。
この数秒感、スタジアムの誰もが息を飲み静まる。フランサの時間が流れた瞬間だ。
神戸はこの2人のコンビネーションを十分警戒していたと言う。しかし警戒して局面に4人が守備に入ってもあの狭い空間でディエゴをノーマークにするのがフランサなのだ。
彼の技術は柏サポの全てが評価していると思うが、同時に柏サポの全てが彼の限界をまだ知らない。

大変重要なゲームをものにした柏だが、このゲームの教訓は何だろうか。
状況がそうさせたという事はあるが、守りに入った神戸が敗戦し、強烈に攻撃に舵を切った柏が勝利を得た。
言い方を変えれば、「負けたくない」というネガティブな神戸と「絶対に負けない!」というポジティブな柏という事だと思っている。
これからもゲーム中何度も迷う局面が来るだろう。数ある選択肢の中からより積極的な策を採った方がいい結果を生むという事をしっかりと認識して欲しいと言いたい。
(イケイケでバカみたいに攻めろ!という事では無いが。。。)
ただ前節の反省から、3点を奪ったからには柏の良さを消さずに3対1で終わるべきゲームだった事は確かだ。これが出来て1歩チームが成長するものだと思っている。しかし柏は3点奪ってダメなら4点目を取るという暴挙に出た。結果的にチームの成長は無いかもしれないが、代わりに昇格に向けてとんでもない大波に乗ったゲームなのかもしれない。

これで数字上も自力昇格が復活したのだが、次のゲームが大変大事だ。必ず勝たなければならない。先週の第48節は神戸・横浜FCの上位2チームが敗戦したが、この2チームは反省もあるし終盤50節〜52節の3ゲームは全勝すると思った方がいい。
なので、上位2チームの対決がある次節終了後の順位がほぼ最終順位になると思っている。
柏としては相手がどこかは関係ない。今年最も勝たなければならないゲームが今週末にある。

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2006年11月10日

ありがとう天皇杯。そして決戦前

天皇杯ジュビロ戦の件と神戸戦の展望を書くので、ちょっと長くなります。
(2つに分ければ良かったのですが、どうにも時間がなく。。。)

第4クールの東京V戦後の投稿で、リーグ戦に勢いをつける為に天皇杯ジュビロ戦のパフォーマンスが重要になると書いた事があった。この主旨は、ジュビロ戦はJ1チームと戦える貴重な公式戦であり、神戸・横浜FCの2チームが早々に天皇杯敗退している中、内容次第では劇的にチームを上昇気流に乗せるチャンスであるというものだ。ただ当時の青写真は、ジュビロ戦前の東京V→愛媛→横浜FCの3ゲームを何とか3連勝して波に乗った状態で臨みたいとも記した。ところが愛媛に敗退、横浜FCに引き分けという現実に直面、大幅に予定が狂ってしまい、柏は波に乗るどころか雰囲気停滞気味でのジュビロ戦となってしまった。しかし、この状況でもやはり重要度は変わらない。もしいい所無く敗退すれば一層ムードは悪くなるだろうし、逆にいいゲームが出来ればリーグ戦に大きな追い風となると思えた。

自分は現地には行かず横井広報の実況にかじりついていた訳だが、映像の無いテキスト情報で正直これほど興奮した事は無い。柏は惜敗したものの正に死闘。上り調子でベストメンバーのJ1上位チームを土俵際まで追いつめる最高のパフォーマンスを見せてくれた様だ。
思えば昨年、入れ替え戦に回る事が決まった後リーグ最終節鹿島戦があった。柏はこの消化試合となったゲームを何の目標も無く戦い、下位チームらしく全くの低パフォーマンスで敗退した。しかも平山の退場も発生、入れ替え戦第1戦に彼を欠く事態となってしまった。いい雰囲気で入れ替え戦に臨まなければならなかった所が、ネガティブな要素ばかりを抱えてしまう。これは結果論でしか無いが、鹿島相手にいいパフォーマンスが出来れば、入れ替え戦であの様な惨敗をする事も無かったかもしれない。
だが先日のジュビロ戦は、普段はゲームに出られないサテライトの選手達が互角のゲームを演じた。これはチームのムードを上げていくにはとてつもなく大きい。何故かというと、サテライトの面々の自信に繋がった事もあるが、日々の紅白戦の相手がジュビロと互角に戦った相手であるという紛れも無い事実がトップチームにも好影響を与えると思われるからだ。更にGK加藤の大活躍で、控えゴールキーパー不安を心理的に払拭出来た事も大きい。石川と近藤の2名が負傷した事は痛手となるが、柏にとってはあらゆる意味で非常にいいゲームとなった。

ただ勝負はこれから。このジュビロとのゲームを本来の戦場であるJ2リーグ戦に繋げなければならない。今の柏に必要なものは自分達のサッカーへの信頼感と自信。ジュビロ戦のパフォーマンスを大きな自信に変えてリーグ戦に臨んで欲しい。また過信はいけない。柏はまだ何も手にしていないばかりか劣勢は変わらないのだ。


劣勢をはね除けるきっかけにしなければならないのが神戸戦だ。このゲームに勝利しなければ柏の自動昇格は無いだろう。
今の柏の状況を考えれば、失うものが何も無い立場にあるのだから恐れる必要は無い。ジュビロ戦と同じ心理状態で臨めばいい。相手が何処とか他のチームの状況も関係ない。石崎監督の言う様に、100%柏レイソルのサッカーを思う存分発揮するのみだ。

一方神戸は難しいゲームになるだろう。
神戸の立場を冷静に見れば、柏に何としても勝たなければならない訳では無い。無理に攻撃に出ずに引いて守るプランもある。しかもリーグ終盤でJ1の扉が見えて来ている状況を考えれば、様々なゲームプランを考えるだろう。また、柏がジュビロと死闘を演じたという事で、柏を相当いいチーム状態と恐れていると思われる。更に直接対決を振り返ると、第3クールで局面の勝負で完敗した事も頭に残っているだろう。
この様な状況で神戸は引いて守るのか攻めに出るのか正直予想し辛い。ただ客観的に見たら神戸は攻める事が正解だと思っている。何故なら神戸は柏と同様に消極的なサッカーではチームの良さが出ないからだ。この重要なゲームで神戸がゲームプランのミスをするとは思えないので、やはり攻めに出てくるのだろう。そうなればジュビロ戦以上の死闘となる事は必至だ。

どちらのプレッシングが勝るか。これが最初のポイントだろう。
柏としては最もハードプレスが出来るサッカーを念頭に置きたい。
神戸は4バックだろうから基本的に前線のマークは受け渡しが基本。言い方を変えればルーズだ。ここに2トップをぶつける事も効果的ではある。しかしプレッシング視点で考えると、ボール奪取のポイントは神戸から見てディフェンスラインよりも前になるので、柏としてはあまり前線に人数を割きたく無い。ここは臨機応変に1トップから3トップまで変幻自在な4−2−3−1がいいだろう。
プレッシングのスイッチであり1速ギアでもあるワントップは運動量が必要。運動量に難があるフランサは厳しい。彼は攻撃の切り札としてベンチに置き、ゲーム感に不安はあるが横浜FC戦で及第点だった山下が最適と思われる。
2列目は1トップとの連係で激しく厳しいプレッシングを実践出来なければならない。そうなると平山・鈴木達也は不動だろうし、中央のディエゴも不動だろう。
局面は激しくなるだろうが、なるべくファールには注意したい。何と言っても神戸には三浦淳のフリーキックがある。バイタルエリアで3列目以降が後手後手の対応となると、三浦淳のフリーキックが飛び交う事になる。これを避けるには連動したプレスが必要で、プレスを連動させるには前線の4名の運動量が鍵を握っている。

神戸の攻撃の特徴を考えてみる。攻撃はワイドに展開して相手を揺さぶり、1対1が出来れば勝負してくるし、中央が空けば2列目の栗原や3列目の田中が入ってくる。また打開出来なければ頻繁にサイドチェンジをしてくる。要はとにもかくにも神戸の肝は右サイドの朴康造であり左サイドの三浦淳だ。なので、柏としてはサイドの守備を整備しなければならない。プレッシングと共にサイドの攻防がゲームの主導権を握る鍵になる。
一言にサイドと言っても高低2種類ある。またサイドの選手が頑張ればどうにかなるというものでもない。
ハーフウェイ付近の低い位置ではウィングとボランチ、攻め込まれてからはサイドバックとボランチを中心に数的優位が常に出来る様にしたい。即ちサイドの守備強化にはボランチとの連係が必須だと思っている。
ボランチは通常任務の中央のスペースケアとサイドの守備参加となり、自ずと1ボランチでは厳しいと思われ、ダブルボランチで広くスペースをケアした方がいいと考える。
ただサイドで数的優位を作る際、前節アウグストの突破を許した様なサイドの局面でボランチ2名が飛び込んでしまう対応は非常に危険だ。何故なら神戸の場合は中央からの攻撃もバランスがいいからだ。中央を手薄にすると栗原はもちろんだが、田中の攻撃参加を促す事になる。
神戸はサイドに起点を作った際に中央の栗原がいい連係で絡んでくるが、この栗原へのマークもボランチの通常任務になる。
とにかくボランチのバランスは非常に大事だ。相当な運動量が必要だがリカルジーニョと山根の連係に期待したい。

そしてボランチとともに大事なポジションがサイドバックである。言うまでもなく右サイドバックは朴康造、左サイドは三浦淳のマーカーになる。サイドバックは1対1の守備で負けない事も重要だが、機を見てオーバーラップをする勇気と判断力も必要だ。これが出来ないとゲームを通してサイドの制圧出来ずかなり押し込まれてしまう事が想像される。右サイドバックは藏川になると思われるが、左が問題だ。最近のゲームでは石川が担当していたが、ジュビロ戦での怪我を考慮しなくてもより攻撃的な選手を置きたい。個人的には小林亮に期待している。

攻撃に関して、前線の高さ勝負は神戸に歩があると思われる。1トップにクサビを打つとしたら、ハイボールではなくスピードのあるグラウンダーのボールで足下の勝負に持っていきたい。また1トップは待ってボールを受けていては神戸のハードマークに潰されるケースが多くなり全く起点が出来ないだろう。ボールを受ける前にマーカーを外す駆け引きが非常に重要だ。併せて1トップのフォローに2列目の3人の素早い連係が必要だ。もちろん神戸はこの連係を潰しに来るが、柏はこれが出来ないと攻撃の形が作れないだろう。
柏のキーマンであるディエゴには相手ボランチのマンマーク(恐らく小森田あたりになると思われる)がつくと思った方がいい。柏としては、ディエゴが動いて作ったスペースにどんどん飛び込んでいく積極性が欲しい。これまでもリカがこのスペースを狙って動いていたが(実際前回対戦でゴールを決めている)、機を見て山根にも上がって欲しい。これが出れば神戸の守備陣は相当混乱している証拠で、柏がペースを握っていると言える。

最後に鈴木達也に向けて、最近ボールを保持した後に躊躇したりプレーが遅れたりしてチャンスを逸する事が目につく。神戸のプレスはどのチームよりも厳しく早いので、ポストを受ける時、クロスを入れる時、素早くシンプルにプレーする事を心掛けないといけない。また局面がスタックした時の安易なバックパスも目立つ。間違いなく狙われているので注意して欲しい。最近のプレーのままでは大きなブレーキになってしまう可能性が高いだろう。

こうやって考えてみると、各ポジションでとんでもなく運動量が必要な事になってしまうが、神戸に対する場合は仕方が無い。J2で最も手強い相手である事は間違いなく、その強さは横浜FCの比では無いと思っている。
ただ結論は横浜FC戦前と同様に、積極的な姿勢と冷静さが必要だと言いたい。冒頭にも書いたが、柏は失うものは何も無い立場だ。相手を恐れず柏のサッカーを貫いて欲しい。

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2006年10月30日

Les Miserables〜横浜FC戦(第4クール)

何かを成し遂げるとき、必ずそこに導かれる大きな流れの様なものを感じるときがある。しばしば人はそれを「運命」と言ったりする。
柏レイソルは、勝利こそが至上命題であった横浜FC戦に臨み、にわかには信じ難い現象に振り回され、引き分けを喫した。大変残念ではあるが、柏レイソルは昇格出来ない運命にあるのだろうか。度重なる不運の数々は、どうしてもそのように感じさせられる

昇格に向けて欠かせない戦力である、大谷・李忠成を怪我で失い、フランサ・ディエゴも強行出場したものの怪我の影響は明らか。万全ではない。そこに追い打ちをかける様に南も怪我で失った。南はチームを引っ張って来たキャプテンであり、絶対的な守護神、精神的な支柱でもある。他の怪我人とは訳が違う。特に横浜FCとのゲームは、通常以上に精神的な強さを求められる。ただでさえベストメンバーを組めない中、代えのきかない選手を欠くとなると、何処まで無情な運命に支配されているのかと呆れてしまう。

非常に不安な要素ばかりを抱えた柏だったが、時は待ってくれる訳も無くゲームは始まる。
前半の柏の選手達は緊張感に縛られ全くの低パフォーマンスだった。今年最もプレッシャーのかかるゲームは、若い選手が中心のチームにとって試練になる事は必至だ。しかしこれ程までに動けない状況を見ると、たとえホームの大声援に支えられても大敗するかもしれないと感じていた。案の定プレッシャーから思う様なサッカーが出来ない柏は、横浜FCに押し込まれる事になる。

柏はラインの押し上げも無いままロングボールを前線に放り込む攻撃に終始。周囲を使うビルドアップが出来ないので、全体的に効果的な動きを引き出せずに進んでいった。この静かな立ち上がりは、柏が相手の攻撃にビクビクして中盤の局面で勝負する勇気が無かった為だと感じている。一方横浜FCは、中盤で勝負に来ない柏では組織的に崩れる要素が全く無く、ボールを奪えばより積極的に周囲が絡める攻撃が出来る。これはサッカーでは当たり前の現象だ。この序盤のパフォーマンスの差から、先取点は横浜FCが奪う可能性の方が高かったと思う。結果的に先取点を奪われる事無く過ぎていったが、これは柏に運があったと言うよりは横浜FC側の拙攻に因るものが大きいと感じている。

前回の投稿で記したが、柏が先取点を奪うならばセットプレーだと思っていた。それには相手陣内で局面を作る事が必要な訳だが、15分が経過し柏がゲームに慣れ始め、漸く中盤の攻防が始まる。
前半27分に得たセットプレー。ディエゴのボールの質・岡山の競り合い共にいいプレーだった。セットプレーだけはゲームの流れは関係しない。劣勢の柏だったが、厳しいマークの中本当に良く決めたと思う。
柏が先制し大きくゲームが動き始めるかと思われたが、柏は緊張感から解放された奔放なプレーは未だ出来ない。重苦しい雰囲気がスタジアムに充満している中、柏の左サイドを突破したアウグストを起点に横浜FCのいい連係が生まれ、同点ゴールを喫する。アウグストの個人技を止められなかったのは第1クールに続いて2度目となる。アウグストの守備に人数をかけた様子から油断があった訳ではないだろう。しかし、結果的に止められず他のスペースがポッカリ空いてしまい、横浜FCの連係を引き出してしまった事は痛かった。中盤のバランスを取るべき山根・リカルジーニョが2人とも守備アタックした事と、組織バランスからファールでも止めなければならなかった状況を把握出来なかった事は反省しなければならない。
これとは別に失点については思う事があり、後ほどまとめて触れたい。

ハーフタイム、監督から相当な檄があったと思われるが、後半に入ると柏は前半には無かった動きの軽さが見られた。いくらか動ける様になった柏は、前線にクサビを打ってサイドへ展開したり、サイドチェンジのボールが通り始め、起点を作り始める。
しかし同点という状況は横浜FCに安全なサッカーをさせるスコア、通常の引いたサッカーを展開して来た。2列の守備組織を崩さないプレーはさすがに穴が見つからない。山下・鈴木達也の2トップが頻繁にボールを引き出す動きを見せるが、横浜FCはこの動きに惑わされる事が無い。
小康状態を打破するにはやはりフランサの技術が必要となった。肉離れの怪我でとても万全とは言えないが20分間限定という縛りでピッチに登場した。
フランサが入る事で、格段に高まる連係、周囲のフォローはこれまでにも何度も見せてくれたが、これは怪我を抱えていても変わる事は無かった。柏はフランサ投入が功を奏し、立て続けに2ゴールを奪う。
特に3点目のディエゴのゴールはいいゴールであった。右サイドで起点を作った藏川からフランサへパス。しかしフランサはフェイントモーションでボールに触らずスルーし前線へ移動、ボールはディエゴを経由して平山へ。平山からファーサイドに走り込むフランサへクロスを入れ、折り返しをディエゴがゴールする。
横浜FCの守備組織は万全だったが、フランサのトリッキーな動きで全くのボールウォッチャーになってしまい、ディエゴをマークする注意力を失わせた。相手のプレーをあれほどピタリと止めてしまったプレーは正直見た事が無い。正に溜め息の出る様なフランサの異次元空間と言える。

2点差をつけて残りは20分。柏サイドの誰もが勝利の予感を確信し始めたと思うが、このゲームで唯一のミスを犯してしまう。それは平山に代えて近藤を投入した交代策だ。
石崎監督とすれば、相手の組織に合わせマークをハッキリさせる狙いであり、引いて守備を固める意識は無かったとは思う。しかしこの采配で明らかに守備的に変わった柏は自らの良さを手放してしまい、そのままチームの勢いを失ってしまった。もちろん結果論でしか無いのだが、攻撃型の選手から守備型の選手の投入でチームにマイナスベクトルな守備意識が出てしまった事は結果的に失敗だったと言わざるを得ない。
ただ監督だけの責任では無く選手達にも同様に責任がある。この監督の采配でラインを下げてしまい、プレッシングが出来なくなった事は極めて重大なミスだ。
ミスの裏には精神的な弱さがある。これまで何度となく消極的な戦い方で貴重な勝ち点を失って来たが、この日もこの交代策でチーム内に消極意識が芽生えてしまった。

交代策でほぼ5バックになり、且つゴール前にズラリと並んでしまった守備ラインの前には大きなスペースが出来る。しかも前線のフランサは怪我の影響で、守備にハードワーク出来る様な状態では無い。間延びした中盤を山根・ディエゴ・リカルジーニョでカバーするという組織になってしまった。
もちろん、この様な守備的な戦術で守りきるチームも沢山あるだろう。しかし今年の柏はリーグ初戦の湘南戦からこの様な戦い方で失敗をしており、引いて守りきれるチームでは無い。だいたいラインが引いてから大きく間延びする組織を見ると、守備的に入る際の規律が何も無い事が痛い程分かる。

こうなってしまっては、横浜FCは簡単に柏陣内にボールを運べる。しかもプレスもかからないので対応は後手後手となれば、相手はいろいろな攻撃が出来る様になる。横浜FCだからではなく、これまでと同様に何処とやっても同じ様に攻め込まれる筈だ。
相手は横浜FCだったが、ゴール前で慌てふためき同点を喫するのは、今年の柏であれば至極当然の結果だった様に感じる。

もう何度も指摘しているし、リーグ戦も佳境の中で書きたく無いのだが指摘しなければならない。
問題は相手の攻撃力では無い。相手のチーム力でも無い。柏の側にあるのだ。自分たちを苦しめているのは自分たちの精神的な脆さだ。
何故リードした終盤にプレスを緩めるのか?
何故引いてしまうのか?
何故自分たちの良さを消すのか?
以前にも指摘したが、消極的な意識は最も今年の柏に似合わないのだ。
今はリーグ戦の序盤では無く終盤である。だが精神的な強さを感じる事が出来ない。このままリーグが終われば、柏のスローガンは「タフネス」では無く「自滅」だと言わざるを得ない。

ノグチピントについて。
南の怪我でチャンスを得たが、彼のファンには大変恐縮だが入場時に自分の子供を抱いて入場する彼を見て、ダメだろうと思ってしまった。あれこそゲーム以外の事に気が散っている証であり、精神的な準備が足りない。要は集中出来ていない。ゲーム中のパフォーマンスは敢えて指摘しないが見ての通りである。
ただ彼の事を思えば、また柏レイソルの事を思えば、精神的な問題点を指摘した上で、引き続き天皇杯や次節神戸戦に起用するべきだと考えている。これがチーム・選手の成長に繋がる筈だ。このまま出場機会を逸しては傷ばかりが残ってしまい何の成長も期待できない。
(もっとも南の怪我が癒えればキャプテン南の起用が最良ではある)

失点について。
このブログタイトルを「無情」としたが、自分は残り10分を切って同点ゴールを浴びる姿を、柏の精神的な弱さが出てしまう様を無情と言いたいのではない。
冒頭に記載した怪我人続出という運の無さはもちろん含みたいが、柏はこのゲーム内で運にも見放されてしまった。
問題は横浜FCの奪った1点目と3点目。あの2ゴールはオフサイドである。
以前にも記したが、自分は誤審も含めてサッカーだと思っているので、レフェリーに文句を言うつもりは無い。
(断っておくが、横浜FCを非難している訳でもない)
しかし、この重要なゲームで2点もオフサイドゴールが認められてしまう。。。柏にはこれ程無情で悲運が続くものだろうかと嘆かざるを得ない。
1失点目、確かに綺麗に崩された形ではある。そして微妙な判定でもある。しかしアウグスト選手のポジションはオフサイドポジションである。この判定をする副審もポジションに遅れてしまっている。大変残念でならない。
ただ柏がもらったPKも大変微妙な判定だった。菅野選手の足はディエゴの足にかかっているが、足がかかっていなくてもボールはゴールラインを割りノーチャンスだっただろう。その意味でお互いの判定はイーブンだと考える事も出来る。
しかし3失点目、これは微妙な判定でもなく明らかなオフサイドである。何故ゴールが認められてしまうのか全く理解出来ない。
柏の選手達は判定に文句を言わない指導をキッチリ受けている。しかも残り時間を考えれば、抗議に時間を使うよりは早くリスタートした方がいい。
しかし、南がいれば毅然と抗議しただろう。(最も南がいればこの失点シーンの様なシチュエーション自体が無かった気がする。)自分は時には抗議する姿勢も必要では無いかと思いながら悔しさを噛み締め、見つめていた。判定が覆る可能性は限りなく0%だろうが、問題を呈する事は出来る。しかも大きな勝ち点が動くゴールであり、大げさに言えば決勝点とも言える。難しい問題だが自分がこのゲームを消化し辛いものにした失点となってしまった。

続出する怪我人。そして不運。
これ程までに試練が続いてしまうのは、強くなるために避けられないものだろうか。
思えば昨年の入れ替え戦の初戦、重要な局面で停電になる消化し辛いアクシデントもあった。あれも不運の何者でもない。
確かにこれを乗り越えられれば大きな自信がつく事は間違いないだろう。しかし正直疲れた。選手が、スタッフが、フロントが可哀想でならない。

心が折れそうなとき、自分は昨年の入れ替え戦を思い出す。あれ程の屈辱を目の前で見せられた事は無い。現状を冷静に考えれば入れ替え戦に回る可能性が最も高いと思われるが、「入れ替え戦上等!」と構えたい。今、柏レイソルに降り掛かる数々の試練は、厳しい入れ替え戦を勝ち抜くために与えられた運命であると思いたい。そしてやっと昨年の入れ替え戦の呪縛から解放される。
ならば柏レイソル全体で、全力で乗り越えるしかない。

反対に横浜FCは、重要なゲーム且つ敗色濃厚のゲームでオフサイドが2点もゴールに認められる強運がある。柏とは逆に横浜FCは昇格する運命に守られている気がしている。もう今年の対戦は無いのだが、来年以降健闘を期待している。

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2006年10月24日

横浜FC戦に向けて

ほんの1ヶ月前、直接対決前に3位である事は予想出来たものの、2位に勝ち点4差つけられているとは想像していなかった。鳥栖・愛媛に敗戦を喫した事と徳島に引き分けた事が大きく響いている。もっとも、今年を振り返ればこの3ゲーム以外にも悔やまれるゲームをして来た。これが3位に甘んじてい原因だが、悔やんでも勝ち点は戻ってこないし、悔しがるのは全ての結果が出てから十分時間がある。
今は目の前の1戦に集中したい。

状況的にはかなり追いつめられた中で横浜FCとの直接対決になる。
柏はここに来てアウェイで全くいいパフォーマンスが出来ない病気にかかってしまっており、神戸とのアウェイゲームが厳しい1戦となる事を考えると、次節横浜FC戦は勝利こそ昇格の条件になると思われる。
その横浜FCだが、自分は今年のJ2で最も嫌いなチームである。
別に昇格のライバルチームだからでは無く、徹底的な守備的サッカーが自分の性に合わない。攻撃は縦ポン。ダイナミックのかけらもない。フランス世代のベテランを中心に老練な強かさを武器に勝利のみを目的にゲームに入ってくる。
活きのいい若手選手もいるが、このチーム方針の陰にあまり出られない状況。J1で出場機会に恵まれない若手選手が活躍出来るリーグ。。。これがJ2の魅力の1つであり、もっと言えば存在意義だと思うのだが、横浜FCのチーム方針もこれに逆行している気がする。
まぁ個人的な見解だけどね。
勝利はもちろん大事だが、昇格してもJ1に定着し覇権争いを目指すため、理想のサッカーへのこだわりを捨てない柏の方針とは正に正反対なのだ。とにかく横浜FCは今年最も気に入らないチームとなった。

という事は余談なのでこのゲームの展望に入ると、両者の置かれた立場の違いもあり、横浜FCは大一番の柏戦、今年一番の守備的なサッカーをしてくるだろう。意表を突いて前線からのプレスを仕掛けてくる戦術もあるのだが、柏のプレスと真っ向勝負して対抗出来る程の体力や技術も無いだろうから、徹底したリトリートサッカーは間違いない。
そして客観的に考えても、「攻める柏」に「攻めてこない横浜FC」という構図からサッカーがかみ合わず、非常に面白みのないゲームとなってしまう可能性が高い。平たく言えば、つまんないゲームだ。

では「つまんないゲーム」にさせないためにどうする必要があるのか?
結論から言えば、「柏が絶対に先取点を奪う事」である。先取点をどちらが取るかがこのゲームのポイントだろう。
もし横浜FCが先取点を取ると、柏の脆弱な精神面が露呈し、連係がちぐはぐになり酷く見所の無いサッカーになる可能性が高い。また横浜FCがリードか均衡状態が続くと、終盤残り10分を切った当りから酷い時間稼ぎを見せられる事になるだろう。柏サポなら忘れもしない2000年最終戦・鹿島戦の再現だ。
逆に柏が先制点を取れば、第2クールのゲームで見せた様に横浜FCの組織バランスが急激に崩れ、柏の大量得点もあると考えている。

横浜FCのやり方を考えてみよう。
柏は先取点を奪うべくキックオフから相当激しいプレッシャーをかけて来ると想定している筈だ。なので、守備的なゲームの中でも立ち上がり15分〜20分は貝の様に引き込むと思われる。絶対的なチャンスにならない限り、攻撃に4人以上かける様な事はしないだろう。立ち上がりの先方の目的は、柏のプレッシャーに慣れる事と柏の焦りを誘う事だ。
攻撃の武器はちらつかせたいだろうから、前節温存したアレモンの1トップという布陣が想定される。(少し下がり目に衛星的に動くFWがいる筈)
前半の中頃まで柏の攻撃を受け止めたら、徐々に攻撃を仕掛けるだろう。スタートはアレモンへのロングボールで、最初は無かったアレモンへのサポート意識を高めてくる。フォローに入るのは、左であればアウグストで右だったら内田そして衛星役だ。このフォロー役の1列後ろに山口が更にフォローに入り、打開出来なければ山口にボールを戻す態勢を整える。横浜FCの選手達は山口に絶大な信頼があり、彼にボールが入ると前後左右のフォローが早い。逆に言えば、フォローが早いから山口がボールを失わないとも言える。

柏は、守備的な相手に無闇に仕掛けていく事は非常に危険である。横浜FCの緩いプレスの裏にはパスカットの意識があり、この網にかかると一気にトップへロングボールを入れられ柏の組織がバランスを乱す。対処に誤ると決定機になる可能性もある。(前節の経験もあり、今度こそミスは許されない)
ではどうやって勝つのかとなるが、先取点を取るという大きな目的から一見反するかもしれないが、守備の整備から考えるべきだと思っている。

相手の攻撃キーマンとしてアレモンを想定しているが彼にはマンマークが必要。現状では岡山か石川になりそうだが、局面では祐三がフォローに入り数的優位を常に作る様にしたい。アレモンの衛星役として城か三浦カズが入り左右に動き回る。アレモンに寄ったり離れたりしながら柏の守備陣形を崩しにかかると思われる。この動きに惑わされない様にゾーンの受け渡しで対処したい。(柏がリードしない限り積極的に高い位置でアレモン絡む事は無いと思うが)
アレモンのロングボールのフォロー役であるアウグストと内田の対処に広いスペースをカバーする事が求められる。ここがゲームの最初のキーポイントになると思われ、1ボランチでは厳しいだろう。サイドの選手が局面に入ってくる事はもちろんだが、左右に広いスペースをカバーするにはダブルボランチが望ましい。そうなると巌・リカルジーニョのダブルボランチが最適だろう。
横浜FCのアンカーマンである山口へは常にプレッシャーをかける必要がある。これには流れでボランチの1名に併せて2列目の選手が必要になる。柏はここでプレッシャーをかけて、ボールをサイドに運ばせたい。サイドにボールを運ばせれば、相手の攻撃力は半分以下に減少すると思われるので、激しいプレスが可能だ。このプレス役としてサイドの選手のハードワークを期待したい。
サイドはプレスの上手さが必要で、且つ攻撃でも威力を発揮して欲しいところ。現状では藏川と小林亮が最適だと思われる。

ここまで考えると、ディフェンスラインは岡山・小林祐三・石川の3バック、巌・リカルジーニョのダブルボランチ、藏川・小林亮のサイドとなる。
4バックでもサイドの守備に厚みが出ていいとは思うが、アレモンのマークが問題になる。アレモンはかなりワイドに動き回ってくると思うので、広いスペースをカバーするためマークの受け渡しが必要だが、ここでミスが出ると確実にGKとの1対1となってしまう。4バックで1人マンマークでつく場合もあり得るが、もう1人のセンターバックが広いスペースのカバーリングが必要で必ず大きなスペース出来てしまい、コンビであるもう1人のFWに狙われてしまう。

ここからは柏の攻撃陣の話になるが、横浜FCのディフェンスラインの裏にスペースが殆ど無いので、鈴木達也・ドゥンビアは機能しないと考える。またポストプレーも十分に機能しないと思われるので、北嶋も厳しいだろう。引いた相手を崩すにはテクニックとコンビネーションが大事。そうなると核となるのはフランサ。怪我を負ったというリリースもあったが軽傷という情報を信じて、何とか出場して欲しい。(正直彼に託すものがこれほど大きいゲームは無い。)コンビを組む相手役として同じく怪我しているディエゴの出場が適えば嬉しい限りだが、彼が欠場ならば他のメンバーを起用するため相当トレーニングが必要だろう。候補は佐藤由紀彦・谷澤・平山辺りか。リーグ戦未出場だが山下という選択もあるかもしれない。トレーニング次第ではボランチに落合を起用しリカルジーニョを1列上げる事もあり得る。
しかし今更だが李忠成と大谷の怪我が本当に痛い。(心の片隅ではディエゴが出てくれると思ってはいるが)

それで先取点を取る方法だが、守備に徹底してくる横浜FCから流れの中で綺麗にゴールを決めるイメージは湧いてこない。
そこで重要なのがセットプレーだ。なるべくゴールに近い場所でファールを貰いたい。
ただ、普通に攻めていっては相手の思惑通りに嵌ってしまい、守備ブロックを崩せずファールは疎か反撃を食らう。
想像を超えるプレー・ダイナミックなプレー・相手にファールでなければ止められない様なプレーで守備陣を混乱させなければならない。
重要なのはフランサだ。フランサには自分の技術を存分に発揮して欲しいし、彼を中心にとした2列目及び3列目のコンビネーションが必須となる。ただ、ワンツーパスの様な簡単なコンビネーションでは突破出来ない。今までトレーニングしてきたと思われる3人以上が絡んだ縦のコンビプレーが必要だろう。

ファールを貰う事が最初のステップだが、さらに重要な要素がプレースキックの精度だ。先制点の半分以上はプレースキックの精度がものを言うだろう。期待したいのはリカルジーニョと平山。場合によってはプレースキッカーの役割だけを期待して石舘の起用もあるかもしれない。それぐらいセットプレーが大事だ。
セットプレーでは岡山のヘディングも期待したいが、岡山をおとり役にしたプレーの方が重要かもしれない。セットプレーからヘディングで決めるとしたら、フランサ・石川・由紀彦辺りだろうか。

セットプレー話のついでに指摘すると、柏のセットプレーの守備も改善が必要だ。横浜FCとしてもセットプレーによる得点を期待しているだろうし、第2・第3クールでは1ゴールづつ献上している。特にファーサイドが安定していない事もあり狙われるだろう。

この終盤で怪我人の影響が顕著だが、悔やんでも仕方が無い。
いろいろ書いてしまったが、最も言いたい事は
「絶対に積極性を忘れずに且つ冷静な頭で戦え」
と言う事だ。
そうすれば必ず勝つ!!!とは言えないが、勝利の確立を上げるには積極性と冷静さが絶対必要。
今年最も重要なゲームになるが、今いる選手で最高のパフォーマンスを期待したい。

revivereysol at 20:43|PermalinkComments(3)TrackBack(0)

2006年10月20日

忘れてしまおう〜愛媛戦(第4クール)

バタバタと忙しく記事アップが遅れてしまいました。
このブログで最も短い記事なるかもしれません。

さて、ショッキングな敗戦から2日が経過、自分の心の傷も大分癒え冷静になれた。
愛媛戦の結果をどのように消化するか。。。
自分はいい意味で綺麗サッパリ忘れてしまう事だと思っている。何故かというと、失点シーンは殆どがイージーなミスによるもの。必要以上に悲観する事は無い。(かなり無理しているが・・・)

1失点目は藏川のクリアミスだったが、技術的なミスに併せて運がなかった。空振りでもしていればまだ良かったのだが、中途半端に足に当たって相手にいい形でボールを持たれてしまった。藏川本人には悔しさが溜まっているだろうが、この思いを以降のゲームに繋げればいい。

2失点目は何でも無い相手クリアボールに石川と祐三が被ってしまったミスだ。ただあの2人のプレーは前節の東京V戦での失点シーンの反省からきた積極的なプレーと理解している。お互いの責任あるプレーが仇となってしまいやはりアンラッキーだった。反省すべきはコーチングの声を聞ける冷静さ。直ぐに修正が出来る筈だ。

3失点目も相手のノーアイディアなクリアボールの処理でミスが出た。落合の油断が原因だが、非常に拡大解釈して本来いるべき岡山が前線に上がってしまった事が大きい。正直この失点が最も酷く個人的には許せないのだが、ゲームの状況から仕方が無かったと思いたい。落合も2度と油断しないだろう。ただ、落合の対応は最終ラインの選手が取るべきプレーでは無く、石崎監督としても彼をディフェンダーとして計算出来なくなっただろう。

