馬路村(2)

川の音を聞きながら熟睡し、朝から温泉に入ったためか、カラダの調子が良い。今日は朝から「ごっくん馬路村」の製造・販売工場を見学させていただく。
昔は営林所だった場所に新しく建設したという工場は、清潔で、広い。ただ、時間が早かったためか、働いている人がおらず、実際の製造工程をいることができなかったのは残念だった。右の写真は、製品を仕分けして全国へ配送するためのライン。
左は、工場の受付。ここも広い。見学者には良く冷えた「ごっくん馬路村」をごちそうしてくれる。ここでも多くの人(主に若い女性)が働いていて、電話がなりっぱなしだった。コールセンターのような感じ。昨日から、他の地域に比べて若い人をよくみかけるなぁと思っていたのだが、それは、こういう働く場があるからなのだろう。
柚子の生産・加工で成功するに至るには、大変な苦労や努力、あるいはそうしたことを厭わなかった村の人たちの気持ちがあったことは、本にも書いてあった。しかし、実際に馬路村にお邪魔してみて、改めてそういうことをリアリティをもって感じることができた気がする。
柚子で培ったブランドを、これから馬路村がどのように活かしていくのか、これからずっと注目したい。

馬路村(1)

この本を読んで以来、一度来てみたかった、馬路村にやってきた。高知竜馬空港から車で2時間弱程度なのだが、だんだん道が細くなり、山が深くなっていく様子は、車を運転していない僕にとってはカナリ楽しかった。一度、馬路村を通過して魚梁瀬まで行き、ダムなどを見学しつつ、ワクワクしながら馬路村に侵入。道は、安田川沿いを走っているのだが、数日前までの台風の影響で、かなり増水している。水が濁っているようだけど、十分「清流」に見えてしまう*1。これは、僕が本格的なイナカをほとんど経験していないこともあるだろう。
今日は馬路温泉に泊まらせていただく。右の写真は客室の写真。ロフトもあり、立派なので、驚く。室内は清潔で、十分な広さ。驚いたのは部屋の中が涼しいこと。今日の温度は30度近くあったのに、部屋が川べりにあるためか、少し寒いくらいに感じる。左の写真は、各部屋についているバルコニー(?)。手を伸ばせば、川に届きそうだ。
温泉の様子はここのサイトでかすかにわかる。馬路温泉の「心配人(しはいにん)」の林義人さんの話だと、非常に評判が良いらしい。
なんだか、旅行記のようになってしまったが、柚子ですっかり全国区になった知名度を利用して、観光客も集客しようという戦略は、こうした施設があれば、十分可能なように思った。もちろん、東京からの観光客を集めるにはライバルが多いかもしれないが、高知県、あるいは四国に限ったら、魅力的な観光地になるのかもしれない。

デラウェア

Brand-Boys2007-07-14


先日、アメリカのデラウェア州に行く機会があった。デラウェア州は、東海岸のニューヨークとワシントンDCのほぼ中間に位置するアメリカで2番目に小さい州で、人口は80万人程度である。日本人の発想で言えば、ぶどう(デラウェア種)が豊富に取れそうなのだが、おそらくぶどう畑はない。

東海岸の主要都市を結ぶ回廊上にある割には、一見、目立たない州である。主要幹線道路I-95は、デラウェア州の北端をかすめるだけなので、油断をするとすぐにペンシルバニア州メリーランド州になってしまう(ニュージャージー州にも抜けられる)。

しかし、米国の企業経営者にとって、デラウェア州は登記上の本社を置くべき場所として、有名である。これはデラウェア州会社法が企業に有利である(会社の設立解散が容易、判例が充実していて裁判が行いやすい)ためらしい。確かに、州で一番の大都市ウィルミントン(といっても人口7万人)の駅前には、最近移転してきたという立派なAIGのビルが建っていた。

暮らし面で特筆すべきは、デラウェア州の消費税がゼロということである。アメリカに行くと州ごとに消費税が違っていて、しかも外税なので、レジで値段を見るまでいくらかかるか分からないという経験をするが、ここではその心配はない。値札どおりに支払えばよいのだ。週末のショッピングモールは、近隣州のナンバープレートをつけた車でいっぱいである。

このように人や企業をひきつける要素を持っていて小さいながらも豊かな州である。さらに言えば、デラウェア州は、アメリカで最初に合衆国憲法を批准した州 the First State で、州に住んでいる人は誇りに思っているふうである。ちなみに、デラウェア州の観光局のキャッチフレーズは「It's good for being first(一番は良いことだ)」である。

以上、現地で聞いた「お国自慢」を基に書いてみた。アメリカの場合、州政府の裁量の自由度が高いことが、「お国自慢」をサポートすることにつながる部分が大きいと思う。日本でも、もっと地方に(財源とともに)裁量を任せた方が、長い目で見れば良くなるような気がするのだが・・・。

