2006年12月14日

06年の海外遠征を振り返って思うこと。


さて、まず私は06年が海外遠征におけるターニングポイントであったというのは間違いないでしょう。その上で、まずは「海外遠征に関する今年よりも一つ前のターニングポイントはどこか」という問題を提起したいと考えます。これは香港でのG1の3連勝の年(2001年)なのだろうと考えております。この3連勝によって「香港なんか普通に勝てるじゃん」みたいな空気が漂ったというのも勿論ありますが、その実、海の向こうでもデットーリだったかの発言「日本馬を負かすには一線級を連れて来なきゃだめだよ」や「この勝利によって欧州、北米、日本という三極状態を迎えるかもしれない」なんて記事もあった位(うろ覚え)ですし、この3連勝というのは日本側のターニングポイントというよりもむしろ「日本馬を負かそうと思ったら一線級を連れてこないと厳しいかもねぇ」と諸外国に認識させた、日本馬の強さというのを認めさせたという面でのターニングポイントだと思います。まずこれが表の理由としましょうか。

これだけならばシーキングザパール、タイキシャトル、アグネスワールド、エルコンドルパサーなどの活躍(98〜00年)もあったじゃんということもあるかとは思いますが、01年の場合は「内国産馬の活躍」というのが大きいのだろうと考えます。先程名前の挙がった4頭はすべて外国産馬です。それに対して01年の場合、トゥザヴィクトリー、ステイゴールドという2頭の内国産馬のドバイでの活躍がまずあったこと、暮れの香港3連勝というのはエイシンプレストン、ステイゴールド、アグネスデジタルの3頭によるもの。エイシンプレストン、アグネスデジタルの両馬は外国産馬ですが、ステイゴールドはやはり内国産であります。こちらが裏の理由とでも言いましょうか。そう考えるとあれだけの人気を集めたステイゴールドと、サンデーサイレンスの偉大さというのが浮き彫りになってくるでしょう。サンデーサインレンス産駒を海外のバイヤーが注目し始めたのもこの辺りではなかったでしょうか(殿下の代理人がサンデーサイレンス産駒とか買ってたのってこの時期だっけ?)。

そして何より、私を含む一般の競馬ファンに衝撃を与えたのは「その当時の最強馬が遠征せずとも十分に闘える」ということを示したことでしょうか。



今年は日本側の意識が更に変わる一年であろうというのは、ディープインパクトの凱旋門賞遠征が発表された時点で、ある程度予測できたと思います。02年のドバイに遠征するはずだったクロフネ、同じく04年のドバイにタニノギムレットが行くという話はありましたが、どちらも故障のために遠征が叶わなかったことは記憶に新しいでしょう。06年は世代を、いや、ここ数十年に一頭という名馬を得ての遠征が実現したことです。そしてまたそのディープインパクトに土をつけたハーツクライが遠征したというのもあります。「ここで勝てなかったらいつ勝てるんだ」という空気が蔓延していたのも事実です。では、今年の海外遠征を振り返ってみます。

今年のG1勝利というのはDubai Sheema Classic(UAE-G1 T2400m), Singapore Airlines International C.(SIN-G1 T2000m), Melborne C.(AUS-G1 T3200m)という3つのものでした。この3つのレースはそれぞれのカテゴリにおいて重要な一戦であったこと(メルボルンカップなんざその路線のトップであるわけですし)に疑いの余地はありません(シンガポールだけは今年はちょっと面子が、という感じでしたが)。それに加えてPrix de l'Arc de Triomphe(FRA-G1 T2400m), King George IV & Queen Elizabeth Diamond S.(GB-G1 T12f)での両3着(前者は失格ですが)がありました。ディープインパクト、ハーツクライの2頭をして勝てなかったということはある意味諦めがつくというところでしょう。

というのが一般的な見解なんだろうなと思います。頂上のレースなんてのはその年にめちゃ強いのがいるかいないかという面が大きいわけでして、問題はそれ以外のレース。「勝てるレースをどれだけ落とさなかったか」というところに尽きるのではないかと考えています。そして今年はそれが素晴らしい。ダンスインザムードのCash Call Mile(USA-G3 T8f:来年はG2だしもう数年でG1になるのは間違いないレース), アサヒライジングのAmerican Oaks(USA-G1 T10f)での2着、ユートピアのGodolphin Mile(UAE-G2 D1600m)での勝利もそうです。先に挙げてしまいましたがMelborne C., Singapore Airlines International C.での2勝というのも「日本で最高のお馬さんが挑んだのではない」というのがわかっていながら「人気に推されて勝った」というのが非常に大きいのです。事実、この2勝は現地で2番人気(1番人気は角居師が吹いたのでアイポッパーでしたが)、3番人気に推されていたはずです。前者はハンデ戦であるために少々人気面での評価が微妙になってきますが、そこは「日本産馬によるワンツー」というのを評価したい。Hong Kong C.(HK-G1 T2000m)でのアドマイヤムーンの6番人気2着も「Prideには勝てるわけないか」と考えてしまえばまたきっちりと走ったと考えられます。

日本馬が海外で評価されるということは「内国産馬で単発ではなく恒常的に強い」ということを認識させることが重要であります。そして、生産における血統というのが欧米の主流とは少々異なる(サンデーサイレンスがいるってのが一番なんだけど)という現状において、海外諸国に「どれだけ内国産馬でやれるか」を評価させること、そしてまた「勝つべくして勝った」と認識させられたことに重きをおきたいと考えます。じゃないと生産者の目が向かず、パート1国になったと言っても形骸化してしまうだけになるでしょう。こういったことから今年の遠征は実のあるものであったのではないか、と考えます。

と勢いだけで書いたエントリでごめんなさい。

by ろぜ  
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2006年11月28日

凱旋門賞における斤量差の存在。

少し古い話題。斤量差って一口に言うけど、なんだろうねって話。

Prix de l'Arc de Triomphe(FR-G1 T2400m:凱旋門賞)の後、池江師が「3歳馬には要注意と言われている通り、斤量の差もあったかもしれません。」という言葉を残した通り、こと凱旋門賞においては「斤量差」について語られることが多いように感じます。3歳馬がここ12年で10勝という3歳馬有利な条件の下で施行されているのですが、これは一般的に3.5kgという斤量差のせいであると言われています。

では凱旋門賞の過去のデータを少し漁ってみたいと思います。斤量差とその間の古馬と3歳馬の勝ち数の比較についてはこのようになっています。また、牝馬は全て-1.5kgになります。

1920 - 1929 古馬 60kg - 3歳馬 55kg (古馬2勝 vs 3歳馬8勝)
1930 - 1975 古馬 60kg - 3歳馬 55.5kg (古馬18勝 vs 3歳馬26勝)
1976 - 1994 古馬 59kg - 3歳馬 56kg (古馬10勝 vs 3歳馬9勝)
1995 - 2006 古馬 59.5kg - 3歳馬 56kg (古馬2勝 vs 3歳馬10勝)

ということで、最初の10年は5kgの差が、その後46年もの間は4.5kgの斤量差があったんですね。知らなかったとはいえ驚きました。といっても、血統や馬産、育成、飼料などお馬さんを取り巻く全ての環境が様々な面で今とは異なっていたでしょうから、3歳馬の10月時点での成長度合いが現在と同じであるかという点は一概には比較できないでしょう。

さて、ターニングポイントは1976年に訪れます。4.5kgの斤量差が一気に3kgにまで縮まります。但し、1966-1975年までの10年間を見ても古馬4勝 vs 3歳馬6勝と、特に偏りが出ているわけではないのですが、何かしら変更する理由があったのでしょうか。余談になりますが、この1976年はKing George VI & Queen Elizabeth Diamond S.(GB-G1 T12f10y)の古馬と3歳馬の斤量差が1951年の創設以来初めて変更(14lbs→13lbs : 1ポンド減った)された年でもあります。英国と仏国の大レース(この時期のこれらのレースの位置付けについては詳しくないので指摘があればお願いします)が揃って古馬と3歳馬の斤量差を縮めるというのも、何かを暗示しているようではありますが。

次に1976-1994年までの19年間は古馬10勝 vs 3歳馬9勝と、大変拮抗していることが数値にも現れています。しかし、1995年にこれまでとは逆に斤量差3kgから3.5kgに広がっています。この時期の変更ならば何かしらの発表や報道の記録(斤量差の変更理由について)が残っているのではないかと思い探してみたのですが見つかりませんでした。10年以上海外競馬をご覧の方ならば知っていらっしゃるかもしれません。

そしてその後の1995-2006年まではご存知の通り、古馬2勝 vs 3歳馬10勝となっています。斤量差が3.5kgから3kgになっただけで、これほど有利不利が出てしまうというのも興味深い結果です。この2勝というのはいわゆるヴィンテージイヤー、つまり2000年に3歳だった世代でのものです。これは00年 1着 Sinndar, 01年 1着 Sakhee, 02年 1着 Marienbard, 03年 2着 Mubtakerと、こと凱旋門賞においては抜群の相性を示した世代のことを指します。

ここで少し視点を変えてみましょう。凱旋門賞はセン馬が出られないということからも、ある程度「繁殖馬選定」に重きを置いた(それはどれも当たり前なのかもしれないが)「世界最高峰のレースを目指した」レースと言えるでしょう。同様にレースの成り立ちはかなり違うかもしれませんが2400m, もしくは12fで行われる古馬混合の大きなレースということで先程話題にのぼった英国の"King George"を比較対象として考えてみたいと思います。こちらはセン馬も出走することができますが。このレースは7月下旬に行われますが、この時期の3歳馬は成長曲線の傾きがかなり大きな時期だと考えられるので、古馬の実力差というのは秋口に行われる凱旋門賞よりも評価が難しいところだと考えられます。ということで、今度はこちらのデータを出してみます。牝馬はそれぞれ-3lbs(1.4kg)です。

1951 - 1956 古馬 130lbs(59.0kg) - 3歳馬 116lbs(52.6kg) (古馬2勝 vs 3歳馬4勝)
1957 - 1975 古馬 133lbs(60.3kg) - 3歳馬 119lbs(54.0kg) (古馬12勝 vs 3歳馬7勝)
(上と合わせると、古馬14勝 vs 3歳馬11勝)
1976 - 1989 古馬 133lbs(60.3kg) - 3歳馬 120lbs(54.4kg) (古馬5勝 vs 3歳馬9勝)
1990 - 2006 古馬 133lbs(60.3kg) - 3歳馬 121lbs(54.9kg) (古馬10勝 vs 3歳馬7勝)

さらにこちらは面白い統計になってしまい、あまり比較の意味を持たなくなった気がするのは私だけでしょうか。但しこのレースの場合、時期柄か3歳馬の参戦が無い年があります。最後に斤量差変更が行われた90年からの17年間で、3歳馬が出走しなかった年が2回(02, 06年), 3歳馬の出走が1頭だけなのが4回(90, 97, 04, 05年)ということでして、確率論的に言えば凱旋門賞よりも古馬勢の勝つ可能性が大きいということになります。しかし、勝ち馬や面子について各個の年について考え出すとキリがないので、ここでは統計的に物事を考えたいと思います。つまり、King Georgeの場合はちと偏る位でちょうどいいかと。現在は古馬29勝 vs 3歳馬27勝です。
King Georgeは「古馬と3歳馬が大体同じ位の勝ち数」という印象だったのですが、デコボコがちょうど良い感じになっているというのが真相でした。創設当初の斤量差は14lbsで、57年の変更は両者同じだけ重量が増えているだけです。76年、90年の変更でそれぞれ3歳馬の重量が1poundずつ重くなっていくのは、成長が前倒しされていると考えればよいのでしょうか。76年の変更は何でだろ?という感じではありますが、90年の変更は理に適ったものであることがわかります。凱旋門賞と比較すれば年齢差による有利不利の少ない(少なくしようとしている)レースなのかな、という気はしますねぇ。