いずれにしても相手が意図して崩して来たものでは無く、本来は失点する様なシチュエーションではなかった。あまりにもイージーなミスだから尚更忘れ辛いかもしれない。しかし最もいけない事は、ミスに絡んだ当事者が必要以上に反省して思い詰めてしまいプレーが小さくなったしまう事だ。これが最もチームに悪影響を与える。早く忘れよう。

愛媛戦は失点シーンだけで無くミスに塗り固められたゲームだった。これが大きな問題。上記に挙げた4人だけでなくほぼ全ての選手があらゆる局面で夥しいほどのミスを犯してしまっている。
何故ミスが止まらないのかというと、言いたくは無いがメンタルの問題というしか無い。
選手達はこのゲームにかける思いは相当のものがあったと思う。気合いも十分に入っていた筈だ。しかし、その気持ちを純粋にプレーに生かす術が無かった。上手くいかないという疑心がミスを生み、最初は小さかった綻びが焦りに変わっていき、傷口が広がってしまった。

以前の投稿で、終盤戦を乗り切るにはチームを信じる事と書いたが、信じ過ぎてしまうと自主性の足りないプレーになってしまう。いわゆる人任せのプレー。これは自分が愛媛戦を見て強く感じたことの1つだ。チームを信じる事に併せて自分自信への信頼も必要だ。
自分の技術・スピード・読み・戦術眼。。。要は自分のサッカーを信じよう。
これが出来無いと気持ちの強さなど出る筈が無い。

思えば昔からあまり主張し合わないチームだと言われているが、主張しない裏側には自分のサッカーへの信頼感が足りないからだと思える。今も尚このチームカラーが抜けていない様だ。
ただ終盤に来ている現状で一朝一夕ではどうにもならない事も事実だろうし、これは直る直らないでは無く、こういうメンタルを併せ持ったチームなのだと割り切るしか無い。
しかし、ポテンシャルを実戦で発揮出来ない事程、残念でもったいないものは無い。

今自分の気持ちは、昨年の厳しい残留争いの頃に近いものがある。
惨敗や引き分けを重ねていたあの頃、自分は「残留して欲しい」という切迫した願いがある一方、心は「落ちるべきチームが必ず落ちる」と思っていた。ある意味達観していた。
昨年の柏は、選手の能力を冷静に考慮すれば残留争いに巻き込まれる様なチームでは無かった。これは降格した他の2チームにも言える事だろう。降格という結果の裏には選手の能力以外の外的要素が絡み合ってしまう事が多いと感じる。
柏の場合は、指導力・チームワーク・サポーターとの距離感などピッチ外の様々な要素が影響し、能力を十分に発揮出来ない窮状に陥った。

そして今年の昇格レース、「上がるべきチームが何があろうと必ず上がる」と考えている。
昨年の苦い記憶から、あらゆる見直しが進みピッチ外の雰囲気は昨年のそれとは全く違ったいい状況にある。サッカーの内容・選手の能力などの直接的なチーム評価でも昇格に値するものを持っていると思われる。だが、今年は安定的に力を発揮出来ないという問題は未解決のままだ。
いいメンタル状態であれば相手が何処でも圧倒するだろうし、悪い状態であれば最下位にも為す術無く敗戦を喫する。どちらも同様に柏レイソル。全くどこまでも罪なチームである。
後は如何にいいメンタルを出せるかという事になる。
チーム、特に監督スタッフはこれをどうするかを真剣に考えているだろうが、我々サポーターも更に真剣にサポートする必要があるかもしれない。
もしかしたらこれが最も大きな戦力になるのかもしれない。



PS.
ゲーム後に石崎監督はドゥンビアを機能しなかったと嘆いていたが、彼を生かすのであれば相手の守備裏にスペースが必要。なので守備的な状態では厳しい。先発で無かったとしても均衡状態で出て欲しかった。必ず大きな戦力になると思うので。

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2006年10月16日

教訓が随所に生きた〜東京V戦(第4クール)

先日の天皇杯・法政大学戦は子供の運動会参加のため観戦出来ませんでした。
東京V戦に触れる前に、先日の天皇杯の位置づけがこれからのリーグ戦に大きく影響すると思っているので、少々前置きが長くなる事を断っておきます。


その天皇杯。どの様なスタメンを組むのか気になったが、100%サテライトメンバーで臨んだ。相手がアマチュアでしかも大学生となると、仮にトップチームだったとしても変なプレッシャーもあり難しいゲームになるものだ。それが試合感が乏しいサテライトとなればより難しいゲームになる事が予想されたが、やはり内容的にはあまり良くなかった様だ。
しかし、厳しい内容であってもしっかりと勝利を得た事は非常に大きいと思っている。

これからの残り8ゲームは、限りなく全勝に近い結果を残していかないと昇格は厳しくなると思われる。ただ今年を振り返って見ると、連勝記録は第1クールの6連勝が最高で、以降怪我人・相手チームの柏対策に苦しみ現状2位に甘んじている。今現在のチーム状況を見ても新たな怪我人が多く発生し、大きく戦績を上げていくには何か他の要素が無いと難しいと思われる。
そこで重要になるのが、11月4日にあるジュビロとの天皇杯だ。ミッションはこのジュビロ戦で内容の濃いゲームをする事。昨年までは格上との対戦という機会が無かったのだが、J2である今年この立場に立ってみると、失うものは何も無く新鮮な気持ちでゲームが出来る事が分かる。方やジュビロ側は昨年までの柏よりも難しい筈だ。気持ちの面で優位に立てる要素が多く自信をつけるには最良の機会。リーグ終盤に向けてチームを最後の上昇気流に乗せる大きなチャンスなのだ。昇格ライバル2チームは早々に敗退しておりこのチャンスは無い。傍目には体力温存出来る2チームはリーグ戦に有利という見方もあるが、自分は11月4日のゲームはチームのマイナスになる要素は全くないと思っている。

また天皇杯の存在は、広報日記によると、サテライトに甘んじている選手達の気合いが日々のトレーニングの密度を濃くした効果もあった様だ。この事もチームの底上げにいい影響があったと思っている。

チームを上昇させる鍵となるジュビロ戦までの課題は、リーグ戦の3ゲームをいい内容で戦い徐々に調子を上げていく必要がある。負けられない事は当然、何とか3連勝が欲しい。そのような状況で迎えたのが東京Vとのゲームとなる。

天皇杯では、サテライトで勝利をもぎ取った柏に対し、東京Vはアマチュア相手にほぼトップチームで臨んで敗戦している。また柏のチーム状態だけを見ても、第3クールの対戦時(1−4で惨敗)と現在は雲泥の差がある。チーム状態は相当の差があると予想していた。今度こそ結果内容共に完勝し連勝のドアを開けたいと思っていた。

結論から言うと、柏は今シーズンのベストに近いパフォーマンスだった。得点は全てが流れの中でのゴールであり、ゲームの流れを掌握し続けたナイスゲーム。(ただ相手が相手なので手放しに喜んではいけない気持ちもある。)
これまで40ゲームを消化し様々な事があったが、この教訓が糧となっている様に感じられた。

教訓(1)・・・序盤に簡単に失点しない。劣勢を耐える。
立ち上がりは東京Vのペース。柏はプレスの意識は高いものの東京Vにプレスをかわされる場面が目につく。更にトラップやクリアなどの細かい場面でボール扱いのミスも多かった。この柏の僅かな隙を東京Vに突かれる形で何度か攻め込まれてしまっていた。これはトップチームが2週間ぶりのゲームという試合感のズレが原因だったと思っている。
ただ、相手に決定機を与えるまでに崩れなかった事は大きかった。第3クールまでの柏だったら、立ち上がりで浮き足立つと早い段階で失点するゲームが多かった。しかしこの日の柏は、不安定ながらも選手各々の頭が冷静だった様に感じられ、パニックに陥る様な事が無く的確に対応出来ていた。

教訓(2)・・・攻守のバランスを保つ。
前半20分も過ぎゲーム感が戻ってくるとペースは柏が握り、以降前半の内に3ゴールを上げる。
正直全ての選手が質の高いパフォーマンスだったと評価したいが、柏が相手を凌駕した要因はセンターラインで圧倒した事だと考えている。センターラインとは小林祐三・落合・リカルジーニョ・フランサだ。(負傷退場するまでのディエゴも含めたい)
センターラインがしっかり組織バランスを保てていた事が東京Vを圧倒した要因だと考えている。
特に評価したいのがリカルジーニョと落合のボランチ。この2人は本当に素晴らしかったしお互いが助け合ういいコンビだったと考える。
まず落合だが、今までの最終ラインでの起用では攻撃的な守備が裏目に出てしまいデメリットの方が大きかった。しかしボランチに入ったこのゲームでは相手キーマンへのマークが終始ずれないし、運動量も高い。持ち味のアタックはもちろん、カバーリングやプレッシングも素晴らしかった。ゲームに慣れてくればいいフィードも見せてくれた。山根不在の代役を十分にこなしたし、落合はやっぱりボランチの選手だと実感した。

そして落合の守備面での貢献がリカルジーニョに波及する。落合の中盤の強い守備が奏功する事でリカルジーニョは常にいい形でボールを扱う事が出来る。ボールを持ってもシンプルに動かす事が出来るため、東京Vはタックルは疎かアタックもプレッシングも出来ない。リカルジーニョは終始ゲームの中心に居続けたし運動量も落ちなかった。またこのゲームで最も切り替えの意識が早かったし、その意味で守備でも大きく貢献していた。この日のリカルジーニョは正に柏のコンダクターでありアンカーマン。今シーズン1番の出来と言いたい。MOMを選ぶなら自分なら文句なくリカルジーニョだ。

(フランサのポストも良かったが)ボランチ2名でゲームが作れる様になると、一度ボールが中心に集まり相手組織も釣られて中心に寄る事は必然。その結果として藏川・小林亮の両サイドが生きゴールに繋がる。

教訓(3)・・・切り替えの意識、縦へ動く意識、スペースを攻める事がゴールに繋がる。
1点目、右サイドの2対1の局面で相手2人を抜き去った藏川の個人技も殊勲ではあるが、あまりにも東京Vの守備が酷すぎる。自分としてはあの様なスペースを作ったセンターラインを評価したい。藏川を評価するとしたら、スペースを逃さずに上がった戦術眼と思い切りの良いシュートを褒めたい。

2点目は、由紀彦の縦へのフィード、小林亮のフリーランニングとサイドチェンジ、アシストしたリカルジーニョ、走り込んだ鈴木達也の全てがマッチした典型的なカウンター。形は違うが9月27日の水戸戦で見せた山根のゴールも近いものがある。共通コンセプトは縦のコンビネーションだ。東京V戦の2点目は、得点に絡んだ選手がポジションを超えて且つ違うスペースに走りこんでいる。また、この得点に絡んだ選手達の守から攻への早い切り替えも大きな評価ポイントだ。全ての選手が味方を信じて惜しみなく走っている様子から相当トレーニングを積んでいるのが分かる。

3点目はリカルジーニョが全てを支配したゴールだ。
左サイドへの大きな斜めのサイドチェンジで一気に有利な局面を作り、攻撃組織を整備した後ボールを受けて右サイドの藏川をフリーで持たせるパスワークは正にコンダクターと言える。

4点目のチャンスを逃さず走り込んだ由紀彦・フランサ・鈴木達也。フランサを信じて走り込んだ鈴木達也とフランサのボディバランスが融合した素晴らしいゴールだった。3人の切り替えの早さは随所に見られたのだが、これがゴールに結実したので満足度も高いだろう。

教訓(4)・・・縦を切るポジショニング
ゲームを通して柏のプレスは素晴らしかったが、チーム戦術の軸なのでこれは両チーム想定の範囲だろう。東京Vは序盤こそ個人技でプレスをかわす事も出来ていた。しかし時間とともに劣勢に追いやられる。これは、柏の選手にプレスに併せて縦を切るポジショニングが出来てきたからだ。以降全くボールを運ぶ事が出来ず無策のロングボールかバックパスばかりに終始することになり、東京Vのサポーターは相当フラストレーションがたまったと推察する。残念ながら指導力の差と言わざるを得ない。

個人について。
途中でディエゴが負傷退場し由紀彦が入ったが彼のパフォーマンスは想定外だった。
2点目の起点になったパス技術と戦術眼もいいが、あれはほんの1例に過ぎない。リカルジーニョ以外にボールの散らし役となっていたし、中盤の起点にもなったし、隙があれば縦のスペースを献身的に突く。ゲームを通して非常にいいパフォーマンスだった。
後半終盤の平山へのフィードボール。フランサがフランサ式のトラップで止めてしまったが、スルーしていればGKと1対1の決定機だった筈だ。ちなみにフランサはこれ以外にもう1回平山へ出せるタイミングでパスを出せなかった事があった。いつものフランサなら間違いなくボールが出ていると思うので、彼個人で言えば少々調子が悪かったかもしれない。
東京Vの側から見ると由紀彦のマークが徹底出来ず止める選手がいなかった事は大きな問題。ディエゴが退場して安心からか全くゲームが見えなかった様に感じた。これは選手というよりも監督スタッフの責任が大きい。

鈴木達也の2ゴールもシュート前に力んでしまう癖の改善が見られた。本人も言っているがシュート練習に励んだ様で、トレーニングの結果を出せた事は素晴らしいの一言。ただラストパスの精度は注文をつけたいところ。正直お粗末過ぎる。フランサにゴールを取って欲しい事は分かるが、あのパスでは自分で打った方がチームのためになる。より一層のレベルアップを期待したい。

ディフェンス陣も良かったのだが、最後の失点は反省したい。特に岡山。「OK!」と言ったら確実に触らないといけない。あの様な甘い守備は拮抗した状況では出ないとは思うが、ゴールキーパーからの縦ポンで取られるなんて最も恥ずかしい失点だ。触れなくともファールで止める厳しさが必要だった。

これまでのゲームの経験が生かされたナイスゲームだったが、最も大きな課題はアウェイでしっかり勝ちきれるかだ。これが出来ないと元の木阿弥。続く横浜FC戦に大きな悪影響を及ぼすだろう。
平日のアウェイで場所は愛媛となるとなかなかサポーターも集結出来ない。しかし、例えその場にいなくとも多くの人間がサポートしている事は変わらない。選手諸君は、これら多くのサポーターが様々な形で見つめている事を感じ取って欲しい。それと愛媛には3連勝しているが、完勝は出来ていない事も忘れてはならない。両者の状況からこれまで以上に苦戦する事を覚悟するべきだろう。
愛媛に勝つ事が出来れば、横浜FC戦は相手を圧倒する追い風が吹く筈だ。

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2006年10月02日

今こそタフネスが求められてる〜鳥栖戦(第4クール)

またまたまたまたやってしまった。。。
相手が鳥栖だからという問題では無い。
アウェイだからという問題でもない。
徳島戦後にも指摘したメンタルの弱さ。消極的な姿勢。
第4クール、少ない残りゲーム、昇格レースのど真ん中、ライバルチームから1歩先んじるチャンス、このゲームの重要性を増す様々な外的要因にまたも押しつぶされてしまった。

この程度の要因で機能出来なくなる様では、これからよりプレッシャーがかかってくるゲームも相当厳しい事になるのは明白だ。第4クールも4ゲームを消化したが、柏はまだ終盤戦を戦い抜く心構えが出来ていないと言わざるを得ない。

先取点を奪うべくキックオフから高いプレッシングで鳥栖を攻め立てる。柏のゲームの入り方は決して悪くなかった(様に見えた)。
対する鳥栖は、僅かに昇格の可能性を残しているが、ストライカーの新居を欠き戦前の予想通り劣勢を強いられた。
中盤の攻防では柏に歩がある。しかし、ゲーム序盤から気がかりな事はあった。
それはセットプレーの守備だ。
流れが柏にある中でも、セットプレー時のディフェンダーのマークのズレから数回相手にフリーでシュートを打たれている。前節水戸戦でもセットプレーから失点をしているが、ノーマークにしたディフェンダーのミス以上に雄太のハイボールに対する判断ミスと指摘した。今節の鳥栖戦でキーパーとディフェンダーの連係含め修正されているかと思っていたが、改善出来ていない。
マークを確認する声が出ていたのだろうか。
いい集中をもってゲームに入れていたのだろうか。
自分としては、序盤のセットプレーを見てイヤな胸騒ぎを覚えた。
(恐らく柏サポの誰もが感じたのでは?)

サッカーとは90分で勝負を決するスポーツ。序盤の趨勢がそのまま90分間続く事はまずあり得ない。常にゲームは流動的で気まぐれなものだ。そういう意味でサッカーとは生き物であると感じる。
ただこの生き物は喜んだり怒ったり自ずから意思表示する事は無い。刻々と変化するゲームの流れを如何に正確に把握するか、そして如何にプレーするか、要はこの「生き物」を飼いならす事がゲームの主導権に繋がる。
一定の時間が経過すると、鳥栖の選手達は柏のプレッシングや個人技に慣れ、「柏のサッカー」という生き物を手懐け始める。流れは鳥栖に移っていった。

前半は次第に流れを失っていった柏だったが、ハーフタイムを挟み後半に入るとまた流れを取り戻した。しかし、相手を圧倒する程の絶対的なゲームの掌握にはならない。胸騒ぎが収まる事は無い。

しかし、流れが柏にあるうちに待望の先制点を上げる。
山根がディエゴにヘディングでパスをし、これに走り込んだフランサをディエゴが生かしたファインゴールだった。勝負の機会を眈々と狙っていたフランサの集中力はさすがと唸らせるものだった。

フランサについて、このゲームは相手守備陣の徹底したマークに合いなかなかボールを収める事が出来なかった。
実はこれがこのゲームの大きなテーマになると思っている。
フランサには相手のハードチェックも含め個人技で打開して欲しかったという思いもあるが、フランサだけが責められるものでは無い。自分は、他の選手達のクサビを入れるタイミング、及び周りのフォロー、これが少しずつ遅かったと感じている。要は積極的な姿勢が見られなかった。
フランサの出来と前向きな集中力は評価したい。

このゲームのコンセプトはどの様なものだったのだろか。
先取点を取る事。これはアウェイゲーム、鳥栖のチームカラーを考慮しなくても絶対条件だったと考える。
しかし、先制点から残りは30分。ここから柏の組織崩壊が始まる。
守るのか攻めるのかハッキリせず、まるで浮遊している様な不安定なチームに変貌した。
原因は、消極的な姿勢、意思統一の無さ、ゲームコンセプトの無さに尽きる。このゲームの大きな問題点がとうとう顕在化した。
これまで39ゲームをこなして来て未だに成熟した戦いが出来ないというのはいかがなものか。まるでシーズン開幕当初の幼さを感じさせた。
この様な姿勢では、先制点を奪いはしたが、逆に先制されていたとしても盛りかえす事は出来なかっただろう。

「残りゲームが少ない中、もう1ゲームも無駄に出来ない」
この思いがプレッシャーになったのだろうが、そのプレッシャーが消極性に通じるメンタルでは絶対に結果が出ない。
何も攻め続けろというのでは無い。守るにしても積極的な守備というものがある。寧ろこれを柏は1年間取り組んで来たのでは無いのか。
これまでのゲームを振り返っても、悔やまれるゲームの殆どが柏の消極性という要素が絡んでいる。徳島戦に続き指摘するが、プレッシャーのかかる今こそ積極性を前面に出さなければいけないのに、これが出来ないというのはメンタルの問題と捉えるしか無い。

得点以降、セカンドボールが全くと言っていい程拾えなくなった。
これはコンパクトな組織を保たず守備ラインを下げてしまった事が原因だ。この様な状況でボールを奪うには、局面に必要以上にハードなアタックをするしか無く、結果としてファールが増え無駄なイエローカードにも繋がった。
ポッカリと空いたバイタルエリアはファールやイエローカードで収まらず、柏は2失点し沈んだ。
岡山・落合始めディフェンスラインの面々は、2度とこの様なミスを犯してはならない。

もちろん、雄太はゴールキーパーとしてやってはいけないミスをしてしまった。しかもあの時間帯、この重要なゲーム、この重要な時期でのミスだ。
しかし自分は雄太のミスよりも、フィールドプレーヤーの消極的な姿勢、プレッシングよりもラインを下げてしまい組織の間延びを生じた事こそ重大なミスであると指摘したい。
前半に決定的なシュートチャンスでシュートを打たなかった鈴木達也。トラップに失敗したのだろうと思っていたが、ゲーム後のコメントを見ると迷いがあったと言う。ならばこれも上記同様に重大な判断ミスである。両者に共通するものは消極的なメンタルだ。

もしこのゲームを勝っていたら、大きな問題に目が向かなかったかもしれない。その意味で「負けてよかった」と考えたい。リーグ戦が終わってから、この鳥栖戦を悔やまれる敗戦では無く「あのゲームで大きく切り替えられた」と言えるゲームにしなければならない。でなければ負けた意味が無いのだ。

徳島戦とほぼ同じ様な内容になってしまったが、もう学習に費やすゲームは無い。
再度指摘するが、残り8ゲーム、消極性は間違いなく喜ばしい結果は出ないだろう。一見確定しているかに見えるリーグ3位も危ういと本気で自覚しなければならない。
機に応じて華麗に攻めたり守りきったりするスマートさは、今年の柏には期待していない。
出来ない事をやろうとしてもいい結果は生まれないだろう。
柏のサッカーとは、前で奪う積極性、何よりも常に相手よりも前のめりなサッカー。
これに尽きる。

その上で今はさらにプラスアルファの強靱なメンタルが必要な時期だ。
腹を括って全力で立ち向かう時が来ている。恐れてはいけない。
「負けたくない」では足りない。
「絶対に負けない!」と思い込む事。
これが今求められている。
豊富な運動量とプレッシングは正にタフネスと言えるが、今こそメンタル面のタフネスが必要。
これが出来て、今年のテーマ「タフネス」の完成と考える。

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2006年09月28日

縦へ!縦へ!〜水戸戦(第4クール)

最初に申し上げておくと、雄太以外は褒め言葉が並ぶでしょう。


前節の徳島戦では攻撃時の積極性が出ず、連係不足と言う前に連係する意志が見られなかった。結果単発な攻撃しか見られずに貴重な勝ち点2を失ってしまった。

そして迎えた水戸戦。
水戸と言えば、「水戸ナチオ」と言われる、守備に8人から9人を充てる組織守備が持ち味。
(とは言っても失点数は前節終了時で6番目の悪さ)
普通の状態でも水戸の守備組織を崩しにくい事は、これまでの3度の対戦でも明らか、仮に徳島戦の様な状態であったら決定機すら生まれないだろうと思われた。

前節のチーム状態から、それこそ飛躍的な上昇が見られないと苦戦は必至。ポイントは積極性だ。
選手の攻撃意欲は見られるか。
ただ、前へ出ればいいというのでは無く、第3クールで学んだ「攻守のバランス」と「切り替えの意識」は忘れていないか。
非常に興味深い1戦だった。

キックオフからは両チーム相手の出方を窺う様な静かな立ち上がりだった。水戸の組織は予想通り4−5−1か5−4−1というもので、ブラジル人アンデルソンを1トップに据え、後ろはガッチリと固めて来た。一方柏はフランサの1トップに2列目に3人が並ぶ4−2−3−1という布陣だ。
静かではあったが、水戸は柏の左サイド・平山の裏からチャンスを立て続けに作る。そして、水戸の最初のチャンスで柏はあっさり失点する。
失点のシーンだが、最初のセットプレーは相手の出方が読めない状況の上にキックオフ直後なので、細心の注意が必要な訳だが、雄太の判断ミスとマークのズレという2つのミスが重なってしまった。
キッカーのボールも良かったが、パンチングで逃げられなかっただろうか。

雄太だが、この日は前半に1度決定機をセーブしたプレーもあったが、一方で前半終盤の中途半端なポジショニングや、後半終了間際のコーナーキックで失点シーンと全く同様のミスという、2回判断ミスがあった。
(後者は失点時と同様にディフェンダーのマークミスも重なっている)
水戸が手にした決定機4回のうち、3回ミスがあったのに1失点で済んだのはラッキーでしかなく、相手が違えば結果は分からなかったと思う。コーナーキックのミスは雄太だけのものでは無いが、ハイボール処理の上手さや判断の良さが彼の特徴でもあるし、修正すべき点として指摘しておきたい。

前半4分で追う立場になった柏だったが、ここからがこのゲームの見所になる。
まず、組織を3−5−2に素早く変更。フランサと鈴木達也の2トップ、藏川を右サイドハーフに配置する。
フランサとディエゴを中心に始まった連係プレーが次第に回りにも波及、鈴木達也・平山・藏川が絡み始める。それもただボールに触るだけじゃなく、縦にも横にも頻繁にポジションチェンジが入り、ボールが前へ前へと動いていった。実際この3人の運動量は半端じゃなかった。最初は些細なミスも見られたが時間の経過とともに改善、連係が深まっていった。

山根・リカルジーニョの3列目の働きも素晴らしい。水戸がボールを奪った時のアンデルソンに対するマークも然ることながら、前線にスペースが出来るとリカルジーニョからは鋭いスルーボールが、山根はマークを外して飛び込むフリーランニングが出た。ボランチがこの様に攻撃の武器となると相手に取っては相当な脅威となる。

柏の攻撃の波が徐々に高くなっていくと、水戸は1ゴールを守るために今まで以上にリトリートし、1トップは完全に孤立した。そうなると、柏は最終ラインに3人も選手がいる必要は無く、頻繁に岡山がオーバーラップし始める。岡山よりも回数は少ないが、石川も度々左サイドを脅かす。
水戸は、柏にボールを持たれると目まぐるしくボールが動く上に、どこからでも選手が飛び込んで来る印象だった筈だ。

徳島戦では縦へチャレンジする意識が全く見られなかったが大きく改善した。あのゲームを的確に反省し、2列目〜4列目まで含めた縦のコンビネーションをトレーニングした成果では無いだろうか。でなければ、あの様な劇的な変化はあり得ないと思う。非常に素晴らしい事だ。

有効なポジションチェンジや縦への攻撃意識の中心にはフランサがいると考えている。
フランサはフォワードといえどもただ前線に張り付いているスタイルでは無く、フリーになる事を意識したポジショニングを行う。これは一見ポスト役のポジションが安定しないデメリットになる事もあるが、ディエゴ・リカルジーニョとの疎通がいいので孤立する様な事が起きない。
そうなると彼が動いて出来たスペースは水戸には守備組織の穴となり、柏には突破口となった。
そしてこのスペースに飛び込む縦の積極性が出始めた。
27分 岡山の攻め上がり→藏川
32分 ディエゴ→山根(スルー)→平山→ディエゴ
39分 鈴木達也→藏川のスルーボール
43分 鈴木達也へのファールでプレーが止まったが、山根のいい飛び出しも見られた。
長い間ゴールから遠ざかっていた岡山。勝ち越しゴールを決めた事は殊勲だが、このコーナーキックに通じたのもフランサとディエゴによる縦の連係プレーがあったからで、自分としてはこちらを評価したい。(ディエゴは岡山のゴールを待たずに決めて欲しかったが)
再三見せた縦の連係プレーは、山根のゴールでやっと実を結んだ。このゲームのベストゴールである事は間違いないだろう。中心にいたのはやはりフランサだった。また山根のゴールは今年必ず見たかったので、その意味でも非常に嬉しいゴール。日立台のボルテージが最高潮に達した瞬間だった。

切り替えの意識、前半は少々遅かったが後半は非常に良くなった。
近い人間が最初にチェックに行っていたし、その対応も早かったのでピンチを未然に防いでいるシーンが多く見られた。
これはフランサについても大分良くなってきていた。(まぁ足りないけどね)

と、褒め言葉が並んでしまったが、反省すべき点もある。
最も大きな反省点は何度も作った決定機で結果3ゴールに終わった事だ。
本来PKであるはずの前半6分のフランサに対する競り合い(ノーファール)や前半35分頃の平山へのファールなども含めると、いちいち列記しないが3ゴール以外に12〜13回は決定機があった。半分とは言わなくても1/3は決めなければいけないと思うし、6ゴール以上の大花火大会のゲームだったはず。スコアは3−1だったが、決めるべき所で決めるという事は課題として残る。


選手個人の中から、まずは鈴木達也について。
運動量は甦ったし、積極性は十分だった。さらに次に欲しいのは落ち着きだ。
石崎監督も言っているがドリブル時に周りが見えなくなってしまっているし、シュートも端から見ていても物凄い力んでいるのが分かる。ペナ付近でのドリブルやシュートなどチャンスのシーンにいる事は大きな評価ポイントだが、ここに冷静さが備わればシュートは枠に飛ぶ筈だし、フランサやディエゴの様なアシストプレーも出来る筈だ。今後の大きな成長を期待したい。

意外と言っては失礼かもしれないが、前半終盤の平山のフリーキック、決まらなかったが威力を格段に上げていた様に感じた。前節でもいわゆる「無回転ボール」のフリーキックをした気がしたし、いつぞやの公式フォトギャラにもあったがかなりトレーニングを積んでいる様に感じた。近いうちにファインゴールを見られそうなので大いに期待したい。
(横浜FCや神戸とのゲームはセットプレーが決め手になりそうなので、その辺で希望したい)

最後に、この1戦、フランサスタメンの裏には北嶋の怪我がある。
北嶋はこれで今期3度目の離脱となった。李忠成が今季絶望、山下が全く計算出来ない中、これからのラスト9ゲームでフォワード層の薄さが気になる。個人的にフランサに期待する気持ちはかなり大きいのだが、どうしても守備不安が引っかかる。
周りの選手達はフランサがスタメンの時は通常以上の運動量でフォローが必要となる。
この事はこの水戸戦で注目したポイントの1つだったが、相手が相手なので全然参考にならなかった。
第3クール東京V戦が直近のフランサがスタメンのゲームだったが、あの内容は参考に出来ない。
(参考にするとフランサが起用出来ない)
そうは言っても、これからフランサスタメン起用が多くなると思われる。
守備の徹底する相手にはこの水戸戦の戦い方が大いにヒントになった。問題は攻めて来る相手にどうなるかは依然未解決である。
その意味で、本格的な直接対決の前に鳥栖・東京Vと続くゲームは貴重になる筈だ。
2年越しになるが、ぜひフランサには真の救世主としての活躍を期待したい。

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2006年09月25日

強いメンタルで打破すべし〜徳島戦(第4クール)

柏のおかれている状況は選手もサポも分かっていた筈だし、アウェーとは言え相手は最下位。勝ち点3を取る事がJ1昇格に向けた大波に乗せる大きなチャンスだった。

しかし、全くかみ合わないゲーム。本当に残念な結果となってしまった。
柏は何かに怯えている様な消極サッカーに終始してしまった。
第4クール、負けられない下位相手、ライバルが負けている、首位浮上、最低でも引き分け。。。などなど様々な要素が結果的に消極的な姿勢になってしまった原因と考えている。
早くも昇格へのプレッシャーがのしかかって来たのだろうか。。。
これが第4クールの怖さなのだろうか。。。

これまでも幾度となく2位以下を引き離すチャンスがあった。だがこのチャンスを逸し続けた事がJ2を混戦にさせてしまっているし、柏が2位に甘んじている原因でもある。今年は、首位陥落の土俵際のゲームで勝利する勝負強さもあったが、その後のダメが押せない甘さもチームの特徴になってしまっている。
これからさらにプレッシャーがかかってくる中で、このメンタルの弱さは真剣に危惧しなければならないと考えている。


順位も得点力も最下位相手ではあったが、最近立て直してきた守備は失点0で抑え、いいパフォーマンスだった様に思う。
柏がいいゲームが出来なかった原因は明らかだ。
問題は最近の課題でもある攻撃。この日も迷いが見られた。
攻撃時に見える現象を挙げれば、ボールの落ち着きどころが無くタメが出来ない。結果的に、いいフォローが入らずボールを受ける選手が孤立してしまう。キープに苦労するうちに相手ディフェンダーに寄せられ劣勢になってしまう。焦りは次第に後ろの選手にも及び、いいフィードが出来ない。守から攻の切り替え時で起きる些細なミスが最も多かったゲームだった気がするが、これも安定してボールを預けられる選手がいない事が大きな要因である様に感じる。
こうなるとどうしても触れない訳にいかないのがディエゴ不在の影響だ。
北嶋は、ディエゴがいなくてもいいゲームが出来る事を見せるチャンスだというコメントをしていたが、この徳島戦の内容では彼がいない事が大きかったと言われても仕方が無い。ディエゴに大きく頼った今年の攻撃の功罪はシーズン前から指摘して来たが、このゲームでは攻撃停滞の原因の1つであることは間違い無く、今年最も彼の不在が響いた1戦だったと思う。
前節ではディエゴ不在が逆にチームの纏まりにつながって非常にいいサッカーを出来た。正に北嶋の言う通りになったと言える。選手達も前節のいいイメージが頭の中にあるだろうし、同じ戦い方をすれば自ずと結果は出ると思っていただろう。
しかし、サッカーとは極めて相対的なゲームでもあるし、相手の戦術、天候、ピッチ状態、更には上に記した他チームの状況など様々な外的要因が大きく影響する。草津相手ではディエゴの力は必要なかったが、徳島とのゲームではリズムが上がらない柏の攻撃には欠かせない選手だった様に感じる。

では、ディエゴがいなければ勝てない様な相手だったのだろうか。
柏のチーム力って1人の不在によって大きくチーム力が減退する様に脆弱なのだろうか。
そもそもチーム力って何だろうか。

自分が考えるチーム力とは「相手が何処であろうと変える必要の無いモノ」と思っている。
それはチームによって違う。
神戸の場合はピッチをワイドに使う攻撃力だし、横浜FCは2列目と3列目に4枚づつ配した組織守備だ。
柏の場合は何と言っても積極的なプレッシングである。
あえてプレッシングを守備と言わないのは、プレッシングの精度と強さが攻撃力に繋がるからだ。
徳島戦はいいプレスが出来た。しかしそれが攻撃力に繋がらなかった。これが大きな問題である。
結果的には、工夫が足りないとか、歯車が噛み合わないとかいろいろな表現が出来ると思う。どれも正しいのだが、自分としてはどれも表現不足だと考える。

守備戦術で見せた様な積極的で攻撃的な姿勢が攻撃時に出なかった。これはメンタルの問題だ。もう1歩踏み出す勇気、マークを外して前へ走り込む勇気、ボールを攻撃的に動かす勇気、これが決定的に足りなかった。攻撃の問題というと、北嶋を始め攻撃陣の能力について糾弾が行きがちだが、このゲームに関してはチーム全体のメンタルの問題であると言いたい。以前にも指摘したが、北嶋は個人能力で守備組織を突破するスタイルでは無く、周りとの連係プレーが必要だ。だから周りの多大なサポートが必要だし、連係が連係を生み攻撃のリズムとなる。
ボールを奪うまでは良いのに、その勢いのまま前へ踏み出す積極性が出ずに様々な局面で安全な策を選択する。守備に戻る意識が高いので柏のプレイエリアはなかなか上がらない。これでは北嶋や由紀彦へのサポートが足りないのも当然の話だ。大きな波に変わるチャンスはあるのに自分たちの意識下で勝手に防波堤を築き、チャレンジしない。
まるで「安全第一」という共通コンセプトの下ゲームを進めているかのようだった。
徳島は、柏がボール奪取してから一気にゴール前に攻め込んでくるサッカーを非常に警戒し、守備に集中していた。攻から守への切り替えが良かった様に見えていた。(実際よく走っていた)
しかし徳島に穴が無かった訳では無い。そんな完璧な守備組織などこのレベルではあり得ないのだ。結局柏がいいチャレンジをしなかった事がその様に見せたと思っている。

