放射脳

釜石の鉄鉱山の地下深くからの湧き水を利用した化粧水が無印良品から出ている事を今日知った。
そしてぐぐってみると幾つもあったのは放射能汚染を心配したり無印良品を非難したりするページの存在
彼らは、そんなに心配しているのに、放射能汚染の分布について調べることはしないのだろうか?


岩手県南部、過去に伊達領だったあたりは震災翌日くらいの風向きの関係(福島から北上して宮城あたりで太平洋に抜ける)でいくらかの放射性ヨウ素の汚染があったのは確か。
釜石は微妙な位置。汚染がなかったとは言い切れないが不検出。
そんな程度。
それより、2号機の サプレッションチェンバが破断したあの日の気圧配置。
浪江町飯舘村に向かって北西に進んだ高濃度汚染は中通りを下って北関東から千葉北部、そして神奈川〜静岡まで放射性ヨウ素セシウムを撒き散らした。
それは岩手県南部の汚染より深刻だった。少なくとも日本の法律で汚染土壌や焼却灰を廃棄できない程度には。


群馬県のある街を訪れた際に、私が岩手県沿岸部の出身であることを知ったタクシーの運転手が誇らしげに岩手県北部の瓦礫の処分をその自治体が引き受けたことを語ってくれた。放射能汚染の危険をも顧みず。
でも
本当は
岩手県北部にはおそらく福島第一の放射能汚染はない。
群馬には比較的深刻な汚染が存在する。
これを指摘したのは間違いだったろうか――


運転手は沈黙し、料金支払いまで会話が途切れた…

特異点

http://www.chosunonline.com/m/svc/article.html?contid=2016031100881

後10年は無理と言われていた囲碁でトッププロにコンピュータが勝った。

過去、チェスにIBMスパコンが勝ったときは、プログラムを組んだ人達の棋力自体が高く、盤面をどう評価するのかという評価関数の設定や、どこから先を無駄な処理と推定して先を読むのを打ち切る枝刈りなどは彼等の棋力をコンピュータの馬力で拡張したものと言えなくもないような性質のものだったと思う。

将棋はチェスより場合の数が本質的に多く、さらに困難だったが、近年、機械学習という手法を使うことでプロに勝てる棋力を持つコンピュータが現れるようになっていた。
機械学習では、棋譜を大量にコンピュータに与えることで最善手を指せるように予め調整しておくことが可能になったし、これによってプログラマの棋力とコンピュータの実力の相関が極めて弱くなった。
それでも、プログラマは自分のプログラムを把握してると感じていたはずだ。
盤面を評価する関数の係数は学習させるとしても、そもそも与える関数の形はプログラマが与えているし、探索空間の性質もまた把握しているからだ。そもそも把握していなければ機械学習が良い結果を出力するように調整する事が不可能だから。

今回、囲碁でプロを負かした機械はどうだろうか?
確かに学習機構は人間が与えている。もしかすると出力層の先でSVMのような従来型の機械学習を噛ませてるかもしれないし、最初に与える入力も、途中の学習機構も人が調整してる。
しかし、
ディープラーニングでは、もはや、特徴量を人間が与えることをしていない。
プログラマは後から係数を分析することは可能かもしれないが、うまく動かすために何が起きているのか本質的に理解する必要がなくなっている。

この事から特異点が近いというような言説や危機意識が語られているが、おそらくそれは時期尚早。
まだ、人工知能は入力に反応する学習機械に過ぎない。
意志を持っていない。

意志はどこから生じるのか?
そこが明確になり始めた時が、本当に注意しなければいけない時だろう。
今や、人類は人以外の自律的学習機械を手に入れつつあり、それを使って意識の謎に切り込むことも可能になりつつある。
願わくばそれが、冒頭引用の囲碁のプロたちのように理解不能なまま実現することのない事を望みたい。ら

カラバッジョ?