じゃあ日本はどうなんだってことで有馬記念辺りと比較しようとしたのですが、例えば英・仏などとは走らせ方の考え自体が異なってるかもしれんなと思いましたのでやめとく。有馬記念は古馬が圧倒的に有利になっています。でも、日本の場合は「お馬さんが一番充実するのは4歳秋」みたいな考え方があるのでそれでいいのかもしれませんけれど。

by ろぜ  
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2006年09月30日

ブローニュの森は熱く燃ゆる。

さてようやく出走メンバーが確定したようなのでちと書いてみようと。

Prix de l'Arc de Triomphe Lucien Barriere (Group 1) (Colts & Fillies) (3yo+)
馬番/枠/近走/馬名/間隔(日)/調教師/齢/斤量/騎手
1/2/112-111/Deep Impact/98/Y Ikee/4/59.5/Y Take
2/1/1-1212/Hurricane Run/2/A Fabre/4/59.5/K Fallon
3/6/341-111/Shirocco/21/A Fabre/5/59.5/C Soumillon
4/5/22-4113/Pride/21/A De Royer-Dupre/6/58/C-P Lemaire
5/4/U21111/Rail Link/21/A Fabre/3/56/S Pasquier
6/8/617311/Sixties Icon/3/56/L Dettori
7/7/133611/Irish Wells/35/F Rohaut/3/56/D Boeuf
8/3/2-1281/Best Name/15/Robert Collet/3/56/O Peslier

とこんな感じになりました。

Shiroccoはどちらかといえばワンペースで粘りきる競馬が合っており、Hurricane Runの優位性というのは相対的な意味での馬群を割れる二の脚にあるのであろうと。このFabre二機に対してしいて言うのであればディープインパクトはShirocco的な「他を意識しない」という意味で絶対的な末脚を持っている。この絶対とは絶対に差し切るなどという意味ではなく、確実に伸びてくるということ。最終的に「飛べるかどうか」は周囲の上がりの時計に依存するわけだが、前が速く引っ張ってくれればくれる程ディープインパクトにとっては有利になるのは間違いなく、無駄な方向転換をしないためにはフォルスストレートを抜けた時点で前には1, 2頭しかいないというのが理想ではないだろうか。ShiroccoはCoronation C.(GB-G1 T12f10y)で示した硬い路面(一応Goodではあった)にも対応できる新しい能力というのは、二年前のArcを回避した時のことを考えると、非常に感慨深いものがある。対するHurricane Runは父親の陰の部分を背負っているイメージ、かつ臨戦過程も同じで着順が劣るために「縮小コピー」などと陰口を叩かれる反面、Good to Firmの馬場でKing Georgeを勝ちきったというのは父親に無い面であり、この両頭とも既にチャンピオンホースたる資質を備えている(後者は既にチャンピオンではあるが)のは間違いない。

この三頭を除くと、浮上してくるのはやはりRail LinkとPrideになるだろう。展開の鍵となりそうなPrideの出方というのは、後ろからソッと忍び寄るようにも、離れた後方からズバッと刺す(あえてこの字で)こともできる脚を持ちながらも、唯一ディープインパクトを負かしたことのあるC Lemaireが手綱をとることから非常に気になるところではある。調教師からの注文が比較的無茶(正攻法を貫くことが美徳とされるらしいという意味で)だと言われる国においても、あえて前につける競馬を試みるかもしれないというのもあながち有り得ない話ではない。逆にShiroccoやHurricane Runが後方からというのは人気を背負ったものとしてはあまり考えられない。Rail LinkはGrand Prix de Paris(FR-G1 T2400m), Prix Niel(FR-G1 T2400m)を勝ち、3歳代表ということで衆目は一致しているので下手な奇策は打てないはず。Fabre師が古馬二機には敵わないと言うならば素直にそれを信じるしかなかろうと。Rail Linkと比較した場合、Prideの有利さというのはこの「気負いの無さ」にもあるのではなかろうか。オーナーは違うもののMandeshaが回避したことによってRoyer-Dupre師の期待を一心に背負う形にはなったが、勝っても勝ってもいまいち人気の出ない気楽さはこういった大舞台には得てしてプラスに作用するものだろう。

別路線組として挙げられるSixties Iconなのだが、St. Legerを見る限りでは持続する脚が持ち味としか言えない部分がある。昨年のScorpionもそうだが、10-12fのタイトなレースと13f以上の緩いレースの間には経験値にも雲泥の差が出てしまうのだろう。Derby S.(GB-G1 T12f10y)を経験している(7着)とは言えど、上位4頭の接戦からは5馬身離されての入線なだけに、過度の盲目的なDettori信仰にもほどがあるかと。Irish Wellsは先行脚質であり、ペースメーカー代わりになりそうな予感。個人的にPrideと並んで怖いと勝手に思ってるのは前が競り合うようなガチンコの展開になった時のBest Nameの末脚だったりするわけで。

by ろぜ  
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2006年07月28日

きんぐじょーじ。

King George VI & Queen Elizabeth Diamond S.(GB-G1 T12f)

馬番(枠番)/前4走/馬名/前走との間隔(日数)/調教師/年齢/斤量/騎手
1(5) 1976 Cherry Mix 71 Saeed Bin Suroor 5 9-7t Kerrin McEvoy
2(1) 3112 Electrocutionist 38 Saeed Bin Suroor 5 9-7 L Dettori
3(2) 5333 Enforcer 16 W R Muir 4 9-7 Martin Dwyer
4(3) 6211 Heart's Cry 126 K Hashiguchi 5 9-7 C-P Lemaire
5(4) 1112 Hurricane Run 34 A Fabre 4 9-7 C Soumillon
6(6) 6311 Maraahel 35 Sir Michael Stoute 5 9-7v R Hills

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最終登録の段階から、Godolphinがペースメーカー候補の一頭であったBelenusを引っ込め、Soapy DangerがGordon S.に逃げてしまったために6頭立てになりました。

一応紹介位はしておきましょうか。

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Cherry Mix:Linamix×Cherry Moon(Quiet American)
17戦4勝2着4回3着2回
Godolphinのペースメーカー。2003年に無くなったフランス・ギャロの会長Jean-Luc Lagardere氏の自家生産馬(Linamixも同氏が所有していた)で、一昨年のPrix de l'Arc de Triomphe(FR-G1 T2400m)で人気薄ながらBagoの2着して、同氏の遺産を管理していたLagardere FamilyからGodolphinに移籍。ここまではよくあるGodolphinのトレードだったのだが、これが大きく外れてしまう。翌年は春先から期待されつつ敗退を繰り返し、何とか秋にGran Premio del Jockey Club(ITY-G1 T2400m)を勝って格好をつけた。しかしその後もHong Kong C.(HK-G1 T2000m)に出張して9着、ドバイではレースの格を落としてDubai City of Gold C.(UAE-G3 T2400m)で一番人気になるも7着と負け続け、前走はついに長距離戦であるYorkshire C.(GB-G1 T14f)に出走するもあえなく6着敗退。重馬場も苦にしない。まるで先の光明が見えてこない中年サラリーマンのようである。
GodolphinのRacing ManagerであるSimon Crisford氏をインタビューした記者の見解によると「ペースがめちゃめちゃ早くなるのを防ぐためであって、特にペースをセットしたいというわけではない」だそうです。

Electrocutionist:Red Ransom×Elbaaha(Arazi)
11戦8勝2着2回3着1回
現在のGodolphin期待の星。昨夏、ご存知ゼンノロブロイをクビ差で下したInternational S.(GB-G1 T10f88y)が記憶に新しいElectrocutionistである。その後のCanadian International(CAN-G1 T12f)では敗退(4着入線も3着に繰り上がり)したが、米国の駐フィンランド共和国大使である(あった?)Earle I. Mack氏の下からGodolphinに移籍しJCを回避。今年のDubai International Racing Carnivalでは大活躍し、Dubai World C.(UAE-G1 D2000m)を外から差し切って文句無しの圧勝。芝に戻ったPrince of Wales's S.(G-G1 T10f)では休み明けながら逃げ粘ってOuija Boradの2着するなど好調ではある。距離不安が囁かれるも、イタリア時代にGran Premio di Milano(ITY-G1 T2400m)を勝っており、さほど疑問視するほどでもないか。
上のSimon Crisford氏によると「ダートでも活躍してるけど、本当は芝のお馬さんだよ」だそうです。

Enforcer:Efisio×Tarneem(Zilzal)
25戦5勝2着3回3着5回
低い格付けのレースからスタートして昨年の夏まではハンデ戦を中心に走っていたが、昨年後半からはグループレースを走り出し、今年は12f路線の重賞の安定勢力となっている。重賞での入着は多い反面、目立った活躍は昨年のDarley S.(GB-G3 T10f)位のものだが、個人的にこのお馬さんを認識したのはCoronation C.(GB-G1 T12f10y)でShiricco, Ouija Boardに続きAceに先着する3着に入ったこと(勿論超人気薄)。一発大化けを期待するのは少々酷かもしれない。

Heart's Cry
省略。オッズの上ではHurricane Run, Electrocutionistに次ぐ三強の一角という評価か。ドバイの時と違って、あまり体調は良くないという噂も。

Hurricane Run:Montjeu×Hold On(Surumu)
9戦7勝2着2回
推しも推されもせぬ欧州古馬のトップホース。昨年のPrix du Jockey Club(FR-G1 T2100m)ではShamardal相手に不覚を取る(騎乗ミス臭かったのでC Soumillonが下ろされたという評判だったが)も、Irish Derby(IRE-G1 T12f)を完勝。Prix de l'Arc de Triomphe(FR-G1 T2400m)を勝ってMontjeu産駒の最強馬と同時に欧州最強馬の座も勝ち取った。今年に入って落鉄、舌を切るなどのハンデがありながらもTattersalls Gold C.(IRE-G1 T10f110y)を7馬身差で制するが、Grand Prix de Saint-Cloud(FR-G1 T2400m)ではPrideに差される波乱。それに続いて鞍上のK Fallonが八百長の疑いで英国での騎乗停止を食らってしまうという不運まで重なった。結局騎手はC Soumillonに落ち着いたようです。
昨年夏のレンタル移籍から秋にはMichael Tabor氏の下に完全移籍を果たし、A Fabre師が調教するも、K Fallonが跨り、将来はCoolmore入りが確定的なお馬さんというのが個人的に不思議な感覚を受ける。同厩のShiroccoともかち合わ(せ)ずにここまできた。

Maraahel:Alzao×Nasanice(Nashwan)
19戦5勝2着3回3着5回
3頭に次ぐ存在といえるのはこのお馬さんか。Hamdan殿下の持ち馬であり、Godolphin勢と考えられないこともない。昨年はInternational(GB-G1 T10f88y), Champion S.(GB-G1 T10f), Hong Kong C.(HK-G1 T2000m)の全てで3着というイマイチ君の印象だったが、今年は不適と考えられたDubai World C.(UAE-G1 D2000m)で6着と食い込み、G3での3着を挟んで昨年も制したHuxley S.(GB-G3 T10f75y), Royal Ascot MeetingのHardwicke S.(GB-G2 T12f)と重賞を連勝し波に乗っている。昨年のG1での3着3回をよく見返すと「クビ+頭」「3/4+1-1/4」「クビ+1馬身」とさほど負けているわけではないことにも注目したい。「3強」に次ぐ人気にはなるだろうが、終わってみたら3強の一角を崩しているということも充分有り得る。

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多分ペースメーカーになるであろうCherry Mixが先手をとることになるでしょう。Hurricane RunはPrideに負けた前走の二の舞にならないように、今回は早めに抜け出すことはしないでしょう。とすると、有馬記念の時のようにHeart's Cryは前の方で競馬をして粘りきるような展開が理想でしょうかね。Cherry Mixよりも前に出るとそれはそれで面白いことになったりして。

by ろぜ  
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2006年05月21日

そして勝ち馬は忘れられるかもしれない。

いつでも久々のエントリ。

Barbaro sustains 'significant injury' as Bernardini wins Preakness(Thoroughbred Times)
「Barbaroは右後脚の足首の骨折(right hind ankle)で深刻な状態が続いています。獣医のL Bramlage氏によると『彼の生命をも脅かす深刻な怪我であり、彼の競走馬生命は絶たれたと言っていいでしょう。この状況においては、我々は彼を種牡馬として救うことを試みています』」