終盤の鈴木達也のダフりシュートやフランサの1対1など、確かに決定機はあった。その意味では運も無かったかもしれない。しかし、終始消極的なサッカーをするチームに運が味方する程勝負の世界は甘くないだろう。仮に数回あった決定機が決まっていたとしても課題がクリアされた訳じゃないし、自分も厳しい事を書いたと思う。

ただ確かに残りゲーム数は少ない。1つも無駄に出来ないゲームが続く訳で、徳島との痛いドローもチームの糧にしなければならない。このゲームをポジティブに捉えるとしたら、「消極的な勝負意識がどのような結果を生むか」というケーススタディを第4クール2節目で出来た事と言いたい。要は残り10ゲームでいかに徳島戦の経験を生かせるかだ。
辛いのは神戸・横浜FCも同じ。最後は強いメンタルを持ったチームが勝つだろう。
これからの10ゲーム、いろんな事が起きるとは思うが消極的な姿勢だけはいけない。
最も柏のスタイルに合わない意識である。
これを柏に携わる全ての人間に意思統一したいところだ。
(闇雲に攻め込めーっ!って事では無いけどね)

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2006年09月18日

チームを信じる事〜草津戦(第4クール)

いろいろと忙しくまたアップが遅れました。

いよいよ第4クールに入った1戦の相手は草津だ。
前回対戦は7月29日。内容は徹底的に引かれてしまい、ただ1回の決定機であったカウンターを食らって失点、終盤のリカのゴールで何とかドローに持ち込んだゲームだった。
敵将植木監督には「狙い通りの戦いが出来た」と鼻高々にコメントされてしまい、内容で圧倒しても結果のみがついてこない悔しさ募る1戦、苦しんだ第3クールを象徴する様なゲームだった。

第3クールの柏は、同じ様なカウンターによる失点を重ね、攻守に渡り見直しを迫られた。
特に守備については、「綻び」という優しい表現が妥当とは言えないほど失点を重ねていた。
夏場のピッチでは、相当な運動量が要求される石崎監督のサッカーは苦戦すると言われていた。もちろん、夏の気温は運動量の低下を招く。しかし第3クールを見返すとむしろ運動量は相手より優っているゲームが殆ど。問題はその運動量に秩序が無かった事だ。一気にプレッシングをかけすぎてしまい、組織上のバランスを崩し、守備ブロックの裏を狙われ失点する。
柏の選手は、相手よりも動いて体は懸命に頑張っているのに結果が出ない状況が続き、心身ともに苦しんだと思われる。
問題だったのはディシプリン。見た目には連動性の無さ、切り替えの遅さ、ポジショニングの悪さに現れた。

この整備に7月〜8月の2ヶ月間を費やした。
8月26日の愛媛戦で良化傾向を見せ、以降ゲームを重ねる毎にレベルが上がって来ていると思っている。
結果は出なかったが、9月9日の仙台戦・13日の横浜FC戦でも相手にサッカーをさせない守備が出来ている。

少々前置きが長かったが、この草津戦、非常にいい守備だった。

1トップ北嶋のプレッシングから始まり、トップ下の佐藤由紀彦、両サイドの平山・谷澤が連動して追い込む。そしてサイドバックの藏川・石川直樹がフォローに入る。中盤のスペースはリカルジーニョ・山根が的確に埋める。
柏は、90分を通じチーム全体で規律だった連動性があり淀みが無い。草津は殆どサッカーが出来なかった。

パスコースを切る的確なポジショニング。
まず縦を切ってからプレスをかける事が出来る様になり、相手は後ろへボールを動かすしか無くなっていた。

攻から守への切り替え。
ボールを取られた所から直ぐに守備をする意識が徹底されてきた。この意識とちょっとした動きだけで相手の反撃を食い止める最初の防波堤になる。
余談だが、移籍した大野・クレーベル・レイナウドらには全く見られない意識である。
逆に平山・谷澤などは石崎監督の教えで備わった様に思える。

いずれも第3クールの苦しみから体得したものだと感じる。

ただ、これで安心してはいけない。
このゲーム、いいパフォーマンスが出来たのは、草津が第3クールで見せた様な守備に徹底した形で来なかった事が大きい。草津は昇格争いからはかけ離れた存在となってしまっているが、来年を見越してしっかりと前向きに戦って来てくれた様に感じている。北嶋が早い時間帯で取った先制点がそうさせたとも言えるが、草津にも敬意を払いたい。
なのでこれからの11ゲームは、先日の横浜FCの様なベタベタに守備的に来るチームの方が多いと覚悟するべきだろう。これから対戦する11チームのうち、しっかりと対峙してくれるのは神戸・札幌・愛媛FCぐらいじゃないかな。


攻撃に関しては、結果的に2得点したが、まだまだと言いたい。
2得点もリスタートからのもので、守備の連動性に対し、攻撃面では連動したものがあまり見られなかったのは残念。
2点目については、スペースに北嶋が走り、北嶋が開けたスペースに藏川が入り、藏川が開けたスペースにリカルジーニョが入りゴールという連係があったのだが、あの様なスペースをどんどん使うプレーが流れの中でも狙って出る様になって欲しい。
それには、ピッチ上の全員が、ゴールを目指すには次にどの様に動くかを常に考え、集中してプレーしなければならない。常にスペースを見つける戦術眼を身につけ、スペースがあったり、出来る前兆があればしっかりと走らなければならない。例え、ボールが出なくても実践しなければならない。
だが、現状攻撃面では、個人個人の動く距離やスピードにバラツキがある。攻撃に入った際の思い切りの良さはあるが、選手が動く方向が同じ場合が多く、相手から見れば対処し易い状況になっている。
守備から攻撃の切り替え時、縦へのスピードは最も大事な要素だが、これを生かす為にも斜めの動き・前を追い越す動き・サイドチェンジなどを入れて相手守備を混乱させる事が攻撃面のレベルアップに繋がると思う。
これが完成されれば、守備の大幅な改善もある中明るい前途が広がっていると思われる所だが。。。
守備面の整備でこれだけ時間と苦労を重ねた以上、今シーズンは難しいのかもしれない。


個人については、チームの足を引っ張る様な選手はいなかったと思える。
ここ2ゲームに比べて北嶋が機能したのだが、これは2列目のフォローが早かった事が大きい。
特に谷澤と佐藤由紀彦の存在は北嶋にとって大きかっただろう。
ディエゴと鈴木達也と組んで沈んだ2連敗はお互いの連係が皆無に近かったので、2人の欠場はいい方向に転んだと言える。
ただ、1ゴールは取ったし、2点目のいい働きもあったが、前半の決定機は決めなければならない。

佐藤由紀彦は柏に来てやっと存在感を示せた様なパフォーマンスだった。ここに来てまた1人計算出来る存在を得た事は大きい。この草津戦に続き徳島戦でも先発だと思うが、途中出場ではまだ低い評価しか出せないので、サブからでもいいパフォーマンスが出来る様な存在になって欲しい所だ。

谷澤も以前の様な我武者らな動きでチームを引っ張ったと評価したい。
気持ちが急いて途中で足がつってしまった様だが、問題は次の1戦に同じ動きが出せるかだ。さらに足がつる様な事無く90分計算出来なければならない。次の徳島戦に期待したい。


最後にチームとして。
仙台戦・横浜FC戦は、サッカーに快勝して結果で負けた2連敗だったが、この悪夢も草津戦の勝利でスッキリしたと思う。やっている方向は間違いは無いし、疑心を持つ必要も無い。
何よりも第4クールはチームが迷っている時間は全くない。
そう言う意味で、いい形で結果も出た事は想像以上に大きい1戦だった。

同じコンセプトを共有して連係出来るか、持っている力をしっかり出しきれるか、プレッシャーがかかってくる第4クールはこれがポイントだ。
柏のポテンシャルは高い。だが、力が出なければそれがチーム力なのだ。
1戦1戦力を出し切るにはチームを信じ続けていく事。
それしかよりどころは無いだろう。

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2006年09月15日

挑戦者たれ!〜横浜FC戦(第3クール)

まず、前回の投稿の記事について弁解をしなければなりません。
仙台戦。あまりに不甲斐ないゲームに憤りもあったのか文章がメチャクチャでした。タイトルを「あぁ見苦しい」と書きましたが、自分の文章が最も見苦しかったですね。
大変読み辛い日本語。。。スミマセンでした。(直しましたが)

ということで、横浜FC戦ですがいろいろ忙しく記事アップが遅れてしまいました。
結果は。。。記す必要も無いのですが、負けましたね。


横浜FCと前回対戦したのが7月8日なので期間にして約2ヶ月。丸々1クール分ゲームを消化して随分とチームが変わった印象がある。
何が変わったかというと、城がいなかったという事もあるが前線アレモンへのロングボール一辺倒の攻撃。後はひたすら守る。柏とは全く正反対に位置するサッカースタイルだ。
「こういうチームが上位に来る様ではリーグ自体の面白さが無くなる」という思いから、絶対に駆逐するべしと思っていた。
しかし、敗戦。サッカーのコンセプトは全く違うが、そのコンセプトの浸透度では劣っているのだと認めなければならない。

しかし、どうも横浜FCというチーム。個人的に苦手である。見ていてちっとも面白くない。
相手チームについて個人的な好みを言っても仕方なのだが、あれだけリトリートしまくるチームってJ2でも珍しい部類だと思うし、横浜FCのサポはどこに魅力を感じるのだろうかと本気で悩む。


この日の柏は守備陣の総入れ替えを余儀なくされ非常に厳しい布陣。しかし心配された守備は、自分の予想に反してそこそこ良かったのでは無いかと思う。
失点したセットプレーは、ポジションを取るタイミングでミスが出てしまったが、それ以外は急造守備ラインにしては踏ん張ったと評価したい。(レギュラーだったら厳しい指摘をする出来ではあるが)

何はともあれ1失点で食い止めた事は厳しいチーム事情を考えれば及第点。問題は攻撃陣にある。

仙台戦では北嶋・鈴木達也の不出来が非常に残念だった。本人達も相当反省してこの1戦に臨むと思われたが、それは自分のかいかぶりだったと言わなければならない。
現在柏の攻撃にリズムが出ない大きな原因はこの2人にあると考えている。

北嶋については、仙台戦よりもポストの安定感が無かった。
引いた相手を崩すには、しっかりとした組み立てと連係プレーが絶対条件だ。それには崩しのスタートポイントでのミスは許されない。攻撃の起点は作戦や状況によって変わるものだが、北嶋が入っている以上北嶋に入るポストプレーが攻撃スタートの半分を占める筈。なので、北嶋はシュートを撃つ前にポストプレーの殆どを成功させなければいけないと考える。
だが、ミスが多すぎた。起点をつぶすために横浜FCが厳しくコンタクトしてくる事は分かっていた筈である。だが、仮にも順位が下でしかもJ2のディフェンスだ。この程度で機能出来なくなる様ではこれからのプロ選手としてどのように生きていくつもりなのか。
正直自分だったら起用出来ないレベルにあると感じている。

鈴木達也も、仙台戦よりもパフォーマンスが低かったと思っている。
技術的に足りない面が多く見られたが、最も残念だったのがその自分に恐れている様に思えた事だ。
とにかく勝負出来ないし、しようとしない。
練習を見学する機会があまり無いので想像でしか無いのだが、練習では素晴らしいのだろう。いわゆるゴルフで言う練習場キングだ。だが本人は、自分自身の技術に対して懐疑心があるので、ゲームになるとその自信の無さが露呈、安全な選択をさせる。結果ボールの動きが停滞し前に進まない。これでは、彼の持つ特徴が全く出せていないし、攻撃にリズムなど生まれる訳が無い。
疲労はあるだろう。
しかし、前線で走り回る運動量が無くしてどうして鈴木達也なのか。
前線のスペースに走り込む鋭い眼力を持たずにどうして鈴木達也なのか。
華麗なテクニックを期待していない訳ではないが、少なくとも今シーズンはそんなに期待していない。
それよりも運動量とスピード。その個性を発揮する集中力だ。
最近の動きを見ていると、自信の無さから来る「迷い」がゲーム中に出て集中出来ないスパイラルに落ちている様に見える。どうやらこの重要な時期に不調に陥ってしまったようだ。

横浜FCとの1戦でも鈴木達也が原因で何度もチャンスを逸する。仙台戦よりも酷い彼を見て、後半から交代だろうと思っていたが、石崎監督の選択は平山の交代だった。
個人的にこれは大きなキーポイントだったと思っている。たらればは無いのだが、もし平山がいればと何度思った事か。厳しい相手に劣勢である状況こそ、ベテラン平山の経験が生きると思えた。
後半の鈴木達也の出来は前半以上に酷いものだった。
谷澤がベンチにも入れない状況が続いているが、この鈴木達也の出来よりも酷いのだろうか。。。

上手くいかない攻撃は次第に攻撃の発想力を減退させ、意欲を奪う。
フランサが入りいくらか良くなった気配は感じたが、このゲームでも終了に近づくに連れて、想像力を失い、焦燥感を生み、コンビネーションを崩し、沈んでいった。

選手や広報日記でも「切り替えて次のゲーム云々・・・」と言うが、もっと真剣に敗戦を振り返り、反省を踏まえ準備練習すべきだと思う。(やっているとは思うけどね)
その様に強く感じてしまう程、上記の2名と攻撃の工夫や意欲が足りなかったと思っている。

残りゲームも少ない中で間に合うか分からないが、攻撃戦術は再整備が必要だろう。
北嶋・鈴木達也の2名は、一度外からゲームを見る方がいいと考える。
チーム全体で戦うと選手は言うが、まだまだ柏には選手がいる筈だ。
山下はどうした?
宇野沢は?
長谷川悠は鳥栖戦で終わりか?
第2クール神戸戦では散々な出来だったドゥンビアも成長していると信じたいし、フランサの技術があれば彼の身体能力は相当の破壊力になる筈だとも思っている。
こういう選手達が救世主となって現れる事を切に願いたい。

柏のチーム状態はかなり悪い。
例えが悪いが、延命措置をかけられた病人の様に半年もの間のらりくらりと首位を漂い続けて来た。しかし首位を明け渡した今、目が覚めただろう。
自分もシーズン前は、目先のゲームばかりを見てしまうような近視眼的な戦い方は、長期的なチーム強化にはならないと考えていた。
だが、2位に順位を落とし且つ3位と勝ち点1と迫られた今気持ちは1つ。
やはり昇格して欲しい。
ここまで来るとJ1復帰を達成して欲しい。

後2ヶ月半で長いJ2も終わる。不調だろうが怪我だろうが終わってしまうのだ。
もう第3クールの成績には触れない。
第4クールのノルマが勝ち点32だとも言わない。
野獣の様にどん欲な勝利への渇望を見せて欲しい。
シーズン前にはあったであろう「挑戦者」という意識を思い出して欲しいのだ。
そうすれば恐れは消える筈だ。
やり残した事は無いか?あと1歩踏み出す力を出せるか?
また来年J2を戦う事になっても、それがやり尽くした結果であるならば何も言わない。
ただ、今は足りない。

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2006年09月11日

あぁ見苦しい〜仙台戦(第3クール)

仙台との1戦後、一気にこの記事を書いた。
しかし、未だにこの記事をアップする気分になれない自分がいる。
とにかく見苦しさが満載のゲームと言いたい。

3つ程見るに耐えないと感じるテーマがある。
その中でも最も見苦しかったのは柏のチーム意識だ。
リーグ戦を首位で来ている柏に対し、仙台は昇格に向けて厳しい状況に立たされている。昇格有力候補の首位対昇格赤信号が点りつつある4位との対戦。しかし、柏は首位にいる奢りとも思える緩慢なプレーを見せる。
局面での厳しさは見られた。
しかし前半はまるで横綱相撲を取りに来ている様で、ひたむきさに欠けるプレーだったと感じた。
何が不満かと言うと、攻撃陣の動きと意識の低さだ。

北嶋。何度もいいボールが入って来た。しかし、前半はシュートゼロだったと思う。シュートのチャンスがありながらスルーするケースが多すぎた様に感じている。愛媛戦後にも指摘したが、意外性ばかりに終始すると最早そのプレーに意外性という武器は無い。別にスルーする事が悪いとは思わないが、連係プレーである以上、周りとの高い連係が絶対条件である。後に指摘したいが、このゲームは北嶋が指向するプレーをするには連係が非常に悪かったと感じる。であるならば、しかも北嶋はフォワードなのだから得点に近い最短プレーをするべきだ。そのポジションにいる人間にいいボールが入るのに何故シュートの意識が無いのかと問いたい。
北嶋にいいボールが入っていた前半は決して状態は悪くなかったし、大きなチャンスに拡がるエッセンスがあったと感じている。しかし肝心のフォワードがゴールに向かうプレーをしない。ゴールに向かわなくとも周りの効果的な動きを引き出すいいポストプレーが少ない。
シュートを撃たないフォワード。
ゴールに近づくプレーが出ないフォワード。
相手は全く怖く無いのだ。
もっと真剣に、真摯に、無垢に、我武者らにゴールに向かわなければプロフェッショナルとは言えない。

鈴木達也。この仙台戦で最も期待はずれだった。
プレーの判断が遅く且つ判断ミスばかり。全くゲームに入れず集中していない。結果、右サイド専門の様なアリバイプレーに終始、仙台スタジアムの雰囲気に飲みこまれてしまったかの様なレベルが低い動きだったと厳しく指摘したい。

この日のシステムは4−2−3−1という形。チームの希望はリカルジーニョまで含めた5人が何処からでもゴールを狙ってくるコンビネーションと機動性にある。
鈴木達也は右サイド起用なのでフォーメーション上はフォワードではない。しかし、何も意識まで変える必要は無く、寧ろどんどんゴール前に入ってくる運動の質とシュートを期待しているのだ。だから1トップのフォワードとの連係プレーは必須の動きであり、それを期待して鈴木達也をあのポジションに入れていると言える。
しかし、北嶋とのコンビネーションで成功したプレーは皆無だったので無いだろうか。
上には北嶋のシュート意識の無さと記したが、再三見せた北嶋のスルーに全くポジションを取っていない事はコンビ相手として同罪である。
しかもその時に他のプレーを狙って動き出している気配も無く、ただ何となく下がり目の位置に居るだけだ。北嶋は個人の能力で相手守備陣を突破するスタイルでは無く、周りとのコンビプレーがあって生きるスタイル。しかしフォロー役がポジションに入る意識が見られないのは集中が足りないとしか言えない。あれでは北嶋としても辛かっただろう。

シュート意識に関しても低すぎる。結果的にはチーム最多のシュートを放っているが、いいチャンスでのシュートは1〜2本だったと思う。ここぞ!という時にパスを選択する事が非常に目立った。しかもそのパスが不正確で2回程カウンターを食らっている。ポジションではなく、鈴木達也というチーム内での存在・立場からシュート意識の低さとパスの不正確さは重大なミスであると言いたい。

上記の2名がチームの足を引っ張っていたと感じているが、加えて残念だったのが、スペースを見つける動きが前半の30分過ぎに止まってしまった事だ。簡単に言えば運動量が足りなかった。この辺りにも横綱相撲を取りにきた一種の勘違いを感じる。
相手は最初ビビっていた。攻守に気持ちは前に出ているが引き気味な姿勢、チームプレーは感じられなかった。状態としてはどん底と言えるだろう。
柏は、前節では全体のスペースへのランニングがチームを引っ張っていたし、そのスペースにボールがどんどん回った。この仙台戦も、キックオフから暫くは前節の様なパフォーマンスが見られたが、次第に消えてしまった。
いい形に成りつつも上手くいかないチーム状況が、次第にディエゴ・リカルジーニョ・平山にも伝播してしまったと感じている。

先制点が取れないと、不安感と疑心感がピッチ上のあらゆる場所で沸き立って来てしまうのはチーム力の現れと言える。
第3クール・東京V戦後の石崎監督が発した「自分たちの実力を過信していないか」という警鐘。これで生まれ変わった様に見えた戦う意識が、また元に戻ってしまった様に感じる。


次に見苦しかったのは柏・仙台の立場に限らず感じたと思うのだが、レフェリーだ。
このゲーム、両チームともに重要なゲームではあったが、それほど局面が厳しかったとは思えない。それが、イエローカードの数でJ2記録らしい。
レフェリーのジャッジが正当であってこの結果であればまだ救われる気持ちも大きい。しかしこのゲームは、サッカーを見ているというよりは、レフェリーの人格が次第に崩れていく様を見届けるショーを見せられた様で、正直アホらしい。
サッカーとは、レフェリーのミスジャッジも含めてサッカーであるというのが自分の考え方なのだが、このゲームはミスジャッジ以前で技術不足。稚拙なジャッジングでゲームが壊れてしまった。
仙台は勝利を得たのだからレフェリーについてあれこれ言う人はいないだろう。しかし、Jリーグ及び日本のサッカーの発展の為に、両者が受けた十数枚のイエローカードのどれが妥当だろうかと冷静に考えて欲しい。

退場になった菅井選手の2枚目のイエローは妥当だろうか。
ロペス選手のイエローは妥当だろうか。
柏の藏川はボルジェス選手に触ってさえいない。
北嶋のヘディングは正当な競り合いだったと思うし、あれがイエローは疎かファールなら柏が失点しなかったゲームは数試合ある。
小林亮のカードも疑わしい。
これまで自分は、サッカー観戦は200ゲームを下らないと思うし、同程度のイエローカードが出たゲームを何度も見た。しかし、このゲームは問題が多すぎる。
技術的な部分に関して言うと、レフェリーのポジションが遅れ過ぎている。にも拘らず、副審に確認する事無くその場の雰囲気でジャッジしている。重大な技術不足であると言いたい。
後半途中からは全く運動量が低く、精神的にもコントロール不能な状態に見えた。
結果、仙台・柏ともに不可解なジャッジで次節出場出来ない選手が多数出てしまった。
レフェリーに意義を言うと有無を言わさず警告になるが、ミスジャッジや技術不足が根本的な問題であるのに、免罪符のようにイエローカードを振りかざす行為をゲーム中にどうにかする術は無いのだろうか。
審判制度に詳しくないのだが、第4審判とは選手交代の手続きとロスタイム表示だけが仕事なのだろうか。マッチコミッショナーがジャッジに介在出来る様なシステムはあり得ないのだろうか。
個人的には主審以外に全体を見渡せる誰かがコントロールすべきだと思う。
大いに議論する問題であると言いたい。

普段レフェリングに苦言を言わない石崎監督が思わず公式会見で指摘してしまうのは、相当のフラストレーションの現れ。でも石崎監督の事だから今頃大人げなかったと後悔しているだろう。
だが結果が逆だったとしたら、相手のブラジル人監督は退席になってしまう程キレるレフェリングだったと感じている。


最後に言いたいのはその相手の監督だ。
JsGoalのインタビューから読み取るしか無いが、彼曰く、仙台の選手は冷静に対処し、柏の選手が未熟だった様に語っている。しかも柏の成績が「運がいい」と公式にコメントする始末だ。
正直に言うと、相手の監督のコメントとして、その冷静さを欠いた盲目さと現実逃避に近いコメントは残念だし、器の小ささを感じている。悪いが仙台は監督の選定で失敗をしたのでは無いだろうか。

そして、柏の選手諸君及び石崎監督に言いたいのだが、大いに怒るべきだ。
これまでどれだけ苦労してきたのかと。
どれだけ相手チームよりも走り勝ったかと。
どれだけ相手チームからゴールを奪ったかと。
この仙台戦について自分はあまり内容には触れていない。何故かをハッキリ書くが、仙台が勝利したのはまぎれも無く「運」のみだからだ。
仙台にサッカーのプレー上で評価出来るプレーは殆ど無い。柏の守備組織を意図的に崩すプレーは疎か意識も感じられなかったし、シュート機会も少なかった。

柏視点で書く以上、負けたからには問題点を指摘する事がレイソルの為になると思っている。
だからこそのブログであると思っている。
両者のチームの力には相当な差がある。胸を張って柏に帰って来て欲しい。
仙台には第4クールでしっかりと厳しい現実をもってリベンジをして欲しい。

仙台戦の敗戦で残念な事に1クールでの目標勝ち点に届かなくなった。第2クールでの借金が1点あるので、次節横浜FC戦に勝っても4点足りない。
しかも、横浜FC戦は仙台戦の影響でDFラインの大幅入れ替えが必要な上に時間がない。相当厳しい1戦になる事は明白だが、あらん希望を言えば、柏のDFライン不安が相手の油断に繋がるかもしれないし、逆に心配だった、城不在の油断は消えただろう。
苦境ではあるがここは無理矢理ポジティブに捉え、横浜FC戦は何とか勝ち点3をもぎ取って第3クールを締めて欲しい。
そして目標を決めた以上、横浜戦含め残り13ゲームで何とか勝ち点32。年間勝ち点100を達成して欲しい。
これを達成出来ない以上優勝は無い心構えでいきたい。



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2006年09月03日

守備と攻撃は表裏一体〜湘南戦(第3クール)

全員攻撃・全員守備をテーマに掲げる今年の柏レイソル。しかし最近のゲームでは同じ様な形のカウンターによる失点が目立ち、守備の再整備が急務だった。実際この守備の綻びが見え始めたのは7月12日の札幌戦からだったと思っている。このゲームで札幌は柏の守備組織の後ろにある広大なスペースを狙った早い攻撃が度々見られ、柏は前半の内に2失点を喫する。柏の代名詞でもある前線からの積極プレスを上手くかわす事が出来れば、一気に数的有利とスペースを手に柏ゴールへ向かう事が出来るという柏の組織・戦術の欠点が明らかになったゲームだった。

ちなみにこの札幌戦は第3クールの初戦にあたる。
以降試行錯誤を繰り返す柏にとって、第3クールは組織戦術のリバイスを図る非常に重要な熟成期間になっていると言える。

第3クールの柏は、神戸・山形など苦戦を予想される相手に勝ち点3を得る一方、勝利を得なければならない相手には苦戦が続きなかなか勝ち点を積み上げられずに苦しむ。原因は柏の組織・戦術にあるのだが、時折見せる好パフォーマンスや勝利の陰に隠れて気づく事が遅れたと思う。希望を言えば、勝利はしたが7月26日の徳島戦で問題点が浮き彫りになったので、これを契機に本格的なリバイスを始めて欲しかった。しかしこの作業に着手する愛媛戦まで5ゲームを消化、勝ち点にして8点を失ってしまった。結果論ではあるが、早くに着手出来ていれば勝ち点を8点も失う事も無かったかもしれない。
その後、鳥栖に5失点・東京Vに4失点した結果と内容を受け、漸くチームの原点を見直すというコンセプトを持って開幕と同じスタメンで愛媛戦に臨み、終盤の2ゴールで突き放し3−1で快勝した。
内容は全員守備のスタート地点でもある前線からのプレッシングが甦り、どちらかと言えばいいゲームだったと思える。が、そのプレッシングは泥臭く我武者らな印象で、チーム全体が連動的に動くスマートさは無かった。
ともあれ一定の内容で結果を出した事は評価したい。
問題は続くゲームでチームの前進が見られるか否かが非常に大きなポイントであり、このゲームの結果と内容の良し悪しが、以降のゲーム及び昇格レースに相当の影響を与えると思っていた。

真価が問われる1戦の相手は好調湘南。
第3クールの戦績は柏とほぼ同等、相手としては最適と言えた。
前置きが長くなってしまうのも、それほど重要なゲームであった故とご容赦願いたい。

で、内容なのだが、全てが上手くいったとは言えないが、今年のゲームの中ではトップクラスのパフォーマンスだったと思える。

まず守備に関して、前節より大きな進化が見られた。
前線の面々の前で奪う高い守備意識がチーム全体の守備力向上大きく寄与した。1トップを任された北嶋が牧羊犬の様に相手を追いかけコースを限定、2列目の両サイド平山と鈴木達也がパチッと局面に登場する。さらに連動し中にいるリカルジーニョ・ディエゴ、3列目の山根、サイドバックがフォローする。

特に評価したいのがポジショニングだ。
MFの5人とサイドバック2人の縦を切る意識及び、サイドチェンジをケアする逆サイドに位置するサイドバックの守備意識。いずれもポジショニングという要素だが、危険なスペースを未然に埋めるには相当トレーニングを積んだのではないかと推察する。鳥栖戦の1失点目の様なポジショニングの甘さは見られず、湘南に攻撃的なパスを殆ど許さなかった。このポジショニング(縦を切る意識やスペースを埋める意識)はプレッシング同様に守備意識と攻撃力の向上に大きく影響するのでサッカーでは極めて重要な要素と言える。プレス・フォロー・ポジショニングなど、選手個々のシチュエーションやポジションでこなすべきタスクが異なる中、上手く融合機能したのは正に集中の賜物。とにかく集中出来ていた。サポーターからも「集中!ドンドンドン!集中!」という叱咤は飛ばなかったのでは無いかな?

ただ気になった点ももちろんある。以前の様な酷い状況からは数段良化しているが、攻撃から守備への切り替えにまだ甘さが見られた。プレッシングがしっかり効いているので、相手も焦って形を作る前にミドルシュートを撃ってくれたり、アイディア不足でパスミスしたりであまり目立たなかったかも知れない。しかしもっとレベルの高いステージでは、数的不利のまま決定的な形を作られる予兆が見られたし、チームには恐縮だが、サポとすれば欲は尽きない訳で満足するレベルにはまだ至らない。この湘南戦に満足せずより高い意識で取り組んで欲しいところだ。
ただ現時点では、この湘南戦で見せた組織守備に対してグッドワークだったと評価したい。


攻撃に関して、まだまだ足りない事は否めないが、大分スペース間でのパス交換が出来てきた。第3クールで苦しんでいた時期を経て然るべき方向に前進していると感じる。

前節の愛媛戦までは、全体的な運動量が上がらずお互いを助け合う意識が足りずに足下パスに終始していた。それが湘南戦では全体守備を引っ張る運動量が、攻撃の運動量増加にも繋がる。1人1人がハードワークをこなし、サボリは見られない。運動量増加は即ち1人1人の動く距離に現れる。元々前向きの守備意識は前向きの攻撃力になり、前のスペースを見つけやすくなる。そしてそこにボールと人が動く。
やはり攻撃と守備は表裏一体である事を強く感じた。
2点目となったディエゴのゴールは思わず鳥肌が立った。ワンタッチパスが繋がるポジションバランスと個人技術とスピード感は見事の一言。選手達も最高に興奮した瞬間だっただろう。あれこそ目指すべき攻撃の形だと言いたい。
この得点以外にもスムーズにスペースからスペースにボールが運ばれるシーンが何度か見られた。残念ながらゴールは疎か決定機にも至らないケースが多かったが、これはゴールに近づいてからの工夫や連係がまだ足りないからだろう。この課題がクリア出来れば、何度もディエゴのゴールシーンの様な連係プレーが見られる筈だ。
4ゴールは出来過ぎだが、収穫はスペースを使う意識が見られた事。これが大きな成長力となる。J2を脱するサッカーの形が、僅かではあるが垣間見られた気がしている。


個人について殆ど全ての選手が及第点以上の動きを見せてくれたのだが、まずは藏川を挙げたい。
突然訪れた起用だったが、監督・選手・サポ全てが期待以上の動きだったと思う。局面での強さ、1対1の強さはこのゲームで抜きん出ていた。藏川の1人テンションが違う闘争心が周りに伝播し守備が向上したとも言えるかもしれない。負傷した祐三や大谷には悪いが、仮に藏川の出場が無かったとしたらサイドの守備の強さはあれほど出ただろうか。さらに巌の負傷後にはボランチに入り中盤を締める働きも見せる。いいゲームの入り方をしている所為か読みも鋭く巌の不在を感じさせない存在感だった。
これまでサテライトで冷や飯を食らい続けてきた訳だが、腐らずに日々練習してきた成果が出る姿は、見ているこちらも嬉しくなってくるものだ。石崎監督としてもここへ来て藏川という計算出来る駒が出来た事は非常に大きいだろう。

出場停止明けのリカルジーニョもいいパフォーマンスだったと思う。
東京V戦では淡白な精神面と守備意識の低さが見苦しかったのだが、2003年の頃の攻守に躍動する鬼神の姿が甦って来た。特に守備意識の高さは最近見られなかったものだ。リカと山根は柏のバイタルエリアの守備担当と言えるので、数本ミドルは撃たれたが、どれも苦し紛れのシュートだった事からもいい守備だったと思う。
攻撃に関しても正にボランチ的なパスワークでミスらしいミスは無かった。いつもはミドルシュートを積極的に狙う姿が印象に残っているが、このゲームではキックオフ早々のシュート以外に無かったと思う。これは周りの動きが良くパスコースが豊富にあった事もあるが、併せてリカ自身の調子が良く視野が広かった事もあると感じる。リカが無理矢理ミドルを狙わない状態こそ攻撃が円滑に回っている証拠といえるのかも知れない。

2試合欠場させられた南の復帰後は素晴らしいパフォーマンスと言いたい。
愛媛戦に引き続き、湘南戦でもコーナーキックからのセットプレーで失点を防いだ。これはナイスセーブで終わるのだが、より評価したいのは攻撃の起点として完璧に機能したという事だ。ロスタイムの2点は南の判断力が無ければゴールは無いだろう。
特に3点目となった平山のゴールだ。平山がトップスピードでハーフウェーラインを超えるぎりぎりのタイミングでフィードキックした。あの様なシチュエーションが訪れる事は早々無いのだが、突然来た時の的確な判断と平山との疎通含めナイスプレー過ぎる。
4点目もフランサへ正確にフィードした事からスタートしているし、前節の決勝点となった2点目のフィードも正確に李忠成の頭に合わせる技術があるからこその得点。
以前、開幕直後のゲームで南のイージーな判断によるフィードキックであわや失点する場面があったが、あれから本当に良くなったと感じる次第だ。
大分遠回りしたけどこの調子で代表まで昇って欲しいと密かに期待している。

岡山は途中から大谷とのセンターバックを組んだが、ラインを上げて中盤をコンパクトに保とうとする意識が非常に高かったと感じた。プレッシングが機能した立役者の1人である。前節はラインコントロールの失敗が失点に直結してしまったが(というか大谷がラインに残ってしまったからだが)、愛媛戦を踏まえチームとして重点的にラインコントロールのトレーニングしたのでは無いかと感じた。
岡山と言えばヘディングゴールが代名詞で期待している人も多いと思われる。ご無沙汰してしまっているのだが、DFである以上失点を防ぐ守備力が最も大事だ。その意味で、湘南戦の無失点完封ゲームは評価したいしDF陣にも大いに力にして欲しい。そしてチームとしてより組織守備を熟成させて欲しい。

