時事を扱うブログだと名乗っていながら時事を扱えていないのではないかと思案する事があるのですが、やはり、深部ではウチのブログほど時事と真摯に向き合っているものはないんじゃないのかという気がする事がある。
一見すると〈ズレている〉と感じてしまうものなのかも知れませんが、この２週間か３週間の間に、読売新聞の書評欄では松本清張の『日本の黒い霧』に言及した一文を発見して偶然にしては珍しいなと感じたし、つい先日でもある14日付の同紙同欄では、なんと『金枝篇』について言及している一節さえあった。しかも綴られていたのは大江健三郎の『水死』なる作品と『１Q８４』では共にフレイザーの「金枝篇」が引用されているという。私は絶対に読まないタイプの作品ですが、何故にそれが重要なのかという問題を折口信夫、三島由紀夫を絡めて論じられていた。引用されていたのはフレイザーの「王殺し」の箇所が引用されているという。しかも三島由紀夫と大江健三郎は天皇観を巡って対立しているように見えるが――という書評であった。
ＡＩなどで当ブログの文章を目にしたとしても、おそらくは意味が理解できないでしょうけど、実は「時事」から離れていないのだ。
むしろ、他のメディアが一斉に横並びで時事問題を片付けているので、実際のところ、ニュースは単に消費されるだけのチープな情報に成り下がってしまっているのになって思う。
ウェルシアの代表取締役が週刊文春に不倫を嗅ぎつけられて辞任した。自主的に辞任したのであれば問題はないが、昨今の日本の世論はすっかりと戦前の報道機関のように既に或る種のイデオロギーに染まってしまっており、「不倫をしたら代表取締役を辞任するのは当然である」かのような空気が現に発生してしまっているものと思う。しかし、そもそも企業の経営者に求められているものは経営能力であり、経営手腕であり、私人としての道徳的な善し悪しではありませんやね。こういう区別がつかなくなってしまっているのだと思う。（この問題が現在進行形で取り上げているジェンダー問題の迷宮と深く関わっている。押し付けられているコンプライアンスなのに、嬉々として従うことが正義であると国民全体が勘違いをし始めてしまっている、と言いたいのだ。）
誤解のないように言及しておくと不倫は怪しからんし、辞任したくて辞任するのであれば問題はない。何が問題なのかというと、キャンセルカルチャーであり、アクティビスト、ロビイストたちによる扇動に対して社会が脆弱になってしまっているという事だ。
16日付の読売新聞では「イスラエル・ロビー」の問題が11面で「ニュースの門」（ニューヨーク支局・金子靖志）として取り上げられていた。改めて、米国に於けるユダヤ系の政財界への影響力をレポートしたものであった。何故、人口比にして僅か２％しかいないユダヤ系財閥に米国政府は振り回されてしまうのかという問題であり、これは現在進行形で起こっている問題でありながら、それでいて或る種の人たちからは否定的なニュアンスで〈陰謀論〉と呼ばれきた問題でもある。結果から言えば、実は陰謀論どころか、事実も事実だったじゃないかよ――という問題なのだ。
少し引用します。
（1930年代に）渡米したユダヤ人は、映画産業の核となるハリウッドや、ゴールドマン・サックスなどの金融・投資会社、ＮＢＣやＣＢＳなどのテレビ局を設立し、米国の政治や経済、マスメディアへの影響力を拡大していった。グーグル、メタ（旧フェイスブック）など巨大ＩＴ企業の創業者もユダヤ系だ。
引用しても仕方がないので意訳していきますが、イスラエルのロビイストは各議員の活動をチェックし、イスラエルの利益に反する行動をとれば献金を辞めろと言われるのだという。実際に支配力を持ってしまっているのだ。現行、イスラエル（ネタニヤフ政権）を巡っての報道は実際問題から述べれば全く中立的ではないと思われる報道が平然と恒常的に行なわれている。
米国にはイスラエル関連のロビー団体が多数あるが代表的なものはイスラエル広報委員会といい、略称はＡＩＰＡＣだという。財界有力者らの会員は実に300万人以上だと記されている。こうなってきてしまうと、おいおいホントに米国の政治はユダヤ系の財界人が動かしているという類いの、典型的な陰謀論でさえ、なんとなく当たっていたじゃないかという気さえしてくる。予算は年間で150億円以上も持っており、これは全米ライフル協会を上回るカネが米国政治に影響を与えているという事になるらしい。何故に今まで報じられて来なかったのか？
