ビジネスモデルと創業（旧学習と創造）

2016年01月16日07:30

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労働生産性の低いわけ

以上のような式によって労働生産性は算出される。この生産性を上がるためには、

１．分子であるGDPを上げる。

２．分母にある就業者数×労働時間を下げる。

の二つである。

では、なぜ日本がこの生産性が低く出るのであろうか。

GDPを生産の面から見ると、「国内で一定期間（たとえば一年間）に生産された全ての最終財・サービスの総額」と定義できる。

すなわち、この総額が低く出ている。もっといえば、対価として支払いが内在・サービス、特にサービスが存在しているという点。すなわち、サービスとは日本語で言えば、無料奉仕の意味であり、このようなサービスはGDPから抜け落ちてくる。

さらに、この抜け落ちたサービスのために、労働時間が費やされるとすると、分母が大きくなり、GDPの低下と労働時間の低下という二重の作用によって、生産性は低く出る。

単純にいえば、すべてのサービスは一定の対価を取って提供するということにすれば、日本の生産性は向上すると考えられる。もちろん、サービス以外の面に生産性を低下させる要因があるため、それだけでは解決されないであろうが、一つの対策になりうる。

個別具体例を挙げてもしょうがないが、
１．コンビニで21時から6時までは深夜料金を取り、すべての支払いに10％割り増しをつける。
２．正月などの一斉の休暇の場合には、同じく10％の割り増しをつける。
３．すべてのサービス業にサービスチャージを取るようにする。

等々。

こう見ると、あえて労働生産性を上げる必要があるのかという疑問がある。おもてなしにはきちんとサービス料金を払うことになり、笑顔を金で買っていることになる（もちろん、サービス料は高い宿泊料に込みだという解釈も成り立つが）。

2016年01月15日00:20

カテゴリ: 事業／産業創生

隠された戦略

戦略の重要性はいうまでもないが、いつでも戦略は公にされなければならないのか。

組織外部には秘密にしておく戦略をここでは隠された戦略(Hidden Startegy)と呼ぶことにする。

少人数で策定され保持された戦略は、実行する他の組織成員にも明らかにされないこともありうる。

たとえば、グローバル戦略を公にした場合、その主たる目的となる知識は東南アジアであるにもかかわらず、その記載に関してはきわめて簡単なものにし、あまり力を入れるつもりのない米国に関する記述を詳細に記す。

もちろん、全く進出する予定のない、あるいはやる予定のない事を公表することは、外部に対して嘘をつくことになり、コンプライアンスや企業倫理上問題があるかも知れないため、記載の量に差をつけることで中心となる戦略を陰に隠す。

あるいはきわめて一般論的な戦略記述を行い本質を隠すということもありうるかもしれない。たとえば、グローバル戦略を今後採らなければならないという記述をするが、実態としてはドメスティックな施策しか実行しないというやり方である。

最も簡単なのは、戦略を公表する場合行うことを公表するのだが、最も重要な戦略をかなり遅れて公表すると言う方法がありうるかも知れない。

ここまで詳細に戦略を明らかにする必要があるのだろうか→三菱UFJフィナンシャル・グループ（ＰＤＦ）

また数値だけであるが、非公表と言うことも実際にあった→好調トヨタ、世界戦略の数値目標非公表から透ける、“新たな船出”への懸念

2015年12月29日07:30

カテゴリ: 組織学習一般

情報獲得から情報評価へ

　現在，情報技術や情報通信インフラの飛躍的進歩，およびそれに伴う社会の劇的変化が生じつつあるといわれている．前者に関して意見の相違は少ないと思われるが，社会の変化の行方に関してはあまりはっきりとしたことが語られていない．あまり厳密な論考ではないし，断片的であるが，考えていることを述べてみたい．
われわれの回りの情報通信機器に関していえば，短期間に大きな変化が生じている．文字情報の伝達手段は郵便からFAXそしてE-mailへ，音声情報では固定電話から携帯電話へと変わってきた．また，携帯電話も，通話からメール機能，あるいはインターネットの接続機能を持ち始めており，音声から文字情報，さらには画像情報へと，その中心的な機能を変えつつある．では，これらがわれわれに，いったいどのような変化をもたらすのであろうか．