他にもディエゴの突破力・フランサの視野と技術・北嶋のポストプレー・待望のゴールを奪った鈴木達也と挙げていきたいところだが、大変長くなってしまうのでまたの機会に触れようと思う。
ただ、最後に平山について。
運動量とスペースへのランニングが素晴らしかったと言いたい。この運動量が1ゴール2アシストの活躍に繋がった。さらに局面にしっかり顔を出す守備意識も素晴らしかった。ただ平山の難点としてはゲームに入る時間が少々遅い事が気になる。このムラが無くなればより素晴らしい活躍が出来ると思う。


なんだか褒め言葉ばかりが並んでしまったが、それほど自分としては嬉しい勝利だったと言いたい。
第3クールもまだ2戦あるが、昇格レース本番である第4クールを見据え非常に内容が濃く価値が高いゲーム見せてくれた。
不安を上げれば、フランサの決定力が武器になってきている中、これから彼が必ずしも嵌らないゲームもあると思われるのだが、それを打開出来る術が足りない事だ。必要な事はフランサがいなくても鋭い攻撃が出来る破壊力となる。しかし、スペースを使う意識とボールと人の動きが合えば、この湘南戦で見せた様な形をベースにステップアップしていけば、より厚い攻撃が見られる筈だと思う。
要するに不安感よりも期待感の方が大きい。

第3クール、柏は明らかにチームのバランスが崩れ、迷い、焦っていた。
しかし、10ゲームを消化してやっと立ち直りつつある。しかも、よりパワーアップして立ち上がろうとしている様に感じられる。現状ではまだ感覚でしかない不確かなものではあるが、これをしっかりチームの力に出来るかがJ1への復帰とその後のチーム強化に繋がると考える。
その意味では、今が一番大事な時なのかもしれない。

revivereysol at 19:14|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2006年08月28日

原点回帰は成ったか?〜愛媛戦(第3クール)

いろいろ所用があり記事アップが遅れてしまいました。
少々長すぎるかもしれませんがご容赦下さい。それほどいろいろ要素があったゲームだったと思うので。

前節のゲームを振り返ると、味方へのフォローが弱く、スペースを突く、埋めるという機動性に欠けていた。根本的な運動量の少なさが目立っていた。さらに点差がついて以降より運動量が低下し精神的な弱さも見られた。
一言で言えば「タフネスとは何ぞや?」と問いたくなるゲームだった。

不甲斐ない1戦から1週間を経て迎えた愛媛戦。
柏のサッカーがどの程度リバイスされたか注目していた。

柏のスタメンは開幕時と全く同じ布陣でキックオフ。
前節後のミーティングで原点に戻って自分たちのサッカーを見つめ直そうというコンセプトがあった様だが、起用メンバーも含めスタート地点に立ち返ったところを見ると、チームおよび石崎監督は相当危機的な意識が芽生えていたと言える。
そうなるとテーマは必然的に「原点回帰」となる。

そうは言っても、自分はそう簡単では無いと思っていた。
というのは、柏が一方的に原点に戻ると言っても相手は開幕時よりも組織的な成熟があるだろうし、春と全く同じ戦い方が必ずしも良い結果に繋がるとは思えないからだ。むしろ、最近のゲームと同じくいいところ無く敗戦を喫したら、完全に方向を見失いより深みに嵌っていく危険もあると思っていたからだ。
他方で、自分が個人的に考えている最近の問題点は、プレスが掛からない事で招く劣勢では無く、プレスをかわされた時に起きるギャップをいかに埋めるかだと思っている。
・・・攻めている時のリスクケアは万全か。
・・・守っている時の攻撃が意識されているか。
要は、より気をつけなければならない事は攻守のバランスと切り替えの早さだと思っていた。

そんな背景でスタートした愛媛戦だったが、スコアは別として内容の面では満足出来るものでは無いと思われる。
守備、特にプレッシングに関しては良かったのでは無いだろうか。
2トップの積極的なプレスがパスコースを限定させ、MFが効果的にボールを奪い取る形は多く見られた。2列目の平山・谷澤や3列目の山根が局面に顔を出せるケースが多かったのは、間違いなく2トップの力に依るものだ。苦し紛れのパスミスも引き出していた。最近のゲームの様に、プレスがかわされて一気に数的不利に陥るケースはほぼ無かったと言っていいと思う。

問題は攻撃で、ボールを奪ってからの展開が拙かった。
端的に言えば、ボールや人へのフォローが弱かったり、意思統一が足りないので足下から足下へのボール廻しに終始、攻撃にスピードが出なかった。この様な足下パスが中心のビルドアップでは、相手から見ればパスコースの予測が容易だろう。柏は、ボールを廻すうちに狭いエリアに追いやられ、シュートに結びつく前に攻撃が終わる事が目立っていた。
一言で言えばシンプルな攻撃を心がけて欲しいという事になるのだが、何故シンプルに攻撃出来ないかをもう少し詳しく考えてみたい。

石崎監督は攻撃とはシュートを撃つ事であり守備とはボールを奪う事と言っているのだが、柏の問題はシュートを撃てないという壁に当たっている事と認識する。
なぜシュートを撃てないのか?
プレッシングは出来るが、円滑に攻撃出来ない理由は何か?
・・・これは簡単に表現すればサッカーの基本(理想)を忘れてしまっていると感じている。そうなると基本とは?という事になるが、自分は「当たり前の事を当たり前にこなす事」と表現したい。

大変説明しにくいのだが、ある地点で攻撃の起点が出来てここから選択肢が2つあるとする。
一方はスペースに走り出す選手へのパスで、通れば一気に数的有利に持ち込める局面が待っている。
もう一方は相手の考えの裏を突く様な動きをした選手へのパスで、通って以降もより高度な技術と人数と連係プレーが要求される。
それで柏の選手は後者を選びがちである様に感じる。要は自分たちで難しいプレーを選択しサッカーを難しくしてしまっているのでは無いだろうか。一言で当たり前のプレーと言ったが、これは裏を返せば意外性の無いスペースを突くフリーランニングで相手は最も嫌う。そして攻撃側はスペースに走り込んでもイメージ通りパスが出る事は半分以下なので非常に疲れる。しかし、これを嫌ってフリーランニングが無くなってしまうと、70年代初頭のテンポの遅いサッカーに戻ってしまうし、一定の運動量があるチームとの対戦ではいい戦いは出来ない筈だ。(最近のゲームの様に)

殆どの選手が意外性のあるプレーをしたがる状況では、最早意外性が無くなっている事に気づいて欲しい。意外性を求める結果、運動量の低下を招き、オフザボールの動きが次第に無くなっている弊害に気づいて欲しい。
攻撃の起点になる選手は、スペースを突くいい動きをする選手に間違いなくボールを出す様に心がけて欲しい。たとえパスが通らなくてもその動きは相手にとって脅威になり、次の攻撃時に暗に効果を発揮する筈だ。忘れてはいけなのは、相手が最も恐れるプレーは最短でシュートに結びつく展開だと言う事。そして、それを効果的に発揮するにはフィールドプレイヤーの運動量が最も重要なのだと認識して欲しい。今一度思い出したいのは、石崎サッカーの攻撃とはシュートを撃つ事で、因って最もシュートに近い選択をするべきという事だ。


個人選手の雑感としてまず平山のゴールについて。
岡山のいいロングフィードと平山が得意なワンタッチで相手を抜くトラップがマッチしたいいプレーだ。柏が中盤で組み立てに苦しんでいる中、あの様な形でゴールを奪われるとは相手も予想外だった筈だ。特に右足のシュートは2001年の確か福岡戦以来ではないかな。まぁ2〜3年に1本のシュートだと思うので生で見られた事自体価値が高い。平山にはより右足の精度を上げて狙えば相手もより抑えにくくなるだろうから努力して欲しいところだ。

続いて北嶋だが、なかなかボールが入らなかった。
ビルドアップ時に北嶋が絡むと高い確率でいい形が出来るのだから、個人的にはもっと北嶋を活用すべきだと感じる。北嶋がポストに入り、ディエゴかリカルジーニョに返し、スペースに平山・大谷・小林亮・谷澤などが走り込む展開が理想なのだが、現状パスの選択肢として北嶋よりもディエゴを選ぶ傾向がある気がする。北嶋ももっと要求するべきだ。この愛媛戦は北嶋があまりポストとして機能していなかった事も攻撃が難しくなった一因かもしれない。(最も北嶋のポジショニングが悪かったのかもしれないが)

大谷。。。現在絶不調では無いだろうか。
東京V戦は中途半端なポジショニングと運動量の少なさが目立ったが、この愛媛戦を見て本人に迷いがあると感じられた。もしかしたらユーティリティプレイヤーとして多くのポジションをこなしている故の弊害かもしれないと感じている。
最も大きなミスは失点シーン。あれは祐三のクリアが中途半端だった事もあるが、大谷がオフサイドラインの対象なのに押し上げが遅れた事が大きな原因の1つ。祐三の最初のヘディングクリアと一緒にラインを上げなければいけない。(小林亮と比べて集中が足りない事がVTRでも歴然だった)
これ以外にも、キックオフ直ぐの正確性の無いサイドチェンジパス、ボールを見合ってピンチを招く事2回、菅沼との1対1で完敗もした。本来、前半の飛び出しでファールを貰ったプレーや後半のドリブルシュートに見られる攻撃的な動きやシュート力が持ち味でもあるので、守備に6〜7割に比重を置いた起用に迷いがあるのかもしれない。最近のパフォーマンスが続く様だと他のメンバーを起用した方がチームのリスクは減るだろうとは思う。ただ石崎監督からすれば、大谷の攻撃センスを買っているからこその守備的ポジションでの起用と感じている。これが不調の原因なのかもしれないが、このハードルを何とか乗り越えて欲しいものだ。

そしてフランサなのだが、攻撃の切り札として出て来た15分間は本当に素晴らしいと言うしか無い。
とにかく相手が最も厳しく感じるプレーを経験として知っている。
(ディエゴの1点目の様なトップスピードで入る選手を使うなど)
ただ、残念ながら90分の尺で考えると監督としては守備不安は消えないだろう。以前3月11日の投稿で、フランサの起用法は最も頭を悩ませるだろうと書いたが、未だに劇薬フランサの処方箋が見つかっていない現状だ。最近のチーム事情からは愛媛戦の様な起用を続けるしか無いだろうと思われる。

最後に「原点回帰」が成ったのかを言うと、そうとは言えないだろう。
全員攻撃・全員守備の内、全員守備はある程度出来たのかもしれない。柏のチームのベースがプレッシングである事は変わらない。しかし、勝ち点3を得るには、勝利に導いたのは、間違いなくフランサの技術によるものだ。1点目についても岡山と平山の個人技と言える。全員攻撃よりも個人の技術が優った結果と言え、石崎監督や選手・チームにとってもある意味皮肉な結果だったのかもしれない。原点に帰ろうとしたゲームが、より混迷の域に入る内容だったかもしれないから。その意味で、次の湘南戦はこの愛媛戦の結果がどのように反映されるか非常に興味がある。湘南戦の内容次第で続く直接対決2連戦に大きく影響するかもしれない。

ただ、何があろうとジタバタしないメンタルが最も必要な時期にも来ている。
さらに個人的な見解を言うと、06年柏レイソル最終形はプレッシングと技術の融合だと思うので、いろいろ書いたが軸はブレていないと思う。難しい事をしようとし過ぎているのも最終形への道程だと思う。なので、運動量で負けない事、切り替えの早さ、シンプルな攻撃、バランス意識があれば、最後は歓喜が待っていると思っている。

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2006年08月23日

とうとう首位陥落かな〜東京V戦(第3クール)

ワッハハハハハ!
東京Vに完敗ですよ。
ついこの間投稿した記事で、まるで東京Vには勝つ事が当たり前であるかの様な表現をしてしまった自分の意識の甘さに呆れています。笑うしかありませんね。
もしこのブログをヴェルディサポが見ているとしたら先般の無礼を陳謝します。
ラモス監督始めヴェルディサポやヴェルディ関係者の方々は、この機会に思う存分溜まっているであろう思いの丈をぶちまけていいと思いますよ。あらゆるメディアで。

という事でこのゲームの印象。もちろん今期最悪のゲーム内容だろう。
以前に最悪記念日と書いた記憶があって自分のブログを読み返したら5月15日に投稿した記事だった。
ゲームは第2クールのサガン鳥栖戦。
相手選手の退場で数的有利の上に2点差で勝っていながら、残り5分で同点にされたあのゲームだ。何が気に入らなかったのか読んでみると、相手チームを舐めたゲーム運びが見られ、サッカーという競技そのものへの敬意が感じられなかったとある。要はおよそプロフェッショナルスポーツとは言えないという事だ。この鳥栖戦の結果を忘れずにチーム強化していって欲しいという思いを込め、あの投稿では最大級の批判的な表現をしたつもりだった。
そしてあれ以上悪いゲームは無いだろうと思っていた。しかし、この東京V戦も同様の扱いとしたい。

いつもはJR信濃町駅か地下鉄外苑前駅から帰るのだが、あまりに腹が立ってしまったので永田町まで歩いて頭の中を整理してみた。(下車駅はペンネーム通り南柏駅です)

何故こんなにも腹が立ってしまったのか。。。
相手が東京Vだから?ラモスだから?
4失点して不甲斐ないから?
前回の投稿で恥ずかしい事を書いてしまったから?
まぁどれもある程度はあるとは思うが、上記よりも気に入らなかったのは2つある。

1点目はポジション不動のサッカーだった事だ。
まるで野球の守備の様に与えられた場所から動かない様に感じた。
と断言してしまうとディエゴやリカルジーニョは動いていたとか前半途中で山根のオーバーラップとか反論もあるかもしれない。でも自分が言いたいのは、味方をフォローする意識が皆無に見えた事だ。スローインにしても中盤の攻防にしても前線へのフィードにしても全ての局面においてフォローの意識が感じられない。

隣のチームメイトが相手に囲まれそうならボールを貰いにいかないと。
パスを出して終わりじゃ無く次のパスコースに走らないと。
前にスペースがあるんだから安易にパスせずにボールを運ばないと。
誰かが動いて出来た危険なスペースは他の誰かが埋めないと。

これは誰という個人ではなく全ての選手に感じた。あらゆる局面で厳しい状況になってから漸く動き出す有様は見ていて火事場に駆けつける消防車の様。いつまで経ってもゲームに入れず集中していない。これでは火事は燃え広がるばかり。ほぼ全ての局面で相手に優る事が出来ない。足下のテクニックでかいくぐる以外に優位に立てる筈が無い。
何となくゲームに入り、気がついたら0−2だ。
水戸戦で決めたゴールの様なワンタッチのコンビネーションで狭いエリアを崩すシーンが何度か見られたが、もっと大事な事はスペースに動く事だとハッキリ認識するべきだ。楽をしちゃだめだ。断言するが、東京Vの組織は大した事は無かった。スペースがたくさんあった。でも柏の選手が走らないから大きなチャンスとなる局面を何度も逸した。疲労は分かる。でもそれは相手も同じ。言い訳には出来ないだろう。動く意思が無かったと「勝ちたい」という願望が足りなかったと指摘しなければならない。

もう1つ気に入らなかった事は途中でゲームを諦めてしまった事だ。
後半3失点目をして以降、動かなかった選手達はとうとうサボる様になってしまった。それまでは、動かなければいけないという意識はあるせいか多少でも局面に動いていた。(もちろん動く距離は足りないのだが)それが、本当に動かなくなった。
高校野球を見ていたんだろうに。何故諦める?
これはプロスポーツで最も犯してはならない重罪だと言いたい。
選手も人間だし、疲労の上に上手く回らないゲームで気持ちが乗らないのだろうとは思うが、我々サポは「じゃぁ仕方ないよね」とは言えない。我々のサポートが足りなかったのかね。サポに対する裏切りに近い行為ではないかね。悪いけど個人名を挙げると、リカ・ディエゴ・大谷は反省して欲しい。その後ろにいる山根・祐三・岡山にとっては厳しすぎるゲームだった様に感じている。(この3人を褒めている訳じゃないが)
兎に角、こちらが諦めても相手も同じく手を抜いてくれる訳じゃない。むしろ勢いを増すだろう。何故粘れない?ここ数年粘り無く大敗を喫する癖がある事も気になる。これだから降格したんだろうなとつくづく感じる。(東京Vや神戸も粘り強さは柏と同等に疑問なので)
勝負事では、諦めたら、粘り強さを捨てたら、その時点で終わりだ。

以上の2つの点はしっかりとじっくりとチーム内で話し合うべきだと思う。
フォロー出来ない(しない)のは何故なのか。何故諦めてしまい粘れないのか。有耶無耶にするとチームが壊れる火種になる気がして心配だ。(特にブラジル人対日本人)

このゲームの後だから余計に気になるのが、公式サイトのフォトギャラの「東京Vには絶対に勝ちたい」という鈴木達也のコメントだ。公式サイトに載せたコメントはチーム全体のコメントであると捉えた上で言いたいのだが、あの運動量でどうやって東京Vを倒そうと思ったのか?本心だとしたら東京Vを舐め過ぎだし、多いに慢心を戒めるべきだ。(自分も悔い改めている)

ここまで感情的に書いてしまったが、もう少しゲーム展開寄りの話で指摘したい件がある。
誰でも分かる通り、ラモス監督は3バックの両サイドに出来るスペースをしつこく狙って来た。
これは、柏の組織の間延びやバイタルエリアを簡単に空ける常套策であり、この対処にDFラインのスタミナも消費させる事を狙っている。前2回の対戦と変わらないやり方だ。それで気に入らなかったのが、何故これに付き合うのかという事だ。途中で4バックにするなりサイドハーフが下がるなりすれば、DFラインの足が止まる事も無かったかもしれない。監督の指示が無いとシステム変更出来ないのだろうか。この機転の無さではこれからのより厳しい事態や厳しい展開に対応出来るとは思えず、昇格レースを勝ち抜くなど考えにくい。もうそろそろピッチ上で解決すべきものは臨機応変に動く癖を付けなければ厳しいだろう。

シュートで終わる意識も低かった。その上切り替えも遅い。その結果カウンターを受ける。もういい加減学習しないといけない。
フランサのエレガントなプレーは、柏のサッカーの中でワールドクラスを感じるいいコンテンツで、決まれば見ている者を一様に唸らせる素晴らしいものだ。しかし、今日は東京Vの我武者らで泥臭いディフェンスに何度も屈してしまった。
(3失点目の起点になってしまったし)
ワールドクラスならゲーム途中でプレーの選択肢を変えて欲しかったところだ。

あと雑感としては、加藤はまだ経験不足が著しく起用は厳しいかなと言う事と、負け惜しみになるが1失点目はオフサイドの様な気がするという事。(VTR未確認だが)

これで石崎監督は次のゲームのプランニングが難しくなっただろう。
怪我人が続出している内は作戦のオプションが少ないので思い切ったサッカーが出来ていた。それが、選手が復帰しオプションが増えた現状では数ある組み合わせを試し、相手の事を考え試行錯誤している。(多少心配ではあったのだが)
そして残念ながら失敗しているケースが増えて来ている。
結果論ではあるが、このゲームで言えば北嶋と鈴木達也の組み合わせの方がチームがイキイキとしたし、最初からこのコンビで入ればまた面白かったという反省もあるだろう。やはり立ち返る場所は石崎サッカーなのだから、前線からのプレスが基本戦術であるはずだ。これを蔑ろにするサッカーは長続きしないだろうし柏の地に根付き辛いと考える。テクニックを言うのであれば、足下ではなくプレッシングのテクニックを鍛えるべきではないかと思う。例えば、パスコースを切るポジションニング・2人以上で相手に迫るアプローチ・3人目がフォローする意識など。その先に数的有利な局面の作り方・スペースの作り方・3人目の動きなどがある筈だ。

まぁやってるんだろうけどね。
最後はポジティブな表現をしたいので、なかなか上手くいかない事もサッカーの醍醐味でもあるとでもしておこうかね。

revivereysol at 02:14|PermalinkComments(1)TrackBack(0)

2006年08月21日

信頼関係がゴールを生む〜水戸戦(第3クール)

勝つには勝った。
J1への復帰を目指している以上、勝ち点3はチームにとって何よりのご褒美と言える。しかし褒められる内容では無かった事は柏レイソルに関わる全ての人間が感じている事だろう。ただ自分としては、ここ数試合で問題となっている課題に、僅かながら光明が見えたゲームであった様な気がしている。

このゲームの一般的な印象は、終始水戸にペースを握られた前半と柏がペースを取り戻した後半だろう。
この様に前後半でチームのパフォーマンスが変わった点について掘り下げたい。

前半目立ったのは水戸の攻撃的な守備意識だ。
これは、柏の最近のゲームを研究し、事前のトレーニングの成果が出たと思っている。水戸の柏対策は、縦に入るパスを受ける人間に対するマークを徹底、最悪でも前を向かせない守備を基本とし、隙あらばパスカットしカウンターに繋げるというものだ。そして、1列目から3列目まで左から右まで正に縦横無尽に動き回るディエゴにはマークを徹底、組織上の無力化を図る。この守備が機能し、縦に入るボールの受け手となる平山・大谷は徹底的に狙われた。ワントップの李忠成もマークに苦しみ、ボールキープが侭ならずタメが作れない。結果、柏の攻撃は全く厚みが無く単発的なものになってしまった。

このような中盤の攻防で優勢にたった水戸だったが、ゴールを奪うまでは行かなかった。攻撃力が強いチームだったら柏は前半のうちに2失点以上喫していたと思う。こう言うと水戸には悪いが、水戸の攻撃力が平均以下だった事が柏には幸いした。
攻撃は、ボールカットに成功した後いかに円滑に展開出来るかが大きなポイントになる。水戸はアタックするだけでは無く周りのフォローもよく出来ていたが、その次の段階での攻撃オプション(ex, スピードを持つ選手・華麗なパスワーク・スペースを狙うランニングやサイドチェンジ・決定力など)が足りなかったため、得点する事が出来なかったと考える。もしここに特徴のある強化が出来ればかなり順位を上げる事が出来るだろうと思われる。

ただ、柏が失点を免れた原因が水戸の攻撃力の無さだけに起因するのでは無く、ボールを奪われた後の柏の選手達が見せた切り替えの意識を評価したい。今までがあまりに酷かったのでよく見えるだけなのかもしれないが、水戸の次のパスを遅らせる縦を切るポジショニングが感じられた。やはり最近のゲームで見られたボールを奪われた後の切り替えの悪さやパスコースを切れないポジションミスに関してトレーニングを積んで来たのだろう。もちろん出足の鈍さ・運動量の少なさは見られたので完璧に出来ていたとは言うつもりは無く、評価すれば50点にも満たないかもしれない。なので、これからの期待を含め「僅かながら良化傾向にある」と表現したい。

後半に入るにあたり、攻守において機能出来ていない平山に代えフランサを投入、前半1トップで苦労していた李忠成を左の2列目に配し、代わりにフランサを1トップに据え、システムを3−5−1−1から4−2−3−1へ変更。1トップの組織は変わらないが、フランサのキープ力がゲームの流れを変えた。
フランサでボールが収まる事でタメが出来た事が柏が流れを掴んだ原因と言えるが、自分としては、他のチームメイトがフランサのキープ力に対する信頼感が絶大で、彼へのフォローに入る動きが後ろのスペースの恐れを上回ったと表現したい。以降、フランサのキープ力に活路を見出した柏は何度と無く決定機を作っていった。唯一の得点となったディエゴのゴールは多くの選手がワンタッチでボールに絡んだビューティフルゴールだったし、クロスバーを叩いた李忠成のヘッドも得点にはならなかったが多いに評価したい。

前半と後半の違いは信頼関係の有無。
これが非常に大きかったと言いたい。

前半の柏は、ボールの収まりどころがリカルジーニョやディエゴであり、キープポイントが相手ゴールから遥かに遠い場所であった。ここからビルドアップしていくには、ミスの無いパスワーク・スペースへの走り込み・スピードが必要で、これ即ち柏が現在抱える課題にそのまま繋がる。高度な組織的熟成が必要なのである。最終的に目指すべきチーム像は、上記の様なボールと人がよく動く熟成された組織サッカーだと考えている。しかし現状はまだ選手間の信頼が足りないため、意識的にも動きの面でもマイナスベクトルになり、運動量が上がらず前半の様な停滞型のサッカーになってしまう。

前半のサッカーであっても、李忠成へのフォローが素早かったらどうだっただろうか。中盤で縦に入るパスコースが多ければどうだっただろうか。またこのパスを受ける選手に素早くフォローが入ればどうだっただろうか。一概には言えないが、恐らくもっと激しいサッカーになる筈で、前向きな意識で少なくとも局面でイーブンになれば、選手の能力で優るであろう柏が圧倒していたと考える。

選手同士の信頼感がサッカーには最も重要な要素の1つ。この事に気付くいい切っ掛けとなったゲームだったと感じる。
フランサに対する信頼感は絶大だが、フランサがいつも出られるとは限らない。というか、誰かが出られないとチーム力が大きく減退する様なチーム強化は本末転倒だと思っている。1人に頼らず全ての選手を信頼する事が重要。そして全ての選手を信頼するベースとなるチームの組織戦術の浸透が必要だ。

今他チームが取る柏対策は、プレッシングをいかに上手く外して裏のスペースを使う事だと言える。この相手の術中に苦しみ、失点を重ね、チームの疑心へと繋がり、運動量低下の1つの要因となっている気がする。これでは相手を上回る組織力など期待するべくも無い。
ただ、全く間違った方向にチームが行ってしまっているのでは決して無いと自分は強く言いたい。これからのサッカーはよりスピードと運動量が求められるだろうし、そのベースになるのは相手に対するプレッシングであると考える。幸いにして柏の場合、プレッシングサッカーがチーム戦術のベースになっている。ネクストステップは、このプレッシングをベースに相手を優る効果的な人の動きと、この人の動きを使うボールの動きであると考える。もちろん相手の想像を超えるの動きというものはリスクを伴うものだろう。しかしこのリスクは選手間の信頼関係が支えるべきものだと考える。その1つの信頼が生まれる事で格段にサッカーが変わった水戸戦。この信頼こそこのゲームで体得すべき経験だと考える。

柏は今正にチーム戦術をレベルアップする過渡期にある。
夏の暑さで思う様に体が動かない事もあるだろう。しかしこの時期のトレーニングで連動性のある人の動きを磨き、絶え間なくやってくるゲームで実践する事が、秋以降の飛躍に繋がる筈だと考える。まずは、選手各々の隣にいる選手を信頼する事から始め、この信頼をトライアングルに拡大させ、熟成していって欲しい。

明日はラモスとの3回目の対決だ。東京V相手はやはり特別な感情がある。やってみなくては分からないけど、シーズンに入ってから半年を過ぎチーム力に相当な差が出ていると想像する。
第1クールはスコア上接戦だったが相手選手の退場もあり内容は圧倒した。
第2クールはスコアは快勝だったが個人的に内容は不満もあった。
この第3クールはスコア・内容ともに圧勝を期待したい。

revivereysol at 15:31|PermalinkComments(1)TrackBack(0)

2006年08月13日

目を覚ましてバージョンアップを!〜鳥栖戦(第3クール)

いやいや。。。何とも書きづらいゲームである。
あまりにも好条件が重なり過ぎている時の罠とでも言おうか。

苦手だった山形に勝利した直後の戦いやすい相手。
不甲斐ない前回対戦から来るゲームに対する前向きな姿勢。
尹晶煥と山口という危険な選手が欠場する鳥栖に対し、ほぼベストメンバーを組めるチーム状態。

ゲーム前のプレビュー記事も総じて柏有利。
J's goalのプレビューに至っては、目先のゲームを論じず、いかに今年の柏が興行的に上手くいっているかを絶賛する始末だ。(いつもホーム贔屓で中身が無い記事だから参考にしても仕方が無いが)
いろいろな見方はあっても、鳥栖が勝てる要素は殆ど無いという空気が戦う前に出来上がっていた。チームは周りのこういう雰囲気に流されたとは思わないが、こういう時こそしっかりと勝ち点を取れるかが大事だった。石崎監督としても、第3クールで勝ち点の計算をしていた相手でもあっただろう。
しかしまたしても柏の問題点をキツく教えられたゲームとなった。
柏の保有する「プレッシングサッカー1.0」というアプリは古くなってしまったので、草津戦に引き続きバージョンアップの必要性を指摘しなければならない。

選手達はこのゲームに向けて手を抜く事無く準備して来たと思う。ゲームの入り方は悪くなかった。いつもの事だが立ち上がりは圧倒的に押し込む。先制点も取った。前で奪う守備意識も見られる。しかし終わってみれば今期最多の5失点を喫した。失点を重ねていく流れの悪さは、まるで作り物の映画の様でなかなか見る事が出来ないだろう。
しかし実話である。
柏にツキが無かったという見方は出来るが、ツキを見方にする事が勝負の世界の鉄則でもある。自らのミスで流れを鳥栖に渡してしまい取り戻す事が出来なかったのは、そこまでの力しか無いという事だ。

5失点もすると逆に切り替える事が簡単だと思う。
しかし、代表監督に就任したオシム氏が「敗戦からこそ多くを学べる」と言っている。
自分も全く同感で、この敗戦からチームの問題点を正確に把握し修正しなければならない。

まずは、5失点の内容を一言でまとめてみる。
1失点目:鳥栖の左サイドから右サイドにサイドチェンジされ寄せ甘くセンタリングを許す
2失点目:オウンゴール
3失点目:前掛かりの状態から受けた典型的なカウンター
4失点目:鎌田が相手FWを倒しPK献上
5失点目:ビルドアップのチェックが甘く簡単にペナに侵入されDFミスから失点
とまぁこんな感じだと思う。

この5失点、許せない失点はみなさんはどれでしょうか。

ゲームの流れを考えると2失点目の岡山のオウンゴールが非常に痛かった。特にこのJ2での戦いは、リードを許したら徹底的にリアクションサッカーに変わる。まだ同点で後半に入れれば全然違う戦い方が出来てあの様な惨状になる事は無かっただろう。ただ、自分としては岡山を責める気は全くない。しっかりあのポジションに入っている事が大事だし、彼の仕事の90%は出来ている。あの角度からすると、もしかしたら照明とボールが重なったのかもしれない。

自分としては、1失点目・3失点目・5失点目が許せない。
直ぐに修正が出来るとは思えないが、修正しなければならないからこそ許せないと言いたい。

1失点目。
サイドチェンジのボールが起点だったが、グラウンダーのサイドチェンジでボールスピードも速くはなかった。ボールカットするか、サイドチェンジさせないポジショニングが必要だった。ポジションミスが無ければセンタリングが上がる事も無かった筈だ。ポジションミスが起こる原因はゲームへの集中が足りない事と捉えるしか無い。実は、同じ様な現象が前半のうちに2回程起きている。その時点では目に見えない小さな傷だったが、危険を感じなかったのかその後のケアが無かったため傷口がどんどん大きくなってしまった。ところが、後で石崎監督のコメントを見ると、ゲーム前に注意していたポイントだったようだ。それが実践出来ていないというのは大きな問題と考えなければならないだろう。プレッシングも大事だが、プレスを外された時に危険になるスペースもケアしていかなければ、相当厳しい事態に直面するだろう。

カウンターの3失点目。
攻撃に出なければいけない状況下である事は誰でも分かる。しかし、その都度カウンターで崩されている様ではゲームに勝つ事は疎かJ1復帰も厳しいと本気で考えなければいけない。
しかも、今回受けたカウンターだが、草津や徳島に受けたカウンターよりも形は酷いと考える。何故かというと、カウンターの起点となる位置が低いのに、守備に戻る選手が足りなく長い距離ボールを運ばれているからだ。攻撃に出なければいけないという意識のみで前に上がってしまい、守備の意識など微塵も無い様に見える。草津戦の後の投稿で、攻守のバランス・切り替えの早さのという2点の大事さを書いたが、チームは全くその意識がないようだ。
この失点時以外でも、攻撃時多くの選手が上がっていったが、その多くの選手が効果的な動きが無いのでボールに絡めない。結果、有効な攻め上がりとは言えず、カウンターのチャンスを相手に与えているだけになってしまった。縦のポジションチェンジを行ってバランスを失わないケースは全く無い訳では無かったが、少なかった。上がっていく事が悪いとは思わない。ただ下がる意識も消してはいけないし、人の動き自体がチームに有効なものにならなくてはオーバーラップの意味が無い。
後半に入ってからは、前線に人数は多いが、ゴール前に飛び込むでも無く前の選手を追い越すでも無い。相手にとって怖い動きが出来ない。結局、自分たちでスペースを埋めてしまい、スペースと視野の狭いサッカーになってしまった。

5失点目。
鎌田がペナ内で犯したミスからの失点だが、鎌田のミスについては周りのコーチング不足も含め反省すればいいと思う。
自分が指摘したいのはその前だ。一度岡山がプレーを切っているから直接失点に繋がっているのではない。しかし、相手のビルドアップにチェックにいく人間が殆どいない事を重く考えたい。あれではピッチ上に人形を置いてビルドアップ練習を行っているのと一緒だ。もうこの時点で、フィジカル的にも精神的にも守備の意識を盛り返す様なスタミナが無かったのだろう。


いろいろ書いたが、現状、柏の組織上の問題点は攻守のバランスの悪さがある。
攻撃時の攻撃組織の後ろというか、守備時のディフェンスラインの前というか(と書くとそのまま中盤ですね)、極めて大げさに言うと中盤というエリアが無くなってしまう事がある。それ程攻撃時には前に行ってしまい、守備時には下がってしまう事がある。ただ、バランスを崩して攻撃に出る事がサッカーの醍醐味でもあるので、結局攻守の「切り替えの早さ」が大事でゲームの出来不出来に繋がる。
その切り替えの早さが見られない。
このため攻撃時は鋭い攻めが見られず得点するのはリスタートばかり。
守備時には決定的なピンチを何度も迎え、高い確率で失点してしまう。

根本的な問題は運動量にあると考える。
どうやら、ここへきて主力を中心に疲労の蓄積という大きな課題を抱えたようだと感じている。顕著に感じるのが山根・リカルジーニョ・ディエゴのセンターラインの3人だ。ここ最近は、ゲーム開始当初は元気でも徐々に運動量が落ちていく傾向が目立つ。この3人のバランスが崩れる結果できてしまうスペースが上記したエリアだ。この危険なスペースはゲーム中常にケアしなければいけない極めて重要なスペースだと考える。
もし、この3人の運動量に問題があれば、サイドが絞って数的不利を回避するとか、ダブルボランチを基本戦術にするとか、守備ラインを上げて危険なスペース自体を消すとか方策を考えなければならない。これがチームでの連係プレーであり、組織戦術である筈だ。
もしこの連係が侭ならない様では、新たな選手を起用する事も視野に入れてもいいのでは無いだろうか。現在サテライトで甘んじている選手達は、あれだけトップチームが疲労で苦しんでいるのを目にしているのだし、いつでもゲームに出られる準備をしなければならない。

惨敗と言える鳥栖戦。監督・コーチ・選手たちは、「切り替えよう」では無く、「このゲームから何か変えなければならない」と思って欲しい。
でなければ負けた意味が無い。
これこそが大事で、トレーニングに対する意識も高まり大きくジャンプするパワーとなる筈だ。まずは、プレッシング主体からの脱皮が急ぎたい。これは草津戦後にも書いたが、省エネを目指すのでは無く、攻守ともに運動の質を変えていくべきだと考えている。
簡単に言えば、
・前への運動量と後ろへの運動量のバランス(攻守のバランス/切り替えの早さ)
・スペースに人が走り、スペースにボールが動く連携(スピード)
となる。