ここから少しだけ引用します。
2022年の米中間選挙では、親イスラエルでない候補者を落選させるため2600万�法別�40億円）を費やしたとされる。
政界にユダヤ系議員も多く、上院議員の１割以上近くに上る。閣僚や高官にも多く登用されてきた。バイデン政権でもブリンケン国務長官やイエレン財務長官らがそうだ。
ＡＩＰＡＣは、ユダヤ人によるヨルダン川西岸の占領地への入植活動やガザへの武力行使などイスラエルに有利な動きを促進するため、米連邦議会に強く働きかけをすることを任務としている。イスラエルの「第２の外務省」と言われる。
1992年大統領選でブッシュ元大統領（父）が再選できなかったのは、イスラエルによる入植活動を阻止したことでイスラエル・ロビーと対立し、「ユダヤマネー」がクリントン元大統領に流れたのが一因との指摘もある。ＡＩＰＡＣなどの働きかけで米国によるイスラエルへの援助額は年間40億�法別�6000億円）近くに上り、対外援助国としては最大だ。
だって。数年前であれば陰謀論だと処理していたような話が、どうも相応に的を射ていた事が明らかになってきてしまっている。（松本清張の『日本の黒い霧』は執筆から実に64年が経過しているが実は私が行っている書店では吊り下げポスターが貼ってあった。実は、どうも松本清張が展開していた各種の陰謀説も、限られた情報しかない時代であったにも関わらず、かなり実相に近いところまで迫っていた事が今更になって分かり始めてきているので再注目されているという事だと思う。）
そして『トランスジェンダーになりたい少女たち』の問題がある。これは、怒りの感情も沸々と沸きますが、それ以上に唖然呆然愕然といった感慨に陥る。大袈裟に言えば、あまりにも御粗末なポリコレ言論体制によって西側世界が支配されてしてしまっている事に気付かされる。実は、トランスジェンダーの問題に異論を唱えてきた学者らは、アクティビストによって追放に遭ってきているという事実を暴いている。ロビー政治にも通じるものがありますが、こちらの問題はロビイストではなく、アクティビストらが、彼らにとっての不利な学説を発表すると、その職を追放されてしまうという環境が2015年頃から発生している事を指摘している。裏返すと、活動家たちが全てを支配してしまっているの意だ。（込み入った内容なので後日に触れる予定ですが…）
こうした流れはキャンセルカルチャーに関係している。コンプライアンス狂騒曲やハラスメントゲーム状態にも関係していると思う。不倫が発覚した芸能人はテレビには出演してはいけないという奇妙な倫理基準の前例をつくりだし、それがエスカレートし、企業の経営者も不倫が発覚したら経営を退いて当然であるといった具合に波及している。実際には倫理とか道徳ではなく、感情的嫌悪から発している不寛容な空気であり、そうした不寛容な空気に日本中が支配されてしまっている。
しかし、一昨日は「ミヤネ屋」で「アジアで最大規模のレインボーパレードが東京で開催されます」みたいな告知があり、昨日は夕方のニュース枠でも「ブラック校則」を取り上げながら、その報道内容そのものは誤まりではないのですが、「如何にも」という感じの迎合的な報道になっている事に気付かされた。学者が「古い！」と反応すれば、アナウンサーが「未だに…」のように語ってしまっている。まとめ方も「今後も課題を残していそうです」みたいに締め括りであったのだったかな。一刀両断系の報道であった。報道というのは中立とか公正である事が基本であり、余計な色をつけない方が上等な報道番組であるという事が分かっていないのだ。色をつけて報じた方が「わかりやすい、いいニュース」と作り手の側が思いこんでしまっているのでしょう。しかし、それが最終的には視聴者に対しての迎合となり、実質的には何も刺さるものもない報道となる。単なる「ゴマすり」である事に気づいていないのだ。中学生や高校生と一緒になって「こんなの古い！」と叫ぶという行為が、それなりに無責任で大人げない行為でもあるかという部分まで理解できていないのだ。