『屋根裏から「カラバッジョ名画」発見 推定150億円の価値 仏』


いやいやいやいや
カラバッジョじゃないでしょ。
なんか貧弱だよね、画面構成。
カラバッジョにも好不調の波があるんだろうけどねぇ


これは記事中にもある通り同一画題の国立古典美術館の収蔵作品だけれども。
上の作品にはこういうカラバッジョの構成力が感じられない。
とても“「非の打ち所がない質」を持った作品”とは思えないんだが…

下戸と日本人の起源

下戸遺伝子は氷河期適応なんだから大陸の新モンゴロイドもみんなそうだろ?と思ってたら違ってた話。
それどころか我々の先祖はあんまり朝鮮半島から来てないのかも??という話になっていきます。

[枕](下戸遺伝子の話はいらんという人、本題はこちら
アセトアルデヒド脱水素酵素というものがあって、北東アジア人ではこれのうち一種類が遺伝子欠陥で機能を失っている人の割合が多い。
アルコールを摂取した後、肝臓でアルコールが分解される際に、代謝サイクルの中間産物としてアセトアルデヒドが出来る。本来なら速やかに加水分解されて無害な酢酸に変わるんだけど、日本人の場合、約半分の人が酵素機能が失活した遺伝子を持ってる。誰でもお父さんとお母さんから遺伝子を一個づつもらって、2個ペアで持ってるんで、あとは確率計算の問題になってくるんだけど、この欠陥遺伝子と正常な遺伝子をヘテロで持ってる人が4割、欠陥遺伝子だけを持ってる人が4%になる。ヘテロで持ってる人は、正常遺伝子をホモで持ってる人に比べて、このアセトアルデヒドを速やかに分解する酵素を十分産出できない。そのため血液中のアセトアルデヒド濃度が上がり、顔が赤くなったり頭が痛くなったるする。つまり生まれつきお酒の弱い人になる。それは日本人の半分。
んで、なんでこんな欠陥遺伝子がこんな高確率で存在するのかという話になってくるんだけど。
それは凍傷を防ぐからという有力な説がある。
寒気にさらされると、人体は腕や脚の表面の血流を抑え、体温が体表から奪われるのを防ごうとする。手足が水冷のラジエターみたいになっちゃわないようにコックを閉めちゃう感じ?
手足は冷えちゃうけど、内臓の体温を守ろうとするんだね。
ただし手足の血流が阻害されるので長時間その状態がつづくと手足の指先あたりから壊死がはじまっちゃう。
んで、アセトアルデヒドの出番。アセドアルデヒドは血管拡張作用がある。
氷河期を高緯度地方で生き抜いた北東アジア人は、瞼が厚くなったり腕脚が短くなったりという寒冷地適応をしたとも言われてるわけだけど。その一つがアセトアルデヒド脱水素酵素の失活だったのではないかというんだね。

アセトアルデヒド脱水素酵素を十分を持ってない人は極寒の中、懐中のお酒をぐびっと飲むと、体が温まるだけでなく手足の先まで暖かい血液が行く。
この説では、そういう人がより多く生き残る環境で先史時代の北東アジア民族が暮らしていたというわけですね。


――という話をしたら反論されまして。
仕事とかの付き合いで韓国とか中国の人と飲むと、向こうの人は無茶苦茶強いじゃん。ってわけですね。
半分が弱いとはとても思えないと。
でも、日本より北側の韓国中国のほうがより北東アジア民族的じゃんね?
より南方的な形質を持ってる縄文人のほうが酒が強くて東北地方に酒が強いひとが多いのもそのせいとか聞いたことあるし。
弥生人言ったら、朝鮮半島から来た人たちでっしゃろ??
韓国人より華北人(≒漢民族)、華北人より冬寒い地域で暮らしれるモンゴル族のほうがより氷河期的だよねぇ。


んで、ネットで調べました。


まず、Wikipedia

ALDHの遺伝子多型は生まれつきの体質であるが人種によってその出現率は異なり、AGタイプ(酒に弱いタイプ)・AAタイプ(酒が飲めないタイプ)はモンゴロイドにのみ、それぞれ約45%、約5%認められる。
アセトアルデヒド脱水素酵素 - Wikipedia


次に「アセトアルデヒド分解酵素 中国 日本」でググるとなぜか東京国税局がトップでヒットします。

※「ALDH2」不活性型の割合
日本人・・・・44%
中国人・・・・41%
タイ人・・・・10%
フィリピン人・・・・13%
ヨーロッパ系白人・・・・0%
アフリカ系黒人・・・0%
アメリカインディアン・・・・0〜4%
◎ある説によると日本人は、縄文人系はNN型、弥生人系(大陸から日本列島に移住)はND型あるいはDD型が多いと言われていますが、その割合は、NN型56%、ND型40%、DD型4%と言われています(別の説では、ALDH2型を持たない人が25%はいると言われています。)。
テーマ02 「あなたはお酒が強い人?弱い人?」|東京国税局|国税庁

