「渋い」を辞書でひくと「華やかでなく落ち着いた趣がある。地味で深い味わいがある」とある。早くジジイ(Nick Loweみたいなかっこいいほう)になりたいと思っている僕なんかにしてみれば、言われて嬉しいワードであるはず。
なのに、若者に「シブいっすねえ」とか実際言われてみると、なんだかバカにされているような気がして、どうにも(多分、バカにされているのだろう)落ち着かない。だからあんまり「渋い」という言葉は好きじゃないし、使う際には細心の注意を払って口にするようにしている。
などと書いたそばから恐縮だが、これは「渋い」。Geraint Watkinsでなければ到達し得ないだろう含蓄に富んだ音楽世界。優れた楽曲に手だれの音楽家たちによる演奏、そして渋みのある素晴らしい声。ほかにいったい何が必要だって言うんだい? というNick Loweのあいかわらず見事なプロデュースワーク。渋くて、オシャレで、粋。これはそうそう真似のできる音楽ではないな、と僕のような素人にもわからせてくれる、孤高の音楽。圧巻。
※先にリリースされた2枚の10 inch(『Mosquito Vol.1』『Mosquito Vol.2』)にしか入っていない曲もあるから、注意が必要だ。
※この12 inch LPのほうは『Moustique』なので要注意。僕はついさっきまで“モスキート”と読んでいた。ググったら意味はいっしょだった。