ウテナ合唱曲の元ネタ

ハムレット (新潮文庫)

ハムレット (新潮文庫)

福田恒存訳のハムレットを読んでたら、ピラスという人物が老王に血刀を振り下ろすという劇中劇が出てきて妙な既視感を抱いたが、しばらくして思い出した。これ、ウテナの合唱曲じゃん。ググってみたら案の定あった。やっぱり「はてなダイアリー」にな!どんだけインテリが集まってんだよ、はてなw
青き病葉 - 書物という虚構

泉和良『spica』読んだよ

spica (講談社BOX)

spica (講談社BOX)

 御免なさい。この人をナメていたというか、誤解していた。恋愛に対して超ド真剣、だったんですね。だからただひたすらに言葉を真摯に紡ぐしかなく、冗句などの不純物を紛れ込ませるつもりなど一切無かったんでしょう。まさに純、文学って感じの内容でした。ちょっと女性を美化しすぎかなって気もしましたが。

超常なるをもて異常たらんとするは極めて凡庸なり

 西尾維新作品を読みて思いしは、その(戦闘)能力の傑出ぶりを以って登場人物を天才としているのではなく、彼らの世界観や人物観、人生観が極めて異端であるが故に、彼らは天才の称号を得るにふさわしき存在なのだろう。仮に全宇宙を支配する神が現出したとて、その神が我等の想像の領域を越えないのならば、神は路傍の石くれにも劣ると言えよう。

『spica』には少し期待しておく

spica (講談社BOX)

spica (講談社BOX)

内容紹介
『エレGY』に続く最強のラブストーリー! 「恋愛は甘くて音楽のように心地の良いものだと思ってるやつがいたら死ね」。元恋人・遥香に振り回され、引き裂かれ続ける中で、水井が最後に望んだことは……。

内容(「BOOK」データベースより)
髪はピンク。眉や睫毛までもがピンク。そして虚言癖のある元・彼女―遙香。でも、彼女との“別れ”なんかより、遙かに苦しくて、辛くて、最低最悪なことがある…それは、「続く」。恋愛は甘くて音楽のように心地の良いものだと思っているやつがいたら死ね。ファッキンラブ!デビュー作『エレGY』にてあの乙一滝本竜彦をうならせた疾走感が“恋愛小説”を新たな次元に押し上げる!かつて恋愛した人、今恋愛してる人、そしてこれから恋愛する人泉和良が贈る、とびきりのラブストーリー。

 先だっての『エレGY』のレビューでは結構ボロクソに言っちゃったけど、どうやらあの甘々なご都合主義的展開は読者を釣るためのエサだったみたいですな。私が批判していたポイントがそのまま次回作で取り上げられてるのを知って、苦笑した。なるほど、ちゃんと分かってやってたんですね。山田玲司が『絶望に効くクスリ』の中で、売らんがために『Bバージン』を描き、人気が出た所で、自分が本当に描きたかった主題を『ストリッパー』でようやく描けたと述懐してるのと相似している。

『エレGY』自分の理想の女の子とイチャイチャしてるだけじゃん

エレGY (講談社BOX)

エレGY (講談社BOX)

 絶賛の声も多いし、何よりあの乙一滝本竜彦がオススメしてるんで読んではみたんだけど…。正直言ってこっちの期待や予想を上回るものは何も無かったようだ。大槻ケンヂ、並びに滝本竜彦の小説とエッセイ全てを読破している自分にとっては、エレGYと呼ばれるヒロインが上記の2人の作品に出てくる女の子のカット&ペーストに現代風(ファウスト的)味付けを加えてみましたってだけにしか見えない。ぶっちゃけただのオタクの理想のメンヘル女子であって、そこから一歩も出ていない。7割ノンフィクションというのが謳い文句らしいけど、リアルならいいってもんじゃないでしょ。
 いや、いるよ。実際にこういう子。つーか。
俺、そういう子が彼女だったし。
昔、さるさる日記で「俺死ね俺死ね」ってばかりの内容の自虐日記書いてた時に、女子高生からメール来て、告白したもん、俺。そしたらOK貰った。
 好きな子から殺意を向けられるような事態にまで行っちゃうのが、メンヘルっ子との恋愛ですよ。まさに命がけ!だからメンヘルっ子との恋愛にありがちなドロドロした部分を書かずに、上澄みだけを抽出したこの物語に反発を覚えるのかもね。

電波大戦

電波大戦

竹熊「あと不思議ちゃんとか。今だとゴスロリとかいるじゃん。『下妻物語』とか見るとよく分かるけど、腹の中はドロドロでさ。けっこうキツイものがあるよ。ただね、俺、そういうの嫌いじゃないんだよ。オノ・ヨーコとか好きだったから。」
p.42

 さすが竹熊師匠ッ!良く分かってらっしゃる!エレGYに足りないのは、このドロドロさ。

NHKにようこそ! (角川文庫)

NHKにようこそ! (角川文庫)

 前述した滝本竜彦氏の『NHKにようこそ!』なんかは、ヒロインである岬ちゃんは主人公の佐藤達彦がダメ人間だからまともに相手出来るって設定で、良く考えたらすんげー黒いんだよね。それって自分が見下せる相手じゃないとダメって事じゃん。岬ちゃんが欲しいのは自分より確実に下のポジションである主人公なんであって、まかり間違って「成長」なんぞしてしまったら用済みなのですよ。この薄皮一枚剥いだら地獄って状況をひたすら諧謔を交えて面白おかしく書けるから滝本竜彦氏は天才なのであって、ただメンヘルっ子とイチャイチャしてるってだけじゃ、それは作品としては合格点はあげられないなぁ。

『雲のむこう、約束の場所』に対する不満

 物語のクライマックスでユニオンと連合が戦争状態になるのだが、一体連合側は何を戦略目標にしているのだ?世界を裏返しつつある「塔」を破壊するのが目的ではないのか?ならば暢気に空戦などやってないで、ICBMSLBMでも叩き込めば良いではないか。まるで主人公に「塔」を破壊させるためだけに、無駄な空戦をしているとしか思えない。
 こんな描き方をされるとヒロインに「世界から見捨てられている」とモノローがれても、世界は君達を引き立たせるために存在しているようにしか見えないよ、としか言えない。

東浩紀と宇野常寛の対談を聞いた

決断主義トークラジオAlive2 ビューティフル・ドリーマーニコニコ動画(ββ)

東浩紀氏がしきりに否定して、宇野常寛氏が実例を挙げる事の出来なかった「レイプ・ファンタジー」だけど、これはあると思う。だけど非モテルサンチマンの昇華先としての「可哀想な女の子の救済」が「恋愛」として定義されてる事自体がおかしくて、それはなかむらたかし監督の『ファンタジック・チルドレン』で描かれてるように、究極的には相手を救う事によって自分を救いたいんですよね。

自分の罪を許されたい。生きていていいと思われたい。

だからこれは恋愛っつーより、信仰の類に近いような気がする。同じようなもんかもしれないけど。