表参道ネスパス

Brand-Boys2007-04-15

表参道ヒルズの裏手に表参道新潟館 ネスパスを発見。すごい立地環境だ。東京にある各県のアンテナショップはアンテナショップ一覧 -[たくさんとくさん]に整理されていて、これをみると、どの県もカナリ良い場所にお店を確保している。
でも、新潟の表参道には少し驚いた。この表参道(神宮前)という場所は、全国の中でもここ数年の地価上昇率がとても高い場所*1。この人気は、世界的一流ブランドの進出や、若者向けのショップの流行によって、表参道が日本のファッションやカルチャーの発信地としての地位を築きつつあることの証拠だろう。
こんな場所にお店をもつということは、当然、新潟県は流行のアンテナの高い人向けの情報発信力を強めようと思っているのだろう。せっかくアンテナショップを開くなら、これくらいやってもいいのかもしれない。「ブランド」を広めていくために、日本で一番ブランド力のある場所にお店を開くのは、目をつけどころとしては間違っていないと思う。
お店の中身は、他県のお店と比べて特別ハイセンスというわけではないが、新潟の地酒がたくさんあるのは素晴らしい。また、U・Iターン就職に関する情報もここから発信していこうとの考えのようだ。ただ、一階にある静香庵というお店は、レストランの激戦区にあって、少し高すぎます。安くして、多くの人に新潟の食べ物の良さを知ってもらうという戦略のほうが良いのでは・・・。

地域ブランド583銘柄実力度調査

日経グローカルの今月号の特集は地域ブランドに関するインターネットアンケート調査の結果だった。調査対象とされているのは地域団体商標として、「認定されたもの」(152銘柄)、「認定出願中のもの」(419銘柄)、「地域団体商標の創設前に認定されていた商標」(12銘柄)。これらが「知名度」や「地名アピール度」等6項目の偏差値平均でランキングされている。上位5位まで以下のような結果。

  1. 夕張メロン地域団体商標の創設前に認定されていた商標)
  2. 魚沼産コシヒカリ)(出願中)
  3. 長崎カステラ(認定済み)
  4. 松坂牛、松坂肉(認定済み)
  5. 宇治茶(出願中)

583銘柄全体のうち、食品が7割程度のなか、38位に「その他サービス」に分類されている「京料理」が入っている*1。京都は出願数、認定数、100位以内ランクイン数で「3冠」。「伝統的なものを守ろう」という京都府民の意欲が形になっているということだろうか。
しかし、もう少し「サービス」的な地域ブランドが多く出願されて認定されるほうが自然だと思うのは僕だけだろうか。
あと、カタチにならないもの、例えば「江戸っ子気質」的ものって、商標といわないまでも、なんとかブランドにできるといいのだけれど*2。まぁ、それはもう少し先のことかもしれない。

*1:まぁ、これも食品の一種な気はするが・・・

*2:ちなみに、東京からの出願数は少ない。「東京は『都市』であって『地域』ではない」という本文中の説明には納得。

奥美濃カレー

今朝、「知っとこ!」の07年大注目の冬カレーという特集で、「奥美濃カレー」というご当地カレーが紹介されていた。ご当地カレーといえば、レトルトカレーを思い浮かべてしまうけれど、これはカレーで地域活性化をしようという、地域ブランドの取組み。中小企業基盤整備機構地域ブランドアドバイザー派遣事業取り組み事例集にも紹介されていた。
岐阜県白鳥町商工会が奥美濃カレープロジェクトの実行委員会を設置して、このプロジェクトを推進しているようだ。奥美濃カレーのHPによれば、奥美濃カレー』の定義は、

地元のおいしい食材を使い、また、昔から伝承されている田舎味噌である郡上の地味噌を隠し味に使い、愛情込めてお客様に提供することが唯一の条件 

となっている。「知っとこ!」をみていて、一番おいしそうに思ったのがこの郡上味噌を隠し味に使っているというところ。具財も基本的には地域の食材を使っている店が多いようだ。
横須賀市が、「よこすか海軍カレー」で地域活性化をしていることは有名だけど、普通のカレーとどう違うのかは、なかなかピンとこない。もし、この郡上味噌という隠し味が本当に効いているとしたら、「奥美濃カレー」は、かなり際立った存在になると思う。それに、地域ブランドとして考えれば、ラーメンや焼きそばと同じくらいポピュラーな食べ物なのに、これらに比べるとライバルも少ない。一度食べにいかなければ・・。

地域ブランドフォーラム全国大会

2日に中小企業基盤整備機構が主催する第2回地域ブランドフォーラム全国大会が行われたようだ。当日は出席することができなかったのだが、なんとか資料だけは手に入れることができた。
観光の話と地域団体商標の話の後にパネルディスカッションがあった模様。ただ、いただいたパワーポイントの資料を拝見する限りでは、実際出席したとしても、あまり新鮮な話は聞けなったように思った(もちろん、資料からしか判断できないのだけれど・・・。)。これは、資料を読む限り、結局のところ「人」が重要だ、とか「ブランドだけではなにも起きない」といった結論が目立っていて、こうしたことは、これまでにどこへ行っても聞かれることだからだろう。*1
そもそもこのフォーラムは

地域ブランドづくりに関係・関心のある方を対象に、地域ブランドづくりに対する意識喚起や、その取り組みの促進等を図るとともに、地域ブランドアドバイザー派遣制度を活用し地域ブランド化に取り組んだ事例を紹介することを目的として、「第2回 地域ブランドフォーラム全国大会」を開催いたします。

という名目で開催されているので、なにも目新しい発見を喧伝する必要などないのだろう*2
ただ、全国大会も必要かもしれないが、地域ブランドに関する議論や発表の場は、個々の地域で、どんどん催されるほうが正しい姿だと思う。

*1:ただ、「豊岡鞄参加マニュアル」は秀逸だった。これをファーマットにして産品、というか地域団体商標づくりを起動にのせようと考えている人たちには大いに参考になるのではなかろうか。

*2:確かに「地域ブランドに挑む−地域ブランドアドバイザー派遣事業取組事例集」はカナリ立派なできばえだし、中にはもっと知りたい事例もあった。