September 28, 2007

酔いどれ詩人になる前に / ベント・ハーメル

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アメリカの偏屈泥酔作家ブコウスキーを描いた作品。
ひたすら破天荒な人生。

この映画を見てブコウスキーのことをカッコいいとか思うヤツ沢山いるんだろうけど、俺はさすがにそこまで思えない。
密かに(声高に?)ステレオタイプの幸せを望んでいる俺ってなんだろう。テヘ。みたいな?

ブコウスキーは、作家としてのプライドがぎりぎりのところで、彼の人生のブレーキの役割を果たしていたんだと思う。

September 01, 2007

天然コケッコー / 山下敦弘


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「ジョゼと虎と魚たち」、「リンダリンダリンダ」が好きな自分にとって、今年もっとも楽しみにしていた映画。
そして、もちろん期待以上だった。


こういう映画を見ると、映画館を抜け出した瞬間から周りの景色の見え方すら変わってくる。
何ていうんだろ。通りを歩く恋人たちの表情とか、ネオンを構成している一つ一つの光の粒とか、
今まで何ともなかったものが、すべて際立ってきて強烈な自己主張を感じるような感覚。
神経は研ぎ澄まされているけど、柔らかいオブラートで包まれていて暖かいような感じ。


ちなみに俺は映画を見た後、一人で飲み屋を3軒はしごしました。


しかし夏帆は本当にいい女優になったね。
三井のリハウスガールから着実に磨かれてる。


脇役でも、廣末哲万演じるシゲちゃんが最高。
祭りのシーンとか、着ている服とかニヤニヤしまくり。
目力のスゴサとか。
この人の演技/監督作品は今後も追い続けます。


くるりの曲も泣かずにはいられません。


August 28, 2007

Headed In The Right Direction / Piranha

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完全にジャケ買い。


どんだけ有り得ないジャケットなんだよ!
着てる服とか。
やる気がないんだか、逆にある過ぎるのか・・・。
このセンス・・・大好きです。


軽いノリのスイートファンク。
今回初CD化でしばらくは幻の作品だったらしい。
気が抜けたホーンセクションがいかにも80年代ソウルを主張していて、ぬるいIsley Brothersって感じ。
でも結構好きかも。


August 27, 2007

blue / 曽我部恵一

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曽我部恵一の声はエロい。
ただ、向かう方向が外じゃなくて内向きなために、それがわかりやすいエロさとして認識されないんだと思う。
みんな騙されるなよー。


で、今回の新譜。
前作のラブシティから半年ちょい。
はやっ!


俺の周囲では、「曽我部自己啓発セミナー説」が浮上するくらい、『STRAWBERRY』以降のここ最近のソロの作品は、サニー・デイ時代と一線を画す"ノリノリ"&"ラブラブ"なバンドサウンドだったわけで、どうも個人的には好きになれなかったんだが(でもこのストロベリーの①~③はマジでサイコーで録音さえ良ければ・・・)、本作は久しぶりの名盤だと思う。


まず、音がいい。
ギターも声も近くで鳴って臨場感がある。
だからといって作りすぎているわけでもなく、一発録りの乱暴さもない。
①からわかりやすい曽我部節が炸裂し、③のハードロックナンバーも下手なUKロックより全然イイ。
ファンが一番期待するそのものの⑦はもちろん、⑧も大好き。


あとは、サニー・デイ時代の「果実」みたいな暗い曲も作ってくれれば言うことなしなんだが、もうそれは言うまい。


しかし、タワーでもHMVでもガンガン流れているし、曽我部も人気出たよなぁ。
法政大学でやったソロ再始動後の初ライブなんて客が30人くらいしかいなかったのに。

August 26, 2007

ミュージックマガジン社 レココレ読者ベスト20

ミュージックマガジン社発行のレコード・コレクターズ2007年5~7月号で話題になった年代別ロック・アルバム・ベスト100の特別企画に応募してみた。


「俺ルール」として、
 ・1アーティスト1アルバム
 ・ライブはなし
を勝手に課した。「えっ?ロックの範疇?」そんなのクソ喰らえ!
で、結果はコレ。


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1. Van Morrison / Moondance


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2. King Crimson / In the Court of Crimson King


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3. Def Leppard / High 'N' Dry


4. The Beatles / The Beatles [White Album]
5. Joni Mitchell / Blue
6. The Band / The Band
7. Aretha Franklin / Lady Soul
8. Pink Floyd / Meddle
9 . Sly & The Family Stone / There's a Riot Goin' on
10. Bob Dylan / Blood on the tracks
11. Linda Hoyle / Pieces of Me
12. Patti Smith / Horses
13. Carol King / Tapestry
14. Neil Young / After the gold rush
15. Iron Maiden / The Number of The Beast
16. Jimi Hendrix / Are you Experienced?
17. AC/DC / Back in Black
18. Laura Nyro / Eli and the Thirteenth Confession
19. The Beach Boys / Pet Sounds
20. The Doors / The Doors