草津戦後にバージョンアップを図るべしと書いたが、むろん簡単ではない。
今回の相手は鳥栖だったが、今のバランスの悪さ・運動量の少なさ・運動の質の悪さでは、何処と対戦しても同じ様なシーンを何度も見る事になる筈だ。
この状態は一朝一夕では直らないだろうし、これからも相当厳しい戦いが続く事を覚悟するべきだろう。ただ、間違えなく言えるのは、この状態では第3クールで一気に順位を落とす可能性の方が高いと言う事だ。今いる首位はただの瞬間風速。リーグが終わらなければ意味を為さない。

チームの改革が、J1復帰レースに間に合うのかどうかは分からない。昔流行った「チーズはどこへ消えた」じゃないが、首位でいる今こそ前進のための破壊をするべきだと言いたい。夏場で厳しい事は承知だが、今こそ新しい事へチャレンジし、トレーニングに耐え、ゲームで耐え、チームの総力を上げて乗り切って欲しい。
これからどの様なチームに変わっていくか大きく期待したい。

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2006年08月08日

消せなかった苦手意識〜山形戦(第3クール)

今年のJ2リーグにおいて唯一連敗している山形に対し、3戦目にしてようやく勝利する事が出来た。
第3クールに入り、徳島・草津という想定外の相手に勝ち点を失っている以上、苦戦必至の相手から勝ち点を得なければならない状況にあるので、その意味では最高の結果を出したと言える。
しかし、山形に対する苦手意識を払拭出来たかと言うとそうとは言えない気がする。

このゲーム、マン・オブ・ザ・マッチを選ぶとしたら山形の樋口監督を選びたい。
監督とは、相手チームを研究し、様々なゲーム展開を想定し、ゲームプランを決め、このプランに伴うトレーニングを重ね準備する事が仕事だと考えるが、このゲームは結果を除いて樋口監督の想定通りに進んだゲームだったと思える。

山形側のゲームプランとはどの様なものだったかと言うとこうだ。
・夏場のサッカーで柏の様なプレースタイルでは後半必ず足が止まる。そうなれば簡単にボール支配が出来る。
・これに併せてスピードのある選手を入れて形勢逆転し、ゲームを決める。
・それまではひたすら我慢する。
具体的なアクションプランは、
・前半は引き気味に組織。特に最終ラインのバランスを崩さず柏の攻撃を受け止める。
・柏の最終ラインまでボールを追う様な無理なアタックはせず、中盤以降にボールが入る時にプレッシャーをかける。
・柏のサイドのケアは、平山・小林亮が縦に仕掛けて来た時は厳しく当たり深く入らせない。攻撃のスピードを落とせればOK。
・ボール奪取の場所が低かった場合には前線へロングボールを入れる。いい形で奪えたら前線へ楔を入れカウンターを意識する。
というものだと感じた。
結果、柏はボールは持てるがなかなか山形の守備組織が崩れない。打開するために中盤から前線が活発に動き回る。最終ラインは山形2トップへのポストプレーやロングボールへの対応を強いられる。
要は前半の戦いで山形が意識していた事は、柏のスタミナをいかに奪うかだったと思える。

柏から見れば、またしてもガッチリゴール前を固めてきた相手に対するケーススタディとなった。
この対策にトレーニングを多く積んでいるはずだと推察するが、成果としては「ミドルシュート」と組織の裏を狙う「スペースを狙う事」と見受けられた。
1トップだったところを鈴木達也を加えた2トップに変更し、相手組織のスペースを見つける事をより意識した事は最近のゲームで見られなかったが、印象としてはこれまでとあまり変わらない状況に思えた。
ミドルシュートに関してはリカルジーニョ・ディエゴが隙があれば必ず狙っていて、決まらなかったが山形には脅威だったと思う。特に前半の山形は引いて守る意識が強いせいかバイタルにスペースがあったので、決めるとしたら前半がチャンスだっただろう。

スペースは2トップが常に狙っている意識はあったし、スルーパスも2度程通りいい起点になるケースも見られた。しかし2トップの豊富な運動量に対して、その周りの連動性が足りなかった事は残念だった。
結果、攻めている割にはシュートに結びつくケースが少なかった。いかに手数を少なくシンプルにシュートに結びつけるかが課題で、まだまだ出し手と受け手の意思が合致しているとは言えない。ただこの連係はしつこく続けないと出来上がらないだろうし、これからも諦めずにトライし可及的速やかに連係を上げて欲しい。これが出来ず引いた相手にいつも同じ調子では厳しくなってくるだろう。

攻めているようで、なかなかシュートに結びつかない。これは結局、山形にボールを持たされていたと判断せざるを得ないのかなと感じる。山形から見ればほぼ思惑通りの前半だった筈だが、唯一樋口監督の想定外の事は先取点を奪われた事だろう。
柏に先取点を与えない事。これが柏の組織を崩していく前提条件でもあるのでかなり慌てた筈だ。
しかし後半早々の得点でまた山形のゲームプランに戻る。振り返ると、前半は攻撃に出る事の無かった30番が攻め上がり全くノーマークになった。ゆっくり時間を取り、狙いを定め、アウトにかけたクロスボールは糸を引いてFWの頭に収まり同点。
柏の守備組織が崩れている訳ではない。前半の山形の手応えから生まれた過信と油断であると言いたい。
樋口監督はあまりの想定通りの展開に相当手応えを感じたのでは無いだろうか。
(いいガッツポーズだったし)
そして、後は柏の足が止まるのを待つだけとなった。

しかし追加点は柏に入った。個人的には第3クールの5ゲーム中で最高のゴールだったと思う。
ポイントはクリアミスで出来たほんの僅かな時間。これが明暗を分けた。柏のギクシャクした連係では綺麗な形で決まる事は無かったと思うが、山形DFのクリアミスで出来た数秒がディエゴの視野と小林亮の攻め上がりの時間を作る。本来間に合わなかった攻め上がりだったが、勝負機会を逃さないフリーランニングが生んだファインゴールは大きく評価したい。また、このようなゴールをものにした柏は絶対に勝たなければならないとも思った。

その後、訪れた李忠成とディエゴに決定機のどちらかが決まっていればゲームは終わったと思うが叶わず、興味はいよいよ柏のスタミナがどこまで持つかに移った。

ここから残り時間は25分ほど。
再び追う立場になり焦る樋口監督は相次いで攻撃のカードを切る。選手の体力は明らかに山形に分があった。徐々に柏の足は止まり出し、山形の勢いは時間とともに大波へと変わる。柏のラインが下がり、すかさず30番の選手がミドルを狙う。本来いるべき山根はディフェンスラインに吸収されていた。南のファインセーブで助かったが、あのシュートが石川投入の切っ掛けになっただろう。そして大谷がバイタルエリアをケアするためにボランチに入るが、大谷もかなり消耗していてスペースを埋めるには有効とは言えなかった気がする。だが手持ちの駒での対処はあれで精一杯だっただろう。

攻める山形に守る柏。
残り10分を切ると、跳ね返す事が精一杯の柏ディフェンス陣。ラインはこれ以上無いぐらい下がった。柏の組織は、樋口監督の想像以上に崩壊したと思う。しかし柏の選手は小林亮のゴールを守る事だけに集中し、本当によく踏ん張った。あの勝ち越しゴールが無かったら、同点でこの終盤を迎えたらここまで踏ん張れたか分からない。これまで同様に山形の波に飲みこまれたかもしれない。最後は「山形に勝って見せる」という守備の集中力・気力が山形を上回ったと思いたい。

終わってみるとスゴい肩こり。
それほどゲームに引き込まれたのかもしれない。


勝ち点3は取ったが、反省点も多い。

ポイントは3つあるのだが、3つとも関連している気がする。
最大の点は後半に足が止まる事だ。運動の質を真剣に考えていかなければならないと思う。同じゲームを行い、山形は終盤でも鋭い動きを見せた。サッカーのスタイルが違う以上全ての解決は出来ないが、1つ興味深い事がある。
それはボール奪取の方法だ。
柏のスタイルは数的優位で囲い込む形であり、プレスする相手はボール保持者になる。山形のスタイルは縦パス・横パスに限らずインターセプトを狙っている。これは事前に相手チームのある選手からのパスの方向・受け手を研究し、そこからボールの受け手となる選手をマーク、ボールを受ける前にボールカットしカウンターに繋げる事を意識している。(ちなみに柏相手には山根・リカルジーニョが狙われていた気がしている)2つの大きな違いは、ボール奪取にかかる人数と運動量で、結論は山形の方が省エネと感じた。

2点目は、連動したパスワークが急務という事だ。
ただ闇雲に動くだけでは後半足が止まる要因になる。動く意味を知る事が重要だと考えている。引いている相手の組織を崩すにはこちらからスペースを作り出す動きが必要で、それにはスペースを見つけて走りそこにボールが出てくる事が必要だ。足下から足下のボール回しでは体力を使うだけでなんの解決にもならない。意図的に動いて空けたスペースには誰かがまた埋める。そのスペースにまた誰かが埋める。これが人とボールがよく動く連動性の高いサッカーだと思う。今はまだこの域にはほど遠い状態だが、その道程の途中のプレッシングだと考えている。体力的にはキツいのは承知。しかし何とかチャレンジし続けて欲しい。この意図的にスペースを作り出す連動性のあるサッカー。あまり書きたくないがジェフが典型だろう。

最後に、今回のゲームでベンチに守備的メンバーが1枚足りなかった事は反省すべきでは無いだろうか。
結果論なのかもしれないが、攻撃的なメンバーを3枚ベンチに置くいう事は、相手に先取点奪われ劣勢に陥る懸念の方が強いからだと感じる。終盤の山形を止めるには、中盤に運動量豊富な守備的メンバーを1枚入れる事で解決出来たと思えるし、最も簡単な手段だったはず。残り10分の段階で、「1点差リード・劣勢で守備の整備が必要」というケースが石崎監督の頭に無かったのなら仕方が無い。個人的には最も可能性の高いケースだった気と思うが。


山形のハードルは越えたが、高かった。。。終わって尚思う事は山形恐るべしという思いだ。攻撃的に来る相手程対策を立てやすい事は確かだし、併せて変に逃げずに真っ向勝負で術中に嵌った柏というのもある。
しかし忠実に戦術を遂行出来るチームが何故上位にいないのか???自分には理解に苦しむ。

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2006年08月01日

今こそバージョンアップの時〜草津戦(第3クール)

第3クールに入り神戸にいい形で勝利し、7月17日の投稿で「アウェイでも同じ戦い方が出来るかがポイント」と書いた。
選手も分かっていたと思うし、気合いは十分に感じられた。
だから尚更この草津戦のドローはズッシリと堪えただろう。(我々サポーターも同様だが)

草津は、戦前聞こえて来た様な「攻撃的な戦いで打ち合いを臨む」様な戦い方では全くなかった。相手の監督の文言を100%信じる事自体アホらしいが、あまりのブラフに笑ってしまう程の引き具合だった。しかし、戦前の植木監督のコメントまで含めて術中に嵌った形となったと言いたい。

柏は攻めた。キックオフから一気に草津ゴール前へ向かった。
しかしゴール機会を逸した様な決定機は李忠成のヘッドぐらいだっただろう。草津からすれば水際でゴールを止め続けるという最初のミッションを忠実に行い、カウンターの機会を伺っていたに過ぎない。先取点をなんとしても奪い、その後は貝の様に引きこもる。例が古いけど、ボクシングのモハメド・アリがジョージ・フォアマンに勝利した「キンシャサの戦い」の様だ。
終わってみれば、敵将に「狙い通りの戦いが出来た」と言われ、さらにリカルジーニョの同点ゴールについて、個人能力だけのものでチームとしては草津の勝利と言わんがの様なコメントをされる始末だ。
正直個人的に非常に屈辱的で悔しい。
だがそう言われても仕方が無いとも思うし、ある意味ほっぺた張られて感謝している自分もいる。今回の投稿は、草津戦での問題点やある選手のパフォーマンスを語るよりもこれからの課題について書いてみたい。というか、柏の戦い方の問題が浮き彫りになったと思え、それは個人の問題ではないと考えているからだ。

とにかく最近、アウェイゲームで勝てない状況が続いている。
シーズンが始まった第1クールは5勝1敗の戦績を上げ、結果失った勝ち点は18点中僅か2点。キッチリ勝ち点を稼げていた。
しかし第2クールに入り流れが変わってきている。第2クールのアウェイ6ゲームの内訳は2勝2分2敗。勝ち点にして10点を失った。これが大きく影響して、第2クールではクールごとの目標勝ち点25点に1点及ばなかった。第3クールに入りアウェイ2ゲームを消化し1分1敗、既に勝ち点5を失った。この第3クールで失っても良い勝ち点は、前クールの持ち越し1点を消化すると10点になる。1クール12ゲームの内4ゲームを消化し既に半分を使ってしまったのだ。この調子で進むと、第3クールは数字上も相当に厳しい戦いになる事が容易に想像される。

第1クールでアウェイゲームで勝ち点を取れていた原因は以下の様な事だろう思われる。
(1)柏レイソルの特徴を掴めていないので、対策が無かった
(2)相手はホームゲームなので、より攻撃的に向かって来た
要はそんなに守備的に来なかったため、柏サイドから見れば相手組織の隙を見出せ勝利出来たと思われる。しかし第3クールに入り、実際の対戦経験と対策を重ねた結果、相手チームはホームゲームでもしっかり引いてゲームに入ってくる様になった。

相手の狙いは極めて分かりやすい。
柏にボールを持たせ攻めさせる。(柏は相手が引いている事もあり、かなりボールを前に運べる)しかし、相手チームは柏が組織的に前掛かりになった結果起きる組織バランスの乱れを待っているのだ。柏はなかなか割れないゴールに痺れを切らし、よりボールに絡む人数が多くなる。その結果数的不利を生じるエリア(スペース)があらゆる場所に生まれ、ボールの取られ方が悪い際に一気にピンチに陥ってしまう。これはここ最近の失点が、守備の戻りが間に合わない形で為す術無くゴールを奪われる典型的なカウンターである事からも明らかだ。この柏に対する戦い方は柏ホームではより顕著になるだろう。

これは選手の入れ替えで対応できる事ではないと思う。
チーム全体での戦い方を見直さなければならず、バージョンアップの時を迎えたと思っている。ゲーム後の選手コメントで「相手が引いていて難しかった・・・」というものが多い。しかし、これからは何処と対戦しても柏に対して徹底的に引いて守り、組織バランスの乱れを待つ同じ戦い方で来る事を自覚しなければならない。その上でこれをどうするかを考えなければならない。

今柏が取り組むべき事はスピードアップと攻守のバランスを整える事だろう。
これは今までより守備的に戦うという事では無く、闇雲に攻撃に出て守備が疎かになる愚を犯してはならないという事だ。ポイントは、全体の組織を崩さずに攻め、切り替えを早くする事。判断のスピードを上げる事。そして絶対に先取点を奪う事。
前述した通り、失点のシーンで顕著な事は組織が破綻している事が挙げられる。この原因は攻撃に加わる人間が多く且つボールに寄り過ぎているという事から起きてしまっている。何故こうなってしまうかというと、シンプルで早い攻撃が出来ていないからだ。ただゲーム序盤は、相手は引いて守っている状態な訳でそもそも早い攻撃など出来ない場合が多い。ここでの課題は、組織を無理にこじ開ける様な窮屈なプレーをせずにワンタッチやダイレクトプレーを多く取り入れ、コンビネーションプレーを心がけたい所だ。ボールを貰ってから次の展開を考える様な事は論外。そのような癖のある選手・視野の狭い選手は、例え技術があってもメンバーから外さないといけないかもしれない。相手の考えるスピードを上回るボールと人の動きが必要だろう。
時間の経過とともに相手も攻めに出てくると思われる。そこで柏の組織的なバランスが取れているときは、逆に攻めさせる事もゴールを奪う切っ掛けになるだろう。要は相手の戦術の逆を取るのだ。

これまでの対戦でいわゆるサッカーの上手さで言えば柏の選手はJ2随一と思える。
なので相手に攻めさせてもカウンターの機会も多く作れるだろうし、結果ゲームをコントロールするのは柏の方に見えると思う。そして攻撃に関してはブラジル人トリオや鈴木のスピード・谷澤のドリブル・李忠成の決定力・北嶋のポストプレーなど様々な武器も持っている。その長所を最大限生かす様な早いビルドアップと早いシュートを目指したい。これこそ攻守のバランスに繋がり、相手も対処の術が無くなり、J2を脱するレベルに近づく筈だ。
結果J2首位が揺るぎないものとなる。

この様にもう一つ脱皮する事は困難だし難しい作業だと思われる。
ただ、今のままでリーグ戦を続けていきチームとしてのバージョンアップが出来ないと、芳しくない結果が待っているのではないかと思っている。また仮にJ1に上がっても今のままのサッカーでは安定した成績は期待出来ないのではないかとも思う。
キーワードはバランスとスピード。
厳しいトレーニングとゲームが続くだろうがチャレンジして欲しい。

最後にまた勝ち点の話。
石崎監督の設定した目標値を達成するとなると、第3クールで失っていい勝ち点は残8ゲームで後5点。
だがこの数字以上に状況は厳しい。というのも、5点を失った相手はこれまで2連勝して来た相手だ。石崎監督からすれば、第3クール前の机上の計算で勝ち点の計算をしていた相手だろう。なので、分が悪い相手から勝利していく事で埋め合わせしなければならず、これからの戦いがよりハードルが高くなってしまった事になる。

という事で、次節の山形戦。2連敗している唯一のチームであり非常に重要なゲームとなった。選手はこのような状況をミーティングで叱咤され悲壮感を漂わせながらゲームに臨むかもしれない。しかし今シーズンここぞという時に結果を出して来た事が特徴のチームだ。さらにホームで戦える事は大きな利点だろう。何度となく書いている気がするが、この山形戦こそ昇格を占う重要なゲームかもしれない。
我々サポーターは山形の選手を飲み込む様な大声援で選手の背中を押していこう!!

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2006年07月27日

地獄?の夏始まる〜徳島戦(第3クール)

前回の投稿で北嶋がチーム内のFW争いで李忠成に負けたと書いたけど、膝の怪我による欠場だった。怪我から復帰してすぐにまた怪我で戦線離脱という事で、本人・チーム・サポ全てがショックだね。全治1か月という事は、リハビリ含め早くても8月中旬以降の復帰になるだろう。この時期は第3クール終盤にあたる。J1への昇格争いはかなり加熱してきていると思われる。チームの調子・成績がどうなっているか分からないけど、昇格レースの中心である事は変わらないだろう。調子が良ければさらにチームを牽引する存在として、悪ければ救世主としての活躍を期待したいところだ。
いずれにしても前回の記事で書いた様に、必ず力が必要になるだろうから焦らず完治に専念してほしい。


それにしても昨日はアツい1日だった。
アツいの意味は「熱い」では無く「暑い」。
梅雨時期とはいえ、雨が降らない日は過ごしやすい日が多かっただけに昨日の暑さは体にこたえる。都内はアスファルトの照り返しといわゆるヒートアイランド現象、さらにまだ暑さに慣れていない体も相まって溶けてしまいそうに暑い。
本格的な夏の到来を予感させる1日だった。

この暑さの所為か、日立台が全体的に集中が足りない気がした。
これは選手だけでなくサポーター・スタジアムDJ・運営スタッフまで全て。
ナイトゲームなので日中の様な酷暑では無い。しかし仕事帰りのサラリーマンがビール片手に観戦する様は、まるで古き良き時代のプロ野球ナイターの様なホンワカとした印象だ。陽が落ちていくらか過ごしやすくなった日立台に聖地らしからぬ牧歌的な雰囲気を感じた。これではサッカーの激しいゲームに合わなすぎるし、チームに伝染しないだろうかと少々心配していた。

伝染したかどうかは別として、集中を欠いた柏レイソルを見る事になってしまった。
選手達は頭では立ち上がりの大事さを分かっていたと思うが、昼間の暑さの影響と思われる体の怠さで「思考」と「体」が合っていなかった気がする。これも夏場のシーズンの難しさかもしれない。ただ、相手チームの徳島はいい集中でゲームに入って来た。だから石崎監督も言っている様に敵は自分たちの中にあるのだろうね。いかに集中してトレーニング出来るか、ゲームに入れるか、サポーターはいかにいい雰囲気を作れるかを突き詰めていきたいところだ。


という訳で徳島との1戦だが、良い点悪い点含めトピックスの多いゲームだった。

悪い点について。
上にも記したがとにかく気になったのは前半の出来だ。
ディエゴ・リカルジーニョにマンマークに付かれて柏は攻撃のスピードが上がらない。そうなると攻撃のキーマンは谷澤になるが、神戸戦の様な縦に鋭い動きが見られない。前半の失点前の段階で「もしかしたらこのゲーム落とすかもしれない」と思っていた。

そして徳島が狙っていたカウンターが鋭く決まる。
縦へのスピード・11番の選手の動き・クロスの精度全てが見事だった徳島に対し、柏は切り替えが遅い上に最初の守備が甘すぎた。これでは余程の事が無い限り失点を免れる術は無かっただろう。徳島の集中力と整備された守備が良かった見方もあるが、相手はJ2最下位に低迷するチーム。最下位で低迷している相手でも、しっかりとした集中力とコンディションで臨まないと痛い目に合うという事だ。

もう1点気になったのが、山根のパフォーマンスだ。
今シーズン最低の出来と言っていい。
パスや守備のミスというよりかは判断のミス。これが90分通して直らなかった。判断ミスが次のプレーの思考に影響してさらにミスを重ねてしまったと考える。何回か彼のミスジャッジからボールを奪われ危険なシーンがあった。徳島が前に人数をかけてこないので失点には至らなかったが、攻撃的なチームや上位相手ではどうなっていたか分からないと思っている。初めてあのような山根を見たし、最も暑さにやられたのは山根だったのかもしれない。しかし、3列目の守備、特に危機察知能力は簡単には真似出来ないもので、山根の存在は絶大。山根の代わりは山根しかいないと言っても過言ではない。昨日の出来をしっかりと反省し、2日後の草津戦ではまたいつもの山根を見たいものだ。

余談だけど山根の不出来、VTRを見返すとそんなに目立たなかった。
そんなところからも、やっぱりサッカーはライブで観るに限ると実感した次第。


そして良かった点。
もちろんゲームのヒーローはディエゴだったとは思うけど、裏の立役者としてディエゴ以外に2人挙げたい。

1人目は鎌田次郎。
出場は6ゲーム目。大分プロのスピードにも慣れて来たのか、状況判断と落ち着いたプレーが素晴らしかった。後半3バックにしてからは、岡山・小林祐三を従えてセンターに入り最終ラインを統率するあたり石崎監督の信頼も絶大なのだろう。1回危険な場所でジョルジーニョに股抜きを試んで奪われた事は頂けないが、そのシーン以外は非常に良かったと思う。
永田のふてぶてしさも頼もしかったが、鎌田の落ち着いたプレーぶりも頼もしい。
J1クラスのFW陣にどの程度出来るのか、または洪明甫の後継として成長してくれるのでは無いかなど彼については興味は尽きない。
ただ、如何せんまだ大学生な訳で妄想しても仕方が無い。他のクラブに持っていかれない様にする下平スカウトの責任は重大だ。(ゲーム中流通経済大学のコーチに密着マークしてたが・・・)

そして、鈴木達也だ。
5月早々に戦線離脱して以来、復帰までに約2ヶ月半を要した。
彼が離脱した頃の柏は怪我人続出で満身創痍の状態だった。しかし、鈴木達也の離脱はほかの怪我人とは違いチームの屋台骨を崩す影響があると思っていた。この件については5月12日の投稿でも記しているが、当時の表現を借りると柏レイソルのプレッシングサッカーを料理で表現する場合、鈴木達也の存在はダシにあたる。要は、いい食材(選手)を揃えていてもダシが悪いと美味い料理(プレッシングサッカー)は出来ないのだ。
その彼が後半から起用され、彼の前線からの運動量によりチームは躍動した。
鈴木達也の存在は正に後半の柏の牽引力であり、エンジンであり、料理のダシだったと言いたい。プレッシング・ボールを引き出す動き・スペースへの走り込み・スピードなど彼の特徴は健在。久しぶりのゲームで本人もサッカーに飢えていたのだろう、獲物を追い回すピューマの様に走り回る。たった2ヶ月半の不在だったが、彼のサッカーはとても懐かしく感じられた。
そしてしっかりと仕事をしてみせる。
1点目の相手DFのパスミスは彼のプレッシングから誘発したものだったし、2点目のセットプレーを奪ったプレーも空いた中盤まで戻って守備した上にボール奪取、絶妙なボールの運びとドリブルが生きた結果だ。
得点以外にも、後半のチャンスの殆どは彼の動きによって導きだしている。何よりも怪我明けで長期のブランクがあるのに、あれだけのパフォーマンスを発揮出来る事が素晴らしい。これからゲーム感を取り戻して来たらより高いパフォーマンスが発揮出来るのではないか、はたまたオシムに抜擢されていきなり代表デビュー?なんて思わず変に期待してしまう。
最も今年はリーグに専念して欲しいけどね。

鈴木達也について興味があるのでもう少し詳しく調べてみたい。
出場ゲーム・・・12ゲーム、9勝1分2敗、21得点/8失点
欠場ゲーム・・・15ゲーム、8勝3分4敗、24得点/19失点
やはり数字上もしっかりと残っている。
得点力については、彼自身今シーズンは無得点だし出欠による影響は僅かだが、なんと言っても特筆すべきは失点率の低さだろう。いかに前線からプレッシングする事がチームの守備に影響するかが分かる。また、闇雲に動き回るのではなくプレッシング自体が上手いという事も言えるだろう。
この結果、勝率で2割強アップ、敗戦率で1割ダウンという数字が残り、彼の存在が直接チーム成績に大きく影響している事が分かる。
後はそろそろゴールが見たいところ。昨年の天皇杯G大阪戦のゴールは今でも目に焼きついている。
ゴールをコンスタントに取れる様になったら本当に代表への道も開けるだろう。相手チームには、思う様なサッカーをさせてくれない最も厄介な存在が帰って来た訳で柏対策は大変なはずだ。まぁそんな事に構わず、これからの戦いも柏をしっかりと牽引し、いいダシになって欲しい。


上記2人以外にも大谷の縦への突破や小林亮のサイドアタックなど見所があった。
個人的には、小林亮が後半ボールデッド寸前でコーナーキックにしたプレーが大好きだ。ああいうボールへの執着心・ひたむきなプレーがチームを奮い立たせるもの。小林亮はミドルシュートも魅力だが、今持っているひたむきさをいつまでも忘れないプレーを期待したい。

最後に昨日も冴えた石崎采配は見事だ。
後半ある程度チームが上向くだろうとは思ったが、ドローに持ち込むのが精一杯かもしれないと思っていた。
それをあそこまで生き返らせる事が出来るとは。。。
感服しました。。。

revivereysol at 16:51|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2006年07月17日

日立台のチカラ〜神戸戦(第3クール)

神戸とはこれまでの2回の対戦で優位な戦いが出来なかった。
しかし昨日の1戦は、相手が昇格ライバルである神戸とのゲームという意味合いに加え、第3クールを占う極めて重要なゲームだった。
それは神戸にとっても全く同じ状況にある訳で、相当なモチベーションで乗り込んで来たと思われる。
意地と意地のぶつかり合い。。。サポーターからも気合い密度の高い前のめりな高揚感が感じられる。
熱い雰囲気が売りの日立台だが、いつもの日立台とはまた違った熱気が充満していた。

柏は前節、札幌に対し創造性を全く感じられない攻撃に終始した上に、決定的な守備技術の拙さから2失点し敗戦していた。
この結果を踏まえ、石崎監督から神戸戦ではシステム・先発メンバーに手を加えるコメントが発せられていた。どのような布陣・システムで挑むのか注目していたが、先発からは北嶋・落合が外れ谷澤・鎌田を起用、システムは4−2−3−1でスタートした。
北嶋のメンバー落ちは、攻撃面でのテコ入れよりはダブルボランチを採用するために弾き出されたと見るが、石崎監督はフォワードのファーストチョイスで初めて李忠成を選択、本人は相当気合いが入っているだろうと思われた。
落合は軽率な飛び込みで発生してしまう決定機を嫌ってのものだろう。思い返せば、前々節の横浜FC戦でも失点には繋がらなかったがアウグスト相手に安易に飛び込んでGKとの1対1の場面を作られていた。
メンバー落ちした両名はこれから石崎監督の信頼を取り戻すにはかなりの努力が必要だと思うが、長いシーズン中2人の力が必要な時が必ず来ると思うので、腐らずに日々のトレーニングに励んでほしい。

一方、神戸の先発メンバーからはパクカンジョが怪我のため外れた。彼は第2クールでも小林祐三のディフェンスを振り切って得点を決められている。柏としては大きな不安要素だったので彼の欠場は大きかった。

力の拮抗したチーム同士、J1昇格ライバル同士の1戦は激しい戦いになる事は必至だ。勝敗を分けるポイントは最後はやはり「気持ち」の部分なんだろう。この1戦にかける気持ちは柏・神戸ともに強く感じられた。
しかし、ゲームは柏が圧倒した。
柏が「気持ち」で勝った原因は後に触れたいと思うが、特にゲームの入り方が柏は非常に良かったと思う。それは最初の1プレー。李忠成のポストプレーが成功し谷澤の強烈なシュートにつながる。あのプレーでチーム・サポーターともに自信に繋がり、完全に精神面とプレー面が合致、ゲームのスイッチが入った気がする。

「気持ち」の話の前に特筆したいのが4−2−3−1へのシステム変更だ。
札幌戦での大きな反省点として、サイドの守備の甘さがあった。サイドのスペースを狙われた際に数的優位が作れずにバランスを崩した事が何度かあり、昨日の神戸も柏攻略のポイントとしてそこを徹底的に狙って来た。しかし、4バック・ダブルボランチ・サイドMFのバランスが非常に優れ、数的不利に陥る事が無く、4バックのラインも高く維持出来たので、神戸にほとんど起点作らせなかった。神戸戦に向けたスカウティングと準備が高いレベルで成功した結果だと感じている。

守備が機能した事で、その効果は攻撃面にも大きく反映した。
システマチックな成功では2列目の3名が自由に動き回れた事が見事だった。リカルジーニョ・ディエゴ・谷澤は神戸のバイタルエリアを蹂躙、持つ技術をふんだんに見せてくれた。しかし、攻撃の戦術面ではもっと熟成が必要だろう。それは前半の得点がセットプレーからのものであった事が象徴している。1得点目は相手のフリーキックが相手の壁にあたってコースが変わるラッキーな面もあった。

ただ、個人個人が与えられたタスクを必死にこなす姿勢は非常に好感が持てた。
まず李忠成が献身的なプレッシングと堅実なポストプレーを披露し、DFラインの裏を常に狙う。その動きは第1クールの札幌戦の様なひたむきさを感じた。
谷澤も我武者らな姿勢で相手DFに襲いかかるハングリーさを見せてくれ、神戸には大きな脅威になっていただろう。
岡山が作る決定機も相変わらず柏の武器だった。個人的には、後方から駆け上がりフリーになった岡山のヘディングが決まって欲しかった。セットプレーではあるが、神戸の隙を突いた戦術眼と移動距離が素晴らしかったと思う。

ゲームの流れの中でチーム全体の連動性からチャンスを必然的に作り出すには、さらに大きな人とボールの動きが必要だろう。しかし、昨日のゲームの様なサッカーに対する真摯な姿勢があれば、よりチームとして成長する日も近いのではないかと思う。岡山の決定機の様な、ポジションを超えて動き回る躍動感のあるサッカーは見ていて楽しいものだ。
これからの熟成に期待したい。

最後に「気持ち」の話。
局面での勝負に勝てた大きな要因、それはサポーター大声援によるところが大きい。もしかしたらこれが一番大きかったかもしれない。サポーターの声が、選手の1歩目を速くさせ、最後の1歩を踏み出す原動力になった。結果、遅れてアプローチする神戸はプレーすればするほど反則に繋がっていった。神戸は別にラフなプレースタイルなのでは無い。柏の出足の良さがそうさせていたと感じている。


大きな1戦をものにした柏だが、問題はこれからの戦いだ。
神戸との1戦は終わってしまえば48ゲーム中の1ゲームに過ぎない。
下位チーム相手にしっかりと力を出す事が極めて重要だし、アウェイでも同じ力を出す事が重要だ。
まずは10日後の徳島戦、ホームゲームではあるが試金石だろう。

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2006年07月13日

当たり前だがまだまだ未熟〜札幌戦(第3クール)

中3日のアウェイで運動量に問題があったとは思えない。このゲームの重要性も理解し、モチベーションも高い様に感じられた。しかし、全く調子が上がらないままに終わってしまったという印象。非常に厳しくショッキングな敗戦だ。何がショッキングかと言うと、守備の面で個人技術の未熟さが露呈してしまった事と、攻撃の面で為す術無く沈んでしまった事だ。この2点は簡単には解決できないだろうし、それまでのチーム力である事を改めて認めざるを得ないと思っている。

札幌は首位柏に対し並々ならぬ闘志を持ってぶつかってきた。正直尊敬に値する戦いぶりだったと思っている。札幌としては、首位相手に引き分け以下では昇格争いから大きく脱落する事になるし、何が何でも勝ち点3を取りに来る。これは戦前から予想していた事だと思う。札幌が自然に前掛かり気味で来る筈で、これにより柏にもチャンスが訪れるだろうと思っていた。とにかく、このゲームは先制点をどちらが奪うかがポイント。柏が先制点を奪えば札幌の置かれている状況を鑑みればチーム崩壊の可能性もあり得るし、逆に先制点を奪われてしまうとガッチリゴール前を固めてしまい、得点を取ることは極めて厳しくなる。

そんな背景もあり、個人的には両チーム相当に厳しい激戦になると思っていた。
しかし前半7分、柏はあまりに呆気なく失点してしまった。楔を受けたフッキに対処した岡山、フワフワに軽く甘い守備で簡単に振り切られてしまった。形としては第1クールの失点とほぼ同じ形と言っていいだろう。
この失点は全く予想できなかった。このゲームは第2クールまでには無いデリケートな1戦で、両チームとも集中していると思っていたし、第1クールでの経験からフッキに対しては周到な準備をしていると思っていたからだ。札幌の攻撃はとにもかくにもフッキ中心である事は明白。その重要な選手にバイタルエリアで簡単に前を向かせてしまった事は何故なのだろうか。フッキに対するチェックの甘さがあり、守備のフォローも無い。要は1対1で負けてしまうと決定機を止めるしか無いような対策にしか見えなかった。あの場面、カードを貰っても止めなければいけないシーンだったと思うし、少なくともスピードを遅らせるフォローの守備も必要だった。その意味では立ち上がりの集中を欠いていたかフッキ対策が万全でなかったと言わざるを得ない。

