原田ひ香 『定食屋「雑」』 ― 2024/04/18
三上沙也加は突然夫の健太郎から離婚を言い渡された。
夫は仕事のストレスからか、仕事の帰りに公園で酒を飲み始め、そこが禁じられると、近所の定食屋「雑」で定食を食べ、酒を飲むようになって、家ではご飯を食べず、帰りが遅くなっていた。
沙也加は夫のために三食、健康的な手料理を作ってきた。
夫にはご飯はご飯として食べ、その後にナッツとかチーズとかで酒を飲んで欲しかったのだ。
夫は沙也加には俺の気持ちはわからないと言い、家から出て行った。
沙也加は夫が行っていた定食屋「雑」に行ってみた。
店主は七十代の背の低い、樽のような体形の、やる気のなさそうな女性だ。
出てきた生姜焼きは甘い、お菓子のように甘い。肉じゃがも甘い。
ただ、スパゲッティサラダが絶妙だった。
夫は本当にこの店が好きなのだろうか、それとも…。
そうこうしているうちに、お金が心配になる。
派遣会社に常勤で働きたいとお願いしたが、すぐに探せないと言われ、どうしようかと思っていたら、定食屋「雑」の店員急募の張り紙を見つける。
この店で夫が女と出会って浮気をしていたかどうか調べられるし、お金も稼げる。
一石二鳥と考えて、沙也加は働いてみることにする。
女店主・雑色みさえはぞうさんと呼ばれている。
ぞうさんの大雑把さには驚かされたが、やがて二人は信頼し合える仲になっていく。
頑なだった沙也加だったが、定食屋「雑」で働くうちにだんだんと心がほぐれていき、自分の行く末も考えられるようになる。
やがてコロナ禍になり、定食屋「雑」も形態を変えざる得なくなる。
ほとんどがすき焼きのタレの味付けという、おそろしい定食屋「雑」。
でもコロッケは美味しそう。
家庭で作るコロッケってジャガイモの味が濃くて、いいんですよね。
自分では作らないけど、食べたいわ。
から揚げも醤油だけで味付けしているけど、衣がカリカリで中がジューシー。
う~ん、食べたい。
どんなに美味しいフランス料理やイタリア料理を食べても、最後はこういう何の変哲もないお料理に戻りますよね。
原田さん、料理の描き方がホントに上手いです。
それにしても沙也加の旦那はクズ男です。
最初は沙也加のせいかとも思ったのですが、後で離婚の話をする時のことなど読むと、もともと大した男じゃなかったことがわかります。
沙也加も男を見る目がなかったのね。
離婚をいい肥やしとして、これから前向きに、ぞうさんと仲良く、生きていって欲しいです。
お腹が空いている時に読むと、お腹が鳴ってしまうかもしれないので、くれぐれも気をつけてくださいませ、笑。
<この頃のわんこ>
ヨーキーの弟の毛の色が変わりました。
シニア(9歳よ)なので、毛が白くなっていたのですが、見て下さい。
黒くなっています。
ヨーキーの毛の色はいくつまで変わっていくのでしょうかね。
彼は音の出るおもちゃを咥えるとなかなか離しません。
ほっておくと離しますが、片付けようとしておもちゃを拾おうとすると、すぐに咥えます。
遊びだと思っているのでしょうかね。
あさのあつこ 『碧空の音』 ― 2024/04/17
闇医者おゑん秘録帖シリーズの四作目。
おゑんのところにお竹という女がやって来て、子どもを産ませてくれとおゑんに頼んだ。彼女は何かを怖がっていた。
二日後、お竹の陣痛が始まった。
しかし、男の子を産んだ後に、お竹は亡くなる。
子どもはしばらくおゑんのところで育てて、しばらくしてから里子に出されるが、おゑんは躊躇していた。
というのも、前に里子に出した子が亡くなっていたのだ。
夫婦に子ができた頃から邪険に扱われ、近所では虐め殺されたのではないかと噂していた。
子どもたちが幸せに元気に育つために、おゑんは策を練っていた。
そんな頃、吉原の首代・甲三郎がやって来る。
惣名主・川口屋平左衛門がおゑんに来て貰いたいと言っているという。
行ってみると、座敷持ち女郎の桐葉に子を産ませて貰いたいという。
彼女は大店の主人に身請けされることが決まっていて、その主人の子を身籠もっているというのに、産みたくないと自死しようとしたらしい。