Barbaro transported to Pennsylvania hospital; surgery scheduled for Sunday(Thoroughbred Times)
「BarbaroはPennsylvania hospitalに運ばれて、手術は日曜日の午後に行われるとPimlicoの広報が発表した。M Matz師の開業獣医であるD Dreyfuss氏によると『救急車に乗った時は落ち着かされて(鎮静剤を打った?)おり、非ステロイド系抗炎症薬を与えました。レントゲン写真を撮り、バンデージをし、抗生物質の静脈内投与を行いました。似たような症状の馬達が生き抜いていますが、Barbaroの場合は危険な状態(critical condition)であり、おそらく二度とレースに出ることはできないでしょう』」

皆さんもご承知の通り、米三冠路線の第二弾Preakness S.(USA-G1 D9.5f:プリークネスS)は平穏な結果にはなりませんでした。一番人気のBarbaroがスタート前にゲートから飛び出し、それはすぐに止められたのですが、ホームストレッチで故障発症、競走中止となりました。脚の骨折はかなり深刻なもののようですが、日本時間で今日の夜辺りに『種牡馬』としての再起を目指した手術が行われることになっています。Belmont S.(USA-G1 D12f)の後に種牡馬としての今後が決まる予定だった(記事が見つからん)はずでしたが、こうなってしまっては、後のことは考えられないでしょう。

「Darley Stableの米三冠レース初制覇」といってもまずわからない今年のPreakness S.。今後は「Barbaroが故障したあのレース」ということになるんだろうか。状況としては、Bernardiniはさながらオフサイドトラップのよう。スペル間違いが馬名になったということを聞いた時には思わずダイユウサクとかSquirtle Squirt、古くはスウヰイスー(合ってた?)なんかを思い出したのですが、そしてBrother DerekはSix Perfectionsを連想していただくとわかり易いか。こういうレースをきっちりモノにするA.P. Indyには何だかなぁと思わされるものの、そこが種付料US$300,000の底力ということか。

by ろぜ  
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2006年04月06日

シーザリオののこしたもの。

久々のエントリ。シーザリオの引退に寄せる米国大手競馬紙の反応と、最近のA・ベイヤー氏の発言についての考察というところですか。


American Oaks winner Cesario retired(Thoroughbred Times)

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日本調教馬として2005年のAmerican Oaks Invitational S.(USA-G1 T10f)初の米国G1馬となったシーザリオが右前脚の靭帯の怪我により引退することになった。どこで繁殖牝馬として過ごすことになるかはまだ知らされていない。Sadler's Wellsを肌に持つKirov Premiereを母とし、スペシャルウィーク産駒の同馬はHallywood Park競馬場における昨年7月のAmerican Oaksでの4馬身差の勝利以来出走が無かった。「残念ながら、彼女の靭帯の炎症は慢性的なもののようです。復帰するには少なくとも一年は必要になるでしょう。残念ながら、彼女をレースで再び見ることはできないでしょう。」と調教師のKatsuhiko Sumii師が言っています。シーザリオはHollywood Park競馬場での圧勝より以前に東京競馬場で行われたYushun Himba(Japanese Oaks)を勝ち、阪神競馬場で行われたOka Sho(Japanese One Thousand Guineas)では頭差の2着でした。2005年度のJRA最優秀3歳牝馬に選出され、2シーズンで6戦5勝、収得賞金は$2,578,568でした。シーザリオは生産者であるKatsumi Yoshidaの北海道にあるNorthern Farmで繁殖牝馬になるでしょう。

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Japanese Filly Cesario, Won American Oaks, Retired(Bloodhorse)

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2005年のAmerican Oaks Invitational S.(USA−G1 T10f)を勝ち、日本生産馬として初の米国G1優勝馬となったシーザリオが、右前脚の靭帯の炎症のために引退することになった。サンデーサイレンスの孫にあたる4歳の牝馬は昨年夏の$750,000の勝利からは出走していない。「私は4月3日に状態を確認しました。残念ながら、彼女の炎症は慢性的なもののようです。復帰するには少なくとも一年はかかるでしょう。私は彼女が再びレースで走る姿を観られないことがとても残念です。しかし、彼女がセカンドライフを楽しんで、良い産駒を故郷であるNorthern Farmで産んでくれることでしょう。」とKatsuhiko Sumii師が言っています。Northern Farmで生まれたシーザリオはAmerican Oaksの勝利の約6週間前にYushun Himba (Jpn-I, Japanese Oaks)も勝利しています。彼女は11頭のライバル達を尻目に1 1/4-mileを楽に駆け抜け、Hollywood Park競馬場におけるstakes-record timeである1,59,03をマークしました。Blood-Horseによると、彼女が2着のMelhor Aindaにつけた4馬身という着差は、もし鞍上のYuichi Fukunagaが望めば三倍になっていたかもしれない。スペシャルウィークとSadler's Wellsを肌に持つKirov Premiereとの間に生まれたシーザリオは6戦5勝で引退し、Carrot Farmのために稼いだ賞金は$2,578,568である。彼女の落としたレースは頭差のOka Sho (Jpn-I, Japanese One Thousand Guineas)だった。繁殖牝馬としてのプランはまだ発表されていない。

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サラタイとブラホの全訳はこんな感じです。ちょいちょい怪しいところはありますが大方の雰囲気は掴めていると思います。どちらの記事にしろ端的ながらきちんと要所を掴んでいると思います。この二つの新聞(?)は通常、牝馬のG1馬の引退でもきっちり扱っているように思いますが、日本から来て衝撃的な勝利を飾ったシーザリオについてもきちんと書いてくれています。あの一戦だけで戻ってくるというのは正直勿体なかったと当時は書いたかもしれませんが、華やかな桜がすぐに散るかの如く、印象度ということを考えると、あれが世界に示した彼女のベストパフォーマンスだったことを疑う余地はありません。アグネスタキオンにしてもそうですが、未完の大器に対しての評価というのは非常に大きいのではないかと思います。
また「Sunday Silence granddaughter」といった表記に見られるように、米国側としてもSunday Silenceという国民的ヒール(多分。Easy Goerがいたし)が、はるばる日本の地から送り出した刺客の素晴らしい勝利を認めた(親近感もあってのことでしょうけど)ということもあったのかもしれません。『芝だから』『Sunday Silenceの孫だから』という条件はあるものの「日本馬の勝利」をまだ暖かく見守ることができる余裕はあるけれども「芝のレースなら日本馬に全部勝たれちゃうんじゃね?」という危機感と「日本のダートはFleetstreet Dancerレベルでも十分勝負になるんじゃね?」といった憶測(Lido PalaceとかTotal Impactは砂が合わなかったとして)が、話題になっているA・ベイヤー氏の発言に凝縮されている気はします。勿論あの発言がDubai Wold Cup Dayでの日本馬の活躍を受けてであったことは否定しませんが、こと「衝撃度」に関する点では百聞は一見にしかずなわけで、シーザリオの圧勝により自分達の土地を荒らされた時の方がショックは大きかったことでしょう。以前のMairzy DoatesがJCを制した時のような安穏とした雰囲気ではないけれども、まだ気持ちに余裕はある。日本馬の強さを認めてはいるけれども、しかし潜在的な危機感は徐々に大きくなっている、といったところが「開放しろよ」って発言になったのだろうなと。
Her four-length margin over runner-up Melhor Ainda could have been triple
などという表現も単なる誇張ではなく「もしかしたら」という部分があるからこそ書けたのでしょう。
追うものの立場にいる者は、追われる者の立場はわからないので何とも言えないわけですが、スーパー301条の時のような奥の手を出してくることがちょっと怖いかな、と。
アメリカ人を「焦らせた」という意味では、シーザリオさんの植え付けたイメージは相当大きかったのかもしれません。

by ろぜ  
Posted by rosettastonejp at 23:39Comments(0)TrackBack(0)海外&中央競馬

2006年02月25日

World Racing Championshipsの開催中止と今後のあり方について-Part1-

World Racing Championships series canceled for 2006(Thoroughbred Times)

さて、本題のような大それたタイトルをつけてしまい、いささかやり過ぎた感も否めないのですが、暇をみつけてのんびりまったり書いていくという方向でいこうかと思います。今回はおさらいというか初級編というか、まずはWorld Racing Championships(旧World Series Racing Championship)「どういったものなのか」「なぜ開催中止という事態になったのか」を駆け足で見ていくことにしたいと思います。

ということで、上記の通り今年のWorld Racing Championships(WRC)は中止されるそうです。これはIFHA(国際競馬統括機関連盟)と連携して来年の対策を練ろうということでの中止のようなので、07年には新しいWRCがお目見えするということでしょうか。もとはと言えばEmirates Airlinesを擁するMohammed殿下(といってもシェイクが持ってるわけではないような気もしますが)周辺が中心となって頑張っていたものの、03年にDubai World C.(UAE-G1 D2000m)がシリーズから外れてしまい、ダートはBreeders' Cup Classic(USA-G1 D10f)しかないという状況が続いていました。そして04年はたった2レースで1,3着したEpalo(同点でやはり1,3着のSulamani)が、05年に至っては香港のみでしか走っていないVengeance of Rainが王者に輝くという、当初の「芝・ダートのどちらも走れ、かつ世界を股にかける名馬の誕生を」という趣旨からはかけ離れてしまったいわば「悪循環」に陥っていました。従って、この「構想の練り直し」というのはいわば当然のことであり、この開催休止は決して否定的なものではないと考えています。

このシリーズが始まったのは99年のことでした。当初はWorld Series Racing Championship(WSRC)という名前で、Emirates Airlinesというスポンサーがバックについたことでこの計画が実現しました。しかし、今にして思えば99年の第一回の時点で「King George 〜 Dubai World C.」という年を跨いだ計画だったはずがいきなり変更になり、その後の「Dubai World C. 〜 Hong Kong C.」という年内スケジュールという形に落ち着いたところがケチが付き始めたと言えなくもないのですが。また賞金面に関しても、優勝馬にはUSA$1,000,000という単体のレースよりも下回る金額(総賞金USA$1,000,000以上というのがシリーズ加入の最低条件の一つ)が提示されたということで、これが優勝賞金USA$5,000,000ならばもう少し違ってきた可能性も大いに考えられるのですが、結果的にはシリーズへの積極的な参加を促すことにはならなかったとも言えます。

ポイントシステムは1着12P, 2着6P, 3着4P, 4着3P, 5着2P, 6着1PというF1と同じような方式での世界各地のレースを回る方式で、中には同時期のG1もありますが、それなりに大きなレースを揃えていることなども幸いして、関係者には現実性(シリーズ王者を狙ったローテーションを年初から組む)という面ではかなり厳しいかもしれませんが、結果的にアジアのG1に矛先を向けさせる、それ以前のステップとして関係者の目を向けさせる一助となったのではないかと考えていますので、そういった面でシリーズ創設の意義というのは「一個人の夢の実現」よりも大きかったのではないかと思います。

ちなみにシリーズ創立当初の99年は

Dubai World C.(UAE-G1 D2000m)
King George IV & Queen Elizabeth Diamond S.(GB-G1 T12f)
Irish Champion S.(IRE-G1 T10f)
Canadian International S.(CAN-G1 T2400m)
Cox Plate(AUS-G1 T2040m)
Breeders' Cup Turf(USA-G1 T12f)
Breeders' Cup Classic(USA-G1 D10f)
Japan C,(JPN-G1 T2400m)
Hong Kong C.(HK-G1 T2000m)

という全9レースで行われました。これを見てわかる通り概ね要所は押さえているのですが、よく見るとPrix de l'Arc de Triomphe(FR-G1 T2400m:凱旋門賞)がありません。これはまず種牡馬選定レースという見地から「セン馬出走不可」ということ、そしてホテルチェーンであるLucien Barriereの単独スポンサーという辺りがまずかったようです。現在も単独スポンサーだと思うのですが、その辺りは解消したのでしょうか。ちょうど「ダートでも芝でも走れる」といった能力が好まれるようになった時期と合致して、Dubai World C.とBreeders' Cup Classicを選んでいるのは素晴らしい判断だったと思います。あとは、南半球のCox Plateを組み込んでいるというのが、南北交流(ひいては種牡馬の交流、つまりシャトルという点を見越してのことだったのだろうけど)を考える上では、非常に重要な判断だったと考えます。