中国人はさほど強くなさそうですねぇ。というか強くない人が多そうですねぇ。
社会的ビヘイビアに目眩ましされがちな印象は当てにならんということでしょうか。


んでは韓国人は?
検索単語に韓国を加えるとアサヒビールがヒットします

日本人は世界でも珍しい、お酒に弱いといわれる人種。
お酒が苦手な日本人が多いことは、科学的にも証明されています。その原因は、アセトアルデヒドを分解する酵素であるALDH2の欠損です。
日本人の約44%は、ALDH2を持たないか、その働きが弱くアセトアルデヒドが貯まりやすいのです。 この遺伝的性質は、日本人などのモンゴロイド特有のもので、アフリカ系やヨーロッパ系の人種には見られません。

出典:樋口進 編
『アルコール臨床研究のフロントライン』より人種 ALDH2欠損率
日本人 44%
中国人 41%
韓国人 28%
フィリピン人 13%
タイ人 10%
インド人 5%
ハンガリー人 2%
ナバホー人
アメリカ原住民) 2%
ドイツ人 0%
イスラエル人 0%
エジプト人 0%
ケニア人 0%
スウェーデン人 0%
フィンランド人 0%

おお、ハンガリー人にも居る。やっぱマジャール人アゴタ・クリストフもといクリストフ・アゴタも遠い親戚か?
ってのはどうでもよくて、韓国人の比率が少ないねぇ。
社会的目眩まし説はやくも却下?


こりゃあ分布図を探したほうが良いかもしれん。


んで、「ALDH2 分布」で画像検索した結果がこれ。

乙醛脱氢酶2(ALDH2)-饮酒者的“救赎”


なんと。
予想に反してホットスポットは江南ではないですか?
華北朝鮮半島には確かに少ない。
北京で紹興酒順繰りにカンペーさせられたりソウルで爆弾酒でいっきさせられたりして平気な連中が多いって印象は間違いではなかったのか。
むかしニュースステーションの特集かなんかで日本人のルーツを探訪とか言って中国南部の少数民族を訪ねてて、何やっとるんじゃ? 訪ねるなら朝鮮半島だろ??と疑問に思った事をを思い出しました。
そういえばどっかのサイトで長江文明の出土人骨の遺伝子特徴が弥生人と一致とか言ってたな。
「一致」とか安直に書いてる時点でヨタだと思ってたんだけど。
でも、魏志倭人伝に日本人が「呉の太伯の子孫」を自称したとかあったよな?


氷河期には上記の通り有利な形質ではあったのかもしれないが氷河期以後の江南で有利であったとは思えない。
弥生文化の起源が氷河期とははるか遠くせいぜい紀元前数世紀と考えられていることと合わせればこの遺伝子分布は適応集中による偶然とは考えにくい。


ついでに日本国内の分布

酒の強さは遺伝子で決まる 原田 勝二 氏


やっぱ、熊襲蝦夷アイヌ縄文人だよなぁ。
んで、関西瀬戸内周辺は弥生人で中国南部の少数民族(とか漢族に同化して消えた連中)の末裔と。


というわけで、日本人つか弥生人の先祖はホントに長江文明人かもしらんぞという一席。

loanword

外来語ってのは、あれだな。ガラパゴスだな――とふと思った


外来語の多用の背景には、日本語で表すとどうしてもついてくるエモーショナルな部分が無いニュートラルな感じが使い勝手の良さを感じさせるところがあるんじゃないか?
例えばメクラと言わずブラインデッドって言っとけみたいな。


でも実のところ英語話者には英単語には全部エモーショナルな意味が張り付いていて、ニュートラルな使い方なんてありえんだろうというね。


だから、外来語多用するのはちっともグローバルじゃなくて、その動機からしてそもそもガラパゴスなんじゃないかなと。




――と、外来語を多用しながら書いてみる試験。
ガラパゴス島国根性と置き換えてみると、あら不思議。我ながら良い論点を思いついたと感じていたのが凄いありふれた言明に見えてくるという。「島国根性」ってクリシェの凡庸さ加減がもう。エモーショナルとかニュートラルとかほんとに実は大したこと無いじゃーんみたいな。

NHKのNEXT WORLD(第1回)を見た

NHKスペシャル|NEXT WORLD 私たちの未来
NHKスペシャル|ネクストワールド 私たちの未来第1回未来はどこまで予測できるのか

門外漢なのでよくわからないのだけれど、ヒット曲予測なんて、セールスという形で適応度が明確に数値化されている学習データが大量にあるのだから、適切な特徴量抽出さえ出来れば、機械学習の課題としてはそんなに難易度高くないんではなかろうか?