その後、40分にまたしてもフッキの突破からPKを取られ失点する。落合が簡単に飛び込んでしまった事が原因だが、落合はこのプレーの前にも柏の右サイドでタックルをかわされている。3バックのストッパーという認識があるのかどうか疑わしい軽率な飛び込みであると思う。前節横浜FC相手には、冴えた読みによるパスカットは評価している。しかし、カウンターに対する守備で迂闊に飛び込む様では、これからのプレッシャーを感じるゲームでは任せにくいのでは無いだろうか。PKを取られた守備でもペナルティエリアである認識がどれほどあったのだろうか。あれではまるでボランチの守備アタックにしか見えない。ペナルティエリア内では、飛び込まず敵に付いていき、パスやシュートのコースを消す事を最初に考えるべきだと考える。

とにかくこの重要な1戦で喫した2失点はその稚拙な守備が大きな原因であると思っている。札幌の攻撃に対する準備も全く不足していたと感じる。フッキに対しては常に数的優位を作り出せる様にすべきだった。要は常にマンマークで誰かを張り付かせ、局面ではもう1人がフォローに入ってほしかった。これだけでフッキの勢いは半減する筈なのに。それと、落合の守備ではこれからも何度も決定的な場面を作られると思うので、本人が考え直すか近藤の復帰が必要だと考える。

攻撃に関して。
まずは小林亮のミドルは素直に褒めたい。カウンターの形ではあったが素晴らしいシュートだった。これで小林亮のミドルは3点目になったと思うが、やはりいいミドルを持っているのでこれからもどんどん狙ってほしいところだ。

同点までは良かったが問題は以降の戦い方にあるだろう。
札幌にとっては小林の同点弾は精神的に応えたと思う。付け入るチャンスは同点以降にあったと思うのだが、ここからペースがあまり上がらなかった。明らかに同点以降は決勝点を狙う札幌の勢いに圧されてしまい、受けて立つような姿勢になってしまった。横浜FCとの1戦では上手く逆転に成功したが、あのゲームも小林祐三の守備があったからの様なものだった。守備の個人技はある程度計算ができるものだが、札幌とのゲームでは落合の守備の拙さが重要な場面で出てしまった。札幌は2度目の勝ち越しで今まで以上に引いてしまい、さらにフッキの退場で全くサッカーが噛み合なくなってしまった。フッキが退場しなかったらなんて事は考えても仕方が無いのだが、柏にとっては相手選手の退場は歓迎できる事態では無かったと感じている。

フッキの退場でガッチリゴール前を固めてきて以降は、柏の攻撃バリエーションの少なさが目立った。
相手が攻めて来ないのでボールを持っても組織の裏を突く事が全くできない。これは攻撃イメージの少なさと運動量の少なさが問題だろう。というか、相手の組織を崩すイメージの共有が出来ないので人が動かずボールのスピードも上がらないという表現が正しいと思う。
簡単に言えばサッカーの遊び心が足りないという事だ。
これは柏に限らず日本サッカーの永遠のテーマとも言える。
現状を打開するためには、自分のポジションに留まらずにどんどん動き続ける事が必要だったと言いたい。相手の予想を裏切る様な動きが無いといくら人数で勝っていても得点を取る事は厳しい。その辺りの打開策としてドゥンビアを投入したと思うが、まだまだ経験が不足しているからか全く機能しなかったと思う。谷澤がいれば彼の個人技が機能したかもしれないが、ベンチにも入れないようではそのような事を考えても仕方が無い話だ。

打開策が殆どない状況だったので、残り10分を切ってからパワープレーをするのではなく、同点になるまで何十分もしつこくパワープレーした方が効果的だったかもしれない。ただ、チーム強化を考えればそのような攻撃は全く意味がないだろうし、石崎監督もやりたくないだろう。個人的にもそんなサッカーは見たくもないしね。

兎に角、まだここまでのチーム力なのだと言う事がハッキリした訳だ。

後半戦は毎試合がJ1復帰につながる重要なゲームだと認識しなければならないだろう。厳しい戦いが続くが、キックオフの瞬間から集中が切れない様にしなければならない。先制されたゲームを2ゲーム消化した訳だが、横浜FC戦の様に逆転出来る力はまだ無いと思わなければならない。なので、先制点を絶対与えない強い気持ちが必要だ。

日曜日の神戸も昇格レースに追いついて来ただけに相当なモチベーションで来るだろう。この神戸に負けるようだと、チーム状態の悪化も然ることながら昇格ライバルを勢いづかす事にもつながる。札幌戦での経験を踏まえ、神戸をキッチリと叩かなければならない。


PS.前半終了間際?のセットプレーだったと思うが、岡山が引きずり倒されたプレーはPKじゃ無いんだろうか。。。(言うだけ虚しいが)

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2006年07月09日

よく走れました〜横浜FC戦(第2クール)

ここ数試合は不甲斐無い内容のサッカーが続いていたが、ようやく柏のサッカーを思い出した様に見えた。
北嶋・李忠成の2トップが必死にボールを追いかけ、それに引っ張られる様に中盤以下もプレスを効果的に掛ける事が出来た。試合結果以前にこのプレッシングが復活した事を評価したい。

それでも前半は、プレスは掛かるが守から攻への切り替え時にコンビネーションミスが続出し、非常にフラストレーションが溜まるものだった。早々に失点した事もあり、ゲームプランが崩れてしまった焦りが感じられた。ゲーム後、選手は「焦りは無かった」というコメントを出してはいるが、ここ数試合のイメージから焦らないはずが無い。パスやポジションのミスから相手に危ない形を3回ほど作られてしまったが、ここで失点しなかった事が本当に大きかったしDF陣はよく踏ん張ったと言いたい。選手も焦りはあっただろうが、プレスもよく効いている事は肌身で感じただろうし、横浜FCに攻め込まれた形も自分たちのミスからのモノで、意図的に崩された形は殆ど無かったと感じていたと思う。

しかし、自分たちのミスによってゲームを壊すことはサッカーではよく起きる。
後半に向けてはいかに選手の焦りを取り去る事が出来るかがポイントと思われた。

ハーフタイムを終えた選手たちの動きは、いい緊張感の中リラックス出来た様に見え、前半のようなミスがほぼ無くなった。前半には前線にボールが入る前にミスが出ていたが、前線にボールが渡りリズムがつかめると徐々にいい形が出始める。
柏の右サイドを起点にした1点目は、多くの選手がコンビネーションに絡んだナイスゴールで、完全に相手を翻弄した形だ。よほどの守備のプロフェッショナルがいないと止められないだろう。(止めるポイントは何回もあったが)
2点目はやはり北嶋のスルーが秀逸だ。なかなかあのような華麗な形は見る事が出来ないので、あの得点だけでも興行の価値があると思う。そして決定機を決めた李忠成。すばらしい決定力だったが、GKと1対1になったシーンをモノにしてハットトリックを決めて欲しかった。2ゴールを決めて厳しいかもしれないが、これから不動のエースFW候補である事もあり手放しに喜べない。後、前節が非常に内容が悪かったのでコンスタントにいいパフォーマンスを発揮出来る様、より一層の成長を期待したい。

それと、小林祐三に触れない訳にはいかない。
祐三はとかく無闇に手を使う事が気になっていた。これが原因で徳島戦は痛すぎる敗戦も喫してしまった。あの後かなりしぼられたと推察する。このゲームでの祐三は、手をうまく使って相手を押さえるようなシーンは全く無く、持ち前のスピードでボールを絡め取る事に成功していた。まだ20歳なので彼のサッカー人生はこれからだろうが、大きな自信となった事だろうし彼にとっては非常に大きなゲームだった様に感じている。

そして相手チーム・横浜FCだが、戦い方は第1クールと全くといっていいほど変わっていなかった。横浜FCの戦術は相手のプレスが掛かる前に一旦前方にロングボールを入れてしまい、このボールを前線が競る僅かな時間にセカンドボールを拾うポジションに2列目以降が入ってくるというものだ。中盤はほとんど作らずに、こぼれ球をいかに拾うか。。。これにかかっている。しかしこの戦術は相手が攻撃に出てDFライン前にスペースが出来てこそ機能する戦術。J2下位相手にはあまり機能しないだろう。

柏はこの対策として3バックを採用、城・カズの2トップにマンマークを敷いてこぼれ球対策にダブルボランチで対処した。横浜FCのアウグストの突破には手を焼いたが、チーム戦術は看破したものと考えている。それと横浜FCの違った1面を見たのが、リードされてからの戦い方で精神的な脆さが見えたところだ。自分たちの形が崩れると外国人を中心に我が出てきて機能しなくなり自滅するチームに見えた。これから後半戦は、昇格へ向けた本当の戦いが始まるし相手もかなり研究してくる中、ほかに有効な戦い方を見出さないと横浜FCは辛くなってくるだろう。

ただ柏レイソルにとっては、横浜FCが健闘している事は歓迎したい。
その理由は、横浜FCの貢献により本当の敵が上位に顔を出せずに苦戦している事だ。第3クール以降横浜FCは下降傾向になると思っているが、予想に反して健闘を期待したい。もちろん、フリューゲルスの顛末は日本サッカー界の汚点だし、それを抱えて努力している横浜FCと一緒に昇格出来れば素晴らしい事だと思っている。


さてさて。。。
そういえば月1の3連戦ウィークなんだね。
しかも、横浜FC→札幌→神戸かい!
アウェイ札幌戦は厳しいかもしれないが、来週土曜の神戸にはそろそろ勝ってほしいところだ。
個人的には昇格ライバルの本命だと思うんで。

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2006年07月04日

何をしに山形へ行ったのか?〜山形戦(第2クール)

ブログのタイトルとしては手厳しいかもしれない。
しかし自分にはこのゲームに対する憤りを表現するにはまだまだ生易しい表現だと思っている。

本格的な夏を目前にしており、暑さが柏のサッカーにどのような影響を及ぼすのかは分からない。全く運動量が上がらずいいところ無く敗戦を重ねる可能性も十分に考えられる。だから、まだ暑さの計算が出来る今のうちに勝ち点を積み上げておきたい、、、というのが今の柏だと思う。
しかし、第2クールを残すところ後2ゲームとなって迎えた前節は勝利を目前にしたロスタイムにゴールを許し、痛すぎる引き分けを喫した。
迎えたアウェイ山形戦。このゲームを落とす事は有り得ない状況だった。

このゲーム前、敗戦した前回対戦後に自分が書いた記事を読み返してみた。
その記事を要約すると、
(1)先取点を取られてバランスを崩す自滅型のゲーム
(2)平山の復帰・瀬戸の右サイドバック・宇野沢の起用による連係不足
(3)パスミス・ポジションミスが多く形にならない
などを指摘してイマジネーション皆無の低パフォーマンスと書いてあった。
山形に関しては、ゴール前をしっかりと固める守備重視の戦術でカウンターを狙っていて、攻め上がり時にパスミスが殆ど無いとある。

この対戦から2ヶ月半が経過しているが、この印象が良化した要素は全く無いと言っていいのではないか。
唯一違った部分は山形の戦い方、前回対戦時よりもより前でプレッシングを掛けてきていた。

柏は山形のプレッシングに苦しみ、第2クールでもパスミスが非常に目立つ。逆に柏からのプレッシングの厳しさは殆ど見る事が出来なかった。プレスを掛けなかった訳では無く、掛からなかったと言える。それは、山形の運動量・ポジショニング・ビルドアップ時のオートマチック的な連動性が柏のプレスを難なく交わす事に成功したと考えている。
要は、日頃からのトレーニングに加え、このゲームに向けた山形の対策が奏功したのだろう。

柏としては、問題点がはっきりと見えたゲームではないか。
ミドルシュートを3本も決められた守備ブロックの甘さはもちろん修正しなければならない。カウンターにつながる目を覆いたくなるフィードミスもあった。3列目の守備が破綻した時にズルズルとラインを下げてしまった事も問題だ。
これはプレスの質・運動量が悪い事が原因だろう。
今年の柏のサッカーのベースはプレッシングである筈だったが、最近のゲームでは基本の運動量が上がってこない事が気になる。日頃のトレーニングが上手くいっているのか疑ってしまいたくなる大きな問題だ。あまり深読みしても仕方が無いのだが、けが人が続出した経験から意図的に通常のトレーニングの負荷を下げているだろうか。夏を乗り切るには、夏前にどれだけフィジカルを強くできるかが勝負だと思うし、もし現状普通に運動量で負けているのであれば、これからの2ヶ月でこなす10ゲームは相当厳しい結果を覚悟しないといけないのかもしれない。
しかし、自分はフィジカル的に負けているとは考えていない。
ゲームのバランスを崩してしまうことが起因して状況判断が鈍り、寄せの1歩目を遅くしている原因だと思っている。

ゲームのバランスを崩す大きな原因、それはビルドアップでは無いだろうか。
山形戦で目立ったビルドアップの問題点を挙げてみたい。
(1)足下から足下へのパスばかり
(2)パスの受け手は止まってボールを受けている事が多い
(3)パスを受けてから次の展開を考えるスピード感の無さ
(4)ディエゴが常にビルドアップの中心
これでは相手にボールを奪う機会を与えすぎているし、例え山形でなくても簡単に中盤を支配されてしまう筈だ。柏にはスペースを見つけて走り込んだり、スペースを作るための動きが全く見られなかった。この事が悲しい。もちろん、守備に入った山形の組織が強固で穴が無かった事も分かる。でもこれは第2クールに入ってから持ち続けている課題でもある。これを突破できないとJ2を勝ち抜く事は厳しいだろう。これからも相手の守備はがっちりゴール前を固めてくる事は承知の話。ならばより鋭く精度の高いビルドアップを磨かなければならないし、全選手が目まぐるしく動くポジションチェンジによって力技でスペースを作る動きもトレーニングしなければならないと思う。

それと指摘したいのが、ビルドアップ時にディエゴを外したらどうだろうか。
現状ビルドアップの早い段階でディエゴが絡むため、相手からすればディエゴから直接ボール奪取出来なくても、ディエゴから前へのパスコースを消せば攻撃のスピードを落とせるし、その後フォローに入る日本人プレイヤーを意図的に狙ったり出来るため、ディエゴの存在が柏にとっては大きな問題になっている気がする。ディエゴ抜きで日本人のみのコンビネーション、ワンタッチからツータッチで一気にゴール前にボールを運ぶ。もちろんゴール前ではディエゴの決定的な仕事は期待したいし必要だ。トレーニング次第では急激にチーム力が上がる筈だ。再三ディエゴ中心の脆さは指摘してきたが、いずれにしてもディエゴ頼りのサッカーでは立ち行かなくなる時が来たと思った方がいい。

山形と対戦するといつも多くを学ぶ機会になっている気がする。
開幕前のトレーニングゲームでは惨敗し、気持ちを引き締めてシーズンに入れた。第1クールの敗戦後、サテライトメンバーで臨んだ札幌戦だったがボロボロになっても勝ち点をもぎ取る精神力を見せてくれた。
いずれもチーム上昇のきっかけになっている。今回の敗戦もこれからの戦いへのいいきっかけにして欲しいところだ。
そんなタイミングで次節、横浜FCとの首位攻防戦だ。
第2クールの勝ち点目標には届かないが、横浜FCには何としても勝ち点3を取らなければならない。
内容の面でも圧勝を期待したい。

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2006年06月25日

代表戦より悔しい引き分け〜水戸戦(第2クール)

さ〜て、今年4回目の引き分け。
ロスタイムにボールを支配できずにセットプレーからこぼれ球を食らった。
心には悔恨という大きな石がズッシリ。非常に重い。
気持ちはタイトル通り。日本代表の惨敗よりも悔しい引き分けだ。

思えば昨年までの数年間は、このようなどんでん返しな結末が非常に多かった。やっぱり土壇場で踏ん張れないのは柏の伝統になってしまったのだろうか。ちなみに今年の引き分け4ゲームの内、劣勢の中で引き分けに持ち込んだ神戸戦を除く3戦がロスタイムの1プレーで同点ゴールを食らっている。
正にスゴい確率である。

最後の戦い方に問題があったのかもしれない。
開幕の湘南戦で喫したロスタイムの失点という経験から、あからさまに時間を費やす戦い方が定着している。このゲームでも終盤そのようなシーンを目にした。これを改めなければならないと言いたいのでは無い。問題は、意図する戦い方が崩れた場合に対処する事が出来ないという脆さだ。

ロスタイムに入る頃、水戸陣内左コーナー付近でディエゴ・ドゥンビアの2人で時間稼ぎのボールキープをした。しかし、水戸ボールのスローインとジャッジされロングボールを入れられると柏の選手の慌てぶりばかりが目立つ。気持ちで優位に立てていない現れだろう。同時に相手ボールになった瞬間に柏のディフェンス組織がゴール前を固める為に一斉に下がってしまった。相手にロングボールを入れてくださいと言っているようなものだ。

時間をうまく費やす方法は何も相手コーナー付近でボールキープする事だけでは無いはずだ。よくテレビの中継で解説者が柏がコーナー付近でボールキープをすると「経験がある」節のコメントをするがそうなのだろうか?例えば現在開催中のワールドカップであのようなプレーを目にするだろうか?自分は逆に、ゲームを終わらせる経験が浅いからあのようなボールキープに終始するのだと考えている。

スコアが違いすぎるが、日本を倒したブラジルの終盤こそ理想のボールキープでは無いだろうか。
目的は相手ボールにしないような戦い方をするという事。昨日のゲームで言えば、水戸は捨て身のパワープレーをしてきているので中盤はガラ空きの状態。だから普通にボール回しをすれば、チーム組織も崩れにくく、且つ多くの選手がボール回しに参加できるので、相手ボールになった時にも対処しやすいのでは無いだろうか。常にボールを支配し、あわよくば相手にダメを押すゴールを狙う強かさも併せ持つ。これこそプロフェッショナルなサッカーだと考える。


昨日のゲーム、内容としてはどうだったのか。
柏としては終盤まではほぼ完璧の内容、逆に水戸は勝ち点を得る要素など皆無の様に感じる人も多かった事だと思う。しかし自分としては評価しづらい。
湘南戦でケガを負ったリカルジーニョとフランサが欠場、代わりにで北嶋と李忠成が先発出場し、前線から相手ボールを追い回した。さらに、中盤では山根の守備が秀逸だったし、最終ラインも相手FWに全く仕事をさせなかった。サイドについても両方とも柏が制圧していた。

しかしこれは水戸が全く攻めてこなかった事から感じる錯覚である気がしている。
水戸の組織は4−4−2だったが、2トップ以外はゴール前に張り付きという状態だったので正確には8−0−2と言った方が正しいかもしれない。リーグ戦では上位相手に負けない事が重要だという考え方だろうが、折しも同じリーグ戦を戦っているプロリーグであのような水戸のやり方は疑問が残る。結果的にはロスタイムに失点してドローに持ち込まれているので、水戸の術中に嵌った形ではあるが。

柏の前線の運動量が豊富でプレッシングが機能したところは、欠場のブラジル人2名には悪いがケガの功名と言えるかもしれない。
しかし、少ないシュート数にも現れている様に攻撃のアイディア不足であったところは否めない。そのような中、悔やまれるのはやはり北嶋が2回ゴールチャンスを逸した事だ。本来であればハットトリックを前半の早いうちに決めているはずだった。石崎監督も言っているが、前半のうちに2点差を付けていれば引き分けという結果は無かっただろう。北嶋と言えば、以前の在籍時も何度となく決定機を外すという印象がある。決めるべきときには確実に決めるフォワードがいないとチーム力も上がっていかない。そういう意味で北嶋には期待では無く義務があると思っているし、そろそろ不動のフォワードになって石崎監督が起用に悩まない存在にならなければならない。

石崎監督の選手起用ついでに選手交代の策も上手くいかなかったと思う。
北嶋に代えてドゥンビアは前掛かりになってきた水戸の裏を狙う事は効果的だったと思う。問題は李忠成に代えて佐藤由紀彦の起用だ。中盤守備を厚くしてこぼれ球を拾う目的だったと思うが、フォワードを削って中盤を補強する事でチーム全体での守備ベクトルが後ろ向きになってしまった気がする。それに水戸の攻撃はロングボールのみだったので中盤はボールが超えていってしまうし、こういう時こそボールの出所にプレスをかける前線が必要だし、その連動でディフェンスラインを上げる事が重要だったと思う。ワールドカップで日本がオーストラリアに喫した敗戦の失敗と同等だと考えている。

最後にまたしてもレフェリングの話になってしまう。
ジャッジについてあれこれ言う事は好きで無いのだが、これだけ何度もジャッジについて書くと逆に好んで書いていると思われても仕方が無い。
今回言いたいのは水戸の6番のタックルに対するジャッジだ。早々にディエゴへのタックルでイエローカードを出しているが、自分としてはあれでは最後までピッチにいないだろうと思っていた。案の定前半24分過ぎにより酷いタックルをディエゴに見舞う。しかし驚いた事に今度はカードが出ない。両チームのバランスを考えたのだろうか、全く合点がいかないレフェリングだ。確かにあのシーンで水戸のボランチが1人欠けたらゲーム自体が壊れていただろう。しかし、水戸の6番も退場覚悟でタックルにいくべきシチュエーションであった事も事実だ。そういう意味では勇気のあるタックルだったと思う。
問題はレフェリー。
カードを出すべきプレーで迷う様では、レフェリーの存在自体が無意味なものになる。

柏の選手にも一言言いたい。
あのシーンの後、徹底的に水戸の6番に対して1対1の勝負を仕掛けるべきだった。柏はクリーンに戦ったが、時には狙うべき選手を徹底的に狙う非情さも身につけなければならない。それが勝負事を商売としている者の生き方では無いだろうか。ゲームに引き分けてから悔やんでも、はたまたリーグ戦が終わってから悔やんでももう遅いのだから。

柏は現在2つの顔を持ったチームが融合出来るか否かの過渡期にいる。
それは、日本人とディエゴの運動量をベースにしたプレッシングサッカーと、フランサを中心としたブラジル人トリオが奏でるアイディアサッカーだ。
激しいプレッシングをベースに攻撃のアイディアを併せ持つ事が出来れば、相当なチーム力と自負することが出来るしJ1で戦っていける準備が整ったと言える気がしている。


これで第2クール残りの2ゲームを1勝1分でいかないと石崎監督の目標値に届かない。
しかし相手は第1クールで敗戦を喫した山形と横浜FCだ。なので、第1クールではこの2チームを除いた相手で勝ち点25を稼いでいる計算になる。まぁチームには机上の計算などせずにしっかりと準備し、一戦必勝の気持ちで臨んでほしいところだが。



P.S.自分の予想通りに日本は惨敗してしまいましたが、余裕があれば近々ワールドカップの日本について書こうかと思います。

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レフェリー???〜湘南戦(第2クール)

東京V戦の後壊れたPCを直したつもりがまたも壊れてしまい、湘南戦の投稿がまたも遅れた次第。
時間が空いてしまっているし、何よりも水戸戦の後なのでいつもよりも少ない分量で投稿しようと思います。

リーグ戦下位に低迷している徳島相手にまさかの敗戦を喫した柏、2位横浜FCに勝ち点で並ばれ中3日で迎えた湘南戦は何が何でも勝利が必要だった。
選手からもこのゲームの重要性がひしひしと伝わってきた気持ちの入ったゲームであると感じた。

6月に入り個人の調子を上げてきた平山がこの日も期待に違わない動きでチームを引っ張り、湘南の右サイドを制圧できたと思う。先制点も左サイドを破った平山から。受け手に優しいセンタリングはまさに平山ならではといった印象だ。

後半はフランサに代わって北嶋、谷澤に代わって李忠成が入り前線の運動量が飛躍的に増大すると柏のチーム全体が活性し、拮抗した流れを再びつかんだ。決勝点を決めた李忠成のゴールは、北嶋・ディエゴ・李忠成3人による前線のコンビネーションが素晴らしかった。

しかしこの湘南戦、選手・サポの闘志に火を着けたのは湘南に与えたPKのジャッジだろうと思う。
どの角度からみても小林亮のファールは無い。むしろボールに触れないノーチャンスのシチュエーションに体をぶつけてきたオフェンス側のファールにしか見えない。この1プレーによって、柏の選手は「負けられない1戦」という負のプレッシャーから「勝ちきってみせる」というポジティブなメンタルに切り替わった瞬間でもあった。

その後も曖昧なジャッジに終始するレフェリングが目立ったが、気持ちを切らさずに勝利したことは評価できるだろう。J2に限らず、サッカーではレフェリーのジャッジの正当性が永遠のテーマであると思うが、またしても不安定なジャッジによってゲームが左右してしまった1戦であったと思う。

後もう1つの点として、前線の運動量を挙げたい。
とかく気になるフランサの運動量だが、運動量の少なさを凌駕するボールタッチの技術は光るものがあるし、これまではフランサに代わる選択肢が無かった事もある。この日も先取点につながるスルーボールを平山に通している。しかし、後半北嶋と李忠成の運動量もチーム全体で考えると重要な要素だ。これからどのような組み合わせでどのようなサッカーを作っていくのか石崎監督の手腕が問われると考えている。

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2006年06月19日

また油断かな〜徳島戦(第2クール)

一言で言えば、長いシーズンこういうゲームもあるだろうというのが感想。

しかし、ゲームを落としてしまった原因はやはりどこかにあるはず。自分の考えでは「勝負へのこだわりの差」だと考えている。柏は幾度も油断や慢心から悪いゲームをしてしまった事があったが、このゲームでもこの厄介な病にかかっていた。気をつけていても「油断・慢心」という心の病は知らず知らずにチームを蝕むものだという事を改めて実感した。


J2というリーグは、チームそのものに差があまり無い事は第1クールの戦いで身を以て感じていたはずだ。
思い返せば、第1クールに4−0で快勝した草津相手に第2クールでは2−1とスコア上は肉薄されている。
ワールドカップでも優勝候補が格下にコロっと負ける事が必ず起きる。
サッカーは何がおこるか分からないものだし、油断や慢心は全く意味が無い。

柏の近況からこの病にかかるのに十分な状況があった。
前節、昇格へ向けたライバル・東京Vとのゲームを4−1というスコアで快勝。
徳島は草津とともに下位に低迷しているチームで、第1クールでは4−0で快勝している。
中6日という十分なインターバル。
などなど。

東京V戦の投稿でも書いたが、前節は内容がそのままスコアに反映されたゲームでは無かった。
柏の得点はすべてセットプレー絡み。しかもどちらかというと東京Vのプロらしからぬ守備が奏功した得点。流れの中で相手の守備組織を崩したケースはかなり少なかった。東京Vにスコア上は快勝はしたが、柏のチーム状態はそんなに好い訳では無いと考えていた。

逆に徳島は、首位柏との1戦に気持ちが高ぶらない訳が無い。確かに成績は低迷しているが、柏を相手に内容のあるゲームをすること、あわよくば勝利して波に乗ろうと強いモチベーションで臨んでくる事は明白だった。

この様な、ゲームに賭けるモチベーションの差が結果に現れたと感じている。

特に前半は、徳島のボールへの執念・勝利への渇望が素晴らしく、内容でも柏を大きく上回った。チーム全体で集中して守備に入っていて、鋭いチェックやパスカットの場面が随所に見られ、そのままの勢いでカウンターに移る。柏が指向しているサッカーを反対にやられてしまった形だ。

対する柏だが、とにかくミスが多すぎる。
いい形が出来ても、相手の好守備で跳ね返される前に自らチャンスをつぶすケースが目をついた。確かに相手が引いてきてスペースが無く精度の高いプレーが必要だったし、そういう意味では難しかったかもしれない。しかし、ミスはつきものである事を考慮しても、あれほどのミスを見せられるとゲームへの集中を欠いているとしか考えられない。
この徳島戦、柏が得点するとすればセットプレーしか無いのではと思えた。実際コーナーキックから岡山のヘディングが炸裂したが、ポストに阻まれる。まぁ運も無かったかもしれない。

これからは、柏相手に真っ向勝負をしてくるチームの方が少ないだろう。この様なガッチリ守られた相手を崩して勝ち点3を奪取していかないと昇格も厳しくなっていくのかもしれない。
それには攻撃のリズムを作れる絶対的な存在が必要だと思う。
現状ではそれをディエゴが担っているのだが、ディエゴに頼りすぎていてオプションが無いと彼を止められたときに脆い。その危惧するケースに今期初めて嵌ったと思う。これはちばぎんカップを見て直ぐに心配していた事でもある。

柏の攻撃の特徴は、高いプレスからの速攻と両サイドを使った厚みのある攻撃だ。
前者には相手にプレッシャーをかける献身的な動きとスピードが求められ、後者には安定したポストプレーが必要。内容が良かったゲームでは、前者の役割として鈴木達が担い、後者では北嶋がいた。
ディエゴに代わる存在としてリカルジーニョの欠場は痛かった。しかし、攻撃の軸としてフランサを充てる事は違う気がする。もちろん彼も重要なタレントだが、彼は言えば攻撃のアクセントの様な役割だと思うので、やはり鈴木達か北嶋の復帰が待ち遠しい。

失点シーンについて。
PKを取られた小林祐三のプレーだが、今まで見受けられた手を出す悪い癖が重要なシーンで出てしまった。結局この失点のみでゲームの戦犯の様になってしまったが、これを機に悪癖を直さなければならない。

そして問題のPKシーン。
東京V対仙台・札幌対徳島に続き今期3度目のPKやり直しのジャッジが出た。しかし南の動きは全く問題ない様にしか見えない。今ちょうど日本対クロアチアのゲームで川口がPKを止めたが、南の動きは川口と何ら変わりがない。やはりジャッジについて何か釈然としないところがある。しかも前の2ゲーム(東京V対仙台・札幌対徳島)とは違い、このPKが決勝点になってしまっているので始末が悪い。

リーグ戦が始まる前にジャッジについての研修をするはずなのだが、今年から急にPKの反則を取ると伝えたのだろうか。
PKを取られるような反則は厳格に取らなければいけない。しかしPKを止めるシーンはサッカーの大きな醍醐味の1つだ。だから、大袈裟でなければ敢えてキーパーの動き出しの早さを指摘しなかったと思っている。ゴールキーパーの見せ所と言えるスーパープレーを全否定してしまうようなジャッジはいかがなものだろうか。

問題は、世界基準と照らし合わせてどうなのだろうかという点だ。
Jリーグが存在意義は日本のサッカーが世界に通用する力を着ける事で、間違っても世界で最もルールに厳しいレフェリー育成の場では無いはずだ。ましてやそのジャッジが世界で通用しないものであるなら何のためのレフェリーなのか。あの南のプレーが反則なのであれば、日本のキーパーは世界で最もPKセーブ率が低い選手しか育たなくなるだろう。
ジャッジそのものについてグダグダ文句を言うつもりは無いのだが、提起したい点は日本サッカーの発展につながるのだろうかという事だ。サッカー協会には多いに議論してほしい部分だ。

PKでの失点で敗戦したが、やはりこのゲームの課題は得点を取れなかった事だ。
得点を取るための、勝負に勝利するためのどん欲さが感じられなかった事が残念と言わざるを得ない。

これまでも何度か油断や慢心を感じられたゲームはあったし、これからもあるのだろう。
この悪い病気をいかに減らす事が出来るかが重要なのかもしれない。
不動のムードメーカーとなった岡山の他に不動の精神的な支柱と言える選手が必要かもしれない。

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2006年06月17日

大分時間が経ってしまいました〜東京V戦(第2クール)

因縁の対決に快勝し気分上々で帰宅。
この1戦の観戦記をどう書こうかと考えつつPCの前に座るが、PCがウンともスンとも言わない。
なんとか起動しようといろいろ試みるもののサッパリ。。。
どうも日頃から強制リスタートや強制終了などを多用する乱暴な扱いに、PCが音を上げてしまった模様である。
結局ハードディスクを初期化する以外に方法が無く、あらゆる大事なモノを失ってしまった。(泣)

しかし、ほんの10数年前まではPCが無い環境で仕事することが普通だったし、机の上は、まず山積みの書類。その中で行き場を失いそうな電話機が肩身狭そうに佇む。
それが現在では、PCが机の上で王様の様に君臨しているし、これが無いと仕事にならない時代だ。
この劇的な変化は本当にスゴい。まさに情報革命。

でも仕事は楽になる訳じゃなく、スピードが上がる一方だけどね。
まるでPC(情報?)に人間が操られている様に感じてしまう。
そんな訳でPCの環境整備に手間取り、東京V戦のインプレッションのアップが大変遅くなってしまいました。
いつも公式戦後には多数の方がこのブログに来ていただいているので、ただただ申し訳ない気持ちでいっぱいです。


本題の東京V戦ですが、もう1週間も前になってしまったので手短にしたいと思います。


スコアは4−1。スコア上は快勝と言えるが、見所/課題があった試合だった。
これを大きく分けると、「前半の攻撃」「リカルジーニョの退場」「後半の守備組織」と言うところ。

まずは攻撃面だが、4得点すべてがセットプレー。
内3得点は前半12分までにゴールを奪っている。
それはまるでゴールダイジェスト映像の様で、VTRを見返すと自然と口元が緩んでしまう程。
セットプレーで得点できることは柏にとっては大きな武器と言える。その意味ではチームの強みが存分に発揮されたと言えるのだが、前半の立ち上がりが不安定で、この日も浮き足立っていた東京Vが相手では喜びすぎてはいけない。

その後、大谷へのフィードボールからの突破や平山から谷澤へのスルーボールなどプレーの流れから決定機も作ったが決められなかった。
これが決まっていればまた大分印象も違っただろう。

フランサの技術が絡んだ2点目と3点目はファインゴールだったが(もちろんフランサの技術は素晴らしいの一言)、1点目の岡山のゴールで東京Vのスイッチが切れてしまった事が大きいだろう。岡山のゴールはあまりにもイージーに決まりすぎた。あれほどセットプレーの守備で安定しない(決まり事が無い)チームは無いのでは無いかと思っている。東京Vの指導陣は、セットプレーも「気持ち」で何とかなると思っているのだろうか。。。とにかく何の対策もしていない事がハッキリわかる。他のチームではあのようにフリーになれる事は無いと思わないといけない。
4点目の東京Vの守備も酷すぎる。
プレーがプレーなので特にコメントも無いが、チーム内の日々の練習でもあのような緩い守備はあり得ないだろう。

続いてリカルジーニョのプレーについて。
瞬く間に3ゴールが決まってしまい、フランサ・ディエゴの前線の方から運動量が落ちていった事をまず挙げたい。運動量を落とす事は決して悪い事だとは思わないが、チーム全体で意思統一出来なければ、バランスを著しく失う事になってしまう。
その中で一人運動量を落とさずに動き回ったのがリカルジーニョだった。
彼の気持ちを察すると、前節は遠征メンバーから落選し監督から少々信頼を失っている事を感じているだろうし、ゲームに対する強い気持ちがあったと思う。しかしその気持ちはハードなタックルにより退場につながってしまう。またポジションを超えて(特に前へ)動く事で、東京Vにスペースを与える事になってしまった。特にDFラインの前・バイタルエリアのスペースを与えてしまった事が、3得点以降東京Vにゲームを支配された原因であると考える。
ただ、リカルジーニョを責めたくはない。チーム全体で意思統一が出来ずバランスを欠いてしまった事を反省したい。もしゲーム中に修正するのであれば、リカルジーニョを3列目に固定し山根とのダブルボランチにして、リカルジーニョが前は動きすぎる事が無いように2列目にフタをしたかった。システムで言うと4−2−3−1になると思う。途中そのようにした気がしたが、ゲームが動いている中ではなかなか徹底が出来なかったのかもしれない。

