かつて祖父母が営んでいた銭湯を探し、江戸川区平井まで行った話を先日書いた。
戦時下の東京を生きた、祖母と銭湯の足跡を追う – OHTABOOKSTAND
この平井にはもうひとつ気になる場所があった。
平井駅のそばにある喫茶店ワンモア。たまたまネットで見たスライスレモンの乗ったフレンチトーストの写真に目を奪われ、これを食べなきゃ後悔すると思った。
レモンが好きだ。レモンを使ったお菓子、パン、料理、全部好きだ。シゲキックス・レモン味の粉だけ舐めていたい。唐揚げにはクタクタになるまでレモンを絞りたいし、つけ合わせのキャベツもレモン汁だけで食べたい。レモン絞り器を考えた人を尊敬している。そもそも酸っぱいものが好きで、酢の消費が激しい。餃子は酢だけで食べる。塩胡椒等は入れない。餃子のこと、酢を摂取するためのツールとして見ている。
酸性の強いものは歯によくないと知ったのは大人になってからだった。中高生の頃は自分用のポッカレモンを冷蔵庫の隅に置き、寝る前に飲んでいた。蓋にちょっと注いで、くいっと飲む。あのボトルは私にとって徳利だった。胃がキュッと委縮するように痺れるのが気持ちよくてやめられなかった。歯を溶かしたくないから今は酸と程よい距離を保っている。
銭湯の翌朝、開店して間もないワンモアに向かった。テレビや雑誌などで紹介される人気店らしい。あっという間に席が埋まっていった。フレンチトーストと生バナナジュースを頼んだ。大好きなものが揃っている。最高。
なんてシンプルで美しい品でしょうか。
真ん中にレモンが一枚。薄い二枚重ねのパンに卵液がよく沁みている。メープルシロップも添えて運ばれてきたが、酸味を味わいたかったので使わなかった。あっという間になくなってしまい悲しかった。おかわりしようか。でもバニラアイス入りの生バナナジュースの糖分も相当なはず。かなり迷い、一皿でやめておいた。
帰宅してもレモンのフレンチトーストのことを考えた。おかわりしなかった反動がすぐにきた。簡単に食べに行けない距離でよかったのかもしれない。私はしつこいので同じものを何回も食べてしまう。これでよかったのだと思うことにした。
あれを作れないだろうか。それらしいレシピを検索した。
以下、レモンフレンチトーストの試行錯誤の記録。
試作①
薄切りのレモン一枚の上品なスタイルは私には無理だった。乗るだけ食べたい。欲が素直に出てしまった。まず見栄えがよくない。パンもレモンも厚い。ワンモアで何を見たのか。パンとレモンを与えられた人間が初めて料理したらこうなる、という出来だった。レモンはハチミツに漬けたものを乗せた。
試作②
若干学習した。欲を出してはいけない。レモンはせめて二枚で妥協した。パンも薄くした。仕上げのレモンのソースが足りず、ちょっとパサパサしている。レモンまだ厚い。うまく切れない。
試作③
レモン一枚で妥協する代わりに粉砂糖をかけた。これはこれでよい。まだレモンは厚い。粉砂糖をまぶすと多少の失敗はごまかすことができる。便利。やはり薄いパン一枚では食べた気がしない。二枚重ねることに意味がある。
試作④
ここにきて気付く。私は全部の場所にくまなくレモンが乗っているのを食べたいのだ。その初心に返る。卵、牛乳、レモン(半分)の搾り汁、砂糖の液にパンを浸す。仕上げにレモン汁とはちみつに漬けておいた薄い小切りレモンを乗せる。そのシロップもかける。園児みたいな感想だが、全部にレモンが乗っていて嬉しい。かなり嬉しい。現時点で私が作れるレモンフレンチトーストの上位はこれです。
おわりでーす
追記
次に行くレモンとパンの喫茶店は決めている。去年店の前まで行ったけど臨時休業で、それからずっと心の中にある。
