2009年08月24日
脱出
具体的に転居の方針を固めた。
失われた20年・・・・・・そんな大袈裟なもんじゃないけど、ようやくこの阿片窟から脱出するメドがたった。俺は回復しているのか、もっと重篤な病に陥っているのか、どっちなんだか分からない。
44年生きた。もう戦争が始まってもおれはいっこうに構わない。
失われた20年・・・・・・そんな大袈裟なもんじゃないけど、ようやくこの阿片窟から脱出するメドがたった。俺は回復しているのか、もっと重篤な病に陥っているのか、どっちなんだか分からない。
44年生きた。もう戦争が始まってもおれはいっこうに構わない。
2009年08月23日
美保純
美保純がまだぺーぺーのポルノ女優だったころ
青春がまだ神聖で 我もああなれかしと 子供たちが夢に描いて
価値がなんにも壊れないで その先にあって
こいつはダメだろうと 誰もが感じていたものが
ことごとく裏切られ それなりに社会に受け入れられて
まぁ そんなこともあるんだろうと
そのとき ここは自分だけが生きている場所じゃないんだって
納得はしてたんだ 納得はね
半分ぐらいは 本物だったよ その感情は 感覚は
美保純がまだぺーぺーのポルノ女優だったころ
まだ 信じられる国で 信じられるヒトのいうことを聞いていた
未来にも 自分が必要とされる声が聞こえていたし
あるとき 自分が呼ばれたなら 本当にこの身を捧げても
惜しくないって思ってたんだ
いまは なんだか マンモスかなP マンモス悲P
青春がまだ神聖で 我もああなれかしと 子供たちが夢に描いて
価値がなんにも壊れないで その先にあって
こいつはダメだろうと 誰もが感じていたものが
ことごとく裏切られ それなりに社会に受け入れられて
まぁ そんなこともあるんだろうと
そのとき ここは自分だけが生きている場所じゃないんだって
納得はしてたんだ 納得はね
半分ぐらいは 本物だったよ その感情は 感覚は
美保純がまだぺーぺーのポルノ女優だったころ
まだ 信じられる国で 信じられるヒトのいうことを聞いていた
未来にも 自分が必要とされる声が聞こえていたし
あるとき 自分が呼ばれたなら 本当にこの身を捧げても
惜しくないって思ってたんだ
いまは なんだか マンモスかなP マンモス悲P
2009年06月09日
i lost the monkey
ここでこれから何をしたいのか問われて少し笑いそうになった。何か順序良く資格を取って、この方向にこんなポストがあるにはあるって、多分年下のいやらしい関西人が、ぼくのあと20年ぐらいの生き抜くプランを訊いていたのだろう。大真面目な顔をしてはいたが、ぼくは内心困り果て本当に失笑しそうになっていた。(金ですよ、カネ。金がほしいだけなんでね、望みなんて、ここで、この場所でやりたいことなんてこれっぽっちも無いんでさ、へへへ)沈黙の空気に絶え切れず相手が先に笑ったので、ぼくもつられて笑った。これだ、以心伝心ってやつだ。人事の人間はみんな知ってる。見抜いてる。選別屋なんだからそこはぬかりない。そこで弾丸を撃ちつくして、あっけなく降参だ。お気の毒に。こんな人間でも、まだ望みをかけるのかね。この国の人材不足、その凋落振りは本当に深刻になりつつあるね。魅力がないんだよ。俺を惹きつけるものを何か提示してくれたのかな、今までさ。崖っぷちにひ弱なザイル一個でぶらさげてさ、ま、そいつは金なんだけど、それ以上の魅力があったのかな、お前らが40年ぐらいの年月投げ打ってしまえるほどのさ。恥を知れよ、俺らは。恥ずかしいと心底思えよ。何を望んだのか、何がしたかったのか、それは俺がずっとずっとお前らに訊きたかった質問なんだけどね。