前者についてですがカルフォルニア州ではスクールカレンダーに次の記載があるという。「カミングアウトデー」にプライド・パレードが行なわれるが、それは基本的には10月11日や10月の第３木曜日。「ＬＧＢＴＱの歴史月間」が11月。トランスジェンダーである事を理由に殺害された人たちに祈りを捧げる「トランスジェンダー追悼の日」が11月20日。更には「トランスジェンダー認知週間」があり、これが11月の第２週になるのだという。他にも３月31日が「トランスジェンダー可視化の日」で、４月の第２金曜日はＬＧＢＴＱの生徒へのいじめや嫌がらせに対する認識を広げる為の「沈黙の日」であり、６月は「反ＬＧＢＴ派の抑圧に抗議するプライド月間」だという。このように告知の頻度を高めて、全情報量の占有率を高めて、企図者は宣伝したい事柄を世間に浸透させるという洗脳的手法が現にある。確かに異常な頻度だと感じませんかね？ ホントは、そのまんま、アクティビストのプロモーション戦略に乗せられているだけという可能性が高いようにも思える。特定の思想や政治的イデオロギーを有する団体のプロモーションに沿った報道というのでは、上等なジャーナリズムとは呼べませんやね。彼等は或る種の啓蒙思想のつもりで、善かれと思って、ああした報道をしているのかも知れませんが、特定の思想、かなり過激な思想を宣伝している行為は公正とは言い難い。しかも反トランスジェンダーのパレードについては「困った人たちがいるもんだ」とばかりに画面の中で眉をしかめて報道してきているという流れもあるしねぇ。
後者の「ブラック校則」は、私が耳にしても余計な校則であった事は確かであるが、バイアスは感じたかな。結局のところ、教育には規範に則って行動する事を学習する必要性があり、なんでもかんでも不要なものは壊してしまえばいいという訳ではない。司馬遼太郎の追悼式典では、司馬遼太郎の文化論を歴史学者の磯田道史氏が「シャチホコと消火器」と題して説明していた。「文化とは何か？」と学生たちから問われると、磯田氏は「シャチホコと消火器」とで説明するのだそうな。一見すると無用に見えるものが文化であり、文化的財産であると説明しているという。その考え方が司馬遼太郎の文化論を踏襲しているのだそうない。城の屋根の上にシャチホコが乗っているのはよく分からないところがある。しかし、だからと言って実用的なもの、例えば消火器を屋根の上に置いておいたところで、そんなものには文化的価値は見い出せないという主旨で文化の重要性を説明するとの事であった。まぁ、ひと昔前の知識人であったなら、当然に、そういうことを語れた筈なのだ。しかし、現在の日本の情報環境というのは専門家もキャスターも若者に寄り添う事が正義であると思いこんでいる節があって、おそらくは、その通りであろうと思う。「理解のあるお兄さん、理解のあるお姉さん」のように認識されたい人たちが増えてしまっているので、誰も本当の意味での伝統継承も教育も行えなくなってしまっているという事情が深部にあって、それが垣間見えている。
『トランスジェンダーになりたい少女たち』の中でも著者はユダヤ教の人であったか、単にユダヤ系アメリカ人なだけであったか、教育現場に必要なものは行動規範を守る態度であると論じている。当然といえば当然なのですが、こういう細部が完全に崩壊してしまっている。「古い！」とか「未だに」のように片付けてしまうのは小学生や中学生みたいな反応だ。分かりやすいので、そちらに靡くものと思いますが、実際とか現実というのは、もっともっともっと複雑で重層的であったりする。そもそも論拠もないまま「古い≒悪」、「未だに≒悪」という単純二元論思考、レッテル貼り思考をやっている事の自覚さえないところが非常にマズい。諸々の思潮の最前線を覗き見る限りでは、それこそが「知の劣化」とか「知の転覆」などと呼ばれ、最終的には壊滅的な状況を惹き起こすのではないですかという風に展開され始めている事に気づいていない。