00年になると2年のブランクを空けて復活したArlington Million(USA-G1 T10f)を組み入れ、北米における芝の二大競走をこのシリーズに引き入れることができました。ドイツからはGrosser Preis von Baden(GER-G1 T2400m:バーデン大賞)が参入し、ドイツ馬の積極的に参加を促すと共にそのレース自体の地位を押し上げる好結果ともなりました。

01年はついにPrix de l'Arc de Triompheが参入し、ワールドシリーズと冠されるシリーズのあるべき姿(といっても北半球に偏っていますが)が完成されたと言っても過言ではないでしょう。

02年にEmirates Airlineがスポンサーを降りるという出来事がありました。このこと自体は大きなことではない気もしますが、主導権(金銭面でも)を握っていたスポンサーが降りてしまうということが、宣伝目的の興行としてはあまり実益を成していなかったというのが一番でしょうか。また、この年にはQueen Elizabeth II C.(HK-G1 T2000m:クイーンエリザベスII世C), Singapore Airlines International C.(SIN-G1 T2000m:シンガポール航空国際C)とアジア圏から2つのG1がシリーズに参加しています。

03年はイラク戦争により、米国勢の遠征どころかDubai World C.の開催自体が危ぶまれる自体でしたが、通常通り開催。しかしなぜかシリーズからは脱退してしまうという事態となりました。続く第二戦のSingapore Airlines International C.もSARSの影響によりこちらは開催自体が中止に追い込まれました。一方で明るいニュースもあり、夏にRolls Royce社がスポンサーにつくという話題が世間をにぎわせましたが、これも単年契約だったために、実質半年だけのスポンサーということになってしまいました。

04年は1レースしか優勝していない2頭Epalo(Singapore Airlines International C.), Sulamani(Canadian International S.)が共に1着1回、3着1回の16ポイントで並ぶ(賞金差でEpaloの優勝が決定)という低迷振りを見せ、これも話題になりました。World Thoroughbred Racehorse Rankingsでもかなり低い位置につけていたEpaloが王座に就いたことについては、00年のFantastic Lightにも微妙にあてはまる(そのカテゴリではかなり高位にはいるけれど)可能性があるので、ここでは触れないことにしたいと思います。

そして05年の結果がさらに追い討ちをかけることになりました。優勝したVengeance of Rainの成績自体(9戦7勝G1を2勝)にはケチのつけようがないのですが、その9戦全てが香港でのものだったということが「ワールドシリーズ」である意義を否定してしまうものだったからです。昨年スタートしたGloba Sprint Challengeでも「二地域以上のレースに出場して」というのが王者になるための条件にありますが、World Racing Championshipsは純粋なポイント制だったためにこういった事態が起きてしまったのです。この出来事は現行のシステムの限界を浮き彫りにしてしまった形となりました。

また、Thoroughbred Timesにも書いてあるように、今回の開催休止の決定的な打撃となったのが12/21のMichael Osborne氏の死去です。Osborne氏は創設10年足らずの間に一流国際レースの仲間入りを果たしたDubai World C.の仕掛け人とも言える創設委員会の創設時の会長であり、元は愛国立スタッドの獣医であり、役員を務めていた愛競馬協会をはじめとして世界各国の競馬に関わってきた重要人物であり、そして何より2005年にWorld Racing Championship社の会長に満場一致で選出された程の人物だったからです。記事によるとOsboern氏は、シリーズ初期のレースを含めて、レース数やポイントシステムなどの体系を大幅に刷新するという、この現状を打開するために相当な打開策を練っていたようです。

このように複合的な理由から、今年は開催中止せざるを得なくなったというのが実情なのではないでしょうか。次は一体どういった打開策を出してくるかなどを踏まえながら、World Racing Championshipsの存在意義(大袈裟だな)と今後について考えてみたいと思います。

(新名称「World Racing Championships」は05年から)

by ろぜ  
Posted by rosettastonejp at 01:55Comments(1)TrackBack(0)海外競馬

2006年01月25日

川崎記念の結果

到達順位
一着アジュディミツオー
二着シーキングザダイヤ
三着タイムパラドックス
四着サカラート  
Posted by bluesky_ys at 16:09Comments(0)TrackBack(0)

2006年01月10日

新年のご挨拶。

今更ですが、あけましておめでとうございます。さて、しばらくのんびり競馬から少し距離を置いていましたが、そろそろ復帰せねばならんなと一念発起して、まずは昨年の大阪大学競馬推進委員会のサークル活動を振り返ってみましょうか。

一昨年に競馬法が改正され、昨年の開催初日から20歳以上の学生・生徒も馬券購入が可能となりました。その結果、各マスコミから意外な程の反応があり、競馬サークルにとっては追い風が吹き続けた一年になったと思われます。

まずは年始から始まった(正確にはそのすぐ前の有馬記念から)スポニチ主催の全日本大学競馬リーグという予想大会についてでしょうか。これについては約10ヶ月の長きに渡り、関東版の紙面に掲載していただきました。1stステージは7位通過、2ndステージでは最下位の10位となってしまいましたが、一般的に広く知られたメディアでの掲載ということもあり、非常に良い経験になったと思います。強いて言えば、得点の加算方法や掛け方の種類が限られていたことなどに改善の余地があるかもしれません。今年も実施されるようですが(うちは関係ありませんが)、昨年の1stステージの後に担当者の方にメールを送った方がおられましたが、全く聞く耳をもっていただけなかったらしいということは少々残念ではあります。

さて、このスポニチの企画により色々な大学の方々と交流を持つことができました。3月には関西の大学+長崎大学のサークルの方々と実際にお会いすることができ、交流を深め、後のサークル活動に大きな影響を与えることになりました。

その結果、早稲田お馬の会のまっつさんによるURA(Universities Racing Association)などの学生団体も発足しました。こちらは一発屋さんにPOGも予想大会の方も一任するという形をとりましたが、途中までは上位につけていて凄く良い感じだったのです。うん。惜しい。

これを機に、学生サークル界は急速に活発化していくことになります。

週刊Gallop誌上でも学生競馬サークル対抗(後にオープン参加になりました)企画が行われ、こちらは惨憺たる結果と相成りました。全て私の責任です。申し訳ありません。単勝、馬単、三連単のみという非常に厳しい注文についてはなかなか当てることができなかったという言い訳でもしておきましょう。

当のJRAは動かなかったかといえばそうではなく、オフィスワイズ主催で、京都競馬場特別来賓質を借り切ってのサークル対抗予想大会を開催、こちらにも参加させていただきました。たまさんの三連複70倍炸裂により、京都競馬場のシグネットホールでNHKマイルCの展望をするという幸運にも恵まれました。実に稀有な体験であったと思います。

安田記念の日には初めてのサークルでの飲み会を開催しましたが、とりあえず夏場は一休み。秋に入るとますます交流が活発化していきます。

涼しくなってきた頃、大阪大学競馬研究会のおかさんプロデュースの関西学生競馬サークル交流会が開催され、矢作師や、川島、高井騎手などの実際の関係者とお話するという貴重な体験をしました。特に矢作師との海外競馬に関するお話は自分にとっても非常に有益なものであったことを付け加えさせていただきたいと思います。Giant's Causeway×Janetが活躍することを、心よりお祈り申し上げます。

冬の足音が近づいて、ラジオNIKKEI主催香港競馬パラダイスというラジオ番組の企画に一発屋さんと共に参戦するという機会をいただきました。毎回解説として出演されているPOG本でも有名な須田鷹男氏と共にラジオに出演し、オフレコで香港競馬について意見を交わす機会がありました。その番組の忘年会では実際に東京に行き、須田氏を約2時間もの間独り占めして、地方競馬の現状、日本の馬産の在り方、アメリカの芝中距離路線への日本馬の遠征の可能性について(主にコスモバルクでしたが)、そして最近台頭してきた韓国競馬の現状など、内容は多岐に渡る熱いトークをしました。しかし、須田氏が私のことを覚えているかどうかは微妙だと思います。風邪引いてたみたいだしね。

番外編として、トラセンにおける「2005年下半期G1予想大会」におきまして、ぴえろさんが7位、ゴドルフさんが9位という好成績を残されたことを挙げたいと思います。ちなみに私が参加しなかった理由は、私自身が企画側の人間であるという事実を鑑みてのことです。これって言ってたっけ?

この事実を踏まえまして、今年以降こういった予想大会系のものがありましたら、お二人に必ず入っていただこうと考えております。私は予想が下手ですみません。

今年ものんびりと更新していきますが、よろしくお願いいたします。

ろぜ  
Posted by rosettastonejp at 22:53Comments(0)TrackBack(0)サークル運営

2005年12月24日

有馬記念

明日は有馬記念ですねぇ。JRAが売り上げを上げようと必死に宣伝するのはいいんだけど、JRAがディープインパクトを神格化するのはまずいのではないかと思われる。JRAは競馬を施行するのが仕事なのに、一頭の馬を担ぐとなると、公平性を保てていないと感じるのですわ。そして、あんま担ぎすぎると、ディープインパクトの三冠の価値が下がってしまう。ハルウララみたいなアイドルホースにならないでほしい・・・ホント滑稽に見えてしまう。無敗で三冠を取った馬だから、少し生意気なくらいでいいと思う。やはりシンボリルドルフやエルコンドルパサーは日本の名馬だと思う。ディープインパクトには、その様な名馬に近づいてほしい。
前置きはいいとして、明日はタップダンスシチーやオースミハルカが逃げるらしいですね。さらにこの二頭が逃げないとなるとコスモバルクが逃げるとのことだから、よどみの無いペースになるのではないかと思われる。そして、去年の年度代表馬のゼンノロブロイ、菊花賞馬デルタブルースやリンカーンが先行策をとる。となると、いつも後ろに控えるディープインパクトも脚を使わされて最後の直線で伸びないということも考えられるだろう。ディープインパクトには初めて厳しい競馬だと思われる。ここで勝てなかったらディープインパクトの評価はがた落ちするだろう。そして海外遠征の話もなくなるだろうから、それはまずい。来年の楽しみが一つなくなる。ディープインパクトにとっては初めての試練であるがあっさりと乗り越えてほしい。

by 一発屋  
Posted by bluesky_ys at 22:43Comments(0)TrackBack(1)中央競馬

2005年12月10日

香港國際賽事まとめ。

幾つかに渡ってアップしてきた今年の香港國際賽事関連の記事をここで一挙に紹介。これを読んでも香港競馬通にはなれないですが、人よりは知っているふりをすることができるのかもしれないなとか思いつつ。

香港國際賽事について。(05/12/5)←全レースの大まかな説明

香港國際賽事(その1)。(05/12/3)←スプリント

香港國際賽事(その2改)。(05/12/8)←マイル

香港國際賽事(その3)。(05/12/10)←カップ

香港國際賽事(その4)。(05/12/10)←ヴァーズ

by ろぜ
  
Posted by rosettastonejp at 13:21Comments(0)TrackBack(0)海外&中央競馬

香港國際賽事(その4)。

Hong Kong Vase(HK-G1 T2400m)
Horse No.(Draw) / Name / Wt. / Trainer / Jockey
1(6) WESTERNER 126 E Lellouche O Peslier
2(1) NORSE DANCER 126 D R C Elsworth M Dwyer
3(10) WARRSAN 126 C E Brittain J Spencer
4(12) CHERRY MIX 126 S bin Suroor L Dettori
5(2) REEFSCAPE 126 A Fabre R Hughes
6(8) BEST GIFT 126 J Moore D Whyte
7(5) SATURN 126 C Fownes R Fradd
8(7) OUIJA BOARD 122 E Dunlop K Fallon
9(3) SWEET STREAM 122 J E Hammond T Gillet
10(9) SAMANDO 122 F Doumen E Legrix
11(11) SIX SENSE 121 H Nagahama H Shii
12(4) SHAMDALA 117 de Royer-Dupre C Soumillon