今年のタイガースの交流戦は、85年の復刻ユニフォーム。長年タイガースを応援している人間たちは、そいつがタイガースの黄金期のユニフォームでないことを知っている。あの白と黒と灰色が思い起こすのは、負け犬根性が染み付いた長い長い暗黒のトンネル。ぼくらがその生活とオーバーラップしてきた不吉な彩色だった。もういいだろうよ。俺ら、一回も負けたわけじゃないだろうよ。85年は夢だったのかな。あんな奇跡、もう、これからも起こらないって、本気で信じようとしたのかな。
何にも変わってねぇ。こんなにひどいことになるなんて、ほんとうに想像もしなかったよ。
今年のタイガースの交流戦は、85年の復刻ユニフォーム。長年タイガースを応援している人間たちは、そいつがタイガースの黄金期のユニフォームでないことを知っている。あの白と黒と灰色が思い起こすのは、負け犬根性が染み付いた長い長い暗黒のトンネル。ぼくらがその生活とオーバーラップしてきた不吉な彩色だった。もういいだろうよ。俺ら、一回も負けたわけじゃないだろうよ。85年は夢だったのかな。あんな奇跡、もう、これからも起こらないって、本気で信じようとしたのかな。
何にも変わってねぇ。こんなにひどいことになるなんて、ほんとうに想像もしなかったよ。
2007年06月08日
2007年05月23日
search for paradise
面倒くさいんで、俺はだいたい月に一度まとめて酒瓶を資源回収の箱に持っていくことにしている。ひと月分の酒瓶を持っていくとなると、これがかなりな量になるのだが、恥ずかしいので明け方早い時間にそいつらを運び出すことになる。ワンカップやら黒霧島や美少年の瓶やらをゴミ袋にガラガラ詰め込んで明け方うちを出る。
たった月に一度なのに、どうしてだかゴミ当番の近所の可愛い奥さんに毎回出くわす。俺はこの界隈にもう20年近く住んでいるから、所帯持ちどもとの付き合いは無くとも住民に顔が割れている。
奥さんは最近は暑くて油断しているのか、かなりな薄着で回収BOXをがさごそやったりしている。その後姿がいい。いいケツをしている。俺がくたびれたサンタクロースみたいにゴミ袋をブラさげてそこに現れると「あ!」と云って、いつもそこから少し後ずさる。この「あ!」が実に色っぽくて俺の隠れミッキーは少し反応する。昨晩も旦那とやったんだろ、激しいのを一発二発ってな、夜中にずっとそんな声出してたんだろ。化粧っけの無い少しやつれた風の青白い顔、たぶん俺より少し年下なんだろうが、幼さが額に滲み出ていてずいぶん若く見える。パジャマの上にカーディガンを羽織っているようだが、体のラインが丸わかりだ。きっとあの中にあるふっくらした丸いおっぱいにも青い静脈が浮いていることだろう。体面座位で具合がよさそうな体つき。
俺は大酒飲みの、ならず者になった気分だった。奥さんはこれを俺が毎週飲んだ量だと思っているのだろう。軽蔑されてるなと思いつつ、回収BOXにゴミ袋の中のものを全部ぶちまける。マナーとして瓶は洗って、蓋は取ってということになっているのだが、さすがに俺はそこまではしない。蓋は取るが洗いはしないのだ。毎回、冷酒グラスに空瓶の残りを切って出す。たいした量じゃないが日本酒や焼酎のミックスがグラス一杯になることもある。意地汚いが最後にそいつをあおってゴミ出しにでるもんだから、俺の口臭にはいつもアルコール臭が漂っていることになる。
とっととこの界隈から消えればいいのに、このアル中男。奥さんはきっとそう思っているに違いない。この女に蔑まれながらもちょっと征服してみたい気分になる。朝っぱらから俺はいやらしい。