　このことを考察するために，情報処理の過程を情報獲得過程と情報評価過程に沿って区分してみたい．データや情報の獲得過程は，幅広いサーベイランス，関連あると考えられる情報の抽出，速やかな蓄積，特定評価基準に基づく分類と整理，そして素早く的確な検索と結果表示によって，構成されている．この面への情報技術の貢献は大である．今後もこの分野が急速に伸びていくであろう．

　このように情報技術の発達は，情報の検索，入手そして保存を容易にし，なおかつそれにかかるべき費用が驚くべきほど安価にしたため，情報の流通量を増大させてきた．しかし，情報評価という点ではいくつか問題がある．第一に，情報技術の発達が探索すべき情報の領域の拡張と評価必要時間の減少を引き起こす可能性がある．獲得可能な情報の量の増大は，探索領域が不変であれば，良質の情報に出会う可能性を高める．ところが，領域が量的な拡大を上回って拡張していくとすれば，よりよい情報に出会うチャンスをさして高めはしないであろう．また，評価時間に関しては言えば，個々の情報の評価や判断にかかる時間は情報技術によって削減されるとはいえ，収集される（されてしまう）情報量がその削減を上回って増えれば，全体として人間がすべき評価や判断に必要な時間は増大しかねない．人間が利用できる時間は限られていることを考えるならば，一情報単位あたりに費消可能な評価時間は減少していくことになる．結果的に，情報の爆発的増加は，領域拡張という面からして情報の質を，評価時間の減少という意味で決定の質を，向上させると断言することができなくなるのである．

　しかし，情報評価という点ではいくつか問題がある．第一に，情報技術の発達が探索すべき情報の領域の拡張と評価必要時間の減少を引き起こす可能性がある．獲得可能な情報の量の増大は，探索領域が不変であれば，良質の情報に出会う可能性を高める．ところが，領域が量的な拡大を上回って拡張していくとすれば，よりよい情報に出会うチャンスをさして高めはしないであろう．また，評価時間に関しては言えば，個々の情報の評価や判断にかかる時間は情報技術によって削減されるとはいえ，収集される（されてしまう）情報量がその削減を上回って増えれば，全体として人間がすべき評価や判断に必要な時間は増大しかねない．人間が利用できる時間は限られていることを考えるならば，一情報単位あたりに費消可能な評価時間は減少していくことになる．結果的に，情報の爆発的増加は，領域拡張という面からして情報の質を，評価時間の減少という意味で決定の質を，向上させると断言することができなくなるのである．

　さらにもう一つ情報の評価に関していえば次のようなことが考えられる．情報の評価（質の判定）は，これまでは多くの場合，一定の機関（公共団体，専門家，新聞・雑誌のマスコミ等）が行うか，あるいは伝統，常識や口コミのようなある一定のマクロ的な評価メカニズムによって，済まされてきた．これらに頼っていれば，量的に圧縮され，一定水準以上の質の情報を，いささか受け身的であるが獲得することができた．しかし，これに不満を感じる場合には，独力で情報を収集するしかなかった．そしてその場合に必要となるコストや労力は，個々人にとっては莫大なものとなった．なぜなら，「何を」「何処で」「どのように」収集するかを，その意思決定した人々が個々人ばらばらで全くゼロから始めなければならなかったからである．現在では，情報技術の発達により，他の人々が遭遇した事象やそれに対する意思決定の結果をインターネット上で参照できるようになり，この意味で個々人のコストや労力の量は減少し，評価の水準は向上してきていると見える．

　ところが，社会的に見て価値基準や評価基準がより細分化されてきたため，一般に通用するような評価基準で評価された情報では満足しなくなってきたヒトが増えてきた．マクロ的な評価ではなく，ミクロ的な主観的評価をよりいっそう参考にしようとする傾向が強くなってきているのである．それだけではなく，より多くの人が今度は自らも情報を発信しようと考え始めるようになってきている．結果的に，個別評価情報と多様な評価基準の氾濫現象が出現し始めてきている．この場合に，情報の質の評価はどのように考えたらよいのであろうか．誰が，どのような基準で，さらにはどのような動機でその情報を発信しているのかを正確に捉えなければならない．ある事柄に非常に高い評価を与えている場合，もしかしたらその当事者が自らの宣伝のために，わざとよい情報を流しているかもしれない．逆に，低評価は，敵対する人々が相手にダメージを与えようとしているのかもしれない．それをどのようしたら見破ることができるのであろうか．かつてであれば，そのような意図を持つ情報を流した人は特定され，その人は再び評価者としてマスコミなどマクロ的評価メカニズムの中から消え去らざるをえなかった．ところが，匿名性が強いインターネットの世界ではそれを防ぐ手だてはあまりにも少ない．

