4月14日に行われた古馬マイルの重賞『赤松杯』。ここからシアンモア記念-みちのく大賞典へとつながっていく古馬戦線の本格的な幕開けを告げるレースはグランコージーが逃げ切り勝ち。近年の年度代表馬らを完封する見事な勝利を挙げました。
この春に盛岡から水沢に転厩、鞍上も初めて手綱を取る坂口裕一騎手となって挑んだグランコージーでしたが、初騎乗の懸念も何のその「あくまでも自分のペースで運んで、自分のタイミングで仕掛けようと思っていました(坂口裕一騎手)」と狙い通りの戦いを貫いての4馬身差完勝。グランコージー自身も3歳時のダイヤモンドC以来の重賞制覇、見事な復活劇ともなりました。
今週の水沢競馬場ではついに向こう正面の桜並木が満開を迎えました。桜を背景にしたレースを見ているとようやく春が来たなと、つい先日の3月下旬まで寒い日が続いていただけに余計にそう思うのですが、しかしこの週末は4月とは思えないくらいの気温の上昇にうんざりともさせられました。春と言うより夏。
そんな暑さのせいもあるのか、せっかく咲いた桜並木もはや散り始めているようです。桜並木とレースの光景をお楽しみいただけるのも今日あたりまででしょう。
さて予想に行きましょう。4月16日のメインレースは12Rの『スプリント特別』、OP級の850m戦。本命は(8)ダイセンメイトです。
昨春に岩手に転入した時の同馬はC1級スタート。いったんC2級に降級しましたが秋にはA級まで上昇。その原動力となったのは短距離での快進撃、それも水沢850mでの好成績でした。この条件では昨年8戦して8勝、今季も3月30日の奥州弥生スプリントを勝って9戦9勝。1000mでも"長い"と感じさせるくらいの850mのスペシャリストです。その前走も結果の数字だけをみれば1馬身差の勝利ですが短距離でのその着差は決定的といえるもの。スペシャリストぶりは今季も持続と判断できる内容でした。
今回はライバルの半数が前走で破っている相手。外枠という点も8頭立てなら大きな問題にはならないでしょうし、850m10戦10勝も十分に可能と考えるのが自然。
対抗は(2)アップテンペストを。前走は◎と戦って7着でしたがあくまでも休み明け初戦ゆえと考えたいところ。昨年6月の早池峰スーパースプリントで2着があるように850mとの相性も悪くないはずで、ここは叩いた上昇分を大きめに見積もってみます。
三番手は(3)アヴェントゥリストを。こちらも水沢850mでは6勝2着6回と巧者ぶりを示してきています。流れひとつ、出足ひとつで◎とも互角に戦えていいはず。
△はまず(6)カタナ。9歳春ながら着実に上昇、そしてこの馬も850mは掲示板を外していない巧者。もう一頭は(4)ペルトラン。春初戦の勝ち星は馬場傾向にも助けられたという事になるのでしょうが、この短距離でも繰り出してくる末脚は一概に軽視できないもの。もつれた展開になった時の穴として押さえておきましょう。(横川典視)
●12Rの買い目
馬単(8)=(2)、(8)=(3)、(2)=(3)、(8)→(6)、(8)→(4)
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15日メインはA級一組「卯月特別」(水沢1600m)。一線級は前日の赤松杯でエントリーし、実質A級二組のメンバー構成。重賞ではどうかというメンツだが、逆に各馬にチャンスあり。馬券的に妙味ある一戦になったと思う。
中心は今季初出走でもマイネルアストリア。今年で岩手3年目に突入。一昨年は赤松杯、あすなろ賞と重賞2勝。昨年は6月から始動して準重賞・すずらん賞優勝を含めて5勝2着2回3着2回。自分の競馬に持ち込むと強じんな粘りを発揮するが、ビッグレースでは苦戦とはっきりしたタイプ。昨年も馬券対象から外れたのは一條記念みちのく大賞典10着、桐花賞で8着に大敗。ほかはすべて3着以上にまとめた。
そのあたりは陣営も織り込み済み。今年も特別戦できっちり勝利をモノにして、チャンスがあれば重賞挑戦を考えているに違いない。今回、赤松杯をスキップ。それならば当面のターゲットは重賞・あすなろ賞。王道は赤松杯、シアンモア記念、一條記念みちのく大賞典。ちょうど有力馬が一息入れるであろう、あすなろ賞2連覇が目指すところだろう。
