格闘技徒然草

MMAを中心とした格闘技情報&観戦ブログ

UFC on ESPN55:メインイベント・マテウス・ニコラウ vs. アレックス・ペレス

フライ級5分5R。ニコラウ5位、ペレス8位。

ニコラウはUFCフライ級廃止騒動の際に一度リリース(それまでの戦績は3勝1敗)。復帰戦の相手は今回対戦予定だったマネル・ケイプで、ケイプは初戦トップランカーで現王者のアレクサンドル・パントーハと対戦し判定負けした後、13日前に緊急の代役としてニコラウ戦が決まった。僅差判定でニコラウが勝利。納得できないケイプとの再戦が3年を経てようやく実現したが、1月の試合はケイプの体重オーバーで消滅。今回仕切り直しで組まれたが、今度はケイプの負傷欠場で、結局流れた。柔術黒帯だが、再契約後はテイクダウンを狙う場面が減って、距離を取ってのアウトボクシングでポイントアウトを狙いつつ、詰めてきた相手にカウンターを入れるスタイルになってきている。1月のケイプ戦が流れたため、前戦からのブランクが1年以上空いてしまった。31歳。

ケイプの代役で出場が決まったペレスは、2020年にフィゲイレードのタイトルに挑戦し1Rギロチンで一本負け、1年8ヶ月のブランク明けで後の王者パントーハと対戦したが、こちらも1Rチョークで一本負け。そこからさらに1年半のブランクが開き、先月超新星ムハンマドモカエフと対戦。モカエフのタックルを切って凌ぐ展開で、明確に攻めさせはしなかったものの、攻めに転じるところまではいけずに判定負け。試合間隔が長いが、その間にも何度か試合が決まったものの、直前で流れるというパターンが続いていた。先月のモカエフ戦からの2ヶ月連続出場は、UFC契約してから最短のインターバルとなる。高校までレスリングをしており、高校卒業後にMMAを始めた。32歳。

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UFC on ESPN55:セミファイナル・ライアン・スパン vs. ボグダン・グスコフ

ライトヘビー級。スパン11位、グスコフはランク外。

スパンはUFCデビューから7勝4敗だが、直近2戦で連敗中。その前の試合は勝っているが計量失敗。長いリーチからの打撃と、組み付かれたところに仕掛けるギロチンが武器。前戦はかつて敗れているアンソニー・スミスとの再戦だったが、1,2Rを分け合った後の3R目で両者見合いから単発の打撃を入れ合うだけの消極的な展開のまま終わってしまい、スプリット判定負けしている。32歳。

ウズベキスタンのグスコフはまだUFC1勝1敗。もともとコンテンダーシリーズに出場予定だったが、昨年9月に欠場選手の代役としていきなりランキング9位のヴォルカン・オーズデミア相手にUFCデビュー。しかし開始早々にカーフキックを効かされ、パンチでダウンを奪われてチョークで一本負け。2月の2戦目はTUF準優勝の元NFLプレイヤー・ザック・パウガ戦で、またカーフを蹴られたが、今度はパンチでダウンを奪って1RKO勝ち。しかしパウガもUFC1勝2敗で、この選手に勝ったからといってランカーに挑戦できるというレベルではなく、なぜ組まれたのか謎。15勝のうち、13KO・2一本勝ちで全フィニッシュ。31歳。

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UFC on ESPN55:第11試合・アリアネ・ダ・シウバ vs. カリーニ・シウバ

女子フライ級ブラジリアン対決。アリアネ12位、シウバ13位。

アリアネ・リプスキ改めアリアネ・ダ・シウバはムエタイバックボーンのストライカー。しかしグラウンドには穴があり、なかなか勝ち星が伸びず。UFCデビューから10戦で5勝5敗とランク外で勝ったり負けたりしていたが、前戦ではランカーのケイシー・オニールを打撃の手数で上回り、2Rにパンチを効かせると、パウンドから腕十字で一本勝ちし、ランキング入りを果たした。30歳。

カリーニ・シウバは女子ながら17勝すべてがフィニッシュ勝利。UFCデビューからも3試合連続の1R一本勝ち。前戦は元ランカーで、ローカル時代に対戦して敗れているマリナ・モロズとの再戦。1Rにパンチでダウンを奪い、立たれたがタックルからテイクダウン→パスガード→ギロチンで1R残り1秒でのタップアウト勝利。ランカーとの対戦はないが、3連勝でランキング入りした。30歳。

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UFC on ESPN55:第10試合・オーステン・レーン vs. ジョナタ・ディニス

ヘビー級。

元アメフト選手でNFLにも所属していたことのあるレーン。アメフト引退後、27歳でMMAを始め、コンテンダーシリーズでは同じNFL出身でもトップ選手のグレッグ・ハーディと対戦し秒殺KO負け。しかしその後もMMAを続け、2度目のコンテンダーシリーズで1RKO勝ちしてUFC契約を決めた。昨年6月のUFCデビュー戦は地元フロリダでジュニア・タファと対戦したが、わずか29秒でアイポークを入れてしまいノーコンテスト。9月に今度はタファの地元で再戦が組まれたが、パンチでダウンを奪われパウンドで1RKO負け。2試合トータル1分51秒でまだ未勝利だが、またメインカードで組まれている。12勝のうち11KO・1一本勝ち。36歳。