22時からＮＨＫ総合「ＳＯＮＧＳ」では宇多田ヒカルさんが出演されていた。宇多田ヒカルさんの対応は地味に凄かったと思う。スタジオの質問者の理解力が高かったというのも関係していたのかも知れませんが、そういう応答が目立った。例えば「モチベーション」と「テンション」との差異。これを宇多田ヒカルさんは言い換えていた。隣にいた局アナは気付いていたかいないか分からない。それと30分ぐらい経過した頃であったか、ノンバイナリーについての質問が行なわれた。あの質問をした人も、あの回答をした宇多田ヒカルさんも、おそらくは今日的なジェンダー問題のイビツさに気づいている節がある。おおよそ、あの通りであろうなと思う。今起こっているジェンダー論争とは、どうも深掘りしていけば深掘りしていくほど、「実はそのまんま」という問題であり、他者からどのように認識されるのかが男性性と女性性との差異になる。仮に生物学的な男性であったとしても、女性だと周囲から認識され、そのように扱われれば、その人のアイデンティティー（自己認識する自分、自己同一性）は女性になってしまうようだという部分あたりまでが分かってきているらしい。
いわいる「観音菩薩」については女性ではないのかとされている。しかし、これも曖昧さを残している。これも岩波仏教辞典を引いた記憶からすると、実はそうなのだ。人々の意見を取りこぼす事なく観ようとすれば、実は自ずから中性的になるという理屈と合致しているのだ。どのみち男性性に固執したり、女性性に固執したりしなくなると考えられている。「観音菩薩」とは「観世音（かんぜおん）菩薩」であり、これを「観世自在菩薩」とか、思い切り訳して「観音様」と呼んでいるのだ。隠語で「観音様」になると「夜鷹」の意味にもなる。また、興味深い事に鳩摩羅什以前は「観世音」ではなく「光世音」（こうぜおん）と訳されていたともいい、ひょっとしたら古くはサンスクリット語で「光明」の意味があった可能性もある旨、解説してある。
勿論、宇多田ヒカルさんはこんな面倒臭い事を考えている訳ではないと思う。しかし、どうも宇多田ヒカルさんの言動や楽曲には、きっと彼女なりに本当に性別に固執していないのだろうなと思わせる何かがある。実際に「宇多田さんの楽曲には男性だからとか女性だからというものがないように感じるのですが…」、そういう主旨の質問が男性から寄せられた一コマが現にあって、ノンバイナリーである事を語ったのだ。やはり、彼女は何か持ってるような気がするよ。質問への返答でも「（人生には）正解はない」なんて事を言っていたし。（この「正解なんてない」が理解できるかどうかは大きな問題だ。正解があるという思考方法の人たちの中から「衝突の火種」や「マウンティング」や「絶望」が起こっている。）
スタジオ収録として披露された楽曲「Electricity」の歌詞の中には「ハマる、陰謀論」があった。この歌詞にしても特異なセンスだなと感じた。「陰謀論≒勘違い」という具合に使用されていたのではなく、否定も肯定もしないスタンスで使用されていた。ネガティブな意味合い、小バカにする意味合いとして使用されそうなものだが、そうしていないあたり、「さすが宇多田ヒカルだな」と驚いた。法政大学出版だったかな、どこかの出版社がその問題を取り上げている筈ですが、実は知的好奇心が高い人は当然に陰謀説・陰謀論にも感心が向かうというのが実相なので「陰謀論なんてバカなことを言ってらぁ」と反応している側が実はダマされ易い人たちであり、疑うべきものは当然に疑うという態度が必要になってくる。それらを考慮すると「ハマる、陰謀論」という歌詞は凄いなと思う。
そして最後に古新聞を処分したいので、小ネタを付け加えます。14日付のしんぶん赤旗が「機能性表示触診の導入の裏側」を報じていた。小林製薬の紅麹を使用したサプリメント問題へのリアクションであった。内容を簡略化すると、在日米国商工会議所（ＡＣＣＪ）から日本の厚労省へ次のような「提案」があり、その提案を受けた後に速やかに「機能性表示食品」という制度が受け容れたという内容であり、資料のコピーも掲載されていた。「なんだよ、また、そのパターンだったのかよ」という可能性もあるだけに備忘録まで。
ああ、それと日銀の介入は何故か「金曜日」が多いよなって思っている。それも東京市場が閉められた後に介入されてきたという記憶がある。日本人の個人投資家が勝てないようなタイミングでの為替介入が多いなってホントは感じている。
