Enhancing Meniscal Repair through biology: Platelet rich plasma an alternatibve strategy


2011 年のアメリカ整形外科アカデミー の教育研修講演(Instructional Course Lecture)
の一つの講演であった

半月板修復の治療を生物学的に増強させるツールとして 多血小板血漿療法 の治療戦略について

当院の修練医 本田英三郎先生がまとめてくれました。

【はじめに】
・半月板損傷は整形外科にとって痛みと機械的な症状を訴えるありふれた疾患である。歴史的には半月板全切除が唱えられていたが、現在、外科医は半月板の機能を理解し、温存するstrategy(策略)を強調している。

・半月板中央の無血管野での半月板修復術の効果は限られており、修復能力を高める新しい治療が研究されている。

・過去にはFibrin clotが半月板修復を向上させるといわれていたが、現在はPRPの潜在的な治癒能力が期待されている。

・ここでは半月板の生物学的な修復とPRPが半月板修復を向上させるのかについて述べる




【The clinical problems】 
・半月板損傷は、年間およそ1万人あたり6〜7人受傷している。
・膝の腫脹や痛み、ロッキングやキャッチング、クリック、伸展制限などを引き起こす。
・半月板の重要性は、半月板切除術後の2次的な変形の発症による長期成績が悪いことからもよく理解されており、半月板修復術や部分切除などの温存術が望ましい。
・全切除がOAに進行することは文献的にも明白であるが、部分切除も接触面積が減ることでその接触圧が健常と比較すると65%も上昇させると言われている。全切除では235%になる。
・半月板修復において、切除ではなく可能な限り半月板を温存すべきだということが最近強調されており、このことは半月板修復術を行うに当たって重要である。
・また、半月板修復の生物学的を理解することが必要である。




The biology of meniscal healing】
血液供給と血管支配
・いくつかの文献で成人半月板の血管支配は周囲から10〜25%だけでおおくがと言われ、半月板の中央よりも辺縁の方が修復されやすいということは1936年から言われ始めている。

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・最近の研究では、in vitroで豚の辺縁の半月板と中央の半月板を移植し、半月板の潜在的な修復能力は差がなかったとの報告もある



【Effect of cytokines and Growth factors on meniscal healng】

・proinflammatory cytokines(IL-1,7TNF-α)は半月板修復を抑制する。またそれらから誘導されるMMPも同じ働きをする。MMPを抑制することで半月板修復を促進させようとする研究がおこなわれている。

・Growth factor(とくにIGF-1、TGF-β1、bFGF)は半月板細胞の増殖に効果的である。
・VEGF(vascular endothelial growth factor)は血管形成を認めなかった。
・bone marrow stem cellから放出されるIGF-1、TGF-β1は無血管野における半月板修復に効果的であると最近の研究で報告された。


【Surgical techniques to enhance the biologic response】
・Growth factorsやサイトカインが半月板修復に効果的であるとわかり始めてから、Neovascularization 血管新生( Trephination やRasping)やPRPやFibrin clot などのGrowth factorの応用が試まれている。



【Neovascularization techniques】血管新生

・Trephination(半月板に穴をあける)とRaspingを用いてVascular channelを刺激し血流を増加させ、損傷部位を出血させる方法。
・犬の無血管野における縦損傷に対し半月板縫合術とTrephinationを行った動物実験で良好な成績を認めている。
・ACLに合併した、安定した辺縁のverticalな内側半月板損傷に対してabrasionとtrephinationを行い94%でその後、症状を認めていない。
・同様の方法を用いた外側半月板損傷患者332のうち再手術が必要であったのはわずかに8例(2.4%)であった。
・この方法は大きな半月板損傷には使えないし、無血管野においての効果も限られている。



【Fibrin-clot】
・1988年にArnoczkyらが半月板修復を目的に行った。
・Henningらはfibrin-clotを用いた修復術では8%、用いなかった修復術で41%にfailureを認めた。
・しかし、無血管野においてはそれほど効果的でなく予測不能である。


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【PRP】
・PRPは自分の血液の血小板を濃縮したもので、その効果についての文献的な報告は限られているが、その適応は増加している。
・Sanchezはアキレス腱縫合時にPRPを同時に用いた方が、用いないもの比べて可動域の改善やランニングまでの復帰が早かったとのべている。
・Mishraは慢性的な上腕骨外上顆炎にともなう痛みにPRPが有効であったと述べている。


PRP and meniscal healing】 PRPと半月板修復
・半月板に対するPRPの効果を報告した文献は限られている。
・最近の発表でIshdaらはPRPがウサギの欠損した半月板の修復を向上させたと報告している。
in vitroでは半月板細胞にPRPを用い線維軟骨に関係した遺伝子が増大し、in vivoでは1.5mmの無血管野の半月板欠損をつくり、そこにハイドロゲルをPRPを用いたものと用いなかったものとで、12週間後にPRPを用いた方が修復経過が良かったと報告している。

【PRP and meniscal repair :surgical technique and clinical considerations】PRPと半月板修復術
・半月板修復においてPRPから放出されたgrowth factorの動きは重要なことである。
・PRFM(platelet-Rich Fibrin Matrix)はMTF sports medicineで行われている方法であるが、半月板修復術を行った後に損傷部位に行う


【まとめ】
・半月板部分切除は半月板の治療としてよく行われているが、半月板組織を切除することで膝のコンタクトストレスが増大する。半月板修復術はそれに代わる新しい治療ではあるが、無血管野においてはその効果にも限界がある。半月板修復術の成績を向上させるため生物学的な修復を利用した方法が試されている。成長因子のタンパク同化効果が半月板修復に影響していたり、炎症誘発サイトカインが修復を抑制したりする。
これらの特徴を利用したものがfibrin-clotであったが、最近ではPRPに変化してきている。
・PRPの働きで、PDGF、IGF-1、VEGFなどのGrowth factorが修復部位に放出され、in vitroではこのような因子は半月板細胞に効果的に働くと言われている。
・臨床データはまだ少ないが、PRPの研究は最近たくさん行われている。
・PRPは技術的には簡便なわりに、その効果は大きく期待できるものである。



当院では、半月板縫合のときに、半月板修復の部位が血行量に不安があるときは、
かならずといっていいほど、Fibrin Clotもしくは PRPを用いています。

保存療法でも効果があることがあります。



半月板損傷で、少し手術をせずに様子を見たいかた、でもヒアルロン酸などでは効果が得られなかったかた

半月板損傷を、迅速でより効果の高い治療をのぞまれているかたは。
是非ご相談ください。









産業医科大学若松病院は、謙虚で献身的で 大胆な医療を展開します。


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Soshi Uchida が他院で診察しています。

尾山台整形外科 東京関節鏡センター




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