Westernerがここに来るかというのが一番驚いたわけですが、ひっそりReefscapeも来てる辺り「仏のステイヤーをなめるなよ」という意志表示かとも思った。といってもDanehillとLinamixのここ一番の決め手というのは雲泥の差があるわけですが、このワンツーで決まってしまうと目も当てられないんだろうななんて考えてみる。香港のSaturnと仏のSamando、日本のシックスセンスを除くと最低でも国際G1での2着はあるというハイレベルな面子が揃った今年の香港瓶。といってもシックスセンスとSaturnはローカルG1でそれぞれ2, 3着があり、Samandoも仏・独・加G1での4着がそれぞれあり、非常に面白いレースになることが期待される。

O Peslier騎手が跨ってからはGold C.(GB-G1 T20f)を含む長距離重賞6連勝(乗ってないレースもあるけど)で一躍Vinnie Roeを凌ぐトップステイヤーとなったWesternerはGrosser Preis von Baden(GER-G1 T2400m)で3着、そしてPrix de l'Arc de Triomphe(FR-G1 T2400m)でもHurricane Runに次ぐ2着に食い込み、ステイヤーとしての資質もさることながら、クラシックディスタンスにも適正があることを伺わせた。Arcの後はRoyal Oak(FR-G1 T3100m)やMelbourne C.(AUS-G1 T3200m)をスキップし、ここ一本に絞った点にも好感が持てる。ここ2戦とも2400mのレースを使っていることも強みか。

今年のKing George VI & Queen Elizabeth Diamond S.(GB-G1 T12f), 昨年のInternational S.(GB-G1 T10f88y)やIrish Champion S.(IRE-G1 T10f)での2着があるNorse Dancerはここ2走惨敗続き。30戦目のここで、往年のステイゴールドのように大団円を迎えることができるのか要注目。ここでも2着だったらもう面白くて仕方が無くなるわけだけど。

日本よりも力の要る馬場になって注目すべきはOuija Board。間隔は詰まっているけれど、本来の力を取り戻せればというところ。JCであわやの5着(ハーツクライにじゃまされなければ3着はあったかも)だったことも好感触。

穴としては、生涯で3着を外したのは二度だけというReefscape。Linamix産駒ということもあり、2着は意外と容易に手に入るかもしれない。最近台頭してきたステイヤーというのが表面的な評価だが、春先から2400m前後のG1でも入着を繰り返していた経歴がある。

Linamixといえばもう一頭、昨年のArcの2着馬Cherry Mix。その後Godolphinにトレードされたが期待されたほどの活躍はできず、シーズン終盤になってようやく調子を上げてきた。Gran Premio del Jockey Club(ITY-G1 T2400m)では実に1年2ヶ月振りとなる勝利を飾り、Sagamixのように大化けすることができるか。

シックスセンスはディープインパクトがいなくなったことで目の上のたんこぶが取れた。Danehill, Niniskiと続く血は、日本よりは香港の馬場に適正がある可能性が大きい。第六感で大輪の花を咲かせることができるかどうか。

by ろぜ  
Posted by rosettastonejp at 13:15Comments(0)TrackBack(0)海外&中央競馬

香港國際賽事(その3)。

Hong Kong C.(HK-G1 T2000m)
Horse No.(Draw) / Name / Wt. / Trainer / Jockey
1(5) MARAAHEL 126 Sir M R Stoute R Hills
2(4) VENGEANCE OF RAIN 126 D E Ferraris A Delpech
3(2) RIVER DANCER 126 J Size D Whyte
4(10) EPALO 126 A Schutz A Starke
5(6) TOUCH OF LAND 126 H-A Pantall C Lemaire
6(7) RUSSIAN PEARL 126 A S Cruz F Coetzee
7(9) GREEN TREASURE 126 D Cruz O Doleuze
8(8) WILLOW O WISP 123 V Cerin K Fallon
9(1) ALEXANDER GOLDRUN 122 J S Bolger K Manning
10(3) PRIDE 122 de Royer-Dupre C Soumillon

ということで枠順まで発表されたので書いておこう。

セックスアローワンスを考えるとトップレートを持つのが昨年の覇者Alexander Goldrun。今年はPretty Polly S.(IRE-G1 T10f), Nassau S.(GB-G1 T9f192y)と牝馬G1のみを2勝。Irish Champion S.(IRE-G1 T10f)でもOratorio, Motivatorに次ぐ3着(半馬身+アタマ差。4着以下はAce, Azamour, Grey Swallowというそうそうたる面子)に入ってることもあり、牡馬相手にも引けはとらないが、前走Champion S.(GB-G1 T10f)では8着と惨敗しているのが気がかり。昨年は6戦を愛・仏で走って7戦目での香港遠征だったが、今年は首(ドバイ)→星(シンガポール)→愛→英→愛→仏→英と8戦走ってからの9戦目ということで、前走では蓄積していた疲労が表に出たのではないかという心配もある。(2005:8 starts 2-1-3-3)

続いては数字上のトップレートであるHamdan殿下の持ち馬Maraahel。調教師は"Sir"ことM Stoute師。ゼンノロブロイが遠征したInternational S.(GB-G1 T10f88y)でも穴人気になっていたことからご記憶の方もいるかもしれませんが、International S.で3着、Champion S.で3着などG1でもそこそこの走りをする割には、G2, G3でのポカも多いお馬さん。Norse Dancerを一回り小さくして2f程適距離をシフトさせたお馬さんという評価。前三走は共に3着。(2005:7 starts 1−1−3−2)

Vengeance of Rainは前走時に詳しく解説したのでそれを引用。

NZ産馬のVengeance of Rainの父は豪州の大種牡馬Zabeel、母DanelaghはBlue Diamond S.(AUS-G1 T1200m)勝ち。全妹はAustralian Oaks(AUS-G1 T2400m)勝ちのDizelle。今年のMelbourne C.(AUS-G1 T3200m)でもアイポッパーさんに短頭差だけ先着した11着。Subscribeという競走名で走っていた豪州時代の2歳時の3戦を含めて現時点で14戦6勝。豪州で走っていた時代はListed勝ちがあり、2歳三冠の第二戦であるSires Produce S.(AUS-G1 T1400m)でも5着している実績があります。

香港に来てからは勝ちきれませんでしたが、A Delpech騎手に手が替わっての今年初戦となったFairy King Prawn H.(HK-Class 1 T1600m)から始まって、Centenary Vase(HK-Gd3 T2000m)と連勝。G1になってもその勢いは衰えず、Hong Kong Derby(HK-Gd1 T2000m)を中団外からマクっての勝利。その3日後にオーナーのChow Nam氏が心筋梗塞により亡くなるという出来事がありましたが、外国勢を迎えての一戦Queen Elizabeth II C.(HK-G1 T2000m)では先団のちょい後ろから抜け出して、 ドバイ大好きM De Kock先生(南アの調教師。Dubai Duty Freeにおけるジンバブエ産のIpi Tombe、元女王陛下の持ち馬のRight Approachでの活躍でお馴染みかと)のGreys Innの追撃を抑えて勝利しました。そして香港勢のみになったHong Kong Champions & Chater C.(HK-Gd1 T2400m)では、やはり中団待機から道中良いペースで逃げたSaturnを差し切り、Best Giftとの追い比べを制して香港三冠最後の一冠をモノにしました。どうでもいいけど、A Delpech騎手のガッツポーズは派手。Cox Plate(AUS-G1 T2040m)遠征を公言していましたが、香港→豪州の検疫との関係で2週間の出国検疫と2週間の着地検疫が課されるということで香港で叩けずに断念した経緯があります。

前々走Sha Tin Trophy(HK-Gd3 T1600m)はBullish Luckと同じトップハンデの133lbで、意識的に後ろからというレース。直線に向く前に後ろから2番手にいたVengeance of Rainは内を選択。馬群を縫ってという競馬でしたが、ラスト100mで一番良い脚をつかっていたのが勝ち馬と外から来たBullish Luck、次がVengeance of Rainでしたから、距離が単純に足りなかったんだろうと。上位に主にマイルまでで良績を残しているTiberが食い込んでいるあたり、短距離馬向きのレース。前走も最後に際どく交わして、万全の状態でここに挑んできます。(2005:8 starts 6-0-0-2, 「今期」に限ると 3 starts 1-0-0-2)

Epaloは一昨年のWorld Series Racing Championshipの王者。16ポイントでSulamaniと並びながらも獲得賞金の差で優勝となりました。今年は地元に帰ってのGrosser Preis Wirtschaft(GER-G3 T2100m)を快勝した後はG1で3連敗と、ちょっといいところがありません。鞍上のA Starke騎手はInternational Jockey's Championship Raceで優勝したばかりですし、往年の力を取り戻せるかどうかというところ。前走 Premio Roma(ITY-G1 T2000m)でSoldier Hollowの3着に入ったのがきっかけになればいいのですが。妹の名前がElopaでちょっとややこしいのはネタ。(2005:4 starts 1-0-1-2)

それならば一発を期待できるのは香港の古豪River Dancerか。03/04年シーズンの最優秀中距離馬であり、Elegant Fashionと覇を競っていた頃のことが懐かしく思い出されるが、元々が名種牡馬Darshaanを叔父に持ち、3,400,000gns(約7億円)で競り落とされ、A O'Brien師の下でDiaghilevという名前でPrix la Force(FR-G3 T2000m)を勝ち、Prix de Jockey Club(FR-G1 T2400m←当時)でSulamaniの7着だったSadler's Wells産駒。Sadler's Wells×Darshaanというのは非常に有名なニックスであり、High ChaparralやIslingtonなどが挙げられます。前走は11着もマイルのレースで参考外。ここで何かを期待するにはもってこいの存在かなと。(2005:1 start 0-0-0-1)

by ろぜ  
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2005年12月08日

宇三冠馬がドバイに売却か。

まだ英語のソースは出ていないと思うのですが、今年のウルグアイ三冠馬であるInvasorがドバイに売られた模様。ってことはGodolphinなのか、それともあの兄弟の誰かかはわかりませんが、私からすれば似たようなもんですが・・・。価格は日本円で約1億7000万円とのこと。

叔母にはGran Premio Eliseo Ramirez (Arg-G1 T1400m)を制したReina Victoriosaなどがいますか。F14-c族。

Polla de Potrillos(URG-G1 D1600m)
Gran Premio Jockey Club(URG-G1 D2000m)
Gran Premio Nacional(URG-G1 D2500m)

というウルグアイ三冠を含む5戦無敗。Candy Stripes(一応言っておくとバブルガムフェローの半兄)産駒のこのお馬さんはどこまで飛躍するのか。Dubai World C.(UAE-G1 D2000m)(南半球だったの忘れてた)UAE Derby(UAE-G2 D1800m)の楽しみがまた一つ増えましたか。

追記:英語以外では既にソースが出ているようです。もしくは私がソースを発見できていないかなのですがorz

US$1,400,000の取引額と、Invasorが5戦で稼いだ賞金であるUS$113,000という金額を比較してみれば、いかにこの額が大きいかというのが頷けると思います。また、このトレードマネーはウルグアイ競馬史上最高価格だそうで、凄いよねぇと。英語で言うと侵略者なのですね。インベーダーってことになるそうで。

by ろぜ  
Posted by rosettastonejp at 17:31Comments(0)TrackBack(0)海外競馬

香港國際賽事(その2改)。

Rakti追加登録かよ。でもBC→香港って秋の最初から言ってた気もするしな。でもBC出てないじゃん。ってことで23日の登録発表の面子しか見てなかったので間違ってた。ということで少し書き直してみる。