前半の40分過ぎに退場となったが、これは不幸中の幸いと思いたい。
これが後半早々だったとしたらさらに悪い結果が出たかもしれない。何が大きかったかというと、退場後にハーフタイムを迎えられたので、石崎監督から後半の戦い方を徹底出来た事だ。

石崎監督は後半の戦い方について恥ずる気持ちがある様だが、見ている立場で言うと大変見応えのある守備だった。
一人少ない状況で4枚ずつのダブルラインが崩れない。あれだけブロックを崩さずに徹底的にリトリートしたら、東京Vは攻め手が無かっただろうと思う。相手ベンチは盛んに「サイドを使え!数的優位を作れ!」と叫んでいたが、連係プレーに難がある東京Vでは無理だろうと思っていた。偶然が作用する限り失点する事は無いと思えた。
もちろん、偶然を誘発する確率を上げるためにボールを支配して攻撃の時間を多くする事がサッカーだから、ハラハラしながら見てはいたけど。最後はその偶然が作用して1失点したが、1人1人は素晴らしい守備をしたと讃えたい。

最後だけど、平山素晴らしかったと言いたい。
今まで彼へ期待するばかりに厳しい指摘をしてきた気がするが、好調時の平山が戻ってきた気がした。

では、明日は徳島戦なのでこの辺で。

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2006年06月08日

中盤軽視では無いか?〜神戸戦(第2クール)

一般的なインプレッションは「負けなくて良かった柏」と「勝ち点2を失った神戸」という事だろうと思う。

神戸から見れば、ほぼ勝利を手中にしていた終盤にセットプレーを決められての引き分け。
ダメージは相当のモノと推察する。
今年の柏は、終盤にゲームを動かす事が出来る勝負強さが特徴になってきた。この劣勢なゲームでも良く勝ち点をもぎ取ったと言える。

しかし、終始神戸にゲームを支配され続けた事は見過ごすわけにはいかない。
自分なりのポイントは「前線の技に頼った柏のゲームプラン」であると考えている。

このゲーム、柏は18歳のコートジボワール人、ドゥンビアが初先発。代わりにリカルジーニョがメンバーから弾き出された。
システムは、ドゥンビア・フランサ・ディエゴの3人がフォワード登録となっているが、4−2−3−1という形か。1トップにドゥンビアが入り、その下にフランサ、左気味にディエゴ・右サイドは谷澤、ボランチは永井・山根の2枚を置いた。
ディエゴはいつものゲームと同様にポジションを越えて動き回り、攻撃の起点になる。
フランサは攻撃に転じたときに見せる創造力という刀を隠しつつ、その宝刀を振り上げる機を伺う。
ドゥンビアは持ち前のスピードで神戸の守備ブロックの裏を虎視眈々と狙う。

その結果どの様な現象が起こったかというと、チーム全体でのプレスが全く掛からない、いい形が殆ど生まれない、組織力が無い、10年以上は古いサッカーが現れた。

期待のドゥンビアだが、周り(特にフランサ・ディエゴ・谷澤)と全く連係が合わず動きが鈍い。加えて最大の問題は、プレッシングのファーストアクションが無い。全く無い。
さらにフランサだが、彼は今までのゲームでもそうなのだがプレスの厳しさに欠ける。
前線の2枚のプレスが機能しないので、神戸に簡単にボールを動かされ捌かれる。
その対応に中盤の守備は常に後手後手。下がりがちの対応になってしまった。

ドゥンビア・フランサ以外のフィールドプレーヤーはいつものゲーム以上の運動量を要求された上、何時になってもチームの調子が上がってこない状況に複雑な感情を抱いていたのでは無いだろうか。

劣勢のゲーム、下がり目の対応は、バイタルエリアやペナルティエリアでのファールがどうしても出てきてしまう。
もちろん三浦淳のフリーキックは警戒していたと思う。しかし何本打たれただろうか。
また、こちらも警戒していたと思われるのがパクカンジョの突破だ。
だが前半、大谷がペナルティエリアで倒してしまう。幸いファールを取られなかったが、レフェリーの半数以上はあのプレーにPKのジャッジを下すだろう。
警戒しなければならない2人だったが、このゲームプランでは対応の術が無い状況に見えた。

対する神戸は、中3日での柏戦という事もありフィジカル面で劣勢と思われていた。しかし、柏のプレスに対抗するため、より厳しいプレッシングをトレーニングしてきた事が見て取れ、柏のちぐはぐな組織と相対せば、それはそのままゲームの主導権掌握に繋がった。
中盤を制した神戸は、残る柏のストロングポイント、ボールの配球役であるディエゴのマークを難なくこなす。

柏は抜本的なテコ入れ無しには勝機はゼロだったと思う。
後半に入り、機能しないドゥンビアを下げ李忠成を投入するが、前半の45分でチーム全体を勢いづかせてしまった神戸を止める事は出来ない。
対応すべきは神戸のプレスであり、中盤の整備であったと考えている。
また、ディエゴへのマークを分散させる第2の起点を作る事も重要だった。
しかし、柏のベンチには有効な駒が存在しなかった事も確かだ。
永井に代えて宇野沢を投入したが、プレスを強化する術とは言えないだろう。
寧ろディエゴのマークを分散させるために、永井を前目のポジションに取らせてピッチ上に残し、フランサを下げて落合を投入したら面白かったと思う。

もどかしいゲーム展開の中、神戸が柏のゴールを割るのは時間の問題と思われた。
そんな中、三浦淳からの縦パスがパクカンジョに通り決められる。
柏が攻めきった後の相手キーパーのミスキックがたまたま三浦淳に渡ってからのもので、神戸に崩された訳では無かった。
言ってみればアクシデントの様な失点で、あのシーンだけを切り取ってみれば十分に防げる失点だっただけに悔やまれる思いもある。
しかしゲーム全体を振り返れば、柏が勝つべきゲームとは言えないので仕方が無いと割り切る方がいいだろう。
1失点で切り抜けた事が勝ち点1に繋がったと思いたい。

結果論だが、後半、李忠成にプレスの先陣をやらせるのであれば、前半の最初から起用して欲しかった。
少なくとも前半イーブンのゲーム内容で折り返し、「柏はやはり手応えがある」と神戸に思わせることが出来ればまた違った結果だったかもしれない。
それと、中盤のプレス役が1枚足りない事が最後まで響いたと思っている。
どうしてもリカルジーニョとドゥンビアを比べてしまいがちだが、リカに限らず中盤の汗かき役が欲しかった。

ゲームの趨勢が決まらない立ち上がりでガッチリ組み合う事を取らなかった柏。
柏のストロングポイントを自ら捨て、テクニックの勝負に持ち込んだ戦い方は、相撲の小兵力士が取る戦術の様だった。
あまり戦犯などを挙げたくないが、このゲームは石崎監督のミスと言ってもいいのではないか。
選手起用・組織・中10日のトレーニングなど全てが上手くいかなかったと考える。負けなかった事は評価したいが、プレッシング、ひいてはサッカーの本質である「走ること」を軽視したチームに勝利の女神は微笑まないだろう。

反省する材料が非常に多いゲームだったと思う。
これで神戸との2戦いずれも内容で上回る事が出来なかった。
しかしまだ2回対戦が残っており、神戸に対して必要以上の苦手意識を持たないようにしなければならない。以前にも何度か指摘したが、勝負事でネガティブな意識は全く戦力に成り得ない。次回の対決は約1ヶ月後。神戸は強いチームだと敬ったうえでしっかりと準備して臨んで欲しい。

2日後の東京V戦に向けて弾みにならなかった1戦だったが、同じ準備では東京Vにやられてしまってもおかしくない。
以前の野戦病院状態から選手が復帰し始め、現状はかなり選択肢が広がったチーム状況にある。
時間は短いが、東京V戦を取るも落とすも石崎監督のチーム操縦次第だと思う。

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2006年05月29日

混迷の札幌・課題が見えた柏〜札幌戦(第2クール)

この札幌戦、第2クールの両者を占う非常に重要なゲームであると考えていた。
なので、前置きがかなり長くなってしまう事を始めに触れておきたい。


前回対戦、柏は内容の悪い3連敗中というどん底の状態にあり、さらに満身創痍の台所事情、加えてディエゴの出場停止が重なり先発メンバーはほぼサテライト。対する札幌は、西谷のケガ欠場はあったがほぼベストメンバーであった。
このゲームの前、第10節時点で、柏の首位・5位札幌という状況だったが、勝ち点差は僅かに3点。
札幌にとっては、勝てば一気に首位に並ぶ重要なゲームだった。

前半は札幌がゲームを支配し、早い段階で得点、札幌の絶対的優位でゲームは推移した。
柏は避けたかった先制点を取られた上に守備の要である岡山をケガで欠いてしまい、これ以上ないほど追いつめられる。
しかし後半に入り、柏はある意味吹っ切れたのか見違える動きに変わり、控えに甘んじてきた若手が活躍、ロスタイムに決勝ゴールを上げ勝利する。
札幌は痛すぎる敗戦を喫した。

以降、この1戦を機に両者の戦績はあまりにも対照的だ。
柏は第1クール札幌戦から勢いを取り戻し、5勝1分。札幌は2分4敗だ。
勝ち点を計算すると、この6ゲームで柏は16点積み上げているが札幌は僅かに2点。
両者の勝ち点差は17点に拡がり札幌は10位沈んでいる。

第1クールの対戦は共に大きな分岐点と言えるゲームだったが、第2クールの対戦は両者の置かれるチーム状況が全く逆の状況にある。
札幌は、何と言っても攻撃の軸であるフッキが累積警告による欠場という厳しい布陣だ。
しかし、前回投稿でも触れたが、日本人のみによる組織的なサッカーの方がチームとしては機能する事はよくある。
前節が休養節だったこともあり、柏との1戦に向けて十分に準備してくる事は明白、チームをまた波に乗せる重要なゲームと捉えているだろうし、相当なモチベーションで臨んでくると思われた。

対する柏は、4−1−4−1システムの軸である1ボランチを的確にこなしてきた山根が出場停止という要素はあるものの、大谷を始め負傷離脱組が徐々にチームに合流してきており、また今期2度目のブラジル人揃い踏みのゲームとなるなど、チーム状況は明るい。
特にブラジル人3人の同時起用は、第2クール徳島戦で初めて試され、想像を超える連係や高い技術をベースにしたスペクタクルなサッカーが見られた。
サポーターとしてはあの徳島戦の再現を否が応でも期待してしまう。

札幌の捨て身の結束力が勝るか、柏の総合力が勝るか非常に興味深い1戦だった。


前半、ゲームの主導権を握ったのは札幌だったと思う。
やはりこの1戦に準備してきた組織的なサッカー、かなりトレーニングを積んできている事が感じられる。
札幌と言えば、少ないボールタッチで多くのメンバーがビルドアップに参加する攻め上がりが特徴。ボールを回しつつスペースを見つけたらスピードアップ、両翼に開いてセンタリングを上げる事を指向していると思っていた。
しかしこの日の札幌の戦いは、ロングボールを前線に当てて起点とし、セカンドボールを2列目のMFが拾う形を作ってきた。
また、柏がボールを奪うとプレスをかけに行くのでは無く、FWを残して8人が直ぐに自陣に戻りゴールを固める。
札幌は守備に入ると5バック+3ボランチという様なシステムだ。

この狙いは、柏の前線から追い立てるプレッシングを嫌っての手段だろう。
しかし、徹底してはいたがどう見ても即席の戦術、まるでJ2下位チームのような戦い方ではリズムが生まれないのでは無いかと思われた。
柏は、序盤こそ苦労するかもしれないが、慣れてくれば徐々に攻め手も見えてくるだろうし、終盤に近づけば近づくほど柏の流れになるだろうと思っていた。
自分としては、札幌は自ら良さを消してしまった様に感じたし、成績が上がらない札幌柳下監督の苦悩と見受けられた。対柏対策という事だろうが、今まで積み上げてきたサッカーを捨てた戦い方は決していい方向に運ばないことの方が多い。低迷の焦りは分かるが、いつもの札幌の速く小気味よいサッカーの方が柏は嫌だったし、恐れていたと思う。

それは余談としてこの1戦、札幌としては絶対に先制点を与えないこと。そして終盤勝負だろう。
しかし札幌の誤算は、柏のプレスがそんなに厳しくなかった事だと思う。
その原因は明らか。柏のブラジル人、特にフランサだ。
前回3人が先発した徳島戦でもプレッシングが機能したゲームでは無かった。札幌は、柏のプレスが厳しくないのである程度ボールを前に運べてしまう。そうなると元来ポゼッションサッカーである札幌は全員が前に出始め、自陣ディフェンスの前にスペースが出来てくる。大谷のパスカットから始まった先制点は、正にそのスペースを使い3人もの柏の選手が蹂躙、練習でも決まらないようなカウンターが決まった。

札幌は与えてはいけない先制点を与えてしまうが、以降の戦い方はさらに人数をかけた守備とゴール前へのロングボールを徹底してきた。
札幌の同点ゴールは、そのポストプレーから2列目の砂川が走り込んでファインゴールを突き刺す。
狙いが功を奏した形だが、あのようなファインゴールはそうは決まらないだろう。

また、同点弾決められた柏の問題点も明らかだった。
それは前線からのプレスと、3列目の守備だ。
山根の代役・永井に果たして山根の穴が埋まるかどうか注目されていたが、厳しかったと思う。永井が悪いわけでは無く、むしろ永井の出来は良かったのだが、彼は体を張って守備をしたりボールをキープして時間を作ったりするスタイルでは無い。永井の特徴はシンプルなボールタッチでリズムを作るタイプ、言えば攻撃的バランサーなのでフランサに似たプレイスタイルだ。彼を生かすのであれば、ダブルボランチにすることが必要だった。

プレスに関しては、石崎監督は試合後に「プレスをかける前にロングボールを蹴られてしまった」と発言しているが、むしろフランサのプレスが甘すぎたと思う。(石崎監督の本心はココだと思う)
前線のプレスが甘いと、その後ろもより前目でプレスをかけなくては守備が機能しない。その結果チーム全体が通常よりも数メートル前目でプレーしなくてはならなかったが、ディフェンスラインの押し上げは足りない。弊害として札幌に使いやすいスペースが生まれてしまったと思う。

ある意味では、前半の戦い方は札幌の術中に嵌った形だったが、修正は簡単な事だと思えた。
それはダブルボランチと2トップへのシステム変更だ。

後半に入り、まず永井とリカルジーニョのダブルボランチに変更し中盤が落ち着くと、流れは柏が握り、ゴールの予感が高まる。
残り20分弱で李忠成を入れて2トップになると、李忠成の運動量が柏の組織を引っ張り、ゲームの趨勢は決定的になったと考える。後は決勝点だけだったが、ガッチリゴール前を固める札幌相手ではなかなかゴールを割れない。こういうときの常套手段はセットプレー。やはりこのゲームもセットプレーが勝負を決める。リカルジーニョはいいボールを供給したし、岡山は良く決めてくれた。
柏としては、守りきられてドロー以下の結果となる事で、第1クールの札幌の様な低迷は避けたかったし、やはり決勝点がどうしても必要だった。
そういう意味では値千金のゴールだったと思う。

良くも悪くも柏らしい勝ち点3を奪えたが、課題もいろいろあると思う。
最も大きな課題は、フランサが1トップに入った時の組織的な脆弱さ。徳島相手にはJ2でも下位という事もあり、フランサの技術と中盤の支配力で圧倒したが、これから相手に研究されたり、上位相手にはウィークポイントになる筈だ。どうしてもフランサはプレスに汗を流すタイプではないので、相方に運動量豊富な人間が必要だろう。以前は鈴木達也が担っていたが長期離脱。フランサの技術を生かすには鈴木達也に代わる人間が必要だ。

次の課題は山根に代わる人間がいない事。
ダブルボランチを採用するシステム変更でクリアできる課題ではあるが、最も柏らしさを出すシステムの代替メンバーは作っておきたいところだ。ここは落合・瀬戸あたりに期待したい。
また永井はシンプルなボールタッチ・正確なパス・スペースを見つける戦術眼・フリーキッカーなど良い点も非常にある。攻撃的な中盤かダブルボランチなど別の役割を期待したい。

あとどうしても目立ったのが、平山のパフォーマンスだ。
まずブラジル人との連係が悪すぎる気がする。そして、未だに目立つのがプレーへの迷いから流れを止めてしまい、逆襲の起点になる事だ。左サイドの連係という意味では大谷の復帰で良化傾向になると思うが、後は中盤センターとの連係の構築が急務だと考える。

大谷について触れたい。彼の復帰は本当に頼もしい限り。
先取点を奪った、
大谷→フランサ→ディエゴ→大谷→リカルジーニョ→谷澤→大谷ゴール
という一連の流れは、なかなか見られない正にカウンターの教科書。
李忠成起用後の3−5−2では今期2度目となる3バックのセンターを担う。
柏が誇る重要なユーティリティプレイヤーと言えるだろう。

対する札幌だが、監督自身がチームの方向性を失いつつあるのでは無いだろうか。
第1クール柏戦では柏の勝利ではあったが、札幌は非常にいいゲーム内容且ついいチームという印象を持ったし、今後強敵になるという印象を持った。成績が低迷すると焦燥感が募る事は理解できるが、今こそ指揮官がしっかりと迷う事無くチームを信じ、自分を信じて導かなくては本当の低迷に入ると思われる。

さて、12000人動員目標になってしまった東京V戦。今期2度目の因縁対決だ。
東京Vにとってこの柏戦は3連戦の3戦目、しかも仙台戦後の1戦だ。正直疲労困憊なのでは無いだろうか。前回対戦後、ラモス監督では厳しいのではと感じた東京Vだが、やはり苦しんでいる様だ。しかし相手は読売な訳だし簡単には監督更迭という手段には出られないだろう。

ならばキッチリ叩くのみ。
ラモスにとっては数々の思い出があるであろう日立台で圧勝したい。

その前に神戸戦があるが前回はいいところ無く敗戦した。
前回の借りを倍にして返していい状態で東京V戦に臨みたい。

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2006年05月21日

3連戦がキーポイント〜愛媛戦(第2クール)

厳しいスケジュールの3連戦目、ゲーム内容は酷いの一言。
今期最悪の運動量、併せて夥しい程のキックミスやパスミスが追い打ちをかける。
全くサッカーにならなかったと言っていい。

第1クールでも3連戦の3戦目に横浜FCに敗戦を喫したが、あのゲームでは油断の様なものを感じたので考えることを記したが、自分としてはこのゲームでの問題点を一つ一つ挙げる様な気にはなれない。

この中2日の3戦目、体力も限界だっただろうと思うが選手は本当によくやったと思う。
前節仙台戦で惜しみなく力を出し切った後だったので体力面は心配だったが、これほどまでに消耗している姿を見せられると、敗戦も覚悟したしある意味仕方がないとも思っていた。
その様な厳しい状況下で勝ち点3を奪取した選手全員に敬意を表したい。

厳しいスケジュールだったが、3連戦の対戦順は恵まれていたように感じる。
柏は第1戦で不甲斐ないサッカーをした。
このショッキングなドローが以降の2連勝の礎になった気がする。
サッカーは相対的なスポーツなので一概には言えないが、もし仙台戦が3戦目だったら酷い敗戦を喫したのでは無いだろうか。
ショックを受ける敗戦はチームに様々な影響を与えるものだ。
仙台・横浜FC・降格2チームに手痛い敗戦をしたら、第1クールで3連敗したような下降状態に簡単に陥ってしまう事もあり得る。
1戦1戦戦う毎にいい方向にチームが進んでいると思え、この上昇気運に上手く乗っていきたい。

ゲームの内容には触れないとして、ただこれからのスケジュールを睨んだときに同じようなスケジュールでゲームをこなさなければならない節がまだまだある。
というか、6月から11月まで毎月1回は短い日程での3連戦が待っている。
この3連戦の戦い方が今年のJ2で勝ち点を伸ばすキーポイントになってくると考えている。
4月の3連戦は東京V(AWAY勝ち)→愛媛FC(HOME勝ち)→横浜FC(AWAY負け)だった。
しかし、怪我人も重なり横浜FCとの敗戦から3連敗を喫した。
5月の3連戦はサガン鳥栖(AWAY分け)→仙台(HOME勝ち)→愛媛FC(AWAY勝ち)で終了。
サガンとの苦いドローゲームから気持ちで立て直した。
以降の3連戦を列記してみると、
6月:徳島(AWAY)→湘南(AWAY)→水戸(HOME)
7月:横浜FC(HOME)→札幌(AWAY)→神戸(HOME)
8月:水戸(AWAY)→東京V(AWAY)→愛媛FC(HOME)
9月:仙台(AWAY)→横浜FC(AWAY)→草津(HOME)
9月〜10月:徳島(AWAY)→水戸(HOME)→鳥栖(AWAY)
11月:仙台(HOME)→山形(AWAY)→札幌(HOME)
といった状況だ。

18ゲーム中アウェイが10ゲームを数える。
厳しいスケジュールの上にアウェイゲームが多く他チームより更に厳しいスケジュールが待っている。
札幌や鳥栖などはアウェイゲームの移動の厳しさが柏の比では無いと思うので文句を言うつもりは無いが、この毎月来る3連戦毎にフィジカル的に動けなくなるようでは、これからの戦いも決して楽観できない。

ではどうすれば良いのかという事になるが、今からフィジカルを飛躍的に伸ばすことは出来ないだろう。
そうなると、選手層でカバーしていくしか無い。
今の柏の現状は10人以上の怪我人を抱え、ベンチ入りメンバーを揃えることもままならない状況。誰かが復帰してきたら誰かが離脱していくというギリギリの自転車操業でこなしている。

ただいずれは総力戦で戦わなければならない時期が必ず訪れる。
その時の事を考えると、今年のJ2というリーグ戦は主力組・控え組という棲み分けは意味がないのかもしれない。
また、比較的楽なこの時期にあらゆるメンバーがゲームの経験をしていることはプラスに働く筈だと思っている。
離脱組の復帰は待ち遠しいが、今出場しているメンバーは穴埋めなどではなく、重要且つ主力メンバーの一員であるという自覚を持って戦って欲しい。

次節は札幌戦だ。
札幌にとっては、第1クールで柏に痛すぎる敗戦を喫し低迷していった。
まだその傷は癒されていない様に感じるが、この柏を叩いて再び浮上のきっかけにしようと相当高いモチベーションで来ると思われる。
また、前節休養節だったのでフィジカル面も問題ないだろう。
攻撃の核であるフッキが累積警告で欠場という事があるが、その分のトレーニングは十分に積んでくると思われる。

一方柏は、第1クールで休養開けの横浜FCに敗戦した事も踏まえ、3連戦で溜まった疲労をどの程度回復できるか、これがポイントだろう。
また、これまで中盤の守備を支えてきた山根が累積警告による欠場。
山根の代役が誰になるのか、1ボランチシステムを変えるのかなど興味が尽きない要素だ。
もう一つのポイントは、札幌のフッキ欠場という要素がどう働くか。
何度も提起しているが、相手を軽んじることが無いように気を付けなければいけないだろう。
フッキに頼らない日本人のみの組織力の方が、柏にとっては厄介になるかもしれないのだから。

いずれにしても、札幌は攻撃の軸を欠いてくるのだから組織的なサッカーを徹底してくるだろう。
柏は、札幌の組織力を受け止める速い出足と高い守備が機能しないと難しい1戦になりそうだ。
組織面でイーブンになれば柏の決定力が勝負を決めると考える。

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2006年05月18日

ディエゴの採点8.5〜仙台戦(第2クール)

ディエゴは本当に素晴らしかった。
正にその活躍は「Marvelous!」の一言。

あまり採点というものに興味が無いんだけど、このゲームのディエゴは8.5点を付けたい。

以下内訳
基本点:6.0
ボールキープ力・パス成功率:+0.5
運動量・運動の質:+0.5
シュート数・シュート精度:+0.5
後半の決定機逃し:−0.5
1点目アシストと終了間際の決勝点:+1.5

有り得ない敗戦から3日。
鳥栖戦の悔しさをどんな形で表現するか注目していた。
方や仙台も引き分けが続き勝ち点を伸ばせずにいる。
両チームともこの1戦に賭ける気持ちは並々ならぬものがあるだろう。

前半は一進一退の攻防。
ゲームの入り方は柏の方がいい形で入れたと思うが、立ち上がりの勢いを仙台に持ちこたえられると流れは仙台に傾いた。

第1クールではチーム戦術の差がそのままゲームに現れた。
スコアこそ1−0だったがサッカーの質では柏が一枚上、主導権を渡すことなくゲームを制した。
仙台としてはホーム開幕戦という事もあり、前へ出る意識が強く出過ぎて浮き足立ってしまっていた様に感じられた。
以降仙台はこの第1クール柏戦を機に修正を加え、日本人7人の徹底守備にブラジル人3人の攻撃という戦い方で勝ち点を稼いできていた。

第2クールの昨日の1戦も仙台は第1クールで確立した形を出してくるのかと思っていたが、それは間違いだった。
第1クール柏戦では全くと言っていいほど守備をしなかったブラジル人だったが、昨日の1戦では守備に加わる意識を見せた。
その動きに後ろの日本人もプレスを連動させ、高い位置でボール奪取することを意識してきた。

これは意外だったわけだが、客観的に仙台の事を考えると大きな変化だし素晴らしいと思っていた。
やはり現代サッカーでは全員守備・全員攻撃という意識が無いと立ち行かなくなる筈だし、この方向に舵を取ったサンタナ監督も凡人では無いという事が確認出来た。
また、ブラジル人の中でもロペスのコンディションが見違えるほど上がっていたこともビックリした。
どこまで能力があるのか分からないが、他の2人よりは仙台というチームに必要な人材だと感じた。
自分としては、これで仙台が昇格のライバルチームであるとハッキリ認識した次第だ。

この様な仙台の変化を踏まえ、このゲームは相当厳しく白熱した戦いになることが予感された。

押し込まれ気味の展開が前半続いていたが、チャンスは柏に訪れた。
決めたのは絶好調の李忠成。アシストはこのゲームの主役ディエゴだ。
ディエゴの突破も素晴らしいが、李忠成のゴールは絶好調でなければ決められないだろう。
厳しい台所事情で好調なフォワードがいることが頼もしい。
彼には悪いが、当初はリーグ戦先発メンバーとして計算できない選手だった。しかし、怪我人続出により巡って来たチャンスにまず結果を出し、更に相乗的に本人のモチベーションアップにもなっている。
チームのピンチが新戦力の発掘へと繋がった状況は、これこそ不幸中の幸いと言える。

先制した柏だったが、仙台も前半の内に追いすがる。
しかし、決めたボルジェスを褒める前に、先制後から失点までの柏の守備に問題があるのは確かだ。
強化指定選手の鎌田の足にボールが当たりいいアシストになってしまったが、このプレーに至る前が問題。
クリアせずに変に繋ごうとしたり、誰かが後ろで止めるだろうと考えているような中途半端なチェックから招いた失点だ。
先制点が取れたことで「今日もいける!」という根拠の無い自信が垣間見られた様に感じる。
あの場面は、誰かが厳しく当たるとか、プレーを切るとかハッキリしたプレーが必要だった。
またその様なコーチングが必要だったと思う。
もしかしたら、ゲームを読める選手がピッチ上にいないのかもしれないが、サポーターとしてはこの役割を山根に期待していると思う。
山根のプレーに不満は全くないのだが、現状のプレーに併せてピッチ上でのもう一仕事に期待したいところだ。

ただ、この前半終了間際の失点は、恐らく柏の選手は鳥栖戦の勝負に対する甘さを思い出した筈だ。
その意味では、後半に向けて目を覚ますいい薬だった様に感じる。

そして後半だが、前半に比べて見違える動きに変わる柏があった。
一方後半の仙台は、柏の圧倒的なプレッシャーや目まぐるしいボールと人の動きに全くついて来られない。
仙台は後半どのような指示があったのか全く不明という印象。
前半の内容がいい場合、後半に向けて気持ちが甘くなる事は良くあることだ。
というか、柏が前節犯している。
後半に向けた仙台の戦い方で唯一感じられたのが、強化指定選手の鎌田を狙ってきているという事だけだった。
鳥栖戦での過ちを後半に生かす柏と、鳥栖戦での柏の様なモチベーションで入った仙台では勝負にならないだろう。

決勝点は後半ロスタイムではあったが、柏の完勝と言える。
妥当なスコアは3点差ぐらいだと思う。
しかし、仙台のゴールキーパー・高桑が素晴らしく、何度もあった決定機をファインセーブで救っていた。
かつて代表にも選ばれた選手、J2では屈指のゴールキーパーだと讃えたい。
(代表では小心なイメージしか残っていないのだが)

総括すると、戦術・個人技術・気持ち全てで柏が勝っていたと思う。

特に戦術面でいいモノが見られた。
象徴的なシーンは決勝点のディエゴ・谷澤・小林亮の崩しだ。
恐らく2対1や3対2などの連携プレーを反復練習している成果だろう。
もちろん他のチームもやっていると思うが、そこで選手が信頼しているスタッフの指導があるか無いかが大きな要素だ。
あのシーンは、鎌田から小林亮にボールが渡ってからスタートしたが、最初は相手の8番が近いので鎌田からボールが出なかった。その後小林亮がよりいいポジションに移動してフィードが入る。その時には、ディエゴ・谷澤は動き出しているので、小林亮がボールをトラップする前にイメージの共有が出来ている。またボールに絡んだ後、そこでプレーを終えるのでなく次のスペースに走り込んでいる。
この連続プレーで生まれたファインゴールだ。
その様な、個人の動くべき方向、スペースを突く大切さ、連動性を教えた人が石崎監督であると思っている。
このプレーに絡んだ3人は既にノブリンチルドレンと言っていいのでは無いだろうか。
とにかく戦術理解度が高い。若さもあり吸収が早いのだろう。
石崎戦術の真骨頂は、プレスのみならずスペースを見つけて攻める(守る)というサッカーの本質に非常に近い部分にあると感じる。
それは、柏に石崎監督が連れてきた山根・岡山が、共にスペースを埋める能力に秀でている事からも感じられる。

反面批判するわけでは無いが、左サイドの平山は悩んでいる様に感じている。
個人技術は確かなのだが、周りと連動する動き、使ったり使われたりという動きが昨日も見られなかった。
またスペースを突く動きも乏しく、プレーに迷いが感じられる事が多く、しばしばボールを奪われていた。
仮に左サイドも右サイドのようなコンビネーションが出来れば相当な武器になる筈なのでもったいない限り。直ぐ後ろには石館という吸収の早そうな若手も控えているし、平山には色んな意味で脱皮を期待したいところだ。

最後にディエゴに戻るが、帰ってきてから見返したVTRで得点後交代を申し出ている。
仕草から「吐きそうだから代わりたい」と読めた。
だが結局最後まで走り続けた。
未だかつてここまで限界近く走り続ける外人がいただろうか???
試合後は私服に着替える余裕もなく帰途に着いたらしい。
自分もかつて高校時代の部活で制服に着替える事自体が面倒なほど疲れ果てる練習をしていた。
だからディエゴの行動がよく分かるし、そこまで力を出し切るハートに最大限の賞賛を送りたい。
やっぱり採点は9.0かな。

鳥栖戦の呪縛を自ら振り払った選手全員にあっぱれだ!
(・・・愛媛戦は大丈夫かな。。。)


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2006年05月15日

サッカーにもっと敬意を払え!〜鳥栖戦(第2クール)

今年最悪と言っていいゲームだろう。
この5月14日を最悪記念日と名付けたいぐらいだ。

前半の内容は好調の頃のサッカーが甦ってきた様に思えた。
チーム全体に闘争心が漲っていたし、高い位置でボールを奪う姿勢が十分に感じられた。
ディエゴ・リカルジーニョの両外人はこのゲームでも相手に脅威を与え続け、鳥栖にとっては対処の方法が無いと思われた。
右サイドの谷澤も持ち前の技術を駆使した突破が見られ、決定機を演出していた。
前節不調に思われた平山も運動量が豊富で好調時の状態に近いと思えた。
他のメンバーも個人差はあれど、チームの足を引っ張るような動きは無かった様に思う。

前半2得点した訳だが、コーナーキックから岡山のヘッド・相手チームのセットプレーからのカウンターで平山がGKとの1対1を決める、どちらも完璧と言える形での得点だ。
他にも李忠成が2得点出来るチャンスもあった。(1本はディエゴからボールが出なかったが)

後半、リカルジーニョを下げて永井を投入したが、正直イヤな予感がした。
この交代は、3日後に組まれている仙台戦を見据えた「温存」という印象があったからだ。
しかし、一方で1人多い状態で2−0という優勢。
しかも、相手のキーマンであるユンジョンファンも前半途中で交代して、鳥栖の攻撃力は威力が半減していた。
余程の事がない限り問題ないとも思っていた。

そして「余程の事」が起きてしまった。

まず、後半の86分、柏の右サイドの甘い守備からドリブルで切り崩され失点。
その後、相手コーナーで時間を使う作戦をするが、ディエゴが最後の1プレーを時間稼ぎに使わずにゴール前へ蹴りこみ相手にボールを渡してしまう。
ゴールキックから右サイドに起点を作られ、やはり甘い守備からクロスを許し、これまた左サイドの甘いマークでフリーでヘディングされて同点にされる。

原因は?
ディエゴの軽率なクロス?
このクロスを決められなかった長谷川?
小林亮・小林祐三のサイドの甘い守備?
自分としては、個人個人の問題では無いと考える。
このゲームをドローにした真相は、技術・戦術の問題では無く石崎監督まで含めた意識の甘さだ。

流れが変わったのは、相手の退場だと思う。
流れというか、柏の甘い勝負意識が露呈し始めたと表現した方がいい。

以降、後半の柏の戦い方を見て、流しに来ている雰囲気がテレビからも感じられた。
目前の相手はサガン鳥栖なのに、「中2日の3連戦」「3日後の仙台戦」「体力温存」など、マイナスベクトルな別の意識が確実にあった。

鳥栖の立場で考えてみる。
「中盤で厄介な存在だったリカルジーニョが下がった」
「しかも後半は柏が労をかけずにゲームに入って来ている」
と感じた筈だ。
即ち「舐められている」と感じただろう。
しかもホームゲームで応援する多くのサポーターの前で不甲斐ない戦いは出来ない。
松本監督からも相当な檄が飛んだはずだ。
これで奮起せずにどこで奮起するのか。
前半40分頃の相手DF退場からの5分間は戦意喪失気味だった鳥栖だが、後半の鳥栖は1人1人の姿勢が全く変わったと思えた。

石崎監督は、鳥栖が後半より戦う姿勢を見せてくることを予想できた筈だ。
しかし、後半の柏は鳥栖とは正反対の方向に意識が変わってしまったと思える。
これを修正できなかったのは残念でならない。
ハーフタイムの15分間での意識付けに、両監督で大きな差があったのは確かだ。
またピッチ上の選手も、これまでのサッカー人生の中でマイナスの意識が及ぼす悪影響でゲームを壊した経験があると思う。
外から見ている人間が意識の甘さを感じるのだから、ピッチ上ではより悪い雰囲気が支配していた筈だ。
ベンチからの指示を待たずに自主的に修正しなければならない。

