時間と場のあいだにはいつも、幕が下りてくるという世界に住むひとたちの話。
……をしたのかもしれない。
インタビューと言われて、わたしとガオリュウさんの間には、この日、雑談(?)モードから、「インタビュー」モードに切り替わるスイッチが入ったんですよね、たしかに。決して普段からひとにインタビューされたり、したりしていることが本職ではない(いや、ガオリュウさんはある意味本職ですが)のに、そういうスイッチは、何故か、ある。
このとき私とガオリュウさんには、おそらくに、「(わたしがおこすはずの)活字になったやりとり」が見えていた、気がします。
今回、わたしの before / after はこうでした。
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before 相手の印象
やさしい、少し臆病だから勉強をされている、たくさんのひとにあっている、もがいている、芯は頑固?
after 相手の印象
良い意味での小賢しい(by.逃げ恥じ)の呪いの仲間だ!(笑)おもったより日々揺れていて、ぶれている自分を見ながら倫理的に動いているひとだ、ここも仲間(笑)
before いまの気持ち
自分の浅はかさは、どこでバレるかな……何か持って帰ってもらえることがあるんだろうか。
after いまの気持ち
何か役にたったのかな? 言葉選びを恐れなくても、伝わるとわかっている相手な気がしていて、よかったなあ。
before 対話とは?
本当に対話ってキャッチボールなんだろうか?ドッヂボールなんだろうか? 人って対話のどこで安らいでいるの?距離は?難しいもの。
after 対話とは?
アウトプットして整理する人たちにとっては、その人達のための「ツール」でもあるな。対話が結果ではなくて、結果を出すための経過に必要なもの。
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ひとって誰しもが、飾ったりごまかしたり、常に100%で相手に向き合ってばかりではないと思うけれど、対話って、そこにいつも100%を求められている気がするんです。でも、嘘だとかごまかしだとか、見栄ではなくて、ただただ、自分の考えを整理したい、自分を守りたい、自分と相手の距離をきちんときちんと見定めたい、そういうふうに対話を、ある意味「おそれている」私がいて、100%で相手に臨んでいるけれど、それはスイッチを入れなければできない100%。スイッチを切ったら、そのあとの自分は、未だ何処に要るのかも、対話ができる自分であるのかもわからない。自分でもわからない怪獣のような、そういうものがひそんでいるのかもしれないし、すでに自分にはりついた影のように、本当はスイッチオフの自分なんていないかもしれない。
なんだか、いつでも舞台の上の自分を、そうじゃない、こうじゃない、ここはもっとこう動いて! ってじれったく見ているような自分が、もぞもぞしている。
誰かと対話するって、自分自身とも対話しているってことだと思う。そういう自分を言語化 する機会になりました。ああ、支離滅裂……。自分自分って、伝え方を間違えると自己中になってしまうだけですが、いいえ、ある意味自己中なのですが、でも、ただただ、自分探し迷子なだけかもしれない、そんな大人二人の会になった気がします。
そんなわけで、実際のやりとりを、ご覧ください……はじまり、はじまり。
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2016/01/26
今回は、関満徳さんと神戸和佳子さんの、ファシリテーターズ・インタビュー。
まずは今回も、速記的にメモをした、対談そのままのまとめを。
録音の書き起こしではないので、発言者の混同や、あるいは会話の補足部分において、何らかの認識の齟齬があった場合には、文責はわたし個人にあることを書き添えておきたい。
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(遅刻して入室。おそらく関さんのファシリテーション術について、「非ITの神戸さんに、難しいIT用語を使わずに説明する」という制約があるようです)
神戸さん:
テーマをあげて……それで結果が出なかったようなことはないんですか?
たとえば、この、関さんが設定された穴の、途中途中で落ちていくというか。
そういうときはどうするんですか?
関さん:
5分とか、そういう、時間時間で……タイムセクションを、区切りをつけてあげて。
神戸さん:
スモールステップをつくってあげるというのは、良いファシリテーションですね、ということを。
関さん:
うん、そうですね、参加者が体験できるようにする、という。
神戸さん:
(大きな壁のあるケースのイラストをさしながら)
簡単には超えられない壁があるときには、たとえばそれを避けるとか、少しずつ崩してから行きましょうということを教えるわけですよね、なるほど……。
こことか、ここ(ひとつずつのステップの到着地それぞれを順にさして)次々、次の到着地が決まっていくわけですよね。
それって、どんなメンバーにもどんな状況でも、きちんと嵌まるファシリテーションって、あるんですか?