おゑんは桐葉を預かることにするが、なんとも不可解な女だ。くるくると人が変わるみたいなのだ。
大店の主人の女房にはなりたいが、頑なに子は産みたくないと言う。
おゑんは桐葉の過去が関係しているのではないかと思い、探ってみることにする。
おゑんは今で言う産婦人科の医師みたいなもんで、彼女のところに主に女性たちは子どもを堕ろしに来ます。
女性はみな堕ろしたいわけではないのです。できれば産みたいのですが、色々なしがらみがあるのです。
そんな彼女たちにおゑんは子を生かすかどうか決めさせます。
今回は子を生かすために、おゑんが頑張る姿が神々しいですね。
何やら陰のある甲三郎がこれからおゑんとどう絡んでいくのか、楽しみです。
彼の過去が気になります。
おゑん同様にとんでもないことが隠されていそうです。
お勧めのシリーズですので、気になったら手に取ってみてください。
①闇医者おゑん秘録帖 (2013年2月)
②闇医師おゑん秘録帖 花冷えて (2016年1月)
③闇医師おゑん秘録帖 残陽の廓 (2023年3月)
④闇医師おゑん秘録帖 碧空の音
中山七里 『ヒポクラテスの悲嘆』 ― 2024/04/15
「ヒポクラテスの誓い」シリーズの五作目。
アメリカの引き籠もりは一千万人、日本は百五十万人。
「一 7040」
ミイラ化した遺体が見つかる。遺体は四十歳の女性で、大学受験に失敗した後、二十年以上も引き籠もっており、両親は引きこもり相談支援センターや民間のNPO団体に相談したという。
亡くなる前、三週間近く部屋に閉じ籠もって一歩も外に出ておらず、様子を見に行った母親が娘の死体を見つけた。
事件性はないと思われたが…。
「二 8050」
新卒で入った会社を辞めてから引き籠もっていた五十歳の男が屋根裏部屋で餓死しているのを八十歳の父親が発見する。
彼は妻が入院治療をするので、三週間泊まりがけで付き添いをしており、食料品は一ヶ月程度買いだめして置いてきたという。
検視官は自分に絶望して餓死を決意したというが、捜査員たちは疑念を抱く。
「三 8070」
浴室の浴槽で男が死亡していた。十歳上の八十歳になる彼の妻はで認知症。
二人はおしどり夫婦で有名だったが、男はホステスに入れあげていたという。
検視官は事故死と見做すが、埼玉県警捜査一課の刑事・古手川は死体が語りたがっていると思う。
「四 9060」
九十二歳になる民生委員をしていた知人の様子がおかしいとの通報が入る。
彼は息子と二人暮らしで、息子は資材会社を辞めてから引き籠もっているという。
自宅を訪れると体調不良で出られないというのに、近隣住人の話では毎日散歩に出かけているという。
古手川が通報者と一緒に自宅に行ってみると、息子がインターフォンに答えて、父は外出しているという。だが、近所の人はついさっき帰宅したばかりだと教えてくれる。
翌日、古手川が朝の散歩途中に話しかけてみると…。
「五 6030」
JR浦和駅東口で通り魔事件が起る。犯人は逃走し、行方は不明。
しかし翌日の朝方、空き店舗で容疑者の男が死体となって発見される。
容疑者は経産省のキャリア官僚の息子で、父親が出頭してくる。
息子はここ十年は仕事もせずに引き籠もっており、先の通り魔事件の犯人に心酔していたようだ。
父親が息子を殺したのか?
埼玉県警捜査一課の刑事・古手川が扱う不審死の遺体を浦和医大法医学教室の光崎教授たちが解剖し、自殺か事故死か他殺かを突きとめていくというシリーズです。
今回はロスジェネ世代(1970年から1984年ごろに生まれた40代から50代前半)の引き籠もりと老老介護がテーマになっています。
古手川刑事の上司、渡瀬警部と浦和医大の助教・栂野真琴の上司の光崎教授の出番がそれほどなく、今回は若手の古手川と栂野の二人がメインで動いています。
テーマが重くて、他人の不幸だとは思えませんでした。
いつ自分に降りかかってくるかわかりませんからね。
最後に意外なことがありますので、お楽しみに。気づいた人、すごいわ!