Hong Kong Mile(HK-G1 T8f)
GB 121 Rakti (GB) 6 H 126 M Jarvis
JPN 119 Asakusa Den'en (GB) 6 H 126 M Kono
HK 118 Bullish Luck (USA) 6 G 126 T Cruz
JPN 118 Hat Trick (JPN) 4 C 126 K Sumii
HK 115 Super Kid (NZ) 6 H 126 J Moore
GB 114 Court Masterpiece (GB) 5 H 126 E Dunlop
USA 114 Designed For Luck (USA) 8 G 126 V Cerin
HK 110 Perfect Partner (AUS) 6 G 126 T Cruz
HK 109 Dave's Best (GB) 5 G 126 D Yip
HK 109 High Intelligent (AUS) 5 G 126 J Size
HK 109 Scintillation (AUS) 5 G 126 D Shum
HK 109 The Duke (AUS) 6 G 126 C Fownes
HK 109 Town of Fionn (AUS) 5 G 126 D Shum
HK 106 Wealthy (AUS) 5 G 126 D Yip

続いてはこちら。昨年の勝ち馬が先日ひっそりと引退してしまったのは記憶に新しいのですが、さほどニュースにもなっていないと。まぁ、Firebreak自体、重賞を7勝もしているのですが、どうしてもGodolphin Mile(UAE-G2 D1600m)連覇の印象が強いわけでして(欧州でもちゃんと重賞勝ってるんだけど)、何となく「何が勝つかは一番わからないレース」という印象を強くするレースなんだと思われますか。G1昇格後の勝ち馬を見ても、エイシンプレストン, Olympic Express, Lucky Owners, Firebreakと一度として一番人気馬が勝ったことはありません。いや、この原因はG1に昇格してからの過去4年中3回も日本勢が一番人気になっているところからきてるわけなんですが。01年ゼンノエルシド、03年ローエングリン、04年デュランダルと。日本からのお馬さんの流れというのが、このレースでは重要なファクターになっているということでしょう。まぁ、ローエングリンはNinetyfive Emperorの右回りの下手くそさ(シンガポールKranji競馬場一つで、左回りだから右回りは苦手っぽかった)に巻き込まれた不運もあったんですけれど。つか、Ninetyfive Emperorは今年のRaffles International C.(SIN-Gd1 T1800m), Lion City C.(SIN-Gd1 T1200m)などのメジャーどころを制しているので、星国の年度代表馬に輝く可能性もありますか。ふむ。一応昨年のMayo's Musicは国内G1を1つしか勝ってないけど年度代表馬になってるからねぇ。おっと話が逸れた。話を元に戻して強引にまとめちゃうと、印象以上に地元香港勢が活躍しているという事実をお忘れ無きように。

今年はRaktiを除けば日本勢がレートの上位を占めているという事態になっているわけですが、近年は安田記念とマイルCSの勝ち馬が参戦するという流れになっているんでしょうねぇ。マイルCSの後は出るレース無いしな。12月の国内に1400mのG2があっても香港にマイルのG1があればそちらに行くでしょうし。

ということで今年の構図は日本勢vs欧州&北米勢vs香港勢といったところでしょう。とにかく走るか走らないかよくわからんRaktiを除けば中でも安田記念を勝ち天皇賞・秋4着のアサクサデンエン、安田記念は15着と惨敗しましたが、マイルCSを制したハットトリック。そして香港ではマイルで暫定トップの評価を与えられているBullish Luckという三つ巴の様相。これはあくまでレーティングでの話なのですが、そこそこやることは間違いないので、まぁいいでしょう。今回は香港と日本のお馬さん以外についてちょっと書きましょうか。

断然のトップレート121を持つRaktiがここで引退戦を迎えます。昨年は日本に来てP Robinsonのまずい騎乗もありマイルCSで14着と惨敗。その後Hong Kong C.(HK-G1 T2000m)にも遠征しましたが7着といいところ無し。終わったかと思われましたが、Lockinge S.(GB-G1 T8f)で5馬身差の圧勝で「Rakti first, the rest nowhere」だなんてEclipseの再来みたいにどどーんとレーポスのトップを飾りました。しかしQueen Ann S.(GB-G1 T8f)では先程Aga Khan IVからMohammed殿下にトレードが決まったValixir相手に完敗の2着。Queen Elizabeth II S.(GB-G1 T8f)でもStarcraftとDubawiの熾烈な争いを横目に見る4着。Champion S.(GB−G1 T10f)では為す術無く6着に敗れるなど成績は下降線を辿っています。しかし、Lockinge S.でのパフォーマンスがあまりにも強烈だったために、普段から海外競馬に興味を持っている方には強い印象があるのですが、日本競馬のみを観ている方にとってはマイルCSでの大惨敗のイメージしか無いので切り易い・・・かなと。中距離よりはマイルが良いタイプなので、昨年よりは期待できますが、好不調の波が激しく負ける時は大胆な負け方をするお馬さんだったりもします。まぁ、いつ走るかわかんないってこと。

同じく115のSuper Kidは香港のお馬さんだけど書いてしまう。香港では04年にSteward's C.(HK-Gd1 T1600m), Hong Kong Champions & Chater C.(HK-Gd1 T2400m)を勝っています。シーズンで言うと2シーズン前か。今シーズンは豪州遠征で、Dubai Racing Club C.(AUS-G1 T1400m), Toorak H.(AUS-G1 T1600m)と2戦続けてBarely a Momentの2着。勿論これは斤量差があるのでしょうがないのですが、Barely a MomentはSalinger S.(AUS-G1 T1200m)でCape of Good Hopeに先着しており、弱いということはありません。Super Kidが負けたのも納得というところ。その後距離を伸ばして2戦していますが惨敗。母父Pompeii Courtで思い出すのは同じNZ産馬で今年欧州で暴れたStarcraftかな。

個人的に注目なのが114の持ちレートがあり、スプリントの方から廻ってきたCourt Materpiece。Prix de la Foretでの勝ちがありますが、それ以上にSilver Trophy S.(GB-G3 AW8f)でのクビ差2着が好印象。初めて行われたAWの重賞だったりします。だからってどうということは無いのですが。Chicもそうだけど、一線級のマイラーがこうやってAWに駒を進めるというのは面白い現象だなぁと思ったり。そういった意味も含めての注目かなと。
(AWとはダート「みたいなもの」と考えていただければいいかと。本当は全然違うんだけども。香港にある全天候型馬場は同じものでしょうが。アメリカでもポリトラック導入計画に拍車がかかっているようなので、覚えておくといいかも)

114のDesigned for Luckは唯一の米国勢。昨年春にShoemaker Breeders' Cup Mile S.(USA-G1 T8f)を勝ってから1年半近くの休養を経てOak Tree Breeders' Cup Mile S.(USA-G2 T8f)でSingletaryの1馬身半差の2着。Breeders' Cup Mileを回避してここに叩き2戦目で挑んできていることから、本気で狙いに来ているのでしょう。

レートの上位はこんな感じかと。適当にサッと軽く流す感じで。

by ろぜ  
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2005年12月05日

香港國際賽事について。

色々とレースについての見解など御託を並べる前に書いておかなければならんことを思い出した。4レースの大体のレベルや勝ち馬の地域別の統計などについてのこと。一応香港には来ないであろう地域のお馬さんは除いて、香港に来る可能性の高い地域にしようかと。そうすると
英・愛・仏・独・伊・日・米・加・豪・新・澳・南ア
といった辺りになるかと。以前あったマラヤン競馬協会(マレーシア・シンガポールの統一協会みたいなもんだっけ)へのHong Kong C.への招待枠というのはもう既に無いでしょう。ということで、ここ数年では大体こういった辺りに限られるのかなという推測。「英・愛・仏・伊・独」を十把一絡げに「欧州勢」とするのは甚だアレなのですが、今は簡略化のためにそうしておきましょうか。南アはNational Currencyがいましたが、う〜ん、デンマークも一応Dano-Mastがいたんだけど、今後挑戦は考えられないと思うので除外。ごめんね。


まずはHong Kong Sprint(HK-G1 T1000m)から。現在世界で一番スプリント路線(ここでは1400m以下と定義)が充実していると考えられるのは、香港と豪州だ考えられます。豪州、NZの生産馬がそのまま香港に入ってくるというのもまた何らかの影響を与えているのかもしれませんが、下級条件はマイル以下が多く、2000mを超える距離のレースはあんまり無いという印象。何しろ香港には短距離三冠と呼ばれるものまでありますので(今年から少しレースが変わりましたが)。香港におけるSilent Witness, Cape of Good Hopeや豪州におけるChoisirの出現で評価がグンと上がった感がありますが、元々の下地ができていた地域なので不思議ではないというところでしょう。また南アのNational Currencyが03年に2着、マカオのNatural Blitzが04年に3着していますが、前者の場合はその当時のTurffontenの1000mのレコードホルダーで、南アのハンデキャッパーが「これまで見た中で最強のスプリンター」という賛辞を述べていることで要は同国のSilent Witness級のお馬さんだったという結論に達します。後者はマカオ所属時代のオーナーがHKJCの人間ですが、持ち馬数制限に引っ掛かってマカオに預けたらしいという話なので、香港所属馬と変わらない(現に今は香港所属だし)ということからも参考外ということでしょう。G1に昇格してからの3年で地元勢以外に連対したのは一昨年のNational Currencyのみという、ほぼ寡占状態になっています。年の為に言っておくと、00, 01年と連覇したFalvelonは豪州馬ですよと付け加えておく。その両年で2着しているMorlucは珍しいアメリカの芝のスプリンターです。元々芝を走ってたタイプね。

ということで、主に注意すべきは地元勢と豪州勢といったところかと。また、日本勢が唯一良績を挙げていないレースでもあります。そういえばメジロダーリングが新潟でのレコードを買われて人気になっていた年がありましたが、情報量が多いことが返って向こうの競馬ファンには悪い方に作用しているということなのかもしれませんねぇ。


続いてHong Kong Mile(HK-G1 T1600m)。G1に昇格してからの4年で3回も日本勢が一番人気になっているという変わったレースです。その弊害(?)が「日本人が知ってる香港の情報よりも、香港の人が知ってる日本の情報の方が断然多い」ということ。もう一つ添えるとすれば、この路線で地元勢の層がスプリント路線に比べれば薄く、ローカルG1であるマイル戦の勝ち馬も「スプリント〜マイル」という距離を得意としているお馬さんではなく「マイル〜中距離」を守備範囲とするお馬さんが勝っていたりするわけです。Bullish Luckなんかもそうなんだけど。この問いに対しては、個人的には香港の三冠体制(後述)が関わっているのかなという気もするわけですが、そこまで三冠に対して熱い気配も伝わってこない(香港三冠は古馬のレース)ので、それは思い違いかもしれません。マイル路線となると香港は少し落ちてしまう印象があるのですが、Lucky OwnersやOlympic Expressなど、G1になってからの連対馬10頭の内7頭までが地元香港勢ということになっています。ちなみに残り3頭は00年の豪州の女傑Sunlineと02年の勝ち馬エイシンプレストンと04年の勝ち馬であるGodolphinのFirebreakです。今年の欧州においてのStarcraftの活躍や先のSunlineの例を見ていると、豪州において2000m前後で活躍しているお馬さんがこのレースに挑戦してくると狙い目と言えるかもしれません。

地元が「意外と」健闘しているレースなので、地元のお馬さんを軽視しないようにするのが吉かもしれないですが、但しこのレースが一番荒れることは間違い無さそうな気配がします。

※香港三冠については昔書いた覚えあり。
ほんぐこんぐ。(05/4/25)


続いてはHong Kong C.(HK-G1 T2000m)。2000mという距離は非常に微妙。この路線だと欧州や日本が強い距離でもあります。G1に昇格してからの6年を見ると欧州勢(UAE関連含む)が8頭、あとはレベルがまだ低かった99年にアメリカのRunning Stagが2着、01年のアグネスデジタル、02年にアッと言わせたPrecision(今年の5月まで走ってた辺りもっとアッと言わされるんだけどセン馬だしな)と04年の2着馬Bullish Luckという地元勢。これを見ると、欧州勢がいかに優勢かということがわかると思われます。日本のお馬さんで2000mを得意とするお馬さんがいればかなりの割合でJC→有馬という選択をするでしょうし、マイル〜中距離が守備範囲ならば手薄な印象が拭えない(毎年日本勢が人気になっていることからも、気軽に遠征できるであろう)マイルに回るでしょう。アメリカの場合はSarafanがmethylprednisoloneをアメリカで投与しており、その残留の可能性があることから回避だなんてことも03年にありました(これより半年ちょっと前に南アのEventuailが同じことで出走取り消しになってる)ので、ちと遠征しづらいかもしれません。とするとやはり欧州勢に有利になると。さすがにこの距離になると少し豪州勢は遠征し辛いでしょう。Fields of Omaghの惨敗(あれはヴァーズですが)もありますしね。