関さん:
(困った顔で笑って)
無いと思います。
そんなメンバーでも、どんな状況でもっていうのは無いから……だから全体を細かく見ていって、ファシリテーターの負荷ってだからすごく高い。
テーブルを分けてグループを創って、それぞれのグループを見て……(聴取者の法を見ながら)喧嘩しだすテーブルっていうのもあるんですよ、ね(笑)
神戸さん:
(笑)
関さん:
例えばですけど、ゲスい話をすると、学生さんと、自腹きって来た社会人を一緒のテーブルにすると高い確率で喧嘩になる。会社のお金出来たモチベーションの低いひとと、自腹で来たモチベーションの高いひとと一緒にすると、激論が起こったり殴り合いが始まるんですよ(笑)
ね、(聴衆者を見ながら)本人がいるんで、その状況とてもわかりやすいと思うんですけど(笑)
だから自分で開催するとき、ファシリテーターをするときに、あらかじめそこを考えておいて、心構えというか、しておかないと、穴に嵌る可能性は高い。
神戸さん:
たとえばですけど、10人とか20人? とかがいて。
関さん:
うん、60人とかですね、私がやってるのは。
神戸さん:
その60人はみんな、(障害や落とし穴のある、スタートとゴールのイラストをさして)ジャンプ力が違うわけですよね。ゴールまで飛べる……1人のひとは3回に分けて飛んで、辿り着くかもしれないし、1人のひとは、1回で飛ぶかもしれないし。
そうすると、このスモールステップの数って、(ひとの数だけあって)無限になってしまうかもしれないんですけど。
それを、どうやって、おなじゴールに辿り着かせていくかっていうところが知りたいんですけれども。
関さん:
はい。
えっと、わたしがワークショップをデザインするときに、分け方にしている方法があって。
まず2つあって、思考の発散と、思考の収束という、何かを出したりまとめたりっていう、それぞれの行為をする時間、タイムボックスをつくって。
神戸さん:
その、思考の発散と、思考の収束の具体例をください(笑)
関さん:
たとえば、ひとつの言葉から思いつく言葉をたくさん出してくださいとか、バット出していくのが発散、こどもむけのワークショップとかでやりますよね、
それで、今度はそれグループわけしてくださいとか、まとめてくださいとか、いくつかあるなかから、選んでくださいとかが収束。
神戸さん:
それをそれぞれいっぺんに行うのは大変なので、それぞれ分けて行うと、そういうことですね。そうすると、時間内に、スモールステップを進んで、まとまる……。
他には有りますか?
関さん:
自分が体験したりとか、過去の経験とかからぽんぽん出てくるようなものと、そうではないもの、あの、ぐぐったりしないとわからないような、そういうものではなくて。
それを分けて。
神戸さん:
普段から自分で考えていることとかで、すぐぱっと出てくることと、普段ぜんぜん考えていなくて、出てこないものとかは、分けていくんですね。
関さん:
他にもあるんですけど、まず発散と収束で分けて、そういうふうにアウトプットを分けていくとすると、それを出すために今度はおおきいものを削ぎ落として、逆に選択肢を出していったり、たとえば9つ一気に書かないといけないとかグループのなかでたくさん出してもらってまとめたりとか。
神戸さん:
ゴールに向かうまでに一直線でいいとき、調整しながら進まないといけないときで、ワークを分ける?
関さん:
シンプルに単線的な場合と、やっぱり複数のときとは(分ける)。
神戸さん:
そもそも、どうして、そういうことを人々に伝えるというか、実践しようと思ったんですか? なにかきっかけとかはありますか?
関さん:
もともとITに入ったのが、ひとの役に立つものを世に出したい、自分で作りたいと思って。それで、プログラムを書いてつくっていって、でも、プログラムを書いていただけでは、世の中は変えられないので、それでいま、方法とか、考え方、思考の仕方とかをやってる。
神戸さん:
プログラマさんの、お仕事の考え方がよくわからないんですけど、お客様から、つくってー、といわれて、はい、できましたという仕事、っていうふうに考えていていいですか?
関さん:
そうですね。
神戸さん:
そうすると、うまくつくったり、早く作れるということはあるかもしれないけれど、そのお客様のためにはなったかもしれないけれど、その先々に……世の中の何になったのかという実感がない……?(という感じでしょうか)
関さん:
そう。
神戸さん:
うん(頷いて、)で、
関さん:
で?(ちょっと困ったふうに笑いながら)
神戸さん:
その次のステップというのは、どういう感じですか?
関さん:
(うーんという顔で笑う)
非IT向けに。
神戸さん:
非IT向けに(笑)
わたしが(関さんに)インタビューをやるというのはこういうことですよー(聴衆席の高柳さんに向かって)
わたしの責任じゃないですよ。ね、高柳さーん(笑)
高柳さん:
大丈夫です、いいです、最高です!(笑)
普段はなすことばで話すと、わかったようでわかってなかったりするからね。
得意ですからね、IT業界、そういうの(笑)
わかったと言ったものがわかってなかったり、わからないままだけどわかった気にさせる(笑)
聴衆:
(笑)
神戸さん:
それで、つくったものに疑問を抱かれて、それで、次に?