章のタイトルが何か最初は分からなかったのですが、「8050問題」が出てきてわかりました。
ちなみに「8050問題」とは、若者の引き籠もりが長期化することで、80代の親が50代の子どもの生活を支えるために、経済的にも精神的にも強い負担を請け負うという社会問題のことです。
章のタイトルは登場人物たちの年代を表しているんですね。
面白いシリーズですので、是非読んでみてください。
⑤ヒポクラテスの悲嘆
<今週のおやつ>
素敵な包装のカフェタナカのクッキー。
缶は薄いピンクです。
四種類のうち、わたしはナッツの入ったクッキーが好きです。
公園に行く♡ ― 2024/04/14
晴れたので、朝早く起きて、公園へ!
みなさん、早起きなんですね。わんこたちが沢山お散歩しています。
紫の花が咲いています。
木の葉の緑が綺麗です。
お水を飲ませようとしますが、無視。
弟まで…。
リードに気がつきましたか?
久しぶりの公園でエキサイトしたのか、絡まっています、笑。
二匹を撮ろうとすると、やはり顔を背けますww。
リードが絡まっているので、こんなんになっています。
お兄ちゃんの足元を見て下さい。パパの足を踏んでいます。
パパは気づかなかったようです、笑。
居場所を決めてから、弟がパパといっしょにお散歩に行って帰って来ました。
さて、兄と走りに行きましょうか。
まだ草が茂っていないので、歩き安いです。
早速、走り始めました。
サクラの木があったので、お座りして撮りました。
もう少し近付いた方がよかったですねww。
楽しそうに歩いています。
タンポポが咲いています。
サクラの枝の下で撮りたかったのに…。
「走るの、楽しいなぁ」
飛行機が飛んで行きました。
二匹がパパとお散歩に行きます。
弟はママが気になるのか、こちらを見ています。
弟はいつも舌が出ています。
サクラの下で二匹の写真を撮ろうとしたのですが、無理でした。
これが一番いいものです(恥)。ママはおやつを見せるのを忘れていました。
「ママ、楽しいね」という顔をしている兄です。
連休は公園に来る人が少なそうなので、また来ようね。
八重桜とトリミング ― 2024/04/13
ソメイヨシノが散った後に、今度は八重桜が満開になりました。
隣の白い花はハナミズキでしょうか。次々と花が咲き始めました。
近くのお宅の庭の花が咲き始めています。
桜の次は薔薇と紫陽花かな。
歩いていて見かけた神社にこいのぼりが飾ってあります。
鯉のぼりはいつからいつまで飾っておくかという厳格な決まりはないそうです。
ひな祭りが終わったあたりから五月の連休の終わりぐらいまでという感じですかね。
さて、我が家のわんこたちは月に一回のトリミングに行って来ました。
寒い時は5㎜、暑くなると3㎜の長さに切ります。
兄にボーロをやったのに、見向きもしません。ボーロよりも鳥肉のジャーキーが欲しいみたいです。兄は小さい頃から口が肥えていて、まずいドッグフードは食べませんでした。
兄は人垂らしで、トリマーさんや動物看護師さんたちに気に入られるように振る舞うらしく、「かわいい」とよく言われます。
一方、弟はヤンチャで動き回るので、あまり好かれていないようです。
写真だけ見ると可愛いのにね。(親バカですみません)
ジャーキーを見せると、やる気が出てきたようです。
お兄ちゃん、がっつきすぎ、笑。
弟の側にいることも忘れ、前に出てきました。
兄は食べること、弟は音の鳴るおもちゃで遊ぶことに命を賭けています。
兄はやっと弟が側にいることに気づいたようです。
弟の右の毛が気になります。
小さい頃は懐かなかったヨーキー弟が、この頃兄にライバル心を持ち、兄を押しのけて前に出てくるようになりました。
先に弟をかわいがると兄がヘソを曲げるので、兄を優先していますが、弟は兄ばかりかわいがっているようにみえるのかしら。
フィラリアの検査と健康診断の血液検査をしました。
五月からフィラリアの薬を飲み始めます。
兄は太って3.5㎏、弟は3.3㎏で、兄はこれ以上太れません。
少しダイエットをしましょうかね。
麻見和史 『追憶の彼女 警視庁文書捜査官』 ― 2024/04/12
警視庁文書捜査官シリーズの10作目。