　この意味で，情報の質に対する評価と，さらにはその真贋を見極めることが，マクロ的なメカニズムから個人の手に委ねられつつある．しかるに，われわれはその能力を持っていると言えるのであろうか．かつて私は，選択肢の多い社会はよい社会であると考えていた．確かに選択すべき対象が一つしかない状態から言えば，選択肢が複数になることは正しい．がしかし，選択肢が過剰となった状態では，正しいと考えられるものをどのようにわれわれは選び出せるというのであろうか．もちろんただ一つの選択しかできない状態に後戻りはできない．とすれば，残された道は，選択できる能力を身につけることでしかない．もちろん，必要となるのは個別の分野における専門的評価能力ではない．あらゆる人があらゆる専門についての評価能力を持つことは理想ではあっても，現実的ではない．そこで必要となるのは，一般的な評価能力である．これは，提示された情報に対して疑問を持つことと，その疑問を的確に表現できること，それを他者に的確に説明でき，建設的に意見交換できる能力である．端的に言えば，「疑問提起能力」と「対話能力」，と考えている．結論から言えばあまりに当たり前のことであるし，言い古されてきたことである．しかし，インターネット上での討論や論争を見るにつけ，この能力がほとんどきちっと身に付いていないことが，議論を拡散させ，その中味を希薄にしてしまっているように思われてならない．IT革命の時代においては，語学力以外に，いつ，何処で，どのような仕組みで，この選択能力や評価能力を身につけることができるのかということが，今後より集中的に議論されてもよいのではないだろうか．

2015年12月27日07:30

カテゴリ: 起業者と知識

起業者研究センターの必要性

現在，種々の政策により，創業にとって最も必要であったのにも関わらず，不足していた資金がかなり潤沢になってきた．この意味では、創業のハードルが低くなってきている．しかし，経営資源さえ十分にあれば創業が自動的に進行していくというわけではない．創業には，資源の獲得および利用に関するノウハウが必要となる．既に創業を果たした起業者は、このノウハウを，創業過程で偶然に得るか，過去の勤務体験を利用して意図的に獲得するかしているのである．

　この起業化ノウハウの個人的な獲得（ミクロレベル）に関しては，日米ではあまり差がないと考えられる．差異が生じるのは，創業ノウハウを知識化する社会的仕組み（マクロレベル）からであろう．米国のあるビジネススクールを例として取り上げてみたい．ここには，10年ほど前から企業者センターが設立され，研究や教育活動のほかに，起業者に対して種々の援助活動を行っている．毎年，起業者や起業者を目指す人々から，15000件ほどアドバイスを求める電話がかかってくる．そのうち，約半分強がその場で解決され，さらに援助を求める人には，夜間の経営基本講座に参加することが進言される．この講座を終了し，ビジネスプランが有意義と判断された者（約100名）に対しては，このセンターから種々の援助が提供される（メンター活動）．また，大学院生達がチームを組み，創業間もない起業にコンサルティングを行っている．学生にとっては教育で得た知識を実際に適用できるし，起業者にとっても低廉な費用で貴重な知識が得られるというメリットがある．さらに，注目すべきことは，事業として実現化できるか否かを判断できる基準を持っていることである．もちろん，確実に事業の成功不成功が当たるわけではない．しかし，逆に，この基準から外れる事業化は，高い確率で，失敗するとみなされている．

　これらの活動内容自体も興味深いものがあるが，より重要なのは，活動の形成のされ方（組織の学習活動）である．すなわち，①起きている現象の的確な認識と体系的な調査，②その調査結果に基づく経済／経営モデルの速やかな構築，③モデル構築のための新機関のすばやい設置と，それへの既存機関の柔軟な対応，④モデルを具体的に適用しようとする研究者の努力，⑤それを経営に応用しようとする実務家の意欲の強さ，いわば，専門性を尊重する態度，⑥モデルおよび関連する知識の伝達の速さ．これらが相乗的に作用しあい，新しい知識やノウハウが，米国では，活発に生み出されていると考えられる．

