発光ダイオード、照明実用化へ

 発光ダイオードの心臓部となる光半導体に微小な穴を開けると、外部への発光量が4〜5倍に増えることを京都大と科学技術振興機構の研究チームが発見した。寿命が長い発光ダイオードは、白熱灯や蛍光灯に代わる照明として期待されているが、光の8割程度が発光体の内部に閉じこもってしまう効率の悪さが課題だった。研究チームは「照明の実用化に一歩近づいた」と話している。27日付の米科学誌「サイエンス」に発表した。 発光ダイオードは光半導体を組み合わせてつくるが、半導体内部に光がこもるため、蛍光灯と同じ強さの光を得るためには、約2倍の電気エネルギーが必要だった。 京都大の野田進教授らは、ガリウムなどでできた厚さ250ナノメートル(ナノは10億分の1)の光半導体の表面に390〜480ナノメートル間隔で直径250ナノメートル前後の微小な穴を開けた。すると、内部での発光がなくなり、外部への発光量が穴を開けない場合の4〜5倍になった。 野田教授は「半導体レーザーなど、他の発光素子にも応用できる。照明に加え、ディスプレーや光通信など発光素子が既に応用されている分野の効率改善にも貢献できる」と話している。