関さん:
えーっと、距離感の話をします。
(ホワイトボードにひとのイラストを描く)
つくりたいひと(青)と…。つくれるひとね(黒)。
パワーバランスの話をするとすると、こう……
1. 作りたいひと————-作れるひと。
で、こういうの創ってー、といって、できたよー、と……。
まあこれはほんとに、丸投げだと思うのですけど、この二人でやってうまくいくことって実はあんまりなくて。
ここに(作りたいひとと作れるひとの真ん中に、もう1人描く)もう1人登場人物がいるんですね。
どうやったら実現できるか、仕組みを考えるひとが(いる)
で、ちょっと話が変わっていって、(ホワイトボードに続きで)
2. 作れるひとに、作りたいひとが話す言葉を持っていなかったときって、こんなことやりたいなーって、……そうしたら、こう作ればいいよって。
作りたいひと——–真ん中のひと——–作れるひと
で、こんなことやりたーい、といって……そしたらこう作ればいいよ、とこう、(伝えて)、できたよーとなる。
3. そもそも、何やればいいかわからないっていうひとがいたときに、何かこう、もやっとしているおのがあって、
神戸さん:
何か不便なんだよねーとか
関さん:
そうそう、そしたらこの(真ん中をさして)おせっかいモードのひとが、パワーモードのひとがね居たとして、そのひとが一緒に、何創ったらいいかを考えてあげる。それで、作ってーってこう(右に矢印を引いて)できたよーとなる。
ITの世界でいうと、iPhoneアプリとかAndroidアプリとか、こう、たとえば主婦が家計簿アプリ作りたいッて思って、(1を指す)こんなのつくってー、できたよーって配信する、
それか、(2をさして)主婦のひとが扱いたいものってこういうものだなって思、どんなふうにしたらいいかわかんないっていうときに、じゃあ、こういうデータを入れていくといいよねってことを(真ん中のひとが)言って、できたよと。
でも、3.は主婦が何に困っているのかもそもそもわからない、
で(真ん中をさして)そうしたら、駅で主婦がね、こども抱えて困っているときがあるから、エレベータとかエスカレータのある検索結果とかね、乗り換えで、そういう検索結果を出したらいいよねとか、ルート案内を結果に出そうとか、そういうふうに(言って作ってもらう)
乱暴に、こういうふうに分けるとすると、最初は(自分は)1をやっていました。社会人になって、4~5年くらい。そのあとは2をやってました。
社会人9年めくらい?
転職をする前までくらいなので。
最近は3をやっています。そういう感じです。
神戸さん:
よくわかりました。
で、これをやられるようになられて、(関さんにとっては)ファシリテーションって、どういう感じなんでしょうか。
関さん:
3のところで、一緒に考える……何をしたらいいのかがわからない時に、誰が何に困っているのかって考えるとか、どういう未来があったらうれしいのかとか、どういうシーンで、どういう困ったを洗い出せばいいのとか。そういうことを。どういう機能があったらいいとか、どう実現したらいいかとか、業務フローをどうするかとか、実地検証の仕方とか。
(作りたいひとと真ん中、作れるひとのポイントポイントに、緑の丸を描きながら)この辺りに立ち戻って考えるやり方とか、1のひとなら(作れるひとに対して)いきなり作るんじゃなくて、プロトタイプ作って、で、作って欲しいひととか使う人の反応を見る機会があるといいとか(を一緒に考える)
ワークショップとしては、1の最後、2の真ん中、3の最初で発生したり、そこに戻ったりしていく(工程の)ワークをしてる。
この、緑の枠のところは、だいたいやってる。
神戸さん:
難しいのは、やっぱり3番だと思うのですが、1はやっぱり、やりたいことがわかっていて、ゴールもわかっているので、実現するための道筋がこう、何個かあって、そこに向かうためのやり方とかを考えていくっていう、だからやりやすいと思うのですけど。
3っていう、不満があって、でももやもやしてるというか、何が不満かわからない? あるいは、その不満自体にも本人が気がついていなかったり、そういうところでは、なにをやるんですか?
関さん:
この3の緑の原点は、2つにわかれるっていうのがあって。
既存の手段? それにかわる代替手段があって、その代替手段として、未来の手段を作るやり方と、今はない新しいシーンを想像して、そのシーンで使う仕組みを考えて新しいものを作るっていうことと。
最近は、そのシーンの開発問いうものに取り組んでいるコンサルタントというものもいて、だからきみは「どっちをやりたいんだ」とか。
神戸さん:
後者の(新しいシーンを想像してという)ほうがよくわからないんですけど、あ、企業秘密だったらいいんですけど(笑)
ちょろっと(例を)出せたら…。
なんだか、それって、誰も不満じゃないのに、不満を出させている気がするんですよ
関さん:
(笑)
神戸さん:
今じゃない未来とか、今無い未来を考えるっていうことですよね。
でも、人間の想像力は無限大っていうけど、でもそんなことはなくて、人間の考えうる限界って決まっていて、でもそれって実現不可能だったり、あの、タイムマシンとか。(笑)
それから実現可能だったら、誰かがもう進めているものだったり、社会的発展にそれって結びつかないものじゃないかなって思うのですけど、でも、3でやっていることはすごく意味のあることだと思うので、それって1人で考えたり? そういう(ひとに)何をしているのかなっていう。
関さん:
これって2種類あるんですよ。
(緑の丸をさして、AとBの枠を描く)
A:既存の代替手段(代わる手段の発見)
B:新しいシーンの開発
Aは学術界からヒントを得て、そこで出た方法とか、理論とかテクニックとか、技術とかを使ったらどういう未来ができるのかとか、そういうことから始まる。
これはだいたいが国家予算をかけていたりとか、産学連携みたいな形で、新しく作った技術を産学連携で企業さんが持って行くとか、だいたいこのケースで。
まあ、金の鳴る木なので……これがひとつめ。これは王道ですね。これをやりたいひとたちは、近い未来像を持っているところを探して、お金をかけてやっていけばいい、そこに入って。
ふたつめは、Bは、掛け算っていうのがあって。でもこれは難しいので、だからまずはBの場合は、年表、過去を洗い出して、年鑑とか年表とか、そういう、日本史とか世界史にはありますよね、こう、ここが変わり目だと、世界の変化のタイミングみたいなことが。
神戸さん:
産業革命とかですね。
関さん:
そう、図書館にある、みたいなそういうものを洗い出していって、そこから考えていく。
みっつめは、これから困りそうなこととか、日々疑問に感じながら生活をしていて、ある日はっとこれだ! っていうのを待つ道かな。
神戸さん:
仮説……今までなかったの仮説とかから出来るものを考える、次が過去の事例や世界が変わった事例を学ぶ、それから日常に隠れている小さな不満を拾い上げる。
おもしろいですね、うん、これはとても有効な感じがします。おもしろーい!