　日本においては，新知識やノウハウの生成のために，まず第一に，以上のような個別組織の学習活動をまず活性化させなければならないであろう．さらに，その上で，「国レベルでの適切な学習システム(National System of Learning)」を構築する必要がある．

　起業化活動に即していえば，前者は，個別の起業化ノウハウを発見／蓄積し，汎用的な知識に転換していくシステム，例えば，社会科学系の研究者を核とした，起業者研究センターの日本各地での設立ということになる．各地域では，このセンターが核になり，起業者活動の研究，教育そして支援活動が行われる必要がある．その上で，同種のセンター間あるいは他の機関との間で垣根を越えた有機的な協力関係を，全国レベルで創り出すことが求められる．それによってはじめて，地域の知識の全国な普及と，全国レベルでの知識創造の基盤の構築が可能となるからである．資源の供給と同様，このようなシステムを全国レベルで速やかに作り上げられるか否かが，今後の日本のベンチャーの盛衰を占う重要なポイントとなると考えられる．（初出、1996年）

2015年12月26日23:46

カテゴリ: 知の保存

マニュアル化の意義

　マニュアル化の促進などと述べると，多くの場合反発される．マニュアル化は，そこに書かれてあることに唯々諾々と従う人を増し，人から判断力を奪ってしまうものだ．あるいは，マニュアルは実際の場合役に立たず，役に立つのは往々にして書かれていないことである．このような批判が投げかけられる．

　反発があるにも関わらず，マニュアルは，特に初心者には効果的な知識の伝達手段であるため，作られ続けている．このようなマニュアルは，人から判断力を奪ってしまうものなのであろうか．それは，逆に，マニュアルに記載されてある事態には，それを参照して解決し，記載されていない高度な問題に対して集中的に的確な判断を下していくという作用を持つものと考えられないだろうか．こう捉えると，マニュアル化の意義ははっきりとする．マニュアルの作成によって，下位の人たちに，それに記載されていない，より高度な判断や権限を委譲されることになる．それはまた，より上位の人間に，さらに例外的な事象を集中して考える時間と機会を与える．この意味で，組織に多くのマニュアルがあるということは，例外事象への対応体制とそれへの対応能力や判断力がその内部に備わることになる．

　しかし，実際にはそうなっていないのはなぜだろうか．マニュアルの作成者は，生じると想定される事象を基にして，「状況→行為」という形式でマニュアルを策定する．しかし，マニュアル化を初めて行った場合など「現実としてどのような事象が生じたのか」，「その事象はマニュアルに記載してある状況に対応できるものなのか」，そして「対応しているとしてもどの状況に分類できるのか」などというように多くの判断がが求められることになる．

　本来ならば，マニュアルの利用者が判断することである．しかし，マニュアルを初めて利用する人間は、しばしばそのような判断をする能力を欠いており，利用者は作成者に頻繁に訪ねなければならなくなる．その結果、利用者のマニュアルへの信頼は失われ，全くの初心者用の入門書として位置づけられることになり，ベテランはもちろんのこと中堅社員すら参照しなくなってしまう．多くの社員は，重要なことほどマニュアルには記載されておらず，経験によって勝ち取るものであり、経験こそが信頼に足る知識源であると捉えるようになる．

　このような事態が生じる理由のひとつに，マニュアルを完成した最終生産物だと見なさすことがあげられる．本来，マニュアルとは，新製品を開発する際に作るプロトタイプと同等のものである．プロトタイプは、作り上げられた時点において最終製品を忠実に模してはいるが、もちろん完成品ではなく，最終製品を完成させるための手段にすぎない。この意味で仕掛品である．同様に，マニュアルはノウハウや熟練を文書化した一つのまとまった知識体系である一方，これ以降得られるであろう種々の経験や熟練を知識化するための手段であり，組織の知識化を活性化するために利用され，それ自体が豊かになっていくという意味での永遠の仕掛品と捉えるべきものである．

　仕掛品としてのマニュアルは，たえず完成に向けて改変されなければならない．それは、ベテランの頭の中にある熟練やノウハウを絶えず取り込んでいくことから実現化されていく．また，マニュアルを作成する側は，マニュアルをどのように作り替えていけば利用者にもっとも利用されやすくなるか，経験者の得た知識をどのように抽象化していくべきかなどに取り組み続けなければならないのである．