ブラジルのディニスはキックボクサーで、2012年の大晦日に日本で行われたGLORYのヘビー級トーナメントにも出場している(一回戦敗退)。GLORYとの契約終了後もロシアやブラジルでキックの試合を続け、キック戦績はl22勝7敗。2022年、30歳でMMAでデビュー。5試合連続1RKO勝ちすると、昨年9月にコンテンダーシリーズ出場。そこでも1RKO勝ちしてUFCとの契約を決めた。しかし一度もグラウンドの展開にならなかったので、寝技の実力は未知数。32歳。

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UFC on ESPN55:第9試合・ジョナサン・ピアース vs. デビッド・オナマ

フェザー級

JSPことピアースは、UFCデビュー戦がライト級でジョー・ローゾンに1RKO負け。しかしフェザーに落とした2戦目からは5連勝で、元ランカーのダレン・エルキンスにも勝利。昨年11月の前戦は3連勝中のジョアンダーソン・ブリートと対戦し、ケージ際でテイクダウンを狙ったところでブリートのニンジャチョークに捕まって一本負け。フェザー級で初黒星を喫した。レスリングがバックボーンで、高校時代州2位の実績がある。31歳。

ウガンダ初のUFCファイター・オナマはUFC3勝2敗。スイッチを繰り返してカーフキックなどの打撃を打ち込むストライカーだが、グラウンドにはやや穴がある。前戦はUFC0勝1敗のガブリエル・サントスにテイクダウンを取られたところから凌ぎ、2Rにクリンチアッパーを入れてKO勝ち。キャリア11勝はすべてフィニッシュ勝利(7KO・4一本勝ち)。29歳、

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UFC on ESPN55:第8試合・ティム・ミーンズ vs. ウロシュ・メディチ

ウェルター級。

ミーンズはMMAキャリア20年で50戦している大ベテラン。UFCはデビューから12年目で、ここまで15勝12敗1NCとやや勝ち越し。昨年まで3連敗していたが、前戦は3連敗中のアンドレ・フィアリョ戦で、3RKO勝ちして連敗を止めている。キャリア20KOのストライカー。ウェルターではマイク・ブラウン43歳、スティーブン・トンプソン41歳に次ぐ年長の40歳。

メディチは元キックボクサーで、長身ストライカー。母国セルビアではK-1王者になっている。柔道のバックボーンもある。ローカル5戦全勝でコンテンダーシリーズに出場、そこでも勝利してUFCと契約。UFCではすでに6戦して4勝2敗。もうキャリアの半分以上がUFCでの試合になっている。ここまでは勝っても負けてもすべてフィニッシュ決着。31歳。

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UFC on ESPN55:第7試合・ハニ・ヤヒーラ vs. ビクター・ヘンリー

バンタム級。日本で7試合しているヤヒーラ vs. 12試合しているヘンリー。

ヤヒーラはキャリア41戦で28勝中KO勝ちゼロ、一本勝ちが21回ある生粋の柔術家。一本勝ちの多さに反して、UFCからの評価は低く、ランキングに入っていたこともあるのに21戦中18回がプレリム送り。近年は負傷欠場もあり、21年1試合、22年0試合、23年1試合と試合ペースが落ちている。前戦は同じランカー目前ポジションのモンテル・ジャクソンとの対戦で、1Rにパンチでダウンを喫しパウンドでKO負け。13年前、WECでのジョセフ・ベナビデス戦以来となるフィニッシュ負けを喫した。オッズは前回に続いて大幅なアンダードッグとなっている。39歳。

元DEEPバンタム級王者ヘンリー。代役でのUFCデビュー戦でいきなり中堅のハオーニ・バルセロスに勝ったが、次戦ではベテランのハファエル・アスンサオに判定負け。勝ち越し・負け越しの分かれ目となる3戦目は、UFC4勝3敗のトニー・グレーブリー相手に3Rフルに動き続ける試合となり、接戦を制してスプリット判定勝ち。前戦はアブダビで行われたバシャラート兄との対戦。無敗のバシャラート兄弟相手にオッズでは大差でアンダードッグの厳しい試合だったが、2Rにローブローをもらい、タマがサツマイモくらい腫れて続行不能となりノーコンテストに。こういった場合、多くは決着戦が組まれるが、両者とも別の相手との対戦に(なお、バシャラートは先月エイマン・ザハビと対戦しMMA初黒星を喫している)。UFCキャリア13年のヤヒーラに対し、ヘンリーはまだ2年だが、年齢は来週37歳となり、あまり差がない。

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UFC on ESPN55:第6試合・オースティン・ハバード vs. ミハウ・フィグラク

ライト級。

昨年のTUFライト級ファイナリストハバード。ベテラン vs. プロスペクトがテーマのTUFだったが、決勝に進出した全員がベテランチーム。ハバードも2019~21年にUFCに参戦して3勝4敗の成績を残していた。バックボーンはレスリング。カート・ホロボーとのTUF決勝戦では打撃で圧され、最後はマウントをケージを蹴って返そうとしたところで裏十字→三角と切り替えられタップアウト負け。32歳。