3つめは、哲学者的にはよくやっていることなので、でも、1つめは無いですね。
やっぱり、新しい技術みたいなものが、文系ではあんまり出来てこないので。
2つめは、歴史を学ぶと出てくるかもとは思うのですが、2つめの難しそうだなと思うのは、違うファクターがいっぱいある、時代も違うし、生きているひとも違うし、国際情勢も違うし……それを現代に置き換えるというのは、さっき掛け算っておっしゃっていたんですけど、現代に置き換えるっていうのは、よくわからない……。
関さん:
おそらくポイントを絞らないと、たとえば、人間が何かにかける時間を短くしたっていうことを見つけて、そのテクノロジーを見つける。でもこれって1人のひとがやるには時間も足りないし、時間自体もかかるし、そういうのって疲れるし、やってる間に人生が終わってる気もする(笑)
そういうことが、出来るっていうのは、たぶんそこ(問題)の近い職業を持っている人かなと、ある歴史について学術的に詳しい、その歴史をすべて言えるいたいなひと、そういうひとが、作れるって言うひとのところに行って(作る)。全然興味のないところに、いきなり殴りこんで(笑)いったとしても、たぶんそういうことは出来ない。
神戸さん:
あの、この話もそうですし、関さんってお話がすごくクリアで、関さんに来るお客様も、(作りたいものが)できそうだなって思うと思うんですけど、わたしも、おおって思ってて、それで今日お家に帰るけど、じゃあ明日ひとをよんで、これをやろうとするとたぶん出来ないと思うんですよ(笑)
本当にできるようになるっていうのは、こういう(考え方?)ことと別な工夫やテクニックが要ると思うけど、整理して伝えるっていうこと以外に、
お客様に伝えることとか……関さんが居なくても、このステップを組んで、自分で進んでいくことのできるようになるように(しないといけない)。
うん、「知る」と「出来る」の橋は、どうやってかけるんですか。
関さん:
(考える顔でお水をゆっくりと飲む)
聞くひとの姿勢というか、まあ、聞く姿勢も……あるんですけど。
えっと、教育学的には、知識と経験って分けていて。
知識っていうのは文字通り、本を読んだりいとか人から得た情報を、知らなかった世界に対して知っている自分になるということ。
だから高校受験とか大学受験とかは知識のテストばっかりですよね。
でも、社会人になると急に変わって、
別に全部の選択肢が正解で、どれ選んでもいいけど、なんでそれを選んだの
か明確にしてねっていう根拠を求められる業務が非常に多くて、
その判断を求められる、判断ができる自分になるためには、自分で経験して、やってみたことが、やってみた結果こうなったという事例を知っていてl、それを自分の言葉で話せて、自分の経験の代替にするというのがだいたいで。
神戸さんがうんうんっていう、それは知識として入ってきただけですよね。
代替手段にするところまではたどり着いていない、だからわからなくなっちゃう。
神戸さん:
(頷く)
関さん:
だとすると、小さい目標を立ててそこに辿り着いてもらうとか、ややってみてもらうしかない。場数を踏むというか、ひたすらやるだけやった結果。でもその結果は誰からもFBをもらわない、自分でひたすら書き出して自分で見て自分で考えて、やって満足するだけ、自己満足。
だからそのままだと正しいかどうかとかはわからない。自分のなかにそれが眠っているだけ。
でも複数人で、アウトプットしたものを、FBをもらって経験にするという方法もある。
前者はガリ勉さんというか、引きこもりさん。いくらそこに人生の半分の時間をかけていても、それは経験にはならない。
後者は、誰かしらから、たとえば漫画家だったら家族にでも読んでもらうとか、それで誰かにFBをもらって、それを反映したりすると経験になる。
質問の話にすると、聞いただけではダメで、できるようになるにはどうしたらいいか。それは3ステップ。
聞いて終わるだけにするということ、
自分のなかで疑似体験化するステップにすること、
FBをもらって、改善して、そこまでやるっていう、その3段階。
自分はどこまで知識を目指したいかは、聞くときに自分で選べるはず。知っただけでいいとか、仕事で給料を上げたいなら聞いて経験しないといけないとか。
神戸さん:
学ぶっていう段階もありつつ、60人とか居て、一緒にワークをやってみるというなかの場で、練習をシてみて擬似的な経験をしてみて、さらに経験にしてそれを身につけるまで持っていくということですよね。
関さん:
そうですね。月に何回かはやっていて、(この会場にも)来てもらっています。
神戸さん:
お客様だったひとがいるんですね。
関さん:
3分の1くらいそうかな……。
神戸さん:
今すぐ何かを身に着けたいんだっていうひとと、まあ聞ければいいやっていうひとがくると、喧嘩になって、
関さん:
そうです(笑)
1のタイプと3のタイプで一緒にすると喧嘩になる(笑)
神戸さん:
1のひとは1のひと、3のひとは3のひとでテーブルをつくって、ほしいものが違うと喧嘩になるけど、一緒だとうまくいくんだっていうことですね。
ところで、これは関係ないんですけど、話していて質問をすると、これは「5のポイントが」あって、とか「3種類」あってとか、
そう言うのが面白いなと。
体系とか枠組みは、はじめから総整理して理解されているんですか?