警視庁文書解読班の矢代朋彦は、休日を使って、幼馴染みの水原弘子が七年半前に田端一丁目の階段から落ちて亡くなったという事件を個人的に調べている。
M302という古い機種のフィルムカメラを持っていた男が事件に関係しているという情報があり、矢代はM302を手に入れ、そのカメラを持って事件現場付近を歩き、聞き込みをしている。
矢代がいつものようにカメラを持って歩きながら、カメラ好きの人たちが集まる掲示板を見てみると、田端第二公園のフリーマーケットでM302が出品されているという書き込みがある。
早速行ってみると、まさしくM302。出品していた少女の祖母のものだが、残念ながら、彼女の祖母は七年半前の事件の後すぐに亡くなっていた。
少女の家はあの階段の脇だという。
ボディを確認すると、フィルムが入っていた。
現像してみると、写真が六枚写っていた。
南千住で殺人事件が起き、文書解読班に出動要請が出る。
被害者はフリーランスのデザイナー、皆川延人、三十九歳。
遺体の口は接着剤かなにかで塞がれ、目はスキンステープラーの針で留められていた。
そして見つかったチラシには、血で二文字が書かれていた。
矢代と夏目は鳴海主任の分析をサポートするために、情報収集をすることにする。
翌日、本庁捜査一課から江東区住吉で南千住事件と手口が似ている殺人事件が発生したという連絡が入る。
被害者はコンサルティング会社の社長、桐原哲生。
遺体の喉はハサミで、体は何度もカッターで傷つけられたようだ。
矢代は桐原の顔が田端で買ったカメラのフィルムに写っていた顔であることに気づく。
二件の殺人事件と七年半前の弘子の事件に関わりがあるのか…。
このシリーズも10冊目。予想に反して長く続きますね。
今回は鳴海主任ではなく、倉庫番の矢代が主人公です。
生きていたら、もしかしたら結婚していたかもしれないと思われる彼女のために、矢代、頑張ります。
今回は文書解読がそれほど役に立っているようには思えません。(いつもだったっけ?)
血文字の件では、詳しくは書きませんが、わたしの読みの方が正しかったようです。
事件を解決するには、聞きこみが大事なんだと思いますよ、笑。
主人公が矢代の方が落ち着いた雰囲気で、わたしは気に入りました。
鳴海は…。
次は是非とも夏目に活躍してもらいたいです。
「枯れ葉」を観る ― 2024/04/11
フィンランドの映画監督アキ・カウリスマキによるフィンランド映画。
アンサはゼロ時間雇用契約でヘルシンキのスーパーで働いている孤独な女性。
警備員は従業員が賞味期限切れの商品をゴミ漁りに来た人にあげたり、持って帰っていないか見張っている。
ある晩、アンサは同僚のリーサと一緒にカラオケバーに行き、ホラッパとフオタリと出会う。
フオタリはリーサを口説こうとするが、アンサとホラッパは言葉を交さなかった。
ある日、アンサが賞味期限切れの商品を持ち帰っているのがバレ、スーパーを首になる。
上司の理不尽なやり方に頭に来た同僚の二人も辞める。
しかし、働かないと、お金がない。
そのためパブの皿洗いをするが、給料日にオーナーが麻薬の売買で警察に捕まってしまう。
そこに通りかかったのがホラッパ。
彼はアンサをコーヒーに誘い、パンをご馳走し、映画に行く。
映画の後、アンサは電話番号を書いて渡すが、ホラッパは紙をなくしてしまう。
ホラッパはサンドブラスト職人で、アル中。
酒瓶を作業場に隠しておき、仕事中に飲んでいる。
週末になってもどこにも行かず、漫画を読んだり、酒を飲んだりして過ごしている。
カラオケバーに行ったのは、同僚のフオタリに誘われたからだ。
ホラッパはアンサに電話をしようにも電話番号をなくしたためできず、アンサは電話を待ち続ける。
ホラッパは映画館にアンサが来ないかと、毎晩前まで行く。
とうとうホラッパは仕事中に怪我をして飲酒がバレ、首になり、住む所もなくなる。
そんな頃、二人は映画館の前で再会し、アンサはホラッパを食事に招く。
食事が終わり、こそっとジャンパーから酒を取りだし、酒を飲むホラッパ。
アンサはホラッパの飲酒を見て、「アル中はゴメンよ」とホラッパに言う。
彼女の父と兄は酒に溺れて死に、母親は嘆いた末に亡くなったのだ。
ホラッパは「指示されるのはゴメンだ」と言って出ていく。
ホラッパは新しい仕事を手に入れるが、また仕事中の飲酒がバレて首になる。