彼女の旦那は毎夜毎夜玄関先でゴルフのアイアンを振っている。禿げ散らかしたちんけな小男だが、いいところに勤めて金は持っている風だ。毎年車を買い替えている。こいつには私立っぽい制服を着た、中学に通う娘がいる。娘はいつもミニチュアダックスを俺の原付のタイヤにマーキングさせて散歩している。奥さんに似てちょっと可愛い顔をしていた、クラスで3番目ぐらいの、狙い目の。
俺はゴミを全部ぶちまけると奥さんを一瞥してそこを退散する。ハニー、日常は退屈だ。なんにも気に留まることがない。月一の逢瀬はそれで終わりだった。
5月になって2年振りのライブが近づいていた。
何度リハをやろうが、眠れない夜中なんかに恐っそろしく緊張感が襲うことがあった。
この恐れは何なんだろう。上手くできるか、ミスせずできるか、そんなことよりも、俺にはもっと恐ろしいものがあった。音楽への距離感だ。今のところどうでもよくなっている。なんの希望も見出せない。ほんとうに無感覚だった。表現への欲求が消えうせている。なんかやっつけ仕事みたいに感じている。金にも身にもならないエクササイズみたいなもんだ。寝ても醒めてもビリーバンドが腕に絡み付いてる感覚だ。頭んなかは冷め切っている。
コードEでドンとバスドラが鳴って開放弦が震えるだけで、昔の俺はわくわくしたもんだ。それが無い。今は一切無い。騒音としての空間の振動があるだけだった。コードEで紡がれるメロディが飽和している。全部知っているような錯覚、無限に近くそいつはあるってのに。
もう、単純にリスナー体質になってるんだな。自分の中の音楽は全部、半年振りの宿便みたいに出し切った感じ。もう屁も出やしねぇ。これからは恐らく他人が作る音楽に裏切られたり感動したりしながら余生を送るわけだ。
なにか別のもの、他のもの。世の中に幾らでも、腐るほど溢れている、今までとは違うもの。
人間の嗜好ってのは何がきっかけで、なにが印象に残ったりして決まるんだろうか。何がきっかけで山登りがしたいとか、セパタクローがしたいとか思うんだろうか。そいつを分析するには精神科医の手助けとかが必要なのかな。
ずうずうしい人間でないかぎりこの世が楽しめないのは事実だろうがね。俺だってまがりなりにも大阪で育った男だ。もっとずうずうしく生きるべきだった。彼らは、やつら大阪人は人生を楽しむ術を知っていた、デキのいい人間だろうがバカだろうが、それなりに、それなりの方法で。
俺は東京に来てからというもの、そういう能天気さを否定して生きてきた。小心者だった、生まれてからずっとね。もういいだろうと思う。いい加減飽き飽きだってなもんだ。ずっとバックに入っていたギアをニュートラルに戻して、40男が、40男としての楽しみを見つけよう。俺は俺なりの星をみつけてみよう。ここにいるのも、この世界を眺めていられるのもあと残り僅かなんだから。
たった月に一度なのに、どうしてだかゴミ当番の近所の可愛い奥さんに毎回出くわす。俺はこの界隈にもう20年近く住んでいるから、所帯持ちどもとの付き合いは無くとも住民に顔が割れている。
奥さんは最近は暑くて油断しているのか、かなりな薄着で回収BOXをがさごそやったりしている。その後姿がいい。いいケツをしている。俺がくたびれたサンタクロースみたいにゴミ袋をブラさげてそこに現れると「あ!」と云って、いつもそこから少し後ずさる。この「あ!」が実に色っぽくて俺の隠れミッキーは少し反応する。昨晩も旦那とやったんだろ、激しいのを一発二発ってな、夜中にずっとそんな声出してたんだろ。化粧っけの無い少しやつれた風の青白い顔、たぶん俺より少し年下なんだろうが、幼さが額に滲み出ていてずいぶん若く見える。パジャマの上にカーディガンを羽織っているようだが、体のラインが丸わかりだ。きっとあの中にあるふっくらした丸いおっぱいにも青い静脈が浮いていることだろう。体面座位で具合がよさそうな体つき。