ボウトロイは門別2勝、南関東1勝・B3級、門別4戦(一度JRA札幌へ挑戦)を経て転入。2年間で通算9勝をマークした。昨年も5勝だったが、8月以降は着外の連続。次第に存在感が薄れつつあったが、昨最終戦を快勝。復活の手ごたえをつかんでシーズンを終え、今季2戦目を快勝。まだまだ通用することを証明した。
担当きゅう務員は何度か紹介したことがある牧野孝光さん。改めて感服した次第。さすがに重賞クラスでは厳しいが、メンバーが手ごろになればきっちり勝っていくだろう。
スパイスマジックは中央ダート1600m1勝、ダート1700m1勝。ほかに2着2回3着1回から岩手、園田を行き来して昨年再転入。戦列復帰に手間取って出走取り消しをはさんで9ヵ月半の休養を余儀なくされた。しかし復帰後は1勝2着1回3着1回。今季も初戦を3着にまとめたが、2戦目は競走除外。蕁麻疹が除外理由なら一安心。競走能力に支障はなく、早々と乗り込みを再開。気分一新する末脚を期待したい。
キモンリッキーは昨年、大井から再転入。一度11着に大敗したが、以降は5連勝を含めて8勝を荒稼ぎ。中央入りを果たした。ただ2勝クラスでは荷が重く8着が最高。4戦を使った岩手へ戻ってきた。過去、岩手の白星は1400m以下。マイル対応が最大ネックだが、前々走・阪神ダート1400mで1秒2差8着。1分25秒5のタイムをマークできれば、こなせる距離。3月まで実戦を使ってきたのも心強い。
ハクシンパーソナルは今季2戦8、4着だったが、いずれもスローペースに泣いた。水沢なら向こう正面からロングスパートをかけてひとまくり。展開はまれば一気突き抜けるシーンまで。
サイタブラウンは中央未勝利ながらダート戦で2着5回3着2回から岩手入り。6戦連続で連対を続けている。前走タイムは見劣るが依然、底を見せていない。
◎①マイネルアストリア
〇④ボウトロイ
▲②スパイスマジック
△⑩キモンリッキー
△⑤ハクシンパーソナル
△⑪サイタブラウン
<お奨めの1頭>
2R バルボア
今季2戦目から850m戦へ路線変更して2連勝中。元A級の実力を見せつけている。ここも追いかける手
14日メインはシアンモア記念トライアル「第49回赤松杯」(水沢1600m)。新シーズンの古馬戦線第一弾が赤松杯。1着馬から3着馬に優先出走権が与えられ、現時点での岩手トップがずらりと顔をそろえた。
昨年度の年度代表馬ノーブルサターンが、今年も赤松杯から始動する。昨年、シアンモア記念、北上川大賞典、トウケイニセイ記念、桐花賞と重賞4勝。満場一致で年度代表馬に選出された。
今年も健在を誇示するか―が最大焦点だが、昨年の赤松杯4着。またマーキュリーカップ10着後、3ヵ月休養明け5着。500キロを優に超す大型馬でイメージは叩き良化型。中央時代も含めて休み明けは16戦1勝3着1回と振るわないのが気になるところ。加えて今年10歳。果たして休み明けから全能力を発揮できるか、半信半疑。実力は誰もが認めるところだが、あえて▲評価とした。
主軸にヴァケーションを指名する。2歳時にJpnI・全日本2歳優駿を制した大物が岩手入りしたのは一昨年4月。赤松杯2着から2戦目・シアンモア記念を優勝。その後、一條記念みちのく大賞典3着、JpnIII・マーキュリーカップで3着に健闘。年度代表馬に選出された。
昨年も一條記念みちのく大賞典を8馬身差で圧勝。年度代表馬はノーブルサターンに譲ったが、終盤のトウケイニセイ記念2着、桐花賞で3着を確保した。過去、休み明けは<0.3.2.2>。勝ち星こそないが、安定した取り口を披露している。さらに水沢1600mは<1.3.0.0>と連対パーフェクト。軸の見方で主軸に抜擢する。
グランコージーは岩手デビュー後、南関東を行き来して通算12勝。特に1600m戦で8勝マークと最も得意とする条件。昨年11月、南関東A2から3度目の里帰り。初戦の盛岡ダート1600m戦を0秒8差で逃げ切った。