アンサは工場の職を得る。
工場に来ていた犬が殺処分されると聞き、アンサはその犬を飼うことにする。
ホラッパは仕事を首になってから、益々酒に溺れるようになる。
しかし、ある日、酒をシンクに捨て、酒を断つ決心をする。
そして、アンサに電話をする。
アンサは「すぐに来て」と答えるが…。
実はこの映画、益田ミリさんの「今日の人生」で紹介してあったので気になり、観に行きました。
最初は、暗いヘルシンキと救いようのない孤独な男女が出てきて、陰鬱な気持ちになりました。
どう考えても、二人が幸せになれそうもないのですもの。
アンサが犬を飼うことにした時も、食べるのに苦労しているのに、何も犬を飼うこともないのにと思いました。
それに仕事は体力勝負の汚れ仕事で、か弱い彼女が体を壊さないかと心配になるものです。
でも人はかけがいのない存在ができると強くなれるものです。
彼女にとって、犬がそういう存在なんでしょうね。
なんと犬の名が「チャップリン」ww。映画の最後にわかります。映画を観る予定の人は楽しみにして、剥がして見ないで下さいね。
この犬は監督の愛犬、ライカ君だそうです。
そういえば、フィンランドの病院は犬を病室に連れて行くのはOKなんでしょうか?
映画で気になったのが、二人が観た映画と歌う二人組の若い女性。
二人でわざわざ「デッド・ドント・ダイ」というゾンビ映画なんか観ますかね。
二人組の女性はこんな感じです。
姉妹シンセ・ポップ・デュオのマウステテュトットって言うんですって。
「マウステテュトット」ってフィンランド語って「スパイス・ガールズ」。
映画で歌うのが、「悲しみに生まれ、失望を身にまとう(Synthnyt suruun ja
puettu pettymyksin)」という曲です。
puettu pettymyksin)」という曲です。
とても印象的な二人と歌声なんですが、歌詞を見ると、暗いんですよぉ。
フィンランドにいったら二人のCDでも買ってこようかしら。
映画の中ではアンサが皿とカトラリーを一人分買うところと、その後、ゴミ箱に捨てる場面が印象的でした。
映画が進むにつれ、二人が幸せになって欲しいという思いが強くなってきました。
このままなら、ラジオが告げるように、希望のない、絶望的な世界になってしまいます。
せめて、ささやかな幸せを二人に、と願わずにはいられなくなりました。
色彩の感じられない毎日が、ちょっとの明るさが加わった未来へと続いて行くという、そういう感じが最後にしたので、救われました。
色々と監督のこだわりが垣間見られる、心にジーンとくる映画です。
「枯れ葉」予告編
坂木司 『うまいダッツ』 ― 2024/04/10
明治天皇荻窪御小休所。雨で桜が散っています。
井の頭恩賜公園の桜も盛りを過ぎました。
桜が咲く前には人が沢山来ていたのに、終わるとすぐにいつもの姿に戻ります。
しゃれた大型犬がお散歩していました。
とある高校では、生徒全員が必ず何かの部に所属しないといけない。
「何もしたくない人」用の抽選のないクラブといえば、『喫茶部』だ。
高校一年のライトオカルト野郎のアラタと鉄オタのコウ、アニメと声優オタクのタキタ、家が空手道場というでかいセラの四人は、『喫茶部』で出会い、ジャンクなスナック菓子が好きだという好みが合ったため、つるむようになった。まぁ『喫茶部』の中の『おやつ部』って感じ。
活動はというと、ぶっちゃけて言うと、駄菓子を食べておしゃべりしているだけ。
そんな彼らが出会った謎とは…。
うまいダッツ
「うまい棒一本で、世界の秘密がわかるらしい」という噂がクラスで流れた。
興味を持った四人はショッピングモールへ未来の予言をするというおっさん探しに行く。
おっさんとは一体誰なのか?
チロル・ア・リトル
コウはおばあちゃんに呼ばれた。家のどこかに落としたブローチを探して欲しいらしい。
セラが唐突に一緒に探したいと言い出し、四人でおばあちゃんちに行くことになる。
コウを呼んだおばあちゃんの隠された意図は?
バカみたいにウケない
三年のテラウエ先輩からおやつ部にインスタライブのお菓子クイズに参加するので、勝つために協力してくれと頼まれる。
勝敗は?そしてテラウエ先輩の真の目的は?