まあ、何が言いたいかといえば、この番組で扱われている「未来予測」なるものは少なくとも2015年現在においてはパターン分析にすぎないんじゃないかということ。
番組では警察署で市内の碁盤に分けたエリアのどこで犯罪が発生するかという予測ソフトの驚異的能力とかやってたけど、予測はするけど理由は提示しないんだそうだ。
伝統的な主成分分析の第一主成分が何かという事を記述することがパラメータが増えてくると困難になっていくように、高次元特徴量に基づく御託宣は、「今日はこの界隈で犯罪が起きる可能性が高い」と言うことは出来ても、何故そうなのかまではわからない。過去のデータ蓄積、直近の発生犯罪データ、天候、日付あたりから判断しているのだ程度の漠然とした説明しかできないのではないか? それならばそれは分析に使う要素そのものの記述でしか無い。
この機械が提供してるのは蓋然性の数値化であって未来予測ではない。2045年の機械が渋谷での出会いを予言してくれたとしても、それは「出会い」が渋谷で多発しているという蓋然性の提示でしか無い。演出過剰。


むしろ、そういうコロンブスのタマゴ的なアイディアを実現して例えば音楽産業に売り込む開発力と営業力が背後にあるのだろうなと思い、そして役に立つとなればどんどん採用していく姿に強い感銘を受けた。功利主義の長い伝統みたいなものがやっぱりアメリカにはあるのだろうなと。オレの中の確証バイアスっぽい気もしないでもないけど


しかし、このヒット予測なるものは、単に統計的に大量の既知データを処理してるだけだから、新しいヒットジャンルを見つけるには寧ろ障害にーーいや、ならないかな。
コンピュータに頼ろうが頼るまいが頭の固いレコード会社より、YouTubeアップロードの方が新しいジャンルのヒットは生まれやすいかもしれない


新しいジャンルが生まれてしまえば、コンピューターは、それを統計処理して、高次元特徴空間にマップするだろう


アメリカ人は概してプレゼンが上手いから、純朴なNHKのプロデューサーがそれにノセられてるって蓋然性が排除できない(笑)
とかいって

男性的行動

異性を視覚的に評価するとか、浮気がちだとか、強い性衝動から強姦するとか、まあ恐らく数十万年のサピエンスの進化史の中で淘汰されてきた形質なんだろうけれど。
たとえば安定的な家庭に育った子供は異性と安定的な関係を築けるとしたらどうだろう。
その結果、その子がさらに子孫を残す可能性が高まるのだとしたら*1、現世人類の雄的行動には別の淘汰圧が加わることになる。*2


安定的な家には両親の安定した関係が必要で、両親の安定的な関係を気づくのは恐らく愛情であろう。様々な家庭の形はあろうが、選択圧は統計的に働くから、最も確率が高い形質をもたらす遺伝子が選択されて広まっていくことになる。


そうしてだんだんと性行動が進化したら面白いなと思った。そしてそれは現在進行形で起きてるのだと。
ただし、我々の文明が人工生殖が主流になるとか、そもそも淘汰が目に見える形質変化をもたらすだけの期間存続し得ないという場合は違ってくるけどね!*3

*1:安定した家庭に育った子供が有利になる文化的背景というものが考えられるだろうから、それが進化論的に意味のある期間存続する必要があるだろう。後期旧石器文化を得てわずか5万年、農耕が始まって1万年足らずという我々の文明が経験したことのない途方もない期間になるだろう。安直に我々の文化を外挿する遠未来SFは多く書かれてきたのだから想像することは容易いだろうが我々の経験から隔絶しすぎている。経験値がない以上その想像では到底足りないだろう事に注意

*2:性犯罪が認められず罰せられる社会が存続する必要もあるだろうね。さもなくば精神的不安定と多分密接に関係する強姦の優位性が残ってしまうから

*3:でも必要な行動パターンや情動をもたらす淘汰は形態より高速に変化しうるかも?