色々と書き散らしてしまったのだけれども、「時事」をただただ消費する情報として処理しているのか、きちんと吟味するのかによって、その者の考える事も変ってくる筈だと信じますけどね。
一見すると〈ズレている〉と感じてしまうものなのかも知れませんが、この２週間か３週間の間に、読売新聞の書評欄では松本清張の『日本の黒い霧』に言及した一文を発見して偶然にしては珍しいなと感じたし、つい先日でもある14日付の同紙同欄では、なんと『金枝篇』について言及している一節さえあった。しかも綴られていたのは大江健三郎の『水死』なる作品と『１Q８４』では共にフレイザーの「金枝篇」が引用されているという。私は絶対に読まないタイプの作品ですが、何故にそれが重要なのかという問題を折口信夫、三島由紀夫を絡めて論じられていた。引用されていたのはフレイザーの「王殺し」の箇所が引用されているという。しかも三島由紀夫と大江健三郎は天皇観を巡って対立しているように見えるが――という書評であった。
ＡＩなどで当ブログの文章を目にしたとしても、おそらくは意味が理解できないでしょうけど、実は「時事」から離れていないのだ。
むしろ、他のメディアが一斉に横並びで時事問題を片付けているので、実際のところ、ニュースは単に消費されるだけのチープな情報に成り下がってしまっているのになって思う。
ウェルシアの代表取締役が週刊文春に不倫を嗅ぎつけられて辞任した。自主的に辞任したのであれば問題はないが、昨今の日本の世論はすっかりと戦前の報道機関のように既に或る種のイデオロギーに染まってしまっており、「不倫をしたら代表取締役を辞任するのは当然である」かのような空気が現に発生してしまっているものと思う。しかし、そもそも企業の経営者に求められているものは経営能力であり、経営手腕であり、私人としての道徳的な善し悪しではありませんやね。こういう区別がつかなくなってしまっているのだと思う。（この問題が現在進行形で取り上げているジェンダー問題の迷宮と深く関わっている。押し付けられているコンプライアンスなのに、嬉々として従うことが正義であると国民全体が勘違いをし始めてしまっている、と言いたいのだ。）
誤解のないように言及しておくと不倫は怪しからんし、辞任したくて辞任するのであれば問題はない。何が問題なのかというと、キャンセルカルチャーであり、アクティビスト、ロビイストたちによる扇動に対して社会が脆弱になってしまっているという事だ。
16日付の読売新聞では「イスラエル・ロビー」の問題が11面で「ニュースの門」（ニューヨーク支局・金子靖志）として取り上げられていた。改めて、米国に於けるユダヤ系の政財界への影響力をレポートしたものであった。何故、人口比にして僅か２％しかいないユダヤ系財閥に米国政府は振り回されてしまうのかという問題であり、これは現在進行形で起こっている問題でありながら、それでいて或る種の人たちからは否定的なニュアンスで〈陰謀論〉と呼ばれきた問題でもある。結果から言えば、実は陰謀論どころか、事実も事実だったじゃないかよ――という問題なのだ。
少し引用します。
（1930年代に）渡米したユダヤ人は、映画産業の核となるハリウッドや、ゴールドマン・サックスなどの金融・投資会社、ＮＢＣやＣＢＳなどのテレビ局を設立し、米国の政治や経済、マスメディアへの影響力を拡大していった。グーグル、メタ（旧フェイスブック）など巨大ＩＴ企業の創業者もユダヤ系だ。
引用しても仕方がないので意訳していきますが、イスラエルのロビイストは各議員の活動をチェックし、イスラエルの利益に反する行動をとれば献金を辞めろと言われるのだという。実際に支配力を持ってしまっているのだ。現行、イスラエル（ネタニヤフ政権）を巡っての報道は実際問題から述べれば全く中立的ではないと思われる報道が平然と恒常的に行なわれている。
米国にはイスラエル関連のロビー団体が多数あるが代表的なものはイスラエル広報委員会といい、略称はＡＩＰＡＣだという。財界有力者らの会員は実に300万人以上だと記されている。こうなってきてしまうと、おいおいホントに米国の政治はユダヤ系の財界人が動かしているという類いの、典型的な陰謀論でさえ、なんとなく当たっていたじゃないかという気さえしてくる。予算は年間で150億円以上も持っており、これは全米ライフル協会を上回るカネが米国政治に影響を与えているという事になるらしい。何故に今まで報じられて来なかったのか？