そのパフォーマンスを評価され、トウケイニセイ記念で2番人気に支持されたが、3コーナーでもたついて9着。続く水沢1400m戦も同じようにもたもたして2着。不本意な結果に終わった。
しかし今年は転厩で心機一転。前走、メンバーが甘くはなったが、アッサリ逃げ切って好発進を決めた。メンバーが大幅強化、コーナーでもたつく不安はあるが、ノーブルサターン、ヴァケーションは今季初出走。一度実戦を使った強みを生かせれば逆転首位まで十分。
フレイムウィングスも今季初出走だが、仕上がり万全。中央ダート2勝、南関東B1級1勝から転入。岩手未勝利だが、北上川大賞典2着、桐花賞ではヴァケーションに先着2着。重賞でも勝ち負けを演じている。忙しいマイル向きではないが、安定度一目。
スズカゴウケツは中央ダート3勝、ほかに盛岡2勝、名古屋1勝。昨年の一條記念みちのく大賞典で2着に健闘し、高配当を演出した。昨年のトウケイニセイ記念8着後、南関東へ移籍して2戦連続3着。この経験を生かして一発をもくろむ。
グローリーグローリは昨年の覇者。その後も重賞・あすなろ賞を制し、岩手3勝。今年は3月から始動したが、馬体重増も影響して6着。ひと叩きされてどこまで体調アップしたか。それが好走のカギとなる。
◎⑦ヴァケーション
〇⑥グランコージー
▲⑤ノーブルサターン
△③フレイムウィングス
△①スズカゴウケツ
△⑧グローリーグローリ
<お奨めの1頭>
1R アヴェシオン
今回はメンバーが大幅に甘くなり、6頭立ての少頭数。過去4着が最高だが、千載一遇の勝機を迎えた
4月7日(日) 「第49回スプリングカップ」(3歳重賞 水沢1600m)
新シーズンの到来を告げる恒例の3歳重賞・スプリングカップ。毎年、3歳戦線を占う重要な一戦として位置づけられているが、今年はより注目度アップ。昨年5戦5勝、満票で2歳最優秀馬フジユージーンがついに始動。昨年11月12日、南部駒賞以来、5ヵ月ぶりに戦列復帰した。
強力な逃げ馬が不在に加え、「返し馬で気が入っていた」(村上忍騎手)フジユージーンが先手を取った。2番手にサンエイキャノン、3番手インにリトルカリッジ、4番手外にリュウノダンマーム、離れた5番手をサクラトップキッドが追走した。
スタートからのラップは12秒9-11秒7-12秒9-13秒5-12秒5-12秒5-13秒2-12秒5。フジユージーンはほとんど追ったところなし。ラスト1ハロンを12秒5に上げたのは村上忍騎手が次走を考えて気合いをつけたため。2着に2秒4差の大差をつけてゴールに入った。走破タイム1分41秒7。これが驚異的なのかは前レースのB2級の勝ちタイムが1分45秒0。9Rが1分45秒1でも一目瞭然。フジユージーンがいかにケタ違いだったか、ご理解いただけるだろう。
村上忍騎手
「1週前の追い切りで乗りましたが、上々の動きだったので、自信を持ってレースを迎えることができました。先生(瀬戸幸一調教師)からはどこからでもいい。リズムだけを気をつけて欲しいと言われましたが、返し馬で気が乗っていたので、これなら無理に抑えないで逃げた方がいいと判断。あとは距離が延びても大丈夫なようなレースを心がけました。体重は増えていましたが、成長分もありましたし、これからの伸びしろも見込めると思います。冬休みも無事に過ごしてシーズンインができましたから、今後も楽しみです
瀬戸幸一調教師
「これで自信を持って次のレース(ダイヤモンドカップ)へ向かうことができます。今回の仕上げは7~8分程度でしたが、想定どおりの状態で臨めました。今日は地元同士の戦いでしたからね。負ける気はしませんでしたが、期待していた以上のレースをしてくれました。パドックもいい雰囲気でしたし、ゲートも上手になった。次走・ダイヤモンドカップでは100%の仕上げでいきます」
2着・サクラトップキッド
冬期間は遠野馬の里へ移動。シーズン初出走だったが、プラス8キロ。成長期を考えれれば体重増加は当然のこと。パドックを見ても臨戦態勢は整っていた。ただ、首が高いのは従来どおり。特に水沢コースでは顕著で昨年終盤戦からシャドーロールを着用したが、今回も追い出しを始めた向こう正面で頭をあげて、加速するのに手間取る。それでも最後の直線で伸びてきたのが地力の証明。課題は残したが、2着確保で今後のメドが立った。