　もしマニュアルがまったく使い物にならない事態が生じたとき対応できないマニュアルを嘆くのではなく、利用者本人その上位者のみならず、作成者までも巻き込んで、その事態の根元的な原因の探究に向かい、，今あるマニュアルの前提を検討し直すとともに、仕掛品のマニュアルの精度をより向上させる共同作業に取りかからなければならないのである．これこそが，マニュアルをもつ根源的意義（変化を許容し促進するという意義）なのである．このような意義に気が付かず、，マニュアルは完成品であり、それを遵守することだけが優先され，創造の芽をつみ取り、官僚制的対応を生み出してはいないだろうか．既存の行為に対する疑問を投げかけ，創造的な組織学習を進めるものとして，マニュアル化の意義をしっかりと捉えておく必要があるのではないだろうか．

2014年11月21日21:10

カテゴリ: 起業者と知識

起業のためには、正論は無視せず、踏み台にすべきだ。

誰かが言わねば「日本の起業率が上がらない理由」

少年野球チームの四番バッターＡ君はある日の試合で監督からの送りバントのサインを無視して打ちました。結果はヒットでした。試合には勝ちましたが試合後、監督はＡ君を強くしかりました。

これは私が中学生の時に道徳の授業で読まされた教材の中身です。この教材の内容が意味するところは、「協調することやあらかじめ決められたルールを守ることの大切さ」を学ばせるというところにあります。

まず野球は確率の世界である。

　状況）ノーアウトかワンアウトで、得点差は無しか、1点ビハインド。

　監督）　得点圏にランナーを進めること。
　　　　2塁にランナーがいれば、ヒットでも1点。　
　　　　1塁にランナーがいて、4番に打たせれば長打でないと1点取れない。

　　１）ヒットの確率と長打の確率。　
　　２）ランナーを塁に進めることができる確率。盗塁、送りバント、ヒットエンドラン。

　　これらを差配して意思決定をする。

　　上の組み合わせをすべて考えて、一番成功確率が高いのが、送りバントで送り、5番にヒットを期待することになるのであれば、それがセオリーとなる。

　　　　　

起業率を高めたいのであれば、送りバントを決めるのが一番よいことだという間違えた認識を改めなくてはいけません。

Ａ君の置かれた状況で、最も素晴らしいのは「監督のサインを無視してヒットを打つ」ことです。次によいのが「監督のサイン通り送りバントを決めること」その次が「送りバントを失敗すること」最も悪いのが「監督のサインを無視したのに打てないこと」だと教えるべきです。

セオリーとしての「送りバントが一番よいことだという考えが間違った」と言えるのはなぜだろうか。

なぜ。監督のサインを無視することがすばらしいのであろうか。　その理由は明らかではない。

単に監督から出されたサインを無視する行為そのものがすばらしさを生むのではないと私は思う。

サイン無視の理由を考えに考えることこそがすばらしさの主因ではないか。

送りバントを相手のチームが想定しファースト、サードが飛び出してきて、ショートがセカンドに、そしてセカンドがファーストに猛ダッシュ。これを見た瞬間。高確率で成功すると考えられた送りバントが、少なくともセカンドのフォースプレイに。最悪の場合はダブルプレイになる。

この状況を見た瞬間、監督のサインを無視し、思い切りバットを振り抜けば、打球が大きく拡がった内野手の間を抜ける可能性が高まるという判断を下す。ただし、それを直観ではなく、事前に繰り返し想定をしておくことが必要である。だから、起こりうる状況を考えに考え抜いておくことが必要だ（ただし、起業の場合にはすべての状況を事前には想定できないので、とりあえず従来と違う行動をとるということもありうる。そこが野球と違うところである。野球と起業を同じにするのは、ボクシングと単なる殴り合いを比較して、なぜボクシングでは足で蹴らないのか。蹴っても良いのではないかと論じるようなものではないか）

企業家精神とは、セオリーを無視することだけではなく、セオリーがどんなときに成功し、失敗する可能性はどのような場合かを知り、それを守った場合のすばらしさと守らない場合のすばらしいを的確に判断できる気構え、心構えではないのだろうか。言い換えれば、セオリーを踏み台にするマインドセットが必要ということだ。