ポーランド生まれ・イギリス在住のフィグラクはローカル8戦全勝でUFCと契約し、昨年9月のパリ大会でデビュー。UFC2勝2敗のファレス・ジアム相手に前評判ではフェイバリットだったが、打撃で押されてタックルも切られる展開でジリ貧。ガードからの腕十字で惜しい場面もあったものの、防がれて判定負けしている。27歳。

オッズではフィグラクがフェイバリット。

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UFC on ESPN55:第5試合・ドンテイル・メイエス vs. カイオ・マシャド

ヘビー級。

メイエスはUFC3勝4敗1NCと負け越しているが、昨年6月に元王者のアンドレイ・アルロフスキーを2RKOで下し、11月の前戦でランカー(15位)のホドリゴ・ナシメントと対戦。2Rまで打撃で押されて、中盤以降はスタミナが切れ、お見合いの展開が増えて大ブーイングの内容で判定負け。バックボーンは柔道。身長はセミ前に登場するオーステン・レーンと同じ198cmで、現UFC3位タイ。32歳。

ブラジルのマシャドは昨年8月のコンテンダーシリーズで勝利しUFCと契約。11月のデビュー戦はUFC1勝0敗のミック・パーキン相手にやや押し気味の内容だったが判定負け。とはいえスピードがなく、いかにもヘビー級の下の方といった選手。バックボーンは11歳から始めた柔術。29歳。

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UFC on ESPN55:第4試合・マーニック・マン vs. ケトレン・ソウザ

女子ストロー級

マンはコンテンダーシリーズで敗れてUFCとの契約がならなかったが、昨年9月に欠場選手の代役としてUFCデビュー。2週間前のオファーでほぼ減量しか出来ない状況で戦い、元K-1ファイターのヨセフィン・ノットソン相手に1人が30-24をつけるほど圧倒された上での判定負け。今回はフルキャンプで準備万端での出場となる。UFC最小タイの152cm。31歳。

ソウザもUFCデビュー戦で敗れてからの2戦目。Invictaフライ級王座決定戦で勝利してUFCと契約したが、メインカードに登場するカリーニ・シウバにストレートフットロックを掛けられた際、膝が外れて負傷TKO負け。何も見せる前に終わってしまった。今回はフライからストローに落としての試合となる。ルタ・リーブリがバックボーンで、13勝中8つのKO勝ちがある。28歳。

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UFC on ESPN55:第3試合・ハメス・ヨントップ vs. クリス・パディーヤ

ライト級だったが、ヨントップが0.5ポンドオーバーし、キャッチウェイトに。

ペルーのヨントップは昨年9月のコンテンダーシリーズで勝利し、これがUFCデビュー戦。ペルーのフュージョンFCではウェルター級の王者だったが、コンテンダーシリーズ出場の際にライトに落としている。11歳でMMAを始め、15歳でアマチュアデビュー、17歳でプロデビューして、ここまで14勝(7KO・1一本勝ち)2敗。ニックネームはGoku(悟空)。24歳。

当初はゲイブ・グリーンと対戦予定だったが、今週に入ってから欠場。来月のユライア・フェイバー・A1コンバットに出場予定だったパディーヤが急遽UFCデビューのチャンスを掴んだ。28歳で13勝6敗。2018年にBellatorの前座に出場したことがあり、奇しくもその時の相手がゲイブ・グリーンだった(1R一本負け)。2016年にLookin' For A Fightでジェイソン・ゴンザレスと対戦したがKO負けでMMA初黒星。ゴンザレスがUFCとの契約を果たす一方、パディーヤはその後6勝6敗で勝ったり負けたり。それでもUFCを諦めずに、直前の代役として夢を叶えている(なお、ゴンザレスは1勝3敗で2019年の試合を最後にリリースされ引退している)。直近は3連続フィニッシュ勝利で、前戦の相手は元UFC(1勝4敗)のジャスティン・ジェインズ。28歳。

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UFC on ESPN55:第2試合・イバナ・ペトロビッチ vs. リャン・ナ

女子フライ級。

ペトロピッチはノルウェイ出身でクロアチア国籍。女子フライ級で173cmの長身、リーチも180cmで最長。17歳から始めたキックがバックボーン。キックではボスニア・ヘルツェゴヴィナのジュニア王者になっている。ローカル全勝(3KO・2一本勝ち)でUFCと契約し、昨年7月にデビューしたが、UFC3勝3敗のルアナ・カロリーナ相手に判定負けし、MMA初黒星を喫している。29歳。

中国のリャン・ナは3年前の4月にUFCデビューしてから、年1ペースに出場しているものの、3試合連続KO負け。アグレッシブだが攻めが雑で、打撃をもらったり、ポジションを返されたりして不利な状況になり敗れている。前戦は下になった際に足首を痛め、動けないところにパウンド連打をもらってのKO負け。正直4度目のチャンスが与えられるとは思えなかった内容だった。レスリングバックボーンの27歳。

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