東昇(岡田将生)は大企業の経営者である義理の両親を崖の上から突き落として殺害した。完全犯罪のはずだったが、3人の少年少女がその現場を偶然撮影していた。その少年少女たち、安室朝陽(羽村仁成)、上間夏月(星乃あんな)、上間浩(前出耀志)は、それぞれ複雑な問題を抱えていた。そこから抜け出す為、3人は東を脅迫して大金を手に入れようと計画する。原作は紫金陳(ズー・ジンチェン)の小説『悪童たち』、監督は金子修介。
原作は中国では大ヒット、日本でも結構売れて、中国ではドラマ化もされた。その舞台を日本に置き換えて日本で実写映画化したのが本作。これが予想以上に原作に忠実でミステリ映画としてとても面白かった。もちろん舞台の置き換えや設定のアレンジ等改変している部分はあるのだが、かなりうまくいっていると思う。何より舞台を沖縄にしたのが正解だったと思う。地域経済の構造のいびつさや、そのいびつさにも起因する貧困が末端にある家庭内、特に女性にとって何を持ち込んでくるかという描写が、それほど深く掘ってくるわけではないのだが子供たちの行動の動機の一部として活きてくる。
一方で東ははっきりとサイコパス設定なので、その対比も面白い。更に2者の関係が敵対関係に留まるものではないというツイストが生む奇妙な味わいがある。映画としての組み立てや語り口は特にトリッキーなわけではなく、むしろオーソドックスなのだが、所々でこの奇妙な味がじわじわ染みてくるのだ。東を演じる岡田の演技もいい。どこか心のない人間の演技が抜群に上手くて、キレのよさに笑ってしまう。また羽村、星野、前出も好演で役柄にとてもはまっていた。本作、宣伝上は岡田の主演作のように見えるが、実際は彼らの主演代表作になっていくんだろうと思わせられた。
本作、原作との最も大きな違いはラストの落とし方だろう。大人はこれをやらないといけないのだという監督・脚本からのアンサーであるように思った。