とするとやはり狙いは欧州で成績の良いお馬さんということになりますが、2タイプが考えられます。Falbravの様な超一流馬(余談だが、このお馬さんがこの年のJCを回避したのは距離の問題と、権利の半分を購買していた社台の思惑であって、決して格云々の問題ではないはず。この回避以降「JC vs 香港」なんていう議論がよく闘わされるようになりましたけど、FalbravのJC回避については何にも関係無いだろうと推測)が来る場合と、Fantastic LightやAlexander Goldrunの様に「既にG1は勝ってるけど、ここを勝ってもう一伸びしたお馬さん」といった感じ。前者が来れば文句なしに勝つ可能性があります(FalbravとGranderaは比べちゃ可哀想で、むしろGranderaはこのレースの翌年春までのFactastic Lightと比較されるべき。同じことがPowerscourt辺りにも言えるはず)。だからこそ、欧州勢で「今後伸びそうなお馬さん」を探すのが一番面白いのではないかと考えられます。


さて残ったHong Kong Vase(HK-G1 T2400m)なのですが、香港にはこの距離のG1(ローカルG1を含む)が2つしかありません。今回述べているHong Kong Vaseと三冠最後のHong Kong Champions & Chater C.(HK-Gd1 T2400m)ね。スプリント路線で述べたように、元々2400mなんて距離に対応するようなレース体系なんぞにはなっておらず、国際レース4つの内でなぜかこのVaseへのトライアルが存在しません。ハナから勝つ気無いのがみえみえです。ついでに言っておくと、香港やその競走馬の主な生産地である豪州・NZにおける2400m以上のレースというのはレベル的に疑問符が付くこともあり、Hong Kong Vase(HK-G1 T2400m)での欧州馬の寡占状態や、アイポッパーがCaulfield C.(AUS-G1 T2400m)ですんなり2着に入ったこともまたいえるのかもしれないと。確かアイポッパーが2着に入った時に現地の関係者から「このままじゃ長距離路線はやばいよねぇ」といったコメントが出ていた記憶があるのですが、詳しくは覚えていません。G1に昇格してからの連対馬10頭の内、01年のステイゴールド以外は全て欧州のお馬さん。そりゃHKJCもやる気なくすよな。力の要る芝ですが、コースのレイアウトを考えると英国馬よりは仏国馬の方が合うとは思うのですが、00年Daliapour, 04年Phoenix Reachという英国勢、02年Ange Gabriel, 03年Vallee Enchanteeという仏国勢が共に2勝ずつ。とりあえず「欧州馬には逆らうな。でも何が勝つかは想像も付かない」といったところでしょうか。シックスセンスがどの程度の力を持っているのかはわかりませんが、勝負になるだろうという気はします。

by ろぜ  
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2005年12月03日

香港國際賽事(その1)。

色々とつかえそうなので香港について書いてみよう。まずはHong Kong Sprintから。

Hong Kong Sprint(HK-G1 T1000m)
調教国/Rating(WTRR)/馬名(生産国)/齢/性/斤量/調教師
HK 123 Silent Witness (AUS) 6 G 126 T Cruz
FR 116 Chineur (FR) 4 C 126 M Delzangles
JPN 115 Admire Max(JPN) 6 H 126 M Hashida
HK 115 Cape Of Good Hope (GB) 7 G 126 D Oughton
GB 113 Majestic Missile (IRE) 4 C 126 W Haggas
GB 111 Benbaun (IRE) 4 G 126 M Wallace
HK 110 Country Music (AUS) 5 G 126 T Cruz
HK 108 Planet Ruler (AUS) 6 G 126 A Lee
HK 107 Able Prince (AUS) 5 G 126 J Moore
HK 100 Natural Blitz (AUS) 5 G 126 D Cruz
MC 100 Warcat (NZ) 4 G 126 C Yee
HK 95 Absolute Champion (AUS) 4 G 126 A Lee
FR 108 Nipping (IRE) 3 F 122 R Collet
USA 103 Nicole's Dream (USA) 5 M 122 L Rivelli

というわけで、選出馬は14頭。このうちウィルスの感染からくる体調不良、さらにバリアトライアルでの5着凡走など、Silent Witnessの回避は確実。ということで、プレレートから推測する本番のレーティングは一番うまくいって国際G1のレートである115を確保できるか微妙なところ。といっても、国際レーティングは毎年この香港國際賽事に合わせてハンデキャッパーが海外から集められ、レーティングの調整を行う会議が開催されますので、レート修正による多少の上下は考えられるでしょう。

しかし、Silent Witnessを除くとトップレートになるのが仏国のChineurだとはおそれいったorz

今回のHong Kong Sprintは欧州勢、香港&マカオ勢、それに日本&米国といった感じで大別すると見やすいかもしれません。
まずちらっと欧州勢を見渡すと、4頭ともNunthorpe S.(GB-G1 T5f), Prix de L'Abbaye de Longchamp(FR-G1 T1000m)の両レースをつかっていることがわかります。これを見ると、欧州の短距離路線(7f以下)がいかに限られた面子で競われている路線かというのがすぐにでもわかってしまうわけで、地盤沈下が進んでいるといっても過言ではないのかもしれません。他地域からの遠征馬であるChoisirやCape of Good Hopeなどが風穴を空けてしまうのも頷けます。それは長距離路線の方がさらに著しいという可能性もあるのですが、WesternerやVinnie Roeなどの活躍によって少し変革が起こりつつあるのかもしれません。話を戻します。
Nunthorpe S.(GB-G1 T5f)
Majestic Missile 3rd
Benbaun 5th
Chineur 9th
Nipping 10th
といった感じ。勝ったごきぶりさんことLa Cucarachaは出てこないのね。残念。
Prix de L'Abbaye de Longchamp(FR-G1 T1000m)
Chineur 4th
Majestic Missile 9th
Benbaun 10th
Nipping 15th
こちらはこんな感じ。こうやって見るとNippingが一番だめっぽい気配がしますが、微細ながらプラスなデータを後述しましょうか。どうみてもドングリの背比べとしか言いようが無いのですが、推せるお馬さんだけでも挙げておきましょうか。

暫定トップレートのChineurはCape of Good Hopeも出走(4着)していたRoyal Ascot Meeting at YorkのKing's Stand S.(GB-G2 T5f)の勝ち馬です。ここで116をもらったのでしょうが、このレースには昨年のHong Kong Sprintに参戦して欧州勢では最も人気になっていた(というよりもSilent Witnessの人気が高過ぎた感もあり)Varが出走していまして6着と。しかし、今年のVarは精彩を欠いていたので参考にはならないかもしれませんが。そして南アフリカで種牡馬入りしたというのは以前書いた記憶があり。脱線したので元に戻すと、ChineurはKing's Stand S.の後はNunthorpe S., Prix de L'Abbaye de Longchampを9, 4着と敗退し、Prix de Seine-et-Oise(FR-G3 T1200m)でも5着。前半戦の4連勝の勢いが嘘のような後半戦に入ってからの低迷振りで、ここで一発という可能性は少し低いかと思われます。Fasliyev産駒ということもあり、そろそろ潮時かなということだったのですかねぇ。というよりも、昨年と比較しても欧州勢は面子的に相当ダウンした感があるので、む〜、狙えない。

あえて他にも欧州勢を推すならば、Nippingを推したいかなと。持ちレートは108であり、前述の通りNunthorpe S., Prix de L'Abbaye de Longchampでは10, 15着と敗れています。一応その間にPrix du Petit Couvert(FR-G3 T1000m)での勝利が挟まるのですが、注目に値するのは半兄であるZippingが3年前のHong Kong Sprintで5着しているというところ。ちなみにその時、Cape of Good Hopeは9着でした。まぁ、そんなこんなで走るとしたらNippingじゃねぇかという至極アレな予想。

続いて115はサイトでも何度も何度も取り上げた「さすらいのスプリンター」ことCape of Good Hopeさんとアドマイヤマックス。
昨年2着のCape of Good Hopeのローテーションたるや凄まじいものがありまして昨年暮れのHong Kong Sprintから
「香港→豪州→香港→英国→(香港でバリアトライアル2着)→日本→豪州→(香港でバリアトライアル1着)」という遠征三昧。その甲斐あってか、それまでどうしても勝てなかったG1を2つも勝ち(豪州と英国)、第一回のGlobal Sprint Challengeの王者に輝きました。Silnet Witnessが回避すれば、香港のエースとして出走してくることは間違いありません。海外からの参戦馬を見渡してもさほど強力な布陣ではなく、ここで勝たなければSilent Witnessに勝てる日は無いと思わせるようなお膳立てが整っています。そういうところでまた負けてしまうのがCape of Good Hopeの持ち味とも言えるかもしれませんが、この冬の豪州遠征でSalinger S.(AUS-G1 T1200m), The Age Classic(AUS-G2 T1200m)と両方とも3着に敗れてしまったのはちょっと痛かったかな、というところ。

アドマイヤマックスはご存知の通りHong Kong Mileで0.3秒差の4着があるので、日本よりも時計のかかるSha Tinの芝コースへの対応力に関しては問題はないかと思われます。今年は高松宮記念を勝ったこともあり、堂々の選出ということになりました。欧州勢はさほど脅威ではないので、敵は香港勢ということになるでしょう。個人的にこのお馬さんはマイルに向いているのではないかと考えていますが、さて引退レースとして直線1000mというのはどうなのでしょうか。姪にあたるラインクラフトが古馬戦線に混じってもなかなかの活躍を見せていることから、牝系の同時活性化というのも見たいなという気はします。鞍上が上村騎手になるとの噂なのですが、私は菊花賞当日の華麗な逃げ切りを現地で観ているので、問題は無いと思っています。

International Sprint Trial(HK-G2 T1000m)の上位二頭であるPlanet Ruler, Able Princeは、あの面子では実績上位だったので上位独占も当然というところ。ただ、国際レースになるとさすがに地力に差が感じられる。どちらかというとその時の3着馬で昨年の3着時のように今回は逃げに出そうなNatural Blitzや、前走大敗もSilent Witnessに迫る実力を感じさせていたCountry Musicなどの方が不気味な存在に感じられる気がしますが。

唯一米国からの参戦となるNicole's Dreamは多分米国で芝5fのステークスレースを4勝してます。アメリカの芝のスプリンターなんてそうそう思い付かないので、ちょっとだけ注目。引退したPico Centralや亡くなったSaratoga Countyなど、ばかっぱやいダート馬が出てきた方が怖いとは思うのですけどねぇ。一番推したいのは一昨年のBreeders' Cup Sprint(USA-G1 D6f)の勝ち馬であるCajun Beatです。出てこないけどさ。ふんだ。淋しい。

by ろぜ  
Posted by rosettastonejp at 00:27Comments(0)TrackBack(0)海外&中央競馬

2005年12月02日

Afleet Alex引退。

Dual Classic Winner Afleet Alex Retired(bloodhorse)

ということで久々の速報か。
Preakness S.(USA-G1 D9.5f), Belmont S.(USA-G1 D12f)を制し、Kentuckey Derby(USA-G1 D10f)でも先行勢総崩れの中3着に粘ったAfleet Alexが7月に患ったhairline condylar fracture of the left front cannon bone(左前脚の砲骨の顆部の亀裂骨折かな?よくはわかりません)が元で引退することになりました。残念。