セオリーを無視しなくても、無視しても、失敗も成功も起こりうる。そのことを理解して、セオリーを唯々諾々と守る行為から生まれるリターンとリスク、従来とは異なる視点で状況を眺めて、セオリーに反する行動をとった結果のリスクとリターンをしっかりと見つめ、いずれの結果でも自己責任として受け入れることが企業家行動の基本ではないだろうか。

だから、
第一歩は、セオリーや正論にただただ反旗を翻すのではなく、セオリーや正論の価値とその無意味さの両方を理解すること。

二歩目は、異なる行動を考案し、実践し、結果を自分のものとして受けいれること。

三歩目は、外部の人から批判に対して聞く耳を持つが、その通りにする必要はないことを知ること。

とりあえず、脊髄反射的反応。

2012年10月28日23:52

カテゴリ: 起業者と知識

「小さく賭けろ」の実践版として

前記事で、小さく賭けろ！―世界を変えた人と組織の成功の秘密がすばらしい本であると言いましたが、これを実践するにはどうすればいいのかという答えの一つに、サラリーマンのための「会社の外」で稼ぐ術複数収入獲得マニュアル (朝日新書)があります。

全く、同じ内容とは言えませんが、小さく初めて、ちょっとした成功を下に、大きくするという点では同じです。

ベンチャーとか、企業とかは、難しいとしても、副業であればできそうですね。もしかしたら、その副業から、第二のソニー、アップル、グーグルが生まれるかもしれません。(^^;)

その方法としては、

１）少ないとしても、まずは給料を確保する
　　　↓
２）初期費用が小さいネットビジネスや株式投資から始める。
　　↓
３）株式は株価の上昇(キャピタルゲイン）ではなく、手間がかからず確実な利回りが得られる配当(インカムゲイン)を狙う。
　　↓
４）資金が貯まったら最終的には不動産収入などの不労所得を目指す。

だそうです。１）から３）までは大賛成ですが、４）に関しては私自身どう考えたらいいかまだ判断がつきません。でもとにかく、小さく何かを始めることが先なので将来のことはまだまだ考える必要はないでしょうね。

2012年10月27日23:54

カテゴリ: 起業者と知識

おそらく今年、最高の本になる（と世界の端で自分に叫ぶ）

出張の行き帰りに読んだ本。4月に出ていたし、ちょっと前に買っていたのに今まで読んでいなかったことが悔しかったほどの一冊。

起業、企画、双方に有効だ。

完全に集中して読めなかったので、今もう一度読んでいる。

この内容がよく分かるサイト「新刊JP」。　　音声でも聞けますよ。

2012年10月23日19:19

カテゴリ: アイデア

面白いアイデアの作り方の第一カテゴリー

Davisの議論をビジネスモデルやコンセプトの創造に応用する前に彼の例示を見てみよう．
　カテゴリー　組織化
　対立基準　　組織化（構造化）　⇔　非組織化（非構造化）
アイデアのヒント

続きを読む

2012年10月23日11:58

カテゴリ: 起業者と知識

面白いアイデアをつくる方法

Davisという社会学者が，人が面白いと感じる理論はどのようにしてできるのかを考察した．
　その結果，下記の表のようなカテゴリーと基準を見いだしたのだ．既存の理論や仮説が，あるカテゴリーの一方の基準で形成されているとすれば，その反対の基準で理論や仮説を作り上げれば，人は面白いと感じるというのだ．面白いと感じられなければ，人は注目しない．
続きを読む

2012年10月21日15:35

カテゴリ: アイデア

ラテラルシンキング

「ずるい考え方ゼロから始めるラテラルシンキング入門」という本を読んでいます。

基本的にはラテラルシンキングを分かりやすく解説してくれて、途中途中にある挿話も楽しいし、最後に出てくる練習問題と解答もはっとするようなものです。

思考を揺り動かして考え方を改める系の本をたくさん読んでいる読者にとっては、「あ。これ知っている」となっておもしろみはないかもしれませんが、考え方一つで新しいものを生み出せるきっかけをつかめるということに少しでも関心がある人なら、一読の価値はあります。