ここから少しだけ引用します。
2022年の米中間選挙では、親イスラエルでない候補者を落選させるため2600万�法別�40億円）を費やしたとされる。
政界にユダヤ系議員も多く、上院議員の１割以上近くに上る。閣僚や高官にも多く登用されてきた。バイデン政権でもブリンケン国務長官やイエレン財務長官らがそうだ。
ＡＩＰＡＣは、ユダヤ人によるヨルダン川西岸の占領地への入植活動やガザへの武力行使などイスラエルに有利な動きを促進するため、米連邦議会に強く働きかけをすることを任務としている。イスラエルの「第２の外務省」と言われる。
1992年大統領選でブッシュ元大統領（父）が再選できなかったのは、イスラエルによる入植活動を阻止したことでイスラエル・ロビーと対立し、「ユダヤマネー」がクリントン元大統領に流れたのが一因との指摘もある。ＡＩＰＡＣなどの働きかけで米国によるイスラエルへの援助額は年間40億�法別�6000億円）近くに上り、対外援助国としては最大だ。
だって。数年前であれば陰謀論だと処理していたような話が、どうも相応に的を射ていた事が明らかになってきてしまっている。（松本清張の『日本の黒い霧』は執筆から実に64年が経過しているが実は私が行っている書店では吊り下げポスターが貼ってあった。実は、どうも松本清張が展開していた各種の陰謀説も、限られた情報しかない時代であったにも関わらず、かなり実相に近いところまで迫っていた事が今更になって分かり始めてきているので再注目されているという事だと思う。）
そして『トランスジェンダーになりたい少女たち』の問題がある。これは、怒りの感情も沸々と沸きますが、それ以上に唖然呆然愕然といった感慨に陥る。大袈裟に言えば、あまりにも御粗末なポリコレ言論体制によって西側世界が支配されてしてしまっている事に気付かされる。実は、トランスジェンダーの問題に異論を唱えてきた学者らは、アクティビストによって追放に遭ってきているという事実を暴いている。ロビー政治にも通じるものがありますが、こちらの問題はロビイストではなく、アクティビストらが、彼らにとっての不利な学説を発表すると、その職を追放されてしまうという環境が2015年頃から発生している事を指摘している。裏返すと、活動家たちが全てを支配してしまっているの意だ。（込み入った内容なので後日に触れる予定ですが…）
こうした流れはキャンセルカルチャーに関係している。コンプライアンス狂騒曲やハラスメントゲーム状態にも関係していると思う。不倫が発覚した芸能人はテレビには出演してはいけないという奇妙な倫理基準の前例をつくりだし、それがエスカレートし、企業の経営者も不倫が発覚したら経営を退いて当然であるといった具合に波及している。実際には倫理とか道徳ではなく、感情的嫌悪から発している不寛容な空気であり、そうした不寛容な空気に日本中が支配されてしまっている。
しかし、一昨日は「ミヤネ屋」で「アジアで最大規模のレインボーパレードが東京で開催されます」みたいな告知があり、昨日は夕方のニュース枠でも「ブラック校則」を取り上げながら、その報道内容そのものは誤まりではないのですが、「如何にも」という感じの迎合的な報道になっている事に気付かされた。学者が「古い！」と反応すれば、アナウンサーが「未だに…」のように語ってしまっている。まとめ方も「今後も課題を残していそうです」みたいに締め括りであったのだったかな。一刀両断系の報道であった。報道というのは中立とか公正である事が基本であり、余計な色をつけない方が上等な報道番組であるという事が分かっていないのだ。色をつけて報じた方が「わかりやすい、いいニュース」と作り手の側が思いこんでしまっているのでしょう。しかし、それが最終的には視聴者に対しての迎合となり、実質的には何も刺さるものもない報道となる。単なる「ゴマすり」である事に気づいていないのだ。中学生や高校生と一緒になって「こんなの古い！」と叫ぶという行為が、それなりに無責任で大人げない行為でもあるかという部分まで理解できていないのだ。