現時点では有力古馬が次々に引退していっていたので、ここで踏み止まれば来年は素晴らしい活躍ができた可能性は大いにあったわけですが「傷モノ」にするわけにはいかなかったというところでしょうか。Breeders' Cup Classic(USA-G1 D10f)の前にも復帰話が散々持ち上がっていたので、何ともやり切れない引退の仕方であることは否定できませんが。どこで種牡馬入りするかは現在のこところはわかってはいないようです。
「A xeroradiograph of the cannon bone revealed an abnormal wedge-shaped section of bone abutting the original fracture line.」
という記述からも、X線での検査により、元の骨折線の隣に新たな骨の異常(V字型とか)が見つかったというところでしょうか。詳細は記事をきっちり読んでいないのでわかりませんが。

とにもかくにも、残念という他はありません。  
Posted by rosettastonejp at 01:09Comments(5)TrackBack(0)海外競馬

2005年11月25日

JCダートの予想

JCダートの予想
◎カネヒキリ
○アジュディミツオー
▲タイムパラドックス
△サカラート
△ヒシアトラス

 前走でダート戦での無敗が途絶えたものの、勢いと将来性から考えるとカネヒキリが一番手。5枠を引いたので馬群にもまれる心配も無いのでかなり堅いと思われる。
 アジュディミツオーは今年のドバイに出走し、世界を相手に戦った経験を生かせれば面白い存在。前走は59kgで勝ち馬と差の無い競馬をできたのは大きい。人気にならない可能性もあり、馬券的に熱い。
 ペリエを擁したタイムパラドックスは、去年のJCダートみたいにあっと言わせる可能性もありえる。東京の広いコースも味方するであろう。
 今年に入ってから勢いのついたサカラートも怖い。前走のJBCクラシックでの敗北は気にしなくてもよいだろう。
 ヒシアトラスは三着ならありえそう。

By 一発屋  
Posted by bluesky_ys at 21:56Comments(0)TrackBack(2)中央競馬

JCに来る海外勢についての考察。

さて、海外系のサイトが一番アクセス数が伸びるJCの時期なのですがJRAが凄い詳しいのを書いてくれているので、私なんぞが口を出すのは恐れ多いということで、皆様こちらをご参考にどうぞ。あの資料には書いていないことも補完しつつ、ここからは自分のイメージで書くよということです。では。

まずはWarrsanなのですが、Coronation C.(GB-G1 T12f10y)やGrosser Preis von Baden(GER-G1 T2400m)といったG1の連覇がありますが、最近の傾向としては前者は英国平地開幕間も無い(といっても開幕からは1ヶ月以上は有に経っていますが)の空き巣G1的な存在であり、後者は英愛仏のハイシーズンとなるIrish Champion S.(IRE-G1 T10f)とほぼ同時期に行われ「ドイツの一線級 vs 英愛仏の準一級12fホース」といったイメージになってしまうかと思います。いずれにしろ、超一級と言われるようなお馬さんの参戦はあまり考えられないG1を勝ったもので、一口にG1と言いましても「大舞台」とは言い難いということも押さえておきたいと思います。ってか、このサイト見てる人ならそれは知ってる人がほとんどだと思うので、知らない人に言いたいわけですが、そういうわけにもいかないと思いますし。
個人的にはWarrsanはとにかく「大舞台」には弱いイメージ。大舞台というのはPrix de l'Arc de Triomphe(FR-G1 T2400m)とかKing George IV & Queen Elizabeth Diamond S.(GB-G1 T12f)での話なのですが、前者は昨年9着、今年8着。後者も一昨年6着、昨年9着、今年4着という戦績です。比較的時計の速いイタリア、日本などでも走ってはいますが、タイムの面で善戦したと考えられるのが一昨年のGran Premio di Milano(ITY-G1 T2400m)での2.28.3から1馬身半遅れの2着(2.28.5辺りと推測)、昨年のJCでの2.24.2から約20馬身差離された15着(2.27.5辺りと推測)といったところでしょうか。とにかく時計勝負になるとつらいと考えられます。
今年は昨年と比べて戦績の面で見劣りがし、Coronation C.の三連覇もならなかったことを考えるとある程度の衰えが感じられます。但し今年唯一の勝利であり唯一の連対であるGrosser Preis von Badenで、GonbardaやWesternerといった相手をやぶったことを考えますと、一発に注意する必要はあるのかもしれませんが。K McEvoy騎手でG1を二勝していることからも陣営は依頼したかったのでしょうが、豪州で落馬して大怪我をしてしまったために現在は療養中ということも少し計算外か。今年英リーディングを獲得したJ Spencer騎手の手綱捌きでどこまで食い込めるか・・・。強いて言うなら「高齢のCaerleonには気を付けろ」といった程度かと考えます。

続いてAlkaased。Grand Prix de Saint-Cloud(FR-G1 T2400m)を勝ち、日本でも定評のあるKingmambo産駒ということ。そして陣営が「固い馬場を臨んで」Prix de l'Arc de Triompheを回避し、JC遠征を決めたという経緯があることからも、穴人気になる可能性はありますか。エルコンドルパサーを重ね合わせてみるというのもまた一興かもしれません。いつの間にHamdan殿下(Mohammed殿下の兄)からM Charlton氏に馬主が変わったのかは知りませんでしたけど。ちなみにBreeders' Cup Turf(USA-G1 T12f)を回避した理由は血液検査で白血球数の異常が発見されたためだそうですが、真偽の程は知りません。昨年秋のオールカマー、京都大賞典辺りに登録してた気がするのですが、誰か覚えているのかしらん。一年越しの参戦が叶ったということでひとつ。
母系には長距離適正を持つ上級馬の名前が並ぶということもあり、この距離に全く問題はないでしょう。戦績を見ると、いかにも大事につかわれてきたお馬さんであり、Listedは4歳夏の初戦で突破。次走の初重賞September S.(GB-G3 T12f)ではMamoolに敗れますが、今期初戦のJockey Club S.(GB-G2 T12f)を強豪相手に勝ち、初重賞制覇。Coronation C.(GB-G1 T12f10y)ではYeatsの2着に敗れます(Warrsanは4着)がGrand Prix de Saint-CloudではBago, Elvstroem, Yeatsら相手に快勝。そのまま秋まで休養しますが、Prix Foy(FR-G2 T2400m)で牝馬Prideに完敗し、Champion S.(GB-G1 T10f)ではそれまでデビュー3戦目から続いていた連続12連対がストップする5着に敗れました。勢いという面ではあれな感じですが、密かにJCは狙ってきているレースだと思うので、自身の評価は高め。Warrsanよりももっと持ち時計が遅いということはあるのですが、期待したいな。Dettoriだし、という理由も大いにあり。

こっくりさんことOuija Board。欧州年度代表馬に輝いた昨年に比べると今年は戦績がかなり見劣りします。戦績に関してはPrince of Wales's S.(GB-G1 T10f88y)後の左前脛骨の疲労骨折の影響が大きいのですが、復帰がずるずる長引いたあとがいまいち。Princess Royal S.(GB-G3 T12f)を勝ち、Breeders' Cup Filly & Mare Turf(USA-G1 T10f)で2着。IntercontinentalとR Bejarano騎手の作り出したペースににしてやられたという部分も大いにあるでしょうが、このお馬さんには多少短い可能性がある10fだということを考慮に入れてもやはり勝ってなんぼのレースだった印象。J Bailey騎手ということで、慣れない競馬場での騎乗ミスも考えられないと。つまり、勝ちきれなかったということ自体何らかの衰えがある、もしくは二走ボケということなのですが、もう昨年の域には無いと考えるのが妥当なところでしょう。来るならば昨年が良かったというところ。鞍上は昨年のK Fallon騎手に戻り、新天地で心機一転となるか。
それに加えて、この後は香港に行くとのことですが
イギリス→アメリカ(東海岸)→日本→香港
というのを3ヶ月足らずでこなすというのは相当きついんじゃないかと。狙いが香港であれば、8分どころで出てくる可能性もあり、さて、どっちに重点を置いているのかはわかりません。厩務員の言葉で「2分22秒台を目指す」というのがあったそうですが、正気の沙汰とは思えない。

お行儀の悪さでは昨年ピカイチだったBetter Talk Now。昨年のBreeders' Cup Turf(USA-G1 T12f)を斜行による長い審議の末に勝った後に「やっぱり」と思わせるHollywood Turf Club S.(USA=G1 T12f)での6着敗退。しかし、今年はFort Marcy H.(USA-G3 T8.5f), United Nations S.(USA-G1 T11f), Man O'War S.(USA-G1 T11f)と、昨年夏からの一戦置きに勝ったり負けたりするペースで勝ち星を積み重ねています。なかでもMan O'War S.では2.11.65というタイムでKing's Dramaをクビ差退けており、Kitten's Joyが引退した今では米国の芝トップホースという域まで上り詰めています。但し、後方からという脚質が幸いしてか、いまいち安定感に欠ける面は否めません。Breeders' Cup Turfでは7着に敗れましたが、欧州勢相手がどうこうというよりも、敵は自分であるというところでしょうか。フサイチでお馴染みの関口氏が一部権利を購入したそうで、勝負服はあの見慣れたものになるそうです。ということは一部といっても半分は買っているのかもしれませんねぇ。最後に突っ込んでくるけど、その時には既に勝負が終わっていて結局5着だった、みたいなのが一番考えられると思います。チーフベアハートみたいな感覚か。

米国からはもう一頭、フラ(ryでお馴染みのR Frankel師が手がけるKing's Dramaが参戦。人気で飛ぶのがフランケルマジックなのですが、どうもKing's Dramaは人気にはならないだろうという感が漂っています。Sword Dancer Invitational S.(USA-G1 T12f)を勝ち、Man O'War S.でクビ差Better Talk Nowに差し切られているように、一線級にはもう少し足りない存在で、直前のCanadian International S.(CAN-G1 T12f)でも逃げて8着に敗れました。愛国産で仏時代に重賞も勝っています。今年はまだ4戦しかしておらず、米国馬にしてはフレッシュな状態であると考えられます。G Tanaka氏はRakti, Sarafanに加え今年はこのお馬さんとEccentricが控えていますが、夏過ぎに一度
タイ━━━━||Φ|(|゚|∀|゚|)|Φ||━━━━ホ!!!
されてしまった(保釈はされたと思いますが)はずなので、Lava Manの鞍上同様日本に入国することはできないような気がします。これでKing's DramaとEccentricが勝ったらもうとんでもないことになりますが。

最後は真打と言われるBago。どうやらJ Peace師が日本の検疫に関して色々と文句を言っていたようですが、その件についてはどうなったのかは知りません。ここで難しいのが「顔見世興行なのかどうか」という判断でして、元々固い馬場が好き(昨年のPrix de l'Arc de Triompheは2.25.0だった)ということもあり、本気で日本に参戦しているのか、はたまた種牡馬入りが決まっていることから参戦したのか、どちらなのかはわかりません。時計勝負になっても頑張れるのではないかという期待は、欧州勢の中では最も大きいでしょう。
ただ、King GeorgeからArcまで間隔があいたものの、照準はPrix de l'Arc de Triompheの連覇に合わせていたはずなので既にピークは過ぎていると考えられます。Ouija Boardと同じく最優秀3歳牡馬に輝いた昨年の勢いはなく、今年はPrix Ganey(FR-G1 T2100m)の1勝のみ。夏のGrand Prix de Saint-CloudではAlkaasedの前に為す術無く3着に敗れ去りましたが、King Georgeではしぶとく3着を確保するなど「それなり」のレースはしています。しかし、Arcを勝ったお馬さんとしてはもうひとつ足りないレースが続いていることもまた確か。Arc本番ではレース前に豪雨が振り出すという不運も重なりやはり3着。前走Breeders' Cup Turfでは生涯で初めて3着を外す4着に敗れ、どんどんスケールダウンしていっている印象さえ与えます。雨はマイナス材料で昨年のInternational S.やPrix Nielでの敗因を馬場に求めていたことからも、欧州勢には珍しく、望むのは良馬場と考えられます。父Nashwanと同牝系になるディープインパクトが大活躍したこの地で、引退レースで華麗なる復活を遂げることができるのか。

ということで、私はBagoの復活とAlkaasedの一発とに期待。

by ろぜ  
Posted by rosettastonejp at 00:44Comments(0)TrackBack(0)海外&中央競馬