それは王朝の
タキタに今週の日曜日にモールで開かれる声優のミニライブに付き合ってくれと頼まれる。SNSで出会った同じ声優推しのサノイという子と会いたくないのだが、向こうが近付いて来ては嫌みを言うそうな。
彼女はタキタの何が気に入らないのか?
百年の愛
四人は二年生になり、三人の新一年生が『喫茶部』に入ってくる。
先輩になったはいいが、四人は憂鬱。というのも、一年が真面目すぎで、お菓子を食べている四人を冷たい目で見ているようなのだ。
おやつ部が研究しに今週末モールに行くと聞くと、一年も行っていいかと言い出す。
モールを七人で歩いていると、「無料でおいしい和菓子を食べたくない?」と話しかけられる。『茶道教室の無料体験』に人が来ないので、要するにサクラになって欲しいというのだ。
果たして彼らはちゃんとお茶を飲めるのか?
可愛い(おばさんからしたら高校生は可愛いのよww)高校生たちがいいです。
今の高校生ってこんな感じでしゃべっているのでしょうかね。
わたしは高校生よりもおばあちゃんに近い年齢ですから、コウのおばあちゃんのことは身に染みました。
出てくるヘルパーみたいに老人を子ども扱いしたり、『困ったおばあちゃん』扱いする人は多そうです。そうされるのは嫌ですわ。
自分も年を取るんですよ。その時に同じようにされたら、どう思うんでしょうね。
ライトな感じの高校生ミステリですので、どなたでも楽しめると思います。
出てくるおやつはみんなが知っているものばかり。
適当に書き出しましたが、さて、あなたはいくつ食べたことがありますか?
「キャベツ太郎、うまい棒、菊水堂のポテチ、ビックカツ、いかフライ、餅太郎、おやつカルパス、チロルチョコ、おにぎりせんべい、アポロ、ロアンヌ、ヴェルタースオリジナル、ポテロング、なげわ、チョコボール、ボールチョコ、カントリーマアム芋ようかん、ハッピーターン、ばかうけ、シルベーヌ、マリービスケット」
わたしは21個中11個。少ないかな。
<今日のおやつ>
駄菓子にすればよかったのですが、美味しそうだったので、たねやの柏餅三種類とよもぎ餅を買いました。
堂場瞬一 『共謀捜査』 ― 2024/04/08
「検証捜査」シリーズの六作目で、最終巻です。
警察庁のキャリア官僚、永井はフランス東部の町、リヨンにある「ICPO(国際刑事警察機構)」本部に出向している。
国境を越えて暗躍する犯罪組織と対峙するための新しい組織、「ICIB(国際犯罪組織捜査局)」の発足準備に従事しているのだ。
ある日、永井はアパルトマンに帰ろうと自転車に乗っていた時に、後ろから来た車にぶつかられ、意識を失う。
保井凛はICPOの同僚であるアンドレ・クレマンからの電話で、永井が何者かに拉致されたことを知る。
すぐにメールで身代金の要求がある。
ICIBの設立を妨害するための犯行か?
ICIBの設立を妨害するための犯行か?
永井との因縁のあるロシアン・マフィア、ブランの宣戦布告なのか?