前者についてですがカルフォルニア州ではスクールカレンダーに次の記載があるという。「カミングアウトデー」にプライド・パレードが行なわれるが、それは基本的には10月11日や10月の第３木曜日。「ＬＧＢＴＱの歴史月間」が11月。トランスジェンダーである事を理由に殺害された人たちに祈りを捧げる「トランスジェンダー追悼の日」が11月20日。更には「トランスジェンダー認知週間」があり、これが11月の第２週になるのだという。他にも３月31日が「トランスジェンダー可視化の日」で、４月の第２金曜日はＬＧＢＴＱの生徒へのいじめや嫌がらせに対する認識を広げる為の「沈黙の日」であり、６月は「反ＬＧＢＴ派の抑圧に抗議するプライド月間」だという。このように告知の頻度を高めて、全情報量の占有率を高めて、企図者は宣伝したい事柄を世間に浸透させるという洗脳的手法が現にある。確かに異常な頻度だと感じませんかね？ ホントは、そのまんま、アクティビストのプロモーション戦略に乗せられているだけという可能性が高いようにも思える。特定の思想や政治的イデオロギーを有する団体のプロモーションに沿った報道というのでは、上等なジャーナリズムとは呼べませんやね。彼等は或る種の啓蒙思想のつもりで、善かれと思って、ああした報道をしているのかも知れませんが、特定の思想、かなり過激な思想を宣伝している行為は公正とは言い難い。しかも反トランスジェンダーのパレードについては「困った人たちがいるもんだ」とばかりに画面の中で眉をしかめて報道してきているという流れもあるしねぇ。
後者の「ブラック校則」は、私が耳にしても余計な校則であった事は確かであるが、バイアスは感じたかな。結局のところ、教育には規範に則って行動する事を学習する必要性があり、なんでもかんでも不要なものは壊してしまえばいいという訳ではない。司馬遼太郎の追悼式典では、司馬遼太郎の文化論を歴史学者の磯田道史氏が「シャチホコと消火器」と題して説明していた。「文化とは何か？」と学生たちから問われると、磯田氏は「シャチホコと消火器」とで説明するのだそうな。一見すると無用に見えるものが文化であり、文化的財産であると説明しているという。その考え方が司馬遼太郎の文化論を踏襲しているのだそうない。城の屋根の上にシャチホコが乗っているのはよく分からないところがある。しかし、だからと言って実用的なもの、例えば消火器を屋根の上に置いておいたところで、そんなものには文化的価値は見い出せないという主旨で文化の重要性を説明するとの事であった。まぁ、ひと昔前の知識人であったなら、当然に、そういうことを語れた筈なのだ。しかし、現在の日本の情報環境というのは専門家もキャスターも若者に寄り添う事が正義であると思いこんでいる節があって、おそらくは、その通りであろうと思う。「理解のあるお兄さん、理解のあるお姉さん」のように認識されたい人たちが増えてしまっているので、誰も本当の意味での伝統継承も教育も行えなくなってしまっているという事情が深部にあって、それが垣間見えている。
『トランスジェンダーになりたい少女たち』の中でも著者はユダヤ教の人であったか、単にユダヤ系アメリカ人なだけであったか、教育現場に必要なものは行動規範を守る態度であると論じている。当然といえば当然なのですが、こういう細部が完全に崩壊してしまっている。「古い！」とか「未だに」のように片付けてしまうのは小学生や中学生みたいな反応だ。分かりやすいので、そちらに靡くものと思いますが、実際とか現実というのは、もっともっともっと複雑で重層的であったりする。そもそも論拠もないまま「古い≒悪」、「未だに≒悪」という単純二元論思考、レッテル貼り思考をやっている事の自覚さえないところが非常にマズい。諸々の思潮の最前線を覗き見る限りでは、それこそが「知の劣化」とか「知の転覆」などと呼ばれ、最終的には壊滅的な状況を惹き起こすのではないですかという風に展開され始めている事に気づいていない。