戦時下の東京を生きた、祖母と銭湯の足跡を追う – OHTABOOKSTAND
この平井にはもうひとつ気になる場所があった。
平井駅のそばにある喫茶店ワンモア。たまたまネットで見たスライスレモンの乗ったフレンチトーストの写真に目を奪われ、これを食べなきゃ後悔すると思った。
レモンが好きだ。レモンを使ったお菓子、パン、料理、全部好きだ。シゲキックス・レモン味の粉だけ舐めていたい。唐揚げにはクタクタになるまでレモンを絞りたいし、つけ合わせのキャベツもレモン汁だけで食べたい。レモン絞り器を考えた人を尊敬している。そもそも酸っぱいものが好きで、酢の消費が激しい。餃子は酢だけで食べる。塩胡椒等は入れない。餃子のこと、酢を摂取するためのツールとして見ている。
酸性の強いものは歯によくないと知ったのは大人になってからだった。中高生の頃は自分用のポッカレモンを冷蔵庫の隅に置き、寝る前に飲んでいた。蓋にちょっと注いで、くいっと飲む。あのボトルは私にとって徳利だった。胃がキュッと委縮するように痺れるのが気持ちよくてやめられなかった。歯を溶かしたくないから今は酸と程よい距離を保っている。
銭湯の翌朝、開店して間もないワンモアに向かった。テレビや雑誌などで紹介される人気店らしい。あっという間に席が埋まっていった。フレンチトーストと生バナナジュースを頼んだ。大好きなものが揃っている。最高。
なんてシンプルで美しい品でしょうか。
真ん中にレモンが一枚。薄い二枚重ねのパンに卵液がよく沁みている。メープルシロップも添えて運ばれてきたが、酸味を味わいたかったので使わなかった。あっという間になくなってしまい悲しかった。おかわりしようか。でもバニラアイス入りの生バナナジュースの糖分も相当なはず。かなり迷い、一皿でやめておいた。
帰宅してもレモンのフレンチトーストのことを考えた。おかわりしなかった反動がすぐにきた。簡単に食べに行けない距離でよかったのかもしれない。私はしつこいので同じものを何回も食べてしまう。これでよかったのだと思うことにした。
あれを作れないだろうか。それらしいレシピを検索した。
以下、レモンフレンチトーストの試行錯誤の記録。
試作①
薄切りのレモン一枚の上品なスタイルは私には無理だった。乗るだけ食べたい。欲が素直に出てしまった。まず見栄えがよくない。パンもレモンも厚い。ワンモアで何を見たのか。パンとレモンを与えられた人間が初めて料理したらこうなる、という出来だった。レモンはハチミツに漬けたものを乗せた。
試作②
若干学習した。欲を出してはいけない。レモンはせめて二枚で妥協した。パンも薄くした。仕上げのレモンのソースが足りず、ちょっとパサパサしている。レモンまだ厚い。うまく切れない。
試作③
レモン一枚で妥協する代わりに粉砂糖をかけた。これはこれでよい。まだレモンは厚い。粉砂糖をまぶすと多少の失敗はごまかすことができる。便利。やはり薄いパン一枚では食べた気がしない。二枚重ねることに意味がある。
試作④
ここにきて気付く。私は全部の場所にくまなくレモンが乗っているのを食べたいのだ。その初心に返る。卵、牛乳、レモン(半分)の搾り汁、砂糖の液にパンを浸す。仕上げにレモン汁とはちみつに漬けておいた薄い小切りレモンを乗せる。そのシロップもかける。園児みたいな感想だが、全部にレモンが乗っていて嬉しい。かなり嬉しい。現時点で私が作れるレモンフレンチトーストの上位はこれです。
おわりでーす
追記
次に行くレモンとパンの喫茶店は決めている。去年店の前まで行ったけど臨時休業で、それからずっと心の中にある。