説明の時に手法としてわかりやすいからそうしているんですか?
関さん:
その時考えてしゃべっています、。
だから次聞くと、違うこと言ってるときもあります(笑)
神戸さん:
3つとか9つとか言ってましたけど、そういうお話のされ方をするのは何故ですか。
関さん:
答えは1つしかないです(笑)
聞く姿勢っていうのもあって、スピードラーニングのようにシャワーのように言葉を浴びて聞くとか、
自分のなかで体系化しなくていい、とりあえず身体の機能を鍛えるための訓練、音を聞くとか耳になれるとか、そういうのと、過去の経験の中で自分の気づいていることと、それぞれマッピングしたり経験を整理したいという聞くっていうことと。
後者をやろうとすると、がーってたとえば4つのことを喋っていると、(聞く側が)整理できない。
パニックになって(できない)
その瞬間、聞くのをやめたりとか、モチベーションが下がる。
後者をやろうとするときに、連続で違う話を一気にやるのは、暴挙だと思っていて。
じゃあ、何個の話をしようとしているのか、最初に宣言しておけば、すくなくともぐしゃぐしゃにはならない。
神戸さん:
ノートもとりやすいんだろうなと(笑)
聞く人が整理しなければ、体験しないということですね。
すぐ出来るようになりましたか?
関さん:
簡単です。
「2つ話します」って、言うだけ。(笑)
神戸さん:
なるほど(笑)
関さん:
やってみたけど、3つめがなかったら、3つめは自分で考えてくださいって言えばいいんです(笑)
神戸さん:
今日から出来るテクニックですね(笑)
関さん:
これを教えてくれたのは前職のマネージャ。
話したいことがいっぱいあるのに、お前は幾つ話そうとしているんだって毎回注意されていて、そのマネージャはお客様と話すとき、必ず何個はなすのか
言ってた。それを真似した。それを取り入れたのがはじめで……4年前くらい。
神戸さん:
聞くほうが、どのくらい時間がかかるとか、あとこのくらいくるぞっていう心構えができるんですね。
逆に聞き役になるときに、
話がよくわからないひとっているじゃないですか。向こうがシャワーのように、よくわからない情報をがーって言ってくる場合、作りたいひとの立場からはよくいると思うんです。
もやっとしているけれど、なにがもやっとしているかわからない、よくわからないなりに、話し始めるとあっちいったりこっちいったりして。
関さん:
だから真ん中のひとで、それを整理しながら、落とし込みながら聞いてあげないといけない。問いなおして、話しているひとに、自分が整理できるようにしてあげたい。
手ぶらで聞かないといけないときと、情報カードとペンを持っているときとでやり方がずいぶん変わる。わたしはいつもこういうもの(情報カード)を持ち歩くようにしていて、飲み屋でもすぐ取り出して書けるようにしたりとか、話が発散してきたら、キーワードを書いて並べていって、話が戻ってきたら書き足して、
カードワークをする。で、このなかで一番重要なものはどれって聞く。
神戸さん:
(ペンなどが)使えないときは?
関さん:
使えない時は傾聴とかアクティブリスニングの技術をうまく駆使するしかなくて。
良い聞き手になるための学術的方法が、ここ数年でいくつも確立されていて、傾聴だと相手に興味を持つとか、相槌とか頷くとか、繰り返し言う、言い換える、プラスワンのことを加えて繰り返すとか。
ある程度までの段階にきたときに、整理するという段階が生まれるので、この話はあとでまた聞きましょうと分断したり、後回しとか、切り捨てたりとか。
ファシリテーターのときは、アクティブリスニングの手法を紹介してから、今日のワークをやってもらうということとかがよくある。
神戸さん:
なるほど。
(わたしと)真逆だなと思うのは、話していてまとまっていなくてもいいですよとか、まとめないで話していいですよとか(言います)
メモも、取らないでくださいという感じなので……。3つありますとかも言わないし、カードとかも使ってもいいとは思っているけれど、使うgときとは違うことをしたいから、使わないし、目標も決まってないし、どっちにいってもいいよと、時間も切らないし……1回しかやらない、繰り返すこともないです。そうするとできるようになった
という感覚が、だいぶ違うんだろうなと。
そういう、ご自身でできるようになったことでもいいけれど、そういうことをしてきて、役に立ちたかったと言っていましたけど、変化が、何か、ありますか。
関さん:
ファシリテーター側から? 聞き手側?
神戸さん:
ご自身が。
関さん:
ファシリテーター側ですね。
神戸さん:
ご自身が変わった、何かを得た、というのものは?
自分の活動によって、自分に何が起きているかという実感があるか。
関さん:
あんまり実感はないですね。
感想を聞くか指摘をもらうかほめてもらうか……実感はあまりない、お給料が上がるわけでもないし(笑)
神戸さん:
そうすると、活動を継続したり、発展させていくモチベーションってなんですか。
関さん:
大別すると2つで(笑)
1つは本業の給料を上げる。
コンサルティング、ファシリテーションを業務外の時間で経験値を上げる。
本当はそれを、自分でお金を払って塾にいったり、コーチについたりしてやるものなんでしょうけど。
それを、自分のやりたいタイミングで、やりたいひとにきてもらって、それでお金ももらえるという、それは全然違う。
ギターを習ったりヨガを習うのと同じ感覚で、コンサルの技法を失敗パタンを見て学ぶとか、こういうことをすると失敗するから、お客様にはやめておこうとか。
そういう(習い事と)のと同じなので。
自分が必要ならいつでも開催できるというのはとても大きくて、仕事とは何も関係ない数100人のひとたちとchannelが作れるとか、
そういう世界を自分でコントロールできている、自分が楽しいし、自分が特別感がある。で、モチベ^ションが上がる。
神戸さん:
経験をして、FBを得る。自分で体験して、自分で学ぶ場を自分で作れる。そういうことをしているひとって他にいるのかな……。
自分でお金を稼ぎたいから事業化するとかじゃなくて、自分でやってみようっていうひとはあんまりいないと思うけど、自分で最初からそう思って始めたんですか?