22時からＮＨＫ総合「ＳＯＮＧＳ」では宇多田ヒカルさんが出演されていた。宇多田ヒカルさんの対応は地味に凄かったと思う。スタジオの質問者の理解力が高かったというのも関係していたのかも知れませんが、そういう応答が目立った。例えば「モチベーション」と「テンション」との差異。これを宇多田ヒカルさんは言い換えていた。隣にいた局アナは気付いていたかいないか分からない。それと30分ぐらい経過した頃であったか、ノンバイナリーについての質問が行なわれた。あの質問をした人も、あの回答をした宇多田ヒカルさんも、おそらくは今日的なジェンダー問題のイビツさに気づいている節がある。おおよそ、あの通りであろうなと思う。今起こっているジェンダー論争とは、どうも深掘りしていけば深掘りしていくほど、「実はそのまんま」という問題であり、他者からどのように認識されるのかが男性性と女性性との差異になる。仮に生物学的な男性であったとしても、女性だと周囲から認識され、そのように扱われれば、その人のアイデンティティー（自己認識する自分、自己同一性）は女性になってしまうようだという部分あたりまでが分かってきているらしい。
いわいる「観音菩薩」については女性ではないのかとされている。しかし、これも曖昧さを残している。これも岩波仏教辞典を引いた記憶からすると、実はそうなのだ。人々の意見を取りこぼす事なく観ようとすれば、実は自ずから中性的になるという理屈と合致しているのだ。どのみち男性性に固執したり、女性性に固執したりしなくなると考えられている。「観音菩薩」とは「観世音（かんぜおん）菩薩」であり、これを「観世自在菩薩」とか、思い切り訳して「観音様」と呼んでいるのだ。隠語で「観音様」になると「夜鷹」の意味にもなる。また、興味深い事に鳩摩羅什以前は「観世音」ではなく「光世音」（こうぜおん）と訳されていたともいい、ひょっとしたら古くはサンスクリット語で「光明」の意味があった可能性もある旨、解説してある。
勿論、宇多田ヒカルさんはこんな面倒臭い事を考えている訳ではないと思う。しかし、どうも宇多田ヒカルさんの言動や楽曲には、きっと彼女なりに本当に性別に固執していないのだろうなと思わせる何かがある。実際に「宇多田さんの楽曲には男性だからとか女性だからというものがないように感じるのですが…」、そういう主旨の質問が男性から寄せられた一コマが現にあって、ノンバイナリーである事を語ったのだ。やはり、彼女は何か持ってるような気がするよ。質問への返答でも「（人生には）正解はない」なんて事を言っていたし。（この「正解なんてない」が理解できるかどうかは大きな問題だ。正解があるという思考方法の人たちの中から「衝突の火種」や「マウンティング」や「絶望」が起こっている。）
スタジオ収録として披露された楽曲「Electricity」の歌詞の中には「ハマる、陰謀論」があった。この歌詞にしても特異なセンスだなと感じた。「陰謀論≒勘違い」という具合に使用されていたのではなく、否定も肯定もしないスタンスで使用されていた。ネガティブな意味合い、小バカにする意味合いとして使用されそうなものだが、そうしていないあたり、「さすが宇多田ヒカルだな」と驚いた。法政大学出版だったかな、どこかの出版社がその問題を取り上げている筈ですが、実は知的好奇心が高い人は当然に陰謀説・陰謀論にも感心が向かうというのが実相なので「陰謀論なんてバカなことを言ってらぁ」と反応している側が実はダマされ易い人たちであり、疑うべきものは当然に疑うという態度が必要になってくる。それらを考慮すると「ハマる、陰謀論」という歌詞は凄いなと思う。
そして最後に古新聞を処分したいので、小ネタを付け加えます。14日付のしんぶん赤旗が「機能性表示触診の導入の裏側」を報じていた。小林製薬の紅麹を使用したサプリメント問題へのリアクションであった。内容を簡略化すると、在日米国商工会議所（ＡＣＣＪ）から日本の厚労省へ次のような「提案」があり、その提案を受けた後に速やかに「機能性表示食品」という制度が受け容れたという内容であり、資料のコピーも掲載されていた。「なんだよ、また、そのパターンだったのかよ」という可能性もあるだけに備忘録まで。
ああ、それと日銀の介入は何故か「金曜日」が多いよなって思っている。それも東京市場が閉められた後に介入されてきたという記憶がある。日本人の個人投資家が勝てないようなタイミングでの為替介入が多いなってホントは感じている。
色々と書き散らしてしまったのだけれども、「時事」をただただ消費する情報として処理しているのか、きちんと吟味するのかによって、その者の考える事も変ってくる筈だと信じますけどね。