凛はリヨン署と協力して永井の行方を追うことになる。
一方、東京の警視庁捜査一課の神谷警部補は本庁の浦部官房長から呼び出される。
かつて神奈川県警の不祥事を調べた時、捜査線上に上がったが、逮捕も書類送検もされず、懲戒処分を受け、県警を辞めた松﨑泰之が、警視庁の管内で殺された。
この件に例の神奈川県警の事件が影響を及ぼしている疑いがあるので、その背景を探ってほしいというのだ。
浦部に呼ばれたのは、神谷の他にあの時のメンバーの神奈川県警捜査一課の刑事、桜内省吾と福岡県警の皆川慶一郎。(ちなみに大阪府警の島村保は定年退職をしている)
特命捜査チームが再度集結し、捜査を開始する。
やがてフランスと日本の二つの事件が繋がり、意外な真相が暴かれるが…。
フランスからスイスへとスケールが大きくなるのかと期待したのですが、それほどではなくて、ちょっと残念でした。
そうそう、フランスの警察のことが書いてありました。
日本のような「中央官庁と地方組織」に分れていなくて、「地方の警察組織は全て、中央官庁の当該部署の直属だから、中央の情報が地方でも即座に共有される」そうです。
堂場さん、書きすぎです。
「神奈川県警は、内輪の人間を庇うために平気で冤罪事件を起こすような連中だ」とか、「職員の質が悪い」のは「一説にはうち(警視庁)の試験を落ちた連中が向こうへ行くーー警視庁の滑り止めだ、なんて言われているけど、実際にミスや不祥事が多いのは間違いない」なんて書いてあるんですよ。
神奈川県警から訴えられませんかねww。
『時限捜査』で島村さんがいい上司だと書きましたけど、今回も退職しているにも関わらず活躍してくれました。
そうだろうなと思ったのが、『複合捜査』の主役、NESUの班長・若林が一ヶ月前に急死したということです。
彼の性格と生活態度ではそうなるでしょうね。ご冥福をお祈りします。
あとがきに書いてありましたが、堂場さんは「○○捜査」を「シリーズ」とは認めていないそうです。
全てが『検証捜査』のスピンオフ作品とのことですが、作者なりのこだわりなんでしょうねぇ。
海外にまで進出したわりにスケールが小さいと書きましたが、コロナ禍になってしまい、取材出張ができなかったそうです。
仕方がないのかもしれませんが、最後が…という方が多いでしょう。
フランスとスイスに行けてたら、もっとすごいものが読めたかもww。
最後まで読んだので、読んだらいい順番を載せておきます。
①検証捜査 (2013年集英社文庫)
複合捜査 (2014年集英社文庫)
共犯捜査 (2016年集英社文庫)
時限捜査 (2017年集英社文庫)
⑤凍結捜査 (2019年集英社文庫)
⑥共謀捜査 (2020年集英社文庫)
『複合捜査』と『共犯捜査』、『時限捜査』の3つはスピンオフですから、順番はどうでもいいです。
『凍結捜査』と『共謀捜査』は続けて最後に読むといいでしょう。
わたしみたいに『凍結捜査』を先に読むのはお勧めしませんわ、笑。
中島京子 『うらはぐさ風土記』 ― 2024/04/07
田ノ岡沙希は30年ぶりに日本に帰って来た。
カリフォルニア州の私立大学で日本語を教えていたが、日本語科が閉鎖されてしまった上に夫のバートの浮気がわかり、どうしようかと思っていた時に、母校の女子大から二年間の仕事のオファーが来たのだ。
とりあえず武蔵野の一角のうらはぐさ地区にある伯父の家に住ませてもらい、母校に通勤することにする。
そこで出会ったのが、伯父の家の庭の手入れを無料でしてくれている秋葉原さんとその妻の刺し子姫、不思議な敬語を使う、国際文化研究科一年生の亀田マサミことマーシーと彼女の友だちで人文科学研究科の水原鳩ことパティ、大学の同僚で日本近現代史専攻の非常勤講師、来栖先生とパートナーでリサーチ会社を経営している猿渡くん、あけび野第三小学校の校長、車谷武蔵など、多彩な人たちだ。
沙希はうらはぐさ地区に暮らすうちに、あけび野商店街のところに、道路拡張計画があることを知る。
商店街がなくなるのかと不安に思う沙希。
そこに元夫のバートが現れる。
コロナ禍を沙希がこう思っています。
「あんがい、コロナというのは、呼吸器官にはりついて肺炎を引き起こすばかりではなく、どこか人の弱い部分や無意識の部分に入り込んでその本質を露呈させるような、奇妙なウィルスだったりするのだろうか」
淡々とした日常が描かれ、これと言った出来事はないけれど、そこに生きる人たちがとても愛おしく思えるお話です。
武蔵野にある女子大と言うと、あそこかと思って中島さんの経歴を見ると、そうでした。商店街というとたぶん、あそこね。
そこがこのお話のようなところであるとは思いませんが、なんとなくそうあってもいいなぁと思えます。
武蔵野を知っていると、より面白く読むことができるでしょう。
別に知らなくてもいいんですけど、笑。
<今週のおやつ>
La nature Kのクッキー缶です。
胃の具合があまりよくないので、あまり食べられません。(食べるのかよ・笑)
無添加、白砂糖不使用と、材料を吟味しているらしいです。
チョコチップ、サブレココ、ガレット、ごまサブレの4種類です。
きび糖は意外と甘いんですね。
ここのプリンが美味しいというので、いつか食べに行きたいと思います。
最近のコメント