あとから振り返るとそう思ったんですか?
関さん:
うーん……。自分で主催は、始めたのは5年前。
そのときは自分が学びたかったテーマが、日本でやっているのは、年間に2
回とかしかなかったから。
わたしはもっとこの分野とかテーマについて興味もっているひとと会いたいし、議論したいし話したり整理したい、仕事に活かしたい。でもそういう場は無いから、自分で作ったというのが一番最初。
神戸さん:
今日、参加者のみなさんからも、こういうことが聞きたいですとか、質問をいただいてというか(関さんから)まとめたものを送ってもらったけど、わたしからは聞かないです。
なぜなら、その問いは、そのひとがそれを聞きたいというひとの背景とか、いろいろあって聞きたいんだと思うので、それをわたしが聞いても、同じ内容でも違うものになって、あとでちょっと違うとなると思っているので。
だから直接の質疑の時間を長くとりたいと思っているんです。
だから、では、最後の問いです(笑)
ファシリテーターはどこにいますか?
ここにいます以外で……いや、ここにいますでもいいんですけど、どこにいますかって、どこにいるのかな……よくわからないけど。
関さん:
どこにいるんですかね(笑)
神戸さん:
どこにいるんですかね(笑)
場所で探すのは難しそうですね。
関さん:
こういうことが出来るひとをさがす……
(聴衆席から誰々は、という声が飛ぶ)
関さん:
うーん……
誰々さんだって、外に出始めたのは去年出し……僕がやれやれっていって、出て行けっていって自分で生み出したというか、できそうな人を見つけてるっていうか(笑)
職業がらできそうなひとを見つけて、させたりしようとしたり、
ここにもいますけど(笑)
(聴衆のかたを指す)
神戸さん:
質問を変えましょう。
オンリーワンということなので……じゃあ、ファシリテーターがどこにもいないのは何故ですか。
関さん:
なんで、(ファシリテーターに)ならないんだろう……他にやりたいことがいっぱいあるんじゃないですかね。
神戸さん:
やりたいことが……でもこれってやりたいことをやるための方法なので、
やりたいことがいくらあっても、やりたいことと一緒にやるものじゃないですか?
関さん:
やりたいことを自分でやるための場を作りたいひと……作れるひととか。緑のひと(と1~3のパターンのイラストをさして)とかは、自分でやらなくてもいいです、サポーター的な、こう、尻に火をつけて燃やす的な(笑)、そういうポジションが楽しくなるような人種。俺がやりたいっていうひとは、緑のひとじゃなくて、作りたいひとになると思うんですよ。
神戸さん:
関さんは、青のひと(作りたいひと)にはならないんですか。
関さん:
これからなります。もともと青になりたかった、でも自分が人生かけてこのビジネスやっていきたいってものが見つからなかった。じゃあ見つかるまでは、やりたいことのあるひとの支援に回って、見つかったらスーパースタートダッシュを決めようと思って、みどりのひとになった。
だからそういうひとを見つければいいのかも。
神戸さん:
何かの途中にいたり、何かと何かを結びつけることが楽しいと思う人?
やっぱりわからないのが、そこに情熱を感じる理由は、なんですか?
これが楽しいとか、これをやっていることに生きがいを感じるとか、理由……
関さん:
僕は教えるのがすきだった。小学生のときはずっと弟に教えていたし。学生のときは調理番をやっていて、ずっと後輩に教えていた。多分自分が教えているのはもうずっと……7歳くらいから何かしら教え続けている人生だから。そこから教育学に進学もしているし。
神戸さん:
どこにいるか、は、おしえることがすきなひとをさがすですかね。
2016/01/18
ドラッカーといえば、近年、「もしドラ」という小説や漫画、ドラマでご存知の方も増えた、経済界の偉大なコンサルタント。
実は我が家にも、父か叔父の蔵書として幾つか著作が残っていたけれど、お恥ずかしながら、現時点でわたしが読了しているのは、それこそ話題の「もしドラ」のみである。
今回自社の事業本部長が受講されて感銘を受けたということで、小宮コンサルタンツのドラッカーを専門とされる経済・マーケティング・コンサルタント 村瀬氏のマーケティング講座を受講することになった。
まず、少し面白おかしく書くとすれば、第一の感想は、「あ、これ、●●ゼミでやったやつだ!」というところ。
すべて知っていたということではなくて、この考え方はもしかして……という、閃きのヒントとなる土台が、自分のなかにかろうじて薄っすらとできているのだなということ。
講師の村瀬氏は、「右脳」のタイプだと自称された。この業界では珍しく、理屈ではなく感覚で伝えるタイプなのだと仰る。ジャズ・ピアノもセミプロだということだったが、そのためではないかと自己分析をされていた。右脳タイプ、ちょうど年末に受けた、「脳活学講座」と、その際に読了した「どんどん脳を使う ~左脳・右脳×2次元・3次元 4領域を鍛えあげて 明日の仕事を変える方法~」が、脳内でぴこぴこと点滅。
では、マーケティング、つまり顧客分析を含む商戦、市場解析ということはいったいどういうことか、といえば、それは「お客さま視点に立つ」ということに他ならない、とドラッカーは言っている(と村瀬氏は主張された)。
この、「お客さま視点(市場)」は、どこにあるのか、というとそれは、「向い合ってコミュニケーションを取ることではなく、お客さまの横に並んで見る」ということ。
