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今更ながら、
2016年度より関西学院大学経営戦略研究科で「大学運営」が新たに開講され、
そのセミナーがありましたので行ってまいりました。

簡単にまとめます。
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日 時:2015年10月3日(土)13:00~14:30
テーマ:『大学教育と職業 - 改めて考える』
講 師: 金子元久氏 筑波大学 大学研究センター特命教授 

【導入】
●「職業高等教育機関への関心」
突き詰めていくと「現在の大学ではダメ」という認識。
高等教育機関に関する改革、わかりやすい改革は政治的なメリットも大きい。

●「G型・L型」大学論
先日注目を浴びた上記の議論や人文社会系再編成の議論は
大学業界へのメッセージ。

●大学教育は「役にたって」いない。
この意見は東大法学部出身者の発言。ユニバーサルアクセス時代における大学のあり方。
大学はどのように対処するのか、問題を構造的に捉え、示していく必要がある。

【大学教育・知識技能・仕事】
●歴史的にみれば、第2次大戦後企業数の拡大、組織規模の拡大で
大企業が増加し、そこに大卒がいたため大学大衆化と対応、そしてホワイトカラーが増大した。

●日本の大卒労働市場は、「大卒専門職」「技術職」「事務営業」に分けられ「事務営業」が6割を占める。「事務営業」は大学の学びを求められておらず、半数以上は大学の学びが必要ない状態になっている。

●日本の特質として、一括採用で職務の分担は年齢に応じて決定され、知識・技能は直接には報酬がない。企画開発などの分野に置いては必要となるが、賃金などの点で処遇されるわけではない。
必要な知識技能は不可視的であり、学習能力の指標として出身大学の選抜性が重視される。


【産業・社会構造の転換】
●「製造業の海外シフト」「事務処理のIT化」により新規高卒者への求人が減少し、大学に行かざるを得なくなっている。

●就職先は15年で大幅に変化しており、サービス業が拡大している。
→大学教育は変化しておらず、対応しきれていない。
新しい産業構造への対応が必要。→実践型の取り組み?

●一括採用、専門知識の軽視、学生には学習の目的が不明。大学はどう応えるか?

【大学はどう取り組むか】
●人事からは「人格的な成熟度が不足」していることが最大の問題とみられている。
→これは大学の問題なのか?

●職業のためには、重層的な知識、態度が必要。
知識を「身に付ける」プロセスも重要。

●これまでは「学部による縦割り」で学術領域の論理でつくられ、社会的な要求に答えられていない。
これまでは一括の教育モデルを強制。マス型教育なら良かったが状況は変わっている。

●新しい質保証システムが必要。
設置基準といった入り口だけでなく、出口の評価システムを整えないといけない。

●今後は多くのデータが求められる。(IRの重要性)

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実はSDセミナーなるものに初めて参加したのですが、
政策やキャリアで様々な視点・論点を知れて非常にためになりました。

私が勤務している大学では、IRについてはまだまだ整っておりません。
「学力の経済学」 でも書かれていたように、
今後は教育業界についても、様々な視点、データからあり方を分析しないといけない時代です。
どのようにすれば効果が上がるのか?効率が良いのか?時間配分は?といったことを
数字を使った根拠を示していく必要があると感じました。

その他にも、スーパーグローバルに選ばれた関西学院大学の苦労話なども聞けました。

次回は11月7日(土)に開かれる
大学の広報戦略〜取材したくなる大学とは』
講師:横山晋一郎氏 日本経済新聞社編集局長付編集委員
に参加予定です。

「学力」の経済学
中室 牧子
ディスカヴァー・トゥエンティワン
2015-06-18


「学力」の経済学
中室牧子
ディスカヴァー・トゥエンティワン
2015-06-17





 

今更ですが、この度大学の入学定員の超過基準についての見直しが行われました。

大学、大学院、短期大学及び高等専門学校の設置等に係る認可の基準の一部を
改正する告示の施行について(通知)

http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/1362708.htm 

従来は1.25〜1.3倍未満で平均入学定員超過率が設定されていましたが、
大学の規模によって将来的に1,05 〜1,15倍まで抑制されることになりました。

この考え方の根底にあるのは、
現在、都心部以外の地方の人口流出が問題となり、
地方が疲弊していっているという懸念があります。

この変更により、地方から都会へ進学する人数を抑制し、 
地元に留まらせるといった流れをつくろうとしているとは思いますが、
私はうまくいくとは思いません。

都心部の大学の入学者が減ったところで、
まだまだ定員割れを起こしている他大学もありますし、
地元で進学したからといって、就職がなければ地元にいる必要もないです。

大学側の視点でも、入学者数の予測を困難にします。
現状でさえ、他大学の状況次第で歩留まりが変動し、
調整が難しい状況。読み違えると、一気に定員割れといった
悲惨な状況になる恐れがあります。

まあ、大規模校はそれほど影響が無いかもしれませんが、
特に中小私大は入学者予測が一層難しくなり、
一回の読み違いで潰れる大学がでてくるかもしれませんね。
 

サンデー毎日(8/9増刊号)で
高大接続・大学入試改革シンポジウムの記事が取り上げられていました。

【気になった点】
・これからは「自ら学び考え、主体的に行動する力をつけるため学習」が必要。
・能力として「課題解決学力」「探究型学力」の育成が必要
それには知的好奇心や、理解力、活用力、表現力、コミュニケーション力が重要である。
・大学入試選抜は、知識・技能に加え、思考力・判断力・表現力・高校時代の活動、意欲や適性を総合的に評価するものに変えていく。
・これからの大学は学生の意欲を引き出していく能力を伸ばしていくコーチングをいかに行うかが大切。 
・大学は、
 入学したら何を学べるか?
 卒業までにどのような能力を身につけることが求められるのか?
 を具体的に提示することで、偏差値・立地・学費による大学選びからの脱却ができる。
 教育機関として、卒業までにどれだけ学生の力を伸ばしたかを更に問われる。


教育業界で働く上で、
これから必要な能力として、より具体的に「どんなことができるようになるか?」を明確に提示できるように考えていく必要があると感じました。




 

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