元メタル少年として、某B!誌には申し訳なかったが、ベスト1はVan Morrisonになってしまった。
あ、DOKKENもねーよ。


1位はやる前から自分の中でわかりきっていて、問題はどのアルバムを選ぶかだった。
『Veedon Fleece』と『His Band and the Street Choir』とで大いに迷った。


ポイントは3位のDEF LEPPARD。『Hysteria』や『Pyromania』ならまだしも、『High 'n' Dry』。
何故か何度聴いても飽きない。AC/DCもそうだが、俺はリフに弱いらしい。


プログレも案外少なかったな。
ピンク・フロイドはもちろんこれ。


しかし、何だこの雑食性は?
プログレにメタルにソウル?
熱心なレココレファンには「ザーコ」って言われそうだね。でも気にしないね。
あと、選んでて女性アーティストが好きだって初めてわかった。
ちなみに⑪はマイナーだけど名盤ですよ!


応募締め切りはとっくに終わっているので増刊号の結果を楽しみにしましょう。

August 24, 2007

まほろ駅前多田便利軒 / 三浦しをん

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友人に借りて読んでみた。
とても読みやすくかったが、ストーリーが少し破天荒すぎて、まるで漫画を読んでいるよう。
何でもケリをつけなきゃ気がすまないクソに是非読ませたい小説。
三浦しをん、他の作品も読んでみるか。


表紙もナイスみてーの。


「知ってしまったら、もうもとには戻れない」
   「気がすむまで進むしかないでしょ」
「関係者全員が不幸になってもか」
   「不幸だけど満足ってことはあっても、後悔しながら幸福だということはないと思う。」

August 20, 2007

昼顔 / ルイス・ブニュエル

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女性誰しもが心の奥底に抱えているといわれる娼婦性、それを具現化した映画。
その娼婦を演じるのが、この世の者とは思えない肌の白さを持つ、かのカトリーヌ・ドヌーヴ。


作品の内容そのものについては、あまたある解説書等に譲るとして、この映画はとにかく監督のルイス・ブニュエルが好き勝手にやっている。
ドヌーヴに泥を投げたり、そのまんま脚フェチだったり、個人的には最高に見どころが多い作品。
ブニュエルのサディストぶりは完全には嵌った。
車椅子とかももちろん爆笑。


本作品でブニュエルが着ている衣装はすべてイヴ・サン・ローランが担当しているみたいで、ブニュエルのファッションを見るだけでもまったく飽きない。

August 15, 2007

サイボーグ俺達 / HALCALI

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ヒップホップユニットHALCALIの新譜。
youtubeでPV観て速攻で買いました。


今年一番のヒットかも。
「Look」とかマジで泣けます。
女はこうじゃなきゃ。


「桃源郷」

August 11, 2007

ラザロ / 井土紀州


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格差社会に一石を投じた作品(?)で、怪物マユミ(東 美伽)が大暴れ。


『ラザロ』はあくまで総合タイトル。
実は3部構成になっているのだが、3作品とも「持たざる側の、持つ側に対する復習劇」となっている。


いろいろな意味でハラハラする映画なのだが、特にマユミ演じる東美伽の七変化は必見。
他にもツッコミ所は満載。


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『もう一度、お会いできませんか(棒読み)』

August 10, 2007

不完全な二人 / 諏訪敦信

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冒頭のシーンから普通の映画と違うこととがわかる。
夫婦を乗せてパリ市内を走るタクシーを外から撮っているのだが、丸みを帯びた淡い陽光が反射して車内の様子が判然としない。
このシーンで、「これはフランス映画なんだな」と改めて気を引き締めるのだ。


物語は至極単純。
旧友の結婚式に参加するために遥々リスボンからパリにやって来た夫婦が前日の友人とのディナーで15年の共同生活にピリオドを打つことを不意に打ち明けてしまう。


夫婦の行き違いの原因は映画の中では示されない。
ただ、葛藤する二人の感情が淡々と描かれているだけ。
しかもその葛藤の解釈は視聴サイドに完全に委ねられ、自分の人生経験に重ね合わせることを否応なく強いてくるのだ。


この種の映画は評価が分かれるみたいだが、その評価こそ、本人の人生経験に、何らかの相関を見出せるのではないか、そう思わずにはいられない。