これは、Microsoft テクノロジーセンター センター長である澤さんが、昨年2015年06月に、CLR/H with Windows女子部のコミュニティ勉強会でまさにそのまま仰っていたこと、そのものだ。
村瀬氏は実際にわたしたちの席の側に立ち、くるりと先ほどまでご自身が立っていた場所に対峙する格好になった。そうして、
「たとえば今、わたしが提供するサービスを、わたしがみなさまの視点で見ますと、ホワイトボードの文字が掠れていて、後ろの方には見づらいな、だとか、スクリーンに映したデスクトップ画面にポップアップアラートが出ているな、などと、みなさまの方を向いていた時には気が付かなかったことに気が付きますね」と仰った。受けているサービスをリアルタイムで「お客さま視点」で解説してくださるので、おそらく全員具体的なイメージを描いて、【横に並ぶ】ことの意味が理解できただろう。この説明をリアルタイムでおこなってくださったこと自体が、右脳タイプとして、「マーケティング」を見える化して提示してくださった、ということではないかと思う。この運びは、とても興味深かった。
また、販売を、企業視点として、「これ、いいですよ、買いませんか」と提示する方法と、「何にお困りですか、そういうことならこういうものがありますよ」とお客さまに添って提示する方法、この視点の違いは、Microsoft エバンジェリストである西脇さんのエバンジェリスト講座でご教示いただいた、「3種の視点(主観的な視点、神様の視点、お客様側の視点」に繋がる。
おかしいな、と思うこと、普段と違うな、と思う変化。
これはマーケティングを徹底する機会であり、ドラッカーの言葉を借りるならば、
「お客さまのことは複雑すぎて、お客さまにしかわからない」という、いつでも機会はお客様視点から生まれるということを意識して、常に気づくためのアンテナを研ぎ澄ませておかねばならないという観点になる。
では、この「気付き」、つまり自分たちの常識を超えて、お客さまの視点や認識と擦りあわせていくこと、これはWindows女子部で何度も学んだ、「要件定義」で繰り返し考えてきたことで、こうして次々に点が線になる瞬間は、とても楽しい。
そして、同時に、これだけ繰り返し学びながらも、気を抜けばするりと掌からこぼしてしまうのが人間で、改めて意識すれば記憶の底にも、こころの底にも、それは確かにあるのに、いつしか残滓だけになっていることに気がつくことになるのだと自戒する。常に、日々ひとは反芻し、反復し、そうして身に付けるのだ。行動も、思考も。覚えていると思っていても、薄れていることに気がつく。そういうことも含めて、いろいろな自分の意識の散漫さを痛感した研修となった。
ちなみに、最も基本的な質問として、ドラッカーの多数ある著書のなかで、講師の村瀬氏が最もお勧めする著作を伺ったところ、やはり「マネジメント」ということだったので、欲張らずにまずはきちんと、近日中に読了したい、所存。
仮想敵を作る、というのは、チームを作る上で効果的であり、なおかつ最も手軽で、最もよろしくない手段である、とわたしは思っている。
敵は何でも良い。低賃金に対する怒りでも良いし、チームの中の生け贄が出る場合もあるだろう。上司であることも多いだろうし、クライアントや、なかなか改善されない環境やサービス、自分自身である場合もある。憎まれ役を買って出る上司、というケースもあった。
チームの結束は強まり、プライドや、あるいは侮蔑の気持ちから生まれる向上心というものもそこにはあるが、結局のところ解散するとそこで終わり、また、あるいは対象に実態が無いというだけのいじめと同義ではあるので、次に自分が対象となるのではというこ
ころを生む種となる。結局のところ恐怖政治にちかいとも言えるだろう。そしてこれは、意図をしてつくられた仮想敵よりも、意図せずして作られた仮想敵によるチーム形成というものが、結果として多くある、ということも言えると思っている。
そんな経験が続き、仮想敵から抜け出したい、とわたしは思うようになった。
チームを作る、ということについて、人数の多い場所で働き、徐々に管理の側に近づくにつれ、それは常に意識してきた。そのなかで出会ったことばが、「ファシリテーション」だった。このアドベントカレンダーにお誘いをくださった、@gaoryu さんとの出会いによる。
「ファシリテーター」あるいは「ファシリテーション」ということばを紐解くと、何らかの結論を出すべき、あるいは何らかの方向性を出すべき場において、合意形成や相互理解をサポートし、「リーダーシップに近い、またはリーダーシップ能力の1つ」としての記述があるようだ。
「チーム」ではなく、「場」を作る。
わたしが求めているのは、果たしてこれではないだろうか、と思うようになり、
@gaoryuさんを始め、ひとのまえに立つ人たち、そしてその人たちのあつまる場に赴いてじっと見ていると、「場」は面白いほどに動きが見えるようになった(気がした)。
いままではひとが発する言葉のその先を、軌跡を追っていたけれど、そのひとのバックグラウンド、そのときの状況、発言者が同じでも受け止め手が異なる場合の空気の変化、そういったものをフォローしていくひとと、導くひとと、それからついていくひと、壊すひと。
集合の空気とは、ヒトに依存するのではなくて、その「場」に依存する場合も多いのだ、ということをわたしは感じるようになった。