よく「ピッチには魔物が棲んでいる」という。
確かに魔物に仕留められた柏だが、このゲームを引き分けた原因は自らスキを与えた事に尽きる。
前半の圧倒的な優勢、相手の主軸選手の交代、相手選手の退場という魔物が与えたエサに、柏はまんまと食らいついてしまった。

これまで、柏も鳥栖の様な立場に陥った事が何度かある。
入れ替え戦の第2戦は永田が退場し、甲府相手2−6。
昨年の浦和戦は明神が退場し、0−7。
2003年の最終節FC東京戦、2−0の優勢から萩村が退場し、残り25分間で4失点した。
思い出したく無い記憶だが、この時の相手は一切手を抜くことはしなかった。
柏の選手やチーム、ひいてはサッカーというスポーツそのものに敬意を払っているからだと思う。

逆のケースでは、2002年2ndステージの名古屋戦、柏は3人の退場者を出してしまった。
しかし、結果は1−1のドロー。
このゲームは明らかに名古屋が柏に対するジャッジに同情していた。
その名古屋はここ数年低迷状態、今年は降格の可能性もあると思われる。
言葉は悪いが弱者のメンタリティから脱することが出来ていない様に感じる。

柏の場合もこの様なケースで叩きのめした様なゲームは非常に少ない。
例えば、昨年の天皇杯神戸戦だ。
神戸に3人もの退場者を出させ、圧倒的優勢の状態で引き分けだ。
試合後のコメントで「やりにくかった」と口々に言うが、そういう問題だろうか。
淡泊過ぎてはいないだろうか。

叩くときは徹底的にそして冷酷に叩かなければならない。
それがサッカー・勝負事への敬意に繋がり、チームはより成長していくのである。

これが出来なければ、いずれまた同じ過ちを繰り返すチームになり、決して勝負強く厳しく戦い抜くチームには成り得ないのである。
今の意識では昇格なんて絵空事。


選手・監督はもっとサッカーに敬意を払わなければならない。


この鳥栖戦、眠れないくらい悔しい思いをして欲しい。
そして生まれ変わるきっかけにしなければならない。
冒頭に5月14日を最悪記念日と書いたが、「再生記念日」と言えるようにして欲しい。

直ぐに仙台戦だが、グズグズとしている様では惨敗もあるだろう。
しかし、「鳥栖戦を忘れて切り替える」という意識ではダメだ。
鳥栖戦のゲームの問題は自分達の意識の中にあるという事を決して忘れず、この悔しさを思い切りぶつけて欲しい。

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2006年05月12日

鈴木達也の離脱の影響

ケガ人続出でまるで柏レイソル病院という惨状。
何とかやりくりしつつ第1クールは首位で通過した訳だが、今回の鈴木達也の離脱は本当に大きいと思っている。

今年の柏、主力のケガやコンビネーションの問題で入れ替えが頻繁にあるポジションと不動のポジションがハッキリ分かれている。

入れ替えが激しいポジションは特に左サイドで、過去、平山・ディエゴ・鈴木将太・永井・李忠成・柳澤などを起用、殆どのゲームで戦術的な交代をしている。
センターバック・フォワード・両サイドバックは主力のケガの為に他のポジションの主力をコンバートで埋めてきている。

こんなやりくりが続く中、ほぼ不動のメンバーもいる。
ボランチの山根、攻守の要であるディエゴ、右サイドの谷澤、そしてセカンドストライカー的な役割の鈴木達也だ。
このメンバーの共通点は絶対的な運動量で柏というチームのベースになっている。
料理で言えば、ダシに当たる。
反面フォワードなどの攻撃面の選手は、料理の具材の要素が大きい。
要は、起用するメンバーの持つプレイスタイル・特徴がゲームに反映する。
監督の仕事は料理人の最後の仕事である塩味・ハーブを効かすなどの味付け。
その時にあった具材をどのような味付けにして提供するのかという部分で差が出てくる。

サッカーを料理に例えるなんてナンセンスかもしれないけど、何が言いたいかというと、ダシがしっかりしていないと美味い料理は出来ないという事。
プレッシングサッカーが柏のサッカーの代名詞となってきた今シーズンだが、このプレッシングが出来なくなる最も危機的な状況である様に思われる。

あるワールドカップの統計では、近代サッカー確立の時代はフィールドプレイヤーの1試合あたりの走る距離はせいぜい5〜6kmだったらしい。
それが74年のオランダが登場し、最も走る選手で10kmもの距離を走る様になり、現在では10kmが平均値になってきているらしい。

柏のプレイスタイルは相手チームを凌駕する運動量でのプレッシングサッカーだから、1ゲーム当たりの移動距離は平均10kmを超えると思われるし、その中でも鈴木達也はプレッシングの先頭に立つ重要な役を担ってきた。
同じコンセプトで同じパフォーマンスを目指すのであれば、代役は鈴木達也並の運動量が求められる。

前節、途中で鈴木将太が代わって入ったが、その働きは鈴木達也の代役としては十分とは言えなかった。
現状のメンバーでは労を惜しまず動き回る事が出来る代役としては李忠成ぐらいではないだろうか。
しかし、李忠成は前節の様なシステムでは1トップのポストワークに体を張るというこれまた重要な役割をしなければならない。

こう考えると、かなり大掛かりなマイナーチェンジが必要になってくる様に思われる。
毎節難題を抱えてしまう石崎監督だが、この状況をどう打開するのか期待したい。
また、これまで通りチャンスが巡ってくる選手はこの機会を逃さずポジションを奪い取る気概を見せて欲しいところだ。


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2006年05月07日

風はどう吹いたのか〜草津戦(第2クール)

勝つには勝った。
しかしサッカーの内容を問えば厳しい1戦だった。
このゲームの大きなテーマは「風」と言えるのでは無いかと思う。
風は終始メインスタンドから観て左から右へ、柏G裏からアウェーG裏へ強く吹き付けた。

快勝の徳島戦に引き続き柏のシステムは4−1−4−1。
前節、異次元のテクニックでサポーターを魅了し、柏の攻撃を引っ張ったフランサは、今節はケガで欠場。
さらに豊富な運動量で不動の右サイドに定着した谷澤は警告の累積で欠場。
前節と同じシステムで臨むにあたり、どのようなメンバーを起用するのか注目された。
フランサの代わりは、札幌戦で同点ゴールを決め一皮向けた感のある李忠成が順当に入った。
右サイドのポジションには鈴木達也を起用。
鈴木達也は徳島戦ではトップ下での起用だったので、新しく入るメンバーとしては左サイドの平山という事になる。

ケガ人が多く未だにベストメンバーを組めない状況が続いているが、この厳しい中でも代替メンバーが結果を出してきているので、見劣りを感じない事が頼もしい限りだ。

1トップに入った李忠成だが、フランサのような相手を翻弄するテクニックは期待できない。
なので、いかに体を張ったポストプレーでマイボールに出来るか、そしてトップ下のディエゴ・リカルジーニョのブラジル人がいかにフォローし、ボールを展開できるかにかかっていた。
1トップのポストプレーなので、この日のテーマでもある風をどう読むかという事も強いられたが、好調なので期待を込めて観ることが出来た。
円滑にプレーできれば、李・ディエゴ・リカルジーニョでタメが出来、サイドの2人も高めで攻撃に参加することが可能になるし、重要なポジションと言える。

開始当初から優勢にゲームを進める柏だったがアクシデントが発生する。
右サイドで重要な役割を担っていた鈴木達也だったが、ゲームが落ち着き始めた前半20分前後でケガのため鈴木将太に交代。
しかし代わった鈴木将太には鈴木達也の様な運動量や積極的なプレスが見られない。
どちらかというと、札幌戦で見せたような「スペースを突くプレー」が持ち味なので、それとは真逆の「相手に向かって対峙していくプレー」では難しかったのかもしれない。

右サイドで問題を抱え攻撃が左に偏り始める柏だったが、この左サイドもスムーズだったとは言えない。
左サイドの問題は平山の低パフォーマンスに尽きる。
周りと連係携の悪さ、判断の遅さ、選択するプレーの拙さなどが目立ち、チームに全く馴染んでいない移籍選手の様だった。
平山のパフォーマンスがベストであれば、恐らく圧倒していたのでは無いかと思うだけに残念でならなかった。

両サイドが機能的で無い状況では、下位に低迷する相手であっても拮抗するのは必然。
いい連係が出ず、観る者を唸らせる様なクリエイティブなプレーは全くなかったと思う。
草津は中2日の厳しいスケジュールで臨んできているのに対し、柏は1週間準備出来ていた筈だ。
しかしこのゲームはむしろ草津の方がビルドアップに何人も選手が参加し、シンプルに柏ゴールを目指す形で、チーム自体の調子が良い様に感じられた。
柏は第1クールで同じ状況で横浜FCにいいようにやられてしまったが、やはりスケジュールの不平等などはあまり関係無いのだと思う。

チームの調子が思うように上がってこないゲームだったが、柏にはディエゴ・リカルジーニョという武器があり、この2人はいい働きをした。
ディエゴ・リカルジーニョでボールが収まるので本来であればもっと調子が上がってもいいものだが、ゴールに近づいた場所でシンプルにプレー出来なかった事が大きい。
またビルドアップの時点でのパスミスも目立った。
これでは、チームとして調子を上げて行く方が無理だし、自滅する可能性もあったと思う。

低調の柏だったが、前半30分のスローイングからのセットプレー。
ディエゴからの糸を引くような伸びる球質のクロスが入り、李忠成が叩きこむ。
ヘディングする側としては難しいボールだったと思うが、好調を維持する李忠成は見事なポジショニングとタイミングで決めてくれた。
ディエゴも強風に影響の少ない早いボールを入れる選択も彼ならではプレーだ。

先制点を機にペースを掴んだかと思った。
しかし追加点を奪うまでは行かないままハーフタイムとなる。
ハーフタイムに修正すると思ったが、メンバー交代を伴う修正は無かった。
そうなると、後半は柏が風下になる状況ではより厳しい戦いになる事が予想された。

草津は、風下の前半ではいいボールがFWに入らなかったが、風上にたった後半トップへどんどんロングボールを当ててきて、これを起点に攻撃に厚みを出す事を指向してきた。
柏は、前回対戦では岡山が太田の高さを封じ込めたが、岡山のいないこの対戦では太田対策をしっかりやってきたと思う。
逆に草津は柏のDF陣に高さがない事で太田の高さを糸口にしようと思っていたはずだ。
しかし、大きいだけであまりポストプレーが上手くない選手なので、高さで勝ってもそこからキープし相手のフォローを待つなどの器用さは無かった。
柏にとっては、この様な中盤を作らずにFW太田へのロングボール主体で攻めてきて助かったと思う。

後半74分に草津は太田を下げ、ロングボールのポストプレーを諦める。
「気づいたか・・・。」と思ったが、これで柏は劣勢になってしまったと言えるだろう。
どうにもミスが重なりパスが繋がらない柏と、いい組織プレーが出てゴールに迫る草津という図式。

しかし追加点が思わぬ形で柏に入った。
センターライン付近からのリスタート。
無策のロングボールが草津ゴール前に入るが、強風で戻りペナルティアーク付近へ。
草津DF陣は一瞬集中が途切れボールを見失い、好調の李忠成がマイボールに。
そこにスピード上げてディエゴが走り込み、李忠成が難なくアシストして叩きこんだ。
この背景にあるモノは石崎監督のシステム変更にあると思う。
中盤で運動量が落ち消えかかっていたリカルジーニョに代えて永井を投入。
ディエゴをトップに上げて4−4−2にした事で、李忠成の近くにディエゴがポジションを取らせた事が功を奏した。
この1点は両チームにとって非常に大きかったと思う。
特に草津は何でもないフィードボールからの失点だけに悔やみきれないだろう。

草津のいい攻撃もこの失点直後にやっと実を結んだ。
何度か柏のサイドを突破していた草津だったが、柏の右サイドを破りフリーで上がった7番の選手が柏のゴールを割った。
これは非常にいいゴールだったし、ゲームの趨勢からすれば当然の結果だった。しかしその後の柏の集中した守備を前に同点とするまでには至らなかった。

前回対戦で4−0で下したが、今回は2−1。
ゲーム状況が等しく結果が出るとすれば1−1の引き分けが妥当に感じる。
しかし柏が勝利を得た要因は、ベースのチーム力に差はあったが、もう一つ「風」だったと思われる。
風に頼らない方がいいゲームが出来た草津。
よく風を読んだプレーで風を味方に出来た柏。

柏としては、前回圧勝した相手という事もあり多少油断はあったのかもしれない。
無かったとしても、ちょっとしたバランスで相手がどこであれ結果が分からなくなるのもサッカーだ。
前節素晴らしいゲームを見せてくれた柏だったが、このゲームは本当に厳しかったし危なかった。
しかし、ゲーム後の監督・選手のコメントを読む限り、このゲームが非常に良くない内容だった事を気づいている様なので、次節には立て直して欲しい。

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2006年04月29日

名実ともに柏の一員となった雷様〜徳島戦

ナイスゲーム!!
と叫びたいゲームとはこのゲームのことを言うのだろう。
躍動したブラジル3人衆。
引っ張られるように動き回った谷澤・鈴木のダブル達也。
中盤の底で相手の攻撃を見張る山根。
安定した大谷・小林亮のサイドバック。
冴える読みで徳島の攻撃を止めた瀬戸。
札幌戦の劇勝からの勢いをそのままホーム日立台へ持ち帰りサポーターに見せつけてくれた。
途中出場ながら4点目を奪うプレスを忘れなかった石館も印象的なプレーを見せてくれた。

やはり前節の札幌戦の勝ち方が良かったのだろう。
チーム状態云々以上に、チームの雰囲気が非常にいいと言う事を間近に観ることが出来、それが嬉しい限りだ。

今日のゲーム、スタートフォーメーションとしては4−1−4−1という形なのだろうか。
それとも4−1−3−2と言えばいいのかな。
1トップにフランサが入り、スタープレーヤーとしては嫌がる泥臭いポストプレーを率先して行い、2列目に効果的に落とす。
鈴木達也と谷澤の素晴らしい運動量でボールを拾いプレスを掛け続け、リカ・ディエゴ・フランサのブラジル人独特のコンビネーションが入る。
アッと言う間に時間が過ぎ、正直タイムアップのホイッスルが気付かなかった。
出来ればもっと観ていたかったという思いが強い。

今日のゲームは、今シーズン柏がこなしてきたゲームとは大分違う様に思う。
これまでは、積極的なプレスに人数を掛けて一気にボールを囲い込み奪取する。
その数的優位を攻撃の厚みに変え、一気に相手ゴールに迫る事を目指してきた。
しかし、常に一定の精度があれば問題なく回避できるのだが、各々の局面で精度に差があり、調子の良し悪しによってはパスミス・ランニングミスが発生、次第に連係を欠いて調子を落としていたように思う。
偏に集中力の問題と括られがちだが、技術・アジリティの個人差の影響も大きかった。
要は好パフォーマンスを出す条件・ハードルが高めだった様に思う。

しかし今日のゲームはブラジル人を中心とした連係プレーがゲームの核で、プレッシングや運動量は脇役だったと感じた。
山形戦の後「サッカー脳になっていない」と書いたが、あのようなブラジル人の織りなすイメージに引っ張られ、山形戦の苦悩はどこへ行ったのやら・・・?と不思議に思うほど。
消失していた連係があらゆる場所で生まれた。

この様に書くと全く不安は無いように思われてしまうが、気になる事はある。
1つはブラジル人の先輩2人が復帰してきて垣間見せたディエゴの変化。
仕方ないと括れない事だと思うのだが、ディエゴからのパスは殆どがブラジル人だった。
鈴木達也がいいポジションにいるケースが何度かあったのだが、彼の選択の90%以上は先輩ブラジル人を選んでいた様に思う。
自分はこれを「ブラジル病」と名付けたい。
いいポジションを取っている選手に常に(迷い無く)出せないと、4回対戦するJ2では間違いなく研究されてしまうだろうし、悪くするとチーム崩壊の火種にも成り得る。
以前も「韓国病」にかかった2人がいたことは記憶に新しいところ。
ただ、先輩ブラジル人の2人はこの厄介な病気にかかるタイプでは無いし、監督も信頼出来るので修正できるだろうし大丈夫だと思ってはいるけどね。

それと、あまり心配はしていないけどリカルジーニョのコンディション。
2ゴールを決めてどうして???と思う人も多いと思うけど、全盛期の頃に比べてはまだまだ出し惜しみな気がした。
いいシュートが2本出たけど、彼の醍醐味は中盤を走り回る運動量と読みの深いパスカットだと思う。
山根という守備が上手い中盤がいるので良かったが、相手の攻撃力が強い上位陣との戦いでは、中盤を制圧する運動量で威力を発揮しないと厳しい戦いになる気がした。
でもこれは試合感が解決してくれるだろう。

ところで、皆さんはいつも日立台のどこで観ているのでしょうか。
自分が観戦している場所は、結果優先でサッカーの内容・技術をあまり評価出来ない人がチラホラいます。
プロサッカー観戦という娯楽ですから、人それぞれの楽しみがあっていいと思っています。
しかし今日のゲームは、自分はフランサがやっとこういうサポーターに認められた様な気がして非常に嬉しいのです。

今年最初にフランサがスタメンで出場した愛媛戦、そのサポーターは
「フランサ〜?!」
と不満一杯ブーイング紛いの雄叫び。

まぁ無理は無いでしょう。
昨年のフランサを観ていれば苦い記憶の象徴。文句の一つや二つは出てきても仕方がない。

フランサの経歴は目映い程輝かしいが、昨年は全くその力を発揮出来なかった。
試合出場はリーグ戦4ゲームに留まりフル出場はゼロだったし、入れ替え戦第2戦では途中出場時にホームのサポーターからブーイングすら浴びている。
そんなフランサに対し、波戸や大野などの日本人主力メンバーからはあからさまに批判のコメントが出たことも。
さらにサポーターから一定の指示を得ていて、助っ人外人選手として一時期チームを支えていたリカルジーニョは、弾き出される形で鹿島へ移籍する事態まで招いてしまう。
結局、最後まで日本人選手との連係が取れずチームの纏まりを崩す一因となってしまった事は否定出来ないでしょう。

しかし一部サポーターは、数少ない出場機会で見せた彼の素晴らしい技術を評価する人もいたと思います。

降格後、クレーベル・レイナウドの二人はブラジルへと帰国していきましたが、予想外にフランサは昨年の低迷・降格に責任を感じて柏に留まる決意をしました。
引く手あまたのオファーが届く中、また柏に籍を置くとは全く予想できませんでした。
そんな気持ちの熱さは見放していたサポーターの気持ちを変えるきっかけになったはずです。

今年に入り出場も5ゲームを数えますが、昨年までのコンディション不良や不人気でブーイングを浴びる姿はありません。
むしろ、フランサの応援歌がこだまするシーンの方が遙かに多いでしょう。
12ゲーム消化中5ゲームしか出られていない事はまだまだ寂しいですが、後36ゲームもフランサを体験できるのですよ。
今年の終わりに大声で「オブリガード! フランサ!」と叫びたいですね。

revivereysol at 23:30|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2006年04月23日

執念+集中力>戦術+技術 〜札幌戦

話にならない程怪我人が多く、思うような戦いが出来ない柏の台所事情。
実力ではJ2上位という評判の札幌に対し、苦戦は必至だった。
そしてスタメンが発表され、正直目を疑った。

この非常事態にFWに入ったのが平山・・・?
プロ入り時はFWで入ったのだが、あれから10年間FWなどやっていないはずだ。

ゲームが始まって見たら忠成の1トップで1列下がったトップ下という位置だったが、この厳しい時にスタメンに入れないFW陣は何をやっているのかという訝しい思いが強かった。

そして前半、平山のFW起用はやはり空回りという印象だった。
ボールが入ってもそこから次の展開を考えている様なところがあり、直ぐに詰められてしまう。
実際にフォーメーション練習をしたのは2回ぐらいだろうし、上手く機能するわけが無いのだ。
こういう厳しい状況だからこそ、奇を衒う様なやり方でなくFW本職の人間に出て欲しかったところだ。

案の定札幌に押し込まれる。
札幌のフッキへのフィードから始まるビルドアップに加え、強風の風上という状況もあり、柏としては持ちこたえることが精一杯という印象だった。
しかしこのゲームの柏は前節までの連敗の状況と明らかに違いが感じられた。
それは選手各々の前へ出る気持ち・玉際の厳しさだ。
連勝中の連動したプレッシングが甦ったとは言えないが、明らかに選手の気持ちが感じる事が出来た。
この若いチームで手応えを掴めば、チーム力のベースアップにつながると思っていた。

非常に期待感を感じながら見ていた矢先、連敗中の悪癖となってしまった早い失点を食らった。
警戒していたであろうフッキにスピードで振り切られ、豪快に決められた。
スピードと言っても、特にトップスピードまでが早く素晴らしい能力と言える。
振り切られた岡山はあれだけスピードがあるとは予想外だったのではないだろうか。

形を崩された事は確かだが、個人技によるファインゴール。切り替える事が出来るゴールだ。
フッキを止めるには、彼に入る前の段階で止めなければならないと言うことがハッキリしたゴールでもあった。
要は中盤のプレッシングがポイントだ。

失点以降は中盤での主導権争いが続く。
ただ、柏はいい形で攻撃に入っても新興のシステム・選手でいい連係が出ず、徐々に札幌に押し込まれていった。
攻撃面で形が出来ずチーム全体にフラストレーションが溜まり自滅する事もよく起きる。
さらに、途中で岡山が負傷退場したアクシデントも起きてしまった。
柏にとっては最も欠いてはいけない選手である。
しかし、南・大谷・祐三を中心に、柏の守備陣は本当に良く耐えたと思う。
この時間帯を守り切れたことが後半の形勢逆転に繋がったと言える。

後半、柏が風上に立つと前半とは全く違った展開になる。
この日の柏は前述の通りのサブメンバー。
前半は、準備時間も無いに等しい即興メンバーの為パスが回らず、忠成のポストも潰されて前に起点が出来なかった。
しかし、岡山に代わって入った鈴木将太が札幌3バックのサイドのスペースを献身的な走り込みで突き続ける作戦が成功した。
岡山が負傷したことである意味吹っ切れて、今いるメンバーで出来るサッカーに集中した事が攻勢に繋がった様に感じる。
前線で時間が作れた事で、中盤のプレッシングもいい体勢で挑め、全くチームが入れ替わった様だった。
後半については中盤を制したのは柏だったと言える。

鈴木将太が機能した事で、おぼろげに方向性が見えてきた柏は谷澤に代えて宇野沢が入る。
柏にとって谷澤は、サイドでの起点作りやドリブル突破などいいアクセントになり大きな武器だったが、札幌相手に後半機能した作戦では前線での圧力を増した方がいいという判断だろう。
宇野沢・忠成・鈴木将太の3トップで、3バックのサイドのスペースを狙い、平山・小林亮がフォローするというやり方だ。
この宇野沢投入という判断でより戦い方が明確になった事も大きかった。

背水の陣で臨んだ札幌戦だったが、期待した若手が2ゴールを上げ、ロスタイムで逆転し勝ち点3を獲得というこれ以上ない形だ。
ビジネスでは、ピンチは逆に普通は発想出来ない方法を生み出すチャンスと言われる。
この札幌戦は、怪我人続出で指向するサッカーが出来ないピンチをチャンスに変えたナイスゲームだったと思う。

このゲームの功労者は?
マン・オブ・ザ・マッチは?

と考えるが、一個人名よりもチーム全体だと思いたい。
それは出場した選手だけでなく、ベンチの選手・柏に残った選手・指導陣とサポーターだ。
各々の立場で、やるべき仕事への集中力・局面での執念を強く感じた。

しかし柏のピンチの状況は暫く続くのである。
早晩、山根も累積警告で出られないゲームも出てくるだろうし、負傷した岡山も1ヶ月は無理だろう。
だが、「この札幌戦を力に出来なくてどうするのか?」という強い気持ちを持ち続けなければならない。
若手は大きく自信を得たと思うが、これから数試合が大事だろう。
次節徳島は下位ではあるが慢心は不要、厳しい戦いになる事を念頭に置いて望んで欲しい。
特に若手は心のスキが直ぐに出来てしまうモノだ。
今こそベテラン陣がチームを締める時だ。

revivereysol at 13:25|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2006年04月19日

サッカー脳になっていない〜山形戦

負けましたね。気持ちよく。
しかし、いい感じで切り替えさせてくれたということでしょうか、神戸戦に比べ悔しさみたいな感情はありません。

前節神戸戦ではワンチャンスをモノにしたかどうかが差になって現れたと書きましたが、こういう考え方が甘いと思い知りました。
「先取点が取れていれば・・・」の様な考えが頭に残っていては恒常的にチーム力が上がっていく筈が無い訳です。
要は結果論ですからね。
もちろん先取点とは、以降の戦い方・ゲームへの意識も全く違うモノになるし、取れるに超したことは無い。
しかし、どんな状況でも冷静に自分達のサッカーを実践できるようにならなければ、リーグ戦で結果は出ないでしょう。

この山形戦も先取点を奪われてチームのマインドが崩れた自滅型のゲームと言えるのでは無いかな。
そういう意味では神戸戦と同様なのだが、加えて目立ったのがこれまでゲームに出られなかった人間が入ることで崩れるバランスの悪さだ。
山形戦では、平山の復帰・宇野沢の起用・瀬戸の右サイド起用というところが新しかったが、各々と他のメンバーとの連係が非常に悪い。

全員守備・全員攻撃を標榜するチームで、ピースの一つが違う動きをするとそれだけでグニャリとバランスが崩れるもの。
それが山形戦は3人もいるのだ。
1回でも2回でもいい連係が出ていれば疑心の様なモノは出てこないだろうが、山形戦は正直形が作れなかった。
そのうちにピッチ上の選手一人一人が違う形を描き出して自滅していったと感じた。

自信を失ったチームに出る大きな現象はパスが繋がらなくなるという事。
このゲーム、本当にパスが繋がらなかった。
これをパスミスと言うかもしれないが、自分はポジションミスと言いたい。
いるべき場所にいないし、走れない。
ミスをしたくないから安全に後ろ目のポジショニングになる。
ピッチ上の選手は全くイマジネーションが沸いていなかったのでは無いだろうか。
まるで実戦テストを受けていて、サッカーを楽しんでいない様に見えた。
一言で言えばサッカー脳になっていない状況。

ほんの3週間前までは、溢れるイメージを感じることが出来る良質のエンターテインメントと思えたが、少しずつ歯車がかみ合わなくなる事で全く違うチームに見えてくる。
ゲーム前はいろいろなケーススタディを重ね、自信を持って臨んでいる筈だが、少しでも崩れると修正する為の拠り所が無く方法も分からないのだろう。
これは若いチーム故の経験の無さと言える。

反面山形のカウンター・ビルドアップは殆どパスミスが起きない。
もちろん山形が練習を重ねてきた事もあるが、柏の守備のイマジネーションが沸かない事も大きい。
いい時期であれば相手のボールの動かし方の先を読めてパスカットに成功してきた。
しかし、何回か切れ味鋭いカウンターを見せつけられ、そのうち2本決められて、気持ちも体も後ろ向きになってしまっていた。

まだまだ柏レイソル全体に目指すサッカーの形が浸透していない事を見せつけられたゲームだった。
思えば当たり前なのかもしれないけどね。
新チーム結成からまだ3ヶ月ぐらいなのだから。
山形戦のゲーム前、「サッカーを楽しもう」という前向きなコメントも発信されていた。
この意識も前半10分過ぎには吹き飛んでいただろう。
同じ事なのかもしれないが、今度は「柏のサッカーをしっかり思い浮かべよう」と思って欲しい。
でもね、変にネガティブになることは無いと思う。
石崎監督も含めて。
嵌った時のサッカーは、見ている者にサッカーの楽しさを感じさせるゲームだった事は事実だし、この精度を上げればいい。
まだまだ浸透していないという事はもっともっと良くなるという裏返しでもある。
今こそチームが纏まらなきゃいけない。

次節はディエゴ・北嶋が不在。
特に下馬評ではディエゴ不在は影響が大きいと書かれるだろう。
しかしディエゴがいないからこそのサッカーもあるはずだ。
2002年の磐田戦だったかな。。。日本人のみで逆転したゲームの様に他メンバーの奮起を大いに期待したい。
準備の時間が少ないことが残念ではあるが。
下馬評通りだったら今期最も残念な気分になるだろう。

ちょっと余談なんだけど、山形というチームについて。
これまでJ1であのようにゴール前を固めて安全にクリアし、あいてのバランスが崩れたところで一気にカウンターを仕掛ける様なチームって無かった気がする。。。
と思っていたら不意に頭に「早野レイソルの目指す形はこうだったのかな」と浮かび妙に納得した。
完成された早野レイソルって感じかな。
やっぱりこういうチームには絶対先取点は与えちゃダメだね。
失点しなければそのうち相手が勝手に崩れるから。

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2006年04月16日

ワンチャンスの差が大きな差〜神戸戦

昨日は深酒をしてしまい、二日酔いの頭痛を抱えてしまっています。
それにしても課題が多く、書くことが多いゲームだ。
一言で言うならば、「まんまと神戸の術中に嵌った一戦」と言えるのかなと思っている。

連敗は避けたい両チーム。
公には疲労の蓄積が原因で思うようなサッカーが出来ずに惨敗した柏。
中6日のインターバルを得て、前節の様な言い訳は出来ない状況を抱えていた。
神戸は、先制しながらもその後の戦い方に改善点がある状況で今節を迎えていた。
共にこの1戦に対する準備は周到に行ってきたことだろう。

前回の投稿で、横浜FC戦の柏の問題点は、
(1)連勝による慢心や過信・若さ故の気持ちの持ち方
(2)両サイドの裏に出来るスペースとボランチの山根を外された時に出来る組織面の問題
(3)ディエゴに頼りすぎる攻撃面の戦術
(4)そして連戦による疲労
の4点を指摘した。

今日のゲームを見る限り、疲労は十分に回復している様に見えた。
組織面の問題も出無かった。
戦術については、ディエゴに頼りすぎる様な無策は見られなかった。
なのに結果は敗戦だ。
力の差が無いとすれば、原因は残り一つ・・・「気持ち」の面だと思わざるを得ない。
一言に「気持ち」と言ってもいろいろあるのだが、自分が感じたのはホームゲームの魔者に飲み込まれた自滅という印象だ。

神戸の場合、今日のゲームに臨む意識はハッキリとしていた。
それは気持ちを切らさないこと。
それを神戸は90分間見事にやってのけたと評価できる。
前節の反省を踏まえ、選手全員が集中を切らさない。
しかも前節のような、早い時間帯での先制という理想的な復習の形で。
相手よりも早くボールに触ろうという意識・気合いが漲り、出足が速く、玉際の厳しさが目立った。
退場にならなければファールも厭わない。
これまでの対戦相手は柏のプレスを避ける様な事をしてきたが、神戸は真正面から受け止め、しっかりと跳ね返した。
柏にとって、この様なチームはJ2で初めてでは無いだろうか。

後半に入ってからはゴール前をガッチリと固めてきた。
神戸と言えば、昨年の天皇杯で退場者3人を出しながらもゴール前に人を集めて120分間守られた事もあった。
今回もあのゲームのように水も漏らさない程の強固な組織。
あれだけゴール前を固められては、シュートはおろかパスも満足に通らない状況に陥った。

今日のゲーム、柏としては三浦の対処はかなり意識していただろう。
これについては、三浦が決定的な仕事を終始させること無くマークすることに成功した。
しかし、もちろんサッカーは11人でやるスポーツ。
一人に意識が行くと空いてくる選手がいるのは必然だ。
今日の場合は朴康造だった。
彼が度々フリーになる場面が見受けられ、危険な存在であった。
それと厄介だったのが茂木だろう。
173cmという小柄ながら強い体を生かしたポストプレーは、ワントップを十分にこなしていた。
終始祐三がマークしていたが、彼のキープで作り出す時間は神戸の組織を整備するには十分だった。
マンオブザマッチを決めるのであれば朴か茂木のどちらかだろう。

立ち上がりこそ柏が前目でボールを奪取し相手ゴールへ迫る。
気迫が感じられ、全体的に各選手がいい動きを見せていた。
北嶋のいいポストプレーからコーナーキックを得て、柏にとって最初の決定機が早くも訪れた。
が、しかしディエゴが流した岡山のボレーは枠を捉えることなく柏ゴール裏へと消えていった。

対して神戸。
最初の決定機で決めてきた。
得点を決めたのは8番だが、絡んだ朴康造のワンプレーで決められた形だ。
以降、神戸は理想的なゲーム運びを見せ、柏は上手くいかない焦燥感に支配され続けた。

結果的には、この両チーム平等に訪れた決定機が勝負の分かれ目になった様に思う。

しかし、この時点で残り85分以上あり、まだこれからという雰囲気はチーム・サポーター共にあった。
その後、12分過ぎに山根に決定機が訪れる。
これまで、柏のシュートは4本を数えていた。
今日柏の総シュート数は7本なので、以降の78分間で3本のシュートしか打てなかった。
これが非常に大きな問題だ。

シュートが打てないほど押し込まれていない事は、選手は十分分かっていたはずだ。
シュートを大事にしがちなるのは分かるのだが、打てるときに打たないとゲーム自体が「打たない流れ」になってしまうモノだ。
その悪循環に嵌ってしまった事は非常に残念。
さらに、この後ろ向き(シュートを打たない)意識は周りに伝染し易く、結果局面で難しい選択をしたり、いい形を作りたがる流れになってしまう。
自分達でサッカーを難しいモノにしてしまっていた。

ポストプレーについても精度が低く連動した厚い攻撃は出来なかった。
しかし、北嶋のポストが悪いとは思えない。
くさびについて、中盤やDFは厳しいボールをキープして欲しいと考えるだろうし、FWはいいボールを欲しいと考えるだろう。
北嶋のポストプレー以前にいいボールを入れることが出来なかった事が大きい。
北嶋としてはボールに触る事が精一杯だったと思う。

FWポストが悪い

フィードボールが悪い

ギリギリで守備せざる得ない

中盤で劣勢でボールを取られる

FWポストが悪い

結局はいい形で守備が出来ていないことに尽き、中盤での戦いに負けたと認めなければならない。

ポストが出来た上で指摘したいのが中盤との連係不足だ。
鈴木達也や谷澤の両ウィングバックも大分絡もうという意識は見えるがまだ連係不足が顕著。
4−2−3−1でポゼッションフットボールをするのであれば、ワントップ北嶋との連係が不可欠だ。
トップに当てられないとなると逃げ道はディエゴになってきて、そうなると相手の思うつぼになってしまう。

上手くゲームが進められないホームゲームの典型。
先制点を早い段階で取られ、神戸のアウェイの術中に嵌ってしまった。
神戸という相手以上に自分達で精神的なバランスを崩し、強い気持ちを持ち続けられなかった。
自分達でサッカーを難しいモノにしてしまった。
つくづくサッカーとは難しいスポーツだと感じながら見ていた。
しかし、こういうゲームを跳ね返す力を持たないとJ2を制する事は不可能だろう。

まずは、今一度「シンプル」「シュート」という意識を思い出して欲しい。

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