THE 有頂天ホテル
監督・脚本:三谷幸喜
製作:亀山千広・島谷能成
出演:役所広司/松たか子/香取慎吾/佐藤浩市/オダギリジョー/津川雅彦/
伊東四朗/西田敏行/寺島進/石井正則/戸田恵子/麻生久美子/角野卓造/
生瀬勝久/川平慈英/浅野和之/堀内敬子/原田美枝子/篠原涼子/唐沢寿明
配給:東宝
野球に例えれば巨人。外れ知らずの著名な脚本家兼監督の元に,芸能界一流俳優の中から出演を希望した者が何のふるいにもかけられず全員出てしまった感じがする。
撮影技法として注目は映画中多用されている「ワンシーンワンカット(ひとつのシーンを一つのカメラで長回しすること)」だが,ひとつの流れを楽しむ効用はあったが,舞台に似た緊張感を演者から感じてしまい,余計にこのホテルが実在のものでないという虚構感を感じた。
今回のようにたくさんの濃いメンツを揃えて喜劇を作るのも面白いが,三谷レベルになればこの中から一人取りだしてきて人物一人を掘り下げて面白いものを作れると思う。役所広司が主役で,彼を取り巻く数十人の話だったかも知れないが,今回のドタバタ加減では主役が埋もれてしまった感が強い。
かなり批判の割合が多くなってしまったが,普通に笑えるし面白い。ただ,もう三谷作品がメジャー化しすぎたためか,そのパターンかよ!というのが散見しつつあり,新たな驚きはないと言って良い。
末筆ながら,見た後に美容院で髪をばっさり切ったほうがこの映画よりも気分転換になった。その程度ということだ。