俺は大酒飲みの、ならず者になった気分だった。奥さんはこれを俺が毎週飲んだ量だと思っているのだろう。軽蔑されてるなと思いつつ、回収BOXにゴミ袋の中のものを全部ぶちまける。マナーとして瓶は洗って、蓋は取ってということになっているのだが、さすがに俺はそこまではしない。蓋は取るが洗いはしないのだ。毎回、冷酒グラスに空瓶の残りを切って出す。たいした量じゃないが日本酒や焼酎のミックスがグラス一杯になることもある。意地汚いが最後にそいつをあおってゴミ出しにでるもんだから、俺の口臭にはいつもアルコール臭が漂っていることになる。
とっととこの界隈から消えればいいのに、このアル中男。奥さんはきっとそう思っているに違いない。この女に蔑まれながらもちょっと征服してみたい気分になる。朝っぱらから俺はいやらしい。
彼女の旦那は毎夜毎夜玄関先でゴルフのアイアンを振っている。禿げ散らかしたちんけな小男だが、いいところに勤めて金は持っている風だ。毎年車を買い替えている。こいつには私立っぽい制服を着た、中学に通う娘がいる。娘はいつもミニチュアダックスを俺の原付のタイヤにマーキングさせて散歩している。奥さんに似てちょっと可愛い顔をしていた、クラスで3番目ぐらいの、狙い目の。
俺はゴミを全部ぶちまけると奥さんを一瞥してそこを退散する。ハニー、日常は退屈だ。なんにも気に留まることがない。月一の逢瀬はそれで終わりだった。
5月になって2年振りのライブが近づいていた。
何度リハをやろうが、眠れない夜中なんかに恐っそろしく緊張感が襲うことがあった。
この恐れは何なんだろう。上手くできるか、ミスせずできるか、そんなことよりも、俺にはもっと恐ろしいものがあった。音楽への距離感だ。今のところどうでもよくなっている。なんの希望も見出せない。ほんとうに無感覚だった。表現への欲求が消えうせている。なんかやっつけ仕事みたいに感じている。金にも身にもならないエクササイズみたいなもんだ。寝ても醒めてもビリーバンドが腕に絡み付いてる感覚だ。頭んなかは冷め切っている。
コードEでドンとバスドラが鳴って開放弦が震えるだけで、昔の俺はわくわくしたもんだ。それが無い。今は一切無い。騒音としての空間の振動があるだけだった。コードEで紡がれるメロディが飽和している。全部知っているような錯覚、無限に近くそいつはあるってのに。
もう、単純にリスナー体質になってるんだな。自分の中の音楽は全部、半年振りの宿便みたいに出し切った感じ。もう屁も出やしねぇ。これからは恐らく他人が作る音楽に裏切られたり感動したりしながら余生を送るわけだ。
なにか別のもの、他のもの。世の中に幾らでも、腐るほど溢れている、今までとは違うもの。
人間の嗜好ってのは何がきっかけで、なにが印象に残ったりして決まるんだろうか。何がきっかけで山登りがしたいとか、セパタクローがしたいとか思うんだろうか。そいつを分析するには精神科医の手助けとかが必要なのかな。
ずうずうしい人間でないかぎりこの世が楽しめないのは事実だろうがね。俺だってまがりなりにも大阪で育った男だ。もっとずうずうしく生きるべきだった。彼らは、やつら大阪人は人生を楽しむ術を知っていた、デキのいい人間だろうがバカだろうが、それなりに、それなりの方法で。
俺は東京に来てからというもの、そういう能天気さを否定して生きてきた。小心者だった、生まれてからずっとね。もういいだろうと思う。いい加減飽き飽きだってなもんだ。ずっとバックに入っていたギアをニュートラルに戻して、40男が、40男としての楽しみを見つけよう。俺は俺なりの星をみつけてみよう。ここにいるのも、この世界を眺めていられるのもあと残り僅かなんだから。