3着・サンエイキャノン
こちらは福島県のテンコートレセンで鍛え直して帰厩。初戦を0秒8差で完勝し。坂路効果がはっきり出た。今回、気になったのがパドックで入れ込んでいたこと。パイロ産駒で元々が2人引きだったが、ちょっと発汗が目立った。このあたりが最後の伸びを欠いたことにつながったと思うが。重賞初挑戦で3着なら上々。
4着・リトルカリッジ
当初、3月の3歳牝馬重賞・あやめ賞にも登録があったが、順調さを欠いてスキップ。スプリングカップから始動した。馬体重は前走(金杯)比プラス5キロ。デビュー当初は箱形の体型だっが、秋以降から全体が伸びた印象。それが終盤2戦の太夫黒特別、重賞・金杯を制した要因だったか。今回は終始3番手インを追走したが、伸びを欠いて水を開けられた4着。まだ本調子を取り戻していなかったが、叩かれて次は変わってくるはず。
今週の岩手競馬
4月14日メイン12R 「第49回赤松杯」(オープン 水沢1600m)
4月15日メイン12R 「卯月特別」(A級一組 水沢1600m)
4月16日メイン12R 「スプリント特別」(オープン 水沢850m)
4月7日に行われた3歳馬の重賞『スプリングカップ』はフジユージーンが後続に2秒以上の差をつける大差圧勝。昨年以来の休み明け初戦をクリアすると同時に3歳クラシック路線へむけ好発進を決めました。
「控える競馬も考えていたが今日は返し馬から気持ちが入っていた。それで好スタートを切ったのでそのままいってしまう形(村上忍騎手)」というフジユージーン。自身はさして追う事もなく周回してそれで後続を全く寄せ付けないままゴール、2着以下に2.4秒もの差をつけただけでなくその前に行われた古馬B2級戦の勝ちタイムも大きく上回る好時計での勝利はまさしく圧巻。春初戦を強い走りでクリアして、次戦、東日本交流となるダイヤモンドカップへ向けこの上ない滑り出しとなりました。
4月9日のメインレースは12Rです。B2級ダート1400mの特別『エイプリルカップ』。本命は(4)マイグレーションを狙います。
昨秋に岩手に転入して後の勝ち星はオープンの1200m戦ひとつにとどまっていた同馬でしたが、転入初戦を除けば好時計・好内容で健闘。重賞絆カップでも5着に食い込んでいるのですから力量は本物と見ていいはず。B1に降級した今季初戦は時計の差こそ大きくなかったもののしぶとく抜け出して、しぶとく粘り切る質の高い競馬。今回の好調メンバー、歯ごたえが増した相手関係の中でもこれなら主役になる資格は十分でしょう。
対抗は(6)ピラヴロス。昨年の今頃は3連勝、その後少し狂った歯車を修正して立て直して12月にC1級から再出発。そこからは安定した戦いが続いています。ここまでの戦績からは1400mが手頃と思えますし雨馬場も悪くなさそう。この馬から見ても歯ごたえが増した相手関係ですが、互角に、あるいは突破してもおかしくない存在。
(5)モンゴリアンキングが三番手。一進一退、人気の反対をいく事も多いこの馬ですが地力は高いと感じます。距離もマイルに比べれば1400mはずっと良いでしょう。上位争いの一角と見ます。
以下、まず(8)レディブラウン。2~3歳時はホッカイドウや南関の牝馬重賞戦線で存在感十分の走り。昨冬に岩手に転入した後の3連勝にも疑問のない実績です。時計比較ではそれほど優勢に見えませんが少し相手なりというところがある馬。前走のように楽に勝てないまでも上位争いに加わってきそう。(2)ピシュマニエもやや相手なり・展開なりなところがある馬。雨馬場で先行力が活きる馬場になれっていれば存在感が増しそうです。(横川典視)
●12Rの買い目
馬単(4)=(6)、(4)=(5)、(6)=(5)、(4)→(8)、(4)→(2)、(1)=(5)
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