挿話の例
１．大阪万博入場問題
２．自動改札機の料金計算時間問題
３．満員エレベーター、行き先ボタン押し問題
４．販促物配布問題　→　ちょっとこれは簡単かも

より詳しく思考法について学びたい人のために最後に文献リストも載せてあるがまたうれしい。

2012年08月26日11:46

カテゴリ: アイデア

インターネットにつながったインクカートリッジ発注

スライウォツキーの簡略版みたいな感じ－『ビジネスモデルを見える化するピクト図解』を読んで、思いつきました。

個人のプリンターも、このような仕組み（トナー自動配送サービス）が構築できないかな。

常時接続ではなく、インクカートリッジがある一定レベルまで来たら、発注される。

もちろん、どこに発注を出すかは事前に決められたり、同業者をいくつか設定しておくと、もっとも安いところにオーダーを出し、そのことをメールで知らせてくれる。そのメールには、量の変更、配送日の指定、料金支払い方法の決定などが記される。こういう商売は既にあるのか？

2012年08月26日11:40

カテゴリ: 事業／産業創生

戦略とはなにか（メモ）

マネジメント・フロンティア～終わりなき旅～よりスライウォツキーの戦略論は面白くて好きだ－『プロフィット・ゾーン経営戦略』

戦略とは何かを説明するのは結構難しい。何年か前、ある勉強会で先輩のコンサルタントから戦略の定義を聞かれたのだが、うまく答えられずに軽く叱られたほろ苦い経験がある。だけど、今なら多少はマシな説明ができるよ。戦略とは、

　・中期的な時間軸（3年程度）で考えた場合に、
　・いかなる顧客に対して、
　・いかなる価値を提供し、
　・他社との競争をいかにして制しながら、
　・どのように利益を上げるか、

をめぐる構想のことである（しばしば「戦略は実行されなければ意味がない」と言われることからも解るように、戦略自体はあくまでも「構想」である）。どうだい？あの時先輩が「戦略とは、企業のあるべき姿のことだ」と自信ありげに言っていた定義に比べると随分と具体的でしょう？（その先輩の発言を聞いて、勉強会のメンバーが若干落胆したことも覚えている）

中期軸（３年から５年程度）→おそらく事業戦略
　＊顧客開発、顧客浸透、顧客廃棄（もちろんリサイクル、リユースもありうる）
　＊価値開発、価値浸透、価値廃棄（もちろんリサイクル、リユースもありうる）
　＊他社研究、他社撃破、他社廃棄
　＊利益研究、利益拡大、利益廃棄

長期軸（１０年程度）→経営戦略（事業ポートフォリオを作ること）
　＊上の各廃棄が事業レベルでできない時にはこの軸で廃棄させる。
　＊事業レベルの開発を刺激し、新たな事業を創出させる。
　＊事業自体の開発

2012年05月29日22:06

カテゴリ: 起業者と知識

熱意と行動。そして、吸収力だな。創業は

今これを読んでいます。２章まで読みましたが、絶対伊賀の里モクモク手づくりファームに行こうと計画を練っています。

2012年05月06日18:22

カテゴリ: ビジネスモデル

ビジネスモデルのタイプをどうやって分類するべきか

ビジネスモデル・ジェネレーションビジネスモデル設計書を読んで。

ビジネスモデルの構成要素群（キャンバス）は結構参考になったが、パターンについては？

どうやってこの五つを導き出したが不明。

しっかりした分類をしてタイプを明らかにしようとするなら、分類軸を設定して、２×２マトリックスか、系統樹的に整理すべきだろう。

現在目立つものや他の論文で取り上げられているという理由では、時間が経つにつれて、パターンが次々と増えたり、パターンの入替えが頻繁に起こりそうだ。

とはいえ、ビジネスモデルを的確に分類できるだけの堅牢な軸は見あたらないのが実情だが。

ただし、分類も、ザ・プロフィット利益はどのようにして生まれるのかのように、２０以上も並べれば圧巻。

2012年04月09日23:39

カテゴリ: アイデア

論理はあるのか

　あるスーパーで、６本がセットになったミネラルウォーターが４９８円で売られていた。

そこに勤めているある店員が１本を８０円で売ろうという提案を上司に対して行った。

上司ははじめ、６本ひとまとめにして買うより、１本を安くすることに対して反発したが、その店員の説明に得心して、そうすることに決めた。

　さて、どのような論理で、セット売りの１本価格より、ばら売り価格の方が安くなると考えられるでしょうか？