そういう視点でこのアドベントカレンダーの記事を読んでいくと、それぞれに、ひとの思う@「ファシリテーション」術があり、「ファシリテーター」観がある。誰しもがファシリテーターには成り得るが、ファシリテーションは誰でも出来るという易いものでもない。
つまりリーダーになりたいんでしょう、と言う人もいるだろうと思うけれど、前述のように、定義としても、また、役割としても、リーダーシップを取ることはできるが、取ることが目的ではないので、ファシリテーターとリーダーはイコールではない。包括している、という言い方が近い。
目的地は、ファシリテーター本人にも見えないこともある。けれど、ファシリテーションを意識してその場に立つひとたちは、慌てず、溺れず、掴むべき藁の浮いた影や、耳を澄ませば聞こえてくるあぶくのようなつぶやきを拾い、一瞬一瞬のベストと、見える道がつながっているのかを見定めていく。書きながら、ルービックキューブを組み立てるのに似ているのかもしれない、とふと思った。どの色を揃えていくか見定めながら、すこしずつキューブを回す。気づけば1面、2面と色は揃ってゆく。順番の決まりはない。ただ、最後に、6面揃ってそこに置かれるのだ。
わたしは、ファシリテーターになりたいのかと言われると、首を傾げることしか未だ出来ない。けれどファシリテーションを学びたい、という気持ちは膨らみつつあり、また、この御縁を機に、すこしずつ、ファシリテーションの世界を見ているひとたちの話を伺う機会を得始めた。わたしはファシリテーターではないし、未だその世界のスタートラインにも立ってすら居ないが、そのラインの向こうには何人かのファシリテーターたちの姿が見える。彼らは決して、向こうだけを向いているのではない。背中を見せながら、時折こちらを確かめるように振り向く。
わたしの、ひとに対してのキーワードは、長いこと、この、「振り向く」ということばだった。先に行ってもいい、遅れてもいい、誰かが振り向いた時に、自分がそこに居るということ、手を振り返すことができる、ということ。ファシリテーターたちと出会ってから、逆に、その場で誰かがこちらを振り向いている、と感じる。わたしたちは進んでいける。置いていかれないとわかることができる。わたしたちは、ここに居るのだ、と感じる。それはいつか、その場への貢献を意識することに繋がり、何かを生むだろう。
ファシリテーションの定義を、そしてファシリテーターの意義を、わたしが正確に理解しているかどうかはわからない。
ただ、わたしはこうして、出会ってきたファシリテーターたちの背中を見ながら、このスタートラインに立てるだろうかと、この頃考えているのである。
先月末、「プロっぽくなる部」という集いに参加してきました。
いえ、特にひとまえでしゃべる予定というものは無いのですが、最近自分の話しかたが雑になってきたなという気持ちがあること、それからやはり、仕事柄ひとまえでは無いものの、話す機会の多い仕事なので、話すならば綺麗に話したい、という欲がなくはない、というちょっと消極的なような、積極性があるような……という理由(?)による参加です。
そんな及び腰での参加でしたが、参加してみて良かった! 楽しかった! そして、実践的なワザを身につけた!(気がする!)
「プロっぽくなる部」は、フリーMCをされている丸山久美子さんが先生として、トーク術のアレコレを教えてくださる場です。この「なる部」とは別に、講座形式の機会もあるとのこと。ぜひまた行ってみようと思った次第です。
http://s.ameblo.jp/maruyamakumiko/
有償で、丸山先生がテクニックを磨くためのとある秘法を伝授される場になりますので、内容と秘法については非公開となりますが、さすが人前でお話しされるプロ! 空気は和らぎ、テクニックは心に沁みて、初対面同士でもすっかり寛ぎ、帰路は和気藹々とした空気になるほどの、楽しい部活動でした。
そして、後日談めいた余談ですが、この日参加された1名の方から、こんな台詞が。
「確か先日、河合先生のプレゼンテーション講座に参加されていましたよね……?」
http://www.kokuchpro.com/event/7ec9637a1ac2ec38ee2a1e8b00e5e758/
ハイ、河合浩之先生の、「PowerPoint 都市伝説」に参加して、1分間自己紹介プレゼンテーションをして、審査員の皆様から素敵アドバイスを多々いただいた5名のうちの1人がわたしですね……めっちゃ人前でしゃべってる機会がありますやん……?
(実はこの時、突発的に決まった4名の審査員の方の1人が丸山先生で、後日その場では時間的に伝えられなかったアドバイスまで丁寧にメッセージくださったことに感激して、なる部に参加した、という経緯もあったのです)
人前で話す、というのは、プレゼンテーションの内容や資料そのものはもちろん、身体動作も、口調も、滑舌や声の大小、姿勢に至るまで、まさに全身全霊をかけたひとつの舞台のようなものです。
特に、自分の場合は、臨機応変に話すことを求められる場にいることが多いので、アナウンサー講座のような話し方とは、すこし求めているものが異なります。
今回の丸山先生の「なる部」は、その部分にぴたっとハマるので、期間をおいて反芻したうえで、2度、3度と受けたい講座でした。
